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4,258 | センター試験 理科対策 | 個別の対策については、以下の記事を参照されたし。
2015年入試より新課程入試となる。新課程では理科の履修方法が大きく変わるため、センター試験の選択方法も変更となる。
受験出来るパターンはA:理科1から2科目、B:理科2から1科目、C:理科1から2科目と理科2から1科目、D:理科2から2科目 となる。 | [
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| 日本の大学受験ガイド> センター試験 > センター試験 理科対策 個別の対策については、以下の記事を参照されたし。 センター試験 物理I対策
センター試験 化学I対策
センター試験 生物I対策
センター試験 地学I対策
センター試験 理科総合A対策
センター試験 理科総合B対策 | *[[日本の大学受験ガイド]]> センター試験 > センター試験 理科対策
個別の対策については、以下の記事を参照されたし。
*[[センター試験 物理I対策]]
*[[センター試験 化学I対策]]
*[[センター試験 生物I対策]]
*[[センター試験 地学I対策]]
*[[センター試験 理科総合A対策]]
*[[センター試験 理科総合B対策]]
===2015年度入試からの変更===
2015年入試より新課程入試となる。新課程では理科の履修方法が大きく変わるため、センター試験の選択方法も変更となる。
*理科①:物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎から2科目
*理科②:物理、化学、生物、地学から1科目~2科目
受験出来るパターンはA:理科①から2科目、B:理科②から1科目、C:理科①から2科目と理科②から1科目、D:理科②から2科目 となる。
===国公立大学受験に必要とされる教科数===
*文系:理科①から2科目又は理科②から1科目(パターンA又はパターンB)
*理系:理科②から2科目(パターンD)、中堅以下の場合は理科①から2科目と理科②から1科目(パターンC)も出来る場合がある。
[[Category:センター試験|りかたいさく]] | null | 2014-12-17T03:29:07Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E8%A9%A6%E9%A8%93_%E7%90%86%E7%A7%91%E5%AF%BE%E7%AD%96 |
4,259 | 受験ガイド | 小学校・中学校・高等学校・高専・大学・大学校等の入試受験に関する記事。 | [
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| 小学校・中学校・高等学校・高専・大学・大学校等の入試受験に関する記事。 小学校受験ガイド
中学受験ガイド
中学受験参考書 (2013-12-06)
高校受験ガイド
高校受験参考書 (2013-12-06)
高専受験ガイド (2013-12-06)
大学受験ガイド (2013-12-06)
大学受験参考書 (2013-12-06)
日本の大学受験ガイド
外国の大学受験ガイド
大学校受験ガイド (2013-12-06) | {{Pathnav|メインページ|試験|入学試験|frame=1}}
小学校・中学校・高等学校・高専・大学・大学校等の入試受験に関する記事。
* [[小学校受験ガイド]]
* [[中学受験ガイド]]
** [[中学受験参考書]] {{進捗|25%|2013-12-06}}
* [[高校受験ガイド]]
** [[高校受験参考書]] {{進捗|25%|2013-12-06}}
* [[高専受験ガイド]] {{進捗|00%|2013-12-06}}
* [[大学受験ガイド]] {{進捗|00%|2013-12-06}}
** [[大学受験参考書]] {{進捗|00%|2013-12-06}}
** [[日本の大学受験ガイド]]
** [[外国の大学受験ガイド]]
* [[大学校受験ガイド]] {{進捗|00%|2013-12-06}}
== 関連項目 ==
* [[小・中・高等学校演習]] {{進捗|00%|2013-12-06}}
[[Category:入学試験|*しゆけんかいと]] | 2006-09-29T14:48:19Z | 2023-04-19T08:09:05Z | [
"テンプレート:Pathnav",
"テンプレート:進捗"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%8F%97%E9%A8%93%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89 |
4,260 | 大学校受験ガイド | 大学校は、文部科学省所轄外の、省庁が管轄している大学に準ずる学校。
入学試験が9月や10月や11月に行われることが多い。 | [
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| 受験ガイド > 大学受験ガイド 大学校は、文部科学省所轄外の、省庁が管轄している大学に準ずる学校。 入学試験が9月や10月や11月に行われることが多い。 | *[[受験ガイド]] > 大学受験ガイド
[[w:大学校|大学校]]は、文部科学省所轄外の、省庁が管轄している大学に準ずる学校。
[[w:入学試験|入学試験]]が9月や10月や11月に行われることが多い。
== 入試対策 ==
*[[防衛医科大対策]]
*[[防衛大対策]]
*[[気象大対策]]
*[[航空保安大対策]]
*[[海上保安大対策]]
*[[水産大対策]]
*[[職業能力開発総合大対策]]
== 関連項目 ==
*[[受験ガイド]]
[[Category:入学試験|たいかつこうしゆけんかいと]] | null | 2022-08-30T23:11:02Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%8F%97%E9%A8%93%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89 |
4,261 | 防衛医科大対策 | 本項は、防衛省防衛医科大学校の採用試験対策に関する事項である。
防衛省防衛医科大学校の採用試験は、11月初旬に行われる。大学の入学試験と時期が重ならず、医学部を志望する者が力試しなどとして受験するため、他に類のないほどの高倍率・難易度になる。
まず、「択一式」の試験が行われ、基礎的学力が一定の水準まで達している者が、次の「記述式」試験の採点の対象となる。 | [
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| 受験ガイド > 大学校受験ガイド > 防衛省防衛医科大学校対策 本項は、防衛省防衛医科大学校の採用試験対策に関する事項である。 防衛省防衛医科大学校の採用試験は、11月初旬に行われる。大学の入学試験と時期が重ならず、医学部を志望する者が力試しなどとして受験するため、他に類のないほどの高倍率・難易度になる。 まず、「択一式」の試験が行われ、基礎的学力が一定の水準まで達している者が、次の「記述式」試験の採点の対象となる。 | {{Wikipedia|防衛医科大学校}}
* [[受験ガイド]] > [[大学校受験ガイド]] > 防衛省'''防衛医科大学校対策'''
本項は、防衛省[[w:防衛医科大学校|防衛医科大学校]]の採用試験対策に関する事項である。
防衛省防衛医科大学校の採用試験は、11月初旬に行われる。大学の入学試験と時期が重ならず、医学部を志望する者が力試しなどとして受験するため、他に類のないほどの高倍率・難易度になる。
まず、「択一式」の試験が行われ、基礎的学力が一定の水準まで達している者が、次の「記述式」試験の採点の対象となる。
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[[Category:医学]]
[[Category:入学試験]] | null | 2011-10-24T13:49:01Z | [
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4,262 | 高専受験ガイド | 高等専門学校(高専)の入試に関する情報。
国立の工業高専は、問題が全国共通である。珍問奇問の類はまず出題されず、難易度は標準的である。ほぼ公立高校並みと考えてよいだろう。ただし高専の特色ゆえに、理数系の科目ではかなり発展的な問題も見られる。 | [
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| 受験ガイド > 高専受験ガイド 高等専門学校(高専)の入試に関する情報。 国立の工業高専は、問題が全国共通である。珍問奇問の類はまず出題されず、難易度は標準的である。ほぼ公立高校並みと考えてよいだろう。ただし高専の特色ゆえに、理数系の科目ではかなり発展的な問題も見られる。 | *[[受験ガイド]] > [[高専受験ガイド]]
[[w:高等専門学校|高等専門学校]](高専)の入試に関する情報。
国立の工業高専は、問題が全国共通である。珍問奇問の類はまず出題されず、難易度は標準的である。ほぼ公立高校並みと考えてよいだろう。ただし高専の特色ゆえに、理数系の科目ではかなり発展的な問題も見られる。
==関連項目==
*[[受験ガイド]]
[[Category:入学試験|*しゆけんかいと]] | null | 2007-04-28T17:06:57Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E5%B0%82%E5%8F%97%E9%A8%93%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89 |
4,265 | 地震学 地震波の伝播 | 地震学 > 地震波の伝播
地震が発生すると、地球の内部を地震波が伝播する。 ここでは、地球を弾性体と見なし、弾性波動論の立場から地震波を説明する。 以下では、特に断らない限り、空間の次元は三次元とし、直交座標系はデカルト座標系の左手系とする。
無限に広がる弾性体を考え、その中の1点 x → = ( x , y , z ) {\displaystyle {\vec {x}}=(x,y,z)} での変位の x {\displaystyle x} , y {\displaystyle y} , z {\displaystyle z} 成分をそれぞれ u ( x , y , z ) {\displaystyle u(x,y,z)} , v ( x , y , z ) {\displaystyle v(x,y,z)} , w ( x , y , z ) {\displaystyle w(x,y,z)} で表す。 x → {\displaystyle {\vec {x}}} から x {\displaystyle x} 方向に微小な距離だけ離れた点 x ′ → = ( x + δ x , y + δ y , z + δ z ) {\displaystyle {\vec {x'}}=(x+\delta x,y+\delta y,z+\delta z)} での変位 u {\displaystyle u} を u ( x + δ x , y + δ y , z + δ z ) {\displaystyle u(x+\delta x,y+\delta y,z+\delta z)} とする。 このとき、 u ( x + δ x , y + δ y , z + δ z ) {\displaystyle u(x+\delta x,y+\delta y,z+\delta z)} を x → {\displaystyle {\vec {x}}} の周りでテーラー展開し、1次の微小量までを残すと
で近似できる。 したがって、 x → {\displaystyle {\vec {x}}} と x ′ → {\displaystyle {\vec {x'}}} の間の相対的な変位は
と表せる。 同様に
が得られる。
応力とひずみの関係はフックの法則と呼ばれ、次の関係式で表される。
c i j k l {\displaystyle c_{ijkl}} は弾性定数と呼ばれ、弾性体の性質を表す定数である。 弾性定数は4階のテンソルであり、81個の成分を持つ。
この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。
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| 地震学 > 地震波の伝播 | <small> [[地震学]] > 地震波の伝播</small>
----
== 地震波の伝播 ==
地震が発生すると、地球の内部を地震波が伝播する。
ここでは、地球を弾性体と見なし、弾性波動論の立場から地震波を説明する。
以下では、特に断らない限り、空間の次元は三次元とし、直交座標系はデカルト座標系の左手系とする。
=== 運動方程式 ===
==== 応力とひずみ ====
無限に広がる弾性体を考え、その中の1点<math>\vec{x}=(x, y, z)</math>での変位の<math>x</math>, <math>y</math>, <math>z</math>成分をそれぞれ<math>u(x, y, z)</math>, <math>v(x, y, z)</math>, <math>w(x, y, z)</math>で表す。
<math>\vec{x}</math>から<math>x</math>方向に微小な距離だけ離れた点<math>\vec{x'}=(x+\delta x, y+\delta y, z+\delta z)</math>での変位<math>u</math>を<math>u(x+\delta x, y+\delta y, z+\delta z)</math>とする。
このとき、<math>u(x+\delta x, y+\delta y, z+\delta z)</math>を<math>\vec{x}</math>の周りでテーラー展開し、1次の微小量までを残すと
:<math>
u(x+\delta x, y+\delta y, z+\delta z)=u(x, y, z)+\frac{\partial u}{\partial x}\delta x+\frac{\partial u}{\partial y}\delta y+\frac{\partial u}{\partial z}\delta z
</math>
で近似できる。
したがって、<math>\vec{x}</math>と<math>\vec{x'}</math>の間の相対的な変位は
:<math>
u(x+\delta x, y+\delta y, z+\delta z)-u(x, y, z)=\frac{\partial u}{\partial x}\delta x+\frac{\partial u}{\partial y}\delta y+\frac{\partial u}{\partial z}\delta z
</math>
と表せる。
同様に
:<math>
v(x+\delta x, y+\delta y, z+\delta z)-v(x, y, z)=\frac{\partial v}{\partial x}\delta x+\frac{\partial v}{\partial y}\delta y+\frac{\partial v}{\partial z}\delta z
</math>
:<math>
w(x+\delta x, y+\delta y, z+\delta z)-w(x, y, z)=\frac{\partial w}{\partial x}\delta x+\frac{\partial w}{\partial y}\delta y+\frac{\partial w}{\partial z}\delta z
</math>
が得られる。
=== フックの法則 ===
応力とひずみの関係は'''フックの法則'''と呼ばれ、次の関係式で表される。
:<math>
\sigma_{ij}=c_{ijkl}\varepsilon_{ij}
</math>
<math>c_{ijkl}</math>は弾性定数と呼ばれ、弾性体の性質を表す定数である。
弾性定数は4階のテンソルであり、81個の成分を持つ。
=== 運動方程式 ===
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=== 波動方程式 ===
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{{Wikipedia|地震波}}
{{DEFAULTSORT:ししんはのてんは}}
[[Category:地震学]]
<!-- [[en:]] --> | null | 2011-09-02T03:50:31Z | [
"テンプレート:節stub",
"テンプレート:Wikipedia"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%9C%B0%E9%9C%87%E5%AD%A6_%E5%9C%B0%E9%9C%87%E6%B3%A2%E3%81%AE%E4%BC%9D%E6%92%AD |
4,270 | コンメンタール商法 | 法学>民事法>商法>コンメンタール商法 | [
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]
| 法学>民事法>商法>コンメンタール商法 | {{Wikipedia|商法}}
[[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[コンメンタール商法]]
==条文==
*[[第1編 総則 (コンメンタール商法)|第1編]] [[w:商法総則|総則]]
**[[第1編 総則 (コンメンタール商法)#1|第1章]] 通則(第1条~第3条)
**[[第1編 総則 (コンメンタール商法)#2|第2章]] [[w:商人|商人]](第4条~第7条)
**[[第1編 総則 (コンメンタール商法)#3|第3章]] [[w:商業登記|商業登記]](第8条~第10条)
**[[第1編 総則 (コンメンタール商法)#4|第4章]] [[w:商号|商号]](第11条~第18条の2)
**[[第1編 総則 (コンメンタール商法)#5|第5章]] 商業帳簿(第19条)
**[[第1編 総則 (コンメンタール商法)#6|第6章]] [[w:商業使用人|商業使用人]](第20条~第26条)
**[[第1編 総則 (コンメンタール商法)#7|第7章]] [[w:代理商|代理商]](第27条~第31条)
**[[第1編 総則 (コンメンタール商法)#8|第8章]] 雑則(第32条)
**第33条~第500条 削除
*[[第2編 商行為 (コンメンタール商法)|第2編]] [[w:商行為|商行為]]
**[[第2編 商行為 (コンメンタール商法)#1|第1章]] 総則(第501条~第523条)
**[[第2編 商行為 (コンメンタール商法)#2|第2章]] [[w:売買|売買]](第524条~第528条)
**[[第2編 商行為 (コンメンタール商法)#3|第3章]] [[w:交互計算|交互計算]](第529条~第534条)
**[[第2編 商行為 (コンメンタール商法)#4|第4章]] [[w:匿名組合|匿名組合]](第535条~第542条)
**[[第2編 商行為 (コンメンタール商法)#5|第5章]] [[w:仲立営業|仲立営業]](第543条~第550条)
**[[第2編 商行為 (コンメンタール商法)#6|第6章]] [[w:問屋営業|問屋営業]](第551条~第558条)
**[[第2編 商行為 (コンメンタール商法)#7|第7章]] [[w:運送取扱営業|運送取扱営業]](第559条~第568条)
**[[第2編 商行為 (コンメンタール商法)#8|第8章]] [[w:運送営業|運送営業]] (第569条~第592条)
***第1節 総則(第569条)
***第2節 物品運送(第570条~第589条)
***第3節 旅客運送(第590条~第592条ノ2)
**[[第2編 商行為 (コンメンタール商法)#9|第9章]] [[w:寄託|寄託]]
***第1節 総則(第593条~第596条)
***第2節 倉庫営業(第597条~第628条)
***第629条~第683条 削除
*[[第3編 海商 (コンメンタール商法)|第3編]] [[w:海商|海商]]
**第1章 船舶及ビ船舶所有者(第684条~第704条)
**第2章 船長(第705条~第736条)
**第3章 運送
***第1節 物品運送
****第1款 総則(第737条~第766条)
****第2款 船荷証券(第767条~第776条)
***第2節 旅客運送(第777条~第787条)
**第4章 海損(第788条~第799条)
**第5章 海難救助(第800条~第804条)
**第6章 保険(第815条~第841条ノ2)
**第7章 船舶債権者(第842条~第851条)
==外部リンク==
*[http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%8f%a4%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=M32HO048&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1 商法](法令データ提供システム)
[[Category:商法|*こんめんたある]]
[[Category:コンメンタール|しようほう]] | null | 2019-01-22T16:31:36Z | [
"テンプレート:Wikipedia"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%95%86%E6%B3%95 |
4,276 | Java/基礎/条件分岐 | 「条件分岐」は、プログラミングにおいて重要な概念の一つです。条件分岐を使うことで、プログラムは特定の条件に応じて異なる処理を実行することができます。
この章では、Javaでの条件分岐の基本的な使い方から、より高度な使い方までを解説します。if-else文、switch文、switch式、論理演算子、三項演算子など、様々な種類の条件分岐について学ぶことができます。また、例外処理における条件分岐の使い方についても解説します。
各セクションでは、実際のコード例を使って、どのように条件分岐を使えばよいかを説明します。また、練習問題も用意していますので、理解を深めるために挑戦してみてください。
条件分岐は、プログラムの制御構造を理解する上で重要な概念です。本章を通して、条件分岐の基本的な使い方から応用までを学び、プログラムの制御構造を理解してください。
Javaのif-else文は、プログラムの流れを条件分岐させるための文です。条件に応じて実行される文を切り替えることができます。
if文は、指定された条件が真である場合に実行される文を指定します。if文が偽である場合に実行される文を指定するために、else節を組み合わせて使うことができます。
if-else文の基本構文は以下の通りです。
条件式は、真偽値を返す式です。もし条件式が真であれば、if文の中の文が実行され、偽であればelse節の中の文が実行されます。
また、else節は省略することができます。省略した場合、条件式が偽である場合には何も実行されません。
複数の条件を判定する場合には、else if節を使うことができます。
複数の条件を判定する場合には、if-else文をネストして使うこともできます。
このコードは、if-else文を使って変数nが負の数、正の数、零、またはNaN(非数)であるかを判定しています。
まず、変数nに0.0を0.0で割った結果を代入しています。0.0を0.0で割るとNaNになるため、この変数はNaNになります。
次に、if-else文を使って、nが負の数、正の数、零、またはNaNであるかを判定しています。
まず、n < 0.0という条件を使って、nが負の数であるかを判定しています。もしnが負の数であれば、System.out.println("負の数です");が実行されます。
次に、n > 0.0という条件を使って、nが正の数であるかを判定しています。もしnが正の数であれば、System.out.println("正の数です。");が実行されます。
次に、n == 0.0という条件を使って、nが零であるかを判定しています。もしnが零であれば、System.out.println("零です。");が実行されます。
最後に、else節を使って、nがNaNであるかを判定しています。NaNはどの数とも等しくならないため、n == 0.0やn < 0.0、n > 0.0のいずれの条件も成立しないため、else節が実行されます。else節では、nの値をそのまま表示するSystem.out.println(n + "です。");が実行されます。
このように、if-else文を使うことで、複数の条件を判定し、条件に応じた処理を行うことができます。
Javaのswitch文は、複数の条件分岐を処理するための構文です。特定の変数の値をチェックし、その値に応じて分岐することができます。
基本的な構文は以下の通りです。
式には、チェックする式を指定します。各caseには、変数が持つ値が一致する場合に実行される処理を記述します。defaultには、上記のいずれの値にも一致しない場合に実行される処理を記述します。
式には、数値以外に文字列も使うことが出来ます。
以下は、Javaのswitch文で文字列型を使用した例です。
この例では、変数fruitに文字列型の「りんご」が代入されています。switch文の条件式であるswitch (fruit)では、文字列型の変数fruitを使用しています。
switch文のcaseラベルには、文字列型の定数をカンマで区切って列挙しています。 また、caseラベルで果物として認識する文字列は、同じ文の中に複数記述することができます。 break文を使用して、該当するcaseラベルにマッチした場合は、それに続く文を実行するようにしています。
また、Javaのswitch文では、Enumを使った網羅性の確保ができます。Enumは、プログラムで扱う定数を列挙するためのクラスです。
以下は、Enumを使ったswitch文の例です。
この例では、AnimalというEnumを定義し、それを使って動物の鳴き声を出力するプログラムを書いています。switch文のcaseには、Enumの要素を列挙しています。
switch文は、if文と比べて複数の条件分岐をスッキリと書くことができるため、コードの可読性が向上するという利点があります。
Java 12から、Javaにはswitch式という新しい構文が導入されました。switch式は、通常のswitch文と同様に、複数の値の比較に基づいて異なるコードブロックを実行するために使用されますが、式の値を返すこともできます。
switch式は、通常のswitch文と同じように、いくつかのcaseブロックを持ちます。ただし、switch式では、個々のcaseラベルに式を直接使用できます。また、値を返すことができるため、式の値を変数に代入することもできます。
Javaのswitch式の構文は以下の通りです。
なお、switch式はJava 12から導入された新しい機能であり、以前のバージョンのJavaでは使用できません。
以下は、switch式の例です。
この例では、変数fruitに文字列型の「りんご」が代入されています。switch式では、変数fruitを評価しています。caseラベルには、直接式を使用しています。caseラベルで果物として認識する文字列は、同じ文の中にカンマで区切って複数記述することができます。->演算子を使用して、各caseラベルの式を実行します。
switch式の最後には、値を返すことができます。この例では、式の結果を変数resultに代入しています。最後に、変数resultの値を出力しています。
Javaにおいて、条件式は比較演算子や論理演算子を用いて、複数の条件を組み合わせた式を表現することができます。論理演算子は、2つのブーリアン値(trueまたはfalse)を受け取り、新しいブーリアン値を返します。
Javaには、5つの論理演算子があります。
Javaの三項演算子は、条件式 ? 式1 : 式2 の形式を持ちます。この演算子は、条件式が true の場合は式1を、falseの場合は式2を評価して返します。例えば、以下のようなコードが考えられます。
このコードでは、aとbの値を比較して、aがbよりも大きければaを、そうでなければbを最大値として選択します。 三項演算子を使って、if文を使う代わりに簡潔に書くことができます。 ただし、三項演算子は条件式と2つの式のみを評価するので、複雑な条件分岐を行う場合にはif文を使用することが推奨されます。
Java 16で導入されたパターンマッチング式(Pattern Matching for instanceof)は、Java言語の制御構造の一つです。
通常、オブジェクトの型を判定するためには instanceof 演算子を使用します。パターンマッチング式は、この instanceof 演算子をより簡潔かつ安全に使用できるようにしたものです。
例えば、次のようなコードがあります。
このコードは、オブジェクトが String クラスのインスタンスである場合に、そのオブジェクトを String 型にキャストして大文字に変換し、標準出力に出力するという処理を行っています。
パターンマッチング式を使用すると、このコードを次のように書き換えることができます。
このコードでは、オブジェクトが String クラスのインスタンスである場合に、そのオブジェクトを String 型にキャストせずに、変数 str に直接代入しています。また、変数 str は if 文の中でのみ有効なローカル変数となります。
このように、パターンマッチング式を使用することで、より簡潔で安全なコードを書くことができます。
switchのパターンマッチング拡張とは、Javaプログラミング言語において、switch文やswitch式においてパターンを使用して条件を指定できるようにする機能です。通常のswitch文やswitch式では、一致する値の厳密な等式比較しか行えませんでしたが、パターンマッチング拡張により、より柔軟な条件指定が可能になります。
具体的には、switch文やswitch式のケースラベルで、従来の定数だけでなく、パターンも指定できるようになります。これにより、オブジェクトの型や構造に基づいて条件を指定することができます。例えば、オブジェクトが特定の型であるか、あるいは特定のフィールドの値を持つかどうかなどの条件を指定することができます。
これにより、従来は複雑だった複数の条件分岐を一つのswitch文やswitch式で表現することができるようになり、コードの可読性が向上します。また、パターンマッチングにより、より安全な条件指定が可能になります。
以下は、Java 21で導入されたswitch文のパターンマッチング拡張を使用したコード例です。
この例では、formatterPatternSwitchメソッド内で、switch文を使用してobjの型に基づいて処理を分岐しています。各ケースラベルでは、オブジェクトが特定の型にマッチするかどうかをパターンで指定しています。例えば、case Integer iでは、objがInteger型にマッチする場合、iというパターン変数が導入され、その値がint %dのフォーマット文字列に埋め込まれます。他の型についても同様の処理が行われます。
このように、switch文のパターンマッチング拡張を使用することで、よりシンプルで効率的なコードを記述することができます。
以下は、Java 21で導入されたswitch文のパターンマッチング拡張で使用できるパターンの一覧を表形式で示したものです。
これらのパターンを使用して、switch文やswitch式のケースラベルで条件分岐を行うことができます。それぞれのパターンは、特定の条件にマッチするかどうかをチェックするために使用されます。 | [
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"text": "「条件分岐」は、プログラミングにおいて重要な概念の一つです。条件分岐を使うことで、プログラムは特定の条件に応じて異なる処理を実行することができます。",
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"text": "この章では、Javaでの条件分岐の基本的な使い方から、より高度な使い方までを解説します。if-else文、switch文、switch式、論理演算子、三項演算子など、様々な種類の条件分岐について学ぶことができます。また、例外処理における条件分岐の使い方についても解説します。",
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"text": "各セクションでは、実際のコード例を使って、どのように条件分岐を使えばよいかを説明します。また、練習問題も用意していますので、理解を深めるために挑戦してみてください。",
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"text": "条件分岐は、プログラムの制御構造を理解する上で重要な概念です。本章を通して、条件分岐の基本的な使い方から応用までを学び、プログラムの制御構造を理解してください。",
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"text": "if文は、指定された条件が真である場合に実行される文を指定します。if文が偽である場合に実行される文を指定するために、else節を組み合わせて使うことができます。",
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"text": "if-else文の基本構文は以下の通りです。",
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"text": "Javaのswitch文は、複数の条件分岐を処理するための構文です。特定の変数の値をチェックし、その値に応じて分岐することができます。",
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"title": "if-else文"
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"text": "式には、数値以外に文字列も使うことが出来ます。",
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"text": "この例では、変数fruitに文字列型の「りんご」が代入されています。switch文の条件式であるswitch (fruit)では、文字列型の変数fruitを使用しています。",
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"text": "なお、switch式はJava 12から導入された新しい機能であり、以前のバージョンのJavaでは使用できません。",
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"text": "以下は、switch式の例です。",
"title": "if-else文"
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{
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"tag": "p",
"text": "この例では、変数fruitに文字列型の「りんご」が代入されています。switch式では、変数fruitを評価しています。caseラベルには、直接式を使用しています。caseラベルで果物として認識する文字列は、同じ文の中にカンマで区切って複数記述することができます。->演算子を使用して、各caseラベルの式を実行します。",
"title": "if-else文"
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"text": "switch式の最後には、値を返すことができます。この例では、式の結果を変数resultに代入しています。最後に、変数resultの値を出力しています。",
"title": "if-else文"
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"text": "Javaにおいて、条件式は比較演算子や論理演算子を用いて、複数の条件を組み合わせた式を表現することができます。論理演算子は、2つのブーリアン値(trueまたはfalse)を受け取り、新しいブーリアン値を返します。",
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"text": "このコードでは、aとbの値を比較して、aがbよりも大きければaを、そうでなければbを最大値として選択します。 三項演算子を使って、if文を使う代わりに簡潔に書くことができます。 ただし、三項演算子は条件式と2つの式のみを評価するので、複雑な条件分岐を行う場合にはif文を使用することが推奨されます。",
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"text": "通常、オブジェクトの型を判定するためには instanceof 演算子を使用します。パターンマッチング式は、この instanceof 演算子をより簡潔かつ安全に使用できるようにしたものです。",
"title": "if-else文"
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"text": "例えば、次のようなコードがあります。",
"title": "if-else文"
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"text": "このコードは、オブジェクトが String クラスのインスタンスである場合に、そのオブジェクトを String 型にキャストして大文字に変換し、標準出力に出力するという処理を行っています。",
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"text": "パターンマッチング式を使用すると、このコードを次のように書き換えることができます。",
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"text": "このコードでは、オブジェクトが String クラスのインスタンスである場合に、そのオブジェクトを String 型にキャストせずに、変数 str に直接代入しています。また、変数 str は if 文の中でのみ有効なローカル変数となります。",
"title": "if-else文"
},
{
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"text": "このように、パターンマッチング式を使用することで、より簡潔で安全なコードを書くことができます。",
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"text": "switchのパターンマッチング拡張とは、Javaプログラミング言語において、switch文やswitch式においてパターンを使用して条件を指定できるようにする機能です。通常のswitch文やswitch式では、一致する値の厳密な等式比較しか行えませんでしたが、パターンマッチング拡張により、より柔軟な条件指定が可能になります。",
"title": "if-else文"
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{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "具体的には、switch文やswitch式のケースラベルで、従来の定数だけでなく、パターンも指定できるようになります。これにより、オブジェクトの型や構造に基づいて条件を指定することができます。例えば、オブジェクトが特定の型であるか、あるいは特定のフィールドの値を持つかどうかなどの条件を指定することができます。",
"title": "if-else文"
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"text": "これにより、従来は複雑だった複数の条件分岐を一つのswitch文やswitch式で表現することができるようになり、コードの可読性が向上します。また、パターンマッチングにより、より安全な条件指定が可能になります。",
"title": "if-else文"
},
{
"paragraph_id": 51,
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"text": "以下は、Java 21で導入されたswitch文のパターンマッチング拡張を使用したコード例です。",
"title": "if-else文"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "この例では、formatterPatternSwitchメソッド内で、switch文を使用してobjの型に基づいて処理を分岐しています。各ケースラベルでは、オブジェクトが特定の型にマッチするかどうかをパターンで指定しています。例えば、case Integer iでは、objがInteger型にマッチする場合、iというパターン変数が導入され、その値がint %dのフォーマット文字列に埋め込まれます。他の型についても同様の処理が行われます。",
"title": "if-else文"
},
{
"paragraph_id": 53,
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"text": "このように、switch文のパターンマッチング拡張を使用することで、よりシンプルで効率的なコードを記述することができます。",
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"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "以下は、Java 21で導入されたswitch文のパターンマッチング拡張で使用できるパターンの一覧を表形式で示したものです。",
"title": "if-else文"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "これらのパターンを使用して、switch文やswitch式のケースラベルで条件分岐を行うことができます。それぞれのパターンは、特定の条件にマッチするかどうかをチェックするために使用されます。",
"title": "if-else文"
}
]
| null | {{Nav}}
{{Nav}}
= 条件分岐 =
「条件分岐」は、プログラミングにおいて重要な概念の一つです。条件分岐を使うことで、プログラムは特定の条件に応じて異なる処理を実行することができます。
この章では、Javaでの条件分岐の基本的な使い方から、より高度な使い方までを解説します。if-else文、switch文、switch式、論理演算子、三項演算子など、様々な種類の条件分岐について学ぶことができます。また、例外処理における条件分岐の使い方についても解説します。
各セクションでは、実際のコード例を使って、どのように条件分岐を使えばよいかを説明します。また、練習問題も用意していますので、理解を深めるために挑戦してみてください。
条件分岐は、プログラムの制御構造を理解する上で重要な概念です。本章を通して、条件分岐の基本的な使い方から応用までを学び、プログラムの制御構造を理解してください。
== if-else文 ==
Javaのif-else文は、プログラムの流れを条件分岐させるための文です。条件に応じて実行される文を切り替えることができます。
if文は、指定された条件が真である場合に実行される文を指定します。if文が偽である場合に実行される文を指定するために、else節を組み合わせて使うことができます。
if-else文の基本構文は以下の通りです。
:<syntaxhighlight lang=java>
if (条件式) {
// 条件式が true の場合に実行される文
} else {
// 条件式が false の場合に実行される文
}
</syntaxhighlight>
条件式は、真偽値を返す式です。もし条件式が真であれば、if文の中の文が実行され、偽であればelse節の中の文が実行されます。
また、else節は省略することができます。省略した場合、条件式が偽である場合には何も実行されません。
:<syntaxhighlight lang=java>
if (条件式) {
// 条件式が true の場合に実行される文
}
</syntaxhighlight>
複数の条件を判定する場合には、else if節を使うことができます。
:<syntaxhighlight lang=java>
if (条件式1) {
// 条件式1が true の場合に実行される文
} else if (条件式2) {
// 条件式1が false かつ、条件式2が true の場合に実行される文
} else {
// 条件式1も条件式2も false の場合に実行される文
}
</syntaxhighlight>
複数の条件を判定する場合には、if-else文をネストして使うこともできます。
:<syntaxhighlight lang=java>
public class IfElseExample {
public static void main(String[] args) {
var n = 0.0 / 0.0;
if (n < 0.0) {
System.out.println("負の数です");
} else if (n > 0.0) {
System.out.println("正の数です。");
} else if (n == 0.0) {
System.out.println("零です。");
} else {
System.out.println(n + "です。");
}
}
}
</syntaxhighlight>
このコードは、if-else文を使って変数<code>n</code>が負の数、正の数、零、またはNaN(非数)であるかを判定しています。
まず、変数<code>n</code>に0.0を0.0で割った結果を代入しています。0.0を0.0で割るとNaNになるため、この変数はNaNになります。
次に、if-else文を使って、<code>n</code>が負の数、正の数、零、またはNaNであるかを判定しています。
まず、<code>n < 0.0</code>という条件を使って、<code>n</code>が負の数であるかを判定しています。もし<code>n</code>が負の数であれば、<code>System.out.println("負の数です");</code>が実行されます。
次に、<code>n > 0.0</code>という条件を使って、<code>n</code>が正の数であるかを判定しています。もし<code>n</code>が正の数であれば、<code>System.out.println("正の数です。");</code>が実行されます。
次に、<code>n == 0.0</code>という条件を使って、<code>n</code>が零であるかを判定しています。もし<code>n</code>が零であれば、<code>System.out.println("零です。");</code>が実行されます。
最後に、else節を使って、<code>n</code>がNaNであるかを判定しています。NaNはどの数とも等しくならないため、<code>n == 0.0</code>や<code>n < 0.0</code>、<code>n > 0.0</code>のいずれの条件も成立しないため、else節が実行されます。else節では、<code>n</code>の値をそのまま表示する<code>System.out.println(n + "です。");</code>が実行されます。
このように、if-else文を使うことで、複数の条件を判定し、条件に応じた処理を行うことができます。
== switch文 ==
Javaのswitch文は、複数の条件分岐を処理するための構文です。特定の変数の値をチェックし、その値に応じて分岐することができます。
基本的な構文は以下の通りです。
:<syntaxhighlight lang=java>
switch (式) {
case 値1:
// 値1に対する処理
break;
case 値2:
// 値2に対する処理
break;
default:
// 上記のいずれの値にも一致しない場合の処理
break;
}
</syntaxhighlight>
式には、チェックする式を指定します。各caseには、変数が持つ値が一致する場合に実行される処理を記述します。defaultには、上記のいずれの値にも一致しない場合に実行される処理を記述します。
式には、数値以外に文字列も使うことが出来ます。
以下は、Javaのswitch文で文字列型を使用した例です。
:<syntaxhighlight lang=java>
public class SwitchStringExample {
public static void main(String[] args) {
String fruit = "りんご";
switch (fruit) {
case "りんご":
case "バナナ":
case "いちご":
case "メロン":
System.out.println(fruit + "は好きな果物です");
break;
default:
System.out.println(fruit + "は果物ではありません");
break;
}
}
}
</syntaxhighlight>
この例では、変数fruitに文字列型の「りんご」が代入されています。switch文の条件式であるswitch (fruit)では、文字列型の変数fruitを使用しています。
switch文のcaseラベルには、文字列型の定数をカンマで区切って列挙しています。
また、caseラベルで果物として認識する文字列は、同じ文の中に複数記述することができます。
break文を使用して、該当するcaseラベルにマッチした場合は、それに続く文を実行するようにしています。
また、Javaのswitch文では、Enumを使った網羅性の確保ができます。Enumは、プログラムで扱う定数を列挙するためのクラスです。
以下は、Enumを使ったswitch文の例です。
:<syntaxhighlight lang=java>
import java.util.*;
public class SwitchEnumExample {
public enum Animal {
DOG,
CAT,
CANARY
}
public static void main(String[] args) throws Exception {
Animal animal = Animal.CAT;
switch (animal) {
case DOG:
System.out.println("ワンワン");
break;
case CAT:
System.out.println("ニャー");
break;
case CANARY:
System.out.println("ピューイ");
break;
}
}
}
</syntaxhighlight>
この例では、AnimalというEnumを定義し、それを使って動物の鳴き声を出力するプログラムを書いています。switch文のcaseには、Enumの要素を列挙しています。
switch文は、if文と比べて複数の条件分岐をスッキリと書くことができるため、コードの可読性が向上するという利点があります。
== switch式 ==
Java 12から、Javaにはswitch式という新しい構文が導入されました。switch式は、通常のswitch文と同様に、複数の値の比較に基づいて異なるコードブロックを実行するために使用されますが、式の値を返すこともできます。
switch式は、通常のswitch文と同じように、いくつかのcaseブロックを持ちます。ただし、switch式では、個々のcaseラベルに式を直接使用できます。また、値を返すことができるため、式の値を変数に代入することもできます。
Javaのswitch式の構文は以下の通りです。
:<syntaxhighlight lang=java>
result = switch (式) {
case 値1 -> 式1;
case 値2 -> 式2;
case 値3, 値4 -> {
// multiple lines of expressions
式3;
yeild 式4;
}
default -> 式5;
};
</syntaxhighlight>
* <code>switch</code>キーワードに続いて、条件判定に用いる式を指定します。この式の結果に基づいて、次のcase文に分岐します。
* <code>case</code>キーワードに続いて、条件値を指定します。この条件値が、式の結果と等しい場合、その次の行に記述された式を実行します。
* <code>-></code>の後に続く式は、そのcaseで実行する処理を定義します。
* 複数の条件値を一つのcase文で指定することもできます。この場合、条件値はコンマで区切って指定します。
* 複数の式を実行したい場合は、中括弧 <code>{}</code> 内に複数の式を記述します。
** この場合、ブロックの値は <code>yeild 式</code>の形で指定します。
* <code>default</code>キーワードに続いて、どのcaseにも該当しない場合に実行する式を指定します。
* 最後に、switch式の結果を代入する変数を指定します。代入は、<code>=</code>記号の左辺に変数名を、右辺にswitch式を指定します。
なお、<code>switch</code>式はJava 12から導入された新しい機能であり、以前のバージョンのJavaでは使用できません。
以下は、switch式の例です。
:<syntaxhighlight lang=java>
public class SwitchExpressionExample {
public static void main(String[] args) {
String fruit = "りんご";
var result = switch (fruit) {
case "りんご", "バナナ", "いちご" -> 1;
case "メロン", "スイカ" -> 2;
default -> 0;
};
System.out.println(fruit + "の評価結果は " + result);
}
}
</syntaxhighlight>
この例では、変数fruitに文字列型の「りんご」が代入されています。switch式では、変数fruitを評価しています。caseラベルには、直接式を使用しています。caseラベルで果物として認識する文字列は、同じ文の中にカンマで区切って複数記述することができます。->演算子を使用して、各caseラベルの式を実行します。
switch式の最後には、値を返すことができます。この例では、式の結果を変数resultに代入しています。最後に、変数resultの値を出力しています。
{{コラム|switch式はフォールスルーしません|2=<code>switch</code>文において、あえて<code>break</code>文を省略して、次のcaseの処理を実行することを「フォールスルー(fall-through)」と呼びます。
<code>switch</code>文でフォールスルーを行う場合は、明示的にコメントでその旨を記述することが推奨されます。
一方、<code>switch</code>式においては、フォールスルーの概念は存在せず、不用意な処理の続行を避けることができます。
}}
== 論理演算子 ==
Javaにおいて、条件式は比較演算子や論理演算子を用いて、複数の条件を組み合わせた式を表現することができます。論理演算子は、2つのブーリアン値(trueまたはfalse)を受け取り、新しいブーリアン値を返します。
Javaには、5つの論理演算子があります。
*論理積(&&): 2つの式が両方ともtrueの場合にtrueを返します。例えば、式A && 式Bは、式Aがfalseの場合には評価を中止して、式Bを評価しません。
*論理和(||): 2つの式のどちらかがtrueの場合にtrueを返します。例えば、式A || 式Bは、式Aがtrueの場合には評価を中止して、式Bを評価しません。
*論理否定(!): 式がtrueの場合はfalseを、falseの場合はtrueを返します。例えば、!式Aは、式Aがfalseの場合にはtrueを返し、式Aがtrueの場合にはfalseを返します。
*排他的論理和(!=): 2つの式が不一致の場合にtrueを返します。短絡評価は行われません。
*排他的論理和(==): 2つの式が一致した場合にtrueを返します。短絡評価は行われません。
以下は、論理演算子(AND、OR、NOT)の真理値表を表形式で示したものです。
:{| class=wikitable
|+ 論理演算子の真理値表
!A!!B!! <nowiki>!</nowiki>A!!A <nowiki>&&</nowiki> B!!A <nowiki>||</nowiki> B
|-
! style="background-color: #ddf" | false
! style="background-color: #ddf" | false
! style="background-color: #fdd" | true
! style="background-color: #ddf" | false
! style="background-color: #ddf" | false
|-
! style="background-color: #ddf" | false
! style="background-color: #fdd" | true
! style="background-color: #fdd" | true
! style="background-color: #ddf" | false
! style="background-color: #fdd" | true
|-
! style="background-color: #fdd" | true
! style="background-color: #ddf" | false
! style="background-color: #ddf" | false
! style="background-color: #ddf" | false
! style="background-color: #fdd" | true
|-
! style="background-color: #fdd" | true
! style="background-color: #fdd" | true
! style="background-color: #ddf" | false
! style="background-color: #fdd" | true
! style="background-color: #fdd" | true
|}
この表では、AとBがそれぞれ真(true)または偽(false)の場合に対する、NOT、AND、ORの結果が示されています。
== 三項演算子 ==
Javaの三項演算子は、条件式 ? 式1 : 式2 の形式を持ちます。この演算子は、条件式が true の場合は式1を、falseの場合は式2を評価して返します。例えば、以下のようなコードが考えられます。
:<syntaxhighlight lang=java>
var a = 5;
var b = 10;
var max = a > b ? a : b;
System.out.println("最大値は" + max);
</syntaxhighlight>
このコードでは、aとbの値を比較して、aがbよりも大きければaを、そうでなければbを最大値として選択します。
三項演算子を使って、if文を使う代わりに簡潔に書くことができます。
ただし、三項演算子は条件式と2つの式のみを評価するので、複雑な条件分岐を行う場合にはif文を使用することが推奨されます。
== パターンマッチング式 ==
Java 16で導入されたパターンマッチング式(Pattern Matching for instanceof)は、Java言語の制御構造の一つです。
通常、オブジェクトの型を判定するためには <code>instanceof</code> 演算子を使用します。パターンマッチング式は、この <code>instanceof</code> 演算子をより簡潔かつ安全に使用できるようにしたものです。
例えば、次のようなコードがあります。
:<syntaxhighlight lang=java>
if (obj instanceof String) {
String str = (String) obj;
System.out.println(str.toUpperCase());
}
</syntaxhighlight>
このコードは、オブジェクトが <code>String</code> クラスのインスタンスである場合に、そのオブジェクトを <code>String</code> 型にキャストして大文字に変換し、標準出力に出力するという処理を行っています。
パターンマッチング式を使用すると、このコードを次のように書き換えることができます。
:<syntaxhighlight lang=java>
if (obj instanceof String str) {
System.out.println(str.toUpperCase());
}
</syntaxhighlight>
このコードでは、オブジェクトが <code>String</code> クラスのインスタンスである場合に、そのオブジェクトを <code>String</code> 型にキャストせずに、変数 <code>str</code> に直接代入しています。また、変数 <code>str</code> は if 文の中でのみ有効なローカル変数となります。
このように、パターンマッチング式を使用することで、より簡潔で安全なコードを書くことができます。
== switchのパターンマッチング拡張 ==
switchのパターンマッチング拡張とは、Javaプログラミング言語において、switch文やswitch式においてパターンを使用して条件を指定できるようにする機能です。通常のswitch文やswitch式では、一致する値の厳密な等式比較しか行えませんでしたが、パターンマッチング拡張により、より柔軟な条件指定が可能になります。
具体的には、switch文やswitch式のケースラベルで、従来の定数だけでなく、パターンも指定できるようになります。これにより、オブジェクトの型や構造に基づいて条件を指定することができます。例えば、オブジェクトが特定の型であるか、あるいは特定のフィールドの値を持つかどうかなどの条件を指定することができます。
これにより、従来は複雑だった複数の条件分岐を一つのswitch文やswitch式で表現することができるようになり、コードの可読性が向上します。また、パターンマッチングにより、より安全な条件指定が可能になります。
以下は、Java 21で導入されたswitch文のパターンマッチング拡張を使用したコード例です。
:<syntaxhighlight lang=java>
public class PatternMatchingExample {
public static void main(String[] args) {
Object obj = "Hello";
String result = formatterPatternSwitch(obj);
System.out.println(result);
}
static String formatterPatternSwitch(Object obj) {
return switch (obj) {
case Integer i -> String.format("int %d", i);
case Long l -> String.format("long %d", l);
case Double d -> String.format("double %f", d);
case String s -> String.format("String %s", s);
default -> "unknown";
};
}
}
</syntaxhighlight>
この例では、<code>formatterPatternSwitch</code>メソッド内で、<code>switch</code>文を使用して<code>obj</code>の型に基づいて処理を分岐しています。各ケースラベルでは、オブジェクトが特定の型にマッチするかどうかをパターンで指定しています。例えば、<code>case Integer i</code>では、<code>obj</code>が<code>Integer</code>型にマッチする場合、<code>i</code>というパターン変数が導入され、その値が<code>int %d</code>のフォーマット文字列に埋め込まれます。他の型についても同様の処理が行われます。
このように、switch文のパターンマッチング拡張を使用することで、よりシンプルで効率的なコードを記述することができます。
----
以下は、Java 21で導入されたswitch文のパターンマッチング拡張で使用できるパターンの一覧を表形式で示したものです。
:{| class=wikitable
|+ switchのパターンマッチング拡張で使用できるパターンの一覧
! パターン
! 説明
|-
!型パターン
|特定の型に一致するかどうかをチェックする。
|-
!nullパターン
|nullに一致するかどうかをチェックする。
|-
!リテラルパターン
|指定されたリテラル値に一致するかどうかをチェックする。
|-
!列挙型定数パターン
|指定された列挙型定数に一致するかどうかをチェックする。
|-
!配列パターン
|指定された配列の要素の数と値に一致するかどうかをチェックする。
|-
!デコンストラクタパターン
|オブジェクトの構造を分解して、特定のフィールドや要素の値に一致するかどうかをチェックする。
|-
!インスタンスパターン
|指定されたインスタンスのプロパティに一致するかどうかをチェックする。
|}
これらのパターンを使用して、switch文やswitch式のケースラベルで条件分岐を行うことができます。それぞれのパターンは、特定の条件にマッチするかどうかをチェックするために使用されます。
{{Nav}}
[[Category:Java|きそ しようけんふんき]] | 2006-10-05T23:35:38Z | 2024-02-04T00:19:20Z | [
"テンプレート:Nav",
"テンプレート:コラム"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/Java/%E5%9F%BA%E7%A4%8E/%E6%9D%A1%E4%BB%B6%E5%88%86%E5%B2%90 |
4,291 | 就職活動ガイド | 就職活動(しゅうしょくかつどう)とは、職業に就くための活動の総称。省略して、「就活」(しゅうかつ)とも呼ばれる。 本稿では、日本の民間企業における就職活動のガイドを行う。
通常、学生・失業者など職に就いていない者が、企業や官公庁などに雇用されるための活動などを指す。 特に新卒の学生同士の会話や、彼らをターゲットにしたビジネスにおいて用いられることが多い。 転職のための活動や、自営業を始めるための活動は就活とは言わないことが多い。
一般的に大切だと言われることは、自己理解に基づいて、しっかり「自分のやりたいこと」や「その業界に就職したい目的」を明らかにした上でやりたい仕事、自分に適う仕事をキチンと捜し出すことだとされる。 自身の思考が漠然とし、やりたい仕事や自分に適う仕事がわからないまま就職活動に突入すると、あまり良い結果につながりにくいとされる。
大学生の就職活動は規模が大きく、学生の就職活動の代表例として大学生の就職活動がメディアなどで扱われる事が多い。 高専生、短大生、大学院生、専門学校生、各種学校生の就職活動も、大学生の就職活動とほぼ同様である。
就職協定の廃止で、一人の学生が好きなだけ企業を受けることが可能になり、メガバンクや大手メーカー、総合商社、航空会社など大手企業への採用希望者は採用枠の数百倍に及び、就職活動は大変な競争になっている。
どこの企業でも、ほぼ必ず面接は行われる。大企業、中小企業、公務員を問わず、面接は就職活動で行われるのが一般である。 大企業の採用選別方法の多くでは、一次試験で「SPI」試験などとして中学・高校レベル(主に中学レベル)の基礎的な学力検査を課し、二次試験以降で面接を行うのが一般的である。
先程も述べたように、大企業では学力検査として、中学レベル・高校レベルの数学などの学力検査を一次試験で「SPI」試験などとして課す場合がある。注意すべきことは、大学レベルの専門的な問題はこれらのSPIなどの学力検査には、一般に出題されないことである。 たとえ就職先志望が専門知識を要する業界でも、SPIには専門知識は出題されない。文科系の事務職志望だけでなく、理科系の技術職志望ですら就職試験では専門知識は一般に出題されないのが一般である。 例えば工業系などの技術職を志望しても、就職活動の学力検査では、大学レベルの数学や物理などの問題なんて、まず出ない。大学入試レベルの数学や理科の問題ですら、就職活動時の筆記試験ではまず出ない。
外部サイトの中には、あたかもSPIで大学受験~大学講義レベルの学力が測定できるかのように説明しているサイトもあるが( ※たとえばyahooの質問サイト) 、デタラメなので決して真に受けてはいけない。
SPIのような就活産業の作った試験問題には、こういった問題点があり、つまり出題内容が会社の必要とする専門知識とはズレているという問題点があるので、中小企業などでは就活産業の作った試験を行わない場合がある。また、中小企業で独自の試験問題を作って、専門分野に近い職業高校レベルの知識などを検査する場合もある。
企業によっては、学力検査で英語の試験を行う場合がある。主に大企業に、英語読解問題のマークシート式の筆記試験をする企業が、いくつかある。英語の試験の難度は、大企業の行う英語試験の場合なら大学入試レベルを越えたレベルの場合が多く、大企業では、日本で最難関の大学とされる東京大学や京都大学などの学部の入試の過去問よりも難しい英文の出る場合も多く(TOEICハイスコアやTOEFLハイスコアなどのような大学受験参考書の範囲を大幅に越えた単語が、企業の英語試験に出ることも多いので)、なので試験対策としてTOEICやTOEFLのハイスコア対策の教材などを普段から練習していないと解けないような英文問題が出題される事も多い。
とはいえ企業は、必ずしもこの英語試験を英語が得意な学生だけを採用する手段として試験しているとは限らず、就職志望者の出身大学の偏差値がその企業に採用基準に満たないものを落とすための口実として、英語試験を行っている場合もある。
たとえば、偏差値の高い大学の学生が、ほとんど英語試験の問題を解けなくても、試験を突破扱いになる事もあるというハナシも聞く。学生の学部によっては、理系の学部のように英語の勉強にあまり時間を割けない場合もあるので、そのような場合は、英語試験ではなく肩書きで試験を突破をするようにしよう。
早い話が就活での学力検査の対策では、専門分野の勉強をするよりも、いっそのこと英語の試験勉強をしたほうが良く、さらに英語の勉強をするよりも大学院に進学するなどして学歴を上げるほうが、はるかに大企業の学力選考を通りやすくなり、就職しやすくなるのが日本の企業の現状である。
どこの企業でも、ほぼ必ず面接は行われる。大企業、中小企業、公務員を問わず、面接は就職活動で行われるのが一般である。大企業の面接は複数回行われ、最終面接では役員が出席することも多い。 大企業の面接の回数は、合計でおおむね5回ほど行われることになる場合が多い。
中小企業などでも、そこそこ規模の大きい企業では2回以上の面接があり、2次面接または2次以降から役員が出席する場合がある。社長や役員は仕事が忙しいので、そんなに多くの学生と面接は出来ないのである。 零細企業や小企業や無名な企業では、最初から役員や経営者などが面接に出席している場合もある。大企業の採用活動では面接に加え、面接以外の選考方法も多く行われる。
以下によくある質問例を挙げてみたので、参考にしてほしい。
理系学生で技術職を志望の場合、大企業の複数回ある面接では、そのうち1回「卒業研究テーマについて説明してください」というのもある場合が多い。なので、卒業研究のテーマについて説明できるようにしておこう。ここで重要な事は、研究テーマ以外の学業の知識についてはまったく聞かれないことである。
このような事から分かるように、この質問の目的は、けっして学力検査が目的ではない。おそらく、専門分野についてのプレゼンテーション能力などの検査が目的であろう。大企業の面接ですら学生のその学科ならば、どこの大学でも習うような全国共通の知識ですら面接官が聞いてこない。
また、学生が編入学や転学科などで学科を変わったような場合や、出身高校が普通科高校ではなく工業高校のような場合で、高校時代の学科が大学での学科と違うような場合ですら、工業高校やら前の学科での学力を確認するような質問はしてこないのが通常である。
説明中、面接官から研究内容について質問をされるが、しかし技術的にあまり深い内容の質問はされず、せいぜい、その分野の科学雑誌などに出てくるような常識的な用語などを確認してくる程度である。なので、自分の研究分野をあつかった入門書などを読んで、そのような質問に対して答えを説明できるようにしよう。 そもそも分野によっては、まだ技術が成熟しておらず、しかもあまり細かい技術知識を質問しても、価値が低い場合もある。 定型的に用語さえ説明できてしまえば、この面接はほぼ突破できてしまう。逆に、学生側が数式の計算練習など、言葉では説明しづらいような事をいくら練習して準備してきても、数式は「用語」ではないので、まったく評価されないのが、日本の大手製造業などの技術職志望の面接である。
日本企業の多くにとって、英語や数学の勉強は、「趣味」とはみなされない事が多いようである。例えば質問で、面接官からの質問で「学業以外で打ち込んだことは、なんですか?」という質問に対して、「数学」と答えると、「答えになってません」とか「そういう事を質問してるのではありません」などと返答される場合もある。 たとえ自分の学科が数学科以外で、学校の授業以外に数学書を読んでいて、たくさん数学の問題集などを解いていても、このように、面接官から批判をされる事も多い。
どうやら、大学入試・大学院入試には出てこない科目を、勉強してもらいたいようです。いわゆる「5教科」以外についての趣味を聞いているようです。なので、趣味は「スポーツ」とか「音楽の楽器演奏」とか、その中から、自分の実際の趣味を言うしかありません。 どうやら、日本企業の面接官の脳内には、体育学部や美術学部・音楽学部などのような、スポーツや芸術を学業としている学校の存在はないようです。
大学の学部学科によっては、理系の大学などのように、時間的な都合により、大学時代にスポーツや美術音楽の表現活動などをするのが難しい場合もあるので、そういう場合は、「高校時代の趣味は ◯◯(音楽演奏、美術表現、スポーツなど) でしたが、しかし大学時代では時間がなくて、この趣味をできませんでした。」などと言うようにしましょう。
また、聞かれた「自分の趣味」として「パソコン」などと言うと、プログラミング能力の有無などを聞いてくる場合があります。あるwikibooks編集者は、就活時の面接官からの趣味についての質問で「LINUXについて趣味で勉強しています」と答えたら、「サーバーを構築できますか?」などと質問されました。
近年は、従来の選考方法に加え、適性診断やグループディスカッション、グループワークなどなど独自の方式で学生の可否を見極めようとする企業も増えている。
比較的多くの学生が、3年次の秋や初冬には就職セミナーを受けるなどして、就職活動の準備に入る。 11月になると経団連に属さない企業が面接などの採用試験を開始する。 2、3月には経団連の紳士協定に沿う多くの大手企業も会社説明会を開始し、6月1日から一斉に採用試験が開始される。 ゴールデンウィーク前後には、最初の内定者がほぼ出揃う。
5月以降は地方、中小企業や、大手企業の二次募集が行われる。 9月には留学生向けや公務員試験不合格組や内定辞退者の補充を目的とした採用が行われ、10月1日に多くの企業で内定式が行われ、学生の就職活動はほぼ終わる。
なお2008年のリーマンショックを境に景気が悪化し、就職状況が悪化し、企業の求人数は大幅に下がった。 2011年3月卒業予定の大卒求人倍率は、リクルートワークス研究所の調査によると、求人倍率は09年卒の2.14倍、10年卒の1.62倍から2年連続して減少し、1.28倍へと低下、全国の民間企業の求人総数は、前年の72.5万人から58.5万人ーの19.8%のマイナスとなった。
なお、学生の民間企業就職希望者数は、前年の44.7万人から45.6万人への1.9%のプラスとなった。
1990年代半ば以降は、通年採用を行う企業が増え、その結果として就職活動は長期化する傾向にある。 近年は就職活動開始時期は早期化の傾向にある。
事務職・営業などの就職を志望する大学生では、遅くとも3年生の秋ごろから就職活動をスタートし、最低でも半年から1年程度行うのが通常である。 この間、大学の講義や卒業研究を抜けて活動を行わなければならない。 このようなことから、「企業側は採用活動の時期を考えるべきである」とする意見もあがっている。近年では、理工系の技術職でも学生の就職活動の期間も早期化・長期化の傾向が見られる。
この傾向に対して、旧帝国大学と東京工業大学の工学系研究科長が組織する8大学工学部長会議は経団連に対して、「企業の行き過ぎた採用活動や就職前研修が是正され、大学院における教育研究が正常に推進される環境を取り戻せるよう強く要望いたします。」との主旨の要望書を出し、就職活動の早期化、長期化及び入社前研修による学生の拘束の是正を要求している。 経団連は加盟企業に対して採用試験や面接は、6月1日以降に行うことを紳士協定として呼びかけている。
企業が、自社のことを志望者により知ってもらうために開催する説明会のことで、セミナーとも呼ばれることが多い。自社ビルで行われることが多いが、外部の会議場などを借りて行われることもある。会場のキャパシティの問題もあって、基本的に先着順で受付を行い、満員になったら締め切られる。志望する学生や求職者を集めて、会社概要や募集要項などを説明するのが一般的である。
しかし、単純に会社の説明のみを行う企業もあれば、その日に面接、あるいは選考試験に移行する企業も少なくない。エントリーシート記入や、筆記試験がセットになって行われることが非常に多い。この場合、エントリーシートは「アンケート」や「受付票」、筆記試験は「適性検査」などと称される。 よって、「たかが会社説明会」と高を括るのではく、万全な態勢で臨む姿勢が求められる。 以降の選考には、説明会参加が必須となっている企業も多いため、意中の企業への説明会予約は早めに行うべきである。
最近では、Web上で予約を受け付ける企業がほとんどである。 いずれにせよ、資料請求に次ぎ、企業と直接コンタクトが取れるのがこの会社説明会である。その日に直接、あるいは個人宛のメールなどでその後の日程を告知される場合が多いので、スケジュール管理も徹底しておくことが望ましい。
OB訪問(オービーほうもん)とは、主に大学生が就職活動を行うときに情報収集の一環として行う行為。訪問相手が女性(OG)ならOG訪問という。すでに企業で活躍されている先輩方を訪ねて、会社のリアルな情報を収集する行為のことである。 就職情報誌などの情報は、客観的な内容に陥りやすいため、OB訪問は就職活動において必要不可欠なものとなっている。
自分の大学のOBを訪問することからそう呼ばれる。大学4年に行うことが多い。 OB・OGの連絡先を調べ、直接連絡を取り、面会依頼をするという方法もあるし、希望の企業の人事担当者に連絡し、OB・OGを紹介してもらうという方法もある。 面会のアポイントが取れたら、実際に会って話を聞く。資料を見ればわかるようなことは、聞かない方が良いとされる。
類似する語句として、「OB懇談会」というものがある。 OB訪問が学生側からOBにはたらきかけるものであるなら、OB懇談会はその逆で、就職部主催で企業で勤務している先輩方を呼び、懇談の場を設けるという企業側からのはたらきかけに近いものがある。
どちらにしても、会社の雰囲気を知るため、企業研究や職業選択のため、そして採用に向けての第一段階として必須なことである。 企業によっては実質的な第一次面接を兼ねているところもある。 面会をしてもらったら後日、礼状を出すのがマナーである。
個人情報保護法の施行に伴い、OB・OGの連絡先を教えない企業も増えている。 個人情報に該当するか否かにかかわらず、OB・OG本人の同意が得られた場合にのみ、連絡先を開示してもらうことが望ましい。
エントリーシートとは、就職活動において大企業や一部の中堅企業が独自に作成した応募用紙である。「ES」と略される事もある。ESは主に一次選考として応募者の絞込みに使われる。有名企業では応募者の大部分がESで不合格となる場合が多い。
ESの内容は、氏名と連絡先、出身高校名と大学名(中途採用の場合はこれに加えて職歴)を記載する欄の他、各企業が独自に作成した何問かの設問がある。 これらの設問の内容は志望動機や自己PRに関連した内容が対多数で、記入欄が広く取られ、論作文試験と同じような形式になっている事が特徴である。 また、TOEICや英検などの資格や特技などを申告させるスペースもある。履歴書と違い、捺印はしないので記述にある程度誇張や潤色があったとしても、経歴詐称には問われないし企業側も想定している。 ただし面接でその件について質問されても明確に答えられるようにしておかなければ、苦しい状況に追い込まれることになる。これにより、同時に応募者の文章力も分かるため、論作文試験を課さない企業もある。
そして、ES選考や筆記試験に通ると、次は面接がある。ここでは、ESの内容が話題になる場合がある。 この時、ESの内容と面接での発言が矛盾していると、面接官の評価が悪くなる。
面接試験では、学校や企業が受験者に直接会って質問する試験方法の1つである。質問に対する答えの内容、受け答えの仕方や態度について評価をする。 形式は、個人面接や集団面接ないしグループディスカッションがある。幾つもの方法があるのは、より多くの情報を面接を受ける側から引き出すためである。
就職の場では、民間企業の正社員採用のほか、公務員試験や教員採用試験においても、殆ど全てにおいて面接が行われる(ただし非正規雇用で雇われる場合は電話先着順や書類選考だけということもある)。 大企業では複数回面接し、最初の段階で採用担当者(人事部)が、最終面接では役員が面接に当たることが多い。 中小企業は直接雇用者が一度だけ面接をして決めることもある。 特に国家公務員の採用試験では筆記試験合格後官庁訪問をして省庁ごとの数次の面接を受ける必要がある。
面接担当者によっては、応募者・受験者に対して故意に高圧的な態度を取ったり、受験者の嫌がる内容を質問するいわゆる「圧迫面接」を行う場合もある。 この手法はプレッシャーや予測できない事態への反応、不条理・理不尽な状況に対してどう対応するか見たい場合に行われる。 こうした手法の中には侮辱や名誉毀損などに相当するものも多数見受けられる。 絶対的に弱い立場の受験者を愚弄するかのような面接手法には批判もあるが、業務に求められる資質を見出す上で必要だという理由付けから行われる。 ただしこれは受験者の受け取り方次第でもある。
何人かの受験者と共にグループディスカッションを行い、時事問題等をテーマに話し合い、その発言や議論の進め方などを見て評価する手法もある。 他者との関係をどう構築するかや、テーマへの参加に対する積極性、あるいは他者の意見を汲み取る理解力などが観察される。 テーマは採用される業務に関係しない場合もあるが、その多くでは新聞などで情報収集が可能な範疇である。 採用活動において「コミュニケーション能力」の重視を標榜する企業や官公庁も多く、就職試験の際に筆記試験より面接が重視されるのはもはや常識である。 1990年代後半以降、大学やハローワークが就職率向上という名目で「面接対策セミナー」、「コミュニケーション能力養成講座」等を学生等に対し行うことも増加した。
グループディスカッションとは、集団討論のことである。あるテーマについて複数で議論し合い、学生の発言内容や態度を採用担当官が審査していくという形式で行われる。 一般的にグループディスカッションでは、4~10人程度の学生を集めて実施される。
近年では多くの企業が、このグループディスカッションを採用選考の過程に取り入れるようになっている。 ただし、その目的や実施段階は、それぞれの企業によって異なるようである。 最終選考の手前あたりで優秀な学生を選び出すために行われることもあれば、一次面接と二次面接の間あたりで「足切り」的に行われることもある。 通常、グループディスカッション試験をクリアできる学生は、5割以内となっており、言い換えれば半数以上の学生がこのグループディスカッションで不採用となる。
一般的に誤解されがちであるが、与えられたテーマに対して自分の意見を明確に話したとしても、グループディスカッションとの合格には直結しないといえる。 独断的な言動や、逆に全く目立たないことは選考上不利になるとされる。 グループディスカッション試験を突破するためには、まずグループディスカッションのルールと目的、意義を理解することが重要とされる。
高校生は、現在も大学生と並んで新規就業者の多くを占める。 就職を希望する高校生は9月16日の就職選考解禁日から、一斉に会社を訪問して入社試験を受け、筆記、面接など数週間の選考の後に内定を得る。 後述の大学生の就職活動と異なり、中学生や高校生の 新卒求人については、職業安定法に基づきすべて公共職業安定所(ハローワーク)を通して学校に掲示することが義務付けられている。
10月末までは1人1社が基本だが、11月からは同時に複数の企業を受けられる。 したがって、実際の応募については 学校を経由して企業とコンタクトを取ることになる。
また、大企業などへの就職試験を受けるためには、学校での書類選考を受けなければならず、しかも、抽選で受験者を決定する。 不採用になったら再び別な企業に挑戦し、学校での書類選考を受けることになる。 高校生の就職内定率は通常、年度末には90数%となる。 2010年度も「前年度より4ポイントほど低くはなるが、最終的には92%程度までにはなるのではないか」と予測されている。 ただ、2008年以降の雇用の冷え込みによる求人数の減少から、未内定のまま卒業してしまう生徒が多数出てくるだろうとの見方が強い。
日本では、法律により「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない」とされており、小学校と中学校の進級制度が年齢主義に基づく例が多いので、その期日と中学校の最終学年終了日が同じ日である例が多い。このため、就職を希望する中学生は1月1日の就職選考解禁日から就職活動の最初の機会となる。
18歳未満の労働者は法律により年少者として扱われるため、年少者を証明する書類を事業所に備え付けなければならない上に深夜労働や時間外労働ができなかったり危険有害作業が制限されたりするなどの制約がある。 就職先は極めて限定的で学歴よりも個人の技量に依存される職種である職人(特に伝統工芸や料理人、伝統芸能など)や作業が単調で高い学力をあまり必要としないブルーカラー(特に建設業や製造業など)や一部のサービス業(特に飲食業など)と呼ばれる職に限られる。
高校進学率が97%強を占める昨今では中学生の就職率は1%にも満たない。企業(特に地方)によっては資格や自動車運転などの免許を必要とするところもあるため、年齢の下限で国家資格や免許の取得が制限される中学生にとっては就職活動は厳しい状況にある。 企業は学校とは異なり、勉強を教える場所ではないことを理解する必要がある。中学を卒業しただけでは高校で学ぶべき教育を教わっていないため、定時制高校や通信制高校に通いながら働いたり企業内学校のある企業へ就職希望する人もいる。
ここまで、所属別に就職活動の進め方を紹介してきたが、共通して言えることを紹介する。
多くの企業では採用活動時、志望者の将来的な保有資格として、自動車の運転免許を企業は気にする。大学生の場合は、学業の兼ね合いもあるのでたとえ免許を持っていなくても、多くの企業は許すが、なるべく夏休みなどに自動車教習所に通うなどして、「将来的には自動車免許を取得する意思がある。」ことを企業側に見せたほうが良い。企業の実務では、移動や運搬などのために自動車を運転することが多いからである。高校生の場合は、18歳になったらなるべく早めに取得の検討を行ったほうが良い。 なお、普通自動車の免許の種類には、MT(マニュアル車)とAT(オートマ限定)がある。なるべくMT免許を取るのが無難であり、AT限定では通勤以外しか使い道がない。自動車を購入しに行く予定までは必要ない。一般の会社には社有車がある。
自動車の免許を取得するのは、最低でも3ヶ月程度はかかる。企業もそういった事情を知っているので、あまりすぐには免許を取るように要求しない。ただし、就職してから教習所に通うのは時間的に難しいので、一般的には就職前に教習所に通っておくのが慣習である。たとえ免許を取れなくても、なるべく運転の練習をしておくのが望ましいだろう。
企業の中には、労働基準法などに違反しており、従業員に低賃金で重労働をさせている企業もあり、そのような企業を ブラック企業 と言う。また、違法行為などを行って利益を上げている企業のことも、ブラック企業と言う。 たとえ成長産業や成長企業であっても、ブラック企業である場合がある。従業員を低賃金で重労働させることによって、利益を上げているから、会社が成長できるというわけである。 ついつい「知名度の高い大企業なら、安全」と考えがちだが、そうとではない。知名度の高い企業であってもブラック企業の場合がある。なぜなら従業員に重労働をさせてるので会社の利益率が高く、したがって広告費に金を掛けることができるからです。
ブラック企業には、就職しないほうが安全である。ブラック企業の多い業界は、業界自体を敬遠したほうが安全だろう。
(※ 例である。)
[パーラー」としか記載せず、店員を「アミューズメント・スタッフ」「ホールスタッフ」のように表現する。
また、小企業や零細企業の場合、地元の商工会議所などの会員企業であっても、ブラック企業の場合がある。 商工会の会員企業というと、なんとなく会員になるための審査が厳しそうだが、たんに地元の会社であって、ある程度の資本金とかがあって、あとは年会費を払えばイイわけであるのでブラック企業でも入会できる。 むしろ、ブラック企業だからこそ社長は本業がヒマだし、マスコミなどへの技術アピールもろくにできない技術力なので、自治会活動などでの宣伝には余念を欠かさないわけである。
一方有能な企業ほど、他地域の企業などとの取り引きが忙しく、ごく一部の地元の下請け取引先との付き合いを除けば、あまり地元の企業との付き合いが無いという場合すらありうる。
「ブラック企業」と聞くと、ついつい営業販売活動や転売屋や小売業・外食産業などを想像してしまいがちであり、製造業や土木工事などの技能職などの現業や農業ではブラック企業はありえないと考えがちだが、そうとは限らない。 賃金が安くてボッタクリだから、ろくな技術が無くても、安値で製品を売る事ができるので、利益を上げられてしまうのである。
中小の製造業や土木工事業や農業などでも、労働基準法の最低賃金を下回る賃金だったり、外国人研修生や不法滞在・残留外国人などを働かせている企業も、ときどき発覚している。不法滞在者などを残留させてる違法企業は、入国管理局などに査察されてバレたり、場合によっては警察沙汰になって経営者が刑法的に処分・逮捕される。 製造業や土木工事のブラック企業では、経営者にろくに専門技能も業界人脈も無い場合もある。叩き上げの職人あがりのビジネスマンを装い、無知な若者を雇って、低賃金で働かせている企業もある。
また、たとえ親子代々続く地元の中小企業でも、たとえ先代や先々代の社長が人格者で熟練した職人あがりで誠実だからって、跡取り息子の現・社長が人格者とは限らない。そのようなブラック企業の社長的な息子でも、親の情で跡取りにさせた場合もありうるだろうから。 | [
{
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"tag": "p",
"text": "就職活動(しゅうしょくかつどう)とは、職業に就くための活動の総称。省略して、「就活」(しゅうかつ)とも呼ばれる。 本稿では、日本の民間企業における就職活動のガイドを行う。",
"title": ""
},
{
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"text": "通常、学生・失業者など職に就いていない者が、企業や官公庁などに雇用されるための活動などを指す。 特に新卒の学生同士の会話や、彼らをターゲットにしたビジネスにおいて用いられることが多い。 転職のための活動や、自営業を始めるための活動は就活とは言わないことが多い。",
"title": "就職活動とは"
},
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"paragraph_id": 2,
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"text": "一般的に大切だと言われることは、自己理解に基づいて、しっかり「自分のやりたいこと」や「その業界に就職したい目的」を明らかにした上でやりたい仕事、自分に適う仕事をキチンと捜し出すことだとされる。 自身の思考が漠然とし、やりたい仕事や自分に適う仕事がわからないまま就職活動に突入すると、あまり良い結果につながりにくいとされる。",
"title": "就職活動とは"
},
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"paragraph_id": 3,
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"text": "大学生の就職活動は規模が大きく、学生の就職活動の代表例として大学生の就職活動がメディアなどで扱われる事が多い。 高専生、短大生、大学院生、専門学校生、各種学校生の就職活動も、大学生の就職活動とほぼ同様である。",
"title": "大学生の就職活動"
},
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"paragraph_id": 4,
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"text": "就職協定の廃止で、一人の学生が好きなだけ企業を受けることが可能になり、メガバンクや大手メーカー、総合商社、航空会社など大手企業への採用希望者は採用枠の数百倍に及び、就職活動は大変な競争になっている。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 5,
"tag": "p",
"text": "どこの企業でも、ほぼ必ず面接は行われる。大企業、中小企業、公務員を問わず、面接は就職活動で行われるのが一般である。 大企業の採用選別方法の多くでは、一次試験で「SPI」試験などとして中学・高校レベル(主に中学レベル)の基礎的な学力検査を課し、二次試験以降で面接を行うのが一般的である。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
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"text": "先程も述べたように、大企業では学力検査として、中学レベル・高校レベルの数学などの学力検査を一次試験で「SPI」試験などとして課す場合がある。注意すべきことは、大学レベルの専門的な問題はこれらのSPIなどの学力検査には、一般に出題されないことである。 たとえ就職先志望が専門知識を要する業界でも、SPIには専門知識は出題されない。文科系の事務職志望だけでなく、理科系の技術職志望ですら就職試験では専門知識は一般に出題されないのが一般である。 例えば工業系などの技術職を志望しても、就職活動の学力検査では、大学レベルの数学や物理などの問題なんて、まず出ない。大学入試レベルの数学や理科の問題ですら、就職活動時の筆記試験ではまず出ない。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
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"text": "外部サイトの中には、あたかもSPIで大学受験~大学講義レベルの学力が測定できるかのように説明しているサイトもあるが( ※たとえばyahooの質問サイト) 、デタラメなので決して真に受けてはいけない。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 8,
"tag": "p",
"text": "SPIのような就活産業の作った試験問題には、こういった問題点があり、つまり出題内容が会社の必要とする専門知識とはズレているという問題点があるので、中小企業などでは就活産業の作った試験を行わない場合がある。また、中小企業で独自の試験問題を作って、専門分野に近い職業高校レベルの知識などを検査する場合もある。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "企業によっては、学力検査で英語の試験を行う場合がある。主に大企業に、英語読解問題のマークシート式の筆記試験をする企業が、いくつかある。英語の試験の難度は、大企業の行う英語試験の場合なら大学入試レベルを越えたレベルの場合が多く、大企業では、日本で最難関の大学とされる東京大学や京都大学などの学部の入試の過去問よりも難しい英文の出る場合も多く(TOEICハイスコアやTOEFLハイスコアなどのような大学受験参考書の範囲を大幅に越えた単語が、企業の英語試験に出ることも多いので)、なので試験対策としてTOEICやTOEFLのハイスコア対策の教材などを普段から練習していないと解けないような英文問題が出題される事も多い。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
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"tag": "p",
"text": "とはいえ企業は、必ずしもこの英語試験を英語が得意な学生だけを採用する手段として試験しているとは限らず、就職志望者の出身大学の偏差値がその企業に採用基準に満たないものを落とすための口実として、英語試験を行っている場合もある。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 11,
"tag": "p",
"text": "たとえば、偏差値の高い大学の学生が、ほとんど英語試験の問題を解けなくても、試験を突破扱いになる事もあるというハナシも聞く。学生の学部によっては、理系の学部のように英語の勉強にあまり時間を割けない場合もあるので、そのような場合は、英語試験ではなく肩書きで試験を突破をするようにしよう。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 12,
"tag": "p",
"text": "早い話が就活での学力検査の対策では、専門分野の勉強をするよりも、いっそのこと英語の試験勉強をしたほうが良く、さらに英語の勉強をするよりも大学院に進学するなどして学歴を上げるほうが、はるかに大企業の学力選考を通りやすくなり、就職しやすくなるのが日本の企業の現状である。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 13,
"tag": "p",
"text": "どこの企業でも、ほぼ必ず面接は行われる。大企業、中小企業、公務員を問わず、面接は就職活動で行われるのが一般である。大企業の面接は複数回行われ、最終面接では役員が出席することも多い。 大企業の面接の回数は、合計でおおむね5回ほど行われることになる場合が多い。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 14,
"tag": "p",
"text": "中小企業などでも、そこそこ規模の大きい企業では2回以上の面接があり、2次面接または2次以降から役員が出席する場合がある。社長や役員は仕事が忙しいので、そんなに多くの学生と面接は出来ないのである。 零細企業や小企業や無名な企業では、最初から役員や経営者などが面接に出席している場合もある。大企業の採用活動では面接に加え、面接以外の選考方法も多く行われる。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 15,
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"text": "以下によくある質問例を挙げてみたので、参考にしてほしい。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 16,
"tag": "p",
"text": "理系学生で技術職を志望の場合、大企業の複数回ある面接では、そのうち1回「卒業研究テーマについて説明してください」というのもある場合が多い。なので、卒業研究のテーマについて説明できるようにしておこう。ここで重要な事は、研究テーマ以外の学業の知識についてはまったく聞かれないことである。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 17,
"tag": "p",
"text": "このような事から分かるように、この質問の目的は、けっして学力検査が目的ではない。おそらく、専門分野についてのプレゼンテーション能力などの検査が目的であろう。大企業の面接ですら学生のその学科ならば、どこの大学でも習うような全国共通の知識ですら面接官が聞いてこない。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 18,
"tag": "p",
"text": "また、学生が編入学や転学科などで学科を変わったような場合や、出身高校が普通科高校ではなく工業高校のような場合で、高校時代の学科が大学での学科と違うような場合ですら、工業高校やら前の学科での学力を確認するような質問はしてこないのが通常である。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 19,
"tag": "p",
"text": "説明中、面接官から研究内容について質問をされるが、しかし技術的にあまり深い内容の質問はされず、せいぜい、その分野の科学雑誌などに出てくるような常識的な用語などを確認してくる程度である。なので、自分の研究分野をあつかった入門書などを読んで、そのような質問に対して答えを説明できるようにしよう。 そもそも分野によっては、まだ技術が成熟しておらず、しかもあまり細かい技術知識を質問しても、価値が低い場合もある。 定型的に用語さえ説明できてしまえば、この面接はほぼ突破できてしまう。逆に、学生側が数式の計算練習など、言葉では説明しづらいような事をいくら練習して準備してきても、数式は「用語」ではないので、まったく評価されないのが、日本の大手製造業などの技術職志望の面接である。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
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"text": "日本企業の多くにとって、英語や数学の勉強は、「趣味」とはみなされない事が多いようである。例えば質問で、面接官からの質問で「学業以外で打ち込んだことは、なんですか?」という質問に対して、「数学」と答えると、「答えになってません」とか「そういう事を質問してるのではありません」などと返答される場合もある。 たとえ自分の学科が数学科以外で、学校の授業以外に数学書を読んでいて、たくさん数学の問題集などを解いていても、このように、面接官から批判をされる事も多い。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 21,
"tag": "p",
"text": "どうやら、大学入試・大学院入試には出てこない科目を、勉強してもらいたいようです。いわゆる「5教科」以外についての趣味を聞いているようです。なので、趣味は「スポーツ」とか「音楽の楽器演奏」とか、その中から、自分の実際の趣味を言うしかありません。 どうやら、日本企業の面接官の脳内には、体育学部や美術学部・音楽学部などのような、スポーツや芸術を学業としている学校の存在はないようです。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 22,
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"text": "大学の学部学科によっては、理系の大学などのように、時間的な都合により、大学時代にスポーツや美術音楽の表現活動などをするのが難しい場合もあるので、そういう場合は、「高校時代の趣味は ◯◯(音楽演奏、美術表現、スポーツなど) でしたが、しかし大学時代では時間がなくて、この趣味をできませんでした。」などと言うようにしましょう。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 23,
"tag": "p",
"text": "また、聞かれた「自分の趣味」として「パソコン」などと言うと、プログラミング能力の有無などを聞いてくる場合があります。あるwikibooks編集者は、就活時の面接官からの趣味についての質問で「LINUXについて趣味で勉強しています」と答えたら、「サーバーを構築できますか?」などと質問されました。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 24,
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"text": "近年は、従来の選考方法に加え、適性診断やグループディスカッション、グループワークなどなど独自の方式で学生の可否を見極めようとする企業も増えている。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 25,
"tag": "p",
"text": "比較的多くの学生が、3年次の秋や初冬には就職セミナーを受けるなどして、就職活動の準備に入る。 11月になると経団連に属さない企業が面接などの採用試験を開始する。 2、3月には経団連の紳士協定に沿う多くの大手企業も会社説明会を開始し、6月1日から一斉に採用試験が開始される。 ゴールデンウィーク前後には、最初の内定者がほぼ出揃う。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "5月以降は地方、中小企業や、大手企業の二次募集が行われる。 9月には留学生向けや公務員試験不合格組や内定辞退者の補充を目的とした採用が行われ、10月1日に多くの企業で内定式が行われ、学生の就職活動はほぼ終わる。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 27,
"tag": "p",
"text": "なお2008年のリーマンショックを境に景気が悪化し、就職状況が悪化し、企業の求人数は大幅に下がった。 2011年3月卒業予定の大卒求人倍率は、リクルートワークス研究所の調査によると、求人倍率は09年卒の2.14倍、10年卒の1.62倍から2年連続して減少し、1.28倍へと低下、全国の民間企業の求人総数は、前年の72.5万人から58.5万人ーの19.8%のマイナスとなった。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 28,
"tag": "p",
"text": "なお、学生の民間企業就職希望者数は、前年の44.7万人から45.6万人への1.9%のプラスとなった。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 29,
"tag": "p",
"text": "1990年代半ば以降は、通年採用を行う企業が増え、その結果として就職活動は長期化する傾向にある。 近年は就職活動開始時期は早期化の傾向にある。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 30,
"tag": "p",
"text": "事務職・営業などの就職を志望する大学生では、遅くとも3年生の秋ごろから就職活動をスタートし、最低でも半年から1年程度行うのが通常である。 この間、大学の講義や卒業研究を抜けて活動を行わなければならない。 このようなことから、「企業側は採用活動の時期を考えるべきである」とする意見もあがっている。近年では、理工系の技術職でも学生の就職活動の期間も早期化・長期化の傾向が見られる。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 31,
"tag": "p",
"text": "この傾向に対して、旧帝国大学と東京工業大学の工学系研究科長が組織する8大学工学部長会議は経団連に対して、「企業の行き過ぎた採用活動や就職前研修が是正され、大学院における教育研究が正常に推進される環境を取り戻せるよう強く要望いたします。」との主旨の要望書を出し、就職活動の早期化、長期化及び入社前研修による学生の拘束の是正を要求している。 経団連は加盟企業に対して採用試験や面接は、6月1日以降に行うことを紳士協定として呼びかけている。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 32,
"tag": "p",
"text": "企業が、自社のことを志望者により知ってもらうために開催する説明会のことで、セミナーとも呼ばれることが多い。自社ビルで行われることが多いが、外部の会議場などを借りて行われることもある。会場のキャパシティの問題もあって、基本的に先着順で受付を行い、満員になったら締め切られる。志望する学生や求職者を集めて、会社概要や募集要項などを説明するのが一般的である。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "しかし、単純に会社の説明のみを行う企業もあれば、その日に面接、あるいは選考試験に移行する企業も少なくない。エントリーシート記入や、筆記試験がセットになって行われることが非常に多い。この場合、エントリーシートは「アンケート」や「受付票」、筆記試験は「適性検査」などと称される。 よって、「たかが会社説明会」と高を括るのではく、万全な態勢で臨む姿勢が求められる。 以降の選考には、説明会参加が必須となっている企業も多いため、意中の企業への説明会予約は早めに行うべきである。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "最近では、Web上で予約を受け付ける企業がほとんどである。 いずれにせよ、資料請求に次ぎ、企業と直接コンタクトが取れるのがこの会社説明会である。その日に直接、あるいは個人宛のメールなどでその後の日程を告知される場合が多いので、スケジュール管理も徹底しておくことが望ましい。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "OB訪問(オービーほうもん)とは、主に大学生が就職活動を行うときに情報収集の一環として行う行為。訪問相手が女性(OG)ならOG訪問という。すでに企業で活躍されている先輩方を訪ねて、会社のリアルな情報を収集する行為のことである。 就職情報誌などの情報は、客観的な内容に陥りやすいため、OB訪問は就職活動において必要不可欠なものとなっている。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "自分の大学のOBを訪問することからそう呼ばれる。大学4年に行うことが多い。 OB・OGの連絡先を調べ、直接連絡を取り、面会依頼をするという方法もあるし、希望の企業の人事担当者に連絡し、OB・OGを紹介してもらうという方法もある。 面会のアポイントが取れたら、実際に会って話を聞く。資料を見ればわかるようなことは、聞かない方が良いとされる。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 37,
"tag": "p",
"text": "類似する語句として、「OB懇談会」というものがある。 OB訪問が学生側からOBにはたらきかけるものであるなら、OB懇談会はその逆で、就職部主催で企業で勤務している先輩方を呼び、懇談の場を設けるという企業側からのはたらきかけに近いものがある。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "どちらにしても、会社の雰囲気を知るため、企業研究や職業選択のため、そして採用に向けての第一段階として必須なことである。 企業によっては実質的な第一次面接を兼ねているところもある。 面会をしてもらったら後日、礼状を出すのがマナーである。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "個人情報保護法の施行に伴い、OB・OGの連絡先を教えない企業も増えている。 個人情報に該当するか否かにかかわらず、OB・OG本人の同意が得られた場合にのみ、連絡先を開示してもらうことが望ましい。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "エントリーシートとは、就職活動において大企業や一部の中堅企業が独自に作成した応募用紙である。「ES」と略される事もある。ESは主に一次選考として応募者の絞込みに使われる。有名企業では応募者の大部分がESで不合格となる場合が多い。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "ESの内容は、氏名と連絡先、出身高校名と大学名(中途採用の場合はこれに加えて職歴)を記載する欄の他、各企業が独自に作成した何問かの設問がある。 これらの設問の内容は志望動機や自己PRに関連した内容が対多数で、記入欄が広く取られ、論作文試験と同じような形式になっている事が特徴である。 また、TOEICや英検などの資格や特技などを申告させるスペースもある。履歴書と違い、捺印はしないので記述にある程度誇張や潤色があったとしても、経歴詐称には問われないし企業側も想定している。 ただし面接でその件について質問されても明確に答えられるようにしておかなければ、苦しい状況に追い込まれることになる。これにより、同時に応募者の文章力も分かるため、論作文試験を課さない企業もある。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "そして、ES選考や筆記試験に通ると、次は面接がある。ここでは、ESの内容が話題になる場合がある。 この時、ESの内容と面接での発言が矛盾していると、面接官の評価が悪くなる。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "面接試験では、学校や企業が受験者に直接会って質問する試験方法の1つである。質問に対する答えの内容、受け答えの仕方や態度について評価をする。 形式は、個人面接や集団面接ないしグループディスカッションがある。幾つもの方法があるのは、より多くの情報を面接を受ける側から引き出すためである。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "就職の場では、民間企業の正社員採用のほか、公務員試験や教員採用試験においても、殆ど全てにおいて面接が行われる(ただし非正規雇用で雇われる場合は電話先着順や書類選考だけということもある)。 大企業では複数回面接し、最初の段階で採用担当者(人事部)が、最終面接では役員が面接に当たることが多い。 中小企業は直接雇用者が一度だけ面接をして決めることもある。 特に国家公務員の採用試験では筆記試験合格後官庁訪問をして省庁ごとの数次の面接を受ける必要がある。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "面接担当者によっては、応募者・受験者に対して故意に高圧的な態度を取ったり、受験者の嫌がる内容を質問するいわゆる「圧迫面接」を行う場合もある。 この手法はプレッシャーや予測できない事態への反応、不条理・理不尽な状況に対してどう対応するか見たい場合に行われる。 こうした手法の中には侮辱や名誉毀損などに相当するものも多数見受けられる。 絶対的に弱い立場の受験者を愚弄するかのような面接手法には批判もあるが、業務に求められる資質を見出す上で必要だという理由付けから行われる。 ただしこれは受験者の受け取り方次第でもある。",
"title": "大学生の就職活動"
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{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "何人かの受験者と共にグループディスカッションを行い、時事問題等をテーマに話し合い、その発言や議論の進め方などを見て評価する手法もある。 他者との関係をどう構築するかや、テーマへの参加に対する積極性、あるいは他者の意見を汲み取る理解力などが観察される。 テーマは採用される業務に関係しない場合もあるが、その多くでは新聞などで情報収集が可能な範疇である。 採用活動において「コミュニケーション能力」の重視を標榜する企業や官公庁も多く、就職試験の際に筆記試験より面接が重視されるのはもはや常識である。 1990年代後半以降、大学やハローワークが就職率向上という名目で「面接対策セミナー」、「コミュニケーション能力養成講座」等を学生等に対し行うことも増加した。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "グループディスカッションとは、集団討論のことである。あるテーマについて複数で議論し合い、学生の発言内容や態度を採用担当官が審査していくという形式で行われる。 一般的にグループディスカッションでは、4~10人程度の学生を集めて実施される。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "近年では多くの企業が、このグループディスカッションを採用選考の過程に取り入れるようになっている。 ただし、その目的や実施段階は、それぞれの企業によって異なるようである。 最終選考の手前あたりで優秀な学生を選び出すために行われることもあれば、一次面接と二次面接の間あたりで「足切り」的に行われることもある。 通常、グループディスカッション試験をクリアできる学生は、5割以内となっており、言い換えれば半数以上の学生がこのグループディスカッションで不採用となる。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "一般的に誤解されがちであるが、与えられたテーマに対して自分の意見を明確に話したとしても、グループディスカッションとの合格には直結しないといえる。 独断的な言動や、逆に全く目立たないことは選考上不利になるとされる。 グループディスカッション試験を突破するためには、まずグループディスカッションのルールと目的、意義を理解することが重要とされる。",
"title": "大学生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "高校生は、現在も大学生と並んで新規就業者の多くを占める。 就職を希望する高校生は9月16日の就職選考解禁日から、一斉に会社を訪問して入社試験を受け、筆記、面接など数週間の選考の後に内定を得る。 後述の大学生の就職活動と異なり、中学生や高校生の 新卒求人については、職業安定法に基づきすべて公共職業安定所(ハローワーク)を通して学校に掲示することが義務付けられている。",
"title": "高校生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "10月末までは1人1社が基本だが、11月からは同時に複数の企業を受けられる。 したがって、実際の応募については 学校を経由して企業とコンタクトを取ることになる。",
"title": "高校生の就職活動"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "また、大企業などへの就職試験を受けるためには、学校での書類選考を受けなければならず、しかも、抽選で受験者を決定する。 不採用になったら再び別な企業に挑戦し、学校での書類選考を受けることになる。 高校生の就職内定率は通常、年度末には90数%となる。 2010年度も「前年度より4ポイントほど低くはなるが、最終的には92%程度までにはなるのではないか」と予測されている。 ただ、2008年以降の雇用の冷え込みによる求人数の減少から、未内定のまま卒業してしまう生徒が多数出てくるだろうとの見方が強い。",
"title": "高校生の就職活動"
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"text": "日本では、法律により「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない」とされており、小学校と中学校の進級制度が年齢主義に基づく例が多いので、その期日と中学校の最終学年終了日が同じ日である例が多い。このため、就職を希望する中学生は1月1日の就職選考解禁日から就職活動の最初の機会となる。",
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"text": "18歳未満の労働者は法律により年少者として扱われるため、年少者を証明する書類を事業所に備え付けなければならない上に深夜労働や時間外労働ができなかったり危険有害作業が制限されたりするなどの制約がある。 就職先は極めて限定的で学歴よりも個人の技量に依存される職種である職人(特に伝統工芸や料理人、伝統芸能など)や作業が単調で高い学力をあまり必要としないブルーカラー(特に建設業や製造業など)や一部のサービス業(特に飲食業など)と呼ばれる職に限られる。",
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"text": "高校進学率が97%強を占める昨今では中学生の就職率は1%にも満たない。企業(特に地方)によっては資格や自動車運転などの免許を必要とするところもあるため、年齢の下限で国家資格や免許の取得が制限される中学生にとっては就職活動は厳しい状況にある。 企業は学校とは異なり、勉強を教える場所ではないことを理解する必要がある。中学を卒業しただけでは高校で学ぶべき教育を教わっていないため、定時制高校や通信制高校に通いながら働いたり企業内学校のある企業へ就職希望する人もいる。",
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"text": "ここまで、所属別に就職活動の進め方を紹介してきたが、共通して言えることを紹介する。",
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"text": "多くの企業では採用活動時、志望者の将来的な保有資格として、自動車の運転免許を企業は気にする。大学生の場合は、学業の兼ね合いもあるのでたとえ免許を持っていなくても、多くの企業は許すが、なるべく夏休みなどに自動車教習所に通うなどして、「将来的には自動車免許を取得する意思がある。」ことを企業側に見せたほうが良い。企業の実務では、移動や運搬などのために自動車を運転することが多いからである。高校生の場合は、18歳になったらなるべく早めに取得の検討を行ったほうが良い。 なお、普通自動車の免許の種類には、MT(マニュアル車)とAT(オートマ限定)がある。なるべくMT免許を取るのが無難であり、AT限定では通勤以外しか使い道がない。自動車を購入しに行く予定までは必要ない。一般の会社には社有車がある。",
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"text": "自動車の免許を取得するのは、最低でも3ヶ月程度はかかる。企業もそういった事情を知っているので、あまりすぐには免許を取るように要求しない。ただし、就職してから教習所に通うのは時間的に難しいので、一般的には就職前に教習所に通っておくのが慣習である。たとえ免許を取れなくても、なるべく運転の練習をしておくのが望ましいだろう。",
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"text": "企業の中には、労働基準法などに違反しており、従業員に低賃金で重労働をさせている企業もあり、そのような企業を ブラック企業 と言う。また、違法行為などを行って利益を上げている企業のことも、ブラック企業と言う。 たとえ成長産業や成長企業であっても、ブラック企業である場合がある。従業員を低賃金で重労働させることによって、利益を上げているから、会社が成長できるというわけである。 ついつい「知名度の高い大企業なら、安全」と考えがちだが、そうとではない。知名度の高い企業であってもブラック企業の場合がある。なぜなら従業員に重労働をさせてるので会社の利益率が高く、したがって広告費に金を掛けることができるからです。",
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"text": "また、小企業や零細企業の場合、地元の商工会議所などの会員企業であっても、ブラック企業の場合がある。 商工会の会員企業というと、なんとなく会員になるための審査が厳しそうだが、たんに地元の会社であって、ある程度の資本金とかがあって、あとは年会費を払えばイイわけであるのでブラック企業でも入会できる。 むしろ、ブラック企業だからこそ社長は本業がヒマだし、マスコミなどへの技術アピールもろくにできない技術力なので、自治会活動などでの宣伝には余念を欠かさないわけである。",
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"text": "「ブラック企業」と聞くと、ついつい営業販売活動や転売屋や小売業・外食産業などを想像してしまいがちであり、製造業や土木工事などの技能職などの現業や農業ではブラック企業はありえないと考えがちだが、そうとは限らない。 賃金が安くてボッタクリだから、ろくな技術が無くても、安値で製品を売る事ができるので、利益を上げられてしまうのである。",
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"text": "中小の製造業や土木工事業や農業などでも、労働基準法の最低賃金を下回る賃金だったり、外国人研修生や不法滞在・残留外国人などを働かせている企業も、ときどき発覚している。不法滞在者などを残留させてる違法企業は、入国管理局などに査察されてバレたり、場合によっては警察沙汰になって経営者が刑法的に処分・逮捕される。 製造業や土木工事のブラック企業では、経営者にろくに専門技能も業界人脈も無い場合もある。叩き上げの職人あがりのビジネスマンを装い、無知な若者を雇って、低賃金で働かせている企業もある。",
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"text": "また、たとえ親子代々続く地元の中小企業でも、たとえ先代や先々代の社長が人格者で熟練した職人あがりで誠実だからって、跡取り息子の現・社長が人格者とは限らない。そのようなブラック企業の社長的な息子でも、親の情で跡取りにさせた場合もありうるだろうから。",
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]
| 就職活動(しゅうしょくかつどう)とは、職業に就くための活動の総称。省略して、「就活」(しゅうかつ)とも呼ばれる。
本稿では、日本の民間企業における就職活動のガイドを行う。 | '''就職活動'''(しゅうしょくかつどう)とは、職業に就くための活動の総称。省略して、「就活」(しゅうかつ)とも呼ばれる。
本稿では、日本の民間企業における就職活動のガイドを行う。
== 就職活動とは ==
通常、学生・失業者など職に就いていない者が、企業や官公庁などに雇用されるための活動などを指す。
特に新卒の学生同士の会話や、彼らをターゲットにしたビジネスにおいて用いられることが多い。
転職のための活動や、自営業を始めるための活動は就活とは言わないことが多い。
一般的に大切だと言われることは、自己理解に基づいて、しっかり「自分のやりたいこと」や「その業界に就職したい目的」を明らかにした上でやりたい仕事、自分に適う仕事をキチンと捜し出すことだとされる。
自身の思考が漠然とし、やりたい仕事や自分に適う仕事がわからないまま就職活動に突入すると、あまり良い結果につながりにくいとされる。
== 大学生の就職活動 ==
大学生の就職活動は規模が大きく、学生の就職活動の代表例として大学生の就職活動がメディアなどで扱われる事が多い。
高専生、短大生、大学院生、専門学校生、各種学校生の就職活動も、大学生の就職活動とほぼ同様である。
就職協定の廃止で、一人の学生が好きなだけ企業を受けることが可能になり、メガバンクや大手メーカー、総合商社、航空会社など大手企業への採用希望者は採用枠の数百倍に及び、就職活動は大変な競争になっている。
===就職活動の試験内容===
どこの企業でも、ほぼ必ず面接は行われる。大企業、中小企業、公務員を問わず、面接は就職活動で行われるのが一般である。
大企業の採用選別方法の多くでは、一次試験で「SPI」試験などとして中学・高校レベル(主に中学レベル)の基礎的な学力検査を課し、二次試験以降で面接を行うのが一般的である。
====学力検査====
先程も述べたように、大企業では学力検査として、中学レベル・高校レベルの数学などの学力検査を一次試験で「SPI」試験などとして課す場合がある。注意すべきことは、大学レベルの専門的な問題はこれらのSPIなどの学力検査には、一般に出題されないことである。
たとえ就職先志望が専門知識を要する業界でも、SPIには専門知識は出題されない。文科系の事務職志望だけでなく、理科系の技術職志望ですら就職試験では専門知識は一般に出題されないのが一般である。
例えば工業系などの技術職を志望しても、就職活動の学力検査では、大学レベルの数学や物理などの問題なんて、まず出ない。大学入試レベルの数学や理科の問題ですら、就職活動時の筆記試験ではまず出ない。
外部サイトの中には、あたかもSPIで大学受験~大学講義レベルの学力が測定できるかのように説明しているサイトもあるが( [https://contents.jobcatalog.yahoo.co.jp/qa/list/14239883999/ ※たとえばyahooの質問サイト]) 、デタラメなので決して真に受けてはいけない。
SPIのような就活産業の作った試験問題には、こういった問題点があり、つまり出題内容が会社の必要とする専門知識とはズレているという問題点があるので、中小企業などでは就活産業の作った試験を行わない場合がある。また、中小企業で独自の試験問題を作って、専門分野に近い職業高校レベルの知識などを検査する場合もある。
企業によっては、学力検査で英語の試験を行う場合がある。主に大企業に、英語読解問題のマークシート式の筆記試験をする企業が、いくつかある。英語の試験の難度は、大企業の行う英語試験の場合なら大学入試レベルを越えたレベルの場合が多く、大企業では、日本で最難関の大学とされる東京大学や京都大学などの学部の入試の過去問よりも難しい英文の出る場合も多く(TOEICハイスコアやTOEFLハイスコアなどのような大学受験参考書の範囲を大幅に越えた単語が、企業の英語試験に出ることも多いので)、なので試験対策としてTOEICやTOEFLのハイスコア対策の教材などを普段から練習していないと解けないような英文問題が出題される事も多い。
とはいえ企業は、必ずしもこの英語試験を英語が得意な学生だけを採用する手段として試験しているとは限らず、就職志望者の出身大学の偏差値がその企業に採用基準に満たないものを落とすための口実として、英語試験を行っている場合もある。
たとえば、偏差値の高い大学の学生が、ほとんど英語試験の問題を解けなくても、試験を突破扱いになる事もあるというハナシも聞く。学生の学部によっては、理系の学部のように英語の勉強にあまり時間を割けない場合もあるので、そのような場合は、英語試験ではなく肩書きで試験を突破をするようにしよう。
早い話が就活での学力検査の対策では、専門分野の勉強をするよりも、いっそのこと英語の試験勉強をしたほうが良く、さらに英語の勉強をするよりも大学院に進学するなどして学歴を上げるほうが、はるかに大企業の学力選考を通りやすくなり、就職しやすくなるのが日本の企業の現状である。
====面接====
どこの企業でも、ほぼ必ず面接は行われる。大企業、中小企業、公務員を問わず、面接は就職活動で行われるのが一般である。大企業の面接は複数回行われ、最終面接では役員が出席することも多い。
大企業の面接の回数は、合計でおおむね5回ほど行われることになる場合が多い。
中小企業などでも、そこそこ規模の大きい企業では2回以上の面接があり、2次面接または2次以降から役員が出席する場合がある。社長や役員は仕事が忙しいので、そんなに多くの学生と面接は出来ないのである。
零細企業や小企業や無名な企業では、最初から役員や経営者などが面接に出席している場合もある。大企業の採用活動では面接に加え、面接以外の選考方法も多く行われる。
以下によくある質問例を挙げてみたので、参考にしてほしい。
====卒業研究についての質問====
理系学生で技術職を志望の場合、大企業の複数回ある面接では、そのうち1回「卒業研究テーマについて説明してください」というのもある場合が多い。なので、卒業研究のテーマについて説明できるようにしておこう。ここで重要な事は、研究テーマ以外の学業の知識についてはまったく聞かれないことである。
このような事から分かるように、この質問の目的は、けっして学力検査が目的ではない。おそらく、専門分野についてのプレゼンテーション能力などの検査が目的であろう。大企業の面接ですら学生のその学科ならば、どこの大学でも習うような全国共通の知識ですら面接官が聞いてこない。
また、学生が編入学や転学科などで学科を変わったような場合<ref>たとえば数学科から物理学科に転学科した等</ref>や、出身高校が普通科高校ではなく工業高校のような場合で、高校時代の学科が大学での学科と違うような場合ですら<ref>例えば高校は電気科だったが、大学では機械工学科に進学のような場合</ref>、工業高校やら前の学科での学力を確認するような質問はしてこないのが通常である。
説明中、面接官から研究内容について質問をされるが、しかし技術的にあまり深い内容の質問はされず、せいぜい、その分野の科学雑誌などに出てくるような常識的な用語などを確認してくる程度である<ref>マイナーな研究テーマだと、あまり細かい事は、面接官の側が知らない場合もある</ref>。なので、自分の研究分野をあつかった入門書などを読んで、そのような質問に対して答えを説明できるようにしよう。
そもそも分野によっては、まだ技術が成熟しておらず、しかもあまり細かい技術知識を質問しても、価値が低い場合もある。
定型的に用語さえ説明できてしまえば、この面接はほぼ突破できてしまう。逆に、学生側が数式の計算練習など、言葉では説明しづらいような事をいくら練習して準備してきても、数式は「用語」ではないので、まったく評価されないのが、日本の大手製造業などの技術職志望の面接である。
====質問「趣味は何ですか?」====
日本企業の多くにとって、英語や数学の勉強は、「趣味」とはみなされない事が多いようである。例えば質問で、面接官からの質問で「学業以外で打ち込んだことは、なんですか?」という質問に対して、「数学」と答えると、「答えになってません」とか「そういう事を質問してるのではありません」などと返答される場合もある。
たとえ自分の学科が数学科以外で、学校の授業以外に数学書を読んでいて、たくさん数学の問題集などを解いていても、このように、面接官から批判をされる事も多い。
どうやら、大学入試・大学院入試には出てこない科目を、勉強してもらいたいようです。いわゆる「5教科<ref>国語・数学・理科・社会・英語</ref>」以外についての趣味を聞いているようです。なので、趣味は「スポーツ」とか「音楽の楽器演奏」とか、その中から、自分の実際の趣味を言うしかありません。
どうやら、日本企業の面接官の脳内には、体育学部や美術学部・音楽学部などのような、スポーツや芸術を学業としている学校の存在はないようです。
大学の学部学科によっては、理系の大学などのように、時間的な都合により、大学時代にスポーツや美術音楽の表現活動などをするのが難しい場合もあるので、そういう場合は、「高校時代の趣味は ◯◯(音楽演奏、美術表現、スポーツなど) でしたが、しかし大学時代では時間がなくて、この趣味をできませんでした。」などと言うようにしましょう。
また、聞かれた「自分の趣味」として「パソコン」などと言うと、プログラミング能力の有無などを聞いてくる場合があります。あるwikibooks編集者は、就活時の面接官からの趣味についての質問で「LINUXについて趣味で勉強しています」と答えたら、「サーバーを構築できますか?」などと質問されました。
====その他の選考方法====
近年は、従来の選考方法に加え、適性診断やグループディスカッション、グループワークなどなど独自の方式で学生の可否を見極めようとする企業も増えている。
=== スケジュール ===
比較的多くの学生が、3年次の秋や初冬には就職セミナーを受けるなどして、就職活動の準備に入る。
11月になると経団連に属さない企業が面接などの採用試験を開始する。
2、3月には経団連の紳士協定に沿う多くの大手企業も会社説明会を開始し、6月1日から一斉に採用試験が開始される。
ゴールデンウィーク前後には、最初の内定者がほぼ出揃う。
5月以降は地方、中小企業や、大手企業の二次募集が行われる。
9月には留学生向けや公務員試験不合格組や内定辞退者の補充を目的とした採用が行われ、10月1日に多くの企業で内定式が行われ、学生の就職活動はほぼ終わる。
=== 求人状況 ===
なお2008年のリーマンショックを境に景気が悪化し、就職状況が悪化し、企業の求人数は大幅に下がった。
2011年3月卒業予定の大卒求人倍率は、リクルートワークス研究所の調査によると、求人倍率は09年卒の2.14倍、10年卒の1.62倍から2年連続して減少し、1.28倍へと低下、全国の民間企業の求人総数は、前年の72.5万人から58.5万人ーの19.8%のマイナスとなった。
なお、学生の民間企業就職希望者数は、前年の44.7万人から45.6万人への1.9%のプラスとなった。
=== 時期はいつごろ始めるのか ===
1990年代半ば以降は、通年採用を行う企業が増え、その結果として就職活動は長期化する傾向にある。
近年は就職活動開始時期は早期化の傾向にある。
事務職・営業などの就職を志望する大学生では、遅くとも3年生の秋ごろから就職活動をスタートし、最低でも半年から1年程度行うのが通常である。
この間、大学の講義や卒業研究を抜けて活動を行わなければならない。
このようなことから、「企業側は採用活動の時期を考えるべきである」とする意見もあがっている。近年では、理工系の技術職でも学生の就職活動の期間も早期化・長期化の傾向が見られる。
この傾向に対して、旧帝国大学と東京工業大学の工学系研究科長が組織する8大学工学部長会議は経団連に対して、「企業の行き過ぎた採用活動や就職前研修が是正され、大学院における教育研究が正常に推進される環境を取り戻せるよう強く要望いたします。」との主旨の要望書を出し、就職活動の早期化、長期化及び入社前研修による学生の拘束の是正を要求している。
経団連は加盟企業に対して採用試験や面接は、6月1日以降に行うことを紳士協定として呼びかけている。
=== 企業側の採用活動 ===
==== 会社説明会 ====
企業が、自社のことを志望者により知ってもらうために開催する説明会のことで、セミナーとも呼ばれることが多い。自社ビルで行われることが多いが、外部の会議場などを借りて行われることもある。会場のキャパシティの問題もあって、基本的に先着順で受付を行い、満員になったら締め切られる。志望する学生や求職者を集めて、会社概要や募集要項などを説明するのが一般的である。
しかし、単純に会社の説明のみを行う企業もあれば、その日に面接、あるいは選考試験に移行する企業も少なくない。エントリーシート記入や、筆記試験がセットになって行われることが非常に多い。この場合、エントリーシートは「アンケート」や「受付票」、筆記試験は「適性検査」などと称される。
よって、「たかが会社説明会」と高を括るのではく、万全な態勢で臨む姿勢が求められる。
以降の選考には、説明会参加が必須となっている企業も多いため、意中の企業への説明会予約は早めに行うべきである。
最近では、Web上で予約を受け付ける企業がほとんどである。
いずれにせよ、資料請求に次ぎ、企業と直接コンタクトが取れるのがこの会社説明会である。その日に直接、あるいは個人宛のメールなどでその後の日程を告知される場合が多いので、スケジュール管理も徹底しておくことが望ましい。
==== OB訪問 ====
OB訪問(オービーほうもん)とは、主に大学生が就職活動を行うときに情報収集の一環として行う行為。訪問相手が女性(OG)ならOG訪問という。すでに企業で活躍されている先輩方を訪ねて、会社のリアルな情報を収集する行為のことである。
就職情報誌などの情報は、客観的な内容に陥りやすいため、OB訪問は就職活動において必要不可欠なものとなっている。
自分の大学のOBを訪問することからそう呼ばれる。大学4年に行うことが多い。
OB・OGの連絡先を調べ、直接連絡を取り、面会依頼をするという方法もあるし、希望の企業の人事担当者に連絡し、OB・OGを紹介してもらうという方法もある。
面会のアポイントが取れたら、実際に会って話を聞く。資料を見ればわかるようなことは、聞かない方が良いとされる。
類似する語句として、「OB懇談会」というものがある。
OB訪問が学生側からOBにはたらきかけるものであるなら、OB懇談会はその逆で、就職部主催で企業で勤務している先輩方を呼び、懇談の場を設けるという企業側からのはたらきかけに近いものがある。
どちらにしても、会社の雰囲気を知るため、企業研究や職業選択のため、そして採用に向けての第一段階として必須なことである。
企業によっては実質的な第一次面接を兼ねているところもある。
面会をしてもらったら後日、礼状を出すのがマナーである。
個人情報保護法の施行に伴い、OB・OGの連絡先を教えない企業も増えている。
個人情報に該当するか否かにかかわらず、OB・OG本人の同意が得られた場合にのみ、連絡先を開示してもらうことが望ましい。
==== エントリーシート ====
エントリーシートとは、就職活動において大企業や一部の中堅企業が独自に作成した応募用紙である。「ES」と略される事もある。ESは主に一次選考として応募者の絞込みに使われる。有名企業では応募者の大部分がESで不合格となる場合が多い。
ESの内容は、氏名と連絡先、出身高校名と大学名(中途採用の場合はこれに加えて職歴)を記載する欄の他、各企業が独自に作成した何問かの設問がある。
これらの設問の内容は志望動機や自己PRに関連した内容が対多数で、記入欄が広く取られ、論作文試験と同じような形式になっている事が特徴である。
また、TOEICや英検などの資格や特技などを申告させるスペースもある。履歴書と違い、捺印はしないので記述にある程度誇張や潤色があったとしても、経歴詐称には問われないし企業側も想定している。
ただし面接でその件について質問されても明確に答えられるようにしておかなければ、苦しい状況に追い込まれることになる。これにより、同時に応募者の文章力も分かるため、論作文試験を課さない企業もある。
そして、ES選考や筆記試験に通ると、次は面接がある。ここでは、ESの内容が話題になる場合がある。
この時、ESの内容と面接での発言が矛盾していると、面接官の評価が悪くなる。
==== 面接試験 ====
面接試験では、学校や企業が受験者に直接会って質問する試験方法の1つである。質問に対する答えの内容、受け答えの仕方や態度について評価をする。
形式は、個人面接や集団面接ないしグループディスカッションがある。幾つもの方法があるのは、より多くの情報を面接を受ける側から引き出すためである。
就職の場では、民間企業の正社員採用のほか、公務員試験や教員採用試験においても、殆ど全てにおいて面接が行われる(ただし非正規雇用で雇われる場合は電話先着順や書類選考だけということもある)。
大企業では複数回面接し、最初の段階で採用担当者(人事部)が、最終面接では役員が面接に当たることが多い。
中小企業は直接雇用者が一度だけ面接をして決めることもある。
特に国家公務員の採用試験では筆記試験合格後官庁訪問をして省庁ごとの数次の面接を受ける必要がある。
面接担当者によっては、応募者・受験者に対して故意に高圧的な態度を取ったり、受験者の嫌がる内容を質問するいわゆる「圧迫面接」を行う場合もある。
この手法はプレッシャーや予測できない事態への反応、不条理・理不尽な状況に対してどう対応するか見たい場合に行われる。
こうした手法の中には侮辱や名誉毀損などに相当するものも多数見受けられる。
絶対的に弱い立場の受験者を愚弄するかのような面接手法には批判もあるが、業務に求められる資質を見出す上で必要だという理由付けから行われる。
ただしこれは受験者の受け取り方次第でもある。
何人かの受験者と共にグループディスカッションを行い、時事問題等をテーマに話し合い、その発言や議論の進め方などを見て評価する手法もある。
他者との関係をどう構築するかや、テーマへの参加に対する積極性、あるいは他者の意見を汲み取る理解力などが観察される。
テーマは採用される業務に関係しない場合もあるが、その多くでは新聞などで情報収集が可能な範疇である。
採用活動において「コミュニケーション能力」の重視を標榜する企業や官公庁も多く、就職試験の際に筆記試験より面接が重視されるのはもはや常識である。
1990年代後半以降、大学やハローワークが就職率向上という名目で「面接対策セミナー」、「コミュニケーション能力養成講座」等を学生等に対し行うことも増加した。
==== グループディスカッション ====
グループディスカッションとは、集団討論のことである。あるテーマについて複数で議論し合い、学生の発言内容や態度を採用担当官が審査していくという形式で行われる。
一般的にグループディスカッションでは、4~10人程度の学生を集めて実施される。
近年では多くの企業が、このグループディスカッションを採用選考の過程に取り入れるようになっている。
ただし、その目的や実施段階は、それぞれの企業によって異なるようである。
最終選考の手前あたりで優秀な学生を選び出すために行われることもあれば、一次面接と二次面接の間あたりで「足切り」的に行われることもある。
通常、グループディスカッション試験をクリアできる学生は、5割以内となっており、言い換えれば半数以上の学生がこのグループディスカッションで不採用となる。
一般的に誤解されがちであるが、与えられたテーマに対して自分の意見を明確に話したとしても、グループディスカッションとの合格には直結しないといえる。
独断的な言動や、逆に全く目立たないことは選考上不利になるとされる。
グループディスカッション試験を突破するためには、まずグループディスカッションのルールと目的、意義を理解することが重要とされる。
== 高校生の就職活動 ==
高校生は、現在も大学生と並んで新規就業者の多くを占める。
就職を希望する高校生は9月16日の就職選考解禁日から、一斉に会社を訪問して入社試験を受け、筆記、面接など数週間の選考の後に内定を得る。
後述の大学生の就職活動と異なり、中学生や高校生の 新卒求人については、職業安定法に基づきすべて公共職業安定所(ハローワーク)を通して学校に掲示することが義務付けられている<ref>中学生や高校生は未成年であり、無秩序な就職活動で学業が混乱するのを抑制する観点からの規定</ref>。
10月末までは1人1社が基本だが、11月からは同時に複数の企業を受けられる。
したがって、実際の応募については 学校を経由して企業とコンタクトを取ることになる。
また、大企業などへの就職試験を受けるためには、学校での書類選考を受けなければならず、しかも、抽選で受験者を決定する。
不採用になったら再び別な企業に挑戦し、学校での書類選考を受けることになる。
高校生の就職内定率は通常、年度末には90数%となる。
2010年度も「前年度より4ポイントほど低くはなるが、最終的には92%程度までにはなるのではないか」と予測されている。
ただ、2008年以降の雇用の冷え込みによる求人数の減少から、未内定のまま卒業してしまう生徒が多数出てくるだろうとの見方が強い。
== 中学生の就職活動 ==
日本では、法律により「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない」とされており、小学校と中学校の進級制度が年齢主義に基づく例が多いので、その期日と中学校の最終学年終了日が同じ日である例が多い。このため、就職を希望する中学生は1月1日の就職選考解禁日から就職活動の最初の機会となる。
18歳未満の労働者は法律により年少者として扱われるため、年少者を証明する書類を事業所に備え付けなければならない上に深夜労働や時間外労働ができなかったり危険有害作業が制限されたりするなどの制約がある。
就職先は極めて限定的で学歴よりも個人の技量に依存される職種である職人(特に伝統工芸や料理人、伝統芸能など)や作業が単調で高い学力をあまり必要としないブルーカラー(特に建設業や製造業など)や一部のサービス業(特に飲食業など)と呼ばれる職に限られる。
高校進学率が97%強を占める昨今では中学生の就職率は1%にも満たない。企業(特に地方)によっては資格や自動車運転などの免許を必要とするところもあるため、年齢の下限で国家資格や免許の取得が制限される中学生にとっては就職活動は厳しい状況にある。
企業は学校とは異なり、勉強を教える場所ではないことを理解する必要がある。中学を卒業しただけでは高校で学ぶべき教育を教わっていないため、定時制高校や通信制高校に通いながら働いたり企業内学校のある企業へ就職希望する人もいる。
==就職活動の共通事項==
ここまで、所属別に就職活動の進め方を紹介してきたが、共通して言えることを紹介する。
=== 自動車免許 ===
多くの企業では採用活動時、志望者の将来的な保有資格として、自動車の運転免許を企業は気にする。大学生の場合は、学業の兼ね合いもあるのでたとえ免許を持っていなくても、多くの企業は許すが<ref>ただし運送業界などは別だろう。</ref>、なるべく夏休みなどに自動車教習所に通うなどして、「将来的には自動車免許を取得する意思がある。」ことを企業側に見せたほうが良い。企業の実務では、移動や運搬などのために自動車を運転することが多いからである。高校生の場合は、18歳になったらなるべく早めに取得の検討を行ったほうが良い。
なお、普通自動車の免許の種類には、MT(マニュアル車)とAT(オートマ限定)がある。なるべくMT免許を取るのが無難であり、AT限定では通勤以外しか使い道がない。自動車を購入しに行く予定までは必要ない。一般の会社には社有車がある。
自動車の免許を取得するのは、最低でも3ヶ月程度はかかる。企業もそういった事情を知っているので、あまりすぐには免許を取るように要求しない。ただし、就職してから教習所に通うのは時間的に難しいので、一般的には就職前に教習所に通っておくのが慣習である。たとえ免許を取れなくても、なるべく運転の練習をしておくのが望ましいだろう。
== ブラック企業の注意 ==
企業の中には、労働基準法などに違反しており、従業員に低賃金で重労働をさせている企業もあり、そのような企業を [[w:ブラック企業|ブラック企業]] と言う。また、違法行為などを行って利益を上げている企業のことも、ブラック企業と言う。
たとえ成長産業や成長企業であっても、ブラック企業である場合がある。従業員を低賃金で重労働させることによって、利益を上げているから、会社が成長できるというわけである。
ついつい「知名度の高い大企業なら、安全」と考えがちだが、そうとではない。知名度の高い企業であってもブラック企業の場合がある。なぜなら従業員に重労働をさせてるので会社の利益率が高く、したがって広告費に金を掛けることができるからです。
ブラック企業には、就職しないほうが安全である。ブラック企業の多い業界は、業界自体を敬遠したほうが安全だろう。
=== ブラック企業の傾向 ===
(※ 例である。)
* 末端従業員の犠牲と大量消費を前提とした経営
** 一時的に大量採用したり、社員を全員名ばかり管理職にするなど、従業員の過剰な負担や、短期の雇用による'''使い捨てを前提としたビジネスモデル'''が構築されている。
** '''雇われ店長、名ばかり管理職'''などの一部の現場の責任者がまともな権限や待遇を与えられず責任だけを負わされる。不祥事や事故が起きても末端社員に刑事責任・社会的責任や国家資格の剥奪などのペナルティを全て負わせ、経営陣には一切の責任が及ばないシステムが巧妙に構築されている。
* イメージの偽装
** 「明るい雰囲気」→「明るいという感想を強制される雰囲気」。体育会系的な体質の企業(根性論中心の営業職、精神論中心の社風、経営者や上司、先輩社員による理不尽な暴力や暴言が日常茶飯事)
** 求人誌での好々爺風の初老の男性や綺麗目な女性の写真や、社長と社員が笑顔で語らう写真など無害そうなイメージを前面に出す企業→印象操作によりブラック会社であることを逆に隠そうとしていることを疑わせる。
** 求人広告や会社の求人用パンフレットでの「働きやすい」「実力を発揮できる」「私(僕)の人生を変えた」などの体験談→上層部や求人誌の制作会社による「やらせ」。
** 求人サイトにおける「学生に人気のある企業ランキング」の投票でアルバイトを雇ったり社員を動員させたりして「組織票」を入れさせ、あたかも大学生に人気があるかのように擬装する。
**「明るい明日」、「明るい未来」、など曖昧かつポジティブな将来像を強調する。→現状はその正反対であるということ。
* 業種・職種の偽装
** 不人気な業種・職種で募集する際、カタカナ語や専門用語、あるいは独自の造語などを用い、誤認を導く曖昧な表現が多用されている。
*** 例えば、不人気な職種である飛び込みの訪問販売や営業を「販売」(小売業のような店舗内での販売と誤認されやすい)「○○アドバイザー」「○○エージェント」「○○プランナー」と言い替えたり、「お客様サポート」が修理[クレーム対応の電話係を兼任させるなど。
***パチンコ・パチスロ店の場合、業種を単に「遊技場」
[パーラー」としか記載せず、店員を「アミューズメント・スタッフ」「ホールスタッフ」のように表現する。<ref>ゲームセンターのスタッフも「アミューズメントスタッフ」と呼ばれることがあるため、混同しやすい。風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)に基づく「遊技場」には、パチンコ店や性風俗の他にも、ゲームセンターや雀荘なども含まれるため、適用範囲が広くなっている。</ref>
** 高給の職種を強調する求人誌の中には、職種が単に「営業」「販売」(悪徳商法・詐欺的な訪問販売や勧誘の可能性あり)「接客」(違法風俗の業種・職種の可能性あり)「データ入力」(迷惑メール業者や出会い系サイトのサクラ役などパソコンやインターネットを使った犯罪を生業とする会社の可能性)などとしか書かれていない企業もあり、業種や職種を明確に記していないのもある。
** 「講師募集」→悪徳教材会社の訪問販売。また、実際の「教室」である場合でも、異業種の会社が手掛けるサイドビジネスであることも珍しいものではなく、全く門外漢の上司に振り回されたり、講師業とはかけ離れた会社の本業を手伝わされることも多い。
** 内勤事務の求人にもかかわらず「要運転免許」→物品の調達や別の事務所での打ち合わせ、顧客の送迎などで社用車を運転する必要性もあるが、入社後に「人手不足」「適性が欠如している」などの口実がつけられ、営業職へ強制的に職種転換させるケースもある。
** 業務請負会社・人材派遣会社の「営業」や「コーディネーター」→請負社員・派遣社員の募集。「現場研修」の名目で、取引先(請負先・派遣先)企業に単なる請負労働者・派遣労働者として請負・派遣する。
** 募集職種が「幹部候補生」→小売業や飲食業など、接客業に多い。実際はただの店長募集。正社員募集とセットになっていることが多く、店長が「名ばかり管理職」扱いをされる可能性も。
* 経営者の責任感の欠如
** 経営者・上層部の負うべき責任を(広告、ウェブサイトなどで)明示していない。
** 経営者・上層部に「社内で強大な権限を持つ代わりに重い責任も負っている」という根本的な'''責任の自覚がない'''。(実際は責任は末端に押し付けており、経営者は権限だけ大きい。)
** '''独裁的経営、恐怖政治的経営、ワンマン経営、同族経営、社会的成功による増長'''などが要因となり、成り行き任せの経営、法制度に対する軽視が蔓延している。
** 部下に対する'''暴力制裁の横行'''。確信犯的にパワーハラスメントを繰り返し、それを指摘されると言いがかりであると主張する。実際に暴力を自覚していない事も多い。
** '''セクシャル・ハラスメント(いわゆる「逆セクハラ」も含む)、暴言や暴力などのパワーハラスメント、職場いじめ'''が起こっても「言われたことができないから」とか「これぐらい耐えて当然」などと黙認、正当化する。または上司や幹部が職場いじめに加担している。問題化した際には激励・叱責・教育などと主張したり、「そんなことしたつもりはない」「指導の一環である」と管理責任の全否定に走る。
* 周辺人物や交友関係が原因の労働環境の悪化
** 経営者・上層部に'''暴力団などの反社会的勢力やフロント企業との関係'''がある。あるいは、それらの構成員や関連の深い人物が内密ないし公然と経営に関与・干渉している。
** 経営者・上層部に'''カルト、宗教団体、新興宗教'''との繋がりがあり、会社組織やその上下関係が教勢拡大に利用されている。
** 会社経営の知識が一切なく、経営的責任を負う立場でもない社外の人物(元官僚や県市町村職員の天下り、経営者の親族や時には愛人など)や、経営者や会社と特定の利害関係を持つ人物が会社組織に入り込んで我が物顔で跋扈したり、'''会社や資産を私物化'''している。現場の実情や現実性を無視した素人経営や、反社会的勢力による組織や経営への介入・干渉が引き起こされるなど、労働環境悪化の原因となる。
* 会社の宗教化
** 経営者を神格化し、個人崇拝を強制する。職場に経営者の写真が飾られており朝礼や出社時に礼をする、経営者の偉業を湛えることを趣旨とした社内行事があるなど、
** 経営者の個人歴や言語録の暗記、経営者の著書の購入、感想文の執筆などが通常の業務の一環として義務付けられおり、経営者への信仰心が仕事の評価に繋がる仕組みになっている。
** サービス残業など劣悪な労働環境が美徳とされており、それらを自主的に行わざるを得ない雰囲気が作られている。外部で問題化した際は「従業員が自主的にやっている」と主張したり、信仰心の強い社員の言動を盾に「これを問題化することは従業員に対する侮辱だ」と主張する。
==== ブラック企業の面接 ====
* 面接が一切ないか、形骸化している。大量に離職するか離職されてもすぐに代替の人材を確保できるため、よほどのことがない限り採用される。
* 面接時に履歴書や職務経歴書を提出しても、内容を精読せず質問する。そもそも履歴書も要らないところも多い。
* 質問の際、好都合な待遇(給与・休日など)に関する質問をすると、曖昧な返答しかせず、言葉を濁そうとする。
* 面接の担当者が応募者より年上である場合、または応募者の職業経験が浅い(転職が多い)場合、横柄な態度で質問してくる。
* 「学歴不問」「人物本位の選考」→退職者が多いことと、すぐに代替の人材が確保できることから、入社するなら誰でもよいことの一例。
* 派遣先企業での事前面接→顔合わせ・打ち合わせ・面談・職場見学などの名目で行われる。交通費や拘束時間分の賃金は支給されない。違法行為。正社員への転換を前提とする紹介予定派遣を除き人物を特定する事前面接行為は違法である。常用型(専門職)派遣で無期契約であっても違法行為。
* 休業日、あるいは業務とは無関係な場所で面接や説明会・選考試験を行う。「今の時間はたいして忙しくないから」「個人情報を扱っているので」などとの口実を付け、不都合なものを見せないようにするため職場の見学を拒否する。
* 不採用になった場合、応募者の履歴書・職務経歴書などの応募書類を返却してこない。または応募者に送料を負担させる(返信用の封筒と切手を添付するよう要求する)。
==== ブラック企業の採用方法 ====
* 採用通知を書面で通達しない。採用通知の電話連絡や雇用契約の締結後に、雇用条件を口頭のみで次々と変える。職種の変更などもある。これらは録音しない限り証拠が残らない。
* 個人事業者として採用する。社員でない場合、労災の責任や社会保険の会社負担がない。正社員で採用されたと思っていても、労働契約書の記載が違う場合がある。あるいは正社員で採用したかのように誤認させる。
* 採用後に雇用契約書を書かせない(労働者に不利な雇用契約を締結させるため)。または契約書のコピーを控えさせない。
* 採用後に従業員の給与振込み用の口座を尋ねないか、または従業員に給与のシステム(タイムカード制か歩合制かなど)を一切伝えない。働きが悪ければ、給与未払いまたは減給や解雇しようと目論んでいるため。
* 法人ならば加入義務がある社会保険の制度がない、あるいは入社後一定期間を経なければ加入できない。
* 従順な人間だけを絞り込もうとしている。試用期間中に新人教育と称して暴力行為・しごきを行ったり、過重なノルマを与えたりして絞り込もうとしている。
* 試用期間が長すぎる。解雇されやすく、給与が低く抑えられる。
* 内定通知を出しておきながら、年度が替わる前に研修などを行い、働きがよくなければそこで内定を取り消す。
=== 商工会議所会員のブラック企業 ===
また、小企業や零細企業の場合、地元の商工会議所などの会員企業であっても、ブラック企業の場合がある。
商工会の会員企業というと、なんとなく会員になるための審査が厳しそうだが、たんに地元の会社であって、ある程度の資本金とかがあって、あとは年会費を払えばイイわけであるのでブラック企業でも入会できる。
むしろ、ブラック企業だからこそ社長は本業がヒマだし、マスコミなどへの技術アピールもろくにできない技術力なので、自治会活動などでの宣伝には余念を欠かさないわけである。
一方有能な企業ほど、他地域の企業などとの取り引きが忙しく、ごく一部の地元の下請け取引先との付き合いを除けば、あまり地元の企業との付き合いが無いという場合すらありうる。
=== 製造業や農業の違法企業 ===
「ブラック企業」と聞くと、ついつい営業販売活動や転売屋や小売業・外食産業などを想像してしまいがちであり、製造業や土木工事などの技能職などの現業や農業ではブラック企業はありえないと考えがちだが、そうとは限らない。
賃金が安くてボッタクリだから、ろくな技術が無くても、安値で製品を売る事ができるので、利益を上げられてしまうのである。
中小の製造業や土木工事業や農業などでも、労働基準法の最低賃金を下回る賃金だったり、外国人研修生や不法滞在・残留外国人などを働かせている企業も、ときどき発覚している。不法滞在者などを残留させてる違法企業は、入国管理局などに査察されてバレたり、場合によっては警察沙汰になって経営者が刑法的に処分・逮捕される。
製造業や土木工事のブラック企業では、経営者にろくに専門技能も業界人脈も無い場合もある。叩き上げの職人あがりのビジネスマンを装い、無知な若者を雇って、低賃金で働かせている企業もある。
また、たとえ親子代々続く地元の中小企業でも、たとえ先代や先々代の社長が人格者で熟練した職人あがりで誠実だからって、跡取り息子の現・社長が人格者とは限らない。そのようなブラック企業の社長的な息子でも、親の情で跡取りにさせた場合もありうるだろうから。
==脚注==
<references/>
== 関連サイト(参考文献) ==
{{Wikipedia|就職活動}}
*[http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BD%A2%B3%E8 就活とは - はてなキーワード]
*[http://s-coach.com/students 2011年度の新卒就活環境 - 就職・面接対策の就活塾「就活コーチ」]
{{DEFAULTSORT:しゆうかつかつとうかいと}}
[[Category:生活]] | 2006-10-09T14:52:38Z | 2023-09-25T07:49:32Z | [
"テンプレート:Wikipedia"
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4,297 | OpenGL | メインページ > 工学 > 情報技術 > プログラミング > OpenGL
ここまでで2Dのゲームプログラミングを見てきました。ここまででもある程度高度な数学が現れています。例えば,w:ベクトルやw:三角比はその例でどちらも高等学校数学で扱われる題材で、割合高度な数学といえます。残念ながら3Dプログラミングでは更に高度な数学が必要となります。
3Dプログラミングでは4x4までのw:行列の演算が必要になります。2x2までの行列演算については高等学校数学Cを参照してください。また、任意の階数の行列演算については線型代数学を参照してください。具体的には、逆行列を求める演算(w:クラメールの公式、w:ガウスの消去法など)までを学習しておくとよいでしょう。
また、ゲームによっては初等的な力学の法則を扱う場合があります。残念ながら3次元空間での一般的な力学運動は高等学校物理の範囲を超えます。このような内容を習得するには,古典力学を読む必要があります。
いずれにしても、3Dプログラミングに必要な数学はw:理系の大学1, 2年程度で習う内容です。
w:3D (3 Dimension) プログラミングは3つの数値で表される座標を持つ物体を扱うプログラミング技法です。普通コンピュータで画面表示として用いられているw:ディスプレイは、厚みのある事柄を表示することはできません。これは、ディスプレイの表示方法が2つの座標(縦と横)で表される表示方法であることによります。一方,計算機上のデータとしては,3つの数値を組として扱うことは,2つの数値を組として扱うことと比べて格別に難しいことではありません。そのため、ある物体が存在する位置を3次元の座標で表し,その座標を操作することで物体の3次元中での移動などを扱うことができます。この時,最終的に操作の結果を表示するには2次元のディスプレイを扱う必要があるため,3次元の座標を2次元の座標に変換する方法が必要になります。
3次元の座標から2次元の座標を引き出す方法として,射影行列(線形代数などを参照)を利用する方法があげられます。射影行列 P i {\displaystyle P_{i}} は,
(和を取らない)を満たす行列のことです。ここでは、z軸方向を厚みの方向として取り,射影行列として,
を取ります。この2つの行列は P 1 + P 2 = 1 , P 1 2 = P 1 , P 2 2 = P 2 {\displaystyle P_{1}+P_{2}=1,P_{1}^{2}=P_{1},P_{2}^{2}=P_{2}} を満たします。ここで、ある点 x → {\displaystyle {\vec {x}}} の3次元座標を
とした時,その点の2次元座標を
のx, y成分で表します。これはあらゆる3次元座標にただ1つの2次元座標を与える射影で,3次元座標から2次元座標を取り出す1つの方法ということになります。
ここまでで3次元座標から2次元座標を取り出す方法を述べました。ここからは、実際にこの方法をプログラムする方法を述べます。上の方法を扱うには、行列の計算と、ベクトルを扱う方法が必要です。実際にはこれらの方法はいろいろなライブラリで扱われており(例えば,w:en:GSL(GNU Scientific Library)など),実際のプログラミングではそれらを用いるとよいでしょう。もちろん自力で実装することもできます。
上で述べた通り,行列やベクトルを扱う演算はプログラムで扱うこともできますが,実際にはそれはあまり行われません。それはそのような計算はw:CPUにとって手間がかかることが多く,全てをCPUを使って計算しようとすると多くの時間がかかるからです。このような計算を扱うためには,w:グラフィックボード、w:ビデオカードと呼ばれる機器を使うことが推奨されます。これらは、3次元の計算をするために特化した演算装置(CPUに対して,w:GPUと呼ばれることがある)を持っており,CPUを使って計算を行うよりも速く演算を行うことができます。ただし、そのような機器がない環境でも全ての計算をCPUを使って行うことで3Dの描画を行うことは可能です。
ここまでで、3Dの計算を扱うために専用の機器を使えることを述べました。ここからは実際にそのような機器を使う方法について述べます。また、そのような機器がなくとも,同じプログラムを使ってCPUに計算をさせる方法があることについても述べます。
実際に何らかの機器を用意した時,その機器に実際に計算をさせるための手法が必要になります。この手法は環境によって少し異なっています。各社が発売しているw:グラフィックボードのw:デバイスドライバには,それらの機器を利用者のプログラムから利用するための一連の関数が用意されています。関数群には通常2つがあり、これらはそれぞれw:DirectX、w:OpenGLと呼ばれます。Windowsからは両方の関数群が使えることが普通です。一方,他の環境(w:Mac OS X、w:Linuxなど)からはOpenGLしか使えません。これらの関数群は互いに互換性が無いので,実際に使用するときは注意が必要です。ここではOpenGLについて扱います。
ここで,グラフィックボードなどの機器が用意できないなどの理由で全ての計算をCPUに行わせる場合のことを述べます。この場合は基本的にグラフィックボードが提供する機能を1つ1つプログラムしていくことになります。実際には,このような場合にはw:en:Mesa 3Dなどのライブラリを使うのが1つの手段です。Mesaは、OpenGLが提供する機能を実際にプログラムしたもので、1つ1つプログラムする手間が省けます。Mesaはw:オープンソースライセンスで配布されているので自由に手に入れて使うとよいでしょう。
ここまでで3Dの計算を行う方法について述べました。ここでは実際にOpenGLのプログラムを扱います。OpenGLのチュートリアルはWeb上で公開されているので,紹介します。(OpenGL Redbook http://fly.srk.fer.hr/~unreal/theredbook/ ) また、OpenGLの詳細な規定は、http://www.opengl.org/documentation/specs/ で入手できます。
OpenGLを利用して計算を行うのですが、OpenGLが行うのはあくまで計算であり,画面への描画では無いことに注意が必要です。画面への描画はOpenGLでの計算結果に従って描画を扱うプログラムが行います。Linuxでは描画はw:X Window Systemが行い,Mac OS Xでは、w:quartzが行います。そのため、結果の描画を行うためには,描画を行うプログラムに,OpenGLを利用することを知らせる必要があります。
残念な事にこの作業を行う方法はウィンドウシステムによって異なっています。Xの場合にはglX関数を使い,Xに指示を出しますが、この方法は他のプラットフォームでは使えません。幸いにもこのような作業を様々なプラットフォームで使う方法として,w:GLUT、w:SDLなどを利用することができます。ここでは、SDLを利用する方法について述べます。
GLUTは本来GLの利用を簡単にするために作られました。一方,SDLは本来ゲームプログラミングを行うことを目的として作られたライブラリです。しかし、いずれにしろ3Dプログラミングを行うためにはOpenGLの利用は必須なので,SDLもGLUTに近い機能を持っています。どちらもWindows, Mac OS X, Linux上でOpenGLの動作を始めることができます。
SDLでOpenGLを利用するときには
とします。ここではこのプログラムについて順に説明していきます。まず、OpenGLを使わなくとも、SDLを利用する場合でも、1, 3, 4, 5, 6, 9, 10行は必要となります。ただし,4行目は、
などと書き換える必要があります。
ここからは、実際にOpenGLの関数を書いていきます。ここで書かれるプログラムは上のプログラムの7行目以降に書かれるものです。
このプログラム(tri.cとする)をコンパイルするには,いくつかのコンパイラオプションが必要です。コンパイラがw:GCCなら、
となります。実際にGLの関数が置かれている場所は環境によります。X+MesaではXが置かれているディレクトリにあることが普通ですが,グラフィックボードのドライバを利用するなら,w:メーカーの指定したディレクトリを使う必要があります。また、上の例では必要ないですが,-lGLUをつける場合もあります。これはglu.hで定義された関数を利用する場合に使います。glu.hの関数は実際にはgl.hの関数をいくつか組み合わせた関数ですが,よく用いられる組み合わせなので、gl.hの関数とともに配布されます。
このプログラムを実行すると,黒い背景の中に白い3角形が描かれるはずです。
上のプログラムの結果を説明するにはいくつかの事柄を説明する必要があります。まず、上のプログラム内で,
という関数が使われています。この関数はその中で指定された事柄(主に頂点に関する事柄)を記録させます。記録できる事柄は頂点の位置や色などがあります。頂点の位置を指定するには
を使うことができます。ここでこの関数名はOpenGLに特徴的な事柄をいくつか含んでいます。最後の3fがそれでこれはそれぞれこの関数が"3つ"の引数を取ることと、その型が"GLfloat"であることです。ここでGLfloatはほとんどの場合float型のtypedefになっています。これ以降にもこの種の関数名は何度か出てきます。glVertex3fは、3つの引数によってそれぞれ3次元の座標を指定します。
さて、ここまでで上のGLプログラムの1-5行が、3つの座標を指定したことがわかります。実際にそれらの座標をどう使うかについてはglBegin()の引数が使われます。ここではGL_LINE_LOOPを使ったので,指定された座標は指定された順に直線でつながれます。
ここまでで、上のプログラム中で座標 (0,0,0),(0,1,0),(0,0,1) が指定され,これらが直線でつながれることがわかりました。これは3次元中で3角形を描くことがわかります。次の問題は,この三角形がどのようにディスプレイに投影されるかです。
OpenGLは3次元中に指定された座標の2次元中での位置を定めるために2つの行列を利用します。ここで、OpenGLでは行列を"扱う"場所は1つしか用意しなくてもいいことが定められています。もちろん、値を保存しておく場所は複数あるのですが,これらの値を変更するのに使う領域は1つです。そのため、これらの行列を使い分けるには,これらを所定の場所に呼び出す必要があります。ここで行列を指定するには,glMatrixMode()関数を使います。この関数は1つの引数を取り、その値で行列を指定します。2次元中での位置を指定するのに使う行列はそれぞれGL_MODELVIEW, GL_PEROJECTIONで指定されます。これらの行列の初期値は4x4のw:単位行列です。また、実際に使われるのはこれらの積であるので,値を変更するのは片方の行列だけでもあらゆる変換を指定することは可能です。
ここで2つの行列のそれぞれについてその性質を述べます。GL_MODELVIEW行列はそれぞれの頂点の座標を変更するのに利用します。実際には大抵の場合、この行列は
の3つの関数から利用されます。 これらの関数は順に,座標を"回転", "拡大縮小", "平行移動"します。これらの関数はそれぞれ対応する変換を行う行列を生成し、選択されている行列を変換します。ここではそれらの行列の詳細について解説します。対応する行列についてはそれぞれのmanを参照してください。(OpenGLのspecification http://www.opengl.org/documentation/specs/man_pages/hardcopy/GL/html/ )
translateの生成する行列は、
で与えられます。この行列は、元の頂点の3次元座標が v → {\displaystyle {\vec {v}}} で表されるときの同次座標 ( v 1 , v 2 , v 3 , 1 ) {\displaystyle (v_{1},v_{2},v_{3},1)} を、 ( v 1 + x , v 2 + y , v 3 + z , 1 ) {\displaystyle (v_{1}+x,v_{2}+y,v_{3}+z,1)} に変換しますが、これはまさに平行移動によって引き起こされる座標変換に対応しています。
scaleの生成する行列は、
です。この変換は3次元座標 ( v x , v y , v z ) {\displaystyle (v_{x},v_{y},v_{z})} を、 ( x v x , y v y , z v z ) {\displaystyle (xv_{x},yv_{y},zv_{z})} に変換します。これはx,y,zの値によってそれぞれの座標を拡大縮小する変換に対応します。
最後に、rotateで得られる行列を紹介します。
この変換の導出は少し厄介です。まず、原点から始まり、回転の方向を向いている単位ベクトルを n → {\displaystyle {\vec {n}}} とし、ある頂点の座標を表すベクトルを a → {\displaystyle {\vec {a}}} とします。このとき、この回転で変化するのは、 a → {\displaystyle {\vec {a}}} のうち、 n → {\displaystyle {\vec {n}}} に平行でない成分のみです。
n → {\displaystyle {\vec {n}}} に平行な成分は、
で表されるので、実際に回転によって変化する成分は、 a → {\displaystyle {\vec {a}}} から上の分を取り除いたベクトルです。このベクトルを a → ⊥ {\displaystyle {\vec {a}}_{\perp }} と呼びます。このベクトルは回転によって変化しますが、これを表すには、 a → ⊥ {\displaystyle {\vec {a}}_{\perp }} と n → {\displaystyle {\vec {n}}} の両方に直交するベクトルが必要です。このベクトルを、
と取ります。このとき、回転する角度を θ {\displaystyle \theta } とすると、後のベクトルは、 r → = cos θ a → ⊥ + sin θ b → {\displaystyle {\vec {r}}=\cos \theta {\vec {a}}_{\perp }+\sin \theta {\vec {b}}} と書けます。
結局得られるベクトルは、
となります。ここからは、この結果が上の式と一致することを示すため、この式を整理していきます。まず、 a → ∥ {\displaystyle {\vec {a}}_{\parallel }} について、3x3行列
を定義すると、 a → ∥ = N a → {\displaystyle {\vec {a}}_{\parallel }=N{\vec {a}}} が成り立ちます。また、 b → {\displaystyle {\vec {b}}} について、3x3行列
を定義すると、 b → = R a → {\displaystyle {\vec {b}}=R{\vec {a}}} が成り立ちます。このことから結果の式について、
が得られますが、これを整理すると求めていた行列x a → {\displaystyle {\vec {a}}} が現れます。
次に、GL_PROJECTION行列について述べます。OpenGLでは、頂点の座標についてこれらの行列をかけた後 (-1, -1, -1), (1,1,1) で指定される立方体内にある図形を描きます。このため、例えば (0,0,10) にある図形は一般には描かれません。しかし、図形を3次元中に描くときの事情で、これらの位置を自由に指定できないと不便です。GL_PROJECTION行列は"描画される範囲を広げる"目的で利用されます。また、この行列は、"遠くにあるものほど小さく見える"という状況を扱うためにも利用されます。
まず、"描画される範囲を広げる"場合について行列の指定の仕方を説明します。実際には範囲を広げているのでは無く,"(-1,-1,-1)(1,1,1) 内に入るように、遠くにあるものを近くに持ってきている"のが正しいのですが、どちらにしろ結果は同じです。これを指定するにはglOrtho()関数を利用します。glOrtho関数は6つの引数を取り,それぞれ描画する立方体(一般には直方体)を指定する座標を取ります。引数は順に
と呼ばれ,描画される直方体は(left, bottom, near)(right, top, far)で指定されます。このとき、glOrthoを利用しないときは
が指定されたときと同じ結果になることがわかりますが、実際にはこの指定は4x4の単位行列を返すので指定を省略したときと結果は同じになります。対応する行列は
となります
次に、"遠くにあるものほど小さく見える"の場合について説明します。これを指定するためには,いくつかの変数が必要になります。まず、"物体を観察するもの"が (0,0,0) にあるとします。次に,遠くの物体が縮小される割合を指定します。これは、投影された後のx座標とy座標に対応して2つのパラメータが必要です。更に,見える方向がz方向で無い場合を扱うために2つのパラメータが必要となります。最後に,上で指定した角度の方向に実際に描画するz座標の範囲を指定します。これらを全て指定すると、描画される領域は角錐 (w:en:frustum) になります。
実際にこの領域を指定するにはglFrustum関数を利用します。glFrustum関数は6つの引数を取りますが,それぞれの引数は
で与えられる名前をもっており、縮小される割合を定める四角形がl, r, t, b、四角形の位置がn、描画される範囲がfで定められます。glFrustumで与えられる行列は
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"text": "を取ります。この2つの行列は P 1 + P 2 = 1 , P 1 2 = P 1 , P 2 2 = P 2 {\\displaystyle P_{1}+P_{2}=1,P_{1}^{2}=P_{1},P_{2}^{2}=P_{2}} を満たします。ここで、ある点 x → {\\displaystyle {\\vec {x}}} の3次元座標を",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 9,
"tag": "p",
"text": "とした時,その点の2次元座標を",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 10,
"tag": "p",
"text": "のx, y成分で表します。これはあらゆる3次元座標にただ1つの2次元座標を与える射影で,3次元座標から2次元座標を取り出す1つの方法ということになります。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 11,
"tag": "p",
"text": "ここまでで3次元座標から2次元座標を取り出す方法を述べました。ここからは、実際にこの方法をプログラムする方法を述べます。上の方法を扱うには、行列の計算と、ベクトルを扱う方法が必要です。実際にはこれらの方法はいろいろなライブラリで扱われており(例えば,w:en:GSL(GNU Scientific Library)など),実際のプログラミングではそれらを用いるとよいでしょう。もちろん自力で実装することもできます。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 12,
"tag": "p",
"text": "上で述べた通り,行列やベクトルを扱う演算はプログラムで扱うこともできますが,実際にはそれはあまり行われません。それはそのような計算はw:CPUにとって手間がかかることが多く,全てをCPUを使って計算しようとすると多くの時間がかかるからです。このような計算を扱うためには,w:グラフィックボード、w:ビデオカードと呼ばれる機器を使うことが推奨されます。これらは、3次元の計算をするために特化した演算装置(CPUに対して,w:GPUと呼ばれることがある)を持っており,CPUを使って計算を行うよりも速く演算を行うことができます。ただし、そのような機器がない環境でも全ての計算をCPUを使って行うことで3Dの描画を行うことは可能です。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 13,
"tag": "p",
"text": "ここまでで、3Dの計算を扱うために専用の機器を使えることを述べました。ここからは実際にそのような機器を使う方法について述べます。また、そのような機器がなくとも,同じプログラムを使ってCPUに計算をさせる方法があることについても述べます。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 14,
"tag": "p",
"text": "実際に何らかの機器を用意した時,その機器に実際に計算をさせるための手法が必要になります。この手法は環境によって少し異なっています。各社が発売しているw:グラフィックボードのw:デバイスドライバには,それらの機器を利用者のプログラムから利用するための一連の関数が用意されています。関数群には通常2つがあり、これらはそれぞれw:DirectX、w:OpenGLと呼ばれます。Windowsからは両方の関数群が使えることが普通です。一方,他の環境(w:Mac OS X、w:Linuxなど)からはOpenGLしか使えません。これらの関数群は互いに互換性が無いので,実際に使用するときは注意が必要です。ここではOpenGLについて扱います。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 15,
"tag": "p",
"text": "ここで,グラフィックボードなどの機器が用意できないなどの理由で全ての計算をCPUに行わせる場合のことを述べます。この場合は基本的にグラフィックボードが提供する機能を1つ1つプログラムしていくことになります。実際には,このような場合にはw:en:Mesa 3Dなどのライブラリを使うのが1つの手段です。Mesaは、OpenGLが提供する機能を実際にプログラムしたもので、1つ1つプログラムする手間が省けます。Mesaはw:オープンソースライセンスで配布されているので自由に手に入れて使うとよいでしょう。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 16,
"tag": "p",
"text": "ここまでで3Dの計算を行う方法について述べました。ここでは実際にOpenGLのプログラムを扱います。OpenGLのチュートリアルはWeb上で公開されているので,紹介します。(OpenGL Redbook http://fly.srk.fer.hr/~unreal/theredbook/ ) また、OpenGLの詳細な規定は、http://www.opengl.org/documentation/specs/ で入手できます。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 17,
"tag": "p",
"text": "OpenGLを利用して計算を行うのですが、OpenGLが行うのはあくまで計算であり,画面への描画では無いことに注意が必要です。画面への描画はOpenGLでの計算結果に従って描画を扱うプログラムが行います。Linuxでは描画はw:X Window Systemが行い,Mac OS Xでは、w:quartzが行います。そのため、結果の描画を行うためには,描画を行うプログラムに,OpenGLを利用することを知らせる必要があります。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 18,
"tag": "p",
"text": "残念な事にこの作業を行う方法はウィンドウシステムによって異なっています。Xの場合にはglX関数を使い,Xに指示を出しますが、この方法は他のプラットフォームでは使えません。幸いにもこのような作業を様々なプラットフォームで使う方法として,w:GLUT、w:SDLなどを利用することができます。ここでは、SDLを利用する方法について述べます。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 19,
"tag": "p",
"text": "GLUTは本来GLの利用を簡単にするために作られました。一方,SDLは本来ゲームプログラミングを行うことを目的として作られたライブラリです。しかし、いずれにしろ3Dプログラミングを行うためにはOpenGLの利用は必須なので,SDLもGLUTに近い機能を持っています。どちらもWindows, Mac OS X, Linux上でOpenGLの動作を始めることができます。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 20,
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"text": "SDLでOpenGLを利用するときには",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 21,
"tag": "p",
"text": "とします。ここではこのプログラムについて順に説明していきます。まず、OpenGLを使わなくとも、SDLを利用する場合でも、1, 3, 4, 5, 6, 9, 10行は必要となります。ただし,4行目は、",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 22,
"tag": "p",
"text": "などと書き換える必要があります。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 23,
"tag": "p",
"text": "ここからは、実際にOpenGLの関数を書いていきます。ここで書かれるプログラムは上のプログラムの7行目以降に書かれるものです。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 24,
"tag": "p",
"text": "このプログラム(tri.cとする)をコンパイルするには,いくつかのコンパイラオプションが必要です。コンパイラがw:GCCなら、",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 25,
"tag": "p",
"text": "となります。実際にGLの関数が置かれている場所は環境によります。X+MesaではXが置かれているディレクトリにあることが普通ですが,グラフィックボードのドライバを利用するなら,w:メーカーの指定したディレクトリを使う必要があります。また、上の例では必要ないですが,-lGLUをつける場合もあります。これはglu.hで定義された関数を利用する場合に使います。glu.hの関数は実際にはgl.hの関数をいくつか組み合わせた関数ですが,よく用いられる組み合わせなので、gl.hの関数とともに配布されます。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "このプログラムを実行すると,黒い背景の中に白い3角形が描かれるはずです。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 27,
"tag": "p",
"text": "上のプログラムの結果を説明するにはいくつかの事柄を説明する必要があります。まず、上のプログラム内で,",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 28,
"tag": "p",
"text": "という関数が使われています。この関数はその中で指定された事柄(主に頂点に関する事柄)を記録させます。記録できる事柄は頂点の位置や色などがあります。頂点の位置を指定するには",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 29,
"tag": "p",
"text": "を使うことができます。ここでこの関数名はOpenGLに特徴的な事柄をいくつか含んでいます。最後の3fがそれでこれはそれぞれこの関数が\"3つ\"の引数を取ることと、その型が\"GLfloat\"であることです。ここでGLfloatはほとんどの場合float型のtypedefになっています。これ以降にもこの種の関数名は何度か出てきます。glVertex3fは、3つの引数によってそれぞれ3次元の座標を指定します。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 30,
"tag": "p",
"text": "さて、ここまでで上のGLプログラムの1-5行が、3つの座標を指定したことがわかります。実際にそれらの座標をどう使うかについてはglBegin()の引数が使われます。ここではGL_LINE_LOOPを使ったので,指定された座標は指定された順に直線でつながれます。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 31,
"tag": "p",
"text": "ここまでで、上のプログラム中で座標 (0,0,0),(0,1,0),(0,0,1) が指定され,これらが直線でつながれることがわかりました。これは3次元中で3角形を描くことがわかります。次の問題は,この三角形がどのようにディスプレイに投影されるかです。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 32,
"tag": "p",
"text": "OpenGLは3次元中に指定された座標の2次元中での位置を定めるために2つの行列を利用します。ここで、OpenGLでは行列を\"扱う\"場所は1つしか用意しなくてもいいことが定められています。もちろん、値を保存しておく場所は複数あるのですが,これらの値を変更するのに使う領域は1つです。そのため、これらの行列を使い分けるには,これらを所定の場所に呼び出す必要があります。ここで行列を指定するには,glMatrixMode()関数を使います。この関数は1つの引数を取り、その値で行列を指定します。2次元中での位置を指定するのに使う行列はそれぞれGL_MODELVIEW, GL_PEROJECTIONで指定されます。これらの行列の初期値は4x4のw:単位行列です。また、実際に使われるのはこれらの積であるので,値を変更するのは片方の行列だけでもあらゆる変換を指定することは可能です。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "ここで2つの行列のそれぞれについてその性質を述べます。GL_MODELVIEW行列はそれぞれの頂点の座標を変更するのに利用します。実際には大抵の場合、この行列は",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "の3つの関数から利用されます。 これらの関数は順に,座標を\"回転\", \"拡大縮小\", \"平行移動\"します。これらの関数はそれぞれ対応する変換を行う行列を生成し、選択されている行列を変換します。ここではそれらの行列の詳細について解説します。対応する行列についてはそれぞれのmanを参照してください。(OpenGLのspecification http://www.opengl.org/documentation/specs/man_pages/hardcopy/GL/html/ )",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "translateの生成する行列は、",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "で与えられます。この行列は、元の頂点の3次元座標が v → {\\displaystyle {\\vec {v}}} で表されるときの同次座標 ( v 1 , v 2 , v 3 , 1 ) {\\displaystyle (v_{1},v_{2},v_{3},1)} を、 ( v 1 + x , v 2 + y , v 3 + z , 1 ) {\\displaystyle (v_{1}+x,v_{2}+y,v_{3}+z,1)} に変換しますが、これはまさに平行移動によって引き起こされる座標変換に対応しています。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 37,
"tag": "p",
"text": "scaleの生成する行列は、",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "です。この変換は3次元座標 ( v x , v y , v z ) {\\displaystyle (v_{x},v_{y},v_{z})} を、 ( x v x , y v y , z v z ) {\\displaystyle (xv_{x},yv_{y},zv_{z})} に変換します。これはx,y,zの値によってそれぞれの座標を拡大縮小する変換に対応します。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "最後に、rotateで得られる行列を紹介します。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "この変換の導出は少し厄介です。まず、原点から始まり、回転の方向を向いている単位ベクトルを n → {\\displaystyle {\\vec {n}}} とし、ある頂点の座標を表すベクトルを a → {\\displaystyle {\\vec {a}}} とします。このとき、この回転で変化するのは、 a → {\\displaystyle {\\vec {a}}} のうち、 n → {\\displaystyle {\\vec {n}}} に平行でない成分のみです。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "n → {\\displaystyle {\\vec {n}}} に平行な成分は、",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "で表されるので、実際に回転によって変化する成分は、 a → {\\displaystyle {\\vec {a}}} から上の分を取り除いたベクトルです。このベクトルを a → ⊥ {\\displaystyle {\\vec {a}}_{\\perp }} と呼びます。このベクトルは回転によって変化しますが、これを表すには、 a → ⊥ {\\displaystyle {\\vec {a}}_{\\perp }} と n → {\\displaystyle {\\vec {n}}} の両方に直交するベクトルが必要です。このベクトルを、",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "と取ります。このとき、回転する角度を θ {\\displaystyle \\theta } とすると、後のベクトルは、 r → = cos θ a → ⊥ + sin θ b → {\\displaystyle {\\vec {r}}=\\cos \\theta {\\vec {a}}_{\\perp }+\\sin \\theta {\\vec {b}}} と書けます。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "結局得られるベクトルは、",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "となります。ここからは、この結果が上の式と一致することを示すため、この式を整理していきます。まず、 a → ∥ {\\displaystyle {\\vec {a}}_{\\parallel }} について、3x3行列",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "を定義すると、 a → ∥ = N a → {\\displaystyle {\\vec {a}}_{\\parallel }=N{\\vec {a}}} が成り立ちます。また、 b → {\\displaystyle {\\vec {b}}} について、3x3行列",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "を定義すると、 b → = R a → {\\displaystyle {\\vec {b}}=R{\\vec {a}}} が成り立ちます。このことから結果の式について、",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "が得られますが、これを整理すると求めていた行列x a → {\\displaystyle {\\vec {a}}} が現れます。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "次に、GL_PROJECTION行列について述べます。OpenGLでは、頂点の座標についてこれらの行列をかけた後 (-1, -1, -1), (1,1,1) で指定される立方体内にある図形を描きます。このため、例えば (0,0,10) にある図形は一般には描かれません。しかし、図形を3次元中に描くときの事情で、これらの位置を自由に指定できないと不便です。GL_PROJECTION行列は\"描画される範囲を広げる\"目的で利用されます。また、この行列は、\"遠くにあるものほど小さく見える\"という状況を扱うためにも利用されます。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "まず、\"描画される範囲を広げる\"場合について行列の指定の仕方を説明します。実際には範囲を広げているのでは無く,\"(-1,-1,-1)(1,1,1) 内に入るように、遠くにあるものを近くに持ってきている\"のが正しいのですが、どちらにしろ結果は同じです。これを指定するにはglOrtho()関数を利用します。glOrtho関数は6つの引数を取り,それぞれ描画する立方体(一般には直方体)を指定する座標を取ります。引数は順に",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "と呼ばれ,描画される直方体は(left, bottom, near)(right, top, far)で指定されます。このとき、glOrthoを利用しないときは",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "が指定されたときと同じ結果になることがわかりますが、実際にはこの指定は4x4の単位行列を返すので指定を省略したときと結果は同じになります。対応する行列は",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "となります",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "次に、\"遠くにあるものほど小さく見える\"の場合について説明します。これを指定するためには,いくつかの変数が必要になります。まず、\"物体を観察するもの\"が (0,0,0) にあるとします。次に,遠くの物体が縮小される割合を指定します。これは、投影された後のx座標とy座標に対応して2つのパラメータが必要です。更に,見える方向がz方向で無い場合を扱うために2つのパラメータが必要となります。最後に,上で指定した角度の方向に実際に描画するz座標の範囲を指定します。これらを全て指定すると、描画される領域は角錐 (w:en:frustum) になります。",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "実際にこの領域を指定するにはglFrustum関数を利用します。glFrustum関数は6つの引数を取りますが,それぞれの引数は",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "で与えられる名前をもっており、縮小される割合を定める四角形がl, r, t, b、四角形の位置がn、描画される範囲がfで定められます。glFrustumで与えられる行列は",
"title": "3Dプログラミング"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "です。",
"title": "3Dプログラミング"
}
]
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==3Dプログラミング==
===3Dに必要な数学===
ここまでで2Dのゲームプログラミングを見てきました。ここまででもある程度高度な数学が現れています。例えば,[[w:ベクトル]]や[[w:三角比]]はその例でどちらも[[高等学校数学]]で扱われる題材で、割合高度な数学といえます。残念ながら3Dプログラミングでは更に高度な数学が必要となります。
3Dプログラミングでは4x4までの[[w:行列]]の演算が必要になります。2x2までの行列演算については[[高等学校数学C]]を参照してください。また、任意の階数の行列演算については[[線型代数学]]を参照してください。具体的には、逆行列を求める演算([[w:クラメールの公式]]、[[w:ガウスの消去法]]など)までを学習しておくとよいでしょう。
また、ゲームによっては初等的な力学の法則を扱う場合があります。残念ながら3次元空間での一般的な力学運動は[[高等学校物理]]の範囲を超えます。このような内容を習得するには,[[古典力学]]を読む必要があります。
いずれにしても、3Dプログラミングに必要な数学は[[w:理系]]の大学1, 2年程度で習う内容です。
===3Dプログラミング===
[[w:3D]] (3 Dimension) プログラミングは3つの数値で表される座標を持つ物体を扱うプログラミング技法です。普通コンピュータで画面表示として用いられている[[w:ディスプレイ]]は、厚みのある事柄を表示することはできません。これは、ディスプレイの表示方法が2つの座標(縦と横)で表される表示方法であることによります。一方,計算機上のデータとしては,3つの数値を組として扱うことは,2つの数値を組として扱うことと比べて格別に難しいことではありません。そのため、ある物体が存在する位置を3次元の座標で表し,その座標を操作することで物体の3次元中での移動などを扱うことができます。この時,最終的に操作の結果を表示するには2次元のディスプレイを扱う必要があるため,3次元の座標を2次元の座標に変換する方法が必要になります。
3次元の座標から2次元の座標を引き出す方法として,射影行列([[線型代数学|線形代数]]などを参照)を利用する方法があげられます。射影行列<math>P_i</math>は,
:<math>\sum _i P_i = 1</math>
:<math>P_i ^2 = P_i</math>
(和を取らない)を満たす行列のことです。ここでは、z軸方向を厚みの方向として取り,射影行列として,
:<math>P_1 = \begin{pmatrix}
1&0&0\\
0&1&0\\
0&0&0
\end{pmatrix}
</math>
:<math> P_2 = \begin{pmatrix}
0&0&0\\
0&0&0\\
0&0&1
\end{pmatrix}
</math>
を取ります。この2つの行列は
<math>P_1 + P_2 = 1, P_1 ^2 = P_1, P_2 ^2 = P_2</math>
を満たします。ここで、ある点<math>\vec x</math>の3次元座標を
:<math>\vec x = (x, y, z)</math>
とした時,その点の2次元座標を
:<math>P_1 \vec x = (x, y, 0)</math>
のx, y成分で表します。これはあらゆる3次元座標にただ1つの2次元座標を与える射影で,3次元座標から2次元座標を取り出す1つの方法ということになります。
ここまでで3次元座標から2次元座標を取り出す方法を述べました。ここからは、実際にこの方法をプログラムする方法を述べます。上の方法を扱うには、行列の計算と、ベクトルを扱う方法が必要です。実際にはこれらの方法はいろいろなライブラリで扱われており(例えば,[[w:en:GSL]](GNU Scientific Library)など),実際のプログラミングではそれらを用いるとよいでしょう。もちろん自力で実装することもできます。
上で述べた通り,行列やベクトルを扱う演算はプログラムで扱うこともできますが,実際にはそれはあまり行われません。それはそのような計算は[[w:CPU]]にとって手間がかかることが多く,全てをCPUを使って計算しようとすると多くの時間がかかるからです。<!-- 実際には筆者の環境でmesaを使ってglxgearsを実行してみたところ、座標の計算というより扱うウィンドウの書き換えで時間を取っている。そのため、"行列の計算で"というのは語弊がある。 -->このような計算を扱うためには,[[w:グラフィックボード]]、[[w:ビデオカード]]と呼ばれる機器を使うことが推奨されます。これらは、3次元の計算をするために特化した演算装置(CPUに対して,[[w:GPU]]と呼ばれることがある)を持っており,CPUを使って計算を行うよりも速く演算を行うことができます。ただし、そのような機器がない環境でも全ての計算をCPUを使って行うことで3Dの描画を行うことは可能です。
ここまでで、3Dの計算を扱うために専用の機器を使えることを述べました。ここからは実際にそのような機器を使う方法について述べます。また、そのような機器がなくとも,同じプログラムを使ってCPUに計算をさせる方法があることについても述べます。
実際に何らかの機器を用意した時,その機器に実際に計算をさせるための手法が必要になります。この手法は環境によって少し異なっています。各社が発売している[[w:グラフィックボード]]の[[w:デバイスドライバ]]には,それらの機器を利用者のプログラムから利用するための一連の関数が用意されています。関数群には通常2つがあり、これらはそれぞれ[[w:DirectX]]、[[w:OpenGL]]と呼ばれます。[[Windows入門|Windows]]からは両方の関数群が使えることが普通です。一方,他の環境([[w:Mac OS X]]、[[w:Linux]]など)からはOpenGLしか使えません。これらの関数群は互いに互換性が無いので,実際に使用するときは注意が必要です。ここではOpenGLについて扱います。<!-- もちろんDirectXも扱った方がよいのだが ... 。 -->
ここで,グラフィックボードなどの機器が用意できないなどの理由で全ての計算をCPUに行わせる場合のことを述べます。この場合は基本的にグラフィックボードが提供する機能を1つ1つプログラムしていくことになります。実際には,このような場合には[[w:en:Mesa 3D]]などのライブラリを使うのが1つの手段です。Mesaは、OpenGLが提供する機能を実際にプログラムしたもので、1つ1つプログラムする手間が省けます。Mesaは[[w:オープンソース]]ライセンスで配布されているので自由に手に入れて使うとよいでしょう。<!-- Mesaの作者はすごい。 -->
ここまでで3Dの計算を行う方法について述べました。ここでは実際にOpenGLのプログラムを扱います。OpenGLのチュートリアルはWeb上で公開されているので,紹介します。(OpenGL Redbook http://fly.srk.fer.hr/~unreal/theredbook/ ) また、OpenGLの詳細な規定は、http://www.opengl.org/documentation/specs/ で入手できます。
OpenGLを利用して計算を行うのですが、OpenGLが行うのはあくまで計算であり,画面への描画では無いことに注意が必要です。画面への描画はOpenGLでの計算結果に従って描画を扱うプログラムが行います。Linuxでは描画は[[w:X Window System]]が行い,Mac OS Xでは、[[w:quartz]]が行います。そのため、結果の描画を行うためには,描画を行うプログラムに,OpenGLを利用することを知らせる必要があります。
残念な事にこの作業を行う方法はウィンドウシステムによって異なっています。Xの場合にはglX関数を使い,Xに指示を出しますが、この方法は他のプラットフォームでは使えません。幸いにもこのような作業を様々なプラットフォームで使う方法として,[[w:GLUT]]、[[w:SDL]]などを利用することができます。ここでは、SDLを利用する方法について述べます。
GLUTは本来GLの利用を簡単にするために作られました。一方,SDLは本来ゲームプログラミングを行うことを目的として作られたライブラリです。しかし、いずれにしろ3Dプログラミングを行うためにはOpenGLの利用は必須なので,SDLもGLUTに近い機能を持っています。どちらもWindows, Mac OS X, Linux上でOpenGLの動作を始めることができます。<!-- Windowsについては筆者は未確認。 -->
SDLでOpenGLを利用するときには
<syntaxhighlight lang=c line>
#include <SDL.h>
#include <GL/gl.h>
int main()
{
if (SDL_SetVideoMode(200, 200, 0, SDL_OPENGL) == NULL)
return 10;
/* OpenGLの処理 */
SDL_GL_SwapBuffers();
return 0;
}
</syntaxhighlight>
とします。<!-- SDL_Init? -->ここではこのプログラムについて順に説明していきます。まず、OpenGLを使わなくとも、SDLを利用する場合でも、1, 3, 4, 5, 6, 9, 10行は必要となります。ただし,4行目は、
<syntaxhighlight lang=c start="5" line>
SDL_Surface *surf;
if (surf = SDL_SetVideoMode(200, 200, 0, 0))
</syntaxhighlight>
などと書き換える必要があります。
* 1行目は,SDLを利用する際に必要となるヘッダファイルです。これは常に必要になります。
* 2行目はOpenGLの関数を利用する時に必要となるヘッダです。この部分は例え,GLUTを利用するとしても,変わりはありません。それは、SDLであるにしろ,GLUTであるにしろどちらもウィンドウシステムからOpenGLの領域を受け取ることに変わりはないからです。そのため、利用するヘッダも、2つのライブラリで共通のものを利用します。
* 3,4, 9, 10行目はほとんど全てのCプログラムで必要になります。
* 5行目でOpenGLの領域をウィンドウシステムから受け取っています。SDL_SetVideoModeは本来のSDLでは書き換えられたプログラムの5行目のように描画を行うSDL_Surfaceという構造体を返します。しかし、4つめの引数にSDL_OPENGLの[[w:フラグ]]を受け取った時には,OpenGLの領域を初期化するように動作が変化します。仮にこの動作が失敗した場合には,この関数はNULLを返すので,その場合にはここでプログラムを終了するのが普通です。
* 7行目以降でOpenGLの関数を書きます。ここについては後で述べます。
* 8行目ではSDL_GL_SwapBuffersという関数を使っています。この関数はOpenGLの関数で描画した図形を、実際にウィンドウに描画する関数です。この方法は[[w:ダブルバッファ]]を簡単に実現してくれます。GLで描画された内容が実際に表示されるのは,この関数以降です。また、実際に描画を行ってもこのままではすぐにプログラムが終了してしまうので,描画結果を見るためには,whileループかsleepなどの関数を利用して,プログラムの実行を続ける必要があります。実際にはSDLはSDL_Delayというプログラムの実行を一時的に遅らせる関数を持っているので,この関数を使うのもよいでしょう。
ここからは、実際にOpenGLの関数を書いていきます。ここで書かれるプログラムは上のプログラムの7行目以降に書かれるものです。
<syntaxhighlight lang=c>
glBegin(GL_LINE_LOOP);
glVertex3d(0,0,0);
glVertex3d(0,1,0);
glVertex3d(1,0,0);
glEnd();
</syntaxhighlight>
このプログラム(tri.cとする)をコンパイルするには,いくつかのコンパイラオプションが必要です。コンパイラが[[w:GCC]]なら、
$gcc -Wall tri.c -L libGLのある場所 -I GL/gl.hのある場所 -lGL $(sdl-config --cflags --libs)
となります。実際にGLの関数が置かれている場所は環境によります。X+MesaではXが置かれているディレクトリにあることが普通ですが,グラフィックボードのドライバを利用するなら,[[w:メーカー]]の指定したディレクトリを使う必要があります。また、上の例では必要ないですが,-lGLUをつける場合もあります。これはglu.hで定義された関数を利用する場合に使います。glu.hの関数は実際にはgl.hの関数をいくつか組み合わせた関数ですが,よく用いられる組み合わせなので、gl.hの関数とともに配布されます。
このプログラムを実行すると,黒い背景の中に白い3角形が描かれるはずです。
:[[画像:gl_tri.png]]
上のプログラムの結果を説明するにはいくつかの事柄を説明する必要があります。まず、上のプログラム内で,
glBegin(), glEnd()
という関数が使われています。この関数はその中で指定された事柄(主に頂点に関する事柄)を記録させます。記録できる事柄は頂点の位置や色などがあります。頂点の位置を指定するには
glVertex3f()
を使うことができます。ここでこの関数名はOpenGLに特徴的な事柄をいくつか含んでいます。最後の3fがそれでこれはそれぞれこの関数が"3つ"の引数を取ることと、その型が"GLfloat"であることです。ここでGLfloatはほとんどの場合float型のtypedefになっています。これ以降にもこの種の関数名は何度か出てきます。glVertex3fは、3つの引数によってそれぞれ3次元の座標を指定します。<!-- この関数はglBeginとglEndの間でしか使えません。 -->
さて、ここまでで上のGLプログラムの1-5行が、3つの座標を指定したことがわかります。実際にそれらの座標をどう使うかについてはglBegin()の引数が使われます。ここではGL_LINE_LOOPを使ったので,指定された座標は指定された順に直線でつながれます。
ここまでで、上のプログラム中で座標 (0,0,0),(0,1,0),(0,0,1) が指定され,これらが直線でつながれることがわかりました。これは3次元中で3角形を描くことがわかります。次の問題は,この三角形がどのようにディスプレイに投影されるかです。
OpenGLは3次元中に指定された座標の2次元中での位置を定めるために2つの行列を利用します。ここで、OpenGLでは行列を"扱う"場所は1つしか用意しなくてもいいことが定められています。もちろん、値を保存しておく場所は複数あるのですが,これらの値を変更するのに使う領域は1つです。そのため、これらの行列を使い分けるには,これらを所定の場所に呼び出す必要があります。ここで行列を指定するには,glMatrixMode()関数を使います。この関数は1つの引数を取り、その値で行列を指定します。2次元中での位置を指定するのに使う行列はそれぞれGL_MODELVIEW, GL_PEROJECTIONで指定されます。これらの行列の初期値は4x4の[[w:単位行列]]です。また、実際に使われるのはこれらの積であるので,値を変更するのは片方の行列だけでもあらゆる変換を指定することは可能です。
ここで2つの行列のそれぞれについてその性質を述べます。GL_MODELVIEW行列はそれぞれの頂点の座標を変更するのに利用します。実際には大抵の場合、この行列は
glRotatef(), glScalef(), glTranslatef()
の3つの関数から利用されます。 これらの関数は順に,座標を"回転", "拡大縮小", "平行移動"します。これらの関数はそれぞれ対応する変換を行う行列を生成し、選択されている行列を変換します。ここではそれらの行列の詳細について解説します。対応する行列についてはそれぞれのmanを参照してください。(OpenGLのspecification http://www.opengl.org/documentation/specs/man_pages/hardcopy/GL/html/ )
translateの生成する行列は、
:<math>
\begin{pmatrix}
1&0&0&x\\
0&1&0&y\\
0&0&1&z\\
0&0&0&1
\end{pmatrix}
</math>
で与えられます。この行列は、元の頂点の3次元座標が<math>\vec v</math>で表されるときの同次座標<math>(v_1, v_2, v_3, 1)</math>を、<math>(v_1+x, v_2+y, v_3+z, 1)</math>に変換しますが、これはまさに平行移動によって引き起こされる座標変換に対応しています。
scaleの生成する行列は、
:<math>
\begin{pmatrix}
x&0&0&0\\
0&y&0&0\\
0&0&z&0\\
0&0&0&1
\end{pmatrix}
</math>
です。この変換は3次元座標<math>(v_x,v_y,v_z)</math>を、<math>(xv_x,yv_y,zv_z)</math>に変換します。これはx,y,zの値によってそれぞれの座標を拡大縮小する変換に対応します。
最後に、rotateで得られる行列を紹介します。
:<math>
\begin{pmatrix}
n_x^2(1-c) + c&n_xn_y(1-c)-n_zs&n_xn_z(1-c)+n_ys &0\\
n_xn_y(1-c) + n_zs&n_y^2(1-c)+c&n_yn_z(1-c)-n_xs &0\\
n_xn_z(1-c) - n_ys&n_yn_z(1-c)+n_xs&n_z^2(1-c)+c&0\\
0&0&0&1
\end{pmatrix}
</math>
この変換の導出は少し厄介です。まず、原点から始まり、回転の方向を向いている単位ベクトルを<math>\vec n</math>とし、ある頂点の座標を表すベクトルを<math>\vec a</math>とします。このとき、この回転で変化するのは、<math>\vec a</math>のうち、<math>\vec n</math>に平行でない成分のみです。
<math>\vec n</math>に平行な成分は、
:<math>
\vec a_{\parallel} = (\vec a \cdot \vec n) \vec n
</math>
で表されるので、実際に回転によって変化する成分は、<math>\vec a</math>から上の分を取り除いたベクトルです。このベクトルを<math>\vec a_{\perp}</math>と呼びます。このベクトルは回転によって変化しますが、これを表すには、<math>\vec a_{\perp}</math>と<math>\vec n</math>の両方に直交するベクトルが必要です。このベクトルを、
:<math>\vec b = \vec n \times \vec a_{\perp}</math>
と取ります。このとき、回転する角度を<math>\theta</math>とすると、後のベクトルは、<math>\vec r = \cos \theta \vec a _{\perp}+\sin \theta \vec b</math>と書けます。
結局得られるベクトルは、
:<math>\vec a_{\parallel}+\vec r</math>
となります。ここからは、この結果が上の式と一致することを示すため、この式を整理していきます。まず、<math>\vec a_{\parallel}</math>について、3x3行列
:<math>
N = \vec n {}^t\vec n =
\begin{pmatrix}
n_x^2&n_xn_y&n_zn_x\\
n_xn_y&n_y^2&n_yn_z\\
n_zn_x&n_yn_z&n_z^2
\end{pmatrix}
</math>
を定義すると、<math>\vec a_{\parallel} = N\vec a</math>が成り立ちます。また、<math>\vec b</math>について、3x3行列
:<math>
R =
\begin{pmatrix}
0&-n_z&n_y\\
n_z&0&-n_x\\
-n_y&n_x&0
\end{pmatrix}
</math>
を定義すると、<math>\vec b = R\vec a</math>が成り立ちます。このことから結果の式について、
:<math>\vec a_{\parallel}+\vec r</math>
:<math>= N\vec a +\cos \theta (\vec a - N\vec a) + \sin \theta R\vec a</math>
が得られますが、これを整理すると求めていた行列x<math>\vec a</math>が現れます。
次に、GL_PROJECTION行列について述べます。OpenGLでは、頂点の座標についてこれらの行列をかけた後 (-1, -1, -1), (1,1,1) で指定される立方体内にある図形を描きます。このため、例えば (0,0,10) にある図形は一般には描かれません。しかし、図形を3次元中に描くときの事情で、これらの位置を自由に指定できないと不便です。GL_PROJECTION行列は"描画される範囲を広げる"目的で利用されます。また、この行列は、"遠くにあるものほど小さく見える"という状況を扱うためにも利用されます。
まず、"描画される範囲を広げる"場合について行列の指定の仕方を説明します。実際には範囲を広げているのでは無く,"(-1,-1,-1)(1,1,1) 内に入るように、遠くにあるものを近くに持ってきている"のが正しいのですが、どちらにしろ結果は同じです。これを指定するにはglOrtho()関数を利用します。glOrtho関数は6つの引数を取り,それぞれ描画する立方体(一般には直方体)を指定する座標を取ります。引数は順に
glOrtho(left, right, bottom, top, near, far)
と呼ばれ,描画される直方体は(left, bottom, near)(right, top, far)で指定されます。このとき、glOrthoを利用しないときは
glOrtho(-1, 1, -1, 1, -1, 1)
が指定されたときと同じ結果になることがわかりますが、実際にはこの指定は4x4の単位行列を返すので指定を省略したときと結果は同じになります。対応する行列は
*行列
となります
次に、"遠くにあるものほど小さく見える"の場合について説明します。これを指定するためには,いくつかの変数が必要になります。まず、"物体を観察するもの"が (0,0,0) にあるとします。次に,遠くの物体が縮小される割合を指定します。これは、投影された後のx座標とy座標に対応して2つのパラメータが必要です。更に,見える方向がz方向で無い場合を扱うために2つのパラメータが必要となります。最後に,上で指定した角度の方向に実際に描画するz座標の範囲を指定します。これらを全て指定すると、描画される領域は角錐 ([[w:en:frustum]]) になります。
*図
実際にこの領域を指定するにはglFrustum関数を利用します。glFrustum関数は6つの引数を取りますが,それぞれの引数は
glFrustum(left, right, top, bottom, near, far)
で与えられる名前をもっており、縮小される割合を定める四角形がl, r, t, b、四角形の位置がn、描画される範囲がfで定められます。glFrustumで与えられる行列は
*行列
です。<!-- この行列がどのように上で解説した変換を行うかを次に説明します。 -->
[[Category:情報技術]]
[[Category:OpenGL]]
{{NDC|007.64}} | null | 2021-07-21T02:47:32Z | [
"テンプレート:NDC"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/OpenGL |
4,309 | 民法第398条の2 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)
(根抵当権)
2017年改正により以下のとおり改正。 | [
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第2編 物権 (コンメンタール民法)]]
==条文==
([[根抵当権]])
;第398条の2
# 抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
# 前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。
# 特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権、手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権(電子記録債権法(平成19年法律第102号)第2条第1項に規定する電子記録債権をいう。次条第2項において同じ。)は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。
===改正経緯===
2017年改正により以下のとおり改正。
:(改正前)債権又は手形上若しくは小切手上の請求権は
:(改正後)債権、手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権(電子記録債権法(平成19年法律第102号)第2条第1項に規定する電子記録債権をいう。次条第2項において同じ。)は
==解説==
{{wikipedia|根抵当権}}
==参照条文==
*[[不動産登記法第88条]](抵当権の登記の登記事項)
==判例==
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55843&hanreiKbn=02 不動産競売開始決定取消] (最高裁判決 平成5年01月19日)[[信用金庫法第53条]]3項
*;被担保債権の範囲を「信用金庫取引による債権」として設定された根抵当権の被担保債権と保証債権
*:被担保債権の範囲を「信用金庫取引による債権」として設定された根抵当権の被担保債権には、信用金庫の根抵当債務者に対する保証債権も含まれる。
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第2編 物権 (コンメンタール民法)|第2編 物権]]<br>
[[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10|第10章 抵当権]]<br>
[[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10-4|第4節 根抵当]]
|[[民法第398条]]<br>(抵当権の目的である地上権等の放棄)
|[[民法第398条の3]]<br>(根抵当権の被担保債権の範囲)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|398の02]]
[[category:民法 2017年改正|398の02]] | null | 2022-10-19T20:48:01Z | [
"テンプレート:Wikipedia",
"テンプレート:前後",
"テンプレート:Stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC398%E6%9D%A1%E3%81%AE2 |
4,310 | スズムシの飼育法 | スズムシ(学名:Homoeogryllus japonicus)は、マツムシ科に属する昆虫の一種である。体長は25~72mm。日本では古くから、鳴き声を楽しむ対象として飼育されてきており、江戸時代には繁殖法までがすでに確立されていた。本稿では、スズムシを主に愛玩動物として飼育する方法について解説していく。
「スズムシを飼いたい!」、と思ったら、まずはスズムシを手に入れなければならない。野生のスズムシは、茂みの中や草原に多く生息している。この様な場所で鳴き声をたよりにスズムシを探して捕まえる、というのもいいが、体が小さく目立ちにくいスズムシを捕獲することは非常に困難である。結局スズムシを手に入れるには、ペットショップやホームセンターで販売されている物を購入するということになるだろう。 | [
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"title": "スズムシの入手"
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| 飼育法 > スズムシの飼育法
昆虫採集 > スズムシの飼育法
ペット > スズムシの飼育法 スズムシは、マツムシ科に属する昆虫の一種である。体長は25~72mm。日本では古くから、鳴き声を楽しむ対象として飼育されてきており、江戸時代には繁殖法までがすでに確立されていた。本稿では、スズムシを主に愛玩動物として飼育する方法について解説していく。 | *[[飼育法]] > スズムシの飼育法
*[[昆虫採集]] > スズムシの飼育法
*[[ペット]] > スズムシの飼育法
[[Image:Suzumushi.jpg|thumb|スズムシの雄と雌]]
'''[[w:スズムシ|スズムシ]]'''(学名:''Homoeogryllus japonicus'')は、[[w:マツムシ科|マツムシ科]]に属する昆虫の一種である。体長は25~72mm。日本では古くから、鳴き声を楽しむ対象として飼育されてきており、江戸時代には繁殖法までがすでに確立されていた。本稿では、スズムシを主に愛玩動物として飼育する方法について解説していく。
== スズムシの入手 ==
「スズムシを飼いたい!」、と思ったら、まずはスズムシを手に入れなければならない。野生のスズムシは、茂みの中や草原に多く生息している。この様な場所で鳴き声をたよりにスズムシを探して捕まえる、というのもいいが、体が小さく目立ちにくいスズムシを捕獲することは非常に困難である。結局スズムシを手に入れるには、ペットショップやホームセンターで販売されている物を購入するということになるだろう。
== 飼育 ==
=== 飼育の準備 ===
====容器の用意 ====
====砂の用意 ====
=== 餌 ===
=== 日常管理 ===
=== 声を楽しむ ===
=== 繁殖 ===
[[Category:飼育法|すすむし]] | null | 2020-06-05T06:12:17Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BA%E3%83%A0%E3%82%B7%E3%81%AE%E9%A3%BC%E8%82%B2%E6%B3%95 |
4,312 | 民法第709条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
(不法行為による損害賠償)
債権の発生原因の一つである、不法行為の成立要件を規定している。
侵害行為と損害との間に因果関係があるか、という要件である。
不法行為に基づく損害賠償請求を行うためには、原告側が侵害行為と損害の間の因果関係を立証しなければならない。しかし、公害事件や医療過誤事件など、一般市民である被害者には挙証が難しいケースも多い。このため、判例法理や立法的解決によって立証責任の軽減が図られてきた。
不法行為の一般的効果として、金銭による損害賠償以外のものが解釈上認められるかが問題となる。金銭による損害賠償以外のものとしては、原状回復又は差止が想定しうる。 | [
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]]
== 条文 ==
([[不法行為]]による[[損害賠償]])
;第709条
: [[故意]]又は[[過失]]によって他人の権利又は'''法律上保護される利益'''を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する[[責任]]を負う。
== 解説 ==
債権の発生原因の一つである、不法行為の成立要件を規定している。
=== 要件 ===
==== 故意または過失 ====
:不法行為においては加害者に「故意または過失」があることが要件とされている。この点で[[債務不履行]]([[民法第415条|415条]])や[[物権的請求権]]とは異なる。故意・過失の立証責任は原告側にあるので、請求権が競合する場合には、債務不履行責任の追及や物権的請求権の行使のほうが認められやすいといえる。
:一方で、刑事法や英米法と異なり日本民法においては、不法行為が故意でなされた場合も過失でなされた場合も、結果についての責任は異ならないというのが、伝統的見解であって、故意論が展開される例は少なく、加害者の主観等については過失の有無が議論されることが法廷においても学説においても、ほとんどである。但し、近時の有力な学説では、故意をより重い責任要素で損害賠償の範囲や金額を過失に比べ拡大する(事実、慰謝料の算定などはその傾向がある)とするものもある。
===== 過失 =====
:'''過失'''とは、予見可能な結果について、結果回避義務の違反があったことをいうと解されている。いいかえれば、予見が不可能な場合や、予見が可能であっても結果の回避が不可能な場合には過失を認めることができない。
:結果回避義務については、専門的な職業に従事する者は一般人よりも高度の結果回避義務が要求されると考えられている。医療事故における医師の場合などがこれにあたる。
:また、取引等の相手が違法を犯すことについての回避義務について認められることもある([[#契約確認|最判平成13年3月2日]])。
===== 特別法による修正 =====
;責任の軽減:[[w:失火ノ責任ニ関スル法律|失火ノ責任ニ関スル法律]](失火責任法)は「民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス」と規定する。
:この規定により、失火の場合は故意または重過失がない限り不法行為責任は負わない。木造家屋の多い日本では、失火による不法行為責任が過大になりやすいことにかんがみた立法である。
;無過失責任:「故意または過失」を要件から省く立法的解決もあり、無過失責任と呼ばれる。無過失責任の代表例として、[[w:製造物責任法|製造物責任法]]がある。製造物責任法3条は「製造業者等は(…)その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体または財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる」と定めている。これにより製造業者は、製造物から生じた拡大損害については無条件で責任を負うことになる。
==== 権利侵害(侵害の違法性) ====
:侵害の対象となる権利は、明治以来判例によって拡大されてきた。生命、身体、有形の財産が侵害の対象となることは当初より争いはなかったが、著作権や人格権などの無体財産権の扱いは判例上変遷している。'''桃中軒雲右衛門事件'''においては、法律上規定のない権利は侵害対象にならないとされたが、'''大学湯事件'''においては「法律上保護される利益」が侵害対象であるとされ、老舗銭湯ののれんは法律上保護される利益に当たるとされた。
:その後、学説からは「権利侵害」とは侵害行為の違法性をいうのであり、「違法な侵害」であるかどうかに関して、「被侵害利益の重大性」と「侵害の態様」との相関関係によって判断すべきであるとする相関関係説が唱えられた。この理論に従えば、侵害が軽度のものであっても、被侵害利益が(生命など)重大であれば違法性が肯定されることになる。
:また、適法な権利行使(例えば工場の操業)であっても、周囲に与える影響が被害者にとって社会観念上の受忍限度を超える場合には不法行為になるという'''受忍限度論'''も提唱され、公害事件を通じて判例法理として定着している。
:現在では、所有権、担保物権、債権、知的所有権、人格権など幅広い権利が被侵害利益となっているが、パブリシティー権(著名なものの名称等が有する顧客吸引力などの経済的価値を独占的に支配する財産的権利、[[#パブリシティー権|判例]]参照)や環境権など、未だその権利性が争いの余地がある「権利」もある。
=====不法行為の成立を阻却する事由=====
======責任能力======
:'''[[民法第712条]]'''および'''[[民法第713条]]'''参照
======違法性阻却事由(法定)======
;正当防衛および緊急避難:'''[[民法第720条]]'''参照
======違法性阻却事由(その他)======
;自力救済
;正当業務行為
:#報道等に関するものについては、事実の摘示により名誉を侵害すると訴えられる場合が少なくないが、それが専ら公益の目的を持ったものであり、真実ないし真実であるとを信じるに足る理由がある場合には違法な行為といえない([[#報道|判例10]]、[[#報道2|判例27]]、[[#報道3|判例31]]、[[#報道4|判例38]])。なお、刑法理論「[[名誉に対する罪#真実性の証明|真実性の証明]]」も参照。
;被害者の承諾
==== 損害の発生 ====
:財産的損害と精神的損害がある。
:財産的損害は、積極的損害(直接の被害額)と消極的損害(不法行為がなければ得られたはずの利益=逸失利益)がある。
:損害の内容については学説上対立がある。差額説は、不法行為によって減少した価値を金銭評価したものが損害の実質であるとする。損害事実説は、ある損害それ自体の内容を金銭評価したものが損害の実質であるとする。
:精神的損害は、被害者の精神的苦痛である。
==== 因果関係 ====
侵害行為と損害との間に因果関係があるか、という要件である。
===== 相当因果関係 =====
:不法行為において因果関係が持つ意味は、因果関係を認めうる範囲で加害者に賠償責任を負わせる点にある。ここで、いわゆる事実的因果関係(「あれなくばこれなし」の関係)を前提にすると、因果関係の範囲が広くなりすぎ、損害賠償の範囲が過大になりすぎることになる。
:したがって、不法行為法では、事実的因果関係が成立していることを前提にしつつ、[[民法第416条]]を準用し、損害賠償させるべき範囲をより狭く限定している。これを'''相当因果関係'''といい判例上確立した準則である(富貴丸事件:大連判大正15年5月22日)。ただし、相当因果関係の概念に関しては、学説において有力かつ強い批判がなされている。
======不法行為と被害者の自殺======
:裁判において、従来、自殺は行為者の意思が大きく関与し、不法行為から、そのような意思の形成が生じるとは通常は認められず、加害者側において自殺を予見し又は予見しうる状況にあったと認めることは困難であるとして相当因果関係を認めることに慎重であったが、近年においては、当該不法行為により災害神経症状態を惹起し、統計的に自殺率の高いうつ病等を罹患、その後自殺した事例については、相当因果関係を認めるものもある。ただし、この場合であっても、被害者(自殺者)の性格的傾向等の心因的要因の寄与を認め、第722条2項を類推適用し、損害額を減額する傾向にある。
:;相当因果関係を認めない例
:*交通事故と被害者の自殺([[#被害者の自殺|最判昭和50年10月03日]])
:*教師の違法な懲戒と生徒の自殺([[#違法な懲戒|最判昭和52年10月25日]])
:;相当因果関係を認めた例
:*交通事故と被害者の自殺([[#被害者の自殺2|最判平成5年09月09日]])
:*過重労働と自殺([[民法第715条#過重労働|最判平成12年03月24日]] [通称:電通損害賠償事件])
===== 因果関係の立証責任 =====
不法行為に基づく損害賠償請求を行うためには、原告側が侵害行為と損害の間の因果関係を立証しなければならない。しかし、公害事件や医療過誤事件など、一般市民である被害者には挙証が難しいケースも多い。このため、判例法理や立法的解決によって立証責任の軽減が図られてきた。
;蓋然性説:因果関係の100%までを原告側で立証する必要はなく、蓋然性が認められる範囲まで立証すれば、その時点で因果関係が推定され、その後は被告側が反証に成功しない限り因果関係は肯定されるとする理論。
;疫学的因果関係:公害など、多くの因子が被害に絡む場合に、侵害行為と被害発生との間に統計的な有意性が認められれば因果関係を肯定しようという理論。[[w:四日市ぜんそく|四日市ぜんそく]]訴訟で用いられた。
=== 効果 ===
:損害賠償は金銭でなされるのが原則である([[民法第722条|722条1項]]で[[民法第417条|417条]]を準用)。ただし、名誉毀損の場合は例外的に謝罪広告等の措置も請求できる([[民法第723条|723条]])。また、そのほか解釈として、原状回復・差止などが認められうる。
==== 金銭賠償の原則 ====
===== 損害賠償の内容 =====
:賠償されるべき損害には財産的損害と精神的損害がある。
:財産的損害には物理的な損害のほか、生命侵害、身体侵害などがある。著作権、特許権、債権などの財産権一般への侵害もある。それぞれについて積極損害と消極損害を観念しうる。
:精神的損害からは、慰謝料請求権が生ずる。
===== 損害賠償の範囲 =====
:不法行為から生じた全損害について賠償させるのは、被告にとって過酷であることから、相当因果関係説によって損害賠償の範囲が制限される。
:判例は債務不履行責任における損害賠償の範囲の規定([[民法第416条|416条]])を不法行為に類推適用し、原則として「通常生ずべき損害」の賠償で足り、「当事者がその損害を予見し、または予見することができたとき」は「特別の事情によって生じた損害」まで賠償する必要があると考えている(富貴丸事件:大連判大正15年5月22日)。ただし、学説上は、有力な反対意見があり長年議論されている([[#特別事情|判例;大隈健一郎裁判官反対意見参照]])。
====== 損害賠償の範囲内とされるもの ======
;訴訟に要する弁護士費用:訴訟遂行は一般人には困難であり、不法行為のように被害者に非がない案件について弁護士費用は損害の範囲に入る([[#弁護士費用|判例]])。
===== 損害賠償額の算定 =====
:物の滅失に関する損害賠償額は、物の交換価格による。交換価格の算定基準時が問題になるが、原則として物の滅失時とする。ただし被害者があらかじめその物の転売を予定していて、滅失後に高騰することを「予見し、又は予見することができたとき」([[民法第416条|416条2項]])のであれば、騰貴時とすることも考えられる(富貴丸事件判決)。
:生命侵害の場合には、積極損害(葬式費用など)よりも、消極損害(逸失利益)のほうがはるかに大きくなる。逸失利益は、被害者が生きていたならば得られた収入から、生活費を控除し、ここから中間利息を控除して(現在価値に割り引いて)算出する。中間利息の控除方式には、ホフマン式とライプニッツ式とがある。基準となる収入は、被害者の収入が明らかであればその額を用いるが、児童など、収入が明らかでないときは、賃金センサスに基づいた平均賃金を用いる。
:なお、過失相殺など損害賠償額の調整については[[民法第722条|722条2項]]を参照。
===== 損害賠償の請求主体 =====
:財産的損害であれ、精神的損害であれ、第一義的な請求主体は被害者自身である。被害者が死亡した場合は、慰謝料請求権は当然に相続されると解されている。
:生命侵害の場合、被害者の父母・配偶者・子は固有の慰謝料請求権を有する([[民法第711条|711条]])。
:胎児も請求主体になる。胎児は、損害賠償請求権については「既に生まれたもの」とみなされる([[民法第721条|721条]])。これにより、たとえば父が不法行為により死亡した場合、死の時点で母胎にいた胎児は、出生後、損害賠償請求権を獲得する。権利能力の始期を定めた[[民法第3条|3条]]の例外を定めたものである。
===== 不法行為による損害賠償債権の性質 =====
:悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務、または、人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務であれば、相殺の受働債権にならない([[民法第509条|509条]])。
==== 名誉回復処分 ====
:'''[[民法第723条]]'''参照
==== 原状回復・差止 ====
不法行為の一般的効果として、金銭による損害賠償以外のものが解釈上認められるかが問題となる。金銭による損害賠償以外のものとしては、原状回復又は差止が想定しうる。
*'''原状回復'''; 過去に発生した損害を除去し、損害の存在しなかった状態に戻すこと。
*'''差止''': 将来において損害を発生させるであろう行為を停止させること。
===== 原状回復請求権 =====
:判例、通説ともに否定。
:「金銭賠償の原則」が定立されており、原状回復の費用を見積もりそれに還元すれば足りるため。
===== 差止請求権 =====
:判例は不分明であるが、どちらかと言えば否定的([[#差止|事実上、不法行為の存在を前提として差し止めを認めた判例]])
:学説上も賛否が分かれている。
== 参照条文 ==
* [[民法第710条]](財産以外の損害の賠償)
* [[民法第711条]](近親者に対する損害の賠償)
* [[国家賠償法第1条]]
* [[外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律]] - [[主権免除]]
== 判例 ==
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57289 所有権移転登記抹消等請求](最高裁判決 昭和30年5月31日)[[民法第177条]]
#;不動産の二重売買における第二の買主が悪意の場合と第一の買主に対する不法行為責任の有無
#:乙が甲から不動産を買い受けて登録を経ないうち、丙が甲から右不動産を買い受けて登記をなし、これをさらに丁に売り渡して登記を経たため、乙がその所有権取得を丁に対抗することができなくなつた場合において、丙がその買受当時甲乙間の売買の事実を知つていたというだけでは、丙は乙に対し不法行為責任を負うものではない。
#:- '''不動産の二重売買そのものは不法行為とは言えない。'''
#:*<small>一般に不動産の二重売買における第二の買主は、たとい悪意であつても、登記をなすときは完全に所有権を取得し、第一の買主はその所有権取得をもつて第二の買主に対抗することができないものと解すべきであるから、本件建物の第二の買主で登記を経た上告人(丙)は、たとい悪意ではあつても、完全に右建物の所有権を取得し、第一の買主たる被上告人(乙)はその所有権取得をもつて上告人および同人から更に所有権の移転を受けその登記を経た丁に対抗することができないことは、当然の筋合というべきである。</small>
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=57462&hanreiKbn=02 損害賠償請求] (最高裁判決 昭和32年01月31日)[[民法第189条]],民訴法199条1項(現・[[民事訴訟法第114条]]),民訴法709条(→民事執行法)
#;不法行為による物の滅失毀損と損害賠償額算定の基準時期
#:不法行為による物の滅失毀損に対する損害賠償の金額は、特段の事由のないかぎり、滅失毀損当時の交換価格により定むべきである。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57564 売掛代金請求](最高裁判決 昭和32年3月5日)商法第42条(現[[商法第24条|24条]]),商法第38条(現[[商法第21条|第21条]]),[[民法第715条]]
#;所有権侵害の故意と特定人に対する所有権侵害の認識の要否。
#:不法行為者に所有権侵害の故意があるというためには、特定人の所有権を侵害する事実につき認識のあることを要するものではなく、単に他人の所有権を侵害する事実の認識があれば足りる。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53662 損害賠償請求](最高裁判決 昭和34年11月26日)[[民法第722条]]2項,民訴法185条(現[[民事訴訟法第247条|247条]])
#;刑事判決における過失の有無の判断と民事判決
#:自動車運転者が業務上過失致死被告事件の判決で過失を否定された場合でも、不法行為に関する民事判決ではその過失を否定しなければならぬものではない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52929 建物収去、土地明渡請求](最高裁判決 昭和35年9月20日)借地法10条(現[[借地借家法第14条|借地借家法14条]]),[[民法第703条]]
#;建物取得後借地法10条(現[[借地借家法第14条|借地借家法14条]])の買取請求権行使までの間における敷地不法占有と損害の有無。
#:借地法10条(現[[借地借家法第14条|借地借家法14条]])の建物買取請求権が行使された場合、土地賃貸人は、特段の事情がないかぎり、右買取請求権行使以前の期間につき賃料請求権を失うものではないけれども、これがため右期間中は建物取得者の敷地不法占有により賃料相当の損害を生じないとはいい得ない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54824 損害賠償請求](最高裁判決 昭和36年2月16日) <small>輸血取締規則(昭和20年厚生省令3号)2条,輸血取締規則(昭和20年厚生省令3号)3条,輸血に関し医師又は歯科医師の準拠すべき基準(昭和27年厚生省告示138号)2(1),輸血に関し医師又は歯科医師の準拠すべき基準(昭和27年厚生省告示138号)4,輸血に関し医師又は歯科医師の準拠すべき基準(昭和27年厚生省告示138号)5,輸血に関し医師又は歯科医師の準拠すべき基準(昭和27年厚生省告示138号)7,輸血に関し医師又は歯科医師の準拠すべき基準(昭和27年厚生省告示138号)11</small>
#;給血者に対する梅毒感染の危険の有無の問診の懈怠と輸血による梅毒感染についての医師の過失責任。
#:給血者がいわゆる職業的給血者で、血清反応陰性の検査証明書を持参し、健康診断および血液検査を経たことを証する血液斡旋所の会員証を所持していた場合でも、同人が、医師から問われないためその後梅毒感染の危険のあつたことを言わなかつたに過ぎないような場合、医師が、単に「身体は丈夫か」と尋ねただけで、梅毒感染の危険の有無を推知するに足る問診をせずに同人から採血して患者に輸血し、その患者に給血者の罹患していた梅毒を感染させるに至つたときは、同医師は右患者の梅毒感染につき過失の責を免れない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54920 損害賠償請求](最高裁判決 昭和38年8月8日)
#;第三者の詐欺による売買における売主の代金請求権の存在と右第三者に対する不法行為にもとづく損害賠償請求権の存否。
#:第三者の詐欺による売買により目的物件の所有権を喪失した売主は、買主に対し代金請求権を有していても、右第三者に対する不法行為にもとつぐ損害賠償請求権がないとはいえない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54949 損害賠償請求](最高裁判決 昭和38年9月26日)[[民法第416条]]2項
#;特別事情の予見可能ありとして、不法行為と損害との間に、相当因果関係の存在が認められた事例。
#:自動車運転手甲がガソリンを使用して自動三輪車のクラツチを洗滌するに際し、その作業を助けるため甲の傍近くから電灯を照射している乙がいる等判示の事情の存する場合においては、甲が、自己の過失によりガソリンの入つている罐に引火炎上させ狼狽してこれを投げすてたときは、右炎上したガソリン罐が乙にあたりその衣服を炎上させ乙に火傷を負わせて死にいたらしめるであろうことを予見しうるものであるから、甲の前記クラツチ洗滌行為と乙の死亡との間には相当因果関係が存すると解すべきである。
# <span id="差止"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56244 村道供用妨害排除請求](最高裁判決 昭和39年1月16日)[[民法第198条]],民法第710条
##村民の村道使用関係の性質
##:村民各自は、村道に対し、他の村民の有する利益ないし自由を侵害しない程度において、自己の生活上必須の行動を自由に行いうべき使用の自由権を有する。
##'''村民の村道使用権に対する侵害の継続と妨害排除請求権の成否'''
##:村民の右村道使用の自由権に対して継続的な妨害がなされた場合には、当該村民は、右妨害の排除を請求することができる。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53875 損害賠償請求](最高裁判決 昭和39年7月28日)民訴法395条1項6号(現[[民事訴訟法第312条|312条]]2項6号)
#;医師の消毒の不完全を理由とする損害賠償の請求を認容する判決において右消毒の不完全部分を確定しないで過失を認定しても違法でないとされた事例。
#:注射の際の医師による消毒の不完全を理由とする損害賠償の請求を認容する判決において、右消毒の不完全が注射器具、施術者の手指もしくは患者の注射部位のいずれに存するかを確定しないで過失を認定しても、違法とはいえない。
#:*原審において、感染経路を他の可能性を検討の上、「注射器具」「施術者の手指」「患者の注射部位」のいずれかまで絞り込んだが、いずれかは特定しなかった。いずれであっても医師の過失は認めうるので特定までは必要ないとの判断。
# <span id="報道"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57744 名誉および信用毀損による損害賠償および慰藉料請求](最高裁判決 昭和41年6月23日)
#;公共の利害に関する事実の摘示と名誉毀損の成否
#:名誉毀損については、当該行為が公共の利害に関する事実に係りもつぱら公益を図る目的に出た場合において、摘示された事実が真実であることが証明されたときは、その行為は、違法性を欠いて、不法行為にならないものというべきである。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53980 損害賠償請求](最高裁判決 昭和43年3月15日)[[民法第695条]]、[[民法第696条]]
#;示談当時予想しなかつた後遺症等が発生した場合と示談の効力
#:交通事故による全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、早急に、小額の賠償金をもつて示談がされた場合において、右示談によつて被害者が放棄した損害賠償請求は、示談当時予想していた損害についてのみと解すべきであつて、その当時予想できなかつた後遺症等については、被害者は、後日その損害の賠償を請求することができる。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54954 損害賠償請求](最高裁判決 昭和43年6月27日)[[国家賠償法第1条]]1項,[[不動産登記法施行細則第47条]],民法第416条
##'''偽造の登記済証に基づく登記申請を受理するについて登記官吏に過失があるとされた事例'''
##:登記申請書に添付されていた登記済証が偽造であつて、その作成日として記載されている日当時官制上存在しなかつた登記所名が記載され、同庁印が押捺されているにもかかわらず、登記官吏がこれを看過してその申請にかかる所有権移転登記手続をした場合には、右登記官吏に、登記申請書類を調査すべき義務を怠つた過失があるというべきである。
##'''登記官吏の過失によつて無効な所有権移転登記が経由された場合に右過失と右登記を信頼して該不動産を買い受けた者が被つた損害との間に相当因果関係があるとされた事例'''
##:登記官吏の右過失によつて、無効な所有権移転登記が経由された場合には、右過失と右登記を信頼して該不動産を買い受けた者がその所有権を取得できなかつたために被つた損害との間には、相当因果関係があるというべきである。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=66616 損害賠償請求](最高裁判決 昭和43年9月24日)
#;交差点において追抜態勢にある自動車運転手の並進車に対する注意義務の範囲
#:交差点において追抜態勢にある自動車運転手は、特別の事情のないかぎり、並進車が交通法規に違反して進路を変えて、突然自車の進路に近寄つてくることまでも予想して、それによつて生ずる事故の発生を未然に防止するため徐行その他避譲措置をとるべき業務上の注意義務はないと解するのが相当である。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55001 慰藉料並に損害賠償請求](最高裁判決 昭和43年11月15日)
#;交通事故により会社代表者を負傷させた者に対する会社の損害賠償請求が認められた事例
#:甲が交通事故により乙会社の代表者丙を負傷させた場合において、乙会社がいわゆる個人会社で、丙に乙会社の機関としての代替性がなく、丙と乙会社とが経済的に一体をなす等判示の事実関係があるときは、乙会社は、丙の負傷のため利益を逸失したことによる損害の賠償を甲に請求することができる。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55100 損害賠償謝罪広告請求](最高裁判決 昭和43年12月24日)民訴法756条<!--旧法-->,民訴法745条2項<!--旧法-->
#;仮処分命令が不当であるとして取り消された場合において仮処分申請人に過失があるとはいえないとされた事例
#:会社を被申請人とする仮処分命令が、同会社に対しては被保全権利が存在しないとして取り消された場合においても、右会社の取締役が会社の営業と競合する事業を個人として営んでいたため、仮処分申請人が被申請人を右取締役個人とすべきであるにもかかわらず、これを右会社と誤認した等判示の事実関係のもとにおいては、右仮処分命令を取り消す判決が確定しても、この一事をもつて、ただちに右申請人に過失があつたものとすることはできない。
# <span id="弁護士費用"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55036 抵当権設定登記抹消登記手続等請求](最高裁判決 昭和44年2月27日)
#;不法行為による損害と弁護士費用
#:不法行為の被害者が、自己の権利擁護のため訴を提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものにかぎり、右不法行為と相当因果関係に立つ損害というべきである。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=70377 約束手形金請求](最高裁判決 昭和45年5月22日)[[民法第715条]],[[手形法第43条]]
#;偽造手形の取得者の損害賠償請求権と手形法上の遡求権との関係
#: 対価を支払つて偽造手形を取得した手形所持人は、その出捐と手形偽造行為との間に相当因果関係が認められるかぎり、その出捐額につき、ただちに損害賠償請求権を行使することができ、手形の所持人としてその前者に対し手形法上の遡求権を有することによつては、損害賠償の請求を妨げられることはない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54169 損害賠償請求](最高裁判決 昭和45年7月24日)[[民法第147条]]1号,[[民法第149条]],[[所得税法第9条]]1項21号,民訴法235条(現[[民事訴訟法第147条|147条]])
#;一部請求の趣旨が明示されていない場合の訴提起による時効中断の範囲
#:一個の債権の一部についてのみ判決を求める趣旨が明示されていないときは、訴提起による消滅時効中断の効力は、右債権の同一性の範囲内においてその全部に及ぶ。
# <span id="訴訟物の個数"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51932 損害賠償請求](最高裁判決 昭和48年4月5日)民事訴訟法第186条(現[[民事訴訟法第246条|第246条]]),民事訴訟法224条1項(現[[民事訴訟法第133条|第133条]]2項),[[民法第722条]]2項
#;身体傷害による財産上および精神上の損害の賠償請求における請求権および訴訟物の個数
#:同一事故により生じた同一の身体傷害を理由として財産上の損害と精神上の損害との賠償を請求する場合における請求権および訴訟物は、一個である。(→[[民法第722条#訴訟物|過失相殺への適用]])
# <span id="特別事情"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51910 損害賠償請求](最高裁判決 昭和48年6月7日)[[民法第416条]],[[民事訴訟法第746条]]<!--旧法-->,[[民事訴訟法第755条]]<!--旧法-->,[[民事訴訟法第756条]]<!--旧法-->
#;不法行為による損害賠償と民法416条
#:不法行為による損害賠償についても、[[民法第416条]]の規定が類推適用され、特別の事情によつて生じた損害については、加害者において右事情を予見しまたは予見することを得べかりしときにかぎり、これを賠償する責を負うものと解すべきである。
#:*<small>'''[[w:大隅健一郎|大隅健一郎]]反対意見'''(適宜抽出引用及び改行)
#:*:債務不履行の場合には、当事者は合理的な計算に基づいて締結された契約によりはじめから債権債務の関係において結合されているのであるから、債務者がその債務の履行を怠つた場合に債権者に生ずる損害について予見可能性を問題とすることには、それなりに意味があるのみならず、もし債権者が債務不履行の場合に通常生ずべき損害の賠償を受けるだけでは満足できないならば、特別の事情を予見する債権者は、債務不履行の発生に先立つてあらかじめこれを債務者に通知して、将来にそなえる途もあるわけである。これに反して、多くの場合全く無関係な者の間で突発する不法行為にあつては、故意による場合はとにかく、過失による場合には、予見可能性ということはほとんど問題となりえない。(略)その結果、民法416条を不法行為による損害賠償の場合に類推適用するときは、立証上の困難のため、被害者が特別の事情によつて生じた損害の賠償を求めることは至難とならざるをえない。
#:*:そこで、この不都合を回避しようとすれば、公平の見地からみて加害者において賠償するのが相当と認められる損害については、特別の事情によつて生じた損害を通常生ずべき損害と擬制し、あるいは予見しまたは予見しうべきでなかつたものを予見可能であつたと擬制することとならざるをえないのである。そうであるとするならば、むしろ、不法行為の場合においては、各場合の具体的事情に応じて実損害を探求し、損害賠償制度の基本理念である公平の観念に照らして加害者に賠償させるのが相当と認められる損害については、通常生ずべきものであると特別の事情によつて生じたものであると、また予見可能なものであると否とを問わず、すべて賠償責任を認めるのが妥当であるといわなければならない。不法行為の場合には、無関係な者に損害が加えられるものであることからいつて、債務不履行の場合よりも広く被害者に損害の回復を認める理由があるともいえるのである。
#:*:不法行為による損害賠償責任が認められるためには、行為と損害との間に、その行為がなかつたならば当該損害は生じなかつたであろうという関係が存しなければならないが、かような事実的な因果の連鎖は際限のないものであるから、法律上の問題としては、右のような事実的因果関係の存在を前提としながら、そのうちどの範囲の損害を行為者に賠償させるのが妥当かという考慮が必要とされる。これがいわゆる法律上の因果関係の問題であるが、従来法律上の因果関係の問題として論じられていたものの中には、過失の問題、賠償額の算定(いかなる価格によるべきか、その価格の算定は何時を基準とすべきか)の問題など、本来因果関係の範疇の外にある問題が混入していることを注意しなければならない。また、行為との間に事実的因果関係のある損害につきどこまで行為者に賠償させるのが妥当かということは、いうまでもなく価値判断の問題であつて、事実として確定されるものではない。それは、各個の事件ごとに、その事実関係の中から、不法行為制度の基本理念である公平の観念に照らして導かれるべきものであつて、不法行為における損害賠償責任の正しい限界づけは、個々の判例の中から類型的に帰納されえても、一般的な公式によつて定められるべきものではない。
#:*:以上述べたところは財産的損害の賠償についてであつて、慰籍料については、裁判所が、諸般の事情を斟酌して、自由裁量により決することをうるものと考える。</small>
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52072 慰藉料請求](最高裁判決 昭和49年3月22日)
#;責任能力のある未成年者の不法行為と監督義務者の不法行為責任
#:未成年者が責任能力を有する場合であつても、監督義務者の義務違反と当該未成年者の不法行為によつて生じた結果との間に相当因果関係を認めうるときは、監督義務者につき民法709条に基づく不法行為が成立する。([[民法第714条#解説]]参照)
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=66816 損害賠償請求](最高裁判決 昭和49年6月27日)
#;将来の支出が予想される手術費用の損害賠償が認められた事例
#:交通事故により顔面に負傷した被害者の傷痕及び大腿部の採皮痕がケロイド状醜痕としてのこり、これを除去するための美容的形成手術費等の将来の支出が治療上必要であり、かつ、確実と認められるときには、右支出による損害の賠償を現在の請求として求めることができる。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54195&hanreiKbn=02 損害賠償請求](最高裁判決 昭和49年06月28日)[[民法第509条]]
#;同一交通事故によつて生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間における相殺の許否
#:双方の過失に基因する同一交通事故によつて生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間においても、相殺は許されない。
#<span id="被害者の自殺"></span>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=66834&hanreiKbn=02 損害賠償請求](最高裁判決 昭和50年10月03日) [[民法第416条]]
#;交通事故により負傷した被害者の自殺と事故との相当因果関係が否定された事例
#:*(最高裁・原審が支持する原々審判決)
#:*:事故と自殺の条件関係自体は推認できるが,仮に被害者の性格変化が自殺に影響を及ぼしていてもそのような性格変化が受傷から通常生じるとは認められず,加害者側において自殺を予見し又は予見しうる状況にあったと認めることは困難
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54204 損害賠償請求([東大ルンバールショック事件])](最高裁判決 昭和50年10月24日)[[国家賠償法第1条]]1項,民訴法185条(現247条),民訴法394条(現312条1, 3項)
#;医師が治療としてした施術とその後の発作等及びこれにつづく病変との因果関係を否定したのが経験則に反するとされた事例
#:<u>訴訟上の因果関係の立証は,一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく,経験則に照らして全証拠を総合検討し,特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり,その判定は,通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確認を持ちうるものであることを必要とし,かつそれで足りる。</u>
#:*重篤な化膿性髄膜炎に罹患した三才の幼児が入院治療を受け、その病状が一貫して軽快していた段階において、医師が治療としてルンバール(腰椎穿刺による髄液採取とペニシリンの髄腔内注入)を実施したのち、嘔吐、けいれんの発作等を起こし、これにつづき右半身けいれん性不全麻癖、知能障害及び運動障害等の病変を生じた場合、右発作等が施術後15分ないし20分を経て突然に生じたものであつて、右施術に際しては、もともと血管が脆弱で出血性傾向があり、かつ、泣き叫ぶ右幼児の身体を押えつけ、何度か穿刺をやりなおして右施術終了まで約30分を要し、また、脳の異常部位が左部にあつたと判断され、当時化膿性髄膜炎の再燃するような事情も認められなかつたなど判示の事実関係のもとでは、他に特段の事情がないかぎり、右ルンバ一ルと右発作等及びこれにつづく病変との因果関係を否定するのは、経験則に反する。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54219 損害賠償請求](最高裁判決 昭和51年9月30日)[[予防接種法第2条]]2項,予防接種実施規則(昭和33年9月17日厚生省令第27号。ただし昭和45年7月11日厚生省令第44号による改正前のもの)4条
##'''インフルエンザ予防接の実施と医師の問診'''
##:インフルエンザ予防接種を実施する医師が予診としての問診をするにあたつては、予防接種実施規則4条の禁忌者を識別するために、接種直前における対象者の健康状態についてその異常の有無を概括的、抽象的に質問するだけでは足りず、同条掲記の症状、疾病及び体質的素因の有無並びにそれらを外部的に徴表する諸事由の有無につき、具体的に、かつ被質問者に的確な応答を可能ならしめるような適切な質問をする義務がある。
##'''予防接種実施規則4条の禁忌者を識別するための適切な問診を尽くさなかつたためその識別を誤つて実施されたインフルエンザ予防接種により接種対象者が死亡又は罹病した場合と結果の予見可能性の推定'''
##:インフルエンザ予防接種を実施する医師が、接種対象者につき予防接種実施規則4条の禁忌者を識別するための適切な問診を尽くさなかつたためその識別を誤つて接種をした場合に、その異常な副反応により対象者が死亡又は罹病したときは、右医師はその結果を予見しえたのに過誤により予見しなかつたものと推定すべきである。
#<span id="違法な懲戒"></span>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=64110 損害賠償等](最高裁判決 昭和52年10月25日)
#;高校教師の違法な懲戒権の行使と生徒の自殺との間の相当因果関係が否定された事例
#:高校生が、授業中の態度や過去の非行事実につき担任教師から三時間余にわたり応接室に留めおかれて反省を命ぜられたうえ、頭部を数回殴打されるなど違法な懲戒を受け、それを恨んで翌日自殺した場合であつても、右懲戒行為がされるに至つた経緯等とこれに対する生徒の態度等からみて、教師としての相当の注意義務を尽くしたとしても、生徒が右懲戒行為によつて自殺を決意することを予見することが困難な状況であつた判示の事情のもとにおいては、教師の懲戒行為と生徒の自殺との間に相当因果関係はない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53272 慰藉料](最高裁判決 昭和54年3月30日)
#;妻及び未成年の子のある男性と肉体関係を持ち同棲するに至つた女性の行為と右未成年の子に対する不法行為の成否
#:妻及び未成年の子のある男性が他の女性と肉体関係を持ち、妻子のもとを去つて右女性と同棲するに至つた結果、右未成年の子が日常生活において父親から愛情を注がれ、その監護、教育を受けることができなくなつたとしても、'''右女性の行為'''は、特段の事情のない限り、未成年の子に対して不法行為を構成するものではない。
#:*父親がその未成年の子に対し愛情を注ぎ、監護、教育を行うことは、他の女性と同棲するかどうかにかかわりなく、父親自らの意思によつて行うことができるのであるから、他の女性との同棲の結果、未成年の子が事実上父親の愛情、監護、教育を受けることができず、そのため不利益を被つたとしても、そのことと右女性の行為との間には'''相当因果関係がない'''。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53322 損害賠償](最高裁判決 昭和56年7月16日)[[民法第715条]],[[水道法第15条]]1項
#;違法建築物についての給水装置新設工事申込の受理の事実上の拒絶につき市が不法行為法上の損害賠償責任を負わないとされた事例
#:市の水道局給水課長が給水装置新設工事申込に対し当該建物が建築基準法に違反することを指摘して、その受理を事実上拒絶し申込書をその申込者に返戻した場合であつても、それが、右申込の受理を最終的に拒否する旨の意思表示をしたものではなく、同法違反の状態を是正して建築確認を受けたうえ申込をするよう一応の勧告をしたものにすぎず、他方、右申込者はその後一年半余を経過したのち改めて右工事の申込をして受理されるまでの間右申込に関してなんらの措置を講じないままこれを放置していたなど、判示の事実関係の下においては、市は、右申込者に対し右工事申込の受理の拒否を理由とする不法行為法上の損害賠償の責任を負うものではない。
# [https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=70414 損害賠償](最高裁判決 昭和57年7月1日)
#;競業禁止契約の当事者でない第三者に対するパチンコ営業禁止の仮処分命令が債権侵害を理由に第三者の営業を禁止することは許されないとして取り消された場合において仮処分債権者に過失の推定を覆えすに足りる特段の事情がないとはいえないとされた事例
#:甲に対してパチンコ遊技場の経営権を譲渡しこれとの間で自己名義では同一町内でパチンコ営業をしない旨の競業禁止契約を締結した乙が、右契約に前後してかねて親交のあつた丙を勧誘してパチンコ営業をすることを決意させ、同一町内で土地建物を買い受け旧建物を解体して店舗用建物を建築し風俗営業の許可申請を警察に提出するなどの開業準備をさせたが、丙は右町内に住んだことやパチンコ営業をした経験がないため右開業準備もほとんど乙が丙から任されてしたもので、乙は、丙の氏名を表面に出さないで建物の建築請負契約を締結し、みずからパチンコ機械の注文をし、風俗営業の許可申請にも管理者として名を連ね、将来は責任者としてパチンコ営業をする予定になつており、また、丙は、甲と乙との間で建物建築に関して紛争が生じ、警察において事情聴取や話合いの機会がもたれた際も表だつた行動には出なかつたなどの判示の事情があるときには、甲が乙及び丙の両名を相手方として申請し発令を受けた右建物におけるパチンコ営業禁止の仮処分命令が、いわゆる債権侵害を理由にしては第三者たる丙のパチンコ営業を禁止することは許されないとして丙に関する部分が取り消されて確定したとしても、丙名義のパチンコ営業が実際には甲の乙に対する競業禁止契約に基づく権利の侵害行為にはあたらないもので甲において右事実を容易に知ることのできる事情があつたとか、又は、右の侵害行為がある場合に甲が第三者たる丙に対して営業禁止を請求する権利があると考えたことが実体法の解釈として不合理なものであるといえない限り、甲が丙を相手方としてパチンコ営業を禁止する仮処分を申請したことには過失の推定を覆えすに足りる特段の事情がないとはいえない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52148 損害賠償](最高裁判決 昭和58年9月6日) [[民法第412条]],自動車損害賠償保障法第3条
#;不法行為と相当因果関係に立つ損害である弁護士費用の賠償債務が履行遅滞となる時期
#:不法行為と相当因果関係に立つ損害である弁護士費用の賠償債務は、当該不法行為の時に履行遅滞となるものと解すべきである。
#:*当該不法行為時から法定利率による利息計算が始まる。
# <span id="報道2"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55168 反論文掲載](最高裁判決 昭和62年4月24日)日本国憲法第21条,[[民法第1条]],民法第709条,民法第723条,[[刑法第230条の2|刑法第230条ノ2]]
#;新聞紙上における政党間の批判・論評の意見広告につき名誉毀損の不法行為の成立が否定された事例
#:新聞社が新聞紙上に掲載した甲政党の意見広告が、乙政党の社会的評価の低下を狙つたものであるが乙政党を批判・論評する内容のものであり、かつ、その記事中乙政党の綱領等の要約等が一部必ずしも妥当又は正確とはいえないとしても、右要約のための綱領等の引用文言自体は原文のままであり、要点を外したものといえないなど原判示の事実関係のもとでは、右広告の掲載は、その広告が公共の利害に関する事実にかかり専ら公益を図る目的に出たものであり、かつ、主要な点において真実の証明があつたものとして、名誉毀損の不法行為となるものではない。
# [https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52197 損害賠償](最高裁判決 昭和63年9月6日)
#;訴えの提起が違法な行為となる場合
#:訴えの提起は、提訴者が当該訴訟において主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものである上、同人がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たのにあえて提起したなど、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く場合に限り、相手方に対する違法な行為となる。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55846 損害賠償](最高裁判決 平成5年3月25日)
#;危険物であることを知ってこれを運送する海上物品運送業者に対し右危険物の製造業者及び販売業者が危険性の内容等を告知する義務の有無
#:海上物品運送業者が危険物であることを知って運送品を運送する場合において、通常尽くすべき調査により、その危険性の内容、程度及び運搬、保管方法等の取扱上の注意事項を知り得るときは、右危険物の製造業者及び販売業者は、海上物品運送業者に対し、右の危険性の内容等を告知する義務を負わない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=63011 損害賠償、同附帯](最高裁判決 平成5年6月11日)[[民法第623条]],[[労働基準法第13条]]
#;管理者に準ずる地位にある職員が組合員バッジの取外し命令に従わないため点呼執行業務から外して営業所構内の火山灰の除去作業に従事することを命じた業務命令が違法とはいえないとされた事例
#:自動車営業所の管理者に準ずる地位にある職員が、取外し命令を無視して組合員バッジの着用をやめないため、同人を通常業務である点呼執行業務から外し、営業所構内の火山灰の除去作業に従事することを命じた業務命令は、右作業が職場環境整備等のために必要な作業であり、従来も職員が必要に応じてこれを行うことがあったなど判示の事情の下においては、違法なものとはいえない。
#<span id="被害者の自殺2"></span>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=63037&hanreiKbn=02 損害賠償反訴、同附帯](最高裁判決 平成5年09月09日)[[民法第416条]]
#;交通事故と被害者の自殺との間に相当因果関係があるとされた事例
#:交通事故により受傷した被害者が自殺した場合において、その傷害が身体に重大な器質的障害を伴う後遺症を残すようなものでなかったとしても、右事故の態様が加害者の一方的過失によるものであって被害者に大きな精神的衝撃を与え、その衝撃が長い年月にわたって残るようなものであったこと、その後の補償交渉が円滑に進行しなかったことなどが原因となって、被害者が、災害神経症状態に陥り、その状態から抜け出せないままうつ病になり、その改善をみないまま自殺に至ったなど判示の事実関係の下では、右事故と被害者の自殺との間に相当因果関係がある。
# <span id="報道3"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52442 慰藉料](最高裁判決 平成6年2月8日)
#;ある者の前科等にかかわる事実が著作物で実名を使用して公表された場合における損害賠償請求の可否
#:ある者の前科等にかかわる事実が著作物で実名を使用して公表された場合に、その者のその後の生活状況、当該刑事事件それ自体の歴史的又は社会的な意義その者の事件における当事者としての重要性、その者の社会的活動及びその影響力について、その著作物の目的、性格等に照らした実名使用の意義及び必要性を併せて判断し、右の前科等にかかわる事実を公表されない法的利益がこれを公表する理由に優越するときは、右の者は、その公表によって被った精神的苦痛の賠償を求めることができる。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57057 損害賠償](最高裁判決 平成7年6月9日)[[民法第415条]]
##'''診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準'''
##:新規の治療法の存在を前提にして検査・診断・治療等に当たることが診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準であるかどうかを決するについては、当該医療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮すべきであり、右治療法に関する知見が当該医療機関と類似の特性を備えた医療機関に相当程度普及しており、当該医療機関において右知見を有することを期待することが相当と認められる場合には、特段の事情がない限り、右知見は当該医療機関にとっての医療水準であるというべきである。
##'''昭和49年12月に出生した未熟児が未熟児網膜症にり患した場合につきその診療に当たった医療機関に当時の医療水準を前提とした注意義務違反があるとはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例'''
##:昭和49年12月に出生した未熟児が未熟児網膜症にり患した場合につき、その診療に当たった甲病院においては、昭和48年10月ころから、光凝固法の存在を知っていた小児科医が中心になって、未熟児網膜症の発見と治療を意識して小児科と眼科とが連携する体制をとり、小児科医が患児の全身状態から眼科検診に耐え得ると判断した時期に眼科医に依頼して眼底検査を行い、その結果未熟児網膜症の発生が疑われる場合には、光凝固法を実施することのできる乙病院に転医をさせることにしていたなど判示の事実関係の下において、甲病院の医療機関としての性格、右未熟児が診療を受けた当時の甲病院の所在する県及びその周辺の各種医療機関における光凝固法に関する知見の普及の程度等の諸般の事情について十分に検討することなく、光凝固法の治療基準について一応の統一的な指針が得られたのが厚生省研究班の報告が医学雑誌に掲載された昭和50年8月以降であるということのみから、甲病院に当時の医療水準を前提とした注意義務違反があるとはいえないとした原審の判断には、診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準についての解釈適用を誤った違法がある。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55866 損害賠償](最高裁判決 平成8年1月23日)民法第415条
#;医薬品の添付文書(能書)に記載された使用上の注意事項と医師の注意義務
#:医師が医薬品を使用するに当たって医薬品の添付文書(能書)に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定される。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=69646 預託金返還請求、民訴法第一九八条二項の申立](最高裁判決 平成9年4月24日)[[民法第708条]],[[民法第715条]],証券取引法(平成3年法律第96号による改正前のもの)50条1項,証券会社の健全性の準則等に関する省令(昭和40年大蔵省令第60号。平成3年大蔵省令第55号による改正前のもの)1条
#;証券会社の従業員が顧客に利回り保証の約束をして株式等の取引を勧誘し一連の取引をさせた場合に右取引による顧客の損失について証券会社が不法行為責任を免れないとされた事例
#:証券会社の営業部員が、株式等の取引の勧誘をするに際し、取引の開始を渋る顧客に対し、法令により禁止されている利回り保証が会社として可能であるかのように装って利回り保証の約束をして勧誘し、その旨信じた顧客に取引を開始させ、その後、同社の営業部長や営業課長も右約束を確認するなどして取引を継続させ、これら一連の取引により顧客が損失を被ったもので、顧客が右約束の書面化や履行を求めてはいるが、自ら要求して右約束をさせたわけではないなど判示の事実関係の下においては、<u>顧客の不法性に比し、証券会社の従業員の不法の程度が極めて強いものと評価することができ、証券会社は、顧客に対し、不法行為に基づく損害賠償責任を免れない</u>。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52613 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成11年10月22日)[[国民年金法第30条]],[[厚生年金保険法第47条]],[[国民年金法第35条]]1号,[[厚生年金保険法第53条]]1号,[[民法第896条]],[[国民年金法第33条の2]],[[厚生年金保険法第50条の2]],[[国民年金法第37条]],[[厚生年金保険法第58条]]
##'''不法行為により死亡した者の相続人が被害者の得べかりし障害基礎年金及び障害厚生年金を逸失利益として請求することの可否'''
##:障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が不法行為により死亡した場合には、その相続人は、加害者に対し、被害者の得べかりし右各障害年金額を逸失利益として請求することができる。
##'''不法行為により死亡した者の相続人が被害者の得べかりし障害基礎年金及び障害厚生年金についての各加給分を逸失利益として請求することの可否'''
##:障害基礎年金及び障害厚生年金についてそれぞれ加給分を受給している者が不法行為により死亡した場合には、その相続人は、加害者に対し、被害者の得べかりし右各加給分額を逸失利益として請求することはできない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57036 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成11年12月20日)[[民法第416条]]
#;交通事故の被害者が事故のため介護を要する状態となった後に別の原因により死亡した場合に死亡後の期間に係る介護費用を右交通事故による損害として請求することの可否
#:交通事故の被害者が事故のため介護を要する状態となった後に別の原因により死亡した場合には、<u>死亡後の期間に係る介護費用</u>を右交通事故による損害として請求することはできない。
#:*交通事故で傷害を負い、その後遺障害のため他人の介護を要する状態にあったが、本件訴訟の係属中に胃がんにより死亡したという案件。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52268 損害賠償等請求事件](最高裁判決 平成13年2月13日)[[著作権法第20条]],著作権法第第7章権利侵害,[[民法第719条]]
##'''メモリーカードの使用がゲームソフトの著作者の有する同一性保持権を侵害するとされた事例'''
##:パラメータにより主人公の人物像が表現され,その変化に応じてストーリーが展開されるゲームソフトについて,パラメータを本来ならばあり得ない高数値に置き換えるメモリーカードの使用によって,主人公の人物像が改変され,その結果,上記ゲームソフトのストーリーが本来予定された範囲を超えて展開されるなど判示の事実関係の下においては,当該メモリーカードの使用は,上記ゲームソフトを改変し,その著作者の有する同一性保持権を侵害する。
##'''専らゲームソフトの改変のみを目的とするメモリーカードを輸入,販売し,他人の使用を意図して流通に置いた者の不法行為責任'''
##:専らゲームソフトの改変のみを目的とするメモリーカードを輸入,販売し,他人の使用を意図して流通に置いた者は,他人の使用により,ゲームソフトの同一性保持権の侵害をじゃっ起したものとして,ゲームソフトの著作者に対し,不法行為に基づく損害賠償責任を負う。(→[[民法第719条#関連性2|共同不法行為]])
# <span id="契約確認"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52293 著作権侵害差止等請求事件](最高裁判決 平成13年3月2日)[[著作権法第22条]],[[著作権法第22条の2]],著作権法第7章権利侵害,民法第719条
#;専ら音楽著作物を上映し又は演奏して公衆に直接見せ又は聞かせるために使用されるカラオケ装置につきリース業者がリース契約を締結して引き渡す場合の注意義務
#:カラオケ装置のリース業者は,カラオケ装置のリース契約を締結した場合において,当該装置が専ら音楽著作物を上映し又は演奏して公衆に直接見せ又は聞かせるために使用されるものであるときは,リース契約の相手方に対し,当該音楽著作物の著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結すべきことを告知するだけでなく,上記相手方が当該著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結し又は申込みをしたことを確認した上でカラオケ装置を引き渡すべき条理上の注意義務を負う。
# <span id="報道4"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62816 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成14年1月29日)民法第710条,[[刑法第230条の2]]第1項
#;通信社が新聞社に記事を配信するに当たりその内容を真実と信ずるについて相当の理由があるとはいえないとされた事例
#:通信社が,殺人未遂罪で逮捕された甲が7,8年前に自宅で大麻を所持しており,その事実を捜査機関が突き止めた旨の事実を記事にして配信し,新聞社がこれを掲載した場合に,甲が自宅に大麻を所持していた事実の裏付けになる資料は甲と離婚した乙の供述のみであること,捜査の対象となっていない大麻所持についての報道であること,甲以外の関係者からそのころの甲と大麻とのかかわりについて取材することが不可能であった状況がうかがえないこと,捜査官が甲の大麻所持についていかなる事実を把握し,どのような心証を持ち,どのように判断しているのかについての取材内容が明らかでないことなど判示の事情の下においては,乙の供述が一貫し,甲が大麻と深いつながりがあることを自ら認めており,記事作成の時点で甲が既に逮捕され,甲に対する取材が不可能であった等の事情が存するときであっても,通信社に上記配信記事に摘示された事実を真実と信ずるについて相当の理由があったものとはいえない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62539 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成15年11月14日)[[民法第415条]]
#;食道がんの手術の際に患者の気管内に挿入された管が手術後に抜かれた後に患者が進行性のこう頭浮しゅにより上気道狭さくから閉そくを起こして呼吸停止及び心停止に至った場合において担当医師に再挿管等の気道確保のための適切な処置を採るべき注意義務を怠った過失があるとされた事例
#:食道がんの手術の際に患者の気管内に挿入された管が手術後に抜かれた後に,患者が,進行性のこう頭浮しゅにより上気道狭さくから閉そくを起こし,呼吸停止及び心停止に至った場合において,上記抜管の約5分後に患者の吸気困難な状態が高度になったことを示す胸くうドレーンの逆流が生じたことなどから,その時点で,担当医師は,患者のこう頭浮しゅの状態が相当程度進行し,既に呼吸が相当困難な状態にあることを認識することが可能であり,これが更に進行すれば,上気道狭さくから閉そくに至り,呼吸停止,ひいては心停止に至ることも十分予測することができたなど判示の事情の下においては,担当医師には,上記時点で,再挿管等の気道確保のための適切な処置を採るべき注意義務を怠った過失がある。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52290 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成15年11月14日)[[建築士法第3条]],[[建築士法第3条の2]],[[建築士法第3条の3]],建築士法(平成9年法律第95号による改正前のもの)18条,建築基準法(平成10年法律第100号による改正前のもの)5条の2
##'''建築士が建築士法3条から3条の3まで及び建築基準法5条の2の各規定等による規制の実効性を失わせる行為をした場合における建築物の購入者に対する不法行為の成否'''
##:建築士は,その業務を行うに当たり,建築物を購入しようとする者に対する関係において,建築士が建築士法3条から3条の3まで及び建築基準法5条の2の各規定等による規制の潜脱を容易にする行為等,その規制の実効性を失わせるような行為をしてはならない法的義務があり,故意又は過失によりこれに違反する行為をした場合には,その行為により損害を被った建築物の購入者に対し,不法行為に基づく賠償責任を負う。
##'''建築確認申請書に自己が工事監理を行う旨の実体に沿わない記載をした一級建築士が建築主に工事監理者の変更の届出をさせる等の適切な措置を執らずに放置した行為が当該建築主から瑕疵のある建物を購入した者に対する不法行為となるとされた事例'''
##:一級建築士又は二級建築士による設計及び工事監理が必要とされる建物の建築につき一級建築士が建築確認申請手続を代行した場合において,建築主との間で工事監理契約が締結されておらず,将来締結されるか否かも未定であるにもかかわらず,当該一級建築士が,建築主の求めに応じて建築確認申請書に自己が工事監理を行う旨の実体に沿わない記載をし,工事監理を行わないことが明確になった段階でも,建築主に工事監理者の変更の届出をさせる等の適切な措置を執らずに放置したこと,そのため,実質上,工事監理者がいない状態で建築された当該建物が重大な瑕疵のある建築物となったことなど判示の事情の下においては,当該一級建築士の上記行為は,建築士法3条の3及び建築基準法5条の2の各規定等による規制の実効性を失わせる行為をしたものとして当該建物を購入した者に対する不法行為となる。
# <span id="パブリシティ権"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52332 製作販売差止等請求事件](最高裁判決 平成16年2月13日)[[民法第198条]],[[民法第199条]],[[民法第206条]],[[知的財産基本法第2条]]2項
#;競走馬の所有者が当該競走馬の名称を無断で利用したゲームソフトを製作,販売した業者に対しいわゆる物のパブリシティ権の侵害を理由として当該ゲームソフトの製作,販売等の差止請求又は不法行為に基づく損害賠償請求をすることの可否
#:競走馬の所有者は,当該競走馬の名称を無断で利用したゲームソフトを製作,販売した業者に対し,その名称等が有する顧客吸引力などの経済的価値を独占的に支配する財産的権利(いわゆる物のパブリシティ権)の侵害を理由として当該ゲームソフトの製作,販売等の差止請求又は不法行為に基づく損害賠償請求をすることはできない。
#:*現行法上,物の名称の使用など,物の無体物としての面の利用に関しては,商標法,著作権法,不正競争防止法等の知的財産権関係の各法律が,一定の範囲の者に対し,一定の要件の下に排他的な使用権を付与し,その権利の保護を図っているが,その反面として,<u>その使用権の付与が国民の経済活動や文化的活動の自由を過度に制約することのないようにするため</u>,各法律は,それぞれの知的財産権の発生原因,内容,範囲,消滅原因等を定め,その排他的な使用権の及ぶ範囲,限界を明確にしている。上記各法律の趣旨,目的にかんがみると,競走馬の名称等が顧客吸引力を有するとしても,物の無体物としての面の利用の一態様である競走馬の名称等の使用につき,法令等の根拠もなく競走馬の所有者に対し排他的な使用権等を認めることは相当ではなく,また,競走馬の名称等の無断利用行為に関する不法行為の成否については,違法とされる行為の範囲,態様等が法令等により明確になっているとはいえない現時点において,これを肯定することはできないものというべきである。したがって,本件において,差止め又は不法行為の成立を肯定することはできない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=34907 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成19年7月6日)
#;建物の設計者,施工者又は工事監理者が,建築された建物の瑕疵により生命,身体又は財産を侵害された者に対し不法行為責任を負う場合
#:<u>建物の建築に携わる設計者,施工者及び工事監理者は,建物の建築に当たり,契約関係にない居住者を含む建物利用者,隣人,通行人等に対する関係でも,当該建物に'''建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務'''を負い</u>,これを怠ったために建築された建物に上記安全性を損なう瑕疵があり,それにより居住者等の生命,身体又は財産が侵害された場合には,設計者等は,不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の存在を知りながらこれを前提として当該建物を買い受けていたなど特段の事情がない限り,これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負う。
## [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81511 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成23年7月21日)
##;「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」の意義
##:「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」とは,居住者等の生命,身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい,建物の瑕疵が,居住者等の生命,身体又は財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に限らず,当該瑕疵の性質に鑑み,これを放置するといずれは居住者等の生命,身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合には,当該瑕疵は,建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当する。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=36310 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成20年4月24日)
##チーム医療として手術が行われる場合にチーム医療の総責任者が患者やその家族に対してする手術についての説明に関して負う義務
##:チーム医療として手術が行われる場合,チーム医療の総責任者は,条理上,患者やその家族に対し,手術の必要性,内容,危険性等についての説明が十分に行われるように配慮すべき義務を有する。
##チーム医療として手術が行われるに際し,患者やその家族に対してする手術についての説明を主治医にゆだねたチーム医療の総責任者が,当該主治医の説明が不十分なものであっても説明義務違反の不法行為責任を負わない場合
##:チーム医療として手術が行われ,チーム医療の総責任者が患者やその家族に対してする手術についての説明を主治医にゆだねた場合において,当該主治医が説明をするのに十分な知識,経験を有し,同総責任者が必要に応じて当該主治医を指導,監督していたときには,当該主治医の上記説明が不十分なものであったとしても,同総責任者は説明義務違反の不法行為責任を負わない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=36428 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成20年6月10日)[[民事訴訟法第248条|民訴法248条]]
#;採石権侵害の不法行為を理由とする損害賠償請求事件において,損害の発生を前提としながら,[[民事訴訟法第248条|民訴法248条]]の適用について考慮することなく,損害額を算定することができないとして請求を棄却した原審の判断に違法があるとされた事例
#:採石権侵害の不法行為を理由とするXのYに対する損害賠償請求事件において,Xが採石権を有する土地でYが採石したとの事実が認定されており,これによればXに損害が発生したことは明らかである以上,上記採石行為の後,Yが当該土地につき採石権を取得して適法に採石したため,Yの違法な行為による採石量と適法な行為による採石量とを明確に区別することができず,損害額の立証が極めて困難であったとしても,[[民事訴訟法第248条|民訴法248条]]により,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて相当な損害額が認定されなければならず,損害額を算定することができないとしてXの請求を棄却した原審の判断には,違法がある。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=37489 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成21年3月27日)
#;全身麻酔と局所麻酔の併用による手術中に生じた麻酔による心停止が原因で患者が死亡した場合において,麻酔医に各麻酔薬の投与量を調整すべき注意義務を怠った過失があり,同過失と死亡との間に相当因果関係があるとされた事例
#:全身麻酔と局所麻酔の併用による手術を受けた65歳の患者が術中に麻酔の影響により血圧が急激に低下し,引き続き生じた心停止が原因となって死亡した場合において,次の(1),(2)などの事実関係の下では,各麻酔薬の投与量をどの程度減らすかについて麻酔医の裁量にゆだねられる部分があり,いかなる程度減量すれば死亡の結果を回避することができたといえるかが確定できないとしても,その投与量を適切に調整しても患者の死亡という結果を避けられなかったというような事情がうかがわれない以上,麻酔医には患者の年齢や全身状態に即して各麻酔薬の投与量を調整すべき注意義務を怠った過失があり,この過失と患者の死亡との間に相当因果関係がある。<small>
#::# 全身麻酔薬プロポフォールについては,局所麻酔薬と併用投与する場合及び高齢者に投与する場合には血圧低下等の副作用が現れやすいので投与速度を減ずるなど慎重に投与すべきことが,局所麻酔薬塩酸メピバカインについては,重大な副作用として心停止等があり,高齢者には投与量の減量等を考慮して慎重に投与すべきことが,各能書に記載されていた。
#::# 麻酔医は,全身麻酔により就眠を得た患者に対し,能書に記載された成人に対する通常の用量の最高限度量の塩酸メピバカインを投与し,その効果が高まるに伴って低下した患者の血圧が少量の昇圧剤では回復しない状態となっていたにもかかわらず,プロポフォールを成人において通常適切な麻酔深度が得られるとされる速度のまま持続投与した。</small>
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81272 損害賠償請求事件] (最高裁判決 平成23年4月26日)[[民法第416条]]
#;精神神経科の医師の患者に対する言動と上記患者が上記言動に接した後にPTSD(外傷後ストレス障害)と診断された症状との間に相当因果関係があるということはできないとされた事例
#:精神神経科の医師が,過去に知人から首を絞められるなどの被害を受けたことのある患者に対し,人格に問題があり,病名は「人格障害」であると発言するなどした後,上記患者が,精神科の他の医師に対し,頭痛,集中力低下等の症状を訴え,上記の言動を再外傷体験としてPTSD(外傷後ストレス障害)を発症した旨の診断を受けたとしても,次の1.,2.など判示の事情の下においては,上記の言動と上記症状との間に相当因果関係があるということはできない。
#:#上記の言動は,それ自体がPTSDの発症原因となり得る外傷的な出来事に当たるものではないし,上記患者がPTSD発症のそもそもの原因となった外傷体験であるとする上記被害と類似し,又はこれを想起させるものでもない。
#:#PTSDの発症原因となり得る外傷体験のある者は,これとは類似せず,また,これを想起させるものともいえない他の重大でないストレス要因によってもPTSDを発症することがある旨の医学的知見が認められているわけではない。
----
{{前後
|[[民法]]
|[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#5|第5章 不法行為]]
|[[民法第708条]]<br>(不法原因給付)
|[[民法第710条]]<br>(財産以外の損害の賠償)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|709]] | 2006-10-24T09:02:01Z | 2024-01-25T20:00:14Z | [
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"テンプレート:Stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC709%E6%9D%A1 |
4,376 | CSS/フォント | CSSではフォント関連プロパティでフォントに関する設定を行う。文字に関する設定はほかにテキスト関連プロパティも参照していただきたい。
フォントファミリーとは通常のフォントや太字、イタリック体、斜体など、デザインを統一した複数のフォントをまとめたものである。「MS P明朝」などもフォントファミリーである。フォントファミリーは“font-family”プロパティで指定する。
設定できる値には具体的なフォントファミリ名のほか総称ファミリー名を指定することができる。
具体的なフォントファミリ名を指定すると、ページの作成者が意図した通りの形状のフォントでページを表示することが出来る。しかし、指定されたフォントが閲覧に用いたパソコンへインストールされていない場合、意図したフォント表示できない。このため、フォントを特徴によって分類された総称ファミリー名を指定することによって、ユーザーの環境にインストールされているフォントでページ作成者の意図した種類に最も近いものを自動的に選択させることが出来る。
フォントファミリー名や総称ファミリー名は半角カンマ区切りのリストで複数指定できる。“inherit”で親要素から継承することも可能。なおデフォルトのフォントはブラウザの種類や表示設定に依存する。
font-style プロパティとその値。
font-variant プロパティとその値。
font-weightプロパティを使うことにより、文字の太さを設定することが出来る。
font-size プロパティではフォントの大きさを設定することが出来る。単位を付けて絶対値での指定を行うと、一部のブラウザでは表示フォントサイズの設定を無視して固定値で表示する場合がある。
xx-small, x-small, small, medium, large, x-large, xx-large のキーワードでフォントサイズを指定すると、周囲のフォントサイズに関係なく一定の大きさで表示される。ただし、ユーザーがブラウザの表示フォントサイズを変更していると、それに従って見かけ上の大きさは変化する。
また、larger, smaller のキーワードでフォントサイズを指定すると、継承された文字の大きさを基準に相対的な大きさでフォントサイズを表示する。
フォントサイズは単位による大きさ指定も可能である。ただし、%, em, ex 以外の単位を用いると、ブラウザによっては表示フォントサイズの設定を無視する場合がある。ユーザーが好みに応じて表示サイズを変更することが出来なくなるため、使用には注意が必要である。
フォント関係の設定はfontプロパティを用いることで、まとめて設定することが可能である。fontプロパティでまとめて設定を行う場合、以下のような記述を行う。
<font-styleの値> <font-variantの値> <font-weightの値>(前の三つは順不同:省略可) <font-sizeの値>(必須)/<line-heightの値>(省略可) <font-familyの値>(省略可)
また、fontプロパティの値にキーワードを設定することで、システムフォントの設定を呼び出すことも可能である。
font-stretch プロパティではフォントの字幅を設定することができる。このプロパティは、CSS2で追加されたがCSS2.1勧告候補では削除された。
font-size-adjust プロパティを使うと、フォントサイズを変更することにより、違うフォントでもx-heightを同じにすることができる。 | [
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"text": "具体的なフォントファミリ名を指定すると、ページの作成者が意図した通りの形状のフォントでページを表示することが出来る。しかし、指定されたフォントが閲覧に用いたパソコンへインストールされていない場合、意図したフォント表示できない。このため、フォントを特徴によって分類された総称ファミリー名を指定することによって、ユーザーの環境にインストールされているフォントでページ作成者の意図した種類に最も近いものを自動的に選択させることが出来る。",
"title": "フォントファミリー"
},
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"text": "フォントファミリー名や総称ファミリー名は半角カンマ区切りのリストで複数指定できる。“inherit”で親要素から継承することも可能。なおデフォルトのフォントはブラウザの種類や表示設定に依存する。",
"title": "フォントファミリー"
},
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"title": "フォントスタイル"
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"title": "スモールキャピタル"
},
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"text": "font-weightプロパティを使うことにより、文字の太さを設定することが出来る。",
"title": "フォントの太さ"
},
{
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"tag": "p",
"text": "font-size プロパティではフォントの大きさを設定することが出来る。単位を付けて絶対値での指定を行うと、一部のブラウザでは表示フォントサイズの設定を無視して固定値で表示する場合がある。",
"title": "フォントサイズ"
},
{
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"text": "xx-small, x-small, small, medium, large, x-large, xx-large のキーワードでフォントサイズを指定すると、周囲のフォントサイズに関係なく一定の大きさで表示される。ただし、ユーザーがブラウザの表示フォントサイズを変更していると、それに従って見かけ上の大きさは変化する。",
"title": "フォントサイズ"
},
{
"paragraph_id": 10,
"tag": "p",
"text": "また、larger, smaller のキーワードでフォントサイズを指定すると、継承された文字の大きさを基準に相対的な大きさでフォントサイズを表示する。",
"title": "フォントサイズ"
},
{
"paragraph_id": 11,
"tag": "p",
"text": "フォントサイズは単位による大きさ指定も可能である。ただし、%, em, ex 以外の単位を用いると、ブラウザによっては表示フォントサイズの設定を無視する場合がある。ユーザーが好みに応じて表示サイズを変更することが出来なくなるため、使用には注意が必要である。",
"title": "フォントサイズ"
},
{
"paragraph_id": 12,
"tag": "p",
"text": "フォント関係の設定はfontプロパティを用いることで、まとめて設定することが可能である。fontプロパティでまとめて設定を行う場合、以下のような記述を行う。",
"title": "フォントの設定をまとめて設定"
},
{
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"tag": "p",
"text": "<font-styleの値> <font-variantの値> <font-weightの値>(前の三つは順不同:省略可) <font-sizeの値>(必須)/<line-heightの値>(省略可) <font-familyの値>(省略可)",
"title": "フォントの設定をまとめて設定"
},
{
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"tag": "p",
"text": "また、fontプロパティの値にキーワードを設定することで、システムフォントの設定を呼び出すことも可能である。",
"title": "フォントの設定をまとめて設定"
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"tag": "p",
"text": "font-stretch プロパティではフォントの字幅を設定することができる。このプロパティは、CSS2で追加されたがCSS2.1勧告候補では削除された。",
"title": "CSS2.1勧告候補で削除された設定"
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"text": "font-size-adjust プロパティを使うと、フォントサイズを変更することにより、違うフォントでもx-heightを同じにすることができる。",
"title": "CSS2.1勧告候補で削除された設定"
}
]
| CSSではフォント関連プロパティでフォントに関する設定を行う。文字に関する設定はほかにテキスト関連プロパティも参照していただきたい。 | CSSではフォント関連プロパティでフォントに関する設定を行う。文字に関する設定はほかにテキスト関連プロパティも参照していただきたい。
== フォントファミリー ==
フォントファミリーとは通常のフォントや太字、イタリック体、斜体など、デザインを統一した複数のフォントをまとめたものである。「MS P明朝」などもフォントファミリーである。フォントファミリーは“font-family”プロパティで指定する。
設定できる値には具体的なフォントファミリ名のほか総称ファミリー名を指定することができる。
具体的なフォントファミリ名を指定すると、ページの作成者が意図した通りの形状のフォントでページを表示することが出来る。しかし、指定されたフォントが閲覧に用いたパソコンへインストールされていない場合、意図したフォント表示できない。このため、フォントを特徴によって分類された総称ファミリー名を指定することによって、ユーザーの環境にインストールされているフォントでページ作成者の意図した種類に最も近いものを自動的に選択させることが出来る。
<div style="border:1px #0066CC dashed;">
<syntaxhighlight lang="css">
body {
font-family: "ヒラギノ角ゴPro W3", "MS Pゴシック", Osaka, serif;
}
</syntaxhighlight>
</div>
フォントファミリー名や総称ファミリー名は半角カンマ区切りのリストで複数指定できる。“inherit”で親要素から継承することも可能。なおデフォルトのフォントはブラウザの種類や表示設定に依存する。
;serif
:撥ねがあったり、先端の太さに変化があるフォント。日本語では明朝体。
;sans-serif
:撥ね(ハネ)、先端の太さの変化のないフォント。日本語ではゴシック体。
;cursive
:イタリック体よりも筆記体に近いフォント。日本語では行書体、草書体などが相当。
;fantasy
:文字として読める範囲で装飾をしたフォント。日本語フォントではあまり用いられない。
;monospace
:等幅フォント。文字の種類に関わらず文字の幅が統一されているフォント。
== フォントスタイル ==
font-style プロパティとその値。
;'''normal'''
:「通常体」に分類されるフォントを指定する。
;italic
:「イタリック体」に分類されるフォントを指定する。利用できない場合ブラウザは自動的に「斜体」に分類されるフォントを選択する。
;oblique
:「斜体」に分類されるフォントを指定する。利用できない場合ブラウザは「通常体」を傾けて勝手に斜体を生成してもよい。
;inherit
:親要素から継承
== スモールキャピタル ==
font-variant プロパティとその値。
; '''normal'''
: スモールキャピタルではない通常のフォントを指定する。
; small-caps
: スモールキャピタル(小文字サイズの大文字)フォントを指定する。利用できない場合ブラウザは大文字を縮小してスモールキャピタル化するべきとされているが、不可能な場合は単に大文字で表示してもよいとされている。
; inherit
: 親要素から継承
== フォントの太さ ==
font-weightプロパティを使うことにより、文字の太さを設定することが出来る。
; '''normal'''
: 数値400に同じ。
; bold
: 数値700に同じ。
; bolder
: 継承した値よりも太いフォントに当たるうち最も近い太さのものを選択する。
; lighter
: 継承した値よりも細いフォントに当たるうち最も近い太さのものを選択する。
; 100-900の数値(100刻み)
: フォントの太さを9段階で指定する。実際にはこのような細かな指定にブラウザやフォントが対応していないことが多い。
; inherit
: 親要素から継承
== フォントサイズ ==
font-size プロパティではフォントの大きさを設定することが出来る。単位を付けて絶対値での指定を行うと、一部のブラウザでは表示フォントサイズの設定を無視して固定値で表示する場合がある。
<div style="border:1px #0066CC dashed;">
<syntaxhighlight lang="css">
body {
font-size: 90%;
}
</syntaxhighlight>
</div>
=== キーワードによる指定 ===
xx-small, x-small, small, medium, large, x-large, xx-large のキーワードでフォントサイズを指定すると、周囲のフォントサイズに関係なく一定の大きさで表示される。ただし、ユーザーがブラウザの表示フォントサイズを変更していると、それに従って見かけ上の大きさは変化する。
また、larger, smaller のキーワードでフォントサイズを指定すると、継承された文字の大きさを基準に相対的な大きさでフォントサイズを表示する。
=== 単位による指定 ===
フォントサイズは単位による大きさ指定も可能である。ただし、%, em, ex 以外の単位を用いると、ブラウザによっては表示フォントサイズの設定を無視する場合がある。ユーザーが好みに応じて表示サイズを変更することが出来なくなるため、使用には注意が必要である。
;%
:継承された文字の高さを基準として相対的な大きさをサイズを比率で指定。標準サイズは100%。
;em
:継承された文字の高さを基準として相対的な大きさを指定。標準サイズは1em。
;ex
:継承されたxの文字の高さを基準として相対的な大きさを指定1ex。
;px
:画面のピクセル数を基準に指定。
;pt
:[[w:ポイント|ポイント]]単位で指定。
;pc
:[[w:パイカ|パイカ]]単位で指定。
;cm
:センチメートル単位で指定。
;mm
:ミリメートル単位で指定。
== フォントの設定をまとめて設定 ==
フォント関係の設定はfontプロパティを用いることで、まとめて設定することが可能である。fontプロパティでまとめて設定を行う場合、以下のような記述を行う。
<nowiki><font-styleの値> <font-variantの値> <font-weightの値>(前の三つは順不同:省略可) <font-sizeの値>(必須)/<line-heightの値>(省略可) <font-familyの値>(省略可)</nowiki>
また、fontプロパティの値にキーワードを設定することで、システムフォントの設定を呼び出すことも可能である。
;caption
:キャプションラベルに使用されているフォント
;icon
:アイコンのラベルに使用されているフォント
;menu
:メニューに使用されているフォント
;message-box
:ダイアログボックスに使用されているフォント
;small-caption
:キャプションラベルに使用されているフォント(小)
;status-bar
:ステータスバーに使用されているフォント
;inherit
== CSS2.1勧告候補で削除された設定 ==
=== フォントの字幅 ===
font-stretch プロパティではフォントの字幅を設定することができる。このプロパティは、CSS2で追加されたがCSS2.1勧告候補では削除された。
: '''normal'''
; 通常の字幅
: wider
; 継承された値より広い字幅
: narrower
; 継承された値より狭い字幅
: ultra-condensed
; とても狭い字幅
: extra-condensed
; さらに狭い字幅
: condensed
; 狭い字幅
: semi-condensed
; 少し狭い字幅
: semi-expanded
; 少し広い字幅
: expanded
; 広い字幅
: extra-expanded
; さらに広い字幅
: ultra-expanded
; とても広い字幅
: inherit
=== フォントサイズ調節 ===
font-size-adjust プロパティを使うと、フォントサイズを変更することにより、違うフォントでもx-heightを同じにすることができる。
: 数値
; アスペクト値(小文字‘x’の高さ÷文字の高さ)を指定する。
: none
; x-heightを一定に保たない。
: inherit
== 関連資料 ==
* [http://www.w3.org/TR/2004/CR-CSS21-20040225/fonts.html 『W3C CSS2.1』15 Fonts](W3C)
* [http://www.w3.org/TR/REC-CSS2/fonts.html#font-specification 『W3C CSS2』15.2 Font specification](W3C)
{{stub}}
[[Category:CSS|ふおんと]] | null | 2020-05-05T07:02:50Z | [
"テンプレート:Stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/CSS/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%88 |
4,392 | 民法第1031条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第5編 相続 (コンメンタール民法)
(配偶者居住権の登記等)
2018年改正により新設。本条に定められていた以下の条項の趣旨は、「遺留分侵害額の請求」として民法第1046条に定められた。
(遺贈又は贈与の減殺請求)
明治民法において、本条には限定承認に関する債権届出公告の満了時の取り扱いの規定があった。戦後民法では、民法第926条に継承された。 | [
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"text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第5編 相続 (コンメンタール民法)",
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"text": "(配偶者居住権の登記等)",
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"text": "2018年改正により新設。本条に定められていた以下の条項の趣旨は、「遺留分侵害額の請求」として民法第1046条に定められた。",
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"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "(遺贈又は贈与の減殺請求)",
"title": "条文"
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"paragraph_id": 4,
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"text": "明治民法において、本条には限定承認に関する債権届出公告の満了時の取り扱いの規定があった。戦後民法では、民法第926条に継承された。",
"title": "参考"
}
]
| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第5編 相続 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第5編 相続 (コンメンタール民法)]]
==条文==
(配偶者居住権の登記等)
;第1031条
# 居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。
# [[民法第605条|第605条]]の規定は配偶者居住権について、[[民法第605条の4|第605条の4]]の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。
===改正経緯===
2018年改正により新設。本条に定められていた以下の条項の趣旨は、「遺留分侵害額の請求」として[[民法第1046条]]に定められた。
(遺贈又は贈与の減殺請求)
;第1031条
:[[遺留分]]権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び[[民法第1030条|前条]]に規定する贈与の減殺を請求することができる。
==解説==
==参照条文==
==判例==
==参考==
明治民法において、本条には限定承認に関する債権届出公告の満了時の取り扱いの規定があった。戦後民法では、[[民法第926条]]に継承された。
:[[民法第1029条#参考|第千二十九条]]第一項ノ期間満了ノ後ハ限定承認者ハ相続財産ヲ以テ其期間内ニ申出テタル債権者其他知レタル債権者ニ各其債権額ノ割合ニ応シテ弁済ヲ為スコトヲ要ス但優先権ヲ有スル債権者ノ権利ヲ害スルコトヲ得ス
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第5編 相続 (コンメンタール民法)|第5編 相続]]<br>
[[第5編 相続 (コンメンタール民法)#a|第8章 配偶者の居住の権利]]<br>
|[[民法第1030条]]<br>(配偶者居住権の存続期間)
|[[民法第1032条]]<br>(配偶者による使用及び収益)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|m1031]]
[[category:民法 2018年改正|m1031]] | null | 2022-10-24T10:06:04Z | [
"テンプレート:前後",
"テンプレート:Stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC1031%E6%9D%A1 |
4,397 | 料理本/スープ/ガスパチョ | ガスパチョは健康的な冷製スープ。
トマト 450g 胡椒 25g 塩少々 バルサミコ酢 、オリーブオイル大さじ2杯 キュウリ 1/2-1本 シラントロ 少々 ニンニク 1欠け 赤唐辛子 1/4 タマネギ 1/2個 バゲット 50g 2-3日おいて固くなったもの 冷水 氷
パプリカ-少々 クミン-少々
トマト キュウリ
トマトの皮をむき1/4にカットする。赤唐辛子から種を取り除く。キュウリ、タマネギも皮をむいて刻む。 ニンニクはみじん切りもしくはガーリックプレスで潰す。 バゲットは内側の白い部分を使用し水に浸して柔らかくしたものを搾る。 野菜、パン、バルサミコ酢、オリーブオイル、香辛料、冷水をミキサーでかき混ぜる。 できあがったものを器にいれて氷、または冷蔵庫で冷やす。
最後に適当に切った野菜を浮かべて完成。 | [
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"text": "ガスパチョは健康的な冷製スープ。",
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"text": "トマト 450g 胡椒 25g 塩少々 バルサミコ酢 、オリーブオイル大さじ2杯 キュウリ 1/2-1本 シラントロ 少々 ニンニク 1欠け 赤唐辛子 1/4 タマネギ 1/2個 バゲット 50g 2-3日おいて固くなったもの 冷水 氷",
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"text": "パプリカ-少々 クミン-少々",
"title": "材料"
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"text": "トマト キュウリ",
"title": "浮き身"
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"text": "トマトの皮をむき1/4にカットする。赤唐辛子から種を取り除く。キュウリ、タマネギも皮をむいて刻む。 ニンニクはみじん切りもしくはガーリックプレスで潰す。 バゲットは内側の白い部分を使用し水に浸して柔らかくしたものを搾る。 野菜、パン、バルサミコ酢、オリーブオイル、香辛料、冷水をミキサーでかき混ぜる。 できあがったものを器にいれて氷、または冷蔵庫で冷やす。",
"title": "料理法"
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"text": "最後に適当に切った野菜を浮かべて完成。",
"title": "料理法"
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| ガスパチョは健康的な冷製スープ。 | {{Commons|Category:Gazpacho}}
{{Wikipedia|ガスパチョ}}
'''ガスパチョ'''は健康的な冷製スープ。
==材料==
トマト 450g
胡椒 25g
塩少々
バルサミコ酢 、オリーブオイル大さじ2杯
キュウリ 1/2-1本
シラントロ 少々
ニンニク 1欠け
赤唐辛子 1/4
タマネギ 1/2個
バゲット 50g 2-3日おいて固くなったもの
冷水
氷
===バリエーション===
パプリカ-少々
クミン-少々
==浮き身==
トマト
キュウリ
==料理法==
トマトの皮をむき1/4にカットする。赤唐辛子から種を取り除く。キュウリ、タマネギも皮をむいて刻む。
ニンニクはみじん切りもしくは[[ガーリックプレス]]で潰す。
バゲットは内側の白い部分を使用し水に浸して柔らかくしたものを搾る。
野菜、パン、バルサミコ酢、オリーブオイル、香辛料、冷水をミキサーでかき混ぜる。
できあがったものを器にいれて氷、または冷蔵庫で冷やす。
最後に適当に切った野菜を浮かべて完成。
[[Category:料理本|かすはちよ]]
[[Category:スペイン料理|かすはちよ]]
[[Category:スープ料理|かすはちよ]]
[[en:Cookbook:Gazpacho]]
[[es:Artes culinarias/Recetas/Gazpacho andaluz]]
[[it:Libro di cucina/Ricette/Gazpacho]]
[[nl:Kookboek/Gazpacho]] | 2006-11-01T17:58:21Z | 2023-10-26T14:43:31Z | [
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"テンプレート:Wikipedia"
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%96%99%E7%90%86%E6%9C%AC/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%97/%E3%82%AC%E3%82%B9%E3%83%91%E3%83%81%E3%83%A7 |
4,401 | 会社法第308条 | 法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)
(議決権の数) | [
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| 法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[会社法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)]]>[[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)]]
==条文==
(議決権の数)
;第308条
# [[株主]](株式会社がその総株主の議決権の4分の1以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主を除く。)は、[[株主総会]]において、その有する株式1株につき1個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、1単元の株式につき1個の議決権を有する。
# 前項の規定にかかわらず、[[株式会社]]は、[[自己株式]]については、議決権を有しない。
==解説==
*第1項は、株主の議決権の算定方法(一株一議決権の原則)とその例外について規定している。
:「株式会社がその総株主の四分の一以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を'''実質的に支配することが可能な関係'''にあるものとして法務省令([[会社法施行規則第67条]])で定める株主」([[w:株式持ち合い|相互保有株式]])と、「単元株式数を定款で定めている場合の単元株式数未満の株式しか有さない株主」については、議決権を有しない。
*第2項は、自己株式については、議決権は発生しないことを規定している。
==関連条文==
*[[会社法第155条]](総則)
*[[会社法第189条]](単元未満株式についての権利の制限等)
*[[会社法第342条]](累積投票による取締役の選任)
*[[社債、株式等の振替に関する法律第153条]](超過記載又は記録に係る義務の不履行の場合における株主の議決権)
----
{{前後
|[[コンメンタール会社法|会社法]]
|[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)|第2編 株式会社]]<br>
[[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)|第4章 機関]]<br>
[[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)#1|第1節 株主総会及び種類株主総会]]
|[[会社法第307条]]<br>(裁判所による株主総会招集等の決定)
|[[会社法第309条]]<br>(株主総会の決議)
}}
{{stub|law}}
[[Category:会社法|308]] | 2006-11-02T23:56:56Z | 2023-07-12T04:50:55Z | [
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4,403 | 会社法第847条 | 法学>民事法>商法>コンメンタール会社法>第7編 雑則 (コンメンタール会社法)
(責任追及等の訴え)
いわゆるw:株主代表訴訟についての規定である。 | [
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| 法学>民事法>商法>コンメンタール会社法>第7編 雑則 (コンメンタール会社法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第7編 雑則 (コンメンタール会社法)]]
==条文==
([[w:株主代表訴訟|責任追及等の訴え]])
;第847条
# 6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主([[会社法第189条|第189条]]第2項の定款の定めによりその権利を行使することができない単元未満株主を除く。)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等([[会社法第423条|第423条]]第1項に規定する役員等をいう。)若しくは清算人(以下この節において「発起人等」という。)の責任を追及する訴え、[[会社法第102条の2|第102条の2]]第1項、[[会社法第212条|第212条]]第1項若しくは[[会社法第285条|第285条]]第1項の規定による支払を求める訴え、[[会社法第120条|第120条]]第3項の利益の返還を求める訴え又は[[会社法第213条の2|第213条の2]]第1項若しくは[[会社法第286条の2|第286条の2]]第1項の規定による支払若しくは給付を求める訴え(以下この節において「責任追及等の訴え」という。)の提起を請求することができる。ただし、責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。
# 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、「株主」とする。
# 株式会社が第1項の規定による請求の日から60日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができる。
# 株式会社は、第1項の規定による請求の日から60日以内に責任追及等の訴えを提起しない場合において、当該請求をした株主又は同項の発起人等から請求を受けたときは、当該請求をした者に対し、遅滞なく、責任追及等の訴えを提起しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない。
# 第1項及び第3項の規定にかかわらず、同項の期間の経過により株式会社に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合には、第1項の株主は、株式会社のために、直ちに責任追及等の訴えを提起することができる。ただし、同項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
==解説==
いわゆる[[w:株主代表訴訟]]についての規定である。
*第1項は、提訴請求について規定している。([[w:単独株主権]])
*:第189条(単元未満株式についての権利の制限等)
*:第423条(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)
*:第212条(不公正な払込金額で株式を引き受けた者等の責任)
*:第120条(株主の権利の行使に関する利益の供与)
*第2項は、[[w:公開会社でない会社|公開会社でない会社]]の場合の提訴請求の主体の適格の要件の変更について規定している。
*第3項は、責任追及等の訴えの提訴できる条件について規定している。
*第4項は、責任追及等の訴えの際の通知について規定している。
*第5項は、株式会社に回復することができない損害が生じるおそれがある場合の例外について規定している。
*第6項は、責任追及等の訴えの訴額の算定方法について規定している。
*第7項は、被告の申し立てによる担保提供命令について規定している。
*第8項は、担保提供命令の際の被告の疎明事項について規定している。
==関連条文==
*[[会社法第386条]](監査役設置会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表)
----
{{前後
|[[コンメンタール会社法|会社法]]
|[[第7編 雑則 (コンメンタール会社法)|第7編 雑則]]<br>
[[第7編 雑則 (コンメンタール会社法)#2|第2章 訴訟]]<br>
[[第7編 雑則 (コンメンタール会社法)#2-2|第2節 株式会社における責任追及等の訴え]]
|[[会社法第846条の9]]<br>(原告が敗訴した場合の損害賠償責任)
|[[会社法第847条の2]]<br>(旧株主による責任追及等の訴え)
}}
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[[Category:会社法|847]] | null | 2022-07-23T12:26:24Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%B3%95%E7%AC%AC847%E6%9D%A1 |
4,404 | 会社法第348条 | 法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)
(業務の執行) | [
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| 法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[会社法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)]]>[[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)]]
==条文==
(業務の執行)
;第348条
# [[w:取締役]]は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社([[w:取締役会設置会社|取締役会設置会社]]を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
# 取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。
# 前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。
#:一 支配人の選任及び解任
#:二 支店の設置、移転及び廃止
#:三 [[会社法第298条|第298条]]第1項各号([[会社法第325条|第325条]]において準用する場合を含む。)に掲げる事項
#:四 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
#:五 [[会社法第426条|第426条]]第1項の規定による定款の定めに基づく[[会社法第423条|第423条]]第1項の責任の免除
# [[w:大会社]]においては、取締役は、前項第四号に掲げる事項を決定しなければならない
==解説==
*第1項は、[[w:取締役会非設置会社|取締役会非設置会社]]において、取締役が株式会社の業務執行機関であることを規定している。
*第2項は、取締役が複数人いる場合の意思決定方法(定款に定めのないときは取締役の過半数)を規定している。
*第3項は、取締役が他の取締役に決定を委任できない事項について規定している。(取締役会設置会社の場合は362条4項参照)
*:会社法第298条(株主総会の招集の決定)
*:会社法第325条(株主総会に関する規定の準用)
*:会社法第426条(取締役等による免除に関する定款の定め)
*:会社法第423条(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)
*第4項は、大会社においては、前項第4号に掲げる事項([[w:業務の適正を確保するための体制|業務の適正を確保するための体制]])を決定しておかなければならないことを規定している。
==参照条文==
*[[s:会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律#21|会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第21条]](取締役に関する規定の適用除外)
*[[会社法第362条]](取締役会の権限等)(取締役会設置会社)
----
{{前後
|[[コンメンタール会社法|会社法]]
|[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)|第2編 株式会社]]<br>
[[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)|第4章 機関]]<br>
[[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)#4|第4節 取締役]]
|[[会社法第347条]]<br>(種類株主総会における取締役又は監査役の選任等)
|[[会社法第348条の2]]<br>(業務の執行の社外取締役への委託)
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[[Category:会社法|348]] | null | 2022-05-28T02:31:08Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%B3%95%E7%AC%AC348%E6%9D%A1 |
4,410 | 病理学 | 病理学 (Pathology) とは、病気の観点から、生物学的に勉強していく科目である。
生理学は主に健常者の身体機能を基準として勉強していく。対比して病理学は、患者の障害された身体機能を基準として、比較的に病状ごとの各論的に、医学を学習していく。
とはいっても、臨床医学や救急医学とは異なり、病理学は医療系の学科の低学年で学習する基礎医学なので、主に生物学的な方法を用いて(ときどき化学を用いて)病理学を学習していくことになる。 | [
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| 病理学 (Pathology) とは、病気の観点から、生物学的に勉強していく科目である。 生理学は主に健常者の身体機能を基準として勉強していく。対比して病理学は、患者の障害された身体機能を基準として、比較的に病状ごとの各論的に、医学を学習していく。 とはいっても、臨床医学や救急医学とは異なり、病理学は医療系の学科の低学年で学習する基礎医学なので、主に生物学的な方法を用いて(ときどき化学を用いて)病理学を学習していくことになる。 | {{Pathnav|メインページ|医学|frame=1}}
'''病理学 (Pathology)''' とは、病気の観点から、生物学的に勉強していく科目である。
生理学は主に健常者の身体機能を基準として勉強していく。対比して病理学は、患者の障害された身体機能を基準として、比較的に病状ごとの各論的に、医学を学習していく。
とはいっても、臨床医学や救急医学とは異なり、病理学は医療系の学科の低学年で学習する基礎医学なので、主に生物学的な方法を用いて(ときどき化学を用いて)病理学を学習していくことになる。
== 目次 ==
=== 総論 ===
* [[病理学/病理学とは]]
* [[病理学/先天異常]] {{進捗|75%|2020-09-21}}
* [[病理学/代謝障害]] {{進捗|75%|2020-09-22}}
* [[病理学/循環障害]] {{進捗|75%|2020-09-23}}
* [[病理学/炎症]] {{進捗|75%|2020-09-24}}
* [[病理学/感染症]] {{進捗|75%|2020-09-25}}
* [[病理学/免疫とその異常]] {{進捗|75%|2020-09-25}}
* [[病理学/腫瘍]] {{進捗|50%|2020-09-26}}
* 病理学/細胞障害とその修復
* [[病理学/病理学の歴史]] {{進捗|50%|2020-10-21}} <!-- :※ 医学書では、冒頭に病理学の歴史の単元が書いてある。だが、現代では高校の理科の『生物』科目ですでに、より洗練された考えを習っているので、後回しにする事とした。明治時代のような開国直後ならともかく、さすがに21世紀の現代で、歴史から説明を始める必要性は低いだろうと本wikiでは判断し、総論の最後に移すことにした。 -->
=== 各論 ===
* [[病理学/循環器]] {{進捗|25%|2020-09-27}}
* [[病理学/血液・造血器・リンパ節]] {{進捗|50%|2020-09-30}}
* [[病理学/呼吸器]] {{進捗|50%|2020-10-02}}
* [[病理学/消化器]] {{進捗|50%|2020-10-07}}
* [[病理学/内分泌]] {{進捗|50%|2020-10-16}}
* [[病理学/泌尿器]] {{進捗|00%|2020-10-12}}
* [[病理学/生殖器]] {{進捗|50%|2020-10-14}}
* [[病理学/神経系]] {{進捗|25%|2020-10-17}}
* [[病理学/運動器]] {{進捗|50%|2020-10-20}}
* [[病理学/皮膚]] {{進捗|25%|2020-10-21}}
* [[病理学/軟部組織]]
* [[病理学/感覚器]]
== 外部リンク ==
[[commons:Histopathology of the human gastrointestinal tract|ウィキメディア・コモンズ病理学関連画像]]
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[[カテゴリ:病理学|*]] | null | 2022-11-23T05:41:17Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%97%85%E7%90%86%E5%AD%A6 |
4,411 | 薬理学 | 薬理学 (Pharmacology) は、薬物の人体に及ぼす作用を研究する分野である。その内容は薬物の構造特性、代謝経路、作用機序や副作用、臨床での有用性について学ぶ。薬理学は、生体の機能を考察する学問である生理学をその基礎とし、現在は様々な検査法や薬物作用から考察できる内容を理解するために初等的な化学の知識も要求される。
下記の見出し「体液っぽい話題」などは厳密なものではない。医学書でも、ここら辺の単元は医学書ごとに分類の仕方が異なっており、統一的な整理方法は無い。 ※ 体液っぽい話題
※ 免疫っぽい話題
※ 感染症治療っぽい話題
※ その他
(※ この単元は済み.) | [
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"text": "下記の見出し「体液っぽい話題」などは厳密なものではない。医学書でも、ここら辺の単元は医学書ごとに分類の仕方が異なっており、統一的な整理方法は無い。 ※ 体液っぽい話題",
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| 薬理学 (Pharmacology) は、薬物の人体に及ぼす作用を研究する分野である。その内容は薬物の構造特性、代謝経路、作用機序や副作用、臨床での有用性について学ぶ。薬理学は、生体の機能を考察する学問である生理学をその基礎とし、現在は様々な検査法や薬物作用から考察できる内容を理解するために初等的な化学の知識も要求される。 | {{Pathnav|メインページ|医学|frame=1}}
{{wikiversity|Topic:薬理学|薬理学}}
'''薬理学 (Pharmacology) ''' は、薬物の人体に及ぼす作用を研究する分野である。その内容は薬物の構造特性、代謝経路、作用機序や副作用、臨床での有用性について学ぶ。薬理学は、生体の機能を考察する学問である生理学をその基礎とし、現在は様々な検査法や薬物作用から考察できる内容を理解するために初等的な化学の知識も要求される。
== 薬理学で扱う項目 ==
=== 総論 ===
::※ 総論の進捗: {{進捗|100%|2020-10-31}}
* 予備知識
** [[高等学校看護 疾病と看護/薬物の作用]] (有害作用など)
** [[大学教養_理系学部の生物学#Gタンパク質と受容体]]
* [[薬理学/薬物の生体内動態]] (ED50やLD50など、経口投与や舌下投与など、甲状腺のヨード吸収など)
* [[薬理学/アゴニストとアンタゴニスト]]
* [[薬理学/体内における薬の運命]] (吸収・分布・代謝・排泄、コンプライアンス、TDM)
* [[薬理学/薬物治療に影響を与える因子]](耐性、薬物相互作用、薬物依存) ※ トランスポーターと促進拡散もここに間借り中.
* [[薬理学/新薬の開発手順など]] (治験、ヘルシンキ宣言、プラセボ)
* [[薬理学/小児・妊婦・高齢者などの薬物療法]] (※ 高齢者がまだ大幅に不足です.) ※ クレアチニン・クリアランスの式もここに間借り中.
<!--
もはや不要だけど、今後の単元名などの参考として当分、残す。
* [[薬物の作用点]](薬物受容体の概念 アゴニストとアンタゴニスト 受容体の種類)
* [[投与方法]](クリアランス バイオアヴェイラビリティ)
* [[分布と代謝]](薬物代謝 初回通過効果 毒物への代謝 酵素誘導と酵素阻害)
-->
=== 自律神経作動薬 ===
* [[薬理学/アドレナリン関係の薬物]] {{進捗|50%|2020-10-31}}(アドレナリン作動薬、カテコールアミン、遮断薬、)
* [[薬理学/アセチルコリン関係の薬物]] {{進捗|25%|2020-11-02}} (アトロピン、ダントロレン、リドカイン、クラーレ様薬物)
<!--
* 交感神経作用薬(ムスカリン性受容体 コリン性受容体 アセチルコリン受容体 コリン作動性薬物)
-->
<!--
* 交感神経遮断薬
* 副交感神経作用薬
* 副交感神経遮断薬
-->
=== ※ やや横断的な まとめ ===
:※ 下記の見出しの「興奮系」とか「抑制系」というのは、医学用語ではなく、wiki編集上の仮の用語。<!-- アッパー系とかダウナー系とか書くと違法ドラッグみたいなので漢字で表記。 -->
;興奮系
* [[薬理学/中枢興奮薬]] {{進捗|50%|2020-11-04}}(キサンチン誘導体、呼吸器作用薬)
;気管支
* [[薬理学/咳と痰と気管支喘息の治療薬]] {{進捗|50%|2020-11-04}} (コデイン、フコース型、COPD)
;抑制系
* [[薬理学/全身麻酔薬]] {{進捗|50%|2020-11-04}} (イソフルラン、プロポフォール、レミフェンタニルなど)
* [[薬理学/麻薬性鎮痛薬]] {{進捗|25%|2020-11-05}} (オピオイド、エンケファリン、レミフェンタニルなど)
;炎症の関係
* [[薬理学/抗炎症薬および関連薬]] {{進捗|25%|2020-11-05}} (NSAIDs、ステロイド抗炎症薬)
* [[薬理学/生理活性物質と消化器作用薬]] {{進捗|25%|2020-11-11}} (アラキドン酸カスケード、膨張性下剤、核酸アナログ)
;中枢神経系
* [[薬理学/中枢神経系の病気の治療薬]] {{進捗|25%|2020-11-13}} (てんかん治療薬、パーキンソン病治療薬)
;心臓と血液
* [[薬理学/心臓の病気の治療薬]] (心不全、狭心症、虚血性心疾患、など)
* [[薬理学/血液凝固に関する薬]] (ウロキナーゼ、)
* [[薬理学/造血系]]
;未分類
下記の見出し「体液っぽい話題」などは厳密なものではない。医学書でも、ここら辺の単元は医学書ごとに分類の仕方が異なっており、統一的な整理方法は無い。<br>
※ 体液っぽい話題
* [[薬理学/輸液]]
* [[薬理学/代謝性疾患とその治療薬]]
※ 免疫っぽい話題
* [[薬理学/抗リウマチ薬]]
* [[薬理学/免疫系]]
* [[薬理学/抗悪性腫瘍薬]]
※ 感染症治療っぽい話題
* [[薬理学/感染症の治療薬]]
※ その他
* 薬理学/各種の新薬 (※ まだ一部の教科書でしか紹介してない薬品など)
* 薬理学/その他の薬剤 (※ 消毒とか)
== 旧 目次 ==
:※ 症状別の索引に使えそうなので、しばらく残す予定。
=== 心臓・腎臓作動薬 ===
(※ この単元は済み.)
* 抗高血圧薬
* 狭心症治療薬
* 心不全治療薬
* 抗不整脈薬
* 利尿薬 (※ 済み)
=== 平滑筋作動薬 ===
* ヒスタミン、セロトニン、麦角アルカロイド ※ 麦角アルカロイドは済み. 『薬理学/アドレナリン関係の薬物#麦角アルカロイド』
* 気管支喘息薬 (※ 済み. 『薬理学/咳と痰と気管支喘息の治療薬』に統合済み.
* 血管作動薬
* 一酸化窒素 (※『薬理学/心臓の病気の治療薬』で既に硝酸薬を記述済み。
* プロスタグランジン (※ 『薬理学/生理活性物質』に統合の予定.
=== 中枢神経作動薬 ===
* 総論
* 鎮静睡眠薬 ※ 睡眠薬は記述済み.
* 鎮静薬の麻薬性 ※ 記述済み.
* 抗てんかん薬 ※ 記述済み.
* 全身・局所麻酔薬 ※ 記述済み.
* 筋弛緩薬 ※ ツボクラリンとかなら記述済み.
* パーキンソン症候群治療薬 ※ 記述済み.
* 抗うつ薬 ※ 済み。三環系とか記述済み
=== 血液・炎症治療薬 ===
* 高脂血症治療薬 ※ 済み. 『[[薬理学/代謝性疾患とその治療薬#脂質代謝異常とその治療薬]]』
* 貧血治療薬 ※ 『[[薬理学/造血系#貧血とその治療薬]]』
* 血液凝固/抗血液凝固薬 (※ 『[[薬理学/血液凝固に関する薬]]』
* 非ステロイド性抗炎症薬 ※ 済み. 『[[薬理学/抗炎症薬および関連薬]]』に統合.
=== 抗菌・抗ウイルス薬 ===
* 抗生物質 ※ 済み,
* 抗真菌薬 ※ 済み.
* 抗ウイルス薬 (※ ウイルス性肝炎については『[[薬理学/生理活性物質と消化器作用薬]]』)
* 悪性腫瘍治療薬 ※ 済み
* 免疫抑制剤 ※ 済み。『[[薬理学/免疫系]]』で記述ずみ。
== 内部リンク集 ==
;基礎医学リンク集
* [[生理学]]
* [[薬理学]]
* [[病理学]]
* [[解剖学]]
== 外部リンク ==
:※ 現在のところ、リンク無し。
== 未分類 ==
:※ この節は、サブページ化する前の、著作中の単元の記述スペースです。
:※ ある程度の内容が充実したら、上記の目次の各単元のリンク先の適切な場所に移動してください。
=== 脚注 ===
:※ サブページへの引用時には、上記『脚注』の見出しレベルをレベル2にアップする事。
{{DEFAULTSORT:やくりかく}}
{{NDC|491.5}}
[[カテゴリ:薬理学|*]] | 2006-11-06T12:12:55Z | 2023-09-29T11:10:29Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E8%96%AC%E7%90%86%E5%AD%A6 |
4,412 | 組織学 | 組織学(Histology)とは、主に光学顕微鏡などを用いて人体の微細な細胞構造を観察し考察する学問である。解剖学の目的をマクロの観察とすれば組織学はミクロの世界を観察する。また、その手法として様々な顕微鏡や染色法が開発され、それらを使いこなす技術が要求される。組織学で観察する人体の構造は正常なものであり、病的な人体組織の観察は病理学の分野となる。 | [
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"text": "組織学(Histology)とは、主に光学顕微鏡などを用いて人体の微細な細胞構造を観察し考察する学問である。解剖学の目的をマクロの観察とすれば組織学はミクロの世界を観察する。また、その手法として様々な顕微鏡や染色法が開発され、それらを使いこなす技術が要求される。組織学で観察する人体の構造は正常なものであり、病的な人体組織の観察は病理学の分野となる。",
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| 組織学(Histology)とは、主に光学顕微鏡などを用いて人体の微細な細胞構造を観察し考察する学問である。解剖学の目的をマクロの観察とすれば組織学はミクロの世界を観察する。また、その手法として様々な顕微鏡や染色法が開発され、それらを使いこなす技術が要求される。組織学で観察する人体の構造は正常なものであり、病的な人体組織の観察は病理学の分野となる。 | '''組織学(Histology)'''とは、主に光学顕微鏡などを用いて人体の微細な細胞構造を観察し考察する学問である。[[解剖学]]の目的をマクロの観察とすれば組織学はミクロの世界を観察する。また、その手法として様々な顕微鏡や染色法が開発され、それらを使いこなす技術が要求される。組織学で観察する人体の構造は正常なものであり、病的な人体組織の観察は[[病理学]]の分野となる。
[[Image:Microscope de HOOKE.png|right|thumb|250px|Robert Hookeの作った複合顕微鏡]]
== 組織学で扱う総論的項目 ==
=== 組織学的手法 ===
*切片標本作製法
*染色法
*顕微鏡
*細胞
=== 四大組織 ===
*上皮組織
*結合組織
*筋組織
*神経組織
=== その他の組織 ===
*骨組織
*血液
*リンパ組織
*血管系
*皮膚・毛
== 組織学で扱う各論的項目 ==
=== 口腔とその関連器官 ===
*口腔と腺
*鼻腔・肺
*[[/歯|歯]]
=== 消化器系 ===
*胃・小腸・大腸
*[[/肝臓|肝臓]]
*膵臓
=== 泌尿・生殖器 ===
*腎臓
*泌尿器
*男性生殖器
*女性生殖器
=== 内分泌系 ===
*内分泌系
=== 神経系・感覚器 ===
*脳脊髄膜・等皮質
*不等皮質
*視覚器
*聴覚・平衡覚器
== 外部リンク ==
[http://db.kobegakuin.ac.jp/kaibo/index.html 組織学カラースライドデータベース]
[[Category:医学|そしきかく]] | null | 2007-02-15T14:08:30Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%B5%84%E7%B9%94%E5%AD%A6 |
4,413 | 微生物学 | 微生物学 (microbiology) とは、細菌をはじめとする微生物の構造や生活観、またそれらの引き起こす疾病と治療法について学ぶ学問である。また、疫学的検査法についても多少触れる。しかしその内容は対象となる微生物によって多少異なるため、詳細は各章の冒頭に譲ることとする。本項では人体の組織学的知識が要求され、また薬理学は各々の治療法を理解するうえで是非とも学んでおきたい。
ここでは、微生物学で扱う微生物とは何なのかについて触れておく。そもそも微生物には細菌の他に真核生物の原虫、真菌、藻類、さらに生物とは呼べそうにないウイルス、ウイロイド、プリオンなども含まれる。そのうち、特にヒトへの病原性を有する病原微生物を中心にここでは細菌、真菌、寄生虫(原虫を含む)を扱っていくこととする。ウイルスはその研究手法などが大きく異なる事から、ウイルス学として別に扱う。プリオンは病理学 感染症を中心に、一部ウイルス学でも取り上げる事とする。細菌の詳細については細菌学、真菌については菌類学、寄生虫については寄生虫学でも取り上げる。
以下の4項目について、代表的な寄生虫を取り上げる。この分類はあくまで便宜的なもので、原虫、吸虫などを明確に定義する事に大きなメリットはない。但し、吸虫、線虫などはその寄生虫の特徴をよく捉えた呼称と言えるだろう。 | [
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"text": "微生物学 (microbiology) とは、細菌をはじめとする微生物の構造や生活観、またそれらの引き起こす疾病と治療法について学ぶ学問である。また、疫学的検査法についても多少触れる。しかしその内容は対象となる微生物によって多少異なるため、詳細は各章の冒頭に譲ることとする。本項では人体の組織学的知識が要求され、また薬理学は各々の治療法を理解するうえで是非とも学んでおきたい。",
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| 微生物学 (microbiology) とは、細菌をはじめとする微生物の構造や生活観、またそれらの引き起こす疾病と治療法について学ぶ学問である。また、疫学的検査法についても多少触れる。しかしその内容は対象となる微生物によって多少異なるため、詳細は各章の冒頭に譲ることとする。本項では人体の組織学的知識が要求され、また薬理学は各々の治療法を理解するうえで是非とも学んでおきたい。 | '''微生物学''' (microbiology) とは、細菌をはじめとする微生物の構造や生活観、またそれらの引き起こす疾病と治療法について学ぶ学問である。また、疫学的検査法についても多少触れる。しかしその内容は対象となる微生物によって多少異なるため、詳細は各章の冒頭に譲ることとする。本項では人体の[[組織学]]的知識が要求され、また[[薬理学]]は各々の治療法を理解するうえで是非とも学んでおきたい。
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== 微生物と微生物学 ==
ここでは、微生物学で扱う''[[wikipedia:微生物|微生物]]''とは何なのかについて触れておく。そもそも微生物には細菌の他に[[wikipedia:真核生物|真核生物]]の原虫、真菌、藻類、さらに生物とは呼べそうにないウイルス、[[wikipedia:ウイロイド|ウイロイド]]、[[wikipedia:プリオン|プリオン]]なども含まれる。そのうち、特にヒトへの病原性を有する[[wikipedia:病原微生物|病原微生物]]を中心にここでは細菌、真菌、寄生虫(原虫を含む)を扱っていくこととする。ウイルスはその研究手法などが大きく異なる事から、[[ウイルス学]]として別に扱う。プリオンは[[病理学#感染症|病理学 感染症]]を中心に、一部[[ウイルス学]]でも取り上げる事とする。細菌の詳細については[[細菌学]]、真菌については[[菌類学]]、寄生虫については[[寄生虫学]]でも取り上げる。
== 細菌の章で扱う項目 ==
== 真菌の章で扱う項目 ==
== 寄生虫の章で扱う項目 ==
以下の4項目について、代表的な寄生虫を取り上げる。この分類はあくまで便宜的なもので、原虫、吸虫などを明確に定義する事に大きなメリットはない。但し、吸虫、線虫などはその寄生虫の特徴をよく捉えた呼称と言えるだろう。
=== 原虫 ===
=== 吸虫 ===
=== 線虫 ===
=== 条虫 === | null | 2015-12-18T11:55:31Z | [
"テンプレート:Medical stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%BE%AE%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%AD%A6 |
4,414 | 解剖学 | 解剖学(Anatomy)とは、人体の解剖を通してその形態・構造の理解を目指す学問である。人体の構造に対する知識は、生理学や組織学に関わらずすべての医学分野の学習において欠く事のできないものといえる。
解剖学はその研究方法により、肉眼解剖学と組織学に分けられる。更にこのカテゴリでは肉眼解剖学を解剖学と神経解剖学に分け、本項では神経系については概論をさらうのみとする。また、解剖学をまとめる方法には人体の部位別にまとめる方法(局所解剖学)と、似たような器官系で分ける方法(系統解剖学)があり、人体を深く理解するうえでは両方の分類で内容を理解しておくことが重要である。なお本項では系統解剖学的な分類を採用した。 | [
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| 解剖学(Anatomy)とは、人体の解剖を通してその形態・構造の理解を目指す学問である。人体の構造に対する知識は、生理学や組織学に関わらずすべての医学分野の学習において欠く事のできないものといえる。 解剖学はその研究方法により、肉眼解剖学と組織学に分けられる。更にこのカテゴリでは肉眼解剖学を解剖学と神経解剖学に分け、本項では神経系については概論をさらうのみとする。また、解剖学をまとめる方法には人体の部位別にまとめる方法(局所解剖学)と、似たような器官系で分ける方法(系統解剖学)があり、人体を深く理解するうえでは両方の分類で内容を理解しておくことが重要である。なお本項では系統解剖学的な分類を採用した。 | '''解剖学(Anatomy)'''とは、人体の解剖を通してその形態・構造の理解を目指す学問である。人体の構造に対する知識は、[[生理学]]や[[組織学]]に関わらずすべての[[医学]]分野の学習において欠く事のできないものといえる。
解剖学はその研究方法により、肉眼解剖学と[[組織学]]に分けられる。更にこのカテゴリでは肉眼解剖学を解剖学と神経解剖学に分け、本項では神経系については概論をさらうのみとする。また、解剖学をまとめる方法には人体の部位別にまとめる方法(局所解剖学)と、似たような器官系で分ける方法(系統解剖学)があり、人体を深く理解するうえでは両方の分類で内容を理解しておくことが重要である。なお本項では系統解剖学的な分類を採用した。
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[[Image:Gray797.png|right|thumb|200px|[[解剖学/皮膚分節|皮膚分節]]]]
== 解剖学で扱う項目 ==
=== 基礎知識 ===
* [[/人体の区分|人体の区分]]
* [[/解剖学的な部位表現|解剖学的な部位表現]]
* [[/皮膚分節|皮膚分節]]
* [[/鰓弓|鰓弓]]
=== 骨 ===
* [[/骨総論|骨総論]]
* [[/関節総論|関節総論]]
* [[/体幹の骨|体幹の骨]]
* [[/上肢の骨|上肢の骨]]
* [[/下肢の骨|下肢の骨]]
* [[/頭蓋骨|頭蓋骨]]
=== 筋肉 ===
* [[/筋肉総論|筋肉総論]]
* 脊柱の筋
* 頚部の筋
* [[/背部の筋|背部の筋]]
* 胸腹部の筋
* 上肢の筋
* 下肢の筋
* 殿部の筋
* 表情筋・咀嚼筋
* その他の頭部の筋
=== 循環器 ===
* 胸腹部の動脈
* 頭頚部の動脈
* 上肢の動脈
* 下肢の動脈
* 腹部の動脈
* 心臓
* 静脈
* リンパ管系と脾臓
=== 口咽頭 ===
* 舌の筋
* 口頭の筋
* 嚥下に関わる筋
* 食道
=== 消化器 ===
* 胃
* 十二指腸
* 空腸・回腸
* 結腸・直腸
* 腹膜
=== 消化に関わる臓器 ===
* 肝臓
* 膵臓
=== 呼吸器 ===
* 鼻腔
* 喉頭
* 気道
* 肺
=== 泌尿器 ===
* 腎臓
* 膀胱と尿道
=== 生殖器 ===
* 生殖器の発生
* 男性[[生殖器]]
* 女性[[生殖器]]
=== 神経系 ===
* 神経総論
* 脳の概観
* 大脳皮質
* 脳と脊髄の動静脈
* 脳神経
* 自律神経
* 各部位の神経叢
* 皮神経
* 視覚器
* 聴覚・平衡覚器
== 関連項目 ==
* [[commons:Category:Gray%27s_Anatomy_plates|Gray解剖学の画像(ウィキメディア・コモンズ)]]
* [[w:人間の骨の一覧|人間の骨の一覧]]
* [[w:人間の筋肉の一覧|人間の筋肉の一覧]]
* [[w:ヒトの神経の名称一覧|ヒトの神経の名称一覧]]
* [[w:人間の動静脈一覧|人間の動静脈一覧]]
[[de:Neuroanatomie]]
[[en:Human Anatomy]]
[[fa:کالبدشناسی انسان]] | null | 2022-08-31T01:19:10Z | [
"テンプレート:Medical stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E8%A7%A3%E5%89%96%E5%AD%A6 |
4,415 | 生理学 | 生理学 (Physiology) とは、人体を構成する各要素(それは組織、器官であったり細胞であったりする)がどのような活動を行っているかを解き明かす学問である。各要素がどのような機能を持つかという基本を抑えたうえで、その機序への理解を深めていく。更に複数要素の関わり合い、ひいては全身の機能を総合的に捉えられるようにする。これには、各要素の分類や形態的特徴(解剖学)や代謝反応などに関する生化学の知識が要求される。
細胞は、固体状の細胞の中心部分と、液体からなる外側の細胞外液によって成り立っている。19世紀のフランスの生理学者クロード・ベルナール(Claude Bernard)がこの体内の環境のことを「内部環境」 milien unterne (英訳すれば internal environment)という用語で表し、内部環境は外界から隔絶された環境であるとした。
なお、体の外の環境を外部環境と呼ぶ。
アメリカの生理学者ウォルター・B・キャノン Walter B. Cannon はさらにベルナールの考えを発展させ、神経と内分泌の多くの実験などをもとに、キャノンは生体内の環境は常に一定になるように生物的に制御されていると主張し「ホメオスタシス」 homeostasis (恒常性) という造語で定義した(1932)。「類似の」 homeo + 「停止状態」stasis という意味の造語である。
ともかく、たとえば、血液の水素イオン濃度は、現代では約pH7.4前後に維持される事が知られている。
さて「恒常」といっても、けっして全くの不変ではなく、基準から僅かばかりに変動しているが、すぐに元に戻るように調整されている。工学的な用語で表すなら、制御工学で言う「ネガティブ・フィードバック」である。
ともかく、ホメオスタシスという現象のあることはつまり、体内に基準となるべき正常な状態があり、その基準状態からのズレを補正して元の基準に戻そうとするような仕組みが存在している事である。
なお、「フィードバック」とは制御工学の用語である。フィードバックには、基準からのズレを拡大していくポジティブ・フォードバック(正のフィードバック)と、基準に戻そうとするネガティブ・フィードバック(負のフィードバック)とがある。「ネガティブ」には、負(ふ)という意味がある。数学の正負の負も、英語で negative ネガティブ という。
ナトリウムポンプのほかに、カルシウムポンプやプロトン(H)ポンプがある。
生理学でいう「オーバーシュート」overshoot という用語は、この図のように、一時的に電位などの波形が目標値よりも高くなる事である。「オーバーシュート」がこういう意味なのは日本だけでなく世界的に同様であり、『ギャノング生理学』でも似たような意味で「オーバーシュート」という用語が使われている。
なお、上記の説明で「スパイク」という用語を、先端(右図では波形の頂上の部分)のとんがってない波形に使ったが、ギャノング生理学でも同様の用語の使い方である。ギャノング生理学に、「スパイクの持続時間」なる語句があり、ある神経のある刺激の電位の「スパイク」はたとえば 0.5ミリ秒 ほど持続する場合もあるとしている。(※ 数値は一例なので、暗記しなくていい。)
このような活動電位の波形を図示する場合、数ミリ秒の短時間で電位の興奮が終わるので場合によっては1本の縦線で図示される場合があるが(たとえば『ギャノング生理学 原書23版』、P178の図)、しかし現実の波形は右図のように、なだらかな曲線である(たとえば『ギャノング生理学 原書23版』、P179の図)。
神経の電位の理論計算の際、抵抗値の単位オーム Ω だけではなく、電気伝導度 という単位を使う場合がある。
電気伝導度とは、単に抵抗値の逆数であり、単位はシーメンスであり、シーメンスの記号はSで表す。
たとえば、2Ωの抵抗値は、その抵抗の電気伝導度は 0.5 S である。(0.5×2 = 1なので)
(「0.5 シーメンス」と読む。)
もし抵抗をRとし、電流をIとし、電気伝導度をgとした際、
オームの法則により、電流・抵抗・電圧の関係は RI=E
であるので、移項すると
I = E (1/R) = gE
となり、見かけ上、電圧と電流の関係が
I = gE
というふうに1行で書けるので、電気伝導度による記述が用いられる場合がある。
抵抗および抵抗値のことを英語でリアクタンスという。リアクタンスの単位はオーム Ω である。
電気伝導値のことを英語でコンダクタンス conductance という。つまり、コンダクタンスの単位はシーメンス S である。
一般に、受容体に結合する物質のことをリガンド ligand という。(※ 生理学テキストに記述あり。)
なお、類語で「アゴニスト」 agonist とは、薬品などで、受容体に結合して、作用をもたらす物質分子のことである。薬品が受容体と結合した際に作用を増強したり発現したりする場合をアゴニストという。一方、薬品が受容体と結合したさいに抑制的に働いたり他のアゴニストの結合を妨げるものの場合はアンタゴニスト antagonist という。薬物の場合、アンタゴニストのことを「拮抗薬」(きっこうやく)ともいう。
※ 「薬物」と言っても、麻薬のような違法的な意味は無い。慣習的に薬理学では、薬の事を一般に「薬物」という。
伝統的な、大学レベルの薬理学の教育では、アゴニストとアンタゴニストという語句が、これらの概念を説明するのに、よく使われる。 よく、リガンドと受容体の関係は、カギとカギ穴の関係に喩えられる。
アンタゴニストが存在するという事はつまり、
という事である。分子が受容体に結合し、さらになんらかの変化をその受容体に起こすことにより、初めて作用が起きるのである。
では、作用を起こすための変化とは何か? 一般的には、受容体の立体構造の変化である、とされている。
アンタゴニストは、結合穴に結合するだけで終わってしまい、立体構造を変化させないので、作用を起こさない、という解釈がある。
※ 本wiki独自の喩えだが、アンタゴニストをカギに喩えるなら、カギ穴に入ることはできるが、カギの凹凸が不一致で、カギを回せない、とでもいえようか・・・
たとえば読者は、神経伝達物質としてアセチルコリンを高校生物で読者は習ったと思う。
これも、上記の「リガンド」という用語を使うなら、
神経細胞にはアセチルコリン受容体があるので、その結果として、神経細胞のイオンチャネルのリガンドとして、アセチルコリンが作用するからである。(※ なお高校の東京書籍の検定教科書にも、似たような説明がある。別ページだが「リガンド」の用語も、東京書籍の教科書にある。)
※ ともかく読者は、こういった専門用語の言葉遣いになれてほしい。
イオンチャネルやイオンポンプは、必ずしも神経細胞だけに限定はしないが、しかし医学的には神経細胞のイオンチャネルやイオンポンプに作用する物質は危険物や毒物などになりやすいので重要である。
フグ毒のテトロドトキシンもNaチャネルを阻害するため、神経細胞のNaチャネルも阻害するので、重篤な症状をもたらす。(※ シンプル生理学に説明あり。『標準生理学 第8版』P72に記載あり。)
※ 『標準生理学』と『生理学テキスト』P.25で、若干に説明が食い違いあり。『ギャノング生理学』の内容が比較的に標準生理学に近いので、本wikiではギャノングにあわせる。
とても細い 1本の「毛細管」というかピペットのようなものを使い、電気的な手法で、細胞膜チャネルなどの細胞表面の器官を1個だけひきつけつ方法がある、とされており、その方法がパッチクランプ法である。
断面図で描かれると、2本の棒かのように誤解されるが、そうではない。
パッチクラノンプ法を使えば細胞が無傷のままひきつけることが出来る、とされている。
なお、細胞膜をやぶっても細胞膜チャネルを観測できる。
つまり、細胞膜を破らずに観測する方式と、別の方式として、細胞膜を破って観測する方式がある。
どのような方式でも、電極が(たとえば毛細管の中心軸あたりに)付属している。
そして、とにかく実験結果がどうなるかというと、膜電位の電圧が、オンまたはオフのいずれかという、2値のいずれかの状態だけを取ることが観測結果である。
正確に言うと、ms(ミリセカンド)のオーダーで、電圧の高低が切り替わる。つまり、1つのチャネルの開閉について、ミリセカンドのオーダーで開閉が切り替わっている、と医学では考えられている。
グラフ的にどう見えるかを言えば、オシロスコープなどの表示するグラフは、(表示倍率や設定にも寄るが、適正な表示倍率なら)けっして傾斜40度みたいなナナメの傾斜の曲線にはならず、オン状態はほぼ90度で立ち上がる。(厳密には85~89度くらいの斜めかもしれないが、そういう事を言い出すとキリがないので、ほぼ90度だと説明することにする。)
この事から、1つのチャネルの開閉の状態の切り替えは、瞬時に開または閉に切り変わる事が分かる、・・・と医学会では考えられており、医学書ではパッチクランプ法でそう証明されたと断言されている。
イオンチャネルが、なぜ構造が筒状で穴が空いているのか分かったかというと(※ なんと『標準生理学』でしか紹介されてない。『ギャノング生理学』と『生理学テキスト』には説明が無し)、主に「電子線」による実験の観測だとされる。
その他、X線による解析も行われている。
それらの電子線の観測写真などにより、実際に円形の何かが観測される。いかにも穴っぽい何かが観測できる。(と、『標準生理学』に、その観測写真(「ニコチン性アセチルコリン受容体」)がある。しかし倍率とかがその図に書かれておらず、いまいち不便。なお、ニコチンアセチルコリンにはチャネルポア(つまり貫通穴)がある。)
なお余談だが、チャネルの生物実験的な性質については、現代ではチャネルの遺伝子が特定されているのでクローニング技術的に大量生産できるので、「cDNAクローニング」による生物学的性質の確認が取られている。(と『標準生理学』P.74が言っている。)
要するに、主に
の3つが、イオンチャネルや類似の生体分子を調べるための典型的な手法である。(と、『標準生理学』P.75がこの3つの手法を特別に紹介している。)
読者はナトリウムチャネル(Naチャネル)、カリウムチャネル(Kチャネル)を高校で習ったと思う。
実はカルシウムチャネルも存在する。一般的に「Caチャネル」と表記される。
カルシウムと聞くと、ついつい骨細胞だけのものかと誤解しがちであるが、一般の細胞にも濃度は低いものの、カルシウムイオンが存在している。
高等学校の生物でも、いちおう神経伝達にカルシウムが関わっている事は習う。『高等学校生物/生物I/環境と動物の反応#シナプスでの伝達』
高校では習ってないかもしれないが、神経のほかにも筋細胞でも、筋収縮を伝えるのにカルシウムが関わっている。これについては筋肉細胞に、トロポニンというCaとの結合をするタンパク質が存在する事が明らかになっている。
なお、神経細胞も筋肉細胞もともに、興奮性の細胞であることに着目しよう。
このようにカルシウムは、何かの情報伝達的な物質としての側面もあることに注目しよう。もっとも生理学の大学教科書では、そこまで大げさに分類するまでもなく、生理活性物質などとしてカルシウムは分類されている。
また、筋肉や神経細胞など興奮性細胞に限らず、一般の多くの細胞にも、カルモジュリンという、Caと結合する蛋白質がある事が分かっている。(『生理学テキスト』、『標準生理学 第8版』P89、など)
なお、イオンの価数をいちいち「2」とか書くのが面倒な場合などは「Caチャネル」と略記する場合もよくある。(『生理学テキスト』にもある表記)ナトリウムチャネルなども同様、「Naチャネル」のようにイオンの価数を略記することもある。
骨格筋の赤みはおおむね、ミオグロビンによるものである。
ミオグロビンの多い筋肉をその色から「赤筋」という。
一方、ミオグロビンの多い筋肉を、赤みが比較的にうすい事から「白筋」という。
筋肉には、フォラメントが2種類あり、「太いフィラメント」(アクチンフィラメント)と「細いフィラメント」(ミオシンフィラメント)がある。
はその名の通り、太いフィラメントのほうが太い。また、太いフィラメントの構成物質は主にアクチンである。
細いフィラメントの抗生物質は主にミオシンである。さらに「細いフィラメント」にだけ、トロポニンとトロポミオシンというタンパク質がある。トロポニンは、カルシウムと結合する性質をもっている。
トロポニンとトロポミオシンによって、筋肉の収縮が調節されている。
筋小胞体という膜状の組織が、筋原線維のけっこうな割合の表面を取り囲んでいる。筋小胞体にはカルシウムが蓄えられており、必要に応じてカルシウムが筋小胞体から放出され、また必要に応じてカルシウムが筋小胞体に回収され、筋肉の収縮・弛緩を制御している。
筋線維への薬物投与など、人為的な手法によって筋収縮を起こさせることを、生理的な収縮とは区別して「拘縮」 contracture といい、次のような例が知られている。
薬理学のほうで、麻酔薬を使ったときに、患者によっては全身が高熱になって致死的な「悪性高熱症」という現象があるのだが、これは筋小胞体のCa放出機構の異常が原因だとされており(※ 『生理学テキスト』では触れられてない)、主に筋小胞体のリアノジン受容体の異常だろう、と考えられている。
なお、リアノジンという植物アルカロイドがある。そのリアノジンが、この受容体(リアノジン受容体)と強固に結合するので、「リアノジン受容体」(Rynanodin receptor : RyR)という名前がついている。
また、カフェイン拘縮と似たような機構なのだろう、と思われている。
カフェイン-ハロタン筋収縮テストという実験で、悪性高熱症の発症のしやすさを評価できるとされている。
ATP濃度が低下して1μmol/L以下になると、アクチンとミオシンが結合した状態になり、筋肉は硬くなり、これを硬直 rigor と言う。
死体などで見られる死後硬直(「死硬直」とも) rigor mortis も、これである。
神経伝達の物質のひとつに、高校でも習うようにアセチルコリンがある。
高校では、神経同士の伝達におけるアセチルコリンの役割を習った。
神経から骨格筋における伝達も、アセチルコリンによる。
運動神経は、筋肉の「終板」と言われる部位に(間隙はあるが)接合している。
運動神経の終末にも、シナプス小胞があり、そのシナプス小胞からアセチルコリンを放出する。
そして、筋肉側に、アセチルコリンの受容体(アセチルコリン受容体)が存在しているので、こうして伝達が神経から筋肉に伝わる。
筋肉側の「終板」のあたりに、アセチルコリン受容体およびアセチルコリンエステラーゼが密集して存在している。
アセチルコリン受容体には、ニコチン受容体と、ムスカリン受容体がある。
「ニコチン受容体」とは、その名のとおり、薬物の受容体に反応して開口するので、「ニコチン受容体」の名をつけられている。
そして、筋肉の「終板」には、アセチルコリンのニコチン受容体がある。(※ 生理学テキスト、シンプル生理学など)
なお、アセチルコリンを略称で「ACh」と書く。AだけでなくCも大文字である。アセチルコリン受容体なら、略称は「ACh受容体」と書く。
筋肉の「終板」にも存在しているアセチルコリンエステラーゼ(略称: AChE)は、アセチルコリンを分解する酵素である。
筋肉にかぎらず、アセチルコリンはシナプス間隙などに放出されても、このアセチルコリンエステラーゼにより、すぐに分解されてしまう。
むかしの南アメリカ原住民(いわゆるインディアン)の矢に塗って使っていた毒(矢毒)のクラーレおよび、その主成分がツボクラリンは、終板のアセチルコリン受容体に接合することで、アセチルコリンの働きを競合的に妨げる作用により、筋肉が麻痺するので、毒として作用している事が分かっている。(※ シンプル生理学、生理学テキスト)
クラーレにより、筋肉の麻痺を起こせば、標的の呼吸筋などの重要な筋肉も麻痺するので、標的を死に至らしめるという毒である。
アセチルコリン受容体には、ニコチン性受容体(略称: nAChR)と、ムスカリン性受容体(略称: mAChR)がある。
「ニコチン受容体」とは、その名のとおり、薬物の受容体に反応して開口するので、「ニコチン受容体」の名をつけられている。
筋肉の「終板」には、アセチルコリンのニコチン受容体がある。(※ 生理学テキスト、シンプル生理学など)
一方、平滑筋や心筋や脳には、ムスカリン性受容体がある。薬物のムスカリンに反応するので、ムスカリン性受容体という名が付けられている。(『生理学テキスト』、2017年8月9日 第8版 第2刷、73ページ)
心筋や脳のほか、副交感神経によるホルモン分泌などにも、ムスカリン性受容体が関わっている。
ムスカリン性受容体にはm1からm5までの5種類のサブタイプがある事が知られている。(大文字で「M1」~「M5」と書く場合もあり(『生理学テキスト』では大文字。『標準生理学』では小文字)、どちらでもいい。)
m2とm4は、・・・ ※ 調査中
神経に関する抑制性伝達物質は主に、GABAという物質と、グリシンという物質の、2つである。
20世紀なかごろのアメリカで、乳幼児に てんかんが多く発生する事件が起きた。原因は、粉ミルクの変性により、ビタミンB6が変性したことだとされる。
さて、「てんかん」とは、脳細胞の異常な興奮である。
この様な事実から、つまり、なんらかの栄養素の栄養不足によって、神経が異常に興奮するという現象が起きると考えられる。
これをもっと突き詰めて考えれば、つまり、栄養素から合成される何か(おそらく何らかの物質)の不足によって、神経が異常に興奮するという事であろう。
さらに突き詰めれば、つまり、神経伝達物質には、神経を興奮させる物質のほかに、神経を抑制させる物質もある、という事が想像される。
さて、天下り的に結論を言うと、GABA(γ-アミノ酪酸)という物質が、神経抑制の物質である。上述のアメリカの粉ミルクの事件も、乳幼児の深刻なGABA不足が原因だと医学的には考えられている。
なお、GABAは生体内では、グルタミン酸をグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)で脱炭酸することによって直接合成されている。
GABAの受容体には、少なくともGABAA受容体とGABAB受容体の2種類がある。なお GABAC受容体とは、GABAA受容体のうちの特殊なものをそう呼んでいる。
抗不安薬として用いられているベンゾジアゼピンという薬物が、GABAA受容体を活性化する。GABAA受容体が活性化すると、Clイオンの透過性が高まる。
よって、ベンゾジアゼピンにより、Cl イオンの透過性が高まる。
GABAA受容体は5つのサブユニットから構成される五量体構造である。
一方、GABAB受容体は GABABR1 と GABABR2 からなるヘテロ二量体構造であり、またGタンパク質と共役している。
GABAのほか、グリシンという物質も、神経の抑制伝達物質として働く。グリシンの受容体も、活性化のさいに、Clイオンの透過性が高まっている。
なお、グリシンの阻害薬はストリキニンである。ストリキニンによって、痙攣などが起きる。
なお、その語源となったストリキニ-ネは東インドの原住民が用いていた矢毒である。
グリシンはグルタミン酸と同様に多くの細胞に存在している。
GABAやグリシンは、抑制性シナプスにも関わっている、と一般に考えられている。
なお、脊髄においては抑制性シナプス後電位(IPSP)の50%はグリシン由来である。
ドーパミンおよびアドレナリンおよびノルアドレナリンのことを、カテコールアミンという。
ドーパミンは、脳の情動に関係が深い。
そのため、統合失調症などの関連薬にも、ドーパミンを制御する薬品がある。
パーキンソン病にも、ドーパミンは関係している。
ドーパミン受容体は、D1,D2,D3,・・・などと何種類かに分けられるが、いずれもGPCRである。(※ 『標準生理学』および『生理学テキスト』) GPCRとは、「Gタンパク質共役受容体」のこと。7回膜貫通タンパク質とも言われる。(※ 分子生物学の教科書によく書いてあるアレの一種。)
分泌されたドーパミンは、ドーパミン輸送体(DAT)によって神経終末に取り込まれ、再利用される。(標準生理学、P149。生理学テキスト、P78。)
麻薬のコカインや、覚せい剤のアンフェタミンは、ドーパミン輸送体(DAT)を妨害する作用があることで、ドーパミンによるニューロン活性化を延長させている。
アドレナリンとノルアドレナリンは、程度の差はあるが共通の受容体に作用するので、受容体は「アドレナリン受容体」と一括して呼ばれる。(標準生理学、P150。生理学テキスト、P77。)
アドレナリン受容体は7回膜貫通タンパク質(GPCR)である。(※ 『標準生理学』および『生理学テキスト』) GPCRとは、「Gタンパク質共役受容体」のこと。7回膜貫通タンパク質とも言われる。(※ 分子生物学の教科書によく書いてあるアレの一種。)
アドレナリン受容体には、α1,α2,β1,β2,β3 が存在するが、いずれもGPCRである。(標準生理学がP150で「β3」を紹介。生理学テキストのP77では「β3」が無い。
セロトニン(5-hydroxytryptamine、略称: 5-HT) は、アミノ酸のトリプトファンから合成される。
5-HTの多くはGPCRである。
3型である 5-HT3 のみ、イオンチャネル型であり、リガンドによって開閉する。
※ 未記述.
アデノシン受容体には、A1, A2A, A2B, A3 の4種類が知られている。いずれも、一般的に中枢神経に対しては抑制的に作用する。(※ 生理学テキスト)
コーヒーや茶などに含まれるカフェインやテオフェリンは(なお、両物質ともキサンチン誘導体である)、アデノシン受容体を阻害する。
一酸化窒素は気体である。生体内での伝達物質としての一酸化窒素(NO)は、一酸化窒素合成酵素の働きにより、アルギニンから合成される。
現代では、一酸化窒素がグアニル酸シクラーゼを活性化して、サイクリックGMP(cGMP)が合成される事が解明されている。
モルヒネは植物のケシから合成でき、麻薬の阿片(アヘン)もモルヒネの派生であり、モルヒネ洋物質をオピエートというのだが、動物の体内物質としてモルヒネに似たような構造の物質が見つけられており、その体内のモルヒネ様物質のことをオピオイドという。
特に動物体内で産生される物質である事を強調するとき、「内因性」と冒頭につけて「内因性オピオイド」などと言う。
エンドルフィンなどが、内因性オピオイドという。なお、オピオイドの構造はペプチドである。
※ 未記述
Ca以外の凝固因子はタンパク質である(『標準生理学』)。
血液凝固における、凝固していく過程は図のように、「内因性」と「外因性」という2種類に分かれる。
内因性も外因性も、共通して、血液中の第X因子がカルシウムの存在のもとに活性化された結果としてXa因子となる。そして、そのXa因子によって、プロトロンビンがトリンビンに変化する。
古典的には、モラビッツの凝固機序というモデルが知られているが(『生理学テキスト』で紹介されている。『標準生理学』では紹介せず)、現代ではより正確なモデルに置き換わっているので、モラビッツに関しては名前を紹介するのにとどめる。
図中の「V」(プロトロンビンの左上にあるヤツ)は、ブイじゃなくて「5」番目の意味。
また、血液の止血の凝固にはビタミンKが必要である。
凝固因子のうち、II(2),VII(7),IX(9),X(10) がビタミンKを凝固に必要とする。
また、ほとんどの血液凝固因子は肝臓で合成される。
ビタミンKが酵素的に振舞うなどの働きにより、グルタミン酸残基がγ-カルボキシグルタミン酸に変換される。
したがって、ビタミンK欠乏や肝障害があると、出血傾向を見る。
抗凝固薬として使われるワルファリンという薬剤は、ビタミンKの代謝を阻害する。
(備考: ) なお、納豆にビタミンKは多く含まれるという(『シンプル薬理学』)。
語呂合わせだが、ビタミンK要求性の凝固因子の7番と10番で「ナットウ」と覚える語呂合わせもある(『標準生理学』で2番,9番、7番、10番がビタミンK要求性なので『肉納豆』と覚える語呂合わせが紹介されている。)。
詳しくは薬理学の教科書で解説されると思うので、ワルファリンや納豆については、この単元では、あまり深入りしないとする。
血友病患者は、第VIII因子(8番目)または第IX因子(9番目)が欠損している。
第8因子の欠損するタイプが血友病Aである。
第9因子の欠損するタイプが血友病Bである。
血友病Aも血友病Bも、ともに劣性遺伝である。
右図にもあるように、健康なヒトの体温は、外気温に関わらず、脳と心臓といった核心部の体温はつねに一定であり、 ほぼ37°Cに保たれている。
また、ヒトの体温は、同じ瞬間であっても、部位によって温度が異なる。
普通、心臓や脳などの核心部ほど温度が高く、表皮(表皮の近くを「外殻部」という)や手足の先端などといった周辺部に向かうにつれ、温度が下がっていく。
外殻部の温度は、外気温の影響を受けて変動する。
脳や心臓や腹部臓器の温度のことを「核心温」(core temperature)または「核心温度」という。
ただし、風邪などによって核心部の体温が上がることがある。
これは防衛反応によるものであるが、プロスタグランジンE2が最終的な発熱物質である。
よって、プロスタグランジンE2(PGE2)の生成を阻害することにより、体温の上昇を防ぐことができ、実際に熱さましの薬などにプロスタグランジン阻害剤が応用されており、具体的には解熱薬のアスピリンやインドメタシンがCOX回路を阻害することでPGE2阻害をしている薬である。
核心部の体温を一定に調節する機構が、明らかに体内に存在している。
まず、それらの概念を工学的な用語を使って整理してみよう。
まず、
という事が言える。
ではそのフィードバック機構の正体は何か?となると、また別の議論だが、少なくとも現象論を工学的に記述するなら、おおむね上記のような説明文になる。
さて、風邪によってワキのしたの温度が高くなるように、風邪によって核心部の温度がやや上昇すると考えるのが妥当であろう。
臨床においても、舌下温または腋窩温(えきかおん)が体温の測定の際でよく用いられる。 腋窩(えきか)とは、ワキの下のこと。
この事から、核心部の温度は、永久不変ではなく、体調などによて変わると考えるべきである。
セットポイントという温度概念が定義されており、「その時点での、核心部のあるべき温度」の事がセットポイントである。
風邪の場合、人体は防衛反応のためにセットポイントを上昇させる。
人体において、セットポイントと核心部の実際の温度を比較して、そしてフィードバック調節によって書く深部の体温をセットポイントに近づけようとする機構がヒトなどホニュウ動物に備わっている、と見なすのが妥当である。
このように、核心部の温度は、外気温では変わらないが、しかし体調などによって(核心部の温度が)変わる。
プロスタグランジン阻害剤などの熱さましの薬は、セットポイントを変更し、風邪でない状態の平熱のときのセットポイントに戻す薬という事になる。
なお、医学実験的において核心温として測定される部位は、舌下温、食道温、直腸温、鼓膜温、である。
哺乳類の場合、脳の温度を非侵襲的に測定するのは不可能である。この文脈でいう「非侵襲的」とは、「外科手術などを伴わないで」というような意味。
そこで、赤外線サーモグラフィーで頭部の赤外線を測定することで、代わりに生体・活動中のヒトの脳の温度を推定することが、よく行われている。
ただし、汗が多い場合、脳からの赤外線ではなく汗の赤外線を測定しまっている可能性がある。
一方、臨床的には、腋窩温(えきかおん)または舌下温(または口腔温)が核心温として測定されることが多い。
直腸温、鼓膜温、食道温、舌下温(口腔温)、腋窩温 が、この順番で、直腸音がもっとも温度が高く、そして腋窩温が最も温度が低い。
なお、「腋窩温」(えきかおん)は「腋下温」(えきかおん)とも書く。
健康なヒトの体温は、一日のあいだでも変動があり、早朝の寝起きの直前直後に低く、午後に高い。
なお、ヒトではなくラットのように夜間に行動する生物では、夜間のほうが体温が高い。
女性の場合、月経周期と連動して、体温が変わる。
つまり、女性の体温については、月経周期に連動して、女性の体温にも周期がある。
このように、女性の体温には「性周期」がある。
女性の体温は、排卵日に低下して最低になる。
感覚の強さは、刺激の強さの対数に比例すると古典的には言われており、これをウェーバー-フェヒナーの法則(Weber-Fechner の法則)という。 この法則によると、たとえば、30gが31gに増えたときの感覚は、90gが93gに増えたときの感覚と同じだという主張になる。
Weber-Fechner の法則は数学的には、感覚の強さをEとして、刺激の強さをSとしたとき、差分方程式で
である。
これを微分方程式に置き換えて積分すれば、
が導かれる。(Cは積分定数)
だが近年、対数よりもベキ関数のほうがよく比例するといわれており、Weber-Fechner の法則に対しての異論も出されている。
このベキ関数の法則の式は、
である。 (K および n は定数)
なお、このベキ関数の法則の式は微分方程式(差分方程式)で表すと、
となり、左辺と右辺の両方とも、それぞれの基準値からの差分の比率になっている。
痒み(かゆみ)は便宜的に痛覚として分類される。だが、一般の外傷などの痛みを伝える神経線維が明らかになっている一方で、痒みを伝える神経線維は不明である。
実験的な事実により、外部からヒスタミンを皮下注射すると、痒みが起きる。
『標準生理学』では、下記のことから、痒みは痛みとは異なる線維によって運ばれていると考えている。
まず、音を物理測定する場合、その単位は圧力である。
つまり、Pa(パスカル)単位である。 「音圧」という用語があるように、音は圧力である。
「デシベル」や「ベル」という単位があるが、これは基準音からの倍率を常用対数で表したものである。
ベルは Bel と記号で表し、
である。
『標準生理学』P.232 では、音の強さは圧力の2乗に比例するとして、。
としている。
その大元の基準となる、基準音の単位が、パスカル単位である。
なお、0デシベルというのは、音が無いという意味ではなく、基準音と同じ強さという意味である。
また、音は空気の縦波でもある。
つまり、空気の縦波の強さを測定する際の単位は、圧力である事になる。
大学の生理学では伝統的に、流体力学の初歩の内容が教えられている。主に、下記のベルヌーイの法則などが教えられている。 応用としては、主に、人間の血管の血圧などの理解や測定などに応用されている。
流体のエネルギーは以下の式で表される。
この関係式をベルヌーイの原理(Bernoulli's principle)という。なお、ρは密度である。h は基準面からの高さである。
重要なのは、つまり流体のエネルギーでは、圧力エネルギー、運動エネルギー、位置エネルギーを考える必要がある。
もちろん、ベルヌーイ式中の変数pが圧力エネルギーである。
ρghは位置エネルギーである。
なお、上式中のポテンシャルエネルギーは、圧力エネルギ- p と位置エネルギー ρgh の合計二つである。
ρ V 2 2 {\displaystyle {\frac {\rho V^{2}}{2}}} は運動エネルギーである。
そして、ベルヌーイの式の主張する内容はつまり、 流体エネルギー保存則式は、圧力エネルギ-、運動エネルギー、位置エネルギーの合計が(摩擦などの無い限り)一定である事を主張している。
厳密には摩擦などがあるので、摩擦によってエネルギーの散逸(さんいつ)があるので、流れのエネルギーの合計は位置ごとに違っていたりして一定ではない。しかし、摩擦があるのは何も流体力学だけでなく、高校で習う物理I(『物理基礎』)とかの力学だって摩擦を考えた場合はエネルギー保存の式が成り立たないので、そういのと同じことである。
なので、ベルヌーイの式は、流体の法則をよく説明している。
摩擦の無い流体のことを、「理想流体」という。上述のような初等的なベルヌーイの式が扱っている流体も、理想流体である。 流体力学の理論的には、「粘度」(ねんど)と呼ばれる物性値がゼロであれば、「理想流体」と見なせる(というか、書物によっては「理想流体」の定義。たとえば『標準生理学』が粘度がゼロであることを理想流体を定義している)。
なお、hは基準面からの高さである。
分野によって、同じ法則を「ベルヌーイの法則」と呼んだり、「ベルヌーイの定理」(Bernoulli's theorem)と呼んだり、多少の呼び名のゆれがある。ギャノング生理学が「ベルヌーイの原理」、『標準生理学』は「ベルヌーイの定理」で呼んでいる。
上のベルヌーイ式の変数 p は、『標準生理学』では「側圧」(lateral pressure、side pressure)と呼んでいる。
実験的な事実として、右のベンチュリ管の図のように、管路が狭まると、圧力は低くなる。(※ ギャノング生理学にも、ベンチュリ管の図が描いてある。) これは、管路がせばまったので流速が速くなったが、流体の合計エネルギーを一定にするためにそのぶんpの値が小さくなったからである、と解釈される。
ベンチュリ管から縦に突き出ている細長い垂直な管の水面の高さは、静圧(つまり側圧)に比例している。
ベルヌーイ式中の ρgh または係数(ρg)を省いた hは、工学では一般に「位置水頭」とか「位置ヘッド」(potential head)とか言う。 だが医学では、人体の「頭」との区別から、 ρgh または h を「位置水頭」(potential head)と呼ぶのが良いだろう。『標準生理学』でも、「位置水頭」(potential head)と呼んでいる。
工学では、どちらかというと定数を省いた「h」だけを「位置ヘッド」および「位置水頭」と呼ぶ場合が多いが、あまり本質的ではないので、本wikiでは深入りしない。また『標準生理学』では区別せず、 ρgh を「位置水頭」と呼んでいる。
呼び名が無いと不便なので本wikiでは、ベルヌーイの定理の計算における h または ρgh を「位置水頭」と呼ぶことにしよう。 本wiki中で h または ρgh のどちらを呼んでいるかは、読者が文脈から適宜に判断してもらいたい。
さて、 ベルヌーイの式は、下記のように両辺を ρg で割り算して式変形できる。
こちらの式が「ベルヌーイの原理」または「ベルヌーイの定理」などとして紹介される場合もある。
なお、ベルヌーイの式の3つあるエネルギー項(圧力エネルギ-、運動エネルギ-、位置エネルギー)すべてを足したのを「全圧」(total pressure)という。。
つまり、
とすれば、e が「全圧」である。
あるいは、
とすれば、Eが「全圧」である。
「全圧」の呼び名は、医学でも工学でも同じく「全圧」と呼ぶので、覚えておこう。
なお、運動エネルギーの項 ρ V 2 2 {\displaystyle {\frac {\rho V^{2}}{2}}} または V 2 2 g {\displaystyle {\frac {V^{2}}{2g}}} を「動圧」という。
その他、「速度水頭」や「圧水頭」などの用語もあるが、あまり重要では無いので、本wikiでは深入りしない。
流体力学の分野は、ρg の係数をどうするかで式が定数倍変わるので、分野ごとに用語の若干の不統一があり(たとえば工学なのか医学なのか、さらに工学内でも学科が色々あるので不明瞭)、「〇〇水頭」(圧水頭、速度水頭、位置水頭)とか「〇〇圧」(静圧、動圧、)とか言ったときに、
の式の項なのか、それとも
の式の項なのか、分野や文献などによって多少の不統一がある。なので、あまり用語の表す項の係数は気にしなくていい。学生に重要なのは、項が表しているのが圧力エネルギーか運動エネルギーか位置エネルギーか、そういった力学的な理解をする事である。
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"text": "生理学 (Physiology) とは、人体を構成する各要素(それは組織、器官であったり細胞であったりする)がどのような活動を行っているかを解き明かす学問である。各要素がどのような機能を持つかという基本を抑えたうえで、その機序への理解を深めていく。更に複数要素の関わり合い、ひいては全身の機能を総合的に捉えられるようにする。これには、各要素の分類や形態的特徴(解剖学)や代謝反応などに関する生化学の知識が要求される。",
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"text": "細胞は、固体状の細胞の中心部分と、液体からなる外側の細胞外液によって成り立っている。19世紀のフランスの生理学者クロード・ベルナール(Claude Bernard)がこの体内の環境のことを「内部環境」 milien unterne (英訳すれば internal environment)という用語で表し、内部環境は外界から隔絶された環境であるとした。",
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"text": "アメリカの生理学者ウォルター・B・キャノン Walter B. Cannon はさらにベルナールの考えを発展させ、神経と内分泌の多くの実験などをもとに、キャノンは生体内の環境は常に一定になるように生物的に制御されていると主張し「ホメオスタシス」 homeostasis (恒常性) という造語で定義した(1932)。「類似の」 homeo + 「停止状態」stasis という意味の造語である。",
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"paragraph_id": 15,
"tag": "p",
"text": "電気伝導度とは、単に抵抗値の逆数であり、単位はシーメンスであり、シーメンスの記号はSで表す。",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 16,
"tag": "p",
"text": "たとえば、2Ωの抵抗値は、その抵抗の電気伝導度は 0.5 S である。(0.5×2 = 1なので)",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 17,
"tag": "p",
"text": "(「0.5 シーメンス」と読む。)",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 18,
"tag": "p",
"text": "もし抵抗をRとし、電流をIとし、電気伝導度をgとした際、",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 19,
"tag": "p",
"text": "オームの法則により、電流・抵抗・電圧の関係は RI=E",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 20,
"tag": "p",
"text": "であるので、移項すると",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 21,
"tag": "p",
"text": "I = E (1/R) = gE",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 22,
"tag": "p",
"text": "となり、見かけ上、電圧と電流の関係が",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 23,
"tag": "p",
"text": "I = gE",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 24,
"tag": "p",
"text": "というふうに1行で書けるので、電気伝導度による記述が用いられる場合がある。",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 25,
"tag": "p",
"text": "抵抗および抵抗値のことを英語でリアクタンスという。リアクタンスの単位はオーム Ω である。",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 26,
"tag": "p",
"text": "電気伝導値のことを英語でコンダクタンス conductance という。つまり、コンダクタンスの単位はシーメンス S である。",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 27,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 28,
"tag": "p",
"text": "一般に、受容体に結合する物質のことをリガンド ligand という。(※ 生理学テキストに記述あり。)",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 29,
"tag": "p",
"text": "なお、類語で「アゴニスト」 agonist とは、薬品などで、受容体に結合して、作用をもたらす物質分子のことである。薬品が受容体と結合した際に作用を増強したり発現したりする場合をアゴニストという。一方、薬品が受容体と結合したさいに抑制的に働いたり他のアゴニストの結合を妨げるものの場合はアンタゴニスト antagonist という。薬物の場合、アンタゴニストのことを「拮抗薬」(きっこうやく)ともいう。",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 30,
"tag": "p",
"text": "※ 「薬物」と言っても、麻薬のような違法的な意味は無い。慣習的に薬理学では、薬の事を一般に「薬物」という。",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 31,
"tag": "p",
"text": "伝統的な、大学レベルの薬理学の教育では、アゴニストとアンタゴニストという語句が、これらの概念を説明するのに、よく使われる。 よく、リガンドと受容体の関係は、カギとカギ穴の関係に喩えられる。",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 32,
"tag": "p",
"text": "アンタゴニストが存在するという事はつまり、",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "という事である。分子が受容体に結合し、さらになんらかの変化をその受容体に起こすことにより、初めて作用が起きるのである。",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "では、作用を起こすための変化とは何か? 一般的には、受容体の立体構造の変化である、とされている。",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "アンタゴニストは、結合穴に結合するだけで終わってしまい、立体構造を変化させないので、作用を起こさない、という解釈がある。",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "※ 本wiki独自の喩えだが、アンタゴニストをカギに喩えるなら、カギ穴に入ることはできるが、カギの凹凸が不一致で、カギを回せない、とでもいえようか・・・",
"title": "項目"
},
{
"paragraph_id": 37,
"tag": "p",
"text": "たとえば読者は、神経伝達物質としてアセチルコリンを高校生物で読者は習ったと思う。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "これも、上記の「リガンド」という用語を使うなら、",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "神経細胞にはアセチルコリン受容体があるので、その結果として、神経細胞のイオンチャネルのリガンドとして、アセチルコリンが作用するからである。(※ なお高校の東京書籍の検定教科書にも、似たような説明がある。別ページだが「リガンド」の用語も、東京書籍の教科書にある。)",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "※ ともかく読者は、こういった専門用語の言葉遣いになれてほしい。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "イオンチャネルやイオンポンプは、必ずしも神経細胞だけに限定はしないが、しかし医学的には神経細胞のイオンチャネルやイオンポンプに作用する物質は危険物や毒物などになりやすいので重要である。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "フグ毒のテトロドトキシンもNaチャネルを阻害するため、神経細胞のNaチャネルも阻害するので、重篤な症状をもたらす。(※ シンプル生理学に説明あり。『標準生理学 第8版』P72に記載あり。)",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "※ 『標準生理学』と『生理学テキスト』P.25で、若干に説明が食い違いあり。『ギャノング生理学』の内容が比較的に標準生理学に近いので、本wikiではギャノングにあわせる。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "とても細い 1本の「毛細管」というかピペットのようなものを使い、電気的な手法で、細胞膜チャネルなどの細胞表面の器官を1個だけひきつけつ方法がある、とされており、その方法がパッチクランプ法である。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "断面図で描かれると、2本の棒かのように誤解されるが、そうではない。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "パッチクラノンプ法を使えば細胞が無傷のままひきつけることが出来る、とされている。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "なお、細胞膜をやぶっても細胞膜チャネルを観測できる。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "つまり、細胞膜を破らずに観測する方式と、別の方式として、細胞膜を破って観測する方式がある。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "どのような方式でも、電極が(たとえば毛細管の中心軸あたりに)付属している。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "そして、とにかく実験結果がどうなるかというと、膜電位の電圧が、オンまたはオフのいずれかという、2値のいずれかの状態だけを取ることが観測結果である。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "正確に言うと、ms(ミリセカンド)のオーダーで、電圧の高低が切り替わる。つまり、1つのチャネルの開閉について、ミリセカンドのオーダーで開閉が切り替わっている、と医学では考えられている。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "グラフ的にどう見えるかを言えば、オシロスコープなどの表示するグラフは、(表示倍率や設定にも寄るが、適正な表示倍率なら)けっして傾斜40度みたいなナナメの傾斜の曲線にはならず、オン状態はほぼ90度で立ち上がる。(厳密には85~89度くらいの斜めかもしれないが、そういう事を言い出すとキリがないので、ほぼ90度だと説明することにする。)",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "この事から、1つのチャネルの開閉の状態の切り替えは、瞬時に開または閉に切り変わる事が分かる、・・・と医学会では考えられており、医学書ではパッチクランプ法でそう証明されたと断言されている。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "イオンチャネルが、なぜ構造が筒状で穴が空いているのか分かったかというと(※ なんと『標準生理学』でしか紹介されてない。『ギャノング生理学』と『生理学テキスト』には説明が無し)、主に「電子線」による実験の観測だとされる。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "その他、X線による解析も行われている。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "それらの電子線の観測写真などにより、実際に円形の何かが観測される。いかにも穴っぽい何かが観測できる。(と、『標準生理学』に、その観測写真(「ニコチン性アセチルコリン受容体」)がある。しかし倍率とかがその図に書かれておらず、いまいち不便。なお、ニコチンアセチルコリンにはチャネルポア(つまり貫通穴)がある。)",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "なお余談だが、チャネルの生物実験的な性質については、現代ではチャネルの遺伝子が特定されているのでクローニング技術的に大量生産できるので、「cDNAクローニング」による生物学的性質の確認が取られている。(と『標準生理学』P.74が言っている。)",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "要するに、主に",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "の3つが、イオンチャネルや類似の生体分子を調べるための典型的な手法である。(と、『標準生理学』P.75がこの3つの手法を特別に紹介している。)",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "読者はナトリウムチャネル(Naチャネル)、カリウムチャネル(Kチャネル)を高校で習ったと思う。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "実はカルシウムチャネルも存在する。一般的に「Caチャネル」と表記される。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "カルシウムと聞くと、ついつい骨細胞だけのものかと誤解しがちであるが、一般の細胞にも濃度は低いものの、カルシウムイオンが存在している。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "高等学校の生物でも、いちおう神経伝達にカルシウムが関わっている事は習う。『高等学校生物/生物I/環境と動物の反応#シナプスでの伝達』",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "高校では習ってないかもしれないが、神経のほかにも筋細胞でも、筋収縮を伝えるのにカルシウムが関わっている。これについては筋肉細胞に、トロポニンというCaとの結合をするタンパク質が存在する事が明らかになっている。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "なお、神経細胞も筋肉細胞もともに、興奮性の細胞であることに着目しよう。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "このようにカルシウムは、何かの情報伝達的な物質としての側面もあることに注目しよう。もっとも生理学の大学教科書では、そこまで大げさに分類するまでもなく、生理活性物質などとしてカルシウムは分類されている。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "また、筋肉や神経細胞など興奮性細胞に限らず、一般の多くの細胞にも、カルモジュリンという、Caと結合する蛋白質がある事が分かっている。(『生理学テキスト』、『標準生理学 第8版』P89、など)",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "なお、イオンの価数をいちいち「2」とか書くのが面倒な場合などは「Caチャネル」と略記する場合もよくある。(『生理学テキスト』にもある表記)ナトリウムチャネルなども同様、「Naチャネル」のようにイオンの価数を略記することもある。",
"title": "イオンチャネルなど"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "骨格筋の赤みはおおむね、ミオグロビンによるものである。",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "ミオグロビンの多い筋肉をその色から「赤筋」という。",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "一方、ミオグロビンの多い筋肉を、赤みが比較的にうすい事から「白筋」という。",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "筋肉には、フォラメントが2種類あり、「太いフィラメント」(アクチンフィラメント)と「細いフィラメント」(ミオシンフィラメント)がある。",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "はその名の通り、太いフィラメントのほうが太い。また、太いフィラメントの構成物質は主にアクチンである。",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "細いフィラメントの抗生物質は主にミオシンである。さらに「細いフィラメント」にだけ、トロポニンとトロポミオシンというタンパク質がある。トロポニンは、カルシウムと結合する性質をもっている。",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "トロポニンとトロポミオシンによって、筋肉の収縮が調節されている。",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "筋小胞体という膜状の組織が、筋原線維のけっこうな割合の表面を取り囲んでいる。筋小胞体にはカルシウムが蓄えられており、必要に応じてカルシウムが筋小胞体から放出され、また必要に応じてカルシウムが筋小胞体に回収され、筋肉の収縮・弛緩を制御している。",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "筋線維への薬物投与など、人為的な手法によって筋収縮を起こさせることを、生理的な収縮とは区別して「拘縮」 contracture といい、次のような例が知られている。",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "薬理学のほうで、麻酔薬を使ったときに、患者によっては全身が高熱になって致死的な「悪性高熱症」という現象があるのだが、これは筋小胞体のCa放出機構の異常が原因だとされており(※ 『生理学テキスト』では触れられてない)、主に筋小胞体のリアノジン受容体の異常だろう、と考えられている。",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "なお、リアノジンという植物アルカロイドがある。そのリアノジンが、この受容体(リアノジン受容体)と強固に結合するので、「リアノジン受容体」(Rynanodin receptor : RyR)という名前がついている。",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "また、カフェイン拘縮と似たような機構なのだろう、と思われている。",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "カフェイン-ハロタン筋収縮テストという実験で、悪性高熱症の発症のしやすさを評価できるとされている。",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "ATP濃度が低下して1μmol/L以下になると、アクチンとミオシンが結合した状態になり、筋肉は硬くなり、これを硬直 rigor と言う。",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "死体などで見られる死後硬直(「死硬直」とも) rigor mortis も、これである。",
"title": "筋肉"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "神経伝達の物質のひとつに、高校でも習うようにアセチルコリンがある。",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "高校では、神経同士の伝達におけるアセチルコリンの役割を習った。",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "神経から骨格筋における伝達も、アセチルコリンによる。",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 94,
"tag": "p",
"text": "運動神経は、筋肉の「終板」と言われる部位に(間隙はあるが)接合している。",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 95,
"tag": "p",
"text": "運動神経の終末にも、シナプス小胞があり、そのシナプス小胞からアセチルコリンを放出する。",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 96,
"tag": "p",
"text": "そして、筋肉側に、アセチルコリンの受容体(アセチルコリン受容体)が存在しているので、こうして伝達が神経から筋肉に伝わる。",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 97,
"tag": "p",
"text": "筋肉側の「終板」のあたりに、アセチルコリン受容体およびアセチルコリンエステラーゼが密集して存在している。",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 98,
"tag": "p",
"text": "アセチルコリン受容体には、ニコチン受容体と、ムスカリン受容体がある。",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 99,
"tag": "p",
"text": "「ニコチン受容体」とは、その名のとおり、薬物の受容体に反応して開口するので、「ニコチン受容体」の名をつけられている。",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 100,
"tag": "p",
"text": "そして、筋肉の「終板」には、アセチルコリンのニコチン受容体がある。(※ 生理学テキスト、シンプル生理学など)",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 101,
"tag": "p",
"text": "なお、アセチルコリンを略称で「ACh」と書く。AだけでなくCも大文字である。アセチルコリン受容体なら、略称は「ACh受容体」と書く。",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 102,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 103,
"tag": "p",
"text": "筋肉の「終板」にも存在しているアセチルコリンエステラーゼ(略称: AChE)は、アセチルコリンを分解する酵素である。",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 104,
"tag": "p",
"text": "筋肉にかぎらず、アセチルコリンはシナプス間隙などに放出されても、このアセチルコリンエステラーゼにより、すぐに分解されてしまう。",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 105,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 106,
"tag": "p",
"text": "むかしの南アメリカ原住民(いわゆるインディアン)の矢に塗って使っていた毒(矢毒)のクラーレおよび、その主成分がツボクラリンは、終板のアセチルコリン受容体に接合することで、アセチルコリンの働きを競合的に妨げる作用により、筋肉が麻痺するので、毒として作用している事が分かっている。(※ シンプル生理学、生理学テキスト)",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 107,
"tag": "p",
"text": "クラーレにより、筋肉の麻痺を起こせば、標的の呼吸筋などの重要な筋肉も麻痺するので、標的を死に至らしめるという毒である。",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 108,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "アセチルコリン受容体"
},
{
"paragraph_id": 109,
"tag": "p",
"text": "アセチルコリン受容体には、ニコチン性受容体(略称: nAChR)と、ムスカリン性受容体(略称: mAChR)がある。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 110,
"tag": "p",
"text": "「ニコチン受容体」とは、その名のとおり、薬物の受容体に反応して開口するので、「ニコチン受容体」の名をつけられている。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 111,
"tag": "p",
"text": "筋肉の「終板」には、アセチルコリンのニコチン受容体がある。(※ 生理学テキスト、シンプル生理学など)",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 112,
"tag": "p",
"text": "一方、平滑筋や心筋や脳には、ムスカリン性受容体がある。薬物のムスカリンに反応するので、ムスカリン性受容体という名が付けられている。(『生理学テキスト』、2017年8月9日 第8版 第2刷、73ページ)",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 113,
"tag": "p",
"text": "心筋や脳のほか、副交感神経によるホルモン分泌などにも、ムスカリン性受容体が関わっている。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 114,
"tag": "p",
"text": "ムスカリン性受容体にはm1からm5までの5種類のサブタイプがある事が知られている。(大文字で「M1」~「M5」と書く場合もあり(『生理学テキスト』では大文字。『標準生理学』では小文字)、どちらでもいい。)",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 115,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 116,
"tag": "p",
"text": "m2とm4は、・・・ ※ 調査中",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 117,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 118,
"tag": "p",
"text": "神経に関する抑制性伝達物質は主に、GABAという物質と、グリシンという物質の、2つである。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 119,
"tag": "p",
"text": "20世紀なかごろのアメリカで、乳幼児に てんかんが多く発生する事件が起きた。原因は、粉ミルクの変性により、ビタミンB6が変性したことだとされる。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 120,
"tag": "p",
"text": "さて、「てんかん」とは、脳細胞の異常な興奮である。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 121,
"tag": "p",
"text": "この様な事実から、つまり、なんらかの栄養素の栄養不足によって、神経が異常に興奮するという現象が起きると考えられる。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 122,
"tag": "p",
"text": "これをもっと突き詰めて考えれば、つまり、栄養素から合成される何か(おそらく何らかの物質)の不足によって、神経が異常に興奮するという事であろう。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 123,
"tag": "p",
"text": "さらに突き詰めれば、つまり、神経伝達物質には、神経を興奮させる物質のほかに、神経を抑制させる物質もある、という事が想像される。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 124,
"tag": "p",
"text": "さて、天下り的に結論を言うと、GABA(γ-アミノ酪酸)という物質が、神経抑制の物質である。上述のアメリカの粉ミルクの事件も、乳幼児の深刻なGABA不足が原因だと医学的には考えられている。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 125,
"tag": "p",
"text": "なお、GABAは生体内では、グルタミン酸をグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)で脱炭酸することによって直接合成されている。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 126,
"tag": "p",
"text": "GABAの受容体には、少なくともGABAA受容体とGABAB受容体の2種類がある。なお GABAC受容体とは、GABAA受容体のうちの特殊なものをそう呼んでいる。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 127,
"tag": "p",
"text": "抗不安薬として用いられているベンゾジアゼピンという薬物が、GABAA受容体を活性化する。GABAA受容体が活性化すると、Clイオンの透過性が高まる。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 128,
"tag": "p",
"text": "よって、ベンゾジアゼピンにより、Cl イオンの透過性が高まる。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 129,
"tag": "p",
"text": "GABAA受容体は5つのサブユニットから構成される五量体構造である。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 130,
"tag": "p",
"text": "一方、GABAB受容体は GABABR1 と GABABR2 からなるヘテロ二量体構造であり、またGタンパク質と共役している。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 131,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 132,
"tag": "p",
"text": "GABAのほか、グリシンという物質も、神経の抑制伝達物質として働く。グリシンの受容体も、活性化のさいに、Clイオンの透過性が高まっている。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 133,
"tag": "p",
"text": "なお、グリシンの阻害薬はストリキニンである。ストリキニンによって、痙攣などが起きる。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 134,
"tag": "p",
"text": "なお、その語源となったストリキニ-ネは東インドの原住民が用いていた矢毒である。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 135,
"tag": "p",
"text": "グリシンはグルタミン酸と同様に多くの細胞に存在している。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 136,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 137,
"tag": "p",
"text": "GABAやグリシンは、抑制性シナプスにも関わっている、と一般に考えられている。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 138,
"tag": "p",
"text": "なお、脊髄においては抑制性シナプス後電位(IPSP)の50%はグリシン由来である。",
"title": "シナプス伝達"
},
{
"paragraph_id": 139,
"tag": "p",
"text": "ドーパミンおよびアドレナリンおよびノルアドレナリンのことを、カテコールアミンという。",
"title": "カテコールアミン"
},
{
"paragraph_id": 140,
"tag": "p",
"text": "ドーパミンは、脳の情動に関係が深い。",
"title": "カテコールアミン"
},
{
"paragraph_id": 141,
"tag": "p",
"text": "そのため、統合失調症などの関連薬にも、ドーパミンを制御する薬品がある。",
"title": "カテコールアミン"
},
{
"paragraph_id": 142,
"tag": "p",
"text": "パーキンソン病にも、ドーパミンは関係している。",
"title": "カテコールアミン"
},
{
"paragraph_id": 143,
"tag": "p",
"text": "ドーパミン受容体は、D1,D2,D3,・・・などと何種類かに分けられるが、いずれもGPCRである。(※ 『標準生理学』および『生理学テキスト』) GPCRとは、「Gタンパク質共役受容体」のこと。7回膜貫通タンパク質とも言われる。(※ 分子生物学の教科書によく書いてあるアレの一種。)",
"title": "カテコールアミン"
},
{
"paragraph_id": 144,
"tag": "p",
"text": "分泌されたドーパミンは、ドーパミン輸送体(DAT)によって神経終末に取り込まれ、再利用される。(標準生理学、P149。生理学テキスト、P78。)",
"title": "カテコールアミン"
},
{
"paragraph_id": 145,
"tag": "p",
"text": "麻薬のコカインや、覚せい剤のアンフェタミンは、ドーパミン輸送体(DAT)を妨害する作用があることで、ドーパミンによるニューロン活性化を延長させている。",
"title": "カテコールアミン"
},
{
"paragraph_id": 146,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "カテコールアミン"
},
{
"paragraph_id": 147,
"tag": "p",
"text": "アドレナリンとノルアドレナリンは、程度の差はあるが共通の受容体に作用するので、受容体は「アドレナリン受容体」と一括して呼ばれる。(標準生理学、P150。生理学テキスト、P77。)",
"title": "カテコールアミン"
},
{
"paragraph_id": 148,
"tag": "p",
"text": "アドレナリン受容体は7回膜貫通タンパク質(GPCR)である。(※ 『標準生理学』および『生理学テキスト』) GPCRとは、「Gタンパク質共役受容体」のこと。7回膜貫通タンパク質とも言われる。(※ 分子生物学の教科書によく書いてあるアレの一種。)",
"title": "カテコールアミン"
},
{
"paragraph_id": 149,
"tag": "p",
"text": "アドレナリン受容体には、α1,α2,β1,β2,β3 が存在するが、いずれもGPCRである。(標準生理学がP150で「β3」を紹介。生理学テキストのP77では「β3」が無い。",
"title": "カテコールアミン"
},
{
"paragraph_id": 150,
"tag": "p",
"text": "セロトニン(5-hydroxytryptamine、略称: 5-HT) は、アミノ酸のトリプトファンから合成される。",
"title": "その他の色々な伝達物質"
},
{
"paragraph_id": 151,
"tag": "p",
"text": "5-HTの多くはGPCRである。",
"title": "その他の色々な伝達物質"
},
{
"paragraph_id": 152,
"tag": "p",
"text": "3型である 5-HT3 のみ、イオンチャネル型であり、リガンドによって開閉する。",
"title": "その他の色々な伝達物質"
},
{
"paragraph_id": 153,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "その他の色々な伝達物質"
},
{
"paragraph_id": 154,
"tag": "p",
"text": "※ 未記述.",
"title": "その他の色々な伝達物質"
},
{
"paragraph_id": 155,
"tag": "p",
"text": "アデノシン受容体には、A1, A2A, A2B, A3 の4種類が知られている。いずれも、一般的に中枢神経に対しては抑制的に作用する。(※ 生理学テキスト)",
"title": "その他の色々な伝達物質"
},
{
"paragraph_id": 156,
"tag": "p",
"text": "コーヒーや茶などに含まれるカフェインやテオフェリンは(なお、両物質ともキサンチン誘導体である)、アデノシン受容体を阻害する。",
"title": "その他の色々な伝達物質"
},
{
"paragraph_id": 157,
"tag": "p",
"text": "一酸化窒素は気体である。生体内での伝達物質としての一酸化窒素(NO)は、一酸化窒素合成酵素の働きにより、アルギニンから合成される。",
"title": "その他の色々な伝達物質"
},
{
"paragraph_id": 158,
"tag": "p",
"text": "現代では、一酸化窒素がグアニル酸シクラーゼを活性化して、サイクリックGMP(cGMP)が合成される事が解明されている。",
"title": "その他の色々な伝達物質"
},
{
"paragraph_id": 159,
"tag": "p",
"text": "モルヒネは植物のケシから合成でき、麻薬の阿片(アヘン)もモルヒネの派生であり、モルヒネ洋物質をオピエートというのだが、動物の体内物質としてモルヒネに似たような構造の物質が見つけられており、その体内のモルヒネ様物質のことをオピオイドという。",
"title": "その他の色々な伝達物質"
},
{
"paragraph_id": 160,
"tag": "p",
"text": "特に動物体内で産生される物質である事を強調するとき、「内因性」と冒頭につけて「内因性オピオイド」などと言う。",
"title": "その他の色々な伝達物質"
},
{
"paragraph_id": 161,
"tag": "p",
"text": "エンドルフィンなどが、内因性オピオイドという。なお、オピオイドの構造はペプチドである。",
"title": "その他の色々な伝達物質"
},
{
"paragraph_id": 162,
"tag": "p",
"text": "※ 未記述",
"title": "その他の色々な伝達物質"
},
{
"paragraph_id": 163,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "その他の色々な伝達物質"
},
{
"paragraph_id": 164,
"tag": "p",
"text": "Ca以外の凝固因子はタンパク質である(『標準生理学』)。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 165,
"tag": "p",
"text": "血液凝固における、凝固していく過程は図のように、「内因性」と「外因性」という2種類に分かれる。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 166,
"tag": "p",
"text": "内因性も外因性も、共通して、血液中の第X因子がカルシウムの存在のもとに活性化された結果としてXa因子となる。そして、そのXa因子によって、プロトロンビンがトリンビンに変化する。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 167,
"tag": "p",
"text": "古典的には、モラビッツの凝固機序というモデルが知られているが(『生理学テキスト』で紹介されている。『標準生理学』では紹介せず)、現代ではより正確なモデルに置き換わっているので、モラビッツに関しては名前を紹介するのにとどめる。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 168,
"tag": "p",
"text": "図中の「V」(プロトロンビンの左上にあるヤツ)は、ブイじゃなくて「5」番目の意味。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 169,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 170,
"tag": "p",
"text": "また、血液の止血の凝固にはビタミンKが必要である。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 171,
"tag": "p",
"text": "凝固因子のうち、II(2),VII(7),IX(9),X(10) がビタミンKを凝固に必要とする。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 172,
"tag": "p",
"text": "また、ほとんどの血液凝固因子は肝臓で合成される。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 173,
"tag": "p",
"text": "ビタミンKが酵素的に振舞うなどの働きにより、グルタミン酸残基がγ-カルボキシグルタミン酸に変換される。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 174,
"tag": "p",
"text": "したがって、ビタミンK欠乏や肝障害があると、出血傾向を見る。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 175,
"tag": "p",
"text": "抗凝固薬として使われるワルファリンという薬剤は、ビタミンKの代謝を阻害する。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 176,
"tag": "p",
"text": "(備考: ) なお、納豆にビタミンKは多く含まれるという(『シンプル薬理学』)。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 177,
"tag": "p",
"text": "語呂合わせだが、ビタミンK要求性の凝固因子の7番と10番で「ナットウ」と覚える語呂合わせもある(『標準生理学』で2番,9番、7番、10番がビタミンK要求性なので『肉納豆』と覚える語呂合わせが紹介されている。)。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 178,
"tag": "p",
"text": "詳しくは薬理学の教科書で解説されると思うので、ワルファリンや納豆については、この単元では、あまり深入りしないとする。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 179,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 180,
"tag": "p",
"text": "血友病患者は、第VIII因子(8番目)または第IX因子(9番目)が欠損している。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 181,
"tag": "p",
"text": "第8因子の欠損するタイプが血友病Aである。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 182,
"tag": "p",
"text": "第9因子の欠損するタイプが血友病Bである。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 183,
"tag": "p",
"text": "血友病Aも血友病Bも、ともに劣性遺伝である。",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 184,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "血液"
},
{
"paragraph_id": 185,
"tag": "p",
"text": "右図にもあるように、健康なヒトの体温は、外気温に関わらず、脳と心臓といった核心部の体温はつねに一定であり、 ほぼ37°Cに保たれている。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 186,
"tag": "p",
"text": "また、ヒトの体温は、同じ瞬間であっても、部位によって温度が異なる。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 187,
"tag": "p",
"text": "普通、心臓や脳などの核心部ほど温度が高く、表皮(表皮の近くを「外殻部」という)や手足の先端などといった周辺部に向かうにつれ、温度が下がっていく。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 188,
"tag": "p",
"text": "外殻部の温度は、外気温の影響を受けて変動する。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 189,
"tag": "p",
"text": "脳や心臓や腹部臓器の温度のことを「核心温」(core temperature)または「核心温度」という。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 190,
"tag": "p",
"text": "ただし、風邪などによって核心部の体温が上がることがある。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 191,
"tag": "p",
"text": "これは防衛反応によるものであるが、プロスタグランジンE2が最終的な発熱物質である。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 192,
"tag": "p",
"text": "よって、プロスタグランジンE2(PGE2)の生成を阻害することにより、体温の上昇を防ぐことができ、実際に熱さましの薬などにプロスタグランジン阻害剤が応用されており、具体的には解熱薬のアスピリンやインドメタシンがCOX回路を阻害することでPGE2阻害をしている薬である。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 193,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 194,
"tag": "p",
"text": "核心部の体温を一定に調節する機構が、明らかに体内に存在している。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 195,
"tag": "p",
"text": "まず、それらの概念を工学的な用語を使って整理してみよう。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 196,
"tag": "p",
"text": "まず、",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 197,
"tag": "p",
"text": "という事が言える。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 198,
"tag": "p",
"text": "ではそのフィードバック機構の正体は何か?となると、また別の議論だが、少なくとも現象論を工学的に記述するなら、おおむね上記のような説明文になる。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 199,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 200,
"tag": "p",
"text": "さて、風邪によってワキのしたの温度が高くなるように、風邪によって核心部の温度がやや上昇すると考えるのが妥当であろう。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 201,
"tag": "p",
"text": "臨床においても、舌下温または腋窩温(えきかおん)が体温の測定の際でよく用いられる。 腋窩(えきか)とは、ワキの下のこと。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 202,
"tag": "p",
"text": "この事から、核心部の温度は、永久不変ではなく、体調などによて変わると考えるべきである。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 203,
"tag": "p",
"text": "セットポイントという温度概念が定義されており、「その時点での、核心部のあるべき温度」の事がセットポイントである。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 204,
"tag": "p",
"text": "風邪の場合、人体は防衛反応のためにセットポイントを上昇させる。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 205,
"tag": "p",
"text": "人体において、セットポイントと核心部の実際の温度を比較して、そしてフィードバック調節によって書く深部の体温をセットポイントに近づけようとする機構がヒトなどホニュウ動物に備わっている、と見なすのが妥当である。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 206,
"tag": "p",
"text": "このように、核心部の温度は、外気温では変わらないが、しかし体調などによって(核心部の温度が)変わる。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 207,
"tag": "p",
"text": "プロスタグランジン阻害剤などの熱さましの薬は、セットポイントを変更し、風邪でない状態の平熱のときのセットポイントに戻す薬という事になる。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 208,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 209,
"tag": "p",
"text": "なお、医学実験的において核心温として測定される部位は、舌下温、食道温、直腸温、鼓膜温、である。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 210,
"tag": "p",
"text": "哺乳類の場合、脳の温度を非侵襲的に測定するのは不可能である。この文脈でいう「非侵襲的」とは、「外科手術などを伴わないで」というような意味。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 211,
"tag": "p",
"text": "そこで、赤外線サーモグラフィーで頭部の赤外線を測定することで、代わりに生体・活動中のヒトの脳の温度を推定することが、よく行われている。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 212,
"tag": "p",
"text": "ただし、汗が多い場合、脳からの赤外線ではなく汗の赤外線を測定しまっている可能性がある。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 213,
"tag": "p",
"text": "一方、臨床的には、腋窩温(えきかおん)または舌下温(または口腔温)が核心温として測定されることが多い。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 214,
"tag": "p",
"text": "直腸温、鼓膜温、食道温、舌下温(口腔温)、腋窩温 が、この順番で、直腸音がもっとも温度が高く、そして腋窩温が最も温度が低い。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 215,
"tag": "p",
"text": "なお、「腋窩温」(えきかおん)は「腋下温」(えきかおん)とも書く。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 216,
"tag": "p",
"text": "健康なヒトの体温は、一日のあいだでも変動があり、早朝の寝起きの直前直後に低く、午後に高い。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 217,
"tag": "p",
"text": "なお、ヒトではなくラットのように夜間に行動する生物では、夜間のほうが体温が高い。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 218,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 219,
"tag": "p",
"text": "女性の場合、月経周期と連動して、体温が変わる。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 220,
"tag": "p",
"text": "つまり、女性の体温については、月経周期に連動して、女性の体温にも周期がある。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 221,
"tag": "p",
"text": "このように、女性の体温には「性周期」がある。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 222,
"tag": "p",
"text": "女性の体温は、排卵日に低下して最低になる。",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 223,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 224,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "体温"
},
{
"paragraph_id": 225,
"tag": "p",
"text": "感覚の強さは、刺激の強さの対数に比例すると古典的には言われており、これをウェーバー-フェヒナーの法則(Weber-Fechner の法則)という。 この法則によると、たとえば、30gが31gに増えたときの感覚は、90gが93gに増えたときの感覚と同じだという主張になる。",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 226,
"tag": "p",
"text": "Weber-Fechner の法則は数学的には、感覚の強さをEとして、刺激の強さをSとしたとき、差分方程式で",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 227,
"tag": "p",
"text": "である。",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 228,
"tag": "p",
"text": "これを微分方程式に置き換えて積分すれば、",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 229,
"tag": "p",
"text": "が導かれる。(Cは積分定数)",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 230,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 231,
"tag": "p",
"text": "だが近年、対数よりもベキ関数のほうがよく比例するといわれており、Weber-Fechner の法則に対しての異論も出されている。",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 232,
"tag": "p",
"text": "このベキ関数の法則の式は、",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 233,
"tag": "p",
"text": "である。 (K および n は定数)",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 234,
"tag": "p",
"text": "なお、このベキ関数の法則の式は微分方程式(差分方程式)で表すと、",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 235,
"tag": "p",
"text": "となり、左辺と右辺の両方とも、それぞれの基準値からの差分の比率になっている。",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 236,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 237,
"tag": "p",
"text": "痒み(かゆみ)は便宜的に痛覚として分類される。だが、一般の外傷などの痛みを伝える神経線維が明らかになっている一方で、痒みを伝える神経線維は不明である。",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 238,
"tag": "p",
"text": "実験的な事実により、外部からヒスタミンを皮下注射すると、痒みが起きる。",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 239,
"tag": "p",
"text": "『標準生理学』では、下記のことから、痒みは痛みとは異なる線維によって運ばれていると考えている。",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 240,
"tag": "p",
"text": "まず、音を物理測定する場合、その単位は圧力である。",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 241,
"tag": "p",
"text": "つまり、Pa(パスカル)単位である。 「音圧」という用語があるように、音は圧力である。",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 242,
"tag": "p",
"text": "「デシベル」や「ベル」という単位があるが、これは基準音からの倍率を常用対数で表したものである。",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 243,
"tag": "p",
"text": "ベルは Bel と記号で表し、",
"title": "感覚の理論"
},
{
"paragraph_id": 244,
"tag": "p",
"text": "である。",
"title": "感覚の理論"
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"paragraph_id": 245,
"tag": "p",
"text": "『標準生理学』P.232 では、音の強さは圧力の2乗に比例するとして、。",
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"text": "としている。",
"title": "感覚の理論"
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"text": "その大元の基準となる、基準音の単位が、パスカル単位である。",
"title": "感覚の理論"
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"text": "なお、0デシベルというのは、音が無いという意味ではなく、基準音と同じ強さという意味である。",
"title": "感覚の理論"
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"text": "また、音は空気の縦波でもある。",
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"text": "つまり、空気の縦波の強さを測定する際の単位は、圧力である事になる。",
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"title": "感覚の理論"
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"text": "",
"title": "感覚の理論"
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"text": "",
"title": "感覚の理論"
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"text": "大学の生理学では伝統的に、流体力学の初歩の内容が教えられている。主に、下記のベルヌーイの法則などが教えられている。 応用としては、主に、人間の血管の血圧などの理解や測定などに応用されている。",
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"text": "",
"title": "流体力学"
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"text": "流体のエネルギーは以下の式で表される。",
"title": "流体力学"
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"text": "この関係式をベルヌーイの原理(Bernoulli's principle)という。なお、ρは密度である。h は基準面からの高さである。",
"title": "流体力学"
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"text": "重要なのは、つまり流体のエネルギーでは、圧力エネルギー、運動エネルギー、位置エネルギーを考える必要がある。",
"title": "流体力学"
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"tag": "p",
"text": "もちろん、ベルヌーイ式中の変数pが圧力エネルギーである。",
"title": "流体力学"
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{
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"text": "ρghは位置エネルギーである。",
"title": "流体力学"
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"text": "なお、上式中のポテンシャルエネルギーは、圧力エネルギ- p と位置エネルギー ρgh の合計二つである。",
"title": "流体力学"
},
{
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"tag": "p",
"text": "ρ V 2 2 {\\displaystyle {\\frac {\\rho V^{2}}{2}}} は運動エネルギーである。",
"title": "流体力学"
},
{
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"tag": "p",
"text": "そして、ベルヌーイの式の主張する内容はつまり、 流体エネルギー保存則式は、圧力エネルギ-、運動エネルギー、位置エネルギーの合計が(摩擦などの無い限り)一定である事を主張している。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 264,
"tag": "p",
"text": "厳密には摩擦などがあるので、摩擦によってエネルギーの散逸(さんいつ)があるので、流れのエネルギーの合計は位置ごとに違っていたりして一定ではない。しかし、摩擦があるのは何も流体力学だけでなく、高校で習う物理I(『物理基礎』)とかの力学だって摩擦を考えた場合はエネルギー保存の式が成り立たないので、そういのと同じことである。",
"title": "流体力学"
},
{
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"tag": "p",
"text": "なので、ベルヌーイの式は、流体の法則をよく説明している。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 266,
"tag": "p",
"text": "摩擦の無い流体のことを、「理想流体」という。上述のような初等的なベルヌーイの式が扱っている流体も、理想流体である。 流体力学の理論的には、「粘度」(ねんど)と呼ばれる物性値がゼロであれば、「理想流体」と見なせる(というか、書物によっては「理想流体」の定義。たとえば『標準生理学』が粘度がゼロであることを理想流体を定義している)。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 267,
"tag": "p",
"text": "なお、hは基準面からの高さである。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 268,
"tag": "p",
"text": "分野によって、同じ法則を「ベルヌーイの法則」と呼んだり、「ベルヌーイの定理」(Bernoulli's theorem)と呼んだり、多少の呼び名のゆれがある。ギャノング生理学が「ベルヌーイの原理」、『標準生理学』は「ベルヌーイの定理」で呼んでいる。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 269,
"tag": "p",
"text": "上のベルヌーイ式の変数 p は、『標準生理学』では「側圧」(lateral pressure、side pressure)と呼んでいる。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 270,
"tag": "p",
"text": "実験的な事実として、右のベンチュリ管の図のように、管路が狭まると、圧力は低くなる。(※ ギャノング生理学にも、ベンチュリ管の図が描いてある。) これは、管路がせばまったので流速が速くなったが、流体の合計エネルギーを一定にするためにそのぶんpの値が小さくなったからである、と解釈される。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 271,
"tag": "p",
"text": "ベンチュリ管から縦に突き出ている細長い垂直な管の水面の高さは、静圧(つまり側圧)に比例している。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 272,
"tag": "p",
"text": "ベルヌーイ式中の ρgh または係数(ρg)を省いた hは、工学では一般に「位置水頭」とか「位置ヘッド」(potential head)とか言う。 だが医学では、人体の「頭」との区別から、 ρgh または h を「位置水頭」(potential head)と呼ぶのが良いだろう。『標準生理学』でも、「位置水頭」(potential head)と呼んでいる。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 273,
"tag": "p",
"text": "工学では、どちらかというと定数を省いた「h」だけを「位置ヘッド」および「位置水頭」と呼ぶ場合が多いが、あまり本質的ではないので、本wikiでは深入りしない。また『標準生理学』では区別せず、 ρgh を「位置水頭」と呼んでいる。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 274,
"tag": "p",
"text": "呼び名が無いと不便なので本wikiでは、ベルヌーイの定理の計算における h または ρgh を「位置水頭」と呼ぶことにしよう。 本wiki中で h または ρgh のどちらを呼んでいるかは、読者が文脈から適宜に判断してもらいたい。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 275,
"tag": "p",
"text": "さて、 ベルヌーイの式は、下記のように両辺を ρg で割り算して式変形できる。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 276,
"tag": "p",
"text": "こちらの式が「ベルヌーイの原理」または「ベルヌーイの定理」などとして紹介される場合もある。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 277,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 278,
"tag": "p",
"text": "なお、ベルヌーイの式の3つあるエネルギー項(圧力エネルギ-、運動エネルギ-、位置エネルギー)すべてを足したのを「全圧」(total pressure)という。。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 279,
"tag": "p",
"text": "つまり、",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 280,
"tag": "p",
"text": "とすれば、e が「全圧」である。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 281,
"tag": "p",
"text": "あるいは、",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 282,
"tag": "p",
"text": "とすれば、Eが「全圧」である。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 283,
"tag": "p",
"text": "「全圧」の呼び名は、医学でも工学でも同じく「全圧」と呼ぶので、覚えておこう。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 284,
"tag": "p",
"text": "なお、運動エネルギーの項 ρ V 2 2 {\\displaystyle {\\frac {\\rho V^{2}}{2}}} または V 2 2 g {\\displaystyle {\\frac {V^{2}}{2g}}} を「動圧」という。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 285,
"tag": "p",
"text": "その他、「速度水頭」や「圧水頭」などの用語もあるが、あまり重要では無いので、本wikiでは深入りしない。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 286,
"tag": "p",
"text": "流体力学の分野は、ρg の係数をどうするかで式が定数倍変わるので、分野ごとに用語の若干の不統一があり(たとえば工学なのか医学なのか、さらに工学内でも学科が色々あるので不明瞭)、「〇〇水頭」(圧水頭、速度水頭、位置水頭)とか「〇〇圧」(静圧、動圧、)とか言ったときに、",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 287,
"tag": "p",
"text": "の式の項なのか、それとも",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 288,
"tag": "p",
"text": "の式の項なのか、分野や文献などによって多少の不統一がある。なので、あまり用語の表す項の係数は気にしなくていい。学生に重要なのは、項が表しているのが圧力エネルギーか運動エネルギーか位置エネルギーか、そういった力学的な理解をする事である。",
"title": "流体力学"
},
{
"paragraph_id": 289,
"tag": "p",
"text": "",
"title": "流体力学"
}
]
| 生理学 (Physiology) とは、人体を構成する各要素(それは組織、器官であったり細胞であったりする)がどのような活動を行っているかを解き明かす学問である。各要素がどのような機能を持つかという基本を抑えたうえで、その機序への理解を深めていく。更に複数要素の関わり合い、ひいては全身の機能を総合的に捉えられるようにする。これには、各要素の分類や形態的特徴(解剖学)や代謝反応などに関する生化学の知識が要求される。 | {{Pathnav|メインページ|医学|frame=1}}
{{Wikipedia}}
'''生理学 (Physiology)''' とは、人体を構成する各要素(それは組織、器官であったり細胞であったりする)がどのような活動を行っているかを解き明かす学問である。各要素がどのような機能を持つかという基本を抑えたうえで、その機序への理解を深めていく。更に複数要素の関わり合い、ひいては全身の機能を総合的に捉えられるようにする。これには、各要素の分類や形態的特徴([[解剖学]])や代謝反応などに関する[[生化学]]の知識が要求される。
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== 項目 ==
=== ホメオスタシス ===
細胞は、固体状の細胞の中心部分と、液体からなる外側の細胞外液によって成り立っている。19世紀のフランスの生理学者クロード・ベルナール(Claude Bernard)がこの体内の環境のことを「内部環境」 milien unterne (英訳すれば internal environment<ref>『ギャノング生理学』P69</ref>)という用語で表し、内部環境は外界から隔絶された環境であるとした。
なお、体の外の環境を外部環境と呼ぶ。
アメリカの生理学者ウォルター・B・キャノン Walter B. Cannon はさらにベルナールの考えを発展させ、神経と内分泌の多くの実験などをもとに、キャノンは生体内の環境は常に一定になるように生物的に制御されていると主張し「ホメオスタシス」 homeostasis (恒常性) という造語で定義した(1932)。「類似の」 homeo + 「停止状態」stasis という意味の造語である<ref>『標準生理学』</ref>。
:なお、ホメオスタシスという用語を作ったのはCannon であるが、しかしその概念に先に到達したのはクロード・ベルナールであり、ベルナールは「内部環境の恒常性」という言い回しで表現した<ref>『ギャノング生理学』P69</ref>。
ともかく、たとえば、血液の水素イオン濃度は、現代では約pH7.4前後に維持される事が知られている<ref>『標準生理学』</ref>。
さて「恒常」といっても、けっして全くの不変ではなく、基準から僅かばかりに変動しているが、すぐに元に戻るように調整されている。工学的な用語で表すなら、制御工学で言う「ネガティブ・フィードバック」である<ref>『生理学テキスト』 </ref><ref>『標準生理学』</ref>。
:なお、日本だけでなく欧米でも国際的に、「ホメオスタシス」の概念を説明する際に工学用語のフィードバックを用いても伝わり、たとえば『ギャノング生理学』でもホメオスタシスの説明としてフィードバックという用語が使われている<ref>『ギャノング生理学』P69</ref>。
ともかく、ホメオスタシスという現象のあることはつまり、体内に基準となるべき正常な状態があり、その基準状態からのズレを補正して元の基準に戻そうとするような仕組みが存在している事である。
なお、「フィードバック」とは制御工学の用語である。フィードバックには、基準からのズレを拡大していくポジティブ・フォードバック(正のフィードバック)と、基準に戻そうとするネガティブ・フィードバック(負のフィードバック)とがある。「ネガティブ」には、負(ふ)という意味がある。数学の正負の負も、英語で negative ネガティブ という。
=== ※ ゴルジ体とかリボソームとか ===
:※ 高校の参考書の細かいのとだいたい同じなので、調査を後回し。
=== 能動輸送 ===
ナトリウムポンプのほかに、カルシウムポンプやプロトン(H)ポンプがある。
:※ 『標準生理学』と『生理学テキスト』で説明がバラバラ。だいぶ、説明内容が違う。
=== 膜電位の用語説明など ===
[[File:膜電位の用語説明.svg|thumb|500px|]]
生理学でいう「オーバーシュート」overshoot<ref>『ギャノング生理学 原書23版』、P99</ref> という用語は、この図のように、一時的に電位などの波形が目標値よりも高くなる事である。「オーバーシュート」がこういう意味なのは日本だけでなく世界的に同様であり、『ギャノング生理学』でも似たような意味で「オーバーシュート」という用語が使われている<ref>『ギャノング生理学 原書23版』、P99</ref>。
:※ 電子工学などの「オーバーシュート」もほぼ同様の意味であり、制御して調節すべき波形などが、制御目標よりも高くなり過ぎためにアップ直後に下降して戻ることで形状がスパイク的な波形になることをオーバーシュートという。なお、対義語の「ダウンシュート」は、目標値よりも低くなりすぎたので、V字カーブ的にダウン直後にやや上昇することで谷間の波形が出来ること。
:※ 2020年、感染症などの急拡大を「オーバーシュート」という用例があったが、生理学的には誤用である。そもそも感染症の急拡大には既に「パンデミック」という用語がある。
なお、上記の説明で「スパイク」という用語を、先端(右図では波形の頂上の部分)のとんがってない波形に使ったが、ギャノング生理学でも同様の用語の使い方である<ref>『ギャノング生理学 原書23版』、P105の表4-1「哺乳類の神経における神経線維のタイプ」</ref>。ギャノング生理学に、「スパイクの持続時間」なる語句があり、ある神経のある刺激の電位の「スパイク」はたとえば 0.5ミリ秒 ほど持続する場合もあるとしている。(※ 数値は一例なので、暗記しなくていい。)
このような活動電位の波形を図示する場合、数ミリ秒の短時間で電位の興奮が終わるので場合によっては1本の縦線で図示される場合があるが(たとえば『ギャノング生理学 原書23版』、P178の図)、しかし現実の波形は右図のように、なだらかな曲線である(たとえば『ギャノング生理学 原書23版』、P179の図)。
{{-}}
=== 電気伝導度 ===
神経の電位の理論計算の際、抵抗値の単位オーム Ω だけではなく、電気伝導度 という単位を使う場合がある。
電気伝導度とは、単に抵抗値の逆数であり、単位はシーメンスであり、シーメンスの記号はSで表す。
たとえば、2Ωの抵抗値は、その抵抗の電気伝導度は 0.5 S である。(0.5×2 = 1なので)
(「0.5 シーメンス」と読む。)
もし抵抗をRとし、電流をIとし、電気伝導度をgとした際、
オームの法則により、電流・抵抗・電圧の関係は
RI=E
であるので、移項すると
I = E (1/R) = gE
となり、見かけ上、電圧と電流の関係が
I = gE
というふうに1行で書けるので、電気伝導度による記述が用いられる場合がある。
抵抗および抵抗値のことを英語でリアクタンスという。リアクタンスの単位はオーム Ω である。
電気伝導値のことを英語でコンダクタンス conductance という。つまり、コンダクタンスの単位はシーメンス S である。
=== リガンドとアゴニスト ===
一般に、受容体に結合する物質のことを'''リガンド''' ligand という。(※ 生理学テキストに記述あり。)
なお、類語で「アゴニスト」 agonist とは、薬品などで、受容体に結合して、作用をもたらす物質分子のことである。薬品が受容体と結合した際に作用を増強したり発現したりする場合をアゴニストという。一方、薬品が受容体と結合したさいに抑制的に働いたり他のアゴニストの結合を妨げるものの場合はアンタゴニスト antagonist という。薬物の場合、アンタゴニストのことを「拮抗薬」(きっこうやく)ともいう<ref>『はじめの一歩の薬理学』、第2版、20ページ</ref>。
※ 「薬物」と言っても、麻薬のような違法的な意味は無い。慣習的に薬理学では、薬の事を一般に「薬物」という。
伝統的な、大学レベルの薬理学の教育では、アゴニストとアンタゴニストという語句が、これらの概念を説明するのに、よく使われる。
よく、リガンドと受容体の関係は、カギとカギ穴の関係に喩えられる。
アンタゴニストが存在するという事はつまり、
:分子は受容体に結合するだけでは、作用を及ぼさない.
という事である。分子が受容体に結合し、さらになんらかの変化をその受容体に起こすことにより、初めて作用が起きるのである<ref>『はじめの一歩の薬理学』、第2版、20ページ</ref>。
では、作用を起こすための変化とは何か? 一般的には、受容体の立体構造の変化である、とされている。
アンタゴニストは、結合穴に結合するだけで終わってしまい、立体構造を変化させないので、作用を起こさない、という解釈がある。
※ 本wiki独自の喩えだが、アンタゴニストをカギに喩えるなら、カギ穴に入ることはできるが、カギの凹凸が不一致で、カギを回せない、とでもいえようか・・・
:※ これらの話題の薬理学での詳細については、『[[薬理学/アゴニストとアンタゴニスト]]』を参照せよ。
== イオンチャネルなど ==
:※ 文献ごとに重点的に説明する箇所が違っており、あまり説明が統一されてない。
たとえば読者は、神経伝達物質としてアセチルコリンを高校生物で読者は習ったと思う。
これも、上記の「リガンド」という用語を使うなら、
神経細胞にはアセチルコリン受容体があるので、その結果として、神経細胞のイオンチャネルのリガンドとして、アセチルコリンが作用するからである。(※ なお高校の東京書籍の検定教科書にも、似たような説明がある。別ページだが「リガンド」の用語も、東京書籍の教科書にある。)
※ ともかく読者は、こういった専門用語の言葉遣いになれてほしい。
イオンチャネルやイオンポンプは、必ずしも神経細胞だけに限定はしないが、しかし医学的には神経細胞のイオンチャネルやイオンポンプに作用する物質は危険物や毒物などになりやすいので重要である。
フグ毒のテトロドトキシンもNa<sup>+</sup>チャネルを阻害するため、神経細胞のNa<sup>+</sup>チャネルも阻害するので、重篤な症状をもたらす。(※ シンプル生理学に説明あり。『標準生理学 第8版』P72に記載あり。)
:※ 生理学の専門書でも、割と冒頭のほうで、神経細胞のイオンチャネルを説明している。
;パッチクランプ法
※ 『標準生理学』と『生理学テキスト』P.25で、若干に説明が食い違いあり。『ギャノング生理学』の内容が比較的に標準生理学に近いので、本wikiではギャノングにあわせる。
とても細い 1本の「毛細管」というかピペット<ref>岡田泰伸 ほか訳『ギャノング生理学 原書23版』、P53</ref>のようなものを使い、電気的な手法で、細胞膜チャネルなどの細胞表面の器官を1個だけひきつけつ方法がある、とされており、その方法がパッチクランプ法である。
断面図で描かれると、2本の棒かのように誤解されるが、そうではない。
パッチクラノンプ法を使えば細胞が無傷のままひきつけることが出来る、とされている。
なお、細胞膜をやぶっても細胞膜チャネルを観測できる<ref>岡田泰伸 ほか訳『ギャノング生理学 原書23版』、P53</ref>。
:※ 『生理学テキスト』P.25を読むと、なんか細胞膜を破っているっぽく記述されているのは、おそらくこちらの方式を紹介しているのだろう。
つまり、細胞膜を破らずに観測する方式と、別の方式として、細胞膜を破って観測する方式がある。
どのような方式でも、電極が(たとえば毛細管の中心軸あたりに)付属している。
そして、とにかく実験結果がどうなるかというと、膜電位の電圧が、オンまたはオフのいずれかという、2値のいずれかの状態だけを取ることが観測結果である。
正確に言うと、ms(ミリセカンド)のオーダーで、電圧の高低が切り替わる。つまり、1つのチャネルの開閉について、ミリセカンドのオーダーで開閉が切り替わっている<ref>『標準生理学』、P73</ref>、と医学では考えられている。
グラフ的にどう見えるかを言えば、オシロスコープなどの表示するグラフは、(表示倍率や設定にも寄るが、適正な表示倍率なら)けっして傾斜40度みたいなナナメの傾斜の曲線にはならず、オン状態はほぼ90度で立ち上がる。(厳密には85~89度くらいの斜めかもしれないが、そういう事を言い出すとキリがないので、ほぼ90度だと説明することにする。)
:※ なので、医学書にある観測電圧の波形グラフでも、ほぼ90度で立ち上がっている。
この事から、1つのチャネルの開閉の状態の切り替えは、瞬時に開または閉に切り変わる事が分かる、・・・と医学会では考えられており、医学書ではパッチクランプ法でそう証明されたと断言されている。
:※ チャネルの開閉の理論について、根拠となる実験結果がほぼこのパッチクランプ法の1つしかない。よって本wikiでは、念のため、慎重的に「考えられている」と言い回しをする事になる。なお、パッチクランプ法によって始めて、チャネルの開閉の電圧が観測できるようになった。『標準生理学』P.73を読むと、他にも方法があると書かれているが、しかし具体的にどんな方法があるのか何も具体的には紹介されていないので、本wikiでは当面はそれを信用しない。
;観測技術
イオンチャネルが、なぜ構造が筒状で穴が空いているのか分かったかというと(※ なんと『標準生理学』でしか紹介されてない。『ギャノング生理学』と『生理学テキスト』には説明が無し)、主に「電子線」による実験の観測だとされる。
:※ 『標準生理学』P.74では「電子線」と書いてある。たぶん電子顕微鏡による観測のことか?
その他、X線による解析も行われている。
それらの電子線の観測写真などにより、実際に円形の何かが観測される。いかにも穴っぽい何かが観測できる。(と、『標準生理学』に、その観測写真(「ニコチン性アセチルコリン受容体」)がある。しかし倍率とかがその図に書かれておらず、いまいち不便。なお、ニコチンアセチルコリンにはチャネルポア(つまり貫通穴)がある。)
なお余談だが、チャネルの生物実験的な性質については、現代ではチャネルの遺伝子が特定されているのでクローニング技術的に大量生産できるので、「cDNAクローニング」による生物学的性質の確認が取られている。(と『標準生理学』P.74が言っている。)
要するに、主に
:パッチクランプ法、
:電子線またはX線などによる構造解析、
:cDNAクローニング法、
の3つが、イオンチャネルや類似の生体分子を調べるための典型的な手法である。(と、『標準生理学』P.75がこの3つの手法を特別に紹介している。)
;Na,K 以外のイオンチャネル
読者はナトリウムチャネル(Na<sup>+</sup>チャネル)、カリウムチャネル(K<sup>+</sup>チャネル)を高校で習ったと思う。
実はカルシウムチャネルも存在する。一般的に「Ca<sup>2+</sup>チャネル」と表記される。
カルシウムと聞くと、ついつい骨細胞だけのものかと誤解しがちであるが、一般の細胞にも濃度は低いものの、カルシウムイオンが存在している。
高等学校の生物でも、いちおう神経伝達にカルシウムが関わっている事は習う。『[[高等学校生物/生物I/環境と動物の反応#シナプスでの伝達]]』
高校では習ってないかもしれないが、神経のほかにも筋細胞でも、筋収縮を伝えるのにカルシウムが関わっている。これについては筋肉細胞に、トロポニンというCaとの結合をするタンパク質が存在する事が明らかになっている。
なお、神経細胞も筋肉細胞もともに、興奮性の細胞であることに着目しよう。
このようにカルシウムは、何かの情報伝達的な物質としての側面もあることに注目しよう。もっとも生理学の大学教科書では、そこまで大げさに分類するまでもなく、生理活性物質などとしてカルシウムは分類されている。
また、筋肉や神経細胞など興奮性細胞に限らず、一般の多くの細胞にも、カルモジュリンという、Caと結合する蛋白質がある事が分かっている。(『生理学テキスト』、『標準生理学 第8版』P89、など)
;余談
なお、イオンの価数をいちいち「2」とか書くのが面倒な場合などは「Caチャネル」と略記する場合もよくある。(『生理学テキスト』にもある表記)ナトリウムチャネルなども同様、「Naチャネル」のようにイオンの価数を略記することもある。
== 筋肉 ==
=== 赤筋と白筋 ===
骨格筋の赤みはおおむね、ミオグロビンによるものである。
ミオグロビンの多い筋肉をその色から「赤筋」という。
一方、ミオグロビンの少ない筋肉を、赤みが比較的にうすい事から「白筋」という。
=== フィラメントの種類 ===
筋肉には、フォラメントが2種類あり、「太いフィラメント」(アクチンフィラメント)と「細いフィラメント」(ミオシンフィラメント)がある。
はその名の通り、太いフィラメントのほうが太い。また、太いフィラメントの構成物質は主にアクチンである。
細いフィラメントの抗生物質は主にミオシンである。さらに「細いフィラメント」にだけ、トロポニンとトロポミオシンというタンパク質がある。トロポニンは、カルシウムと結合する性質をもっている。
トロポニンとトロポミオシンによって、筋肉の収縮が調節されている。
筋小胞体という膜状の組織が、筋原線維のけっこうな割合の表面を取り囲んでいる。筋小胞体にはカルシウムが蓄えられており、必要に応じてカルシウムが筋小胞体から放出され、また必要に応じてカルシウムが筋小胞体に回収され、筋肉の収縮・弛緩を制御している。
=== 収縮の種類 ===
;拘縮
筋線維への薬物投与など、人為的な手法によって筋収縮を起こさせることを、生理的な収縮とは区別して「拘縮」 contracture といい、次のような例が知られている。
::K拘縮、 カリウムによる膜電位の持続的な脱分極による。
::カフェイン拘縮、 カフェイン投与による、筋小胞体からのカルシウム放出による。
薬理学のほうで、麻酔薬を使ったときに、患者によっては全身が高熱になって致死的な「悪性高熱症」という現象があるのだが、これは筋小胞体のCa<sup>2+</sup>放出機構の異常が原因だとされており<ref>『ギャノング生理学』</ref><ref>『標準生理学』</ref>(※ 『生理学テキスト』では触れられてない)、主に筋小胞体のリアノジン受容体の異常だろう<ref>『標準薬理学』、P243 (※ 「生理学」ではなく「薬理学」のほう)</ref><ref>『ギャノング生理学』</ref>、と考えられている。
:※ 『標準生理学』にもリアノジン受容体のことは書いてあるのだが、説明が細かすぎて他の用語も多すぎて、どれが入門的な知識か初学者には分かりづらいので、上記の文章の参考文献からは除外した。
なお、リアノジンという植物アルカロイドがある<ref>『生理学テキスト』、P54</ref><ref>『標準生理学』、P112の節「(2)Ca<sup>2+</sup>放出チャネル(リアノジン受容体)」</ref>。そのリアノジンが、この受容体(リアノジン受容体)と強固に結合するので、「リアノジン受容体」(Rynanodin receptor : RyR)という名前がついている<ref>今井正・宮本英七 監修『標準薬理学 第7版』、医学書院、2015年3月25日 第7版 第1刷、P144</ref>。
また、カフェイン拘縮と似たような機構なのだろう、と思われている<ref>小澤瀞司・福田康一郎 監修『標準生理学 第8版』、医学書院、2015年8月1日 第8版 第2刷 発行、P.112</ref>。
カフェイン-ハロタン筋収縮テストという実験で、悪性高熱症の発症のしやすさを評価できるとされている<ref>柳沢輝行 ほか監訳『カッツング薬理学 原書 第10版』、丸善書店株式会社、平成25年3月25日 発行、P439、</ref>。
;硬直
ATP濃度が低下して1μmol/L以下になると、アクチンとミオシンが結合した状態になり、筋肉は硬くなり、これを硬直 rigor と言う。
死体などで見られる死後硬直(「死硬直」とも) rigor mortis も、これである。
== アセチルコリン受容体 ==
神経伝達の物質のひとつに、高校でも習うようにアセチルコリンがある。
高校では、神経同士の伝達におけるアセチルコリンの役割を習った。
神経から骨格筋における伝達も、アセチルコリンによる。
運動神経は、筋肉の「終板」と言われる部位に(間隙はあるが)接合している。
運動神経の終末にも、シナプス小胞があり、そのシナプス小胞からアセチルコリンを放出する。
そして、筋肉側に、アセチルコリンの受容体(アセチルコリン受容体)が存在しているので、こうして伝達が神経から筋肉に伝わる。
筋肉側の「終板」のあたりに、アセチルコリン受容体およびアセチルコリンエステラーゼが密集して存在している。
アセチルコリン受容体には、ニコチン受容体と、ムスカリン受容体がある。
「ニコチン受容体」とは、その名のとおり、薬物の受容体に反応して開口するので、「ニコチン受容体」の名をつけられている。
そして、筋肉の「終板」には、アセチルコリンのニコチン受容体がある。(※ 生理学テキスト、シンプル生理学など)
なお、アセチルコリンを略称で「ACh」と書く。AだけでなくCも大文字である。アセチルコリン受容体なら、略称は「ACh受容体」と書く。
筋肉の「終板」にも存在しているアセチルコリンエステラーゼ(略称: AChE)は、アセチルコリンを分解する酵素である。
筋肉にかぎらず、アセチルコリンはシナプス間隙などに放出されても、このアセチルコリンエステラーゼにより、すぐに分解されてしまう。
むかしの南アメリカ原住民(いわゆるインディアン)の矢に塗って使っていた毒(矢毒)のクラーレおよび、その主成分がツボクラリンは、終板のアセチルコリン受容体に接合することで、アセチルコリンの働きを競合的に妨げる作用により、筋肉が麻痺するので、毒として作用している事が分かっている。(※ シンプル生理学、生理学テキスト)
クラーレにより、筋肉の麻痺を起こせば、標的の呼吸筋などの重要な筋肉も麻痺するので、標的を死に至らしめるという毒である。
== シナプス伝達 ==
:※ この節では、筋肉に限らず、脳なども含めた、神経細胞のシナプス伝達を扱う。
アセチルコリン受容体には、'''ニコチン性受容体'''(略称: nAChR)と、'''ムスカリン性受容体'''(略称: mAChR)がある。
「ニコチン受容体」とは、その名のとおり、薬物の受容体に反応して開口するので、「ニコチン受容体」の名をつけられている。
筋肉の「終板」には、アセチルコリンのニコチン受容体がある。(※ 生理学テキスト、シンプル生理学など)
一方、平滑筋や心筋や脳には、ムスカリン性受容体がある。薬物のムスカリンに反応するので、ムスカリン性受容体という名が付けられている。(『生理学テキスト』、2017年8月9日 第8版 第2刷、73ページ)
心筋や脳のほか、副交感神経によるホルモン分泌などにも、ムスカリン性受容体が関わっている。
ムスカリン性受容体にはm1からm5までの5種類のサブタイプがある事が知られている。(大文字で「M1」~「M5」と書く場合もあり(『生理学テキスト』では大文字。『標準生理学』では小文字)、どちらでもいい。)
:このうち、m1,m3,m5 は ・・・ ※ 調査中
:※ 編集者へ: Gタンパク質との関係を調査してください
m2とm4は、・・・ ※ 調査中
;GABAやグリシンなど
神経に関する抑制性伝達物質は主に、GABAという物質と、グリシンという物質の、2つである。
* GABA
20世紀なかごろのアメリカで、乳幼児に てんかんが多く発生する事件が起きた。原因は、粉ミルクの変性により、ビタミンB6が変性したことだとされる<ref>『標準生理学』、P147</ref>。
さて、「てんかん」とは、脳細胞の異常な興奮である。
この様な事実から、つまり、なんらかの栄養素の栄養不足によって、神経が異常に興奮するという現象が起きると考えられる。
これをもっと突き詰めて考えれば、つまり、栄養素から合成される何か(おそらく何らかの物質)の不足によって、神経が異常に興奮するという事であろう。
さらに突き詰めれば、つまり、神経伝達物質には、神経を興奮させる物質のほかに、神経を抑制させる物質もある、という事が想像される。
さて、天下り的に結論を言うと、GABA(γ-アミノ酪酸<ref>『生理学テキスト』、P77</ref>)という物質が、神経抑制の物質である。上述のアメリカの粉ミルクの事件も、乳幼児の深刻なGABA不足が原因だと医学的には考えられている<ref>『標準生理学』、P147</ref>。
なお、GABAは生体内では、グルタミン酸をグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)で脱炭酸することによって直接<ref>『標準生理学』、P147</ref>合成されている<ref>『生理学テキスト』、P77</ref><ref>『標準生理学』、P147</ref>。
:※ なお、グルタミン酸そのものは神経の興奮伝達性物質である。
GABAの受容体には、少なくともGABA<sub>A</sub>受容体とGABA<sub>B</sub>受容体の2種類がある。なお GABA<sub>C</sub>受容体とは、GABA<sub>A</sub>受容体のうちの特殊なものをそう呼んでいる。
抗不安薬として用いられているベンゾジアゼピンという薬物が、GABA<sub>A</sub>受容体を活性化する。GABA<sub>A</sub>受容体が活性化すると、Cl<sup>-</sup>イオンの透過性が高まる<ref>『ギャノング生理学』、P168 </ref>。
よって、ベンゾジアゼピンにより、Cl<sup>-</sup> イオンの透過性が高まる<ref>『生理学テキスト』、P77 </ref>。
GABA<sub>A</sub>受容体は5つのサブユニットから構成される五量体構造である<ref>『カッツング薬理学』、P372</ref><ref>『ギャノング生理学』、P168 </ref>。
一方、GABA<sub>B</sub>受容体は GABA<sub>B</sub>R1<ref>『標準生理学』、P148</ref> と GABA<sub>B</sub>R2<ref>『標準生理学』、P148</ref> からなるヘテロ二量体構造であり<ref>『標準生理学』、P148</ref><ref>『カッツング薬理学』、P372</ref><ref>『ギャノング生理学』、P168 </ref>、またGタンパク質と共役している<ref>『標準生理学』、P148</ref><ref>『カッツング薬理学』、P372</ref>。
* グリシン
GABAのほか、グリシンという物質も、神経の抑制伝達物質として働く。グリシンの受容体も、活性化のさいに、Cl<sup>-</sup>イオンの透過性が高まっている<ref>『ギャノング生理学』、P169 </ref>。
なお、グリシンの阻害薬はストリキニンである<ref>『生理学テキスト』、P77 </ref><ref>『ギャノング生理学』、P169 </ref>。ストリキニンによって、痙攣などが起きる<ref>『ギャノング生理学』、P169 </ref>。
なお、その語源となったストリキニ-ネは東インドの原住民が用いていた矢毒である<ref>『標準生理学』、P148</ref>。
グリシンはグルタミン酸と同様に多くの細胞に存在している<ref>『標準生理学』、P147</ref>。
GABAやグリシンは、抑制性シナプスにも関わっている、と一般に考えられている<ref>『標準生理学』、P135</ref><ref>『やさしい生理学 改訂第7版』、南江堂、P212</ref>。
:※ 一般的な解釈では、GABAは脳で抑制性の伝達物質としてはたらっており、一方、グリシンは脊髄での抑制性シナプスの物質として機能している、と考えられているような傾向がある。(たとえば『生理学テキスト』や『標準薬理学』や『カッツング薬理学 原書10版』和訳本 P.372 が、だいたい、そんな感じ)
なお、脊髄においては抑制性シナプス後電位(IPSP)の50%はグリシン由来である。
== カテコールアミン ==
ドーパミンおよびアドレナリンおよびノルアドレナリンのことを、カテコールアミンという。
;ドーパミン
ドーパミンは、脳の情動に関係が深い。
そのため、統合失調症などの関連薬にも、ドーパミンを制御する薬品がある。
パーキンソン病にも、ドーパミンは関係している。
ドーパミン受容体は、D1,D2,D3,・・・などと何種類かに分けられるが、いずれもGPCRである。(※ 『標準生理学』および『生理学テキスト』) GPCRとは、「Gタンパク質共役受容体」のこと。7回膜貫通タンパク質とも言われる。(※ 分子生物学の教科書によく書いてあるアレの一種。)
:※ 文献によって、D5とD7の違いがある。
分泌されたドーパミンは、ドーパミン輸送体(DAT)によって神経終末に取り込まれ、再利用される。(標準生理学、P149。生理学テキスト、P78。)
麻薬のコカインや、覚せい剤のアンフェタミンは、ドーパミン輸送体(DAT)を妨害する作用があることで、ドーパミンによるニューロン活性化を延長させている。
;アドレナリンとノルアドレナリン
アドレナリンとノルアドレナリンは、程度の差はあるが共通の受容体に作用するので、受容体は「アドレナリン受容体」と一括して呼ばれる。(標準生理学、P150。生理学テキスト、P77。)
アドレナリン受容体は7回膜貫通タンパク質(GPCR)である。(※ 『標準生理学』および『生理学テキスト』) GPCRとは、「Gタンパク質共役受容体」のこと。7回膜貫通タンパク質とも言われる。(※ 分子生物学の教科書によく書いてあるアレの一種。)
アドレナリン受容体には、α1,α2,β1,β2,β3 が存在するが、いずれもGPCRである。(標準生理学がP150で「β3」を紹介。生理学テキストのP77では「β3」が無い。
== その他の色々な伝達物質 ==
;セロトニン
セロトニン(5-hydroxytryptamine、略称: 5-HT) は、アミノ酸のトリプトファンから合成される。
5-HTの多くはGPCRである。
3型である 5-HT<sub>3</sub> のみ、イオンチャネル型であり、リガンドによって開閉する。
;プリン
※ 未記述.
;アデノシン
アデノシン受容体には、A1, A2A, A2B, A3 の4種類が知られている。いずれも、一般的に中枢神経に対しては抑制的に作用する。(※ 生理学テキスト)
コーヒーや茶などに含まれるカフェインやテオフェリンは(なお、両物質ともキサンチン誘導体である)、アデノシン受容体を阻害する。
:※ キサンチン誘導体の件は、標準生理学に記述あり。
;一酸化窒素
一酸化窒素は気体である。生体内での伝達物質としての一酸化窒素(NO)は、一酸化窒素合成酵素の働きにより、アルギニンから合成される。
:※ 標準生理学で、一酸化窒素が血管の弛緩の物質のように書いててあるが、これはどういう事かというと、1998年ノーベル賞の研究が、生体内の血管はアセチルコリンを注射すると弛緩するのに、生体外に摘出した血管にアセチルコリンを作用させても弛緩しないという不思議の解明であり、その答えとなる物質が一酸化窒素である事を米国の Ignarro 博士など米国の3人の学者が解き明かしたことが背景にある。
:狭心症の治療に使われるニトログリセリンによる血管拡張の作用は古くから知られていたが、しかしその仕組みがノーベル賞の研究まで長らく解明されていなかった。
:ニトログリセリンなどについては詳しくは薬理学で習うだろうから、この単元では省略。
現代では、一酸化窒素がグアニル酸シクラーゼを活性化して、サイクリックGMP(cGMP)が合成される事が解明されている。
;内因性オピオイドおよび内因性カンナビナイド
:オピオイド
モルヒネは植物のケシから合成でき、麻薬の阿片(アヘン)もモルヒネの派生であり、モルヒネ洋物質をオピエートというのだが、動物の体内物質としてモルヒネに似たような構造の物質が見つけられており、その体内のモルヒネ様物質のことをオピオイドという。
特に動物体内で産生される物質である事を強調するとき、「内因性」と冒頭につけて「内因性オピオイド」などと言う。
エンドルフィンなどが、内因性オピオイドという。なお、オピオイドの構造はペプチドである。
:カンナビノイド
※ 未記述
== 血液 ==
; 大学生用の血液凝固の図
[[File:Coagulation diagram japanese.svg|thumb|500px|
血液凝固因子は慣習的にローマ数字で書かれる。<br>
番号は、発見順につけられているので、作用の順番とは関係ない。<br>
6番目(VI)の凝固因子は、存在が認められておらず、現在は欠番である。]]
Ca以外の凝固因子はタンパク質である(『標準生理学』)。
血液凝固における、凝固していく過程は図のように、「内因性」と「外因性」という2種類に分かれる。
内因性も外因性も、共通して、血液中の第X因子がカルシウムの存在のもとに活性化された結果としてXa因子となる。そして、そのXa因子によって、プロトロンビンがトリンビンに変化する。
:※ 作図の都合で、X→Xa を内因性と外因性の2箇所に分けて重複して記述しているが、教科書によっては1箇所でまとめているものもある(『標準生理学』や『生理学テキスト』など)。 一方、『シンプル生理学』や『はじめの一歩のイラスト生理学』(羊土社)などは2箇所にX→Xaを分けて書いているので、本wikiのように2箇所に分けてX→Xaを書いても、間違いではない。
古典的には、モラビッツの凝固機序というモデルが知られているが(『生理学テキスト』で紹介されている。『標準生理学』では紹介せず)、現代ではより正確なモデルに置き換わっているので、モラビッツに関しては名前を紹介するのにとどめる。
図中の「V」(プロトロンビンの左上にあるヤツ)は、ブイじゃなくて「5」番目の意味。
:(※ 市販の教科書の状況 :) キニノゲンとかカリクレインは、『生理学テキスト』には書いてあるけど、『標準生理学』には書いてないです。
:線溶系は、『標準生理学』には凝固系の図とまとめて(図『血液凝固と線溶』)書いてあるけど、『生理学テキスト』では図無しです。
;ビタミンKと肝臓
:※ 『標準生理学』でも『生理学テキスト』でも、ともに紹介される重要事項です。
また、血液の止血の凝固には'''ビタミンK'''が必要である。
凝固因子のうち、II(2),VII(7),IX(9),X(10) がビタミンKを凝固に必要とする。
また、ほとんどの血液凝固因子は肝臓で合成される。
ビタミンKが酵素的に振舞うなどの働きにより、グルタミン酸残基がγ-カルボキシグルタミン酸に変換される。
したがって、ビタミンK欠乏や肝障害があると、出血傾向を見る。
抗凝固薬として使われる'''ワルファリン'''という薬剤は、ビタミンKの代謝を阻害する。
(備考: )
なお、納豆にビタミンKは多く含まれるという(『シンプル薬理学』)。
語呂合わせだが、ビタミンK要求性の凝固因子の7番と10番で「ナットウ」と覚える語呂合わせもある(『標準生理学』で2番,9番、7番、10番がビタミンK要求性なので『肉納豆』と覚える語呂合わせが紹介されている。)。
詳しくは薬理学の教科書で解説されると思うので、ワルファリンや納豆については、この単元では、あまり深入りしないとする。
;血友病
血友病患者は、第VIII因子(8番目)または第IX因子(9番目)が欠損している。
第8因子の欠損するタイプが血友病Aである。
第9因子の欠損するタイプが血友病Bである。
血友病Aも血友病Bも、ともに劣性遺伝である。
{{-}}
== 体温 ==
[[File:Environment and Body temperature japanese 1.svg|thumb|500px|環境温と体温]]
=== 実験的な事実 ===
右図にもあるように、健康なヒトの体温は、外気温に関わらず、脳と心臓といった核心部の体温はつねに一定であり、
ほぼ37℃に保たれている。
また、ヒトの体温は、同じ瞬間であっても、部位によって温度が異なる。
普通、心臓や脳などの核心部ほど温度が高く、表皮(表皮の近くを「外殻部」という)や手足の先端などといった周辺部に向かうにつれ、温度が下がっていく。
外殻部の温度は、外気温の影響を受けて変動する。
脳や心臓や腹部臓器の温度のことを「核心温」(core temperature)または「核心温度」という。
:※ 「核心温」でも「核心温度」でも、どちらでもいい。『標準生理学』でも、単元によって「核心温」か「核心温度」か表記が異なっており、統一されていない。英語はどちらとも core temperature である。なお、核心温のことを深部体温 deep body temperature という場合もある<ref>『標準生理学』、P871</ref>。
ただし、風邪などによって核心部の体温が上がることがある。
これは防衛反応によるものであるが、プロスタグランジンE<sub>2</sub>が最終的な発熱物質である<ref>大地陸男『生理学テキスト』、2017年8月9日 第8版 第2刷発行、P509</ref>。
よって、プロスタグランジンE<sub>2</sub>(PGE<sub>2</sub>)の生成を阻害することにより、体温の上昇を防ぐことができ、実際に熱さましの薬などにプロスタグランジン阻害剤が応用されており、具体的には解熱薬のアスピリンやインドメタシンがCOX回路を阻害することでPGE<sub>2</sub>阻害をしている薬である<ref>大地陸男『生理学テキスト』、2017年8月9日 第8版 第2刷発行、P509</ref>。
=== 解釈など ===
核心部の体温を一定に調節する機構が、明らかに体内に存在している。
まず、それらの概念を工学的な用語を使って整理してみよう。
==== フィードバック ====
まず、
:体温におけるフィードバック的な機構により、少なくとも核心部の体温は体内で計測・測定などのモニタリングい<ref>照井直人『はじめの一歩のイラスト生理学』、羊土社、2018年4月10日 第2版 第7刷 発行、165ページ、 </ref>(工学では「センシング」ともいう)をされており、そして体温がもし変動しそうな要因が感知されれば、核心部の体温を一定に近づけるように'''ネガティブ・フィードバック'''い<ref>照井直人『はじめの一歩のイラスト生理学』、羊土社、2018年4月10日 第2版 第7刷 発行、165ページ、 </ref>による調整が働く、
という事が言える。
ではそのフィードバック機構の正体は何か?となると、また別の議論だが、少なくとも現象論を工学的に記述するなら、おおむね上記のような説明文になる。
==== セットポイント ====
さて、風邪によってワキのしたの温度が高くなるように、風邪によって核心部の温度がやや上昇すると考えるのが妥当であろう。
:(※ 厳密には、ワキの下は表皮だが、しかしワキ下は肉が薄いので、擬似的にワキ下の温度は核心温に近いだろう、と考えられている。)
臨床においても、舌下温または腋窩温<ref>照井直人『はじめの一歩のイラスト生理学 改訂 第2版』、羊土社、2018年4月10日 第2版 第7刷発行、P165、</ref>(えきかおん)が体温の測定の際でよく用いられる。
腋窩(えきか)とは、ワキの下のこと。
この事から、核心部の温度は、永久不変ではなく、体調などによて変わると考えるべきである。
'''セットポイント'''という温度概念が定義されており、「その時点での、核心部のあるべき温度」の事がセットポイントである。
風邪の場合、人体は防衛反応のためにセットポイントを上昇させる。
人体において、セットポイントと核心部の実際の温度を比較して、そしてフィードバック調節によって書く深部の体温をセットポイントに近づけようとする機構がヒトなどホニュウ動物に備わっている、と見なすのが妥当である。
このように、核心部の温度は、外気温では変わらないが、しかし体調などによって(核心部の温度が)変わる。
プロスタグランジン阻害剤などの熱さましの薬は、セットポイントを変更し、風邪でない状態の平熱のときのセットポイントに戻す薬という事になる。
=== 温度の測定部位 ===
なお、医学実験的において核心温として測定される部位は、舌下温<ref>照井直人『はじめの一歩のイラスト生理学 改訂 第2版』、羊土社、2018年4月10日 第2版 第7刷発行、P165、</ref>、食道温、直腸温、鼓膜温、である<ref>彼末一之・能勢博『やさしい生理学 改訂 第7版』、南江堂、2019年5月20日 第7版 第2刷発行、P137、</ref>。
哺乳類の場合、脳の温度を非侵襲的に測定するのは不可能である<ref>彼末一之・能勢博『やさしい生理学 改訂 第7版』、南江堂、2019年5月20日 第7版 第2刷発行、P137、</ref><ref>照井直人『はじめの一歩のイラスト生理学 改訂 第2版』、羊土社、2018年4月10日 第2版 第7刷発行、P165、</ref>。この文脈でいう「非侵襲的」とは、「外科手術などを伴わないで」というような意味。
そこで、赤外線サーモグラフィーで頭部の赤外線を測定することで、代わりに生体・活動中のヒトの脳の温度を推定することが、よく行われている<ref>彼末一之・能勢博『やさしい生理学 改訂 第7版』、南江堂、2019年5月20日 第7版 第2刷発行、P137、</ref>。
ただし、汗が多い場合、脳からの赤外線ではなく汗の赤外線を測定しまっている可能性がある<ref>彼末一之・能勢博『やさしい生理学 改訂 第7版』、南江堂、2019年5月20日 第7版 第2刷発行、P137、</ref>。
一方、臨床的には、腋窩温(えきかおん)または舌下温(または口腔温)が核心温として測定されることが多い。
直腸温、鼓膜温、食道温、舌下温(口腔温)、腋窩温 が、この順番で、直腸音がもっとも温度が高く、そして腋窩温が最も温度が低い。
なお、「腋窩温」<ref>『生理学テキスト』、P504 </ref>(えきかおん)は「腋下温」<ref>『標準生理学』、P872 </ref>(えきかおん)とも書く。
=== 概実リズム との関係 ===
健康なヒトの体温は、一日のあいだでも変動があり、早朝の寝起きの直前直後に低く、午後に高い。
なお、ヒトではなくラットのように夜間に行動する生物では、夜間のほうが体温が高い<ref>照井直人『はじめの一歩のイラスト生理学』、羊土社、2018年4月10日 第2版 第7刷 発行、165ページ、 </ref>。
=== 月経との関係 ===
女性の場合、月経周期と連動して、体温が変わる。
つまり、女性の体温については、月経周期に連動して、女性の体温にも周期がある。
このように、女性の体温には「性周期」がある。
女性の体温は、排卵日に低下して最低になる。
{{-}}
== 感覚の理論 ==
=== 数式 ===
==== Weber-Fechner の法則 ====
感覚の強さは、刺激の強さの対数に比例すると古典的には言われており、これを'''ウェーバー-フェヒナーの法則'''(Weber-Fechner の法則)という。
この法則によると、たとえば、30gが31gに増えたときの感覚は、90gが93gに増えたときの感覚と同じだという主張になる<ref>『標準生理学』、P214</ref>。
Weber-Fechner の法則は数学的には、感覚の強さをEとして、刺激の強さをSとしたとき、差分方程式で
:ΔE = k(ΔS/S)
である。
これを微分方程式に置き換えて積分すれば、
:E = k logS + C
が導かれる。(Cは積分定数)
==== ベキ関数の法則 ====
だが近年、対数よりもベキ関数のほうがよく比例するといわれており<ref>『ギャノング生理学』、P180</ref>、Weber-Fechner の法則に対しての異論も出されている。
このベキ関数の法則の式は、
:E = K・S<sup>n</sup>
である。 (K および n は定数)
なお、このベキ関数の法則の式は微分方程式(差分方程式)で表すと、
:(ΔE/E) = n(ΔS/S)
となり、左辺と右辺の両方とも、それぞれの基準値からの差分の比率になっている。
=== 痛覚 ===
痒み(かゆみ)は便宜的に痛覚として分類される。だが、一般の外傷などの痛みを伝える神経線維が明らかになっている一方で、痒みを伝える神経線維は不明である<ref>『標準生理学』、P231</ref>。
実験的な事実により、外部からヒスタミンを皮下注射すると、痒みが起きる<ref>『標準生理学』、P231</ref><ref>『ギャノング生理学』、P199 </ref>。
『標準生理学』では、下記のことから、痒みは痛みとは異なる線維によって運ばれていると考えている。
:* 経験的な事実として、痒みは掻くことによって(一時的に)消失する。
:* 鎮痛作用をもつモルヒネが痒みをもたらす事がある。
=== 聴覚 ===
まず、音を物理測定する場合、その単位は圧力である。
つまり、Pa(パスカル)単位である<ref>『標準生理学』、P232 </ref>。 「音圧」という用語があるように、音は圧力である。
「デシベル」や「ベル」という単位があるが、これは基準音からの倍率を常用対数で表したものである。
ベルは Bel と記号で表し、
:Bel = log<sub>10</sub>(被検査音の強さ / 基準音の強さ)
である。
『標準生理学』P.232 では、音の強さは圧力の2乗に比例するとして、。
:Bel = log<sub>10</sub>(被検査音の圧力 / 基準音の圧力)
としている。
その大元の基準となる、基準音の単位が、パスカル単位である。
なお、0デシベルというのは、音が無いという意味ではなく、基準音と同じ強さという意味である<ref>『ギャノング生理学』、P246 </ref>。
また、音は空気の縦波でもある。
つまり、空気の縦波の強さを測定する際の単位は、圧力である事になる。
:※ その他、耳の中のアブミ骨とかコルチ器官の構造と機能とか、生理学の教科書に書いてある。高校生物と同じ様な内容なので(もっと細かい事も大学の『生理学』教科書に発書いてあるが)、カネのない貧乏学生の読者は、がんばって高校生物を覚えろ。
{{-}}
[[File:Homunculus-ja.png|600px|thumb|]]
{{-}}
== 流体力学 ==
大学の生理学では伝統的に、流体力学の初歩の内容が教えられている。主に、下記のベルヌーイの法則などが教えられている。
応用としては、主に、人間の血管の血圧などの理解や測定などに応用されている。
{{コラム|医学における流体力学を学ぶにあたっての注意|
※ はたして、機械工学科などでよく教えていてるような金属管(またはガラス管)などの硬い剛体管の中での流れ解析の理論を、血管のような弾力的な管に適用していいかのかという厳密性の問題はあるが、しかし伝統的に大学の生理学教育では、剛体管のような管での流体力学が生理学でも教えられている。
上記の注意は、『標準生理学』でも同様の内容が述べられている<ref>『標準生理学』、P533 </ref>。なので、後述するような流体力学は、血管へ適用は、あくまで近似的、概念を理解するための便宜的なものである。
医学部での血管の流体力学では、水や油など、単純な流体を想定すればいい。
なお、機械工学的には、水とは異なり、さらに発展的に粘度が変数になるような流体を扱う「レオロジー」という学問分野もあるが(『標準生理学』にも「レオロジー」という用語が章の冒頭文にある(P.533))、しかし レオロジ-は工学部でもまだ大学院レベルの研究段階であり、まだ医学部などに教えられるような体系的な段階にはなってないので、医学部では当面、レオロジーは学ばなくていい。
普通の水や油では、 粘度は物質に固有な定数としていい。(おそらく理科年表などを見れば書いてあるだろう。もし無くても、機械工学や土木工学などの流体力学の初歩の本を読めん場書いてある。)
}}
[[File:Venturifixed2.PNG|thumb|ベンチュリ管を流れる液体の流れ]]
流体のエネルギーは以下の式で表される。
:<math> p + \frac{\rho V^2}{2} + \rho gz = constant </math> [Pa]
この関係式を'''ベルヌーイの原理'''(Bernoulli's principle)という。なお、ρは密度である。h は基準面からの高さである。
重要なのは、つまり流体のエネルギーでは、圧力エネルギー、運動エネルギー、位置エネルギーを考える必要がある。
もちろん、ベルヌーイ式中の変数pが圧力エネルギーである。
ρghは位置エネルギーである。
なお、上式中のポテンシャルエネルギーは、圧力エネルギ- p と位置エネルギー ρgh の合計二つである。
<math>\frac{\rho V^2}{2}</math> は運動エネルギーである。
そして、ベルヌーイの式の主張する内容はつまり、
流体エネルギー保存則式は、圧力エネルギ-、運動エネルギー、位置エネルギーの合計が(摩擦などの無い限り)一定である事を主張している。
厳密には摩擦などがあるので、摩擦によってエネルギーの散逸(さんいつ)があるので、流れのエネルギーの合計は位置ごとに違っていたりして一定ではない。しかし、摩擦があるのは何も流体力学だけでなく、高校で習う物理I(『物理基礎』)とかの力学だって摩擦を考えた場合はエネルギー保存の式が成り立たないので、そういのと同じことである。
なので、ベルヌーイの式は、流体の法則をよく説明している。
摩擦の無い流体のことを、「理想流体」という。上述のような初等的なベルヌーイの式が扱っている流体も、理想流体である。
流体力学の理論的には、「粘度」(ねんど)と呼ばれる物性値がゼロであれば、「理想流体」と見なせる(というか、書物によっては「理想流体」の定義。たとえば『標準生理学』が粘度がゼロであることを理想流体を定義している<ref>『標準生理学』、P533 </ref>)。
なお、hは基準面からの高さである。
分野によって、同じ法則を「ベルヌーイの法則」と呼んだり、「ベルヌーイの定理」(Bernoulli's theorem)と呼んだり、多少の呼び名のゆれがある。ギャノング生理学が「ベルヌーイの原理」、『標準生理学』は「ベルヌーイの定理」で呼んでいる。
:※ なお、theorem は「セオレム」と読む。
上のベルヌーイ式の変数 p は、『標準生理学』では「側圧」(lateral pressure<ref>『標準生理学 第8版』、P.554</ref>、side pressure<ref>『ギャノング生理学』、P.635</ref>)と呼んでいる<ref>『標準生理学 第8版』、P.554</ref>。
:※ なお一般的な機械工学書では、ベルヌーイ式の p は「静圧」(static presure)と呼んでいる<ref> 中山康喜『改訂版 流体の力学』、養賢堂、2004年3月10日 第7版 発行、P57 </ref><ref>原田幸夫『工業 流体力学』、槇書房、2002年9月20日 6刷 発行、P48 </ref>。
実験的な事実として、右のベンチュリ管の図のように、管路が狭まると、圧力は低くなる。(※ ギャノング生理学にも、ベンチュリ管の図が描いてある。)
これは、管路がせばまったので流速が速くなったが、流体の合計エネルギーを一定にするためにそのぶんpの値が小さくなったからである、と解釈される。
ベンチュリ管から縦に突き出ている細長い垂直な管の水面の高さは、静圧(つまり側圧)に比例している<ref> 中山康喜『改訂版 流体の力学』、養賢堂、2004年3月10日 第7版 発行、P57 </ref>。
ベルヌーイ式中の ρgh または係数(ρg)を省いた hは、工学では一般に「位置水頭」とか「位置ヘッド」(potential head)とか言う。
だが医学では、人体の「頭」との区別から、 ρgh または h を「位置水頭」(potential head)と呼ぶのが良いだろう。『標準生理学』でも、「位置水頭」(potential head)と呼んでいる。
工学では、どちらかというと定数を省いた「h」だけを「位置ヘッド」および「位置水頭」と呼ぶ場合が多いが<ref> 中山康喜『改訂版 流体の力学』、養賢堂、2004年3月10日 第7版 発行、P57 </ref><ref>原田幸夫『工業 流体力学』、槇書房、2002年9月20日 6刷 発行、P48 </ref>、あまり本質的ではないので、本wikiでは深入りしない。また『標準生理学』では区別せず、 ρgh を「位置水頭」と呼んでいる<ref>『標準生理学 第8版』、P.554</ref><ref> 中山康喜『改訂版 流体の力学』、養賢堂、2004年3月10日 第7版 発行、P57 </ref>。
:※ 工学の場合、呼び名を覚えさせる問題なんて出ないので。
呼び名が無いと不便なので本wikiでは、ベルヌーイの定理の計算における h または ρgh を「位置水頭」と呼ぶことにしよう。 本wiki中で h または ρgh のどちらを呼んでいるかは、読者が文脈から適宜に判断してもらいたい。
さて、
ベルヌーイの式は、下記のように両辺を ρg で割り算して式変形できる。
:<math> \frac{p}{\rho g} + \frac{V^2}{2g} + z = constant </math> [Pa]
こちらの式が「ベルヌーイの原理」または「ベルヌーイの定理」などとして紹介される場合もある。
なお、ベルヌーイの式の3つあるエネルギー項(圧力エネルギ-、運動エネルギ-、位置エネルギー)すべてを足したのを「全圧」(total pressure)という<ref>『標準生理学 第8版』、P.554</ref><ref> 中山康喜『改訂版 流体の力学』、養賢堂、2004年3月10日 第7版 発行、P57 </ref>。。
つまり、
:<math> \frac{p}{\rho g} + \frac{V^2}{2g} + z = e </math>
とすれば、e が「全圧」である。
あるいは、
:<math> p + \frac{\rho V^2}{2} + \rho gz = E </math> [Pa]
とすれば、Eが「全圧」である。
「全圧」の呼び名は、医学でも工学でも同じく「全圧」と呼ぶので、覚えておこう。
なお、運動エネルギーの項 <math> \frac{\rho V^2}{2} </math> または <math>\frac{V^2}{2g} </math> を「動圧」という。
:※ いろんな用語が出てくるが、特に覚えてもらいたいのは、ベルヌーイの式と、流体のエネルギー保存則では(高校物理の「質点の運動」のエネルギー式とは異なり、流体では)圧力エネルギーも考える必要があるという点だけである。もし「動圧」の名前が思い出せなくても、「運動エネルギー」とでも言っておけば済む。位置水頭も同様で、いざとなったら「位置エネルギー」とでも呼んでおけばいい。
その他、「速度水頭」や「圧水頭」などの用語もあるが、あまり重要では無いので、本wikiでは深入りしない。
流体力学の分野は、ρg の係数をどうするかで式が定数倍変わるので、分野ごとに用語の若干の不統一があり(たとえば工学なのか医学なのか、さらに工学内でも学科が色々あるので不明瞭)、「〇〇水頭」(圧水頭、速度水頭、位置水頭)とか「〇〇圧」(静圧、動圧、)とか言ったときに、
:<math> \frac{p}{\rho g} + \frac{V^2}{2g} + z = e </math>
の式の項なのか、それとも
:<math> p + \frac{\rho V^2}{2} + \rho gz = E </math> [Pa]
の式の項なのか、分野や文献などによって多少の不統一がある。なので、あまり用語の表す項の係数は気にしなくていい。学生に重要なのは、項が表しているのが圧力エネルギーか運動エネルギーか位置エネルギーか、そういった力学的な理解をする事である。
== 胆汁酸 ==
:※ 『[[薬理学/生理活性物質と消化器作用薬#胆]]』で記述済み。
== 生理学で扱う項目 ==
=== 神経系総論 ===
* 神経細胞([[w:神経細胞]])
* 膜電位([[w:膜電位]])
** 静止膜電位([[w:膜電位#静止膜電位]])
** 活動電位([[w:活動電位]])
* 神経の興奮
* イオンチャネル([[w:イオンチャネル]])
=== 筋肉総論 ===
:[[w:筋肉]]も参照
* 筋細胞
* 骨格筋収縮([[w:骨格筋]])
* 平滑筋([[w:平滑筋]])
* 心筋([[w:心筋]])
=== 神経系 ===
:[[w:神経系]]も参照
* 概説
* 脊髄と脳幹の構造([[w:脊髄]]、[[w:脳幹]])
* 内臓機能の調節
* 内臓反射([[w:自律神経系#自律神経反射]])
* 小脳機能([[w:小脳]])
* 大脳基底核機能([[w:大脳基底核]])
* 脳波([[w:脳波]])
* 睡眠([[w:睡眠]])
* 皮質連合野の機能
* 視床下部と辺縁系([[w:視床下部]]、[[w:大脳辺縁系]])
=== 運動機能 ===
* 運動機能の調節
* 体性反射([[w:自律神経系#自律神経反射]])
* 脳幹による体性反射
=== 感覚機能 ===
:[[w:感覚]]、[[w:知覚]]も参照
* 感覚総論
* 視覚([[w:視覚]])
* 聴覚([[w:聴覚]])
* 平衡感覚([[w:平衡感覚]])
* 嗅覚([[w:嗅覚]])
* 味覚([[w:味覚]])
* 体性感覚([[w:体性感覚]])
* 内臓感覚
----
=== 血液 ===
:[[w:血液]]も参照
* 血液の役割
* 組成
* 免疫([[w:免疫]])
* 血液型([[w:血液型]])
* 血液凝固([[w:凝固・線溶系]])
=== 循環 ===
:[[w:循環器]]、[[w:循環器系]]も参照
* [[/概論|概論]]
* [[/心臓|心臓]]
* 血管([[w:血管]])
* 循環の調節
* 局所循環
* リンパ液([[w:リンパ]])
* 脳脊髄液([[w:脳脊髄液]])
=== 代謝 ===
:[[生化学]]、[[w:代謝]]も参照
* 生体の構成成分
* エネルギー代謝
* 中間代謝
=== 消化と吸収 ===
:[[w:消化器]]も参照
* 消化器の役割
* 消化の調節
* 消化液
* 消化・吸収
* 消化管での分泌
* 肝臓・胆嚢([[w:肝臓]]、[[w:胆嚢]])
=== 内分泌 ===
:[[w:内分泌]]、[[w:ホルモン]]も参照
* ホルモン概説
* 視床下部([[w:視床下部]])
* 下垂体([[w:下垂体]])
** 前・中葉
** 後葉
* 松果体([[w:松果体]])
* 甲状腺([[w:甲状腺]])
* 上皮小体([[w:副甲状腺]])
* 骨([[w:骨]])
* 副腎([[w:副腎]])
* 膵臓([[w:膵臓]])
* 血糖の調節([[w:血糖値]]、[[w:インスリン]])
* 生殖ホルモン([[w:エストロゲン]]、[[w:プロゲステロン]]、[[w:テストステロン]])
=== 呼吸 ===
:[[w:肺]]も参照
* 呼吸器
* 換気
* ガス交換
* 血中のガス運搬
* 換気の調節
* 呼吸の異常
=== 体液 ===
:[[w:体液]]も参照
* 体液の区分
* 組成
* 恒常性の調節([[w:恒常性]])
=== 腎機能と排泄 ===
:[[w:泌尿器]]も参照
* 腎の構造([[w:腎臓]])
* ろ過と再吸収
* 尿細管での分泌
* 排尿
=== 体温調節 ===
:[[w:体温]]も参照
* 体温の変動
* 体温の調節
* 発熱([[w:発熱]])
== 参考文献 ==
;全体の主な参考文献
:本wiki『生理学』において、よく脚注で参考文献になっている文献を以下に列記する。
* 彼末一之・能勢博『やさしい生理学 改訂 第7版』、南江堂、2019年5月20日 第7版 第2刷発行
* 照井直人『はじめの一歩のイラスト生理学』、羊土社、2018年4月10日 第2版 第7刷 発行
* 大地陸男『生理学テキスト』、文光堂、2017年8月9日 第8版 第2刷発行
* 小澤瀞司・福田康一郎 監修『標準生理学』、医学書院、2015年8月1日 第8版 第2刷
* KIM E. BARRETT ほか原著改訂、岡田泰伸 監訳『ギャノング生理学 原著23版 』丸善株式会社、平成23年1月31日 発行
この他、内容の裏づけの確認のために、多くの生理学書を参考にしている。
;流体力学の詳説
流体の章では、上記の生理学の書籍に加え、下記の工学の流体力学の入門書も参照した。
* 中山康喜『改訂版 流体の力学』、養賢堂、2004年3月10日 第7版 発行
== 脚注 ==
[[Category:医学|せいりかく]] | 2006-11-06T17:19:38Z | 2023-10-20T15:03:58Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%94%9F%E7%90%86%E5%AD%A6 |
4,417 | 神経解剖学 | 神経解剖学(Neuroanatomy)とは、特に複雑な中枢神経系(脳と脊髄)の形態・構造を理解するための肉眼解剖学、組織学をあわせ、更に機能面にも焦点を当てる学問である。その内容は解剖学 神経系を発展させたものであり、組織学#神経系・感覚器と一部重複する。脳の構造は複雑であるがその機能は同一の機能が一部に局在する事が分かってきており、肉眼的な脳の構造を学ぶことは脳の機能を理解する事とリンクする。
解剖学 神経系 脊髄 小脳 脳幹と脳神経核 大脳基底核 視床 脳室系と脳脊髄液
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"title": "神経解剖学で扱う項目"
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| 神経解剖学(Neuroanatomy)とは、特に複雑な中枢神経系(脳と脊髄)の形態・構造を理解するための肉眼解剖学、組織学をあわせ、更に機能面にも焦点を当てる学問である。その内容は解剖学 神経系を発展させたものであり、組織学#神経系・感覚器と一部重複する。脳の構造は複雑であるがその機能は同一の機能が一部に局在する事が分かってきており、肉眼的な脳の構造を学ぶことは脳の機能を理解する事とリンクする。 | '''神経解剖学(Neuroanatomy)'''とは、特に複雑な中枢神経系(脳と脊髄)の形態・構造を理解するための肉眼解剖学、組織学をあわせ、更に機能面にも焦点を当てる学問である。その内容は[[解剖学#神経系|解剖学 神経系]]を発展させたものであり、[[組織学#神経系・感覚器]]と一部重複する。脳の構造は複雑であるがその機能は同一の機能が一部に局在する事が分かってきており、肉眼的な脳の構造を学ぶことは脳の機能を理解する事とリンクする。
== 神経解剖学で扱う項目 ==
=== 構造と機能 ===
[[解剖学#神経系|解剖学 神経系]] 脊髄 小脳 脳幹と脳神経核 大脳基底核 視床 脳室系と脳脊髄液
=== 主要な伝導路 ===
== 付録 ==
*[[w:ブロードマンの脳地図|大脳皮質 ブロードマンの脳地図(ブロードマン領域)]]
*[[w:脳神経|脳神経]]
*[[w:ヒトの神経の名称一覧|ヒトの神経の名称一覧]]
== 参考文献 ==
*ISBN 4-260118-70-6 神経解剖カラーテキスト
[[Category:医学|しんけいかいほうかく]] | null | 2007-02-15T14:29:29Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E8%A7%A3%E5%89%96%E5%AD%A6 |
4,418 | 民法第789条 | (準正)
明治民法において、本条には夫婦の同居義務に関する以下の規定があった。趣旨は、明治民法第790条と合わせて民法第752条に継承された。 | [
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族
法学>コンメンタール>コンメンタール民法>第4編 親族 | *[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]
*[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]
==条文==
([[準正]])
;第789条
# 父が認知した子は、その父母の[[婚姻]]によって[[嫡出子]]の身分を取得する。
# 婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。
# 前二項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する。
==解説==
:準正の規定である。婚外子の保護のための規定と理解され、婚外子の親達の婚姻を促す狙いもあるとされる。戦後の民法改正においても、[[民法第836条#参考|明治民法第836条]]と同趣旨の規定が受け継がれている。
:ローマ法の Matrimonium subsequens legitimos facit. (事後の婚姻は準正する)に由来する。
:第1項を'''婚姻準正'''、第2項を'''認知準正'''と呼ぶ。準正の効力発生時は、いずれも婚姻時であり、第2項の場合は、婚姻時に遡及すると考えるのが通説である。これは、認知の効力は、出生の時に遡及するから([[民法第784条|784条]])、準正の要件が具備されるのは婚姻の時であること、準正制度の趣旨が父母の婚姻によって嫡出でない子をなるべく嫡出化しようとする点にあることを理由としている。これに対し、第2項の場合は文言を重視して、認知の時から効力が発生するとする見解もある。
:2項は、婚姻成立後に父のほか母の認知も必要とするようにも読めるが、法律上の母子関係は、分娩の事実によって当然に生ずると解されることから(最判昭37.4.27)、父の認知のみで足りるとされる。
:第3項は、死んだ子に直系卑属があり、その子について[[代襲相続]]権の発生が問題となる場合に意味を持つ規定である。
:比較法的には裁判準正と呼ばれる制度もあるが、日本の民法上は規定が存在しない。
==参照条文==
==参考文献==
*『民法(5)親族・相続(第3版)』有斐閣新書(1989年、有斐閣)105頁-116頁(川田昇執筆部分)
*泉久雄『親族法』(1997年、有斐閣)204頁-220頁
==参考==
明治民法において、本条には夫婦の同居義務に関する以下の規定があった。趣旨は、[[民法第790条#参考|明治民法第790条]]と合わせて[[民法第752条]]に継承された。
#妻ハ夫ト同居スル義務ヲ負フ
#夫ハ妻ヲシテ同居ヲ為サシムルコトヲ要ス
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]<br>
[[第4編 親族 (コンメンタール民法)#3|第3章 親子]]<br>
[[第4編 親族 (コンメンタール民法)#3-1|第1節 実子]]
|[[民法第788条]]<br>(認知後の子の監護に関する事項の定め等)
|[[民法第790条]]<br>(子の氏)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|789]] | null | 2022-12-09T23:24:55Z | [
"テンプレート:前後",
"テンプレート:Stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC789%E6%9D%A1 |
4,419 | 民法第732条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法)
(重婚の禁止)
重婚の禁止を定めた規定であり、本条に反してなされた婚姻は取り消しうる。ここでいう重婚の対象は、法律上の婚姻であって、いわゆる重婚的内縁は問題とならない。戦後の民法改正においても、明治民法の規定(明治民法第766条)がそのまま受け継がれている。
法律婚は戸籍制度に裏打ちされているので、既に配偶者のあるものが、別の相手との婚姻届を提出するだけでは、外見的であっても婚姻が成立することはなく、ありうるとすれば、戸籍事務の過誤や、前婚が虚偽の離婚届け等により解消されその間隙に婚姻届が受理された場合(前婚の離婚は無効なので依然として婚姻状態にある)など、きわめて、稀なケースである。
当事者の一方が日本以外の法に服する国際結婚については国際私法において解決すべき事案であって、法の適用に関する通則法第24条による。国際結婚に関して婚姻の成立は当事者双方が適法であることを、満たしていなければならない要件(双方的要件)であり、婚姻の成立には双方の本国法で当事者の一方の本国法が重婚を禁止している場合は、相手方の本国法上、重婚が許されていても、重婚は認められない。したがって、外国法に服する一方の当事者が、その本国法において、別の相手方と婚姻しているという法律関係が認められる場合、重婚となる。
明治民法において、本条には以下の規定があった。 | [
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"text": "法律婚は戸籍制度に裏打ちされているので、既に配偶者のあるものが、別の相手との婚姻届を提出するだけでは、外見的であっても婚姻が成立することはなく、ありうるとすれば、戸籍事務の過誤や、前婚が虚偽の離婚届け等により解消されその間隙に婚姻届が受理された場合(前婚の離婚は無効なので依然として婚姻状態にある)など、きわめて、稀なケースである。",
"title": "解説"
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"text": "当事者の一方が日本以外の法に服する国際結婚については国際私法において解決すべき事案であって、法の適用に関する通則法第24条による。国際結婚に関して婚姻の成立は当事者双方が適法であることを、満たしていなければならない要件(双方的要件)であり、婚姻の成立には双方の本国法で当事者の一方の本国法が重婚を禁止している場合は、相手方の本国法上、重婚が許されていても、重婚は認められない。したがって、外国法に服する一方の当事者が、その本国法において、別の相手方と婚姻しているという法律関係が認められる場合、重婚となる。",
"title": "解説"
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"text": "明治民法において、本条には以下の規定があった。",
"title": "参考"
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)]]
==条文==
([[重婚]]の禁止)
;第732条
: 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。
==解説==
重婚の禁止を定めた規定であり、本条に反してなされた婚姻は取り消しうる。ここでいう重婚の対象は、法律上の婚姻であって、いわゆる[[事実婚|重婚的内縁]]は問題とならない。戦後の民法改正においても、明治民法の規定([[民法第766条#参考|明治民法第766条]])がそのまま受け継がれている。
法律婚は戸籍制度に裏打ちされているので、既に配偶者のあるものが、別の相手との婚姻届を提出するだけでは、外見的であっても婚姻が成立することはなく、ありうるとすれば、戸籍事務の過誤や、前婚が虚偽の離婚届け等により解消されその間隙に婚姻届が受理された場合(前婚の離婚は無効なので依然として婚姻状態にある)など、きわめて、稀なケースである。
当事者の一方が日本以外の法に服する国際結婚については国際私法において解決すべき事案であって、[[法の適用に関する通則法第24条]]による。国際結婚に関して婚姻の成立は当事者双方が適法であることを、満たしていなければならない要件(双方的要件)であり、婚姻の成立には双方の本国法で当事者の一方の本国法が重婚を禁止している場合は、相手方の本国法上、重婚が許されていても、重婚は認められない。したがって、外国法に服する一方の当事者が、その本国法において、別の相手方と婚姻しているという法律関係が認められる場合、重婚となる。
==関連条文==
*[[民法第744条]](不適法な婚姻の取消し)
*[[刑法第184条]]
==判例==
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55160&hanreiKbn=02 婚姻取消] (最高裁判決 昭和57年09月28日)[[民法第744条]]、[[民法第749条]]
*;重婚における後婚の離婚による解消と後婚の取消の訴えの許否
*:重婚において、後婚が離婚によつて解消された場合には、特段の事情のない限り、後婚の取消を請求することは許されない。
==参考==
明治民法において、本条には以下の規定があった。
#戸主ノ親族ニシテ其家ニ在ル者及ヒ其配偶者ハ之ヲ家族トス
#戸主ノ変更アリタル場合ニ於テハ旧戸主及ヒ其家族ハ新戸主ノ家族トス
#*「家ニ在ル」;同一の戸籍にある
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]<br>
[[第4編 親族 (コンメンタール民法)#2|第2章 婚姻]]<br>
[[第4編 親族 (コンメンタール民法)#2-1|第1節 婚姻の成立]]
|[[民法第731条]]<br>(婚姻適齢)
|[[民法第733条]]<br>(再婚禁止期間)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|732]] | 2006-11-07T06:13:43Z | 2024-02-05T06:48:52Z | [
"テンプレート:Stub",
"テンプレート:前後"
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC732%E6%9D%A1 |
4,421 | 民法第744条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法)
(不適法な婚姻の取消し)
第731条から第736条までに規定する婚姻障害のある婚姻の取消しの手続きについて定める。本条は旧・民法第780条を継承。
婚姻の取消しは、家庭裁判所に対する訴訟のみによる(形成訴訟)。
取消請求権者は以下のとおり。
明治民法において、本条には以下の規定があった。 | [
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)]]
==条文==
(不適法な婚姻の取消し)
;第744条
# [[民法第731条|第731条]]から[[民法第736条|第736条]]までの規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを[[家庭裁判所]]に請求することができる。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。
# [[民法第732条|第732条]]の規定に違反した婚姻については、前婚の配偶者も、その取消しを請求することができる。
===改正経緯===
2022年改正により[[民法第733条|第733条]]が廃止削除されたことにより、第2項を以下の条項から改正。
: [[民法第732条|第732条]]又は[[民法第733条|第733条]]の規定に違反した婚姻については、当事者の配偶者又は前配偶者も、その取消しを請求することができる。
==解説==
[[民法第731条|第731条]]から[[民法第736条|第736条]]までに規定する婚姻障害のある婚姻の取消しの手続きについて定める。本条は[[民法第780条#参考|旧・民法第780条]]を継承。
婚姻の取消しは、家庭裁判所に対する訴訟のみによる(形成訴訟)。
取消請求権者は以下のとおり。
#婚姻の当事者
#当事者の親族
#検察官
#*ただし、当事者の一方が死亡した場合、取消請求権を失う。反対解釈をすると、検察官以外は、当事者の一方が死亡した場合でも婚姻の取消しを請求することができる。しかしながら、婚姻の取消しは遡及効がないため、実効性については疑問。
#重婚の場合の当事者の配偶者、<del>再婚禁止期間の婚姻における前配偶者</del>
==参照条文==
*[[民法第731条]](婚姻適齢)
*[[民法第732条]](重婚の禁止)
*<del>[[民法第733条]](再婚禁止期間)</del>
*[[民法第734条]](近親者間の婚姻の禁止)
*[[民法第735条]](直系姻族間の婚姻の禁止)
*[[民法第736条]](養親子等の間の婚姻の禁止)
==参考文献==
*泉久雄『親族法』85頁(有斐閣、1997年)
==判例==
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55160&hanreiKbn=02 婚姻取消] (最高裁判決 昭和57年09月28日)[[民法第732条]]、[[民法第749条]]
#;重婚における後婚の離婚による解消と後婚の取消の訴えの許否
#:重婚において、後婚が離婚によつて解消された場合には、特段の事情のない限り、後婚の取消を請求することは許されない。
==参考==
明治民法において、本条には以下の規定があった。
#法定ノ推定家督相続人ハ他家ニ入リ又ハ一家ヲ創立スルコトヲ得ス但本家相続ノ必要アルトキハ此限ニ在ラス
#前項ノ規定ハ[[民法第750条#参考|第七百五十条]]第二項ノ適用ヲ妨ケス
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]<br>
[[第4編 親族 (コンメンタール民法)#2|第2章 婚姻]]<br>
[[第4編 親族 (コンメンタール民法)#2-1|第1節 婚姻の成立]]
|[[民法第743条]]<br>(婚姻の取消し)
|[[民法第745条]]<br>(不適齢者の婚姻の取消し)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|744]]
[[Category:民法 2022年改正|733]] | 2006-11-07T06:39:36Z | 2024-02-15T08:35:23Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC744%E6%9D%A1 |
4,423 | 内科学 呼吸器 | 呼吸器は、ガス交換器と気道に分けることができる。ガス交換器は、体内に酸素を取り入れ、体内から二酸化炭素を排出するための器官である。気道は、体外とガス交換器との間に空気を交通させるための器官である。
気道は、喉頭を境として、上気道と下気道に分けることができる。喉頭はおおむね第4〜6頚椎の高さに位置しており、喉頭蓋によって、物理的に気道を境することができる。
ガス交換は肺胞において行なわれる。
慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)とは、肺でのガス交換が徐々に制限される疾患であるが、これはあくまで障害される機能による分類であり、更に肺気腫や慢性気管支炎などに分けられる。なお、正確には気管支喘息も慢性閉塞性疾患に分類することが可能である。症状により可逆性の程度は異なり、労作性に呼吸困難を生じる。大気汚染やタバコが主要要因となり、中高年に多い。
上記の要因により、COPDでは、以下の3種類の病変が起こる。
このうち、ガス交換の制限に関与する主要要因は末梢気道の障害である。肺胞の障害が主として見られる病変を気腫優位型、中枢気道の病変が主として見られるものが気道病変優位型と言う。しかし、実際にはCOPDはこれら3種類の病変すべてを包括した呼称である。COPDは根本的な治療法がなく、肺の生活習慣病とも呼ばれる。生活指導などを通して予防と症状の進行を抑える事が肝要である。
COPDを診断するにあたって、臨床症状(喀痰・労作性呼吸困難)と危険因子(喫煙、他に職業性の粉塵暴露)の有無に気をつける。日本人のCOPD患者の90%は喫煙者であることから、喫煙歴のある中高年の診断は常にCOPDの可能性を疑うべきである。これらを踏まえて、COPDの診断基準はスパイロメトリーで一秒率が70%未満であることで確定する。
主に肺の間質に炎症が起きる。肺間質とは、狭義には肺胞隔壁(肺胞壁細胞を含まない)のことであり、広義には隔壁も含む肺胞と肺胞の間のスペースのことである。肺実質の定義(肺胞上皮細胞と肺胞腔)を考えると、それ以外の部分が広義の肺間質と言ってよい。但し、肺内毛細血管は実質、間質どちらにもあてはまらない。
間質性肺炎には以下のような分類がなされる。
特発性間質性肺炎の病理学的分類:Liebow(1968)の分類:1.通常型間質性肺炎(UIP: usual interstitial pneumoniae)、2.閉塞性細気管支炎を合併したびまん性肺胞障害(BIP: bronchiolitis obliterans and diffuse alveolar damage)、3.剥離型間質性肺炎(DIP: desquamative interstitial pneumoniae)、4.巨細胞性間質性肺炎(GIP: giant cell interstitial pneumoniae)、5.リンパ性間質性肺炎(LIP: lymphoid inerstitial pnumoniae)の5つに分類。 その後検討され、現在の分類では、1.UIP、2.NSIP、3.OP、4.DIP、5.RP、6.DAD(diffuse alveolar damage)、7.LIP、の7つに分類される。 COPは以前ではBOOP(bronchiolitis obliterans with organizing pneumoniae:器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎)と言われていたもの。AIPは病理学的にはDADの形態をとる。
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| null | == 呼吸器総論で扱う項目 ==
=== 解剖学 ===
[[ファイル:Illu conducting passages日本語.jpg|250px|thumb|呼吸器の構成のシェーマ。]]
呼吸器は、ガス交換器と気道に分けることができる。ガス交換器は、[[w:体|体]]内に[[w:酸素|酸素]]を取り入れ、体内から[[w:二酸化炭素|二酸化炭素]]を[[w:排出|排出]]するための器官である。気道は、体外とガス交換器との間に空気を交通させるための器官である。
==== 気道 ====
気道は、[[w:喉頭|喉頭]]を境として、[[w:上気道|上気道]]と[[w:下気道|下気道]]に分けることができる。喉頭はおおむね第4〜6頚椎の高さに位置しており、[[w:喉頭蓋|喉頭蓋]]によって、物理的に気道を境することができる。
; 上気道
: [[w:鼻|鼻]]から[[w:鼻腔|鼻腔]]、[[w:鼻咽腔|鼻咽腔]]、[[w:咽頭|咽頭]]、[[w:喉頭|喉頭]]までを指す。外界の空気を取り入れるのに伴い、空気とともに異物や細菌が流入することから、生体防御機構が高度に発達しているという特徴がある。またこの部位は、呼吸器だけでなく、[[w:発声|発声器]]としての役割も兼ねている。
; 下気道
: [[w:気管|気管]]から[[w:気管支|気管支]]、[[w:細気管支|細気管支]]から[[w:肺胞|肺胞]]の直前までを指す。喉頭蓋によって上気道と境されており、健常時には無菌状態となっている。
==== ガス交換器 ====
ガス交換は肺胞において行なわれる。
=== 生理学 ===
=== 症状 ===
=== 身体所見 ===
=== 検査内容 ===
== 呼吸器各論で扱う項目 ==
=== 慢性閉塞性肺疾患 ===
*慢性閉塞性肺疾患とは
'''慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)'''とは、肺でのガス交換が徐々に制限される疾患であるが、これはあくまで障害される機能による分類であり、更に肺気腫や慢性気管支炎などに分けられる。なお、正確には気管支喘息も慢性閉塞性疾患に分類することが可能である。症状により可逆性の程度は異なり、[[wikipedia:労作性|労作性]]に呼吸困難を生じる。大気汚染やタバコが主要要因となり、中高年に多い。
上記の要因により、COPDでは、以下の3種類の病変が起こる。
#肺胞壁の障害
#末梢気道(小気管支、細気管支)の障害
#中枢気道(気管、気管支)の粘液腺肥大
このうち、ガス交換の制限に関与する主要要因は末梢気道の障害である。肺胞の障害が主として見られる病変を気腫優位型、中枢気道の病変が主として見られるものが気道病変優位型と言う。しかし、実際にはCOPDはこれら3種類の病変すべてを包括した呼称である。COPDは根本的な治療法がなく、肺の生活習慣病とも呼ばれる。生活指導などを通して予防と症状の進行を抑える事が肝要である。
COPDを診断するにあたって、臨床症状(喀痰・労作性呼吸困難)と危険因子(喫煙、他に職業性の粉塵暴露)の有無に気をつける。日本人のCOPD患者の90%は喫煙者であることから、喫煙歴のある中高年の診断は常にCOPDの可能性を疑うべきである。これらを踏まえて、COPDの診断基準は'''スパイロメトリーで一秒率が70%未満であること'''で確定する。
*肺気腫
*慢性気管支炎
*びまん性汎細気管支炎
*過誤腫性肺リンパ脈管筋腫症
=== 間質性肺炎(拘束性肺疾患) ===
*間質性肺炎とは
主に肺の間質に炎症が起きる。肺間質とは、狭義には肺胞隔壁(肺胞壁細胞を含まない)のことであり、広義には隔壁も含む肺胞と肺胞の間のスペースのことである。肺実質の定義(肺胞上皮細胞と肺胞腔)を考えると、それ以外の部分が広義の肺間質と言ってよい。但し、肺内毛細血管は実質、間質どちらにもあてはまらない。
間質性肺炎には以下のような分類がなされる。
<table border="1">
<tr><td rowspan="6">特発性間質性肺炎(Idiopathic Interstitial Pneumonia)</td><td>[[#1|特発性肺線維症(IPF)]]</td></tr>
<tr><td>急性間質性肺炎(AIP)</td></tr>
<tr><td>非特発性間質性肺炎(NSIP)</td></tr>
<tr><td>剥離性肺炎(DIP)</td></tr>
<tr><td>呼吸細気管支関連間質性肺疾患(RB-ILD)</td></tr>
<tr><td>COP、BOOP(閉塞性細気管支炎・器質化肺炎)</td></tr>
<tr><td rowspan="6">原因の特定されている間質性肺炎</td><td>[[#2|塵肺症]]</td></tr>
<tr><td>肉芽腫性肺疾患</td></tr>
<tr><td>[[#3|膠原病に伴う間質性肺炎]]</td></tr>
<tr><td>[[#4|薬剤性肺炎]]</td></tr>
<tr><td>放射線性肺炎</td></tr>
<tr><td>感染症</td></tr></table>
*病理所見
特発性間質性肺炎の病理学的分類:Liebow(1968)の分類:1.通常型間質性肺炎(UIP: usual interstitial pneumoniae)、2.閉塞性細気管支炎を合併したびまん性肺胞障害(BIP: bronchiolitis obliterans and diffuse alveolar damage)、3.剥離型間質性肺炎(DIP: desquamative interstitial pneumoniae)、4.巨細胞性間質性肺炎(GIP: giant cell interstitial pneumoniae)、5.リンパ性間質性肺炎(LIP: lymphoid inerstitial pnumoniae)の5つに分類。 その後検討され、現在の分類では、1.UIP、2.NSIP、3.OP、4.DIP、5.RP、6.DAD(diffuse alveolar damage)、7.LIP、の7つに分類される。 COPは以前ではBOOP(bronchiolitis obliterans with organizing pneumoniae:器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎)と言われていたもの。AIPは病理学的にはDADの形態をとる。
*診断
*<div class="1">特発性肺線維症</div>
*<div class="3">膠原病肺</div>
*<div class="2">塵肺症</div>
*<div class="4">薬剤耐性肺障害</div>
{{stub}}
== 参考文献 ==
== 外部リンク ==
*[[w:閉塞性肺疾患|閉塞性肺疾患]](ウィキペディア日本語版)
*ISBN 4907704364 STEP内科(4)腎・呼吸器 | null | 2018-04-07T17:24:21Z | [
"テンプレート:Stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%86%85%E7%A7%91%E5%AD%A6_%E5%91%BC%E5%90%B8%E5%99%A8 |
4,428 | 解剖学/上肢の骨 | 上肢の骨は上肢帯(鎖骨、肩甲骨)と自由上肢(上腕骨、橈骨、尺骨、手根骨、中手骨、指骨)からなる。移動の際の前肢としての機能をもたないヒトの上肢は、特に手のひらでの複雑な作業に適したつくりになっている。上肢の自由な運動は、上肢と体幹が胸鎖関節のみで連結していることによって実現している。
*骨の名称(英語名/ラテン語名(英語と同じ場合は省略))(同名の骨の数) | [
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"text": "上肢の骨は上肢帯(鎖骨、肩甲骨)と自由上肢(上腕骨、橈骨、尺骨、手根骨、中手骨、指骨)からなる。移動の際の前肢としての機能をもたないヒトの上肢は、特に手のひらでの複雑な作業に適したつくりになっている。上肢の自由な運動は、上肢と体幹が胸鎖関節のみで連結していることによって実現している。",
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"text": "*骨の名称(英語名/ラテン語名(英語と同じ場合は省略))(同名の骨の数)",
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| 上肢の骨は上肢帯(鎖骨、肩甲骨)と自由上肢(上腕骨、橈骨、尺骨、手根骨、中手骨、指骨)からなる。移動の際の前肢としての機能をもたないヒトの上肢は、特に手のひらでの複雑な作業に適したつくりになっている。上肢の自由な運動は、上肢と体幹が胸鎖関節のみで連結していることによって実現している。 | 上肢の骨は上肢帯(鎖骨、肩甲骨)と自由上肢(上腕骨、橈骨、尺骨、手根骨、中手骨、指骨)からなる。移動の際の前肢としての機能をもたないヒトの上肢は、特に手のひらでの複雑な作業に適したつくりになっている。上肢の自由な運動は、上肢と体幹が胸鎖関節のみで連結していることによって実現している。
{{medical stub}}
==上肢骨upper limbの一覧==
[[image:hand_bone.png|thumb|250px|right|左手(背側)]]
''*骨の名称(英語名/ラテン語名(英語と同じ場合は省略))(同名の骨の数)''
*肩甲骨(scapula/) (2)
*鎖骨(clavicle/clavicula) (2)
*上腕骨(humerus/) (2)
*前腕骨(forearm bone/ossa antebrachii)
**橈骨(radius/) (2)
**尺骨(ulna/) (2)
*手根骨(carpals/ossa carpi)
**舟状骨(scaphoid/os scaphoideum) (2)
**月状骨(lunate/os lunatum) (2)
**三角骨(triquetrum/os triquetrum) (2)
**豆状骨(pisiform/os pisiforme) (2)
**大菱形骨(trapezium/os trapezium) (2)
**小菱形骨(trapeoid/os trapezoideum) (2)
**有頭骨(capitate/os capitatum) (2)
**有鈎骨(hamate/os hamatum) (2)
*中手骨(metacarpals/ossa metacarpalia)
**第一中手骨~第五中手骨
*指骨(phalanges/ossa digitorum manus) (14x2)
**基節骨(proximal phalanx/phalanx proximalis)(5x2)
***第一指~第五指
**中節骨(middle phalanx/phalanx media)(4x2)
***第二指~第五指
**末節骨(disital phalanx/phalanx distalis) (5x2)
***第一指~第五指
== 上肢の関節の一覧 ==
*胸鎖関節
*肩鎖関節
*肩甲上腕関節
*肩関節
*肘関節
*手関節
*指関節
== 画像一覧 ==
<gallery>
Image:Gray200.png|鎖骨(腹側)
Image:Gray201.png|鎖骨(背側)
Image:Gray202.png|肩甲骨(腹側)
Image:Gray203.png|肩甲骨(背側)
Image:Gray204.gif|肩甲骨と体幹の位置関係(後面)
Image:Gray207.png|上腕骨(背側)
Image:Gray213.png|前腕骨(腹側)
Image:Gray214.png|前腕骨(背側)
Image:Gray220.png|左手(背側)
Image:Gray219.png|左手(掌側)
</gallery> | 2006-11-08T15:55:57Z | 2023-10-09T08:15:48Z | [
"テンプレート:Medical stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E8%A7%A3%E5%89%96%E5%AD%A6/%E4%B8%8A%E8%82%A2%E3%81%AE%E9%AA%A8 |
4,429 | 解剖学/下肢の骨 | *骨の名称(英語名/ラテン語名(英語と同じ場合は省略))(同名の骨の数)
(3つ**座骨(os ischii) (2)
| [
{
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"text": "*骨の名称(英語名/ラテン語名(英語と同じ場合は省略))(同名の骨の数)",
"title": "下肢骨lower limbの一覧"
},
{
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"text": "(3つ**座骨(os ischii) (2)",
"title": "下肢骨lower limbの一覧"
},
{
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"tag": "p",
"text": "",
"title": "下肢骨lower limbの一覧"
}
]
| null | ==下肢骨lower limbの一覧==
[[Image:Gray268.png|thumb|200px|right|右足の骨(足背側)]]
''*骨の名称(英語名/ラテン語名(英語と同じ場合は省略))(同名の骨の数)''
*寬骨(os coxae) (2) (2つ合わせると骨盤)
(3つ**座骨(os ischii) (2)
**腸骨(os ilium) (2)
**恥骨(os pubis) (2)
*大腿骨(femur) (2)
*膝蓋骨(patella) (2)
*下腿骨(ossa cruris)
**脛骨(tibia) (2)
**腓骨(fibula) (2)
*足根骨(ossa tarsi)
**距骨(talus) (2)
**踵骨(calcaneus) (2)
**舟状骨(os naviculare) (2)
**内側楔状骨(os cuneiforme mediale) (2)
**中間楔状骨(os cuneiforme intermedium) (2)
**外側楔状骨(os cuneiforme laterale) (2)
**立方骨(os cuboideum) (2)
*中足骨(ossa metatarsalia) (5)
**第一中足骨~第五中足骨
*趾骨(ossa digitorum pedis) (14x2)
**基節骨(phalanx proximalis) (5x2)
***第一指~第五指
**中節骨(phalanx media) (4x2)
***第二指~第五指
**末節骨(phalanx distalis) (5x2)
***第一指~第五指
== 画像一覧 ==
<gallery>
Image:Gray235.png|寛骨(外側)
Image:Gray236.png|寛骨(内側)
Image:Gray95.png|仙骨(前面)
Image:Gray100.png|尾骨(前/後面)
Image:Gray241.png|骨盤(前上面)
Image:Gray238.png|骨盤(上面)
Image:Gray239.png|骨盤(下面)
Image:Gray244.png|大腿骨(前面)
Image:Gray245.png|大腿骨(後面)
Image:Patella ant.jpg|膝蓋骨(前面)
Image:Gray353.png|膝蓋骨(後面)
Image:Gray258.png|下腿骨(前面)
Image:Gray259.png|下腿骨(後面)
Image:Gray268.png|足根骨(背側)
Image:Gray269.png|足根骨(腹側)
Image:Gray319.png|骨盤の靭帯(前面)
Image:Gray320.png|骨盤の靭帯(後面)
</gallery>
[[Category:医学|かいほうかく かしのほね]] | null | 2007-02-15T14:10:28Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E8%A7%A3%E5%89%96%E5%AD%A6/%E4%B8%8B%E8%82%A2%E3%81%AE%E9%AA%A8 |
4,430 | 解剖学/体幹の骨 | 体幹を支える骨は脊椎を中心に、臓器を保護する肋骨・胸骨が含まれる。このうち脊椎は節構造を成しており、似たような形の骨が複数個寄り集まってできている。それだけに本項では各骨の判別などについても注意深く学習して欲しい。
脊椎骨が連なってできる脊柱は、大きく分けて頚椎cervical vertebrea・胸椎thoracic vertebrae・腰椎lumber vertebraeと仙骨sacrum、尾骨coccyxから構成される。頚椎・胸椎・腰椎はそれぞれ7個・12個・5個からなり(実は仙骨も5個の仙椎が癒合したものであるが)、C7・Th12・L5のようにイニシャルと番号で呼ぶ事が多い。各脊椎の構造は若干異なるが、それについては後述する。 脊柱の働きは、大きく分けて3つある。
このうち、身体の支持の仕方は我々直立歩行のヒトと四足歩行の動物で大きく異なる。本来四足歩行動物の脊柱は後ろに凸の弯曲している。これを後弯といい、ヒトでも胎児期にはこの後弯のみが見られる。しかし、生後1年以内に頚部と腰部に前に凸の弯曲(前弯)が起こり、最終的に右図のような形になる。この前弯は首がすわる時期(生後3ヶ月)と立って歩き出す時期(生後1年)にできる。
前述の通り脊椎は3~5種類に分かれ、同じ名称の椎骨でも部位により若干形状が異なる。しかし、まずは椎骨のおよその形を掴むため、胸椎を例に椎骨の構造を見ていく。
まず、上面から胸椎を見ると、骨質の詰まった円柱状の椎体(腹側:図1の上)と弓状の椎弓が見える。椎弓が取り囲んでいる孔は脊髄を収める椎孔である。縦に繋がった椎孔は脊柱管と呼ばれる。そして椎弓に付属する形でやや背側左右に一対の横突起、背側正中に棘突起、上部(図1手前)に向けて一対の上関節突起がある。更に、図2を見ると分かるが椎弓のやや前部に一対の下関節突起がある。これらの突起はだいたいが他の骨との関節に働いている。
次に図3を見て欲しい。椎孔には脊髄が収まる事は前に述べたが、縦に連なる椎孔の他に椎弓同士の間に横方向の隙間があるのがわかる。これは椎間孔と呼ばれ、椎弓の根元(椎弓根)にある切痕により形成される。すなはち、第1椎間孔は第一頚椎(C1)の下椎切痕と、第2頚椎(C2)の上椎切痕がかみ合うことでつくられる。この椎間孔は、脊髄神経が椎孔を出て全身へ向かう際の通り道となる。
以上が脊椎の概観をつかむ上で理解しておくべき構造である。
ここからは各椎骨に特徴的な構造について述べていく。頚椎は、7つの骨からできている(キリンの首も7つの頚椎からなるという話は有名)。首周りの運動の他に、体幹と頭蓋骨の連絡をするという役割を持つ。それゆえ、特に第1、第2頚椎は他の脊椎と形態的にかなり異なり、それぞれ環椎(Atlas)、軸椎(Axis)という別の呼び名がある。第7頚椎は、棘突起が対表面の隆起として触れる事ができることから、隆椎(vertebra prominens)とも呼ばれる。隆椎は肋骨との関節が始まる第1胸椎のすぐ上に位置し、異形として小型の肋骨である頚肋(cervical rib)が現れる事もある。この3つが脊椎の中で別称を持つものである。
これらを含む7つの頚椎に特徴的な構造は以下のものがある。図4を参照されたい。
環椎と軸椎の構造図5、図6は他の頚椎と分けて考えるべきである。
環椎は横突起も短く、棘突起も無い(後結節がその位置を占める)。全体として丸い輪のようだとも表現できる。前面に椎体はなく、前弓と呼ばれるアーチの頂端に前結節(先ほどまでの前結節と形状・位置が異なる事に注意)がある。横突起の基部には上向きに上関節窩(頭蓋骨の後頭顆と関節)、下向きに下関節窩(軸椎の上関節面と関節)があり上関節面を形作る隆起が外側塊と呼ばれる。更に、環椎は軸椎の歯突起とも関節しており、その関節面は前弓内側の歯突起窩である。
軸椎は、歯突起が非常に特徴的で一目で他の椎骨と区別できる。歯突起の前面にある前関節面は環椎の歯突起窩と関節し、上関節面はやはり環椎の下関節窩とつながる(上関節面を作る隆起を軸椎では外側塊と呼んでいる)。ちなみに、ここでいう「窩」や「面」は明確な境があるわけではなく、窪んでいるようなら窩、平らであれば面と命名しているに過ぎない。こういった名称を覚えておく事も骨の詳細な特徴を記憶する上で有用といえよう。椎弓の下関節突起にある下関節面は第3頚椎(C3)上関節面に関節する。 | [
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| 体幹を支える骨は脊椎を中心に、臓器を保護する肋骨・胸骨が含まれる。このうち脊椎は節構造を成しており、似たような形の骨が複数個寄り集まってできている。それだけに本項では各骨の判別などについても注意深く学習して欲しい。 | 体幹を支える骨は脊椎を中心に、臓器を保護する肋骨・胸骨が含まれる。このうち脊椎は節構造を成しており、似たような形の骨が複数個寄り集まってできている。それだけに本項では各骨の判別などについても注意深く学習して欲しい。
== 脊柱 ==
[[File:Spinal column curvature-jp.svg|thumb|upright=0.8|脊椎の弯曲]]
脊椎骨が連なってできる脊柱は、大きく分けて頚椎cervical vertebrea・胸椎thoracic vertebrae・腰椎lumber vertebraeと仙骨sacrum、尾骨coccyxから構成される。頚椎・胸椎・腰椎はそれぞれ7個・12個・5個からなり(実は仙骨も5個の仙椎が癒合したものであるが)、C7・Th12・L5のようにイニシャルと番号で呼ぶ事が多い。各脊椎の構造は若干異なるが、それについては後述する。<br>
脊柱の働きは、大きく分けて3つある。
# 身体の支持
# 体幹の運動
# 脊髄の保護
このうち、身体の支持の仕方は我々直立歩行のヒトと四足歩行の動物で大きく異なる。本来四足歩行動物の脊柱は後ろに凸の弯曲している。これを後弯といい、ヒトでも胎児期にはこの後弯のみが見られる。しかし、生後1年以内に頚部と腰部に前に凸の弯曲(前弯)が起こり、最終的に右図のような形になる。この前弯は首がすわる時期(生後3ヶ月)と立って歩き出す時期(生後1年)にできる。
=== 脊椎 ===
[[Image:Gray82.png|thumb|150px|right|図1:胸椎(上面)]]
[[Image:Gray90.png|thumb|150px|right|図2:胸椎(右側面)]]
[[Image:Gray91.png|thumb|150px|right|図3:胸椎の関節]]
前述の通り脊椎は3~5種類に分かれ、同じ名称の椎骨でも部位により若干形状が異なる。しかし、まずは椎骨のおよその形を掴むため、胸椎を例に椎骨の構造を見ていく。
まず、上面から胸椎を見ると、骨質の詰まった円柱状の椎体(腹側:図1の上)と弓状の椎弓が見える。椎弓が取り囲んでいる孔は脊髄を収める椎孔である。縦に繋がった椎孔は脊柱管と呼ばれる。そして椎弓に付属する形でやや背側左右に一対の横突起、背側正中に棘突起、上部(図1手前)に向けて一対の上関節突起がある。更に、図2を見ると分かるが椎弓のやや前部に一対の下関節突起がある。これらの突起はだいたいが他の骨との関節に働いている。
* 椎体
* 椎弓
** 横突起:胸椎に特有で肋骨と関節する
** 棘突起
** 上関節突起:全ての椎骨に見られ一つ上の椎骨の下関節突起と関節する
** 下関節突起:略
次に図3を見て欲しい。椎孔には脊髄が収まる事は前に述べたが、縦に連なる椎孔の他に椎弓同士の間に横方向の隙間があるのがわかる。これは椎間孔と呼ばれ、椎弓の根元(椎弓根)にある切痕により形成される。すなはち、第1椎間孔は第一頚椎(C1)の下椎切痕と、第2頚椎(C2)の上椎切痕がかみ合うことでつくられる。この椎間孔は、[[:wikipedia:脊髄神経|脊髄神経]]が椎孔を出て全身へ向かう際の通り道となる。
* 椎孔:脊髄を容れる脊柱管を形成する
* 椎間孔:脊柱管から全身へと向かう脊髄神経が通る
以上が脊椎の概観をつかむ上で理解しておくべき構造である。
=== 頚椎 ===
<div id="C"><gallery>
Image:Gray84.png|図4:頚椎(上面)
Image:Gray86.png|図5:環椎(上面)
Image:Gray87.png|図6:軸椎(後面)
</gallery></div>
ここからは各椎骨に特徴的な構造について述べていく。頚椎は、7つの骨からできている(キリンの首も7つの頚椎からなるという話は有名)。首周りの運動の他に、体幹と頭蓋骨の連絡をするという役割を持つ。それゆえ、特に第1、第2頚椎は他の脊椎と形態的にかなり異なり、それぞれ環椎(Atlas)、軸椎(Axis)という別の呼び名がある。第7頚椎は、棘突起が対表面の隆起として触れる事ができることから、隆椎(vertebra prominens)とも呼ばれる。隆椎は肋骨との関節が始まる第1胸椎のすぐ上に位置し、異形として小型の肋骨である頚肋(cervical rib)が現れる事もある。この3つが脊椎の中で別称を持つものである。
* 環椎(Atlas)
* 軸椎(Axis)
* 隆椎(vertebra prominens)
** 頚肋(cervical rib)
これらを含む7つの頚椎に特徴的な構造は以下のものがある。[[#C|図4]]を参照されたい。
* 横突孔:横突起に開いている孔。椎骨動脈が通る(ここを出た椎骨動脈は鎖骨下動脈へ)。
* 前結節:横突孔の前部にある結節。環椎では他とかなり異なる部位を指す。軸椎にはない。
* 脊髄神経溝:脊髄神経が全身に向かって出て行く際、通る溝。ここの真ん中に横突孔が開いており、脊髄神経は椎骨動脈をはさむ形で脊柱管を出て行く。
* 後結節:横突孔の後部にある結節。環椎では他とかなり異なる部位を指す。軸椎にはない。
環椎と軸椎の構造[[#C|図5、図6]]は他の頚椎と分けて考えるべきである。
環椎は横突起も短く、棘突起も無い(後結節がその位置を占める)。全体として丸い輪のようだとも表現できる。前面に椎体はなく、前弓と呼ばれるアーチの頂端に前結節(先ほどまでの前結節と形状・位置が異なる事に注意)がある。横突起の基部には上向きに上関節窩(頭蓋骨の後頭顆と関節)、下向きに下関節窩(軸椎の上関節面と関節)があり上関節面を形作る隆起が外側塊と呼ばれる。更に、環椎は軸椎の歯突起とも関節しており、その関節面は前弓内側の歯突起窩である。
* 環椎
** 前弓
** 後弓
** 外側塊:上関節窩外側の隆起
** 上関節窩:頭蓋骨の後頭顆と関節
** 下関節窩:軸椎の上関節面と関節
** 歯突起窩:軸椎の歯突起と関節
軸椎は、歯突起が非常に特徴的で一目で他の椎骨と区別できる。歯突起の前面にある前関節面は環椎の歯突起窩と関節し、上関節面はやはり環椎の下関節窩とつながる(上関節面を作る隆起を軸椎では外側塊と呼んでいる)。ちなみに、ここでいう「窩」や「面」は明確な境があるわけではなく、窪んでいるようなら窩、平らであれば面と命名しているに過ぎない。こういった名称を覚えておく事も骨の詳細な特徴を記憶する上で有用といえよう。椎弓の下関節突起にある下関節面は第3頚椎(C3)上関節面に関節する。
* 軸椎
** 歯突起:環椎を越えて上部に突き出た突起
** 前関節面:環椎の歯突起窩と関節
** 上関節面:環椎の下関節窩と関節
** 外側塊:上関節面外側の隆起
** 下関節突起:下関節面を持つ
** 下関節面:第3頚椎上関節面と関節
== 画像一覧 ==
<gallery>
Image:Gray 111 - Vertebral column.png|脊椎全図(左側面)
Image:Spinal_column_curvature-en.svg|脊椎の弯曲
Image:Gray86.png|環椎(上面)
Image:Gray87.png|軸椎(後面)
Image:Gray84.png|頚椎(上面)
Image:Gray82.png|胸椎(上面)
Image:Gray90.png|胸椎(右側面)
Image:Gray91.png|胸椎の関節
Image:Gray106.png|腰椎(上面、一部のみ)
Image:Gray92.png|腰椎(右側面)
Image:Gray112.png|胸部の骨全図(前面)
Image:Gray113.png|胸部の骨全図(後面)
Image:Gray115.png|胸骨(前面)
Image:Gray116.png|胸骨(後面)
Image:Gray123.png|肋骨(後下面)
Image:Second rib Gray.png|第2肋骨(前面、倒した状態)
Image:Gray126.png|第10肋骨(後面)
</gallery>
== 外部リンク ==
[http://biking.taiiku.tsukuba.ac.jp/~takai/Anatomy/EMO/index.html 電脳骨学実習の手引き]:素晴らしい問題集
{{DEFAULTSORT:かいほうかく たいかんのほね}}
[[Category:医学]] | null | 2019-02-26T05:56:47Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E8%A7%A3%E5%89%96%E5%AD%A6/%E4%BD%93%E5%B9%B9%E3%81%AE%E9%AA%A8 |
4,431 | フランス語/文法/動詞/直説法現在 | 直説法現在とは、現在主語がしていることをあらわします。また、英文法で言う『現在進行形』もかねているので注意してください。 | [
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"text": "直説法現在とは、現在主語がしていることをあらわします。また、英文法で言う『現在進行形』もかねているので注意してください。",
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| 直説法現在とは、現在主語がしていることをあらわします。また、英文法で言う『現在進行形』もかねているので注意してください。 Il parle français. - 彼はフランス語を話します。 / 彼はフランス語を話しています。 | '''直説法現在'''とは、現在主語がしていることをあらわします。また、英文法で言う『現在進行形』もかねているので注意してください。
*'''Il parle français.''' - 彼はフランス語を話します。 / 彼はフランス語を話しています。
==規則動詞==
=== -er ===
*parler(話す)
<table border="1" cellpadding="2">
<tr><th></th><th>単数</th><th>複数</th></tr>
<tr><th>1人称</th><td>je parle</td><td>nous parlons</td></tr>
<tr><th>2人称</th><td>tu parles</td><td>vous parlez</td></tr>
<tr><th>3人称</th><td>il parle</td><td>ils parlent</td></tr>
</table>
=== -ir ===
*finir(終わる)
<table border="1" cellpadding="2">
<tr><th></th><th>単数</th><th>複数</th></tr>
<tr><th>1人称</th><td>je finis</td><td>nous finissons</td></tr>
<tr><th>2人称</th><td>tu finis</td><td>vous finissez</td></tr>
<tr><th>3人称</th><td>il finit</td><td>ils finissent</td></tr>
</table>
==不規則動詞==
=== -re ===
*entendre (聞こえる)
<table border="1" cellpadding="2">
<tr><th></th><th>単数</th><th>複数</th></tr>
<tr><th>1人称</th><td>je entends</td><td>nous entendons</td></tr>
<tr><th>2人称</th><td>tu entends</td><td>vous entendez</td></tr>
<tr><th>3人称</th><td>il entend</td><td>ils entendent</td></tr>
</table>
=== -oir ===
*savoir(知る)
<table border="1" cellpadding="2">
<tr><th></th><th>単数</th><th>複数</th></tr>
<tr><th>1人称</th><td>je sais</td><td>nous savons</td></tr>
<tr><th>2人称</th><td>tu sais</td><td>vous savez</td></tr>
<tr><th>3人称</th><td>il sait</td><td>ils savent</td></tr>
</table>
==注意すべき動詞==
=== être ===
<table border="1" cellpadding="2">
<tr><th></th><th>単数</th><th>複数</th></tr>
<tr><th>1人称</th><td>je suis</td><td>nous sommes</td></tr>
<tr><th>2人称</th><td>tu es</td><td>vous êtes</td></tr>
<tr><th>3人称</th><td>il est</td><td>ils sont</td></tr>
</table>
=== avoir ===
<table border="1" cellpadding="2">
<tr><th></th><th>単数</th><th>複数</th></tr>
<tr><th>1人称</th><td>j'ai</td><td>nous avons</td></tr>
<tr><th>2人称</th><td>tu as</td><td>vous avez</td></tr>
<tr><th>3人称</th><td>il a</td><td>ils ont</td></tr>
</table>
=== aller ===
<table border="1" cellpadding="2">
<tr><th></th><th>単数</th><th>複数</th></tr>
<tr><th>1人称</th><td>je vais</td><td>nous allons</td></tr>
<tr><th>2人称</th><td>tu vas</td><td>vous allez</td></tr>
<tr><th>3人称</th><td>il va</td><td>ils vont</td></tr>
</table>
[[fr:]]
[[カテゴリ:フランス語 動詞|とうしちよくせつほうけんさい]] | null | 2022-12-03T12:26:28Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E8%AA%9E/%E6%96%87%E6%B3%95/%E5%8B%95%E8%A9%9E/%E7%9B%B4%E8%AA%AC%E6%B3%95%E7%8F%BE%E5%9C%A8 |
4,432 | 大阪市立大対策 | 本項は、大阪公立大学の入学試験対策に関する事項である。
大阪市立大学(2022年4月1日より、大阪公立大学と改称)は大阪府大阪市にある公立の総合大学である。
本学はセンター試験の比重が高いので75%以上の得点が望ましい。ただし、医学部医学科は話が別で90%程度の得点が求められる。入試問題(2次試験)としては標準レベルの問題を出題しているので、高校の授業の内容をしっかりと理解しているかどうかが問われる。
平成31年度4月1日に公立大学法人・大阪が発足。この関係で令和4年度より、公立大学法人・大阪府立大学と統合して「大阪公立大学」に名称が変更されることとなる。この統合に伴い、令和4年度入試から大阪公立大学として一括募集となる募集となる予定である。
商学部・経済学部
法学部
文学部
生活科学部(食品栄養科学)
生活科学部(居住環境)
生活科学部(人間福祉)・医学部(看護)
理学部・工学部・医学部(医)
※理学部は、学科によって選択できる理科2科目が指定されている場合がある。工学部は、「物理」と「化学」指定。医学部(医)は「物理」・「化学」・「生物」から2科目選択可。
(100分) 例年、読解総合問題3題、和文英訳1題という構成が多い。大問の比率からいって読解力が大切になる。読解総合問題では様々な分野の文章(500~700words程度)が出題されるが、文章の内容自体は標準的なものが多い。問題形式は、下線部和訳、内容説明、空欄補充など様々で年によって変化しているが、過去問3年分をやればすべての形式に触れられるため、過去問演習はしっかりやっておこう。問題量に比べると、試験時間はあまり余裕はないため、精読よりも速読を心がけて学習すると良い。学習の際は、一文一文の文法や文構造を正しく理解しながら読み、日本語に丁寧に訳す練習をすることが大切である。和文英訳は、日本語の読み替えが求められるが、内容は標準レベルであるため、対策を十分にすれば得点源になる。単語集の例文をある程度暗記して、それを組み合わせて書けるように過去問や問題集で演習しよう。
(文学部:120分) 現代文2題、古典1題の計3題の構成である。
(文学部以外:90分) 現代文2題を90分で解くことになる。問題は文学部と共通である。
(文系:90分) 大問数は4題で、全体的な難易度は標準的である。満遍なく広い分野から典型的な問題が出題されるので、『黄チャート』等で標準レベルの問題をすべての分野で確実に解けるようにすることが重要である。受験生が苦手にしがちな証明問題も出題されているので、日ごろからどれだけ数学を学習しているかが差に表れやすい。
(理系:120分) 大問数は4題で、全体的な難易度は標準的である。数IIIからの出題頻度が高い。文系同様、典型的な問題が多いので、標準レベルの問題をミスなく確実に解けるようにすることが重要である。まずは教科書レベルの問題を確実に解けるようにし、その後は入試標準レベルの問題集で演習を重ねよう。ただし、医学部医学科の場合は、高得点争いになるので、典型問題を確実に解けるようにしておくことに加え、毎年数問出題されるやや難易度の高い問題にも取り組めるような応用力も身につけておこう。
(物理:75分) 大問3題で、力学、電気(電磁気)とその他の分野からそれぞれ1題ずつ出題される。問題としては、基礎~標準レベルの問題が多いため、教科書を中心に取りこぼしが無いように学習しよう。
(化学:75分) 大問3題の出題だが、大問1題のなかに大きく2題にわけて問題が出題されているものもあるため、実質的に大問5~6題と言える。全体としては、理論+無機:有機=2:1の割合で出題されていて、分野としては、化学平衡や有機化合物の構造決定が頻出である。物理に比べると基礎的な問題は少ないが、それでも教科書をもとにしっかり学習していれば高得点が取れる内容である。
(生物:75分) 大問4題で、難易度は教科書で充分に対応できる標準レベルである。設問形式は論述問題が中心であるため、重要語句を自分で説明するといった練習や、考察問題の論述形式の演習などを通して的確に論述できる力を養っておこう。
大阪市立大学対応の模試としては、地元にある天王寺予備校や夕陽丘予備校の「市大オープン模試」(毎年11月実施)があるので、受験生は積極的に受けてほしい。 もちろん形式を似せた問題だけではなく、他の大手予備校の記述模試も受けることが望ましい。 | [
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"text": "本項は、大阪公立大学の入学試験対策に関する事項である。",
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"text": "(文系:90分) 大問数は4題で、全体的な難易度は標準的である。満遍なく広い分野から典型的な問題が出題されるので、『黄チャート』等で標準レベルの問題をすべての分野で確実に解けるようにすることが重要である。受験生が苦手にしがちな証明問題も出題されているので、日ごろからどれだけ数学を学習しているかが差に表れやすい。",
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"text": "(理系:120分) 大問数は4題で、全体的な難易度は標準的である。数IIIからの出題頻度が高い。文系同様、典型的な問題が多いので、標準レベルの問題をミスなく確実に解けるようにすることが重要である。まずは教科書レベルの問題を確実に解けるようにし、その後は入試標準レベルの問題集で演習を重ねよう。ただし、医学部医学科の場合は、高得点争いになるので、典型問題を確実に解けるようにしておくことに加え、毎年数問出題されるやや難易度の高い問題にも取り組めるような応用力も身につけておこう。",
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"text": "(物理:75分) 大問3題で、力学、電気(電磁気)とその他の分野からそれぞれ1題ずつ出題される。問題としては、基礎~標準レベルの問題が多いため、教科書を中心に取りこぼしが無いように学習しよう。",
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"text": "(生物:75分) 大問4題で、難易度は教科書で充分に対応できる標準レベルである。設問形式は論述問題が中心であるため、重要語句を自分で説明するといった練習や、考察問題の論述形式の演習などを通して的確に論述できる力を養っておこう。",
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"text": "大阪市立大学対応の模試としては、地元にある天王寺予備校や夕陽丘予備校の「市大オープン模試」(毎年11月実施)があるので、受験生は積極的に受けてほしい。 もちろん形式を似せた問題だけではなく、他の大手予備校の記述模試も受けることが望ましい。",
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]
| 日本の大学受験ガイド > 大阪公立大学対策 本項は、大阪公立大学の入学試験対策に関する事項である。 大阪市立大学(2022年4月1日より、大阪公立大学と改称)は大阪府大阪市にある公立の総合大学である。 本学はセンター試験の比重が高いので75%以上の得点が望ましい。ただし、医学部医学科は話が別で90%程度の得点が求められる。入試問題(2次試験)としては標準レベルの問題を出題しているので、高校の授業の内容をしっかりと理解しているかどうかが問われる。 | {{wikipedia|大阪公立大学}}
*[[日本の大学受験ガイド]] > [[大阪公立大学対策]]
本項は、[[w:大阪公立大学|大阪公立大学]]の入学試験対策に関する事項である。
大阪市立大学(2022年4月1日より、大阪公立大学と改称)は大阪府大阪市にある公立の総合大学である。
本学はセンター試験の比重が高いので75%以上の得点が望ましい。ただし、医学部医学科は話が別で90%程度の得点が求められる。入試問題(2次試験)としては標準レベルの問題を出題しているので、高校の授業の内容をしっかりと理解しているかどうかが問われる。
== 連絡事項(令和4年度以降の受験者対象) ==
平成31年度4月1日に公立大学法人・大阪が発足。この関係で令和4年度より、公立大学法人・大阪府立大学と統合して「'''大阪公立大学'''」に名称が変更されることとなる。この統合に伴い、'''令和4年度'''入試から大阪公立大学として一括募集となる募集となる予定である。
==2次試験科目==
'''商学部・経済学部'''
*「英語」、「数学(ⅡB)」、「国語(現代文)」の計3科目
'''法学部'''
*「英語」、「国語(現代文)」の計2科目
'''文学部'''
*「英語」、「国語(現代文・古典)」の計2科目
'''生活科学部(食品栄養科学)'''
*「英語」、「数学(ⅡB)」、「理科1科目」の計3科目
'''生活科学部(居住環境)'''
*「英語」、「数学(ⅡB)」の計2科目
'''生活科学部(人間福祉)・医学部(看護)'''
*「英語」、「数学(ⅡB)」か「国語(現代文)」の計2科目
'''理学部・工学部・医学部(医)'''
*「英語」、「数学(ⅢC)」、「理科2科目」の計4科目
※理学部は、学科によって選択できる理科2科目が指定されている場合がある。工学部は、「物理」と「化学」指定。医学部(医)は「物理」・「化学」・「生物」から2科目選択可。
==英語==
'''(100分)'''<br/>
例年、読解総合問題3題、和文英訳1題という構成が多い。大問の比率からいって読解力が大切になる。読解総合問題では様々な分野の文章(500~700words程度)が出題されるが、文章の内容自体は標準的なものが多い。問題形式は、下線部和訳、内容説明、空欄補充など様々で年によって変化しているが、過去問3年分をやればすべての形式に触れられるため、過去問演習はしっかりやっておこう。問題量に比べると、試験時間はあまり余裕はないため、精読よりも速読を心がけて学習すると良い。学習の際は、一文一文の文法や文構造を正しく理解しながら読み、日本語に丁寧に訳す練習をすることが大切である。和文英訳は、日本語の読み替えが求められるが、内容は標準レベルであるため、対策を十分にすれば得点源になる。単語集の例文をある程度暗記して、それを組み合わせて書けるように過去問や問題集で演習しよう。
== 国語 ==
'''(文学部:120分)'''<br/>
現代文2題、古典1題の計3題の構成である。
*現代文は、評論と随筆(もしくは小説)が1題ずつ出題される。随筆、小説ともに筆者の考えや登場人物の心情を、本文に即して的確に読解することが重要である。評論は硬質な内容が多いが、論旨を的確に把握する練習を積もう。設問形式は内容説明問題が中心であるため、100字程度の解答をスムーズにまとめられるよう練習をしよう。設問レベルとしては、大学入試標準レベルであるだけに、国語が得意な者と苦手な者の間で差が生まれやすい。
*古典は、(A)古文(B)漢文の2つに分かれており、実質的には大問2題分ともいえる量であるため、文学部受験生は注意が必要である。時間配分を意識して、過去問演習でペースを掴めるよう練習しておこう。設問の難易度自体は現代文同様標準的なので、基本的な文法・単語をしっかり身につけ、読解の演習を積んでいこう。
'''(文学部以外:90分)'''<br/>
現代文2題を90分で解くことになる。問題は文学部と共通である。
== 数学 ==
'''(文系:90分)'''<br/>
大問数は4題で、全体的な難易度は標準的である。満遍なく広い分野から典型的な問題が出題されるので、『黄チャート』等で標準レベルの問題をすべての分野で確実に解けるようにすることが重要である。受験生が苦手にしがちな証明問題も出題されているので、日ごろからどれだけ数学を学習しているかが差に表れやすい。
'''(理系:120分)'''<br/>
大問数は4題で、全体的な難易度は標準的である。数Ⅲからの出題頻度が高い。文系同様、典型的な問題が多いので、標準レベルの問題をミスなく確実に解けるようにすることが重要である。まずは教科書レベルの問題を確実に解けるようにし、その後は入試標準レベルの問題集で演習を重ねよう。ただし、医学部医学科の場合は、高得点争いになるので、典型問題を確実に解けるようにしておくことに加え、毎年数問出題されるやや難易度の高い問題にも取り組めるような応用力も身につけておこう。
== 理科 ==
'''(物理:75分)'''<br/>
大問3題で、力学、電気(電磁気)とその他の分野からそれぞれ1題ずつ出題される。問題としては、基礎~標準レベルの問題が多いため、教科書を中心に取りこぼしが無いように学習しよう。
'''(化学:75分)'''<br/>
大問3題の出題だが、大問1題のなかに大きく2題にわけて問題が出題されているものもあるため、実質的に大問5~6題と言える。全体としては、理論+無機:有機=2:1の割合で出題されていて、分野としては、化学平衡や有機化合物の構造決定が頻出である。物理に比べると基礎的な問題は少ないが、それでも教科書をもとにしっかり学習していれば高得点が取れる内容である。
'''(生物:75分)'''<br/>
大問4題で、難易度は教科書で充分に対応できる標準レベルである。設問形式は論述問題が中心であるため、重要語句を自分で説明するといった練習や、考察問題の論述形式の演習などを通して的確に論述できる力を養っておこう。
== 模擬試験 ==
大阪市立大学対応の模試としては、地元にある[[w:天王寺予備校|天王寺予備校]]や[[w:夕陽丘予備校|夕陽丘予備校]]の「市大オープン模試」(毎年11月実施)があるので、受験生は積極的に受けてほしい。
もちろん形式を似せた問題だけではなく、他の大手予備校の記述模試も受けることが望ましい。
== 外部サイト ==
*[http://www.osaka-cu.ac.jp/ja/admissions/ 入試情報(大阪市立大学公式HP)]
[[Category:大学入試|おおさかいちりつたいたいさく]] | null | 2021-04-03T22:15:31Z | [
"テンプレート:Wikipedia"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%B8%82%E7%AB%8B%E5%A4%A7%E5%AF%BE%E7%AD%96 |
4,433 | 組織学/肝臓 | 肝臓(Liver)は上皮性の組織で、成人では体重の2%(60kgなら1.2kg)を占める臓器といわれる。消化器として扱われることが多いのは肝臓の付属器である胆管が胆汁(脂肪消化に関与)を生成することや、肝臓自体が消化管上皮から分化したものであるため。その役割は胆汁生成のほか糖質などの貯蔵、異物代謝など多岐に渡る。左葉、右葉、方形葉、尾状葉に分けられるが組織学的にこれらの間に違いはない。
肝臓はその多くの機能の割に単純な細胞構成をしており、主に肝細胞(hepatocyte,liver cell)からなる。表面は横隔膜に接する面と肝門(門脈の入る所)以外は漿膜(腹膜)に覆われている。この漿膜は単層扁平の中皮とその下のかなり厚い(50~60μm)結合組織で構成され、肝臓を保護している。この漿膜下組織はグリソン嚢とも呼ばれる。漿膜下組織の続きは肝臓内にも入り込み、肝実質を無数の小葉に隔てる。この実質内での結合組織を特に小葉間結合組織(グリソン鞘)と呼ぶ。
前述の通り、肝実質の細胞はグリソン鞘により小葉に分けられている。この小葉を特に肝小葉(hepatic lobule)と言い、六角形の区画として捕らえられる。肝小葉は肝臓の機能の最小単位であり、中心静脈を中心として捉えるのが一般的である。 またこの六角形を同定するのが顕微鏡像を見るうえで重要なのだが、その基準は中心静脈を中心とした小葉間の三つ組(Portal triad)である。図1を見てもらうと分かるが、無数に規則的に並ぶ肝細胞(後述)の中に、多量の結合組織に覆われた複数の孔(小葉間の三つ組)と、結合組織をほとんど持たない孔(中心静脈)がある。この小葉間の三つ組が六角形の一つの角となり、中心静脈を囲むように並ぶ。ここで注意したいのが、全ての角で結合組織の小葉間の三つ組は一つの肝小葉に対して3,4個しか確認できないという点だ。肝小葉の六角形は実際に見えている三つ組と、肝細胞の並びから推測するしかない。
では、小葉間の三つ組(Portal triad)とは何か。これは小葉間動・静脈、小葉間胆管の3本の管がグリソン鞘によって一箇所にまとめられたものである。最も径の大きいものが小葉間静脈であり、動脈と胆管は平滑筋の量で区別される(図2参照。図1では右にわずかに見える孔が小葉間動脈である)。これら三種の液の走路は肝臓の組織学では非常に重要である。またグリソン鞘と肝細胞の境界部にはわずかな腔があり、ここにはリンパ液が集められる(モール腔)。
注目すべきは、動静脈血は中心静脈に向かって求心性に流れるのに対し、胆汁は遠心性に走行するという点である。これらの液の走行は後に全容をまとめる。
ここでは肝細胞の特徴の一部を列挙するにとどめ、機能の詳細は生理学に譲りたい。
肝細胞は中心静脈からほぼ放射状に規則的に配列しており、その列構造を肝細胞索と呼ぶ。これら肝細胞索の間は類洞(洞様毛細血管)と呼ばれる、毛細血管よりも太い血液の走路を形成する。また類洞とは離れた位置で、肝細胞2つの間に毛細胆管も形成される。これは細胞で作られた胆汁を小葉間胆管に送る経路の一部であり、ヘマトキシリン-エオジン染色でも濃染する細胞膜としてなんとか同定できる。毛細胆管は小葉間胆管に向かう過程でへリング管(Hering Duct)に移行する。
類洞は隣り合う肝細胞索の間を走行する血管と捉えられる。肝細胞と類洞の間には内皮細胞が存在し、他にもクッパー細胞(Kupffer cell)や、伊東細胞(Ito cell)も見られる。内皮細胞と肝細胞の間にはわずかに腔があり、ここをディッセ腔と呼ぶ。ディッセ腔はリンパの走路であり、小葉間の三つ組付近にあるモール腔へとリンパ液を送る。 | [
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| null | {{medical stub}}
== 概要 ==
'''肝臓(Liver)'''は上皮性の組織で、成人では体重の2%(60kgなら1.2kg)を占める臓器といわれる。消化器として扱われることが多いのは肝臓の付属器である胆管が胆汁(脂肪消化に関与)を生成することや、肝臓自体が消化管上皮から分化したものであるため。その役割は胆汁生成のほか糖質などの貯蔵、異物代謝など多岐に渡る。左葉、右葉、方形葉、尾状葉に分けられるが組織学的にこれらの間に違いはない。
肝臓はその多くの機能の割に単純な細胞構成をしており、主に肝細胞(hepatocyte,liver cell)からなる。表面は横隔膜に接する面と肝門(門脈の入る所)以外は漿膜(腹膜)<!--腹膜は肉眼解剖学的な呼称であり、組織学的には臓器の外面を覆う腹膜であると表現するべき-->に覆われている。この漿膜は単層扁平の中皮とその下のかなり厚い(50~60μm)結合組織で構成され、肝臓を保護している。この漿膜下組織はグリソン嚢とも呼ばれる。漿膜下組織の続きは肝臓内にも入り込み、肝実質を無数の小葉に隔てる。この実質内での結合組織を特に小葉間結合組織(グリソン鞘)と呼ぶ。
== 肝臓の組織 ==
=== 肝小葉 ===
<div id="1">[[Image:Human liver.jpg|thumb|200px|right|図1:肝実質組織]]</div>
<div id="1">[[Image:Portal triad.JPG|thumb|200px|right|図2:小葉間の三つ組]]</div>
前述の通り、肝実質の細胞はグリソン鞘により小葉に分けられている。この小葉を特に肝小葉(hepatic lobule)と言い、六角形の区画として捕らえられる。肝小葉は肝臓の機能の最小単位であり、中心静脈を中心として捉えるのが一般的である。
またこの六角形を同定するのが顕微鏡像を見るうえで重要なのだが、その基準は中心静脈を中心とした小葉間の三つ組(Portal triad)である。[[#1|図1]]を見てもらうと分かるが、無数に規則的に並ぶ肝細胞(後述)の中に、多量の結合組織に覆われた複数の孔(小葉間の三つ組)と、結合組織をほとんど持たない孔(中心静脈)がある。この小葉間の三つ組が六角形の一つの角となり、中心静脈を囲むように並ぶ。ここで注意したいのが、全ての角で結合組織の小葉間の三つ組は一つの肝小葉に対して3,4個しか確認できないという点だ。肝小葉の六角形は実際に見えている三つ組と、肝細胞の並びから推測するしかない。
では、'''小葉間の三つ組(Portal triad)'''とは何か。これは小葉間動・静脈、小葉間胆管の3本の管がグリソン鞘によって一箇所にまとめられたものである。最も径の大きいものが小葉間静脈であり、動脈と胆管は平滑筋の量で区別される([[#2|図2]]参照。図1では右にわずかに見える孔が小葉間動脈である)。これら三種の液の走路は肝臓の組織学では非常に重要である。またグリソン鞘と肝細胞の境界部にはわずかな腔があり、ここにはリンパ液が集められる(モール腔)。
*小葉間動脈:固有肝動脈からの動脈血を受ける
*小葉間静脈:門脈からの静脈血を受ける
*小葉間胆管:毛細胆管(後述)から胆汁を受ける
*モール腔:リンパ液をリンパ管へと送る
注目すべきは、動静脈血は中心静脈に向かって求心性に流れるのに対し、胆汁は遠心性に走行するという点である。これらの液の走行は後に全容をまとめる。
=== 肝細胞 ===
ここでは肝細胞の特徴の一部を列挙するにとどめ、機能の詳細は[[生理学]]に譲りたい。
*粗面小胞体が発達している:肝細胞は胆汁を分泌する外分泌器官であるため''(粗面小胞体は外分泌腺で発達)''
*滑面小胞体が発達している:グリコゲンからグルコースの合成、その他にも胆汁酸塩、コレステロールの合成、ビリルビンなどのグルクロン酸抱合、脂肪酸のエステル化などを行うため
*ペルオキシソームが存在する
*グリコーゲン顆粒を持ち、電子顕微鏡下で確認できる
肝細胞は中心静脈からほぼ放射状に規則的に配列しており、その列構造を肝細胞索と呼ぶ。これら肝細胞索の間は'''類洞(洞様毛細血管)'''と呼ばれる、毛細血管よりも太い血液の走路を形成する。また類洞とは離れた位置で、肝細胞2つの間に毛細胆管も形成される。これは細胞で作られた胆汁を小葉間胆管に送る経路の一部であり、ヘマトキシリン-エオジン染色でも濃染する細胞膜としてなんとか同定できる。毛細胆管は小葉間胆管に向かう過程でへリング管(Hering Duct)に移行する。
*肝細胞索
*類洞
*毛細胆管
*へリング管
=== 類洞(洞様毛細血管) ===
類洞は隣り合う肝細胞索の間を走行する血管と捉えられる。肝細胞と類洞の間には内皮細胞が存在し、他にもクッパー細胞(Kupffer cell)や、伊東細胞(Ito cell)も見られる。内皮細胞と肝細胞の間にはわずかに腔があり、ここをディッセ腔と呼ぶ。ディッセ腔はリンパの走路であり、小葉間の三つ組付近にあるモール腔へとリンパ液を送る。
*内皮細胞
*クッパー細胞:食作用をもつ単球由来の細胞。サイトカインも放出する
*伊東細胞:ビタミンA貯蔵細胞。脂肪を取り込む性質があり、脂肪滴が見えることもある。見つかることは稀
*ディッセ腔:内皮細胞と肝細胞(索)の間にある。遠心性にリンパ液をモール腔へと送る
*モール腔:小葉間の三つ組付近にある。ディッセ腔からリンパ液を受けリンパ管へと送る
=== 体液の走路 ===
;全身からの動脈血:固有肝動脈→小葉間動脈→(肝細胞などへ)→類洞→中心静脈→小葉下静脈→肝静脈
;全身からの静脈血:門脈(Portal vein)→小葉間静脈→類洞→中心静脈→小葉下静脈→肝静脈
;胆汁:肝細胞で生成→毛細胆管→へリング管→小葉間胆管→総肝管
== 画像一覧 ==
<gallery>
Image:Liver 1.jpg|肝臓の位置
Image:Human liver.jpg|肝実質組織
Image:Liver scheme1.jpg|肝小葉と血液、胆汁の流れ
Image:Liver scheme2.jpg|類洞とディッセ腔での流れ
</gallery>
== 関連項目 ==
== 外部リンク == | null | 2019-06-19T07:41:51Z | [
"テンプレート:Medical stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%B5%84%E7%B9%94%E5%AD%A6/%E8%82%9D%E8%87%93 |
4,452 | 生理学/心臓 | 心臓は胸腔に位置する、血液を全身に送り出すポンプの役割を持つ器官である。心臓には左右の心房・心室があり、ヒトではそれぞれが心房中隔、心室中隔で区切られているため健常人において左心房、右心房、左心室、右心室の血液が混ざる事はない。また、心臓には血液の逆流を防ぐ弁がある。弁はリング状の線維輪に収められている。図1は心臓を横断し、4つある弁の位置関係を示したものである。血液の順路どおりに解説するなら(d)三尖弁、(c)肺動脈弁、(a)僧帽弁、(b)大動脈弁となる(上が腹側)。以下に血液の大まかな走路を示す。
大静脈→右心房―(三尖弁)→右心室―(肺動脈弁)→肺→左心房→(僧帽弁)→左心室―(大動脈弁)→大動脈から全身へ
つまり
ということになる。
心臓は交感神経、副交感神経両方から支配を受けているが心臓の活動自体は自律的に行われている。それは後に述べる興奮伝導系により洞房結節(sinoatrial node)からの興奮が心臓全体に伝えられるためである。これにより、心臓移植などで心臓神経(交感、副交感神経の総称)を切断しても心臓は活動できるのである。
心房は心臓において血液を貯蔵しておく役割が大きい。血液を実際に肺や全身に送るのは心筋層の厚い心室の役割である。肺へ送り出す右心室よりも全身へ送り出す左心室の方が筋層が厚くなっているのも当然といえる。心筋は組織学的に特殊心筋と固有心筋に分けられる。
特殊心筋は興奮伝導系の構成要素であり、心臓が自律的に収縮するための仕組みである。この興奮伝導系には洞房結節(キース-フラック結節)、房室結節(田原結節)、ヒス束、右脚・左脚(プルキンエ線維)を含む(後述)。
心電図は手首や胸部など複数箇所に電極をつけ、その電位差を測定した結果である。主に心筋(固有筋が多い)の興奮により生じる電位を誘導する。心電図には一般的に3種類、12箇所の電位があり、これらについて詳述していく。まずは3種類の誘導法と用いる電極を見てもらいたい。
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== 概要 ==
== 心臓の生理 ==
=== 心臓の解剖学 ===
<div id="1">[[Image:Ssakzastawki.png|thumb|200px|right|図1:各弁の位置関係]]</div>
<div id="1">[[Image:Heart_diastole.png|thumb|200px|right|図2:心臓の概観(心房から心室への血流が示されている)]]</div>
心臓は胸腔に位置する、血液を全身に送り出すポンプの役割を持つ器官である。心臓には左右の心房・心室があり、ヒトではそれぞれが心房中隔、心室中隔で区切られているため健常人において左心房、右心房、左心室、右心室の血液が混ざる事はない。また、心臓には血液の逆流を防ぐ弁がある。弁はリング状の線維輪に収められている。[[#1|図1]]は心臓を横断し、4つある弁の位置関係を示したものである。血液の順路どおりに解説するなら(d)三尖弁、(c)肺動脈弁、(a)僧帽弁、(b)大動脈弁となる(上が腹側)。以下に血液の大まかな走路を示す。
大静脈→右心房―(三尖弁)→右心室―(肺動脈弁)→肺→左心房→(僧帽弁)→左心室―(大動脈弁)→大動脈から全身へ
つまり
*房室間(心房、心室の間)にある弁:三尖弁と僧帽弁(房室弁という)
*心室と大血管の間にある弁:肺動脈弁と大動脈弁(その形態から半月弁という)
ということになる。
==== 支配神経 ====
心臓は交感神経、副交感神経両方から支配を受けているが心臓の活動自体は自律的に行われている。それは後に述べる興奮伝導系により洞房結節(sinoatrial node)からの興奮が心臓全体に伝えられるためである。これにより、心臓移植などで心臓神経(交感、副交感神経の総称)を切断しても心臓は活動できるのである。
==== 心筋 ====
心房は心臓において血液を貯蔵しておく役割が大きい。血液を実際に肺や全身に送るのは心筋層の厚い心室の役割である。肺へ送り出す右心室よりも全身へ送り出す左心室の方が筋層が厚くなっているのも当然といえる。心筋は組織学的に特殊心筋と固有心筋に分けられる。
*特殊心筋:心臓の収縮にはほとんど働かず、興奮刺激を心筋に伝える役目を持つ
*固有心筋:特殊心筋からの刺激を受け実際に心臓の収縮に働く
特殊心筋は興奮伝導系の構成要素であり、心臓が自律的に収縮するための仕組みである。この興奮伝導系には洞房結節(キース-フラック結節)、房室結節(田原結節)、ヒス束、右脚・左脚(プルキンエ線維)を含む(後述)。
=== 心臓の電気的活動 ===
<!--
要点:
*心筋全体が素早く同調できる構造をもつ
*興奮伝導系が自律的拍動をつかさどる
*房室結節の房室伝導遅延が心房と心室の協調的拍動を起こす
*心筋は
**0相:最大立ち上がり相(Naの急速な流入(Ina))
**1相:オーバーシュート~初期再分極相(Naの急速な流入、それに続いてCaも、結節にはない)
**2相:プラトー相(不応期、電位差がなくなる、Ca主体のIsiによる)
**3相:再分極相(主にKの流出)
**4相:緩徐脱分極層(洞房、房室結節のみに見られる、Kの流出減少・Caの流入による)
*※Na,K,Caは外向き電流(流出)か内向き電流(流入)かをよく確認
*ゆっくりとした強縮のない拍動はプラトー相による
*Ca流入は特殊心筋の興奮だけでなく、固有心筋の収縮にも働く
*ムスカリン性Ach受容体刺激は緩徐脱分極をなくして徐脈~心停止
*
*
*
-->
=== 心電図の読み方 ===
心電図は手首や胸部など複数箇所に電極をつけ、その電位差を測定した結果である。主に心筋(固有筋が多い)の興奮により生じる電位を誘導する。心電図には一般的に3種類、12箇所の電位があり、これらについて詳述していく。まずは3種類の誘導法と用いる電極を見てもらいたい。
*標準肢誘導
**第Ⅰ誘導:左手-右手の電位差をみる
**第Ⅱ誘導:左足-右手の電位差をみる
**第Ⅲ誘導:左足-左手の電位差をみる
*単極肢誘導:本来はWilsonの結合電極を不関電極(基準となる単位)とするが、以下を代用すると効率的である(証明は後に譲る)
**aV<small>R</small>:Rは右手の事。右手の電位変動を左手-左足結合電極を基準としてみる
**aV<small>L</small>:Lは左手の事。左手の電位変動を右手-左足結合電極を基準としてみる
**aV<small>F</small>:Fは左足(Foot)の事。左足の電位変動を右手-左手結合電極を基準としてみる
*単極胸部誘導:やはりWilsonの結合電極を不関電極とする。ちなみにこの結合電極の抵抗値は0で近似できる(後述)
**V1誘導:第四肋間胸骨左縁
**V2誘導:第四肋間胸骨右縁
**V3誘導:V2とV4の間
**V4誘導:鎖骨中線上、第五肋間(心尖部)
**V5誘導:左前腋窩線上、V4の高さ
**V6誘導:左中腋窩線上、V4の高さ
=== 心臓の運動 ===
== 画像一覧 ==
<gallery>
Image:P Zelle.GIF|洞房・房室結節の電位
Image:Potenziale.svg|心室筋の電位
Image:ECG Principle fast.gif|興奮伝導系
Image:QRS normal.svg|心電図
Image:ECG 002 a.jpg|標準肢誘導・単極肢誘導での心電図
Image:ECG 002 b.jpg|胸部肢誘導での心電図
</gallery>
== 関連項目 ==
== 外部リンク ==
[http://www.maxanim.com/physiology/index.htm Max Animations]海外の生理学動画サイト(英語音声解説付)
== 参考文献 ==
*ISBN 4524239529 シンプル生理学
*ISBN 4260101374 標準生理学 | null | 2019-07-29T13:46:41Z | [
"テンプレート:Medical stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%94%9F%E7%90%86%E5%AD%A6/%E5%BF%83%E8%87%93 |
4,453 | 解剖学/頭蓋骨 | 頭蓋の骨は人体でも特に重要な脳を取り囲むようにして存在する。しかし、脳からはたくさんの脳神経や脳幹も出ているため、頭蓋骨にはそれらに沿って数多くの孔が複雑に存在する。また、脳は頭蓋骨という一つの骨で守られているのではなく、数個の骨が癒合した結果としての頭蓋骨に収まっている。この以前は別の骨だったもの同士の境を縫合というが、これも頭蓋骨の形状を学ぶ上で大切である。ここでは頭蓋内部、外部での孔の位置や、そこから出る脳神経にも焦点を当てていきたい(なお、脳神経の働きについては神経解剖学で解説する)。空間的把握をしっかりと行う事が求められる。
頭蓋は13種20個(舌骨、口蓋骨を含まない)の骨が縫合により一つに合わさったものである事はすでに述べた。以下はその頭部の骨の名称である。図1のように、頭蓋骨は顔面を形作る顔面頭蓋と脳を保護する脳頭蓋に分けることが出来る。
※顔面頭蓋には他に口蓋骨(Palatine bone)と舌骨(Hyoid bone)が含まれる。
頭蓋の骨の位置は画像一覧か解剖学テキストなどのサイトで確認してもらいたい。
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"text": "頭蓋の骨は人体でも特に重要な脳を取り囲むようにして存在する。しかし、脳からはたくさんの脳神経や脳幹も出ているため、頭蓋骨にはそれらに沿って数多くの孔が複雑に存在する。また、脳は頭蓋骨という一つの骨で守られているのではなく、数個の骨が癒合した結果としての頭蓋骨に収まっている。この以前は別の骨だったもの同士の境を縫合というが、これも頭蓋骨の形状を学ぶ上で大切である。ここでは頭蓋内部、外部での孔の位置や、そこから出る脳神経にも焦点を当てていきたい(なお、脳神経の働きについては神経解剖学で解説する)。空間的把握をしっかりと行う事が求められる。",
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"text": "頭蓋の骨の位置は画像一覧か解剖学テキストなどのサイトで確認してもらいたい。",
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"title": "頭蓋骨の解剖"
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]
| null | == 概要 ==
頭蓋の骨は人体でも特に重要な脳を取り囲むようにして存在する。しかし、脳からはたくさんの脳神経や脳幹も出ているため、頭蓋骨にはそれらに沿って数多くの孔が複雑に存在する。また、脳は頭蓋骨という一つの骨で守られているのではなく、数個の骨が癒合した結果としての頭蓋骨に収まっている。この以前は別の骨だったもの同士の境を縫合というが、これも頭蓋骨の形状を学ぶ上で大切である。ここでは頭蓋内部、外部での孔の位置や、そこから出る脳神経にも焦点を当てていきたい(なお、脳神経の働きについては[[神経解剖学]]で解説する)。空間的把握をしっかりと行う事が求められる。
== 頭蓋骨の解剖 ==
=== 頭蓋を形作る骨 ===
[[Image:Gray 188 -devided.png|thumb|100px|right|顔面頭蓋と脳頭蓋]]
頭蓋は13種20個(舌骨、口蓋骨を含まない)の骨が縫合により一つに合わさったものである事はすでに述べた。以下はその頭部の骨の名称である。図1のように、頭蓋骨は顔面を形作る顔面頭蓋と脳を保護する脳頭蓋に分けることが出来る。
*脳頭蓋
**前頭骨(Frontal bone)
**蝶形骨(sphenoid bone)
**頭頂骨(Parietal bone)(2)
**篩骨(Ethmoid)
**側頭骨(Temporal bone)(2)
**後頭骨(Occipital bone)
*顔面頭蓋
**頬骨(Zygomatic bone)(2)
**涙骨(Lacrimal bone)(2)
**鼻骨(Nasal bone)(2)
**下鼻甲介(Inferior nasal concha)(2)
**鋤骨(Vomer)
**上顎骨(Maxilla)(2)
**下顎骨(Mandibula)
※顔面頭蓋には他に口蓋骨(Palatine bone)と舌骨(Hyoid bone)が含まれる。
頭蓋の骨の位置は[[#画像一覧|画像一覧]]か[http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/anatomy/anatomyi-1.html 解剖学テキスト]などのサイトで確認してもらいたい。
== 画像一覧 ==
<gallery>
Image:Gray190.png|頭蓋骨(前面)
Image:Gray188.png|頭蓋骨(側面)
Image:Gray164.png|頬骨部(拡大)
Image:Gray134.png|前頭骨(外側)
Image:Gray135.png|前頭骨(内側)
Image:Gray132.png|頭頂骨(左:外側)
Image:Gray133.png|頭頂骨(左:内側)
Image:Gray190.png|上顎骨(左)
Image:Gray184.png|下顎骨(左)
Image:Gray147.png|蝶形骨
Image:Gray129.png|後頭骨
Image:Gray137.png|側頭骨
Image:Gray166.png|頬骨
Image:Gray153.png|篩骨の位置
Image:Gray149.png|篩骨
Image:Gray173.png|鋤骨の位置
Image:Gray174.png|鋤骨
Image:Gray154.png|涙骨の位置
Image:Gray163.png|涙骨
Image:Gray43.png|舌骨の位置
Image:Gray186-ja.png|舌骨
Image:Gray170.png|下鼻甲介の位置
Image:Gray171.png|下鼻甲介
</gallery>
== 外部リンク ==
*[http://biking.taiiku.tsukuba.ac.jp/~takai/Anatomy/EMO/cranium/cranium.html 電脳骨学実習の手引き(頭蓋)]フレームあり
*[http://tani-san.cside.com/anatomy/ Digital Anatomy(頭頸部の解剖学)]
*
[[Category:医学|かいほうかく すかいこつ]] | null | 2008-12-13T09:23:18Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E8%A7%A3%E5%89%96%E5%AD%A6/%E9%A0%AD%E8%93%8B%E9%AA%A8 |
4,458 | 民法第37条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)>民法第37条
(外国法人の登記)
民法の法人関係の規定においては「一般社団法人および一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」により全部改正がなされる予定である。 | [
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"text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)>民法第37条",
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"text": "民法の法人関係の規定においては「一般社団法人および一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」により全部改正がなされる予定である。",
"title": "解説"
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)>民法第37条 | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)]]>[[民法第37条]]
== 条文 ==
(外国法人の登記)
;第37条
#外国法人([[民法第35条|第35条第1項ただし書]]に規定する外国法人に限る。以下この条において同じ。)が日本に事務所を設けたときは、3週間以内に、その事務所の所在地において、次に掲げる事項を登記しなければならない。
##外国法人の設立の準拠法
##目的
##名称
##事務所の所在場所
##存続期間を定めたときは、その定め
##代表者の氏名及び住所
# 前項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、3週間以内に、変更の登記をしなければならない。この場合において、登記前にあっては、その変更をもって第三者に対抗することができない。
# 代表者の職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行する者を選任する仮処分命令又はその仮処分命令を変更し、若しくは取り消す決定がされたときは、その登記をしなければならない。この場合においては、前項後段の規定を準用する。
# 前二項の規定により登記すべき事項が外国において生じたときは、登記の期間は、その通知が到達した日から起算する。
# 外国法人が初めて日本に事務所を設けたときは、その事務所の所在地において登記するまでは、第三者は、その法人の成立を否認することができる。
# 外国法人が事務所を移転したときは、旧所在地においては3週間以内に移転の登記をし、新所在地においては4週間以内に第1項各号に掲げる事項を登記しなければならない。
# 同一の登記所の管轄区域内において事務所を移転したときは、その移転を登記すれば足りる。
# 外国法人の代表者が、この条に規定する登記を怠ったときは、50万円以下の過料に処する。
==解説==
民法の法人関係の規定においては「[[コンメンタール一般社団法人および一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律|一般社団法人および一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律]]」により全部改正がなされる予定である。
==参照条文==
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]<br>
[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#3|第3章 法人]]<br>
|[[民法第36条]]<br>(登記)
|[[民法第38条]]<br>(民法38条から第84条まで削除されています)<br>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#4|第4章 物]]<br>[[民法第85条]]<br>(定義)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|037]]
[[category:行政罰|み民037]] | 2006-11-14T10:32:46Z | 2023-12-22T06:09:40Z | [
"テンプレート:前後",
"テンプレート:Stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC37%E6%9D%A1 |
4,459 | 民法第38条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)
(定款の変更) 第38条
民法の法人関係の規定においては「一般社団法人および一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」により全部改正がなされ削除された。 | [
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"text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)",
"title": ""
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"text": "(定款の変更) 第38条",
"title": ""
},
{
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"tag": "p",
"text": "民法の法人関係の規定においては「一般社団法人および一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」により全部改正がなされ削除された。",
"title": "解説"
}
]
| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法) (定款の変更)
第38条 定款は、総社員の四分の三以上の同意があるときに限り、変更することができる。ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。
定款の変更は、主務官庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。 | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)]]
;平成18年6月2日 法律50号(施行:平20年12月1日)により削除
([[定款]]の変更)<br>
第38条
# 定款は、総社員の四分の三以上の同意があるときに限り、変更することができる。ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。
# 定款の変更は、主務官庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
==解説==
民法の法人関係の規定においては「一般社団法人および一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」により全部改正がなされ削除された。
==参照条文==
[[category:民法|038]]
[[category:削除又は廃止された条文|民038]] | null | 2022-09-28T16:33:02Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC38%E6%9D%A1 |
4,462 | エスペラント/文法/疑問文・否定文 | 疑問文を作るには、通常の文に"Ĉu"を付けます。これは、文頭に付けるのが普通ですが、文末に付けても意味は変わりません。
又は、
否定文を作るには、副詞の"ne"を付けます。
ここで、注意しなければならないのは、二度出て来る"ne"です。前者はいいえという意味ですが、後者は文を否定する副詞の"ne"です。 ちなみに、先程の質問をはいで答える場合は、 | [
{
"paragraph_id": 0,
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"text": "疑問文を作るには、通常の文に\"Ĉu\"を付けます。これは、文頭に付けるのが普通ですが、文末に付けても意味は変わりません。",
"title": ""
},
{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "又は、",
"title": ""
},
{
"paragraph_id": 2,
"tag": "p",
"text": "否定文を作るには、副詞の\"ne\"を付けます。",
"title": ""
},
{
"paragraph_id": 3,
"tag": "p",
"text": "ここで、注意しなければならないのは、二度出て来る\"ne\"です。前者はいいえという意味ですが、後者は文を否定する副詞の\"ne\"です。 ちなみに、先程の質問をはいで答える場合は、",
"title": ""
}
]
| 疑問文を作るには、通常の文に"Ĉu"を付けます。これは、文頭に付けるのが普通ですが、文末に付けても意味は変わりません。 Ĉu vi estas esperantisto? (あなたは、エスペンランティストですか?) 又は、 Vi estas esperantisto, ĉu? 否定文を作るには、副詞の"ne"を付けます。 Ne, mi ne estas esperantisto. (いいえ、私はエスペランティストではありません。) ここで、注意しなければならないのは、二度出て来る"ne"です。前者はいいえという意味ですが、後者は文を否定する副詞の"ne"です。
ちなみに、先程の質問をはいで答える場合は、 Jes, mi estas esperantisto. (はい、私はエスペランティストです。) | 疑問文を作るには、通常の文に"'''Ĉu'''"を付けます。これは、文頭に付けるのが普通ですが、文末に付けても意味は変わりません。
*'''Ĉu''' vi estas esperantisto? (あなたは、エスペンランティストですか?)
又は、
*Vi estas esperantisto, '''ĉu'''?
否定文を作るには、副詞の"'''ne'''"を付けます。
*Ne, mi '''ne''' estas esperantisto. (いいえ、私はエスペランティストではありません。)
ここで、注意しなければならないのは、二度出て来る"'''ne'''"です。前者は''いいえ''という意味ですが、後者は文を否定する副詞の"'''ne'''"です。
ちなみに、先程の質問を''はい''で答える場合は、
*Jes, mi estas esperantisto. (はい、私はエスペランティストです。)
[[カテゴリ:エスペラント文法|文法疑問文否定文]] | null | 2022-12-02T05:34:23Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88/%E6%96%87%E6%B3%95/%E7%96%91%E5%95%8F%E6%96%87%E3%83%BB%E5%90%A6%E5%AE%9A%E6%96%87 |
4,467 | 民法第1条 | (基本原則)
Article 1 Private rights must conform to the public welfare.
(出典: 法学/英文引用元) | [
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==条文==
(基本原則)
;第1条
# [[私権]]は、[[公共の福祉]]に適合しなければならない。
# 権利の行使及び義務の履行は、[[信義則|信義に従い誠実]]に行わなければならない。
# 権利の[[濫用]]は、これを許さない。
==解説==
*第1項は、私権の内容について規定している。
*第2項は、私権の行使及び義務の履行における信義誠実の原則(信義則)について規定している。
*:信義則からは、以下の4つの原理が導き出される。
*:#'''禁反言の法則(エストッペルの原則)'''
*:#:自己の行為に矛盾した態度をとることは許されない。
*:#:;法令への反映
*:#:*[[民法第398条|第398条]] - 地上権等を抵当権の目的とした地上権者等は、その権利を放棄しても、抵当権者に対抗することができない(参考判例:[[#第398条|最判昭和38年02月21日]])。
*:#:*[[民法第543条|第543条]] - 債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、契約の解除をすることができない。
*:#:;判例
*:#:*[[#禁反言|最判平成21年03月27日]]
*:#'''クリーンハンズの原則'''
*:#:自ら法を尊重するものだけが、法の救済を受けるという原則で、自ら不法に関与した者には裁判所の救済を与えない。
*:#:;法令への反映
*:#:*[[民法第130条|第130条]] - 条件成就の妨害。
*:#:*[[民法第295条|第295条]] - 他人の物の占有が不法行為によって始まった場合の留置権の不成立。
*:#:*[[民法第708条|第708条]] - 不法原因給付。
*:#'''事情変更の原則(法則)'''
*:#:契約時の社会的事情や契約の基礎のなった事情に、その後、著しい変化があり、契約の内容を維持し強制することが不当となった場合は、それに応じて変更されなければならない。
*:#'''権利失効の原則'''
*:#:権利者が信義に反して権利を長い間行使しないでいると、権利の行使が阻止されるという原則。時効制度を典型とする。
*第3項は、権利濫用の禁止について規定している。
==英文==
Article 1 Private rights must conform to the public welfare.
:(2) The exercise of rights and performance of duties must be done in good faith.
:(3) No abuse of rights is permitted.
<small>(出典: [[法学/英文引用元]])</small>
==参照条文==
*[[w:日本国憲法第12条|日本国憲法第12条]]
==参照判例==
*[[w:信玄公旗掛松事件|信玄公旗掛松事件 大正8年3月3日]]
*[[w:宇奈月温泉事件|宇奈月温泉事件 昭和10年10月5日]]
==判例==
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54889&hanreiKbn=02 解職処分取消請求](最高裁判決 昭和34年06月26日)
##'''公務員の退職願の撤回が許される時期'''
##:公務員の退職願の撤回は、免職辞令の交付があるまでは、原則として自由であるが、辞令交付前においても、これを撤回することが信義に反すると認められるような特段の事情がある場合には、撤回は許されないものと解すべきである。
##'''教育長と教育公務員の退職願およびその撤回の意思表示の受領権限'''
##:教育長は、教育委員会の補助機関として教育公務員の退職願およびその撤回の意思表示を受領する権限を有する。
##'''公務員の退職願の撤回が有効とされた事例'''
##:公務員の退職願の撤回が免職辞令の交付前になされた場合において、右退職願の提出が提出者本人の都合に基き進んでなされたものではなく五五歳以上の者に勇退を求めるという任免権者の都合に基く勧告に応じてなされたものであり、撤回の動機も五五歳以上の者で残存者があることを聞き及んだことによるもので、あながちとがめ得ない性質のものであるという事情があり、しかも撤回の意思表示が右聞知後遅怠なく退職願の提出は後一週間足らずの間になされており、その時には、すでに任免権者の側で退職承認の内部的決定がなされていたとはいえ、本人が退職の提出前に右事情を知つていたとは認められないのみならず、任免権者の側で、本人の自由意思を尊重する建前から撤回の意思表示につき考慮し善処したとすれば、爾後の手続の進行による任免権者の側の不都合は十分避け得べき状況にあつたと認められるような事情がある場合には、退職願を撤回することが信義に反すると認むべき特段の事情があるものとは解されないから、右撤回は有効と認むべきである。
#<span id="転貸"></span>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=63508 家屋明渡請求](最高裁判決 昭和37年2月1日)
#;賃貸借の合意解除と転借人の権利
#:賃貸人の承諾ある転貸借の場合には、転借人に不信な行為があるなどして、賃貸人と賃借人との間で賃貸借を合意解除することが信義誠実の原則に反しないような特段の事由のあるほか、右合意解除により転借人の権利は消滅しない。
#<span id="第398条"></span>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53732&hanreiKbn=02 建物退去土地明渡請求](最高裁判決 昭和38年02月21日)[[民法第545条]],[[民法第601条]]
#;土地賃貸借の合意解除は地上建物の賃借人に対抗できるか。
#:土地賃貸人と賃借人との間において土地賃貸借契約を合意解除しても、土地賃貸人は、特別の事情がないかぎり、その効果を地上建物の賃借人に対抗できない。
#:*上告人(土地賃貸人)と被上告人(地上建物の賃借人)との間には直接に契約上の法律関係がないにもせよ、建物所有を目的とする土地の賃貸借においては、土地賃貸人は、土地賃借人が、その借地上に建物を建築所有して自らこれに居住することばかりでなく、反対の特約がないかぎりは、他にこれを賃貸し、建物賃借人をしてその敷地を占有使用せしめることをも当然に予想し、かつ認容しているものとみるべきであるから、建物賃借人は、当該建物の使用に必要な範囲において、その敷地の使用收益をなす権利を有するとともに、この権利を土地賃貸人に対し主張し得るものというべく、右権利は土地賃借人がその有する借地権を抛棄することによつて勝手に消滅せしめ得ないものと解するのを相当とするところ、土地賃貸人とその賃借人との合意をもつて賃貸借契約を解除した本件のような場合には賃借人において自らその借地権を抛棄したことになるのであるから、これをもつて第三者たる被上告人に対抗し得ないものと解すべきであり、このことは[[民法第398条]]、[[民法第538条]]の法理からも推論することができるし、'''信義誠実の原則に照しても当然のこと'''だからである。(昭和9年3月7日大審院判決、民集13巻278頁、[[#転貸|昭和37年2月1日当裁判所第一小法廷判決、最高裁判所民事裁判集58巻441頁]]各参照)。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54950&hanreiKbn=02 約束手形金請求](最高裁判決昭和43年12月25日)[[手形法第77条]],[[手形法第17条]]
#;自己の債権の支払確保のため約束手形の裏書を受けた手形所持人が右原因債権の完済後に振出人に対してする手形金請求と権利の濫用
#:自己の債権の支払確保のため約束手形の裏書を受けた手形所持人は、その後右債権の完済を受けて裏書の原因関係が消滅したときは、特別の事情のないかぎり、以後右手形を保持すべき正当の権原を有しないことになり、手形上の権利を行使すべき実質的理由を失つたものであつて、右手形を返還しないで自己が所持するのを奇貨として、自己の形式的権利を利用し振出人に対し手形金を請求するのは、権利の濫用にあたり、振出人は、右所持人に対し手形金の支払を拒むことができる。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=66712&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡請求](最高裁判決昭和44年05月30日)[[民法第541条]]
#;賃料延滞を理由とする無催告解除が信義に反し許されないとされた事例
#:土地賃貸人が、2ケ月分合計3000円の賃料の延滞を理由として、無催告解除の特約に基づき、賃借人に対し、右2ヶ月目の賃料の履行期を徒過した翌日に、賃貸借契約解除の意思表示を発信した場合において、賃借人が賃借以来これまで11年余の間賃料の支払を怠つたことがなく、右賃料延滞は、賃貸人の娘婿が賃借土地に隣接する賃貸人所有の土地上に建物の建築工事を始め、賃借土地から公道へ至る通行に支障を来たさせて賃借人の生活を妨害したことに端を発した当事者間の紛争に基因するものであり、賃貸人が、右妨害を止める配慮をせず、かえつて右紛争に関する和解のための第三者のあつせんが行なわれている間にこれを無視して右解除の意思表示をしたものである等の事情があるときは、右解除は、信義に反し、その効果を生じないものと解すべきである。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54140&hanreiKbn=02 土地建物所有権移転登記抹消登記手続等請求(通称 岡山労働金庫貸付)] (最高裁判決昭和44年07月04日) [[民法第43条]],[[民法第387条]],[[労働金庫法第58条]]
##'''労働金庫の会員外の者に対する貸付の効力'''
##:労働金庫の会員外の者に対する貸付は無効である。
##'''員外貸付が無効とされる場合に債務者において右債務を担保するために設定された抵当権の実行による所有権の取得を否定することが許されないとされた事例'''
##:労働金庫の員外貸付が無効とされる場合においても、右貸付が判示のような事情のもとにされたものであつて、右債務を担保するために設定された抵当権が実行され、第三者がその抵当物件を競落したときは、債務者は、'''信義則'''上、右競落人に対し、競落による所有権の取得を否定することは許されない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52111&hanreiKbn=02 損害賠償請求(通称 自衛隊八戸車両整備工場損害賠償)](最高裁判決昭和50年02月25日)[[民法第167条]]1項,[[国家公務員法第93条|国家公務員法第3章第6節第3款第3目]],[[会計法第30条]]
##'''国の国家公務員に対する安全配慮義務の有無'''
##:国は、国家公務員に対し、その公務遂行のための場所、施設若しくは器具等の設置管理又はその遂行する公務の管理にあたつて、国家公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負つているものと解すべきである。
##'''国の安全配慮義務違背を理由とする国家公務員の国に対する損害賠償請求権の消滅時効期間'''
##:国の安全配慮義務違背を理由とする国家公務員の国に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は、一〇年と解すべきである。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53240&hanreiKbn=02 土地所有権移転登記手続請求](最高裁判決 昭和51年05月25日)[[民法第145条]]
#;消滅時効の援用が権利濫用にあたるとされた事例
#:家督相続をした長男が、家庭裁判所における調停により、母に対しその老後の生活保障と妹らの扶養及び婚姻費用等に充てる目的で農地を贈与して引渡を終わり、母が、二十数年これを耕作し、妹らの扶養及び婚姻等の諸費用を負担したなど判示の事実関係のもとにおいて、母から農地法3条の許可申請に協力を求められた右長男がその許可申請協力請求権につき消滅時効を援用することは、権利の濫用にあたる。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56346&hanreiKbn=02 損害賠償(通称 自衛隊員遺族損害賠償)] (最高裁判決昭和56年02月16日)[[民法第415条]]
#;国の国家公務員に対する安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求と右義務違反の事実に関する主張・立証責任
#:国の国家公務員に対する安全配慮義務違反を理由として国に対し損害賠償を請求する訴訟においては、原告が、右義務の内容を特定し、かつ、義務違反に該当する事実を主張・立証する責任を負う。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56345&hanreiKbn=02 雇傭関係存続確認等]([[w:日産自動車事件#1981年の裁判の概説|日産自動車女子定年制事件]] 最高裁判決昭和56年03月24日)[[日本国憲法第14条|憲法第14条]]1項,[[民法第1条]]ノ2,[[民法第90条]],労働基準法第1章総則[[労働基準法第1条]]
#;定年年齢を男子60歳女子55歳と定めた就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分が性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法90条の規定により無効とされた事例
#:会社がその就業規則中に定年年齢を男子60歳、女子55歳と定めた場合において、担当職務が相当広範囲にわたつていて女子従業員全体を会社に対する貢献度の上がらない従業員とみるべき根拠はなく、労働の質量が向上しないのに実質賃金が上昇するという不均衡は生じておらず、少なくとも60歳前後までは男女とも右会社の通常の職務であれば職務遂行能力に欠けるところはなく、一律に従業員として不適格とみて企業外へ排除するまでの理由はないなど、原判示の事情があつて、会社の企業経営上定年年齢において女子を差別しなければならない合理的理由が認められないときは、右就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分は、性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法90条の規定により無効である。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62867 売掛金](最高裁判決 昭和61年9月11日)[[民法第93条]], 商法245条1項1号(営業譲渡 現・[[会社法第467条]] 事業譲渡)
##'''商法245条1項1号の営業譲渡契約が株主総会の特別決議を経ていないことにより無効である場合と譲受人がする右の無効の主張'''
##:商法245条1項1号の営業譲渡契約が譲渡会社の株主総会の特別決議を経ていないことにより無効である場合には、譲受人もまた右の無効を主張することができる。
##'''商法245条1項1号の営業譲渡契約が株主総会の特別決議を経ていないことにより無効であるとの譲受人の主張が信義則に反し許されないとされた事例'''
##:商法245条1項1号の営業譲渡契約が譲渡会社の株主総会の特別決議を経ていないことにより無効である場合であつても、譲渡会社が営業譲渡契約に基づく債務をすべて履行済みであり、譲受人も営業譲渡契約が有効であることを前提に譲渡会社に対し自己の債務を承認して譲受代金の一部を履行し、譲り受けた製品、原材料等を販売又は消費し、しかも、譲受人は契約後約20年を経て初めて右の無効の主張をするに至つたもので、その間譲渡会社の株主や債権者等が営業譲渡契約の効力の有無を問題にしたことがなかつたなど判示の事情があるときは、譲受人が営業譲渡契約の無効を主張することは、信義則に反し、許されない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52507&hanreiKbn=02 工事代金] (最高裁判決平成9年02月14日)[[民法第412条]],[[民法第533条]],[[民法第634条]]
#;請負契約の注文者が瑕疵の修補に代わる損害賠償債権をもって報酬全額の支払との同時履行を主張することの可否
#:請負契約の目的物に瑕疵がある場合には、注文者は、瑕疵の程度や各契約当事者の交渉態度等にかんがみ'''信義則'''に反すると認められるときを除き、請負人から瑕疵の修補に代わる損害の賠償を受けるまでは、報酬全額の支払を拒むことができ、これについて履行遅滞の責任も負わない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52262&hanreiKbn=02 建物明渡等請求事件] (最高裁判決 平成14年03月28日)[[民法第612条]],[[借地借家法第34条|借地借家法第34条]]
#;事業用ビルの賃貸借契約が賃借人の更新拒絶により終了しても賃貸人が信義則上その終了を再転借人に対抗することができないとされた事例
#:ビルの賃貸,管理を業とする会社を賃借人とする事業用ビル1棟の賃貸借契約が賃借人の更新拒絶により終了した場合において,賃貸人が,賃借人にその知識,経験等を活用してビルを第三者に転貸し収益を上げさせることによって,自ら各室を個別に賃貸することに伴う煩わしさを免れるとともに,賃借人から安定的に賃料収入を得ることを目的として賃貸借契約を締結し,賃借人が第三者に転貸することを賃貸借契約締結の当初から承諾していたものであること,当該ビルの貸室の転借人及び再転借人が,上記のような目的の下に賃貸借契約が締結され転貸及び再転貸の承諾がされることを前提として,転貸借契約及び再転貸借契約を締結し,再転借人が現にその貸室を占有していることなど判示の事実関係があるときは,賃貸人は,信義則上,賃貸借契約の終了をもって再転借人に対抗することができない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=33185&hanreiKbn=02 根抵当権抹消登記手続等請求事件](最高裁判決 平成18年06月12日)(1,2につき)[[民法第1条]]2項,[[民法第415条]],[[民法第709条]],[[建築基準法第52条]] (1につき)[[民法第632条]]
##'''建築会社の担当者が顧客に対し融資を受けて顧客所有地に容積率の制限の上限に近い建物を建築した後にその敷地の一部売却により返済資金を調達する計画を提案した際に上記計画には建築基準法にかかわる問題があることを説明しなかった点に説明義務違反があるとされた事例'''
##:建築会社の担当者が,顧客に対し,銀行から融資を受けて顧客所有地に容積率の制限の上限に近い建物を建築した後,敷地として建築確認を受けた土地の一部を売却することにより融資の返済資金を調達する計画を提案し,顧客が,上記計画に沿って銀行から融資を受けて建物を建築したが,その後,上記土地の一部を予定どおり売却することができず,上記融資の返済資金を調達することができなくなったところ,上記計画には,上記土地の一部の売却によりその余の敷地部分のみでは上記建物が容積率の制限を超える違法な建築物となり,また,上記土地の一部の買主がこれを敷地として建物を建築する際には,敷地を二重に使用することとなって建築確認を直ちには受けられない可能性があるという問題があったなど判示の事実関係の下においては,上記問題を認識しながらこれを顧客に説明しなかった上記担当者には,'''信義則'''上の説明義務違反がある。
##'''建築会社の担当者と共に顧客に対し融資を受けて顧客所有地に容積率の制限の上限に近い建物を建築した後にその敷地の一部売却により返済資金を調達する計画を説明した銀行の担当者に上記計画には建築基準法にかかわる問題があることについての説明義務違反等がないとした原審の判断に違法があるとされた事例'''
##:銀行の担当者が,顧客に対し,融資を受けて顧客所有地に容積率の制限の上限に近い建物を建築した後,敷地として建築確認を受けた土地の一部を売却することにより融資の返済資金を調達する計画を提案した建築会社の担当者と共に,上記計画を説明し,顧客が,上記計画に沿って銀行から融資を受けて建物を建築したが,その後,上記土地の一部を予定どおり売却することができず,上記融資の返済資金を調達することができなくなったところ,上記計画には,上記土地の一部の買主がこれを敷地として建物を建築する際,敷地を二重に使用することとなって建築確認を直ちには受けられない可能性があることなどの問題があったなど判示の事実関係の下においては,顧客が,原告として,銀行の担当者は顧客に対して上記土地の一部の売却について取引先に働き掛けてでも確実に実現させる旨述べたなどの事情があったと主張しているにもかかわらず,上記事情の有無を審理することなく,上記担当者について,上記問題を含め上記土地の一部の売却可能性を調査し,これを顧客に説明すべき信義則上の義務がないとした原審の判断には,違法がある。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=33298 親子関係不存在確認請求事件] (最高裁判決 平成18年7月7日)[[民法第772条|民法772条]],人事訴訟法2条2号
#;戸籍上の父母とその嫡出子として記載されている者との間の実親子関係について父母の子が不存在確認請求をすることが権利の濫用に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例
#:戸籍上AB夫婦の嫡出子として記載されているYが同夫婦の実子ではない場合において,Yと同夫婦との間に約55年間にわたり実親子と同様の生活の実体があったこと,同夫婦の長女Xにおいて,Yが同夫婦の実子であることを否定し,実親子関係不存在確認を求める本件訴訟を提起したのは,同夫婦の遺産を承継した二女Cが死亡しその相続が問題となってからであること,判決をもって実親子関係の不存在が確定されるとYが軽視し得ない精神的苦痛及び経済的不利益を受ける可能性が高いこと,同夫婦はYとの間で嫡出子としての関係を維持したいと望んでいたことが推認されるのに,同夫婦は死亡しており,Yが養子縁組をして嫡出子としての身分を取得することは不可能であること,Xが実親子関係を否定するに至った動機が合理的なものとはいえないことなど判示の事情の下では,上記の事情を十分検討することなく,Xが同夫婦とYとの間の実親子関係不存在確認請求をすることが権利の濫用に当たらないとした原審の判断には,違法がある。
#<span id="禁反言"></span>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=37486&hanreiKbn=02 供託金還付請求権帰属確認請求本訴,同反訴事件](最高裁判決 平成21年03月27日)
#;譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者が同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張することの可否
#:譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者が同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張することは,債務者にその無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り,許されない。
#:*譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者は,同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張する独自の利益を有しない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=37842&hanreiKbn=02 自動車代金等請求事件](最高裁判決平成21年07月17日) [[民法第533条]]
#;自動車の買主が,当該自動車が車台の接合等により複数の車台番号を有することが判明したとして,錯誤を理由に売買代金の返還を求めたのに対し,売主が移転登録手続との同時履行を主張することが信義則上許されないとされた事例
#:Xが,Yから購入して転売した自動車につき,Yから転売先に直接移転登録がされた後,車台の接合等により複数の車台番号を有するものであったことが判明したとして,Yに対し錯誤による売買契約の無効を理由に売買代金の返還を求めた場合において,Yは本来新規登録のできない上記自動車について新規登録を受けた上でこれをオークションに出品し,XはYにより表示された新規登録に係る事項等を信じて上記自動車を買い受けたものであり,上記自動車についてのXからYへの移転登録手続には困難が伴うなどの判示の事情の下では,仮にYがXに対し上記自動車につきXからYへの移転登録請求権を有するとしても,Xからの売買代金返還請求に対し,Yが上記自動車についての移転登録手続との同時履行を主張することは,'''信義則'''上許されない。
----
{{前後
|[[民法]]
|[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]<br />[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#第1章 通則 (第1条・第2条)|第1章 通則]]
|-
|[[民法第2条]]<br />(解釈の基準)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|001]] | 2006-11-16T05:35:33Z | 2024-03-14T08:41:19Z | [
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"テンプレート:Pathnav",
"テンプレート:前後"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC1%E6%9D%A1 |
4,469 | センター試験 地理歴史対策 |
世界史A、世界史B、日本史A、日本史B、地理A、地理Bの6科目で構成されており、この中から一科目選択できる。(平成18年度は一日め、2科目めの11:15~12:15に実施された。)
地歴・公民(地歴A科目は除く)は各科目の平均点の中で最高点と最低点の差が20点以上開いた場合、平均点を15点になるように得点調整される。(平成10年度のセンター試験で、地理と日本史で実施されたことがある。)
地歴にはA科目とB科目があるが、A科目は理系でも使えない大学が結構あり、また、難易度もB科目に合わせているため、A科目を選択する受験生は非常に少なく、たいていの受験生は、B科目を利用する。そのため、A用の参考書も非常に少ない。 | [
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| 日本の大学受験ガイド > センター試験対策 > センター試験 地理歴史対策 | *[[日本の大学受験ガイド]] > センター試験対策 > センター試験 地理歴史対策
== 科目選択 ==
世界史A、世界史B、日本史A、日本史B、地理A、地理Bの6科目で構成されており、この中から一科目選択できる。(平成18年度は一日め、2科目めの11:15~12:15に実施された。)
地歴・公民(地歴A科目は除く)は各科目の平均点の中で最高点と最低点の差が20点以上開いた場合、平均点を15点になるように得点調整される。(平成10年度のセンター試験で、地理と日本史で実施されたことがある。)
地歴にはA科目とB科目があるが、A科目は理系でも使えない大学が結構あり、また、難易度もB科目に合わせているため、A科目を選択する受験生は非常に少なく、たいていの受験生は、B科目を利用する。そのため、A用の参考書も非常に少ない。
== 関連項目 ==
* [[センター試験 世界史対策]]
** [[センター試験 世界史B対策]]
* [[センター試験 日本史対策]]
* [[センター試験 地理B対策]]
[[Category:センター試験|ちりれきしたいさく]] | null | 2008-12-10T14:46:34Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E8%A9%A6%E9%A8%93_%E5%9C%B0%E7%90%86%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E5%AF%BE%E7%AD%96 |
4,471 | 民法第399条 | 法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)>民法第399条
(債権の目的)
債権の目的の有効要件について、一般的な取引行為以外の約束についてこれを含めるものとした。
債権の目的というタイトルのついた条文は本条だけであるが、債権の目的の一般的要件としてはむしろ通常は以下の三つ(正確には四つ)が挙げられる。
債権の発生により国家による法的な拘束力が付加されるものであることの論理的帰結であるとされる。すなわち、不可能なことは義務付けられないという法原則による。しかし、たとえ本来の債務そのものが元々履行不可能なものであったとしてもこれを有効であると信じて費やした信頼利益については債務不履行によって生じた損害として賠償の対象になりうる(民法第415条)ためその限りでは債権の有効性とその効力は認められるし、医療行為などは患者の状態によってその履行内容は臨機応変に変わりうる。したがってこれらの根拠条文の無いこれら二つの原則は必ずしも厳密なものではない。
以上の三つはいずれも債権に固有のものというわけではなく、民法総則における法律行為の部分で論じられる問題(法律行為の有効要件ー客観的要件)と同一である。本条はその有効要件として債権特有のものを追加したものということである。
一般的に金銭に換算することのできない債権をいう。一般社会において取引の対象とならないような、当事者個人にとってのみ特別な価値を持つものであっても債権の対象となる。
もっとも現代の日本民法においては個人的な精神的苦痛(民法第710条)でさえも慰謝料によって金銭に換算することができる(民法第417条)。したがって、金銭に評価できない債権は事実上存在しないと考えることもでき、その意味で本条は確認的な規定であるとも言われる。
債権の法的な拘束力を認め、不履行時には究極的には国家による強制執行による債務履行の実現をも可能とする。
保険法第3条は、損害保険の対象については一般的に金銭的に評価しないものをその対象としないとしており、本条の例外規定と言える。 | [
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| 法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)>民法第399条 | [[法学]]>[[民事法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]]>[[民法第399条]]
==条文==
([[w:債権|債権]]の目的)<br>
;第399条
: 債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる。
==解説==
債権の目的の有効要件について、一般的な取引行為以外の約束についてこれを含めるものとした。
===債権の目的===
債権の目的というタイトルのついた条文は本条だけであるが、債権の目的の一般的要件としてはむしろ通常は以下の三つ(正確には四つ)が挙げられる。
*適法性([[民法第91条]])・社会的妥当性([[民法第90条]]類推)
*実現可能性(契約時に目的物が存在する等、物理的ないし常識的に履行可能であること。条文無し)
*確定可能性(内容がある程度具体的に特定できること。条文無し)
債権の発生により<ref>債権の発生前においても'''契約締結段階の過失'''があれば債務者は債権者が契約は有効であると信じたために支出した費用(信頼利益)を払わなければならないという理論は、判例においても採用されてきている。もっとも、'''債権債務は有効に存在していない'''ため法的構成としては[[信義誠実の原則|信義則]]([[民法第1条]])か不法行為([[民法第709条]])による</ref>'''国家による法的な拘束力'''が付加される<ref>[[民法第414条]]・[[民法第415条]]・[[民法第417条]]・[[民法第703条]]・[[民法第704条]]・[[民法第709条]]・[[民法第710条]]・[[民事執行法]]等参照。但し[[自然債務]]については履行された時に無理に取り戻そうとする行為に対してしか国家が強制力をもって関与する([[民法第709条]]、または[[物権的請求権]])ことしかできない。</ref>ものであることの論理的帰結であるとされる。すなわち、'''不可能なことは義務付けられない'''という法原則<ref>ドイツ法における通説に由来する。Impossibilium nulla obligatioという。</ref>による。しかし、たとえ本来の債務そのものが元々履行不可能なものであったとしてもこれを有効であると信じて費やした'''信頼利益'''については債務不履行''によって生じた損害''として賠償の対象になりうる([[民法第415条]])ためその限りでは債権の有効性とその効力は認められるし、医療行為などは患者の状態によってその履行内容は臨機応変に変わりうる。したがってこれらの根拠条文の無いこれら二つの原則は必ずしも厳密なものではない。
以上の三つはいずれも債権に固有のものというわけではなく、民法総則における[[法律行為]]の部分で論じられる問題(法律行為の有効要件ー客観的要件)と同一である。本条はその有効要件として'''債権特有のものを追加'''したものということである。
===''金銭に見積もることができないもの''とは===
一般的に金銭に換算することのできない債権をいう。一般社会において取引の対象とならないような、当事者個人にとってのみ特別な価値を持つものであっても債権の対象となる。
*Aは、葬儀業者Bに対し、親Cの肉体を火葬する前に遺髪の一部を保管し引き渡すよう依頼しBは了承した。
*Aは、親Bの尊敬する僧侶Cに法事で読経をするよう依頼しCは了承したが、実際に来たのは同じ寺に所属する別の僧侶Dであった。
もっとも現代の日本民法においては個人的な精神的苦痛([[民法第710条]])でさえも慰謝料によって金銭に換算することができる([[民法第417条]])。したがって、金銭に評価できない債権は事実上存在しないと考えることもでき、その意味で本条は確認的な規定であるとも言われる。
===''その目的とすることができる''とは===
債権の法的な拘束力を認め、不履行時には究極的には国家による[[w:強制執行|強制執行]]による債務履行の実現をも可能とする。
===保険法における例外規定===
[[保険法第3条]]は、[[w:損害保険|損害保険]]の対象については一般的に金銭的に評価しないものをその対象としないとしており、本条の例外規定と言える。
==脚注==
<references/>
==参照条文==
*[[民法第90条]](公序良俗)
*[[民法第91条]](任意規定と異なる意思表示)
*[[保険法第3条]](損害保険契約の目的)
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1|第1章 総則]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1|第1節 債権の目的]]
|[[民法第398条の22]]<br>(根抵当権の消滅請求)
|[[民法第400条]]<br>(特定物の引渡しの場合の注意義務)
}}
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[[category:民法|399]] | null | 2022-10-19T21:16:39Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC399%E6%9D%A1 |
4,472 | 民法第400条 | 法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
(特定物の引渡しの場合の注意義務)
2017年改正により以下のとおり改正。
「善管注意義務」について、その適用基準を契約等義務を負うべき事由に即して判断するという従来の裁判慣習を反映した。
本条は、特定物債権における債務者の目的物についての善管注意義務を定める。 | [
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| 法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]]
== 条文 ==
(特定物の引渡しの場合の[[注意義務]])
; 第400条
: [[w:債権|債権]]の目的が特定物の引渡しであるときは、[[債務|債務者]]は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その[[物]]を保存しなければならない。
===改正経緯===
2017年改正により以下のとおり改正。
:(改正前)善良な管理者の注意をもって、
:(改正後)'''契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる'''善良な管理者の注意をもって、
「善管注意義務」について、その適用基準を契約等義務を負うべき事由に即して判断するという従来の裁判慣習を反映した。
== 解説 ==
本条は、[[特定物債権]]における債務者の目的物についての善管注意義務を定める。
* 債権の目的が特定物の引渡しであるとき
*: 特定物の引渡しを目的とする債権を特定物債権という。
* 引渡しをするまで
*: 履行期を経過しても、引渡しまでは本条が適用される。ただし、[[債務不履行|履行遅滞]]となるときは、債務者は不可抗力についても責任を負い、債権者の[[受領遅滞]]となるときは、債務者は責任を軽減される。
* 善良な管理者の注意
*: 善良な管理者の注意(善管注意)とは、債務者の職業、その属する社会的・経済的な地位などにおいて一般に要求されるだけの注意をいう。「自己の財産におけると同一の注意」に対する用語である。
* 本条の効果
*: 債務者が善管注意義務に違反して目的物を滅失・毀損したときは、損害賠償責任を負う([[民法第415条]])。
== 参照条文 ==
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1|第1章 総則]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1|第1節 債権の目的]]
|[[民法第399条]]<br>(債権の目的)
|[[民法第401条]]<br>(種類債権)
}}
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[[category:民法|400]]
[[category:民法 2017年改正|400]] | null | 2022-10-19T21:22:01Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC400%E6%9D%A1 |
4,473 | 民法第401条 | 法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
(種類債権)
第1項は、種類債権の履行に際し、債務者が債権者に対して給付すべき物の品質について定める。
第2項は、種類債権が特定する時期について定める。 | [
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| 法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]]
==条文==
([[種類債権]])
;第401条
# [[債権]]の目的物を種類のみで指定した場合において、[[法律行為]]の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならない。
# 前項の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする。
==解説==
===第1項===
第1項は、[[種類債権]]の[[履行]]に際し、債務者が債権者に対して給付すべき物の品質について定める。
*「債権の目的物を種類のみで指定した場合」
:[[種類債権]]を意味する。
*債務者が債権者に対して給付すべき物の品質
:→[[種類債権]]の項参照
===第2項===
第2項は、種類債権が特定する時期について定める。
*種類債権の特定
:→[[種類債権]]の項参照
*債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了したとき
*債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したとき
==参照条文==
*法律行為の性質により定まる例
:[[民法第587条]](消費貸借)、[[民法第666条]](消費寄託)
*給付に必要な行為
:[[民法第493条]](弁済の提供)
*特定の効果
:[[民法第534条]]2項(危険負担の移転)
==判例==
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=57390&hanreiKbn=02 手附金請求](最高裁判決 昭和30年10月18日)
*;民法第401条第2項の「債務者ガ物ノ給付ヲ為スニ必要ナル行為を完了シタルトキ」にあたらない事例
*:漁業用タールの売買において、受渡の方法を、先ず買主が必要の都度引渡方を申し出で、これに対して売主が引渡場所を指定し、次いで買主が容器をその場所に持ち込み、タールを受領する旨約定した場合に売主が引渡場所を指定し、タールの引渡作業に必要な人夫を配置する等引渡の準備をなしたからと云つて、売主は「物ノ給付ヲ為スニ必要ナル行為ヲ完了シ」たことにはならない。
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53540&hanreiKbn=02 損害賠償請求](最高裁判決 昭和35年06月24日)
*;不特定物の売買における目的物所有権移転時期
*:<u>不特定物の売買においては、特段の事情のないかぎり、目的物が特定した時に買主に所有権が移転するものと解すべきである</u>。
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1|第1章 総則]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1-1|第1節 債権の目的]]
|[[民法第400条]]<br>(特定物の引渡しの場合の注意義務)
|[[民法第402条]]<br>(金銭債権)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|401]] | null | 2022-10-19T21:32:39Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC401%E6%9D%A1 |
4,483 | 民法第715条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
(使用者等の責任)
「事業のために他人を使用する者」という要件。
「被用者が...第三者に加えた損害」という要件である。被用者の行為が、一般不法行為(第709条)の要件を満たすことが必要であると解されている。
1項但書は2つの免責事由を定めている。これら免責事由については被告(使用者)側に立証責任がある。いわゆる立証責任の転換を図ったものであり、中間責任を定めたものである。
使用者は被害者に対して全額賠償の責任を負う。不法行為をなした被用者とは不真正連帯責任となる。
使用者責任が認められた場合も、被用者自身が免責されるわけではない。すなわち、使用者は被用者は被害者に対して賠償額について請求すること(求償)ができる。しかしながら、被用者に対して、賠償した全額を請求できるわけではなく、信義則上相当な限度で行使できる(最判昭和51年7月8日)。 | [
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"text": "使用者は被害者に対して全額賠償の責任を負う。不法行為をなした被用者とは不真正連帯責任となる。",
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"text": "使用者責任が認められた場合も、被用者自身が免責されるわけではない。すなわち、使用者は被用者は被害者に対して賠償額について請求すること(求償)ができる。しかしながら、被用者に対して、賠償した全額を請求できるわけではなく、信義則上相当な限度で行使できる(最判昭和51年7月8日)。",
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]
| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]]
== 条文 ==
([[使用者責任|使用者等の責任]])
;第715条
# ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
# '''使用者に代わって事業を監督する者'''も、前項の責任を負う。
# 前二項の規定は、[[使用者]]又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
== 解説 ==
:不法行為責任の特殊類型のうち、使用者責任と呼ばれる類型につき規定している。
:この責任の根拠としては、報償責任と危険責任という二つの見解が挙げられている。
:また、それぞれの要件・効果についての解釈論も多岐にわたっている。
=== 要件 ===
==== 使用関係 ====
「事業のために他人を使用する者」という要件。
;事業
:広く仕事という意味で、継続的か一時的であるかを問わず、営利か非営利かも問わない。強い意味はなく次の「使用関係・指揮命令関係」を成立させる枠としての設定である。
:兄に命ぜられ、弟が兄所有の自動車で送った事案が事業と認められている([[#事業|最判昭和56年11月27日]])
:使用関係
:被告と行為者の間に指揮命令関係があることを要する。「事業」がそうであるように継続的か一時的であるか、有償か無償かを問わず、指揮命令が強制力を有したものか否か、命令者が使用者を選任したものか否かも問わない。
:雇用関係(企業と従業員)がある場合には問題なくこれが認められる。委任関係の場合は独立性が強いので原則として認められない。請負関係については[[民法第716条|第716条]]によって本条の適用が廃除されている。ただし、請負関係であっても、元請け・下請けのように実質的な指揮命令関係が認められる場合には、716条の適用を廃除し、本条を適用した判例もある([[#請負1|最判昭和37年12月14日]]、[[#請負2|最判昭和45年2月12日]])。
==== 「事業の執行について」 ====
:この要件につき、加害行為は、実際に被用者の職務の範囲内で生じなければならないのかという問題がある。特に取引行為的な不法行為(手形振出しの権限のない経理課長が偽造手形を振出して被害を与えた場合など)について問題になる。判例は'''外形標準説'''をとり、実際に被用者の職務の範囲内でなくとも、外形上職務の範囲内であると判断される行為であれば、この要件を満たすとしている。被害者側の信頼を保護する趣旨である。
:一方、事実行為的な不法行為(交通事故など)については、そもそも外形に対する信頼といったものを観念できないから、別の法理が必要となる。この点につき、たとえば、事業の執行を契機とした暴行傷害について使用者責任を認めた例([[#暴行|最判昭和44年11月18日]])、勤務時間外の帰宅途中、社用車で事故を起こした場合に使用者責任を認めた例([[#私用|最判昭和37年11月8日]])などがある。なお、通勤や出張などに自家用車を利用することは、一般的に事業の執行とはされない([[#自家用車|最判昭和52年9月22日]])が、通勤に利用している自家用車を、職場間の移動などに用いることを会社が認めている場合などにおいては事業執行性を認める例([[#自家用車2|最判昭和52年12月22日]])もあり、又近時の下級審判決では自家用車による通勤時の事故に使用者責任を認めるものも少なくない。
==== 被用者の不法行為 ====
「被用者が…第三者に加えた損害」という要件である。被用者の行為が、一般不法行為([[民法第709条|第709条]])の要件を満たすことが必要であると解されている。
==== 免責事由 ====
1項但書は2つの免責事由を定めている。これら免責事由については被告(使用者)側に立証責任がある。いわゆる'''立証責任の転換'''を図ったものであり、'''中間責任'''を定めたものである。
; 「使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき」:但書前段の免責事由である。使用者が監督過失がないことを立証できれば責任を免れるが、特に大規模な組織などではこの免責事由は認められにくいといわれる。
; 「相当の注意をしても損害が生ずべきであったとき」:但書後段の免責事由である。これは、監督過失と損害関係との間に因果関係がない場合を意味していると解されている。
=== 効果 ===
==== 免責事由 ====
使用者は被害者に対して全額賠償の責任を負う。不法行為をなした被用者とは不真正連帯責任となる。
==== 求償 ====
使用者責任が認められた場合も、被用者自身が免責されるわけではない。すなわち、使用者は被用者は被害者に対して賠償額について請求すること(求償)ができる。しかしながら、被用者に対して、賠償した全額を請求できるわけではなく、[[信義則]]上相当な限度で行使できる([[#求償|最判昭和51年7月8日]])。
== 関連条文 ==
* [[民法第709条]](不法行為による損害賠償)
* [[民法第716条]](注文者の責任)
==判例==
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57603 損害賠償等請求](最高裁判決 昭和30年12月22日)
#;通商産業省の自動車運転手が大臣秘書官を私用のため乗車させて自動車を運転し他人を負傷させた場合と民法第715条
#:通商産業省の職員として専ら自動車の運転に従事する者が、従来通商産業大臣秘書官として常に当該通商産業省の自動者に乗車し、辞表提出後ではあつたがその辞令の交付なく未だその官を失つていなかつた者を乗車させて自動車を運転中、これを接触させて他人を負傷させたときは、たとえ右秘書官の私用をみたすため運転したものであつても、右事故は通商産業省の「事業ノ執行ニ付キ」生ぜしめたものと解するのが相当である。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57564 売掛代金請求](最高裁判決 昭和32年3月5日) 商法第42条(現[[商法第24条|24条]]),商法第38条(現[[商法第21条|21条]]),[[民法第709条]]
#;商法第42条(旧),商法第38条(旧)にいう「営業ニ関スル行為」と[[民法第715条]]の「事業ノ執行ニ付キ」なされた行為との異同
#:支店長のなした特定の行為が、商法第42条(旧),商法第38条(旧)にいう「営業ニ関スル行為」にあたらないことを理由として、直ちに[[民法第715条]]にいわゆる「事業ノ執行ニ付キ」なされた行為にもあたらないと断定することは違法である。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57569 損害賠償請求](最高裁判決 昭和32年4月30日)[[民法第509条]]
##'''被害者に業務執行上の過失のある場合と民法第715条'''
##:被用者たる運転手甲が自動車を運転して当該自動車を輸送する業務に従事中、その過失により自動車を衝突させ同乗していた乙を死亡させたものであるときは、乙が自動車輸送業務の共同担当者たる被用者で右衝突事故の発生につき同人にも過失があつたとしても、使用者は乙の死亡につき民法第715条による損害賠償責任を免れない。
##'''民法第715条による損害賠償義務者と相殺の許否'''
##:民法第715条により損害賠償義務を負担している使用者は、被害者に対する不法行為による損害賠償債権を有している場合でも、相殺をもつて対抗することはできない。
# [https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57514 慰籍料並に名誉回復請求](最高裁判決 昭和31年7月20日)[[民法第44条]](削除済み;[[一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第78条]]に継承。「法人」の不法行為責任として一般化される)
#;法人に対する民法第44条に基く請求と同法第715条に基く請求との訴訟物の異同
#:法人に対する民法第44条に基く損害賠償の請求と同法第715条に基く損害賠償の請求とは、訴訟物を異にする。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54876 損害賠償請求](最高裁判決 昭和34年4月23日)
#;運転資格のないタクシー会社従業員の自動車運転行為が会社の「事業ノ執行」にあたるとされた事例。
#:タクシー会社に自動車運転助手兼整備係として雇われ、会社からの注意にもかかわらず運転資格も持たないで、平素洗車給油等の目的で車庫から給油所まで短距離の間営業用自動車の運転をしていた者が、運転技術修得のため他の場所で同会社の営業用自動車を運転中、追突事故により他人に損害を与えたときは、右損害は同会社の「事業の執行ニ付キ」生ぜしめたものと解すべきである。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54828 損害賠償請求](最高裁判決 昭和36年1月24日)
##'''労働基準法第79条の補償と民法第422条。'''
##:労働者の死亡について第三者が不法行為に基づく損害賠償責任を負担する場合には、[[労働基準法第79条]]に基づく補償義務を履行した使用者は、[[民法第422条]]の類推により、その履行した時期及び程度で遺族に代位して第三者に対し賠償請求権を取得する。
##'''民法第715条の使用者責任の認められる事例。'''
##:専ら貨物運送を業とする会社の被用者である貨物自動車運転者が、貨物運送にあたりたまたま他人に同乗を許したため、運転者の過失により惹き起された事故において右の者が死亡するに至つた場合であつても、右同乗が運転者との個人的関係に基づくものでなく、荷受会社の集荷課長として積荷の受渡を便にするためのものであつたときは、右運送会社は民法第715条の責任を負うと解すべきである。
#<span id="請負1"></span>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53672 損害賠償請求](最高裁判決 昭和36年1月24日)
#;下請負人の被用者の不法行為につき元請負人が民法第715条の責任を負うための要件
#:元請負人が下請負人に対し工事上の指図をしもしくはその監督のもとに工事を施行させ、その関係が使用者と被用者との関係またはこれと同視しうる場合であつても、下請負人の被用者の不法行為が元請負人の事業の執行につきなされたものとするためには、直接間接に被用者に対し元請負人の指揮監督関係の及んでいる場合に加害行為がなされたものであることを要する。
#<span id="私用"></span>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53733 損害賠償請求](最高裁判決 昭和37年11月8日)
#;会社の被用者が私用のために会社の自動車を運転した場合と民法第715条の「事業ノ執行」。
#:測量器械等の販売を業とする会社の商品の外交販売に従事し、仕事上の必要に応じ随時会社の自動車を運転使用できる被用者が会社の自動車を運転して私用に供した場合であつても、これを会社の「事業ノ執行」につきなされたものと認めるのを相当とする。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=65988 約束手形金請求](最高裁判決 昭和38年6月28日)
#;民法第715条第2項の代監督者の責任を認めた事例。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53106 損害賠償請求](最高裁判決 昭和39年2月4日)
#;会社の被用者が私用のため会社の自動車を運転中他人に加えた損害が民法第715条の会社の「事業ノ執行ニ付キ」生じたものとされた事例。
#:自動車の販売等を業とする会社の販売課に勤務する被用者が、退社後映画見物をして帰宅のための最終列車に乗り遅れたため、私用に使うことが禁止されていた会社内規に違反して会社の自動車を運転し、帰宅する途中追突事故を起す等判示事実関係のもとにおいて他人に加えた損害は、右会社の「事業ノ執行ニ付キ」生じたものと解するのが相当である。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53891 約束手形金請求](最高裁判決 昭和40年11月30日)
#;被用者の手形偽造行為が民法第715条にいう「事業ノ執行ニ付キ」なした行為にあたるとされた事例。
#:会社の会計係中の手形係として判示のような手形作成準備事務を担当していた係員が、手形係を免じられた後に会社名義の約束手形を偽造した場合であつても、右係員が、なお会計係に所属して割引手形を銀行に使送する等の職務を担当し、かつ、会社の施設機構および事業運営の実情から、右係員が権限なしに手形を作成することが客観的に容易である状態に置かれている等判示のような事情があるときは、右手形偽造行為は、民法第715条にいう「事業ノ執行ニ付キ」なした行為と解するのが相当である。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57766 損害賠償請求](最高裁判決昭和41年6月10日)旧商法第23条([[名板貸]] 現[[会社法第9条]])
#;自動車運送事業の営業名義を貸与した者が名義借受人の雇傭する運転手の過失による自動車事故について損害賠償責任があるとされた事例
#:免許を受けて自動車の運送事業を営む者が他人をして違法にその営業名義を使用して自動車運送事業を営ませた場合、名義貸与者とその借受人の事業の執行方法につき原判決確定の事実関係があるときは、名義借受人の雇傭する運転手がその事業の執行に関し第三者に加えた自動車事故による損害について、名義貸与者は賠償責任を負担する。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53957 損害賠償請求事件](最高裁判決 昭和41年7月21日)
#;民法第715条第1項の被用者にあたると認められた事例
#:土木工事請負人が道路工事に使用するため運転手助手づきの貨物自動車を借り受けた場合において、その助手が、請負人の現場監督の指揮に従い、貨物自動車の運転助手として砂利、土、石等の運搬に関与し、時には自ら貨物自動車を運転もし、これらの仕事については助手の雇主の指図をうけたことがなく、かつ請負人の飯場に起居していた等判示の事情があるときには、民法第715条の適用上、助手は土木工事請負人の被用者にあたると解するのが相当である。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54963 損害賠償等請求](最高裁判決 昭和42年5月30日)
#;民法715条2項にいう「使用者ニ代ハリテ事業ヲ監督スル者」とは
#:民法715条2項にいう「使用者ニ代ハリテ事業ヲ監督スル者」とは、客観的に見て、使用者に代り現実に事業を監督する地位にある者を指称するものと解すべきであり、使用者が法人である場合において、その代表者が現実に被用者の選任、監督を担当しているときは、右代表者は同条項にいう代理監督者に該当し、当該被用者が事業の執行につきなした行為について、代理監督者として責任を負わなければならないが、代表者が、単に法人の代表機関として一般的業務執行権限を有することから、ただちに、同条項を適用してその個人責任を問うことはできない
#:*法人の代表者は、現実に被用者の選任・監督を担当していたときにかぎり、当該被用者の行為について民法第715条第2項による責任を負う。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55076 損害賠償請求](最高裁判決 昭和42年6月30日)[[民法第442条]]、[[民法第719条]]
#;「失火ノ責任ニ関スル法律」と民法第715条
#: 被用者が重大な過失によつて火を失したときは、使用者は、被用者の選任または監督について重大な過失がなくても、民法第715条第1項によつて賠償責任を負う。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56285 損害賠償請求](最高裁判決 昭和42年11月2日)
#;被用者の職務権限内において適法に行なわれたものでない行為についての被害者の悪意・重過失と民法第715条
#: 被用者の取引行為がその外形からみて使用者の事業の範囲内に属すると認められる場合であつても、それが被用者の職務権限内において適法に行なわれたものではなく、かつ<u>その相手方が右の事情を知り、または少なくとも重大な過失によつてこれを知らないものであるとき</u>は、その相手方である被害者は、民法第715条により使用者に対してその取引行為に基づく損害の賠償を請求することができない。
#:*相手方の故意のみでなく重大な過失によつても使用者が損害賠償の責を免れるのは、公平の見地に照らし、被用者の行為の外形に対する相手方の信頼が、重大な過失に基づくときは、法律上保護に値いしないものと認められるためにほかならないから、ここにいう重大な過失とは、取引の相手方において、わずかな注意を払いさえすれば、被用者の行為がその職務権限内において適法に行なわれたものでない事情を知ることができたのに、そのことに出でず、漫然これを職務権限内の行為と信じ、もつて、一般人に要求される注意義務に著しく違反することであつて、故意に準ずる程度の注意の欠缺があり、公平の見地上、相手方にまつたく保護を与えないことが相当と認められる状態をいう(下記[[#被用者の取引行為|最高裁昭和44年11月21日判決]]・判決文における言及)
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51976 損害賠償請求](最高裁判決 昭和44年11月18日)
#;被用者が事業の執行につき第三者に加えた損害にあたるとされた事例
#:使用者の施工にかかる水道管敷設工事の現場において、被用者が、右工事に従事中、作業用鋸の受渡しのことから、他の作業員と言い争つたあげく同人に対し暴行を加えて負傷させた場合、これによつて右作業員の被つた損害は、被用者が事業の執行につき加えた損害にあたるというべきである。
#<span id="被用者の取引行為"></span>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51914 損害賠償等請求](最高裁判決 昭和44年11月21日)
#;被用者の取引行為を職務権限内の行為と信じた相手方に重大な過失がないとされた事例
#:甲が、金融業者乙の被用者であるが代理権を有しない丙との間に、乙の不動産を買い受ける契約を締結し、代金を丙に支払うに際し、売買契約書等の表示、乙に対する登記抹消の訴に関する予告登記の存在、交渉中における代金減額の経過など、原判示のような丙の権限を疑うべき事情があるのにかかわらず、丙を乙の[[支配人]]と紹介した仲介人の言葉のみを信用し、丙の代理資格および売買の意思の有無につき乙に問い合わせるなどの調査をすることなく、丙にその権限があるものと信じて、右契約を締結し多額の代金を丙に支払つた場合であつても、甲がこのように信じたことにいまだ重大な過失があるとはいえず、甲は、乙に対し、民法715条に基づき損害賠償を請求することを妨げられない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51874 損害賠償請求](最高裁判決 昭和44年11月27日)[[民法第724条]]
#;使用者責任と民法724条の加害者を知ることの意義
#:使用者責任において民法724条の加害者を知るとは、被害者が、使用者ならびに使用者と不法行為者との間に使用関係がある事実に加えて、一般人が当該不法行為が使用者の事業の執行につきなされたものであると判断するに足りる事実をも認識することをいうと解するのが相当である。
#<span id="請負2"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=66707 損害賠償請求](最高裁判決 昭和45年2月12日)
#;下請負人の被用者の加害行為につき元請負人の使用者責任が認められた事例
#:工事の元請負人甲がその従業員乙を工事の責任者として工事現場に詰めさせ、下請負丙の工事施行を指揮監督させ、かつ、丙の被用者で工事の現場責任者である丁に対しても甲の直接の被用者と同様の指揮監督をしていた場合には、甲は丁がその工事の施行中機械の操作をあやまつた過失によりともに作業をしていた戊に損害を与えた行為につき使用者としての責任を負担する。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=70377 約束手形金請求](最高裁判決 昭和45年5月22日) 民法第709条,[[手形法第43条]]
#;偽造手形の取得者の損害賠償請求権と手形法上の遡求権との関係
#:対価を支払つて偽造手形を取得した手形所持人は、その出捐と手形偽造行為との間に相当因果関係が認められるかぎり、その出捐額につき、ただちに損害賠償請求権を行使することができ、手形の所持人としてその前者に対し手形法上の遡求権を有することによつては、損害賠償の請求を妨げられることはない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51981 損害賠償請求](最高裁判決 昭和46年6月22日)
#;被用者が事業の執行につき第三者に加えた損害にあたるとされた事例
#: すし屋の店員二名が、使用者所有の自動車を運転し、またはこれに同乗して、<u>出前に行く途中</u>、右自動車の方向指示器を点燈したまま直進したため、これと衝突しそうになつた他の自動車の運転者と<u>口論になり、そのあげく同人に対し暴行を加えて負傷させた</u>場合、これによつて同人の被つた損害は、被用者が事業の執行につき加えた損害にあたるというべきである。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52008 損害賠償請求](最高裁判決 昭和48年2月16日)[[商法第690条]],[[船舶法第35条]]
##'''商法690条と民法715条との関係'''
##:商法690条は、民法715条に対する特則として、船長その他の船員がその職務を行なうにあたり故意または過失により他人に加えた損害については、船舶所有者において、当該船員の選任・監督に関する過失の有無にかかわらず、その賠償の責に任ずべき旨を定めたものと解すべきである。
##:*商法690条は民法715条の特別法の関係にあって、本条第1項但書の[[#免責事由|免責事由]]の適用を除外する。
##:**商法第690条
##:**:(本判決当時)船舶所有者ハ船長其他ノ船員ガ其職務ヲ行フニ当タリ故意又ハ過失ニ因リテ他人ニ加ヘタル損害ヲ賠償スル責ニ任ズ
##:**:(現在)船舶所有者は、船長その他の船員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
##'''船員が職務を行なうにあたり他人に加えた損害にあたるとされた事例'''
##:漁船の船長兼漁撈長が、海上で右漁船によつて操業中、紛失した漁網の補充の用にあてて操業を継続するため、付近で操業中の他の漁船の漁網を窃取した場合、これによつて右漁網の所有者の被つた損害は、船員が職務を行なうにあたり他人に加えた損害にあたる。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52106 預金返還等請求](最高裁判決 昭和50年1月30日) [[民法第666条]]
#;信用組合の内規に反し職員外の者が職員を通じてした職員定期預金の払戻に関する右職員の行為と民法715条の事業の執行
#:信用組合が職員に対して職員外の者に職員定期預金を利用させることを禁止しているのを知りながら職員外の者が右組合の営業部預金課員の勧誘により同人を通じて右定期預金をした場合でも、職員定期預金でなければ預金をしないことが明らかであつた等特段の事情のないかぎり、右預金契約は一般定期預金として有効に成立し、右預金の払戻に関する右職員の行為は、その限度において組合の事業の執行にあたると解すべきである。
#<span id="求償"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54209 損害賠償請求](最高裁判決 昭和51年07月08日) [[民法第1条]]2項,民法第709条
#;使用者がその事業の執行につき被用者の惹起した自動車事故により損害を被つた場合において信義則上被用者に対し右損害の一部についてのみ賠償及び求償の請求が許されるにすぎないとされた事例
#:石油等の輸送及び販売を業とする使用者が、業務上タンクローリーを運転中の被用者の惹起した自動車事故により、直接損害を被り、かつ、第三者に対する損害賠償義務を履行したことに基づき損害を被つた場合において、使用者が業務上車両を多数保有しながら対物賠償責任保険及び車両保険に加入せず、また、右事故は被用者が特命により臨時的に乗務中生じたものであり、被用者の勤務成績は普通以上である等判示の事実関係のもとでは、使用者は、信義則上、右損害のうち四分の一を限度として、被用者に対し、賠償及び求償を請求しうるにすぎない。
#<span id="自家用車"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53282 損害賠償](最高裁判決 昭和52年9月22日)
#;会社の従業員が自家用車を用いて出張中に惹起した交通事故につき会社の使用者責任が否定された事例
#:甲会社の従業員乙が社命により県外の工事現場に出張するについて乙の自家用車を用いて往復し、その帰途交通事故を惹起した場合において、甲会社では、右事故の七か月前に開催された労働安全衛生委員会の定例大会の席上、従業員に対し、自家用車を利用して通勤し又は工事現場に往復することを原則として禁止し、県外出張の場合にはできる限り汽車かバスを利用し、自動車を利用するときは直属課長の許可を得るよう指示しており、乙は、このことを熟知していて、これまで会社の業務に関して自家用車を使用したことがなく、本件出張についても特急列車を利用すれば午後九時半ころまでには目的地に到達することができ、翌朝出張業務につくのに差支えがないにもかかわらず、自家用車を用いることとし、自家用車の利用等所定の事項につき会社に届け出ることもせずに出発した等、原判示の事情のもとにおいては、乙が右出張のため自家用車を運転した行為は、甲会社の業務の執行にあたらない。
#::<span id="自家用車2"></span>(参考) [https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=64165 損害賠償](最高裁判決 昭和52年12月22日)
#::;会社の従業員がその所有自動車を運転し会社の工事現場から自宅に帰る途中で起こした事故につき会社に自動車損害賠償保障法3条による運行供用者責任が認められた事例
#:::会社の従業員が通勤のため利用しているその所有自動車を運転し、会社の工事現場から自宅に帰る途中で事故を起こした場合において、従業員がその所有自動車を会社の承認又は指示のもとに会社又は自宅と工事現場との間の往復等会社業務のためにもしばしば利用し、その利用に対して会社から手当が支給されており、事故当日右従業員が右自動車で工事現場に出かけたのも会社の指示に基づくものであるなど、判示の事情があるときは、会社は、右事故につき、自動車損害賠償保障法3条による運行供用者責任を負う。
#<span id="事業"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54262 損害賠償本訴、同反訴](最高裁判決 昭和56年11月27日)
#;兄が弟に兄所有の自動車を運転させこれに同乗して自宅に帰る途中で発生した交通事故につき兄弟間に民法715条1項にいう使用者・被用者の関係が成立していたとされた事例
#:兄が、その出先から自宅に連絡して弟に兄所有の自動車で迎えに来させたうえ、弟に右自動車の運転を継続させ、これに同乗して自宅に帰る途中で交通事故が発生した場合において、兄が右同乗中助手席で運転上の指示をしていた等判示の事情があるときは、兄と弟との間には右事故当時兄を自動車により自宅に送り届けるという仕事につき、民法715条1項にいう使用者・被用者の関係が成立していたと解するのが相当である。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54225 損害賠償](最高裁判決 昭和57年4月1日)[[国家賠償法第1条]]1項
##'''公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめたが具体的な加害行為を特定することができない場合と国又は公共団体の損害賠償責任'''
##:国又は公共団体に属する一人又は数人の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた場合において、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、右の一連の行為のうちのいずれかに故意又は過失による違法行為があつたのでなければ右の被害が生ずることはなかつたであろうと認められ、かつ、それがどの行為であるにせよ、これによる被害につき専ら国又は当該公共団体が国家賠償法上又は民法上賠償責任を負うべき関係が存在するときは、国又は当該公共団体は、加害行為の不特定の故をもつて右損害賠償責任を免れることはできない。
##'''保健所に対する国の嘱託に基づいて国家公務員の定期健康診断の一環としての検診を行つた保健所勤務の医師の行為に過誤があつた場合と受診者に対する国の損害賠償責任の有無'''
##:保健所に対する国の嘱託に基づいて地方公共団体の職員である保健所勤務の医師が国家公務員の定期健康診断の一環としての検診を行つた場合において、右医師の行つた検診又はその結果の報告に過誤があつたため受診者が損害を受けても、国は、国家賠償法1条1項又は民法715条1項の規定による損害賠償責任を負わない。
##:*検診等の行為を公権力の行使にあたる公務員の職務上の行為と解することは相当でない。
##:*検診等の行為が林野税務署長の保健所への嘱託に基づき訴外岡山県の職員である同保健所勤務の医師によつて行われたものであるとすれば、右医師の検診等の行為は右保健所の業務としてされたものというべきであつて、たとえそれが林野税務署長の嘱託に基づいてされたものであるとしても、そのために右検診等の行為が上告人国の事務の処理となり、右医師があたかも上告人国の機関ないしその補助者として検診等の行為をしたものと解さなければならない理由はない。
# [https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62960 約束手形金、民訴法198条2項の原状回復申立](最高裁判決 昭和61年11月18日)
#;被用者のした手形偽造行為が民法715条1項にいう「事業ノ執行ニ付キ」した行為に当たるとされた事例
#:道路舗装工事の請負等を業とする株式会社甲の支店としての実質を有する戊営業所の所長乙の依頼に基づき、丙が、所長代理の肩書で同営業所に常駐し、主として官公庁発注の道路舗装工事について、入札業務、営業所長名義による請負契約の締結、工事代金の回収など、乙の権限に属する業務に従事し、右工事代金の回収等のための約束手形の授受をもその職務とし、入札参加書類等の作成のため営業所長印を任意使用することを任せられていた場合には、丙が、右営業所の取引先であり、自ら経営の実権を握つていた丁の資金繰り等のため、丁振出の約束手形を取引先に割り引かせて資金を作る目的のもとに、丁振出の約束手形に、右営業所長印等を冒用して「甲株式会社戊営業所長乙」名義の裏書を偽造したうえ、自己名義の第二裏書をして右手形を割引のため第三者に交付した行為は、甲の内部規程上は乙に手形行為の権限が与えられていなかつたとしても、その行為の外形から客観的に観察すると丙の職務の範囲内の行為というべきであり、民法715条1項にいう「事業ノ執行ニ付キ」なされたものと認めるのが相当である。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52196 損害賠償請求本訴、同反訴](最高裁判決 昭和63年7月1日)
#;被用者と第三者との共同不法行為による損害を賠償した第三者からの使用者に対する求償権の成否
#:被用者と第三者との共同不法行為により他人に損害を加えた場合において、第三者が自己と被用者との過失割合に従つて定められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは、第三者は、被用者の負担部分について使用者に対し求償することができる。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52750 求償金](最高裁判決 平成3年10月25日)
##'''共同不法行為の加害者の各使用者間における求償権の成立する範囲'''
##:共同不法行為の加害者の各使用者が使用者責任を負う場合において、一方の加害者の使用者は、当該加害者の過失割合に従って定められる自己の負担部分を超えて損害を賠償したときは、その超える部分につき、他方の加害者の使用者に対し、当該加害者の過失割合に従って定められる負担部分の限度で、求償することができる。
##'''加害者の複数の使用者間における各使用者の負担部分'''
##:加害者の複数の使用者が使用者責任を負う場合において、各使用者の負担部分は、加害者の加害行為の態様及びこれと各使用者の事業の執行との関連性の程度各使用者の指揮監督の強弱などを考慮して定められる責任の割合に従って定めるべきである。
##'''加害者の複数の使用者間における求償権の成立する範囲'''
##:加害者の複数の使用者が使用者責任を負う場合において、使用者の一方は、自己の負担部分を超えて損害を賠償したときは、その超える部分につき、使用者の他方に対し、その負担部分の限度で、求償することができる。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=69646 預託金返還請求、民訴法第一九八条二項の申立](最高裁判決 平成9年04月24日)[[民法第708条]],民法第709条,証券取引法(平成3年法律第96号による改正前のもの)50条1項,証券会社の健全性の準則等に関する省令(昭和40年大蔵省令第60号。平成3年大蔵省令第55号による改正前のもの)1条
#;証券会社の従業員が顧客に利回り保証の約束をして株式等の取引を勧誘し一連の取引をさせた場合に右取引による顧客の損失について証券会社が不法行為責任を免れないとされた事例
#:証券会社の営業部員が、株式等の取引の勧誘をするに際し、取引の開始を渋る顧客に対し、法令により禁止されている利回り保証が会社として可能であるかのように装って利回り保証の約束をして勧誘し、その旨信じた顧客に取引を開始させ、その後、同社の営業部長や営業課長も右約束を確認するなどして取引を継続させ、これら一連の取引により顧客が損失を被ったもので、顧客が右約束の書面化や履行を求めてはいるが、自ら要求して右約束をさせたわけではないなど判示の事実関係の下においては、顧客の不法性に比し、証券会社の従業員の不法の程度が極めて強いものと評価することができ、証券会社は、顧客に対し、不法行為に基づく損害賠償責任を免れない。
#<span id="過重労働"></span>[http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52222 損害賠償請求事件(通称 電通損害賠償)](最高裁判決 平成12年03月24日)民法第709条,[[民法第722条]]2項
#;長時間にわたる残業を恒常的に伴う業務に従事していた労働者がうつ病にり患し自殺した場合に使用者の民法715条に基づく損害賠償責任が肯定された事例
#:大手広告代理店に勤務する労働者甲が長時間にわたり残業を行う状態を一年余り継続した後にうつ病にり患し自殺した場合において、甲は、業務を所定の期限までに完了させるべきものとする一般的、包括的な指揮又は命令の下にその遂行に当たっていたため、継続的に長時間にわたる残業を行わざるを得ない状態になっていたものであって、甲の上司は、甲が業務遂行のために徹夜までする状態にあることを認識し、その健康状態が悪化していることに気付いていながら、甲に対して業務を所定の期限内に遂行すべきことを前提に時間の配分につき指導を行ったのみで、その業務の量等を適切に調整するための措置を採らず、その結果、甲は、心身共に疲労困ぱいした状態となり、それが誘因となってうつ病にり患し、うつ状態が深まって衝動的、突発的に自殺するに至ったなど判示の事情の下においては、使用者は、民法715条に基づき、甲の死亡による損害を賠償する責任を負う。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62536 債務不存在確認請求事件](最高裁判決 平成15年3月25日)
#;郵便局に所属する保険外務員が簡易保険の契約者に対し虚偽の事実を述べて資金の融通を受けることによって同契約者に加えた損害が民法715条1項にいう「被用者カ其事業ノ執行ニ付キ第三者ニ加ヘタル損害」に当たらないとされた事例
#: 郵便局に所属する保険外務員が,簡易保険の契約者に対し,他の顧客に届けるべき満期保険金を盗まれ,これをその日のうちに届けなければ勤務先に発覚して免職になるなどの虚偽の事実を述べ,同契約者が簡易保険の契約者貸付けの方法により借り受けた資金の融通を受けることによって同契約者に加えた損害は,民法715条1項にいう「被用者カ其事業ノ執行ニ付キ第三者ニ加ヘタル損害」に当たらない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52407 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成16年11月12日)
##'''階層的に構成されている暴力団の最上位の組長と下部組織の構成員との間に同暴力団の威力を利用しての資金獲得活動に係る事業について民法715条1項所定の使用者と被用者の関係が成立しているとされた事例'''
##:階層的に構成されている暴力団が,その威力をその暴力団員に利用させることなどを実質上の目的とし,下部組織の構成員に対しても同暴力団の威力を利用して資金獲得活動をすることを容認していたなど判示の事情の下では,同暴力団の最上位の組長と下部組織の構成員との間に同暴力団の威力を利用しての資金獲得活動に係る事業について民法715条1項所定の使用者と被用者の関係が成立している。
##階層的に構成されている暴力団の下部組織における対立抗争においてその構成員がした殺傷行為が民法715条1項にいう「事業ノ執行ニ付キ」した行為に当たるとされた事例
##:階層的に構成されている暴力団の下部組織における対立抗争においてその構成員がした殺傷行為は,同暴力団が,その威力をその暴力団員に利用させることなどを実質上の目的とし,下部組織の構成員に対しても同暴力団の威力を利用して資金獲得活動をすることを容認し,その資金獲得活動に伴い発生する対立抗争における暴力行為を賞揚していたなど判示の事情の下では,民法715条1項にいう「事業ノ執行ニ付キ」されたものに当たる。
==参考文献==
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#5|第5章 不法行為]]
|[[民法第714条]]<br>(責任無能力者の監督義務者等の責任)
|[[民法第716条]]<br>(注文者の責任)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|715]] | 2006-11-18T09:54:04Z | 2023-11-01T09:19:51Z | [
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"テンプレート:Stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC715%E6%9D%A1 |
4,484 | 民法第724条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
2017年改正において、時効制度の整理が図られたことに伴い、以下の条項から改正。
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]]
==条文==
([[不法行為]]による損害賠償請求権の消滅時効)
;第724条
:不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
:#被害者又はその法定代理人が'''損害及び加害者を知った時'''から3年間行使しないとき。
:#不法行為の時から20年間行使しないとき。
===改正経緯===
2017年改正において、[[時効 (民法)|時効]]制度の整理が図られたことに伴い、以下の条項から改正。
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
: 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。
==解説==
:不法行為による損害賠償請求権の発生要件については、[[民法第709条]]等を参照。
:[[消滅時効]]に関する一般規定については、[[民法第166条]]、[[民法第167条]]を参照。
===要件===
====「損害及び加害者を知った時」の意義====
:時効の起算点を意味している。
=====損害の了知=====
:不法行為により損害を受けたことを認識した時点で足り、具体的な損害額を認識した時点であることを要さないと解されている(最判平成14年1月29日民集56-1-218)。
=====加害者の了知=====
:加害者の住所氏名を的確に知り、損害賠償請求が事実上可能になった時点であると解されている(最判昭和48年11月16日民集27-10-1374)。
=====継続的不法行為=====
====「3年間」の意義====
:この「3年間」は、俗に短期消滅時効といわれる。法的性質は民法第166条以下に規定する消滅時効と同じである。この解釈に従えば、[[時効 (民法)#時効の更新|時効の更新]]([[民法第147条]])があることになる。
====「20年」の意義====
:この「20年」は、2017年改正前は判例などにより[[除斥期間]]を意味すると解されていたが、改正により「消滅時効の完成期間」となった。従って、[[時効 (民法)#時効の完成猶予|時効の完成猶予]]や[[時効 (民法)#時効の更新|時効の更新]]の対象となる。
==参照条文==
*[[民法第709条]](不法行為による損害賠償)
*[[民法第724条の2]](人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
==判例==
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54983&hanreiKbn=02 損害賠償請求](最高裁判決 昭和42年07月18日)
#;不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効が進行しないとされた事例
#:不法行為によつて受傷した被害者が、その受傷について、相当期間経過後に、受傷当時には医学的に<u>通常予想しえなかつた治療が必要となり</u>、右治療のため費用を支出することを余儀なくされるにいたつた等原審認定の事実関係のもとにおいては、<u>後日その治療を受けるまで</u>は、右治療に要した費用について民法第724条の消滅時効は進行しない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=70149&hanreiKbn=02 損害賠償請求、同附帯控訴](最高裁判決 昭和43年06月27日)[[民法第147条]]1号、[[国家賠償法第1条]]、[[国家賠償法第4条]]
##'''民法第724条の「損害及ヒ加害者ヲ知リタル時」にあたるとされた事例'''
##:登記官吏の過失により虚偽の所有権移転登記がされ、これを信頼して土地を買い受け、その地上に建物を建築したものが、右<u>事実関係を知り自己が右土地の所有権を取得しえないことを知つたとき</u>は、その時に、右建物を収去することによつて生ずる損害についてもその損害および加害者を知つたものと解するのが相当である。
##'''一個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴を提起した場合と右残部についての消滅時効中断の効力'''
##:不法行為に基づく損害賠償債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴を提起した場合、訴提起による消滅時効中断の効力はその一部の範囲においてのみ生じ、残部には及ばないと解するのが相当である。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51874&hanreiKbn=02 損害賠償請求](最高裁判決 昭和44年11月27日)[[民法第715条]]
#;使用者責任と民法724条の加害者を知ることの意義
#:使用者責任において民法724条の加害者を知るとは、被害者が、使用者ならびに使用者と不法行為者との間に使用関係がある事実に加えて、<u>一般人が当該不法行為が使用者の事業の執行につきなされたものであると判断するに足りる事実をも認識することをいう</u>と解するのが相当である。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55128&hanreiKbn=02 損害賠償請求](最高裁判決 昭和45年06月19日)
#;不法行為による弁護士費用の損害賠償請求権の消滅時効が当該報酬の支払契約をした時から進行するものとされた事例
#:不法行為の被害者が弁護士に対し損害賠償請求の訴を提起することを委任し、成功時に成功額の一割五分の割合による報酬金を支払う旨の契約を締結した場合には、右契約の時が民法724条にいう損害を知つた時にあたり、その時から右請求権の消滅時効が進行するものと解して妨げがない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52012&hanreiKbn=02 損害賠償請求](最高裁判決 昭和48年11月16日)
#;民法724条にいう「加害者ヲ知りタル時」の認定事例
#:被疑者として逮捕されている間に警察官から不法行為を受けた被害者が、当時加害者の姓、職業、容貌を知つてはいたものの、その名や住所を知らず、引き続き身柄拘束のまま取調、起訴、有罪の裁判およびその執行を受け、釈放されたのちも判示の事情で加害者の名や住所を知ることが困難であつたような場合には、その後、被害者において加害者の氏名、住所を確認するに至つた時をもつて、民法724条にいう「加害者ヲ知りタル時」というべきである。
#<span id="6"></span>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55149&hanreiKbn=02 損害賠償請求](最高裁判決 昭和49年12月17日)[[民法第167条]]1項、[[商法第266条の3]]第1項
#;商法266条の3第1項前段所定の第三者の取締役に対する損害賠償請求権(現[[会社法第429条]]に相当)の消滅時効期間
#:商法266条の3第1項前段所定の第三者の取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は10年と解すべきである。
#:*最高裁の判断
#:*:民法724条が短期消滅時効を設けた趣旨は、不法行為に基づく法律関係が、通常、未知の当事者間に、予期しない偶然の事故に基づいて発生するものであるため、加害者は、損害賠償の請求を受けるかどうか、いかなる範囲まで賠償義務を負うか等が不明である結果、極めて不安定な立場におかれるので、被害者において損害及び加害者を知りながら相当の期間内に権利行使に出ないときには、損害賠償請求権が時効にかかるものとして加害者を保護することにあると解される。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=74573&hanreiKbn=02 損害賠償](最高裁判決 昭和58年11月11日)
#;民法724条にいう「加害者ヲ知リタル時」の認定事例
#:交通事故の被害者が、加害者として取調べを受けたうえ業務上過失致死傷罪で起訴され、一審で有罪判決を受けたものの二審で無罪判決を受け、同判決が確定したなど、原判示の事情のもとにおいては、被害者に対する右無罪判決が確定した時をもつて、民法724条にいう「加害者ヲ知リタル時」というべきである。
#<span id="平成元年12月21日最高裁判決"/>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52709&hanreiKbn=02 国家賠償](最高裁判決 平成元年12月21日)
#;民法724条後段の法意
#:民法724条後段の規定は、不法行為による損害賠償請求権の除斥期間を定めたものである。('''→2017年法改正により、時効の範疇とされたため、本判例は適用されない。''')
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62695&hanreiKbn=02 損害賠償](最高裁判決 平成6年01月20日)
#;夫婦の一方の配偶者が他方の配偶者と第三者との同せいにより第三者に対して取得する慰謝料請求権の消滅時効の起算点
#:夫婦の一方の配偶者が他方の配偶者と第三者との同せいにより第三者に対して取得する慰謝料請求権については、一方の配偶者が右の同せい関係を知った時から、それまでの間の慰謝料請求権の消滅時効が進行する。
#<span id="平成10年06月12日最高裁判決"/>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52516&hanreiKbn=02 損害賠償](最高裁判決 平成10年06月12日)[[民法第158条]]
#;不法行為を原因として心神喪失の常況にある被害者の損害賠償請求権と民法724条後段の除斥期間('''→2017年法改正により、時効の範疇とされ、本判例は条文に取り込まれた。''')
#:不法行為の被害者が不法行為の時から20年を経過する前6箇月内において右不法行為を原因として心神喪失の常況にあるのに法定代理人を有しなかった場合において、その後当該被害者が禁治産宣告を受け、後見人に就職した者がその時から6箇月内に右不法行為による損害賠償請求権を行使したなど特段の事情があるときは、[[民法第158条]]の法意に照らし、同法724条後段の効果は生じない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52596&hanreiKbn=02 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成14年01月29日)
#;民法724条にいう被害者が損害を知った時の意義
#:民法724条にいう被害者が損害を知った時とは,被害者が損害の発生を現実に認識した時をいう。
#:*原審における以下の判断を覆す。
#:*:民法724条にいう「損害及ヒ加害者ヲ知リタル時」とは、被害者において、加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況の下に、その可能な程度に損害及び加害者を知った時を意味するものと解するのが相当であり、被害者に現実の認識が欠けていても、その立場、知識、能力などから、わずかな努力によって損害や加害者を容易に認識し得るような状況にある場合には、その段階で、損害及び加害者を知ったものと解するのが短期消滅時効の起算点に関する特則を設けた同条の趣旨にかなう。
#:*最高裁の判断
#:*:民法724条の短期消滅時効の趣旨は、損害賠償の請求を受けるかどうか、いかなる範囲まで賠償義務を負うか等が不明である結果、極めて不安定な立場に置かれる加害者の法的地位を安定させ、加害者を保護することにあるが([[#6|上記項番6判例参照]]),それも,飽くまで被害者が不法行為による損害の発生及び加害者を現実に認識しながら3年間も放置していた場合に加害者の法的地位の安定を図ろうとしているものにすぎず、それ以上に加害者を保護しようという趣旨ではない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52326&hanreiKbn=02 損害賠償、民訴法第260条2項による仮執行の原状回復請求事件](最高裁判決 平成16年04月27日)[[国家賠償法第1条]]1項、[[鉱山保安法第1条]]、[[鉱山保安法第4条]]、鉱山保安法(昭和37年法第律第105号による改正前のもの)30条、じん肺法(昭和52年法律第76号による改正前のもの)2条1項1号,石炭鉱山保安規則(昭和61年通商産業省令第74号による改正前のもの)284条の2
##'''通商産業大臣が石炭鉱山におけるじん肺発生防止のための鉱山保安法上の保安規制の権限を行使しなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法となるとされた事例'''
##:炭鉱で粉じん作業に従事した労働者が粉じんの吸入によりじん肺にり患した場合において、炭鉱労働者のじん肺り患の深刻な実情及びじん肺に関する医学的知見の変遷を踏まえて、じん肺を炭じん等の鉱物性粉じんの吸入によって生じたものを広く含むものとして定義し、これを施策の対象とするじん肺法が成立したこと、そのころまでには、さく岩機の湿式型化によりじん肺の発生の原因となる粉じんの発生を著しく抑制することができるとの工学的知見が明らかとなっており、金属鉱山と同様に、すべての石炭鉱山におけるさく岩機の湿式型化を図ることに特段の障害はなかったのに、同法成立の時までに、鉱山保安法に基づく省令の改正を行わず、さく岩機の湿式型化等を一般的な保安規制とはしなかったことなど判示の事実関係の下では、じん肺法が成立した後、通商産業大臣が鉱山保安法に基づく省令改正権限等の保安規制の権限を直ちに行使しなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法となる。
##'''加害行為が終了してから相当の期間が経過した後に損害が発生する場合における民法724条後段所定の除斥期間の起算点'''
##:民法724条後段所定の除斥期間は,不法行為により発生する損害の性質上,加害行為が終了してから相当の期間が経過した後に損害が発生する場合には,当該損害の全部又は一部が発生した時から進行する。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52403&hanreiKbn=02 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成17年11月21日)[[民法第166条]]1項、[[商法第789条|旧・商法第798条]]1項
#;船舶の衝突によって生じた損害賠償請求権の消滅時効の起算点
#:船舶の衝突によって生じた損害賠償請求権の消滅時効は、民法724条により,被害者が損害及び加害者を知った時から進行する。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=33231&hanreiKbn=02 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成18年06月16日)
#;乳幼児期に受けた集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染しB型肝炎を発症したことによる損害につきB型肝炎を発症した時が民法724条後段所定の除斥期間の起算点となるとされた事例
#:乳幼児期に受けた集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染したX4及びX5がB型肝炎を発症したことによる損害については,(1)乳幼児期にB型肝炎ウイルスに感染し,持続感染者となった場合,HBe抗原陽性からHBe抗体陽性への変換(セロコンバージョン)が起きることなく成人期に入ると,肝炎を発症することがあること,(2)X4は,昭和26年5月生まれで,同年9月〜昭和33年3月に受けた集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染し,昭和59年9月ころ,B型肝炎と診断されたこと,(3)X5は,昭和36年7月生まれで,昭和37年1月〜昭和42年10月に受けた集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染し,昭和61年10月,B型肝炎と診断されたことなど判示の事情の下においては,上記集団予防接種等<u>(加害行為)の時ではなく</u>,B型肝炎の発症<u>(損害の発生)の時が民法724条後段所定の除斥期間の起算点となる</u>。
#<span id="平成21年04月28日最高裁判決"/>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=37556&hanreiKbn=02 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成21年04月28日)[[民法第160条]]('''→2017年法改正により、時効の範疇とされ、本判例は条文に取り込まれた。''')
#;被害者を殺害した加害者が被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出したため相続人がその事実を知ることができなかった場合における上記殺害に係る不法行為に基づく損害賠償請求権と民法724条後段の除斥期間
#:被害者を殺害した加害者が被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出し,そのために相続人はその事実を知ることができず,相続人が確定しないまま上記殺害の時から20年が経過した場合において,その後相続人が確定した時から6か月内に相続人が上記殺害に係る不法行為に基づく損害賠償請求権を行使したなど特段の事情があるときは,民法160条の法意に照らし,同法724条後段の効果は生じない。
==参考文献==
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br/>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#5|第5章 不法行為]]
|[[民法第723条]]<br/>(名誉毀損における原状回復)
|[[民法第724条の2]]<br/>(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|724]]
[[category:民法 2017年改正|724]] | 2006-11-18T09:56:12Z | 2024-03-18T21:13:27Z | [
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"テンプレート:Stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC724%E6%9D%A1 |
4,485 | 解剖学/皮膚分節 | 人の皮膚感覚は全身に存在するため、これを中枢に送る神経も数多く存在する。それらのほとんど(顔の三叉神経V以外)は脊髄神経であり、それぞれC(Cervical nerves:頚神経)1 - 8、T(またはTh;Thoracic nerves:胸神経)1 - 12、L(Lumber nerves:腰椎神経)1 - 5、が体の各部位に存在する。これらすべてを暗記する必要は無いが、覚えやすい支配神経(後述)くらいは諳んじられる事が解剖学の学習において求められる事がある。また、これらの理解は特に、神経解剖学で学ぶ神経路の障害に関する学習で必要となる事が多い。 | [
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"text": "人の皮膚感覚は全身に存在するため、これを中枢に送る神経も数多く存在する。それらのほとんど(顔の三叉神経V以外)は脊髄神経であり、それぞれC(Cervical nerves:頚神経)1 - 8、T(またはTh;Thoracic nerves:胸神経)1 - 12、L(Lumber nerves:腰椎神経)1 - 5、が体の各部位に存在する。これらすべてを暗記する必要は無いが、覚えやすい支配神経(後述)くらいは諳んじられる事が解剖学の学習において求められる事がある。また、これらの理解は特に、神経解剖学で学ぶ神経路の障害に関する学習で必要となる事が多い。",
"title": "皮膚分節"
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| null | {{medical stub}}
== 皮膚分節 ==
=== 皮膚分節について ===
人の皮膚感覚は全身に存在するため、これを中枢に送る神経も数多く存在する。それらのほとんど(顔の三叉神経Ⅴ以外)は脊髄神経であり、それぞれC(Cervical nerves:頚神経)1 - 8、T(またはTh;Thoracic nerves:胸神経)1 - 12、L(Lumber nerves:腰椎神経)1 - 5、が体の各部位に存在する。これらすべてを暗記する必要は無いが、覚えやすい支配神経(後述)くらいは諳んじられる事が解剖学の学習において求められる事がある。また、これらの理解は特に、[[神経解剖学]]で学ぶ神経路の障害に関する学習で必要となる事が多い。
=== 覚えやすい支配神経 ===
[[Image:Gray784.png|thumb|200px|right|顔面の皮膚分節]]
*眼神経(脳神経Ⅴ:三叉神経)
*上顎神経(脳神経Ⅴ:三叉神経)
*下顎神経(脳神経Ⅴ:三叉神経)
*乳頭の位置(T4)
*剣状突起(T7)
*臍部(T10)
*親指(C6)
*小指(C8)
== 画像一覧 ==
<gallery>
Image:Gray797.png|全身の皮膚分節(腹側)
Image:Gray798.png|全身の皮膚分節(背側)
Image:Dermatoms.svg|全身の皮膚分節
Image:Gray812.png|右手の皮膚分節(腹側)
Image:Gray814.png|右手の皮膚分節(背側)
Image:Gray826.png|右足の皮膚分節(腹側)
Image:Gray831.png|右足の皮膚分節(背側)
Image:Gray834.png|足底の皮膚分節
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<!--(英語版の画像はDermatoms.svgに置き換えられている)
== 外部リンク ==
[[:en:w:Dermatomic area|Dermatomic area(en)]]著作権制限ありの皮膚分節画像
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4,486 | センター試験 公民対策 | センター試験 公民対策は、センター試験 現代社会対策、センター試験 倫理対策、センター試験 政治・経済対策、センター試験 倫理、政治・経済対策(2012年から)の4科目で構成されている。
地歴・公民(地歴A科目、倫理、政治・経済は除く)は各科目の平均点の中で最高点と最低点の差が20点以上開いた場合、平均点を15点になるように得点調整される。(平成10年度のセンター試験で、地理と日本史で実施されたことがある。)
短期間の勉強でそれなりの点数が取れる教科が多く、社会が苦手な人が多い理系にとっての救済教科かもしれない。 | [
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| 日本の大学受験ガイド > センター試験 > センター試験 公民対策 センター試験 公民対策は、センター試験 現代社会対策、センター試験 倫理対策、センター試験 政治・経済対策、センター試験 倫理、政治・経済対策(2012年から)の4科目で構成されている。 地歴・公民(地歴A科目、倫理、政治・経済は除く)は各科目の平均点の中で最高点と最低点の差が20点以上開いた場合、平均点を15点になるように得点調整される。(平成10年度のセンター試験で、地理と日本史で実施されたことがある。) 短期間の勉強でそれなりの点数が取れる教科が多く、社会が苦手な人が多い理系にとっての救済教科かもしれない。 | *[[日本の大学受験ガイド]] > センター試験 > センター試験 公民対策
センター試験 公民対策は、[[センター試験 現代社会対策]]、[[センター試験 倫理対策]]、[[センター試験 政治・経済対策]]、[[センター試験 倫理、政治・経済対策]](2012年から)の4科目で構成されている。
地歴・公民(地歴A科目、倫理、政治・経済は除く)は各科目の平均点の中で最高点と最低点の差が20点以上開いた場合、平均点を15点になるように得点調整される。(平成10年度のセンター試験で、地理と日本史で実施されたことがある。)
短期間の勉強でそれなりの点数が取れる教科が多く、社会が苦手な人が多い理系にとっての救済教科かもしれない。
[[Category:センター試験|こうみんたいさく]] | null | 2016-03-15T13:14:43Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E8%A9%A6%E9%A8%93_%E5%85%AC%E6%B0%91%E5%AF%BE%E7%AD%96 |
4,487 | センター試験 地学I対策 | センター試験の中ではかなりマイナーな科目で、物理・化学・生物より受験数は1ケタ少ない。受験者の文理比率は文:理=9:1で文系理科とも呼ばれている。出版されている参考書も物理、化学、生物に較べると明らかに少なく、センター対策が出来る程度。しかし、文系受験者にとっては短期間で仕上がり、高得点も楽に稼げる、まさに穴場の科目。文系でセンター試験の理科を課しているところなら利用できないところはない。内容としては固体地球、岩石鉱物、地質図・地球史、大気海洋、天文の五大分野からひとつずつ大問が組まれている。よってどの範囲も必ず出ると考えて、余計なヤマを張って臨むべきではない。また、2011年までは数学の試験時間から地学の試験時間まで長い休憩があったが、2012年からは理科の時間が統一され、物理•化学•生物と同時に試験することとなった。また、こちらはかなり先のことだが、2016年からは、理科6科目体制から、8科目体制へ移行する事が決定しており、地学においても、「地学」と「地学基礎」の2科目が設定される事を大学入試センターは公表している。
第一問
過去には天文分野が置かれていたが、近年においては教科書のように固体地球分野が固定されてきているといえる。範囲としては地震、プレート運動、地磁気と偏りの無い出題が目を引く。ただし、問われていることは平坦なことばかりであり、地学を得点源にしたい受験生はこのあたりでは満点を狙いたい。また、全ての問題に言えることだが、新しい傾向の問題は皆無といってもよい。よって過去問を研究することで似たような(場合によっては同じ)問題に出くわす可能性が高くなる。
第二問
この大問では岩石鉱物分野について問われる。内容は鉱物の種類、岩石名とその組成、火山の特徴、多形など、地学受験者にとっては基礎中の基礎をまる暗記すればとけるような簡単な問題が多く、完答を狙える分野である。しかしそのため上記の内容を完璧に暗記していない受験生は全くと言っていいほど得点は取れない。あまり難しい問題にあたらず、基礎の徹底がこの分野克服の最良の策である。
第三問
地質図や地球史について問われる。地質図に関しては地質柱状図やロードマップなど、さまざまな形式が問われるが、走向や傾斜をもとに考えれば難しくはない。さらに地質図といっても図そのものに関与する設問ばかりではなく、クリノメーターの使用法、化石年代など、それ単体でも解ける問題も存在する。地質図に迷った時はこれらの設問から説くのもよい。地質図は慣れが重要なので本項目ほど過去問が威力を発揮するものはない。
第四問
A、Bの2つ、またはA~Cの3つの問題に分かれ、前者なら大気と海洋が各一題ずつ、後者なら大気が二題海洋が一題という構成が多い。5つの分野の中では温暖化など近年の環境問題に大きく関わる分野であり、踏み込んだ内容が出されたり、見たことのない図・グラフを問題文を手かがりに読み解かされるなど、最難関である。大気からは基本的な大気の構成や風、熱収支などがよく出題される。最近はあまり出されていないが、フェーン現象や天気図についても注意が必要である。海洋分野においては海水の大循環やエルニーニョ、降水が頻出。
第五問
2~3つの分野から出題されるが、大きくは天球や太陽・惑星、HR図、銀河から出題される。中でもHR図は図が出ないときもあるが、頻出であるので余白部分などに自分で作成できるようにしておきたい。桁数が多く、密度や質量などが絡む問題も出題されるが、単位に気をつければそれほど難しくもない。必要とされているのは確固とした教科書の理解である。ちなみに近年、少なくとも本試験では会合周期に関する出題がないので要注意である。
他の理系教科と比べても本科目は非常に過去問研究が重要である。これはまだ地学自体の全貌があまり解明されておらず、たくさんの説のある事項から聞きにくいということも影響していると思われる。よって過去に出題された問題に似通った問題も多く、大部分が基礎事項の丸暗記だけで解けるものである。また、有名な図表などからもよく出題されるので、暇があれば地学の図表を眺めることオススメする。計算もよく出題され、地学特有の桁の多さに圧倒されるが、過去問と全く同じ問題もよく見かける。また、大体は事実に忠実なのでその数値自体を暗記するという方法(太陽定数や銀河の公転周期などが例)も有効である。だが数値暗記については時間が余れば(おそらく大部分の受験生には余ると思われる)自分なりに計算してみることが重要である。全ての教科に言えることだが、設問条件の確認は重要である。なかでも地学は、問題文自体に解法が潜んでいることもある。時間は他の理科と比べても十分すぎる程あるので、見直しを怠らず、最後まで試験に集中することが大切である。 2013年度の本試験では、正誤判定の組み合わせ問題が初めて出題されたり、複数分野の融合問題が出題されるなどと、若干の出題形式の変更が見られた。また、選択肢が多い問題も増加した。現在の地学は記念受験組が多かったかつての地学とは異なり、純粋な地学受験者が大多数を占めている。その結果、平均点が高止まりしているので、今後、大幅な難化や出題形式・傾向の変化が見られる可能性がある。2013年度の問題には、単に丸暗記したり過去問を解くだけでは対応できない出題も見られたので、どのような問題にも対応できるよう教科書や資料集でしっかりと理解しておく事が以前より重要になったと言える。2014年度の本試験では平均点が50.22点と前年までの平均点と比べて大幅に下がった。内容も単なる教科書の丸暗記では対応できない融合問題や、正誤の紛らわしい選択問題が出題された。とは言え、地学の基本的な考え方が身についていれば、十分対応可能な良問が主であり、いたずらに恐れる必要はない。 | [
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"title": "対策"
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| 日本の大学受験ガイド > センター試験 > センター試験理科対策 > センター試験地学I対策 | *[[日本の大学受験ガイド]] > センター試験 > センター試験理科対策 > センター試験地学I対策
== 総説 ==
センター試験の中ではかなりマイナーな科目で、物理・化学・生物より受験数は1ケタ少ない。受験者の文理比率は文:理=9:1で文系理科とも呼ばれている。出版されている参考書も物理、化学、生物に較べると明らかに少なく、センター対策が出来る程度。しかし、文系受験者にとっては短期間で仕上がり、高得点も楽に稼げる、まさに穴場の科目。文系でセンター試験の理科を課しているところなら利用できないところはない。内容としては固体地球、岩石鉱物、地質図・地球史、大気海洋、天文の五大分野からひとつずつ大問が組まれている。よってどの範囲も必ず出ると考えて、余計なヤマを張って臨むべきではない。また、2011年までは数学の試験時間から地学の試験時間まで長い休憩があったが、2012年からは理科の時間が統一され、物理•化学•生物と同時に試験することとなった。また、こちらはかなり先のことだが、2016年からは、理科6科目体制から、8科目体制へ移行する事が決定しており、地学においても、「地学」と「地学基礎」の2科目が設定される事を大学入試センターは公表している。
== 問題 ==
'''第一問'''
過去には天文分野が置かれていたが、近年においては教科書のように固体地球分野が固定されてきているといえる。範囲としては地震、プレート運動、地磁気と偏りの無い出題が目を引く。ただし、問われていることは平坦なことばかりであり、地学を得点源にしたい受験生はこのあたりでは満点を狙いたい。また、全ての問題に言えることだが、新しい傾向の問題は皆無といってもよい。よって過去問を研究することで似たような(場合によっては同じ)問題に出くわす可能性が高くなる。
'''第二問'''
この大問では岩石鉱物分野について問われる。内容は鉱物の種類、岩石名とその組成、火山の特徴、多形など、地学受験者にとっては基礎中の基礎をまる暗記すればとけるような簡単な問題が多く、完答を狙える分野である。しかしそのため上記の内容を完璧に暗記していない受験生は全くと言っていいほど得点は取れない。あまり難しい問題にあたらず、基礎の徹底がこの分野克服の最良の策である。
'''第三問'''
地質図や地球史について問われる。地質図に関しては地質柱状図やロードマップなど、さまざまな形式が問われるが、走向や傾斜をもとに考えれば難しくはない。さらに地質図といっても図そのものに関与する設問ばかりではなく、クリノメーターの使用法、化石年代など、それ単体でも解ける問題も存在する。地質図に迷った時はこれらの設問から説くのもよい。地質図は慣れが重要なので本項目ほど過去問が威力を発揮するものはない。
'''第四問'''
A、Bの2つ、またはA~Cの3つの問題に分かれ、前者なら大気と海洋が各一題ずつ、後者なら大気が二題海洋が一題という構成が多い。5つの分野の中では温暖化など近年の環境問題に大きく関わる分野であり、踏み込んだ内容が出されたり、見たことのない図・グラフを問題文を手かがりに読み解かされるなど、最難関である。大気からは基本的な大気の構成や風、熱収支などがよく出題される。最近はあまり出されていないが、フェーン現象や天気図についても注意が必要である。海洋分野においては海水の大循環やエルニーニョ、降水が頻出。
'''第五問'''
2~3つの分野から出題されるが、大きくは天球や太陽・惑星、HR図、銀河から出題される。中でもHR図は図が出ないときもあるが、頻出であるので余白部分などに自分で作成できるようにしておきたい。桁数が多く、密度や質量などが絡む問題も出題されるが、単位に気をつければそれほど難しくもない。必要とされているのは確固とした教科書の理解である。ちなみに近年、少なくとも本試験では会合周期に関する出題がないので要注意である。
== 対策 ==
他の理系教科と比べても本科目は非常に過去問研究が重要である。これはまだ地学自体の全貌があまり解明されておらず、たくさんの説のある事項から聞きにくいということも影響していると思われる。よって過去に出題された問題に似通った問題も多く、大部分が基礎事項の丸暗記だけで解けるものである。また、有名な図表などからもよく出題されるので、暇があれば地学の図表を眺めることオススメする。計算もよく出題され、地学特有の桁の多さに圧倒されるが、過去問と全く同じ問題もよく見かける。また、大体は事実に忠実なのでその数値自体を暗記するという方法(太陽定数や銀河の公転周期などが例)も有効である。だが数値暗記については時間が余れば(おそらく大部分の受験生には余ると思われる)自分なりに計算してみることが重要である。全ての教科に言えることだが、設問条件の確認は重要である。なかでも地学は、問題文自体に解法が潜んでいることもある。時間は他の理科と比べても十分すぎる程あるので、見直しを怠らず、最後まで試験に集中することが大切である。
2013年度の本試験では、正誤判定の組み合わせ問題が初めて出題されたり、複数分野の融合問題が出題されるなどと、若干の出題形式の変更が見られた。また、選択肢が多い問題も増加した。現在の地学は記念受験組が多かったかつての地学とは異なり、純粋な地学受験者が大多数を占めている。その結果、平均点が高止まりしているので、今後、大幅な難化や出題形式・傾向の変化が見られる可能性がある。2013年度の問題には、単に丸暗記したり過去問を解くだけでは対応できない出題も見られたので、どのような問題にも対応できるよう教科書や資料集でしっかりと理解しておく事が以前より重要になったと言える。2014年度の本試験では平均点が50.22点と前年までの平均点と比べて大幅に下がった。内容も単なる教科書の丸暗記では対応できない融合問題や、正誤の紛らわしい選択問題が出題された。とは言え、地学の基本的な考え方が身についていれば、十分対応可能な良問が主であり、いたずらに恐れる必要はない。
[[Category:センター試験|ちかく1たいさく]] | null | 2015-01-10T11:01:21Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E8%A9%A6%E9%A8%93_%E5%9C%B0%E5%AD%A6I%E5%AF%BE%E7%AD%96 |
4,489 | 高等学校数学II 加法定理の幾何的導出 | 高等学校数学II > いろいろな関数 > 加法定理の幾何的導出
左図のように、∠ABC及び∠ACDが直角でありACを共有する直角三角形ΔABC及びΔACDを想定し、∠BAC=α、∠CAD=βとする。なお、α+β<π/2としておく(拡張は可能であるが、視覚的理解のため条件を限定しておく)。さらに、AD=1としておいても、一般性を失わない。
Dから直線BCに垂直におろした線との交点をE、直線ABに垂直におろした線との交点をFとする。
このとき、α + β の三角関数を評価するのは、直角三角形ΔAFDにおいて、
sin(α+β) = DF / AD 及び cos(α+β) = AF / AD を評価すればよい。
さらに、AD=1としているので、DF と AF を求めることに帰結される。
【解法】
以上より | [
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| 高等学校数学II > いろいろな関数 > 加法定理の幾何的導出 左図のように、∠ABC及び∠ACDが直角でありACを共有する直角三角形ΔABC及びΔACDを想定し、∠BAC=α、∠CAD=βとする。なお、α+β<π/2としておく(拡張は可能であるが、視覚的理解のため条件を限定しておく)。さらに、AD=1としておいても、一般性を失わない。 Dから直線BCに垂直におろした線との交点をE、直線ABに垂直におろした線との交点をFとする。 このとき、α + β の三角関数を評価するのは、直角三角形ΔAFDにおいて、 sin(α+β) = DF / AD 及び cos(α+β) = AF / AD を評価すればよい。 さらに、AD=1としているので、DF と AF を求めることに帰結される。 【解法】 以上より | <small>[[高等学校数学II]] > [[高等学校数学II いろいろな関数|いろいろな関数]] > '''加法定理の幾何的導出'''</small>
[[画像:加法定理.PNG|right]]
左図のように、∠ABC及び∠ACDが直角でありACを共有する直角三角形ΔABC及びΔACDを想定し、∠BAC=α、∠CAD=βとする。なお、α+β<π/2としておく(拡張は可能であるが、視覚的理解のため条件を限定しておく)。さらに、AD=1としておいても、一般性を失わない。
Dから直線BCに垂直におろした線との交点をE、直線ABに垂直におろした線との交点をFとする。
このとき、'''α + β''' の三角関数を評価するのは、直角三角形ΔAFDにおいて、
sin(α+β) = DF / AD 及び cos(α+β) = AF / AD を評価すればよい。
さらに、AD=1としているので、DF と AF を求めることに帰結される。
【解法】
:AC = cos''β''
:AB = AC・cos''α'' = cos''α''・cos''β''
:BC = AC・sin''α'' = sin''α''・cos''β''
:CD = sin''β''
:ここで、∠DCE='''α''' であるため、
:CE = CD・cos''α'' = cos''α''・sin''β''
:BE = BC + CE =<u> sin''α''・cos''β'' + cos''α''・sin''β'' = ''DF''</u>
:DE = CD・sin''α'' = sin''α''・sin''β''
:<u>AF = AB - FB(=DE) = cos''α''・cos''β'' - sin''α''・sin''β''</u>
以上より
:<u>DF = sin''(α+β)'' = sin''α''・cos''β'' + cos''α''・sin''β''</u>
:<u>AF = cos''(α+β)'' = cos''α''・cos''β'' - sin''α''・sin''β''</u>
[[カテゴリ:高等学校数学II]] | null | 2022-11-25T05:20:19Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E5%AD%A6II_%E5%8A%A0%E6%B3%95%E5%AE%9A%E7%90%86%E3%81%AE%E5%B9%BE%E4%BD%95%E7%9A%84%E5%B0%8E%E5%87%BA |
4,498 | センター試験 世界史対策 | 世界史Aと世界史Bは第一問目が共通問題で、配点も同じである。出題内容は、世界史Aと世界史Bの共通分野である近現代の分野から出題されている。これは、世界史Aが初めて登場した1997年度センター試験からずっと変わらない。 | [
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"text": "世界史Aと世界史Bは第一問目が共通問題で、配点も同じである。出題内容は、世界史Aと世界史Bの共通分野である近現代の分野から出題されている。これは、世界史Aが初めて登場した1997年度センター試験からずっと変わらない。",
"title": "世界史全体の出題について"
}
]
| 日本の大学受験ガイド> センター試験 > センター試験 地理歴史対策 > センター試験 世界史対策 | *[[日本の大学受験ガイド]]> センター試験 > [[センター試験 地理歴史対策]] > センター試験 世界史対策
== 総説 ==
== 世界史全体の出題について ==
世界史Aと世界史Bは第一問目が共通問題で、配点も同じである。出題内容は、[[世界史]]Aと世界史Bの共通分野である近現代の分野から出題されている。これは、世界史Aが初めて登場した1997年度センター試験からずっと変わらない。
== 各説 ==
*[[センター試験 世界史A対策]]
*[[センター試験 世界史B対策]]
[[Category:センター試験|せかいしたいさく]] | null | 2008-05-25T11:59:01Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E8%A9%A6%E9%A8%93_%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%8F%B2%E5%AF%BE%E7%AD%96 |
4,508 | センター試験 世界史B対策 | 通史・同時代史・テーマ史など、色々な方向から歴史の流れを見ていく必要がある科目である。
世界史Aとの共通問題。ほとんど18世紀以降の内容が出る。 | [
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| 日本の大学受験ガイド> センター試験 > センター試験 地理歴史対策 > センター試験 世界史対策 > センター試験 世界史B対策 | *[[日本の大学受験ガイド]]> センター試験 > [[センター試験 地理歴史対策]] > センター試験 世界史対策 > センター試験 世界史B対策
== 総説 ==
* 日本史より浅い知識しか要求されないようになっている。世界史は範囲が広い分、他科目と難易度をあわせるという配慮のため。
通史・同時代史・テーマ史など、色々な方向から歴史の流れを見ていく必要がある科目である。
* テーマ史的な出題が多い。
* 文化史の出題もあり、しかも年によっては文化史の配点が20%くらいの配点になることもあるので、注意は必要。私大入試では、文化史は、あまり問われない分野である。
* 私大の入試に較べると、比較的、易しい内容で構成されている。
* 地歴公民のセンター科目の中では、平均点の差の小ささが一番。
==第一問==
世界史Aとの共通問題。ほとんど18世紀以降の内容が出る。
==第二問==
==第三問==
==第四問==
[[Category:センター試験|せかいしBたいさく]] | null | 2014-01-26T07:48:32Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E8%A9%A6%E9%A8%93_%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%8F%B2B%E5%AF%BE%E7%AD%96 |
4,512 | 料理本/飲料 | 飲料では飲用を目的とした液体を扱う。 | [
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| 飲料では飲用を目的とした液体を扱う。 緑茶
紅茶
チャイ
コーヒー | '''飲料'''では飲用を目的とした液体を扱う。
*[[/緑茶|緑茶]]
*[[料理本/紅茶|紅茶]]
**[[/チャイ|チャイ]]
*[[/コーヒー|コーヒー]]
==アルコール飲料==
*[[/アルコール飲料]]を参照。
[[en:Cookbook:Beverages]]
[[he:ספר מתכונים/משקאות]]
[[Category:飲料|*]] | 2006-11-24T00:24:51Z | 2023-10-31T16:13:12Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%96%99%E7%90%86%E6%9C%AC/%E9%A3%B2%E6%96%99 |
4,517 | 日本史/近世/江戸時代 | 徳川時代は戦国時代及び安土桃山時代の「合戦による時代」の終わりを特徴付けた。時代の始まりは関ヶ原の戦いによってそれ以降の時代が徳川家による時代であることを示したことに始まる。関ケ原の戦いで勝利した徳川家康は征夷大将軍 (あるいは国の軍事的支配者) に任ずるよう上奏し、征夷大将軍に就くと同時に天皇を名目上の元首として維持させた。これは歴代の幕府に全て共通することである。将軍の職はそのときから後の時代まで家康の子孫へ引き継がれた。七代将軍・徳川家継が幼くして死去したことで二代将軍・秀忠の子孫が途絶えた後、こういったこと (宗家断絶) を想定して家康が設けた3つの分家 (全て秀忠の兄弟の家) のうち、紀伊徳川家から八代将軍として徳川吉宗が選ばれた。そして、15代将軍まですべて徳川一族で占められることとなった。
江戸時代は総じて権力が徳川家に集中し、支配者が代わるようなことはなかった。それはすなわち、(関ヶ原の戦い以降)国を二分するような大きな戦がなく平和であったことを意味する。これにより、いくつかのメリット及びデメリットが発生した。詳しくは後述の「#平和」を参照。
このページでは江戸時代すべてに共通する政策などをまとめるほか、一揆や戦闘について取り扱う。江戸時代は長い時代であり(これも家康が基盤固めをしっかり行ったため)、関ケ原直後のことと幕末のことは一緒に取り扱うわけにはいかないので、「前期」「中期」「後期」の3つのページで時期ごとの政策や文化を取り扱う。
江戸時代は他の時代に比べて現代に近いため、研究が進んでいるかのように思うかもしれない。しかし、江戸時代には「神君」とされた家康は過剰に賛美され(もちろん幕府を直接批判するのは不可能)、明治時代には明治政府の正当性を示す意味もあって過剰に貶められた。こうした政治的事情が史料にも大きな影響を与えている。また、講談や歴史小説によって流布された俗説や根拠の怪しい「記録」も多い。そのため、21世紀に入ってからようやく解明されたことが多い。
安土桃山時代の章で触れた通り、豊臣秀吉はまだ幼い秀頼を唯一の子孫としてこの世を去る。その直後に秀吉が残した五大老への手紙により秀頼が成人するまで前田利家が主にそばで支えることとしたが、利家もまもなくこの世を去る(利家と秀吉は同年代である)。すなわち、この時点で秀吉の読みは崩れ始める。反家康派の筆頭であった利家が死去したことで家康および加藤清正らの勢力が力を持ち始める。変わって反家康派の筆頭と成った石田三成は秀吉に仕えていた時代から頭脳派で、清正や福島正則といった武力派との溝は深くなっていく一方だった。
そしてこの頃から、家康は秀吉が生前に定めた法度を次々と破りだし、勢いに乗った家康派の清正および正則などがついに三成を襲撃にかかる。三成は己の兵力で彼らを防げないと見るやいなや家康邸に逃げ込む。家康が己 (=三成) を殺すことはないとわかっていたためである。家康は三成を保護し、清正一味から匿うが代償として三成は居城である佐和山城で引退を余儀なくされる。
しかし、家康があまりに横暴をはたらいたので、三成は仲の良かった直江兼続およびその主上杉景勝 (通称、「義の男」として戦国時代に一世を風靡した上杉謙信の養子) と手を組み打倒家康を狙う。第一歩として景勝は軍備設備の整備および拡張を行う。これにおこった家康は「謀叛の疑いあり、至急上洛せよ」(当時、上杉家は越後から会津に移封されていたが、これは家康の監視のためだったと言われている)と文を送るが、兼続はその要請を無視し、家康に苦言を書き連ね、謀反を疑われる行動を釈明し論破したのベ15か条 (違うものもある) の文書を家康に送りこれに激怒した家康は伏見城に鳥居元忠を残して兵を引き連れ会津征伐に出発した。しかし、これを好機とみた三成は家康らが会津に着く前に兵を挙げ、伏見城を落とす。家康は長らく自身に仕えてきた元忠の死をきっかけに兵を引き返し一路美濃・近江方面に進軍する(これを決定した軍議を小山評定という)。
関ヶ原の戦いは徳川家康を総大将とする東軍と毛利輝元を総大将とする西軍の間で戦われた。しかし、毛利輝元は実際のところ戦っておらず、石田三成が事実上の総大将となった。石田三成は、豊臣秀吉の後継者である秀頼の代わりに戦った、とも言える
家康は想像を上回る三成の兵力に驚嘆し、西軍の大名に東軍への裏切りをするよう文を送りつけた。前述の家康の工作が功を奏し小早川家の当主、小早川秀秋は石田三成を裏切った。それをはじめとして他の中小大名が次々と寝返ってしまい、これを大因として家康は勝ってしまった。
一方、家康の嫡男で後の2代目将軍、徳川秀忠率いる東軍の別働隊 (38000人) が、西軍に味方しつつも関ヶ原に来ず彼らの居城である上田城 (など) に籠城する真田昌幸ら2500~3000人程度の真田軍を討伐するため中山道を進んだが、真田軍に苦戦し、家康からの催促でおさえの兵を残してようやく動き出した。しかし、時既に遅し、東軍は主力兵力を欠かした70000人程で80000人程の西軍に対峙した。特筆すべきは、当初の計画の人数と異なる軍勢で劣っていた家康に三成が敗北したことだ。
以上が関ケ原の合戦のあらましだが、2000年代以降、この合戦についての研究が進み、従来の学説および歴史小説で見られた展開は大幅に見直されている。
※現在の大阪は明治時代まで大坂と呼称、それにならってこのページでは大坂と書きます。
前述のとおり関ケ原の戦いで徳川家康が政の主導権を握り、豊臣秀吉の唯一の嫡子であった豊臣秀頼(右大臣)を首領とする豊臣側はその領地を大幅に削られた。徳川家康は死が近づいていることを否めなくなり、死ぬまでに江戸幕府の盤石を頑丈なものにしたいと欲した家康は豊臣家を滅ぼしにかかる。
豊臣家は当時豊臣秀頼を頂点とする三角形となっていたものの秀頼が内気な性格だったこともあり、実質的な首領は秀頼を産んだ親である淀君、その他秀吉の妻複数が該当していた(正室であるねねは出家し尼となっており寺で徳川家による軟禁状態にあった、と言われ、『尼将軍』として大きく影響力をもった北条正子とは大きく異なる)。豊臣側への挑発として徳川家は、豊臣家の名目で行われた方広寺の復建に伴って新造された鐘の銘文「国家安康、君臣豊楽」を「【家康】の二字を引き離し、【豊臣】を楽として家康を呪い豊臣家の繁栄を願っている」などと言いがかりをつけ豊臣家に問い詰めた。豊臣家に突きつけられた条件は以下の通りである。
これらの条件は括弧内で示した通り豊臣家に利はなく、淀殿 (秀吉の側室で秀頼の生母) がこの案を言上した片桐且元を怒鳴りつけたため、しだいに且元は「裏切り者」の扱いをされるようになり、大坂城を去ってしまう(実際には且元は豊臣家のためを思って実行したが、大坂城を去った後は家康の家臣となる)。ここから、家康は「豊臣包囲網」を組み始める。慶長6年に築城を始めた膳所城を皮切りに伏見城及び二条城、彦根城、篠山城、亀山城、北ノ庄城、名古屋城の再建・造営、江戸城及び駿府城、姫路城、上野城などの大改修が具体的な例である。
ただいま、内容は執筆中です。もしくは、あなたが執筆してみませんか?
慶長19年、豊臣方は全国各地の大名に「豊臣方に味方せよ」という趣旨の文を送り、また関ヶ原の合戦で西軍についた浪人にも同様の文を送った。豊臣家は秀吉の頃に大量の金銀を確保しており、その散財を目的として家康が方広寺などの改修を勧めたが、あまり影響はなかった。あまりにも各地の鉱山を確保して金銀を備蓄したため、と言われている。そしてこの金銀を餌に浪人衆を集めた。彼らは前述の通り関ヶ原の合戦で敵対したために領地を取り上げられたり、あるいは家康に藩を潰されたり、といったように皆家康に恨みを持つ者ばかりだった。また、家康の厳しいキリスト教弾圧政策で潜伏していたキリシタン大名も戦後のキリスト教保護を約束され五七の桐の下についた。彼らもまた家康に恨みがあった。また、キリシタン大名に従ってきた神父なども多く参加していた。しかし、浪人衆は集まったものの、大名は誰一人として大坂城に馳せ参じる者はおらず、福島正則が唯一蔵の兵糧の供出を黙認した、と言われているのみである。浪人を雇い入れたため、豊臣方は秀頼を名目上の頂点とし、その下に豊臣家一族および従来からの家臣、その下に真田信繁や後藤又兵衛など5人を代表とする浪人衆によるピラミッドを構成する。
豊臣家の家臣である片桐且元は、方広寺の一件以来悪化は進む一方であった両家の関係を改善するため、江戸と大坂を行き来し、奔走する。そして、私案として以下の3つの一つを採用するように進言した。
しかし、三角形の頂点に君臨していた淀殿らは反対。且元の私案だったため、且元を改易の処分とし、高野山に封じるとした。しかし、且元は豊臣家の家臣であったものの、家康から1万石を加増されるなど、事実上家康の家臣でもあった。そのため、豊臣方による且元への処分を口実に家康は諸大名へ出兵を命じる。こうして、前代未聞の天下を取った者とその臣下で天下を奪った者という構図の、関ヶ原以来続いた豊臣家と徳川家のにらみ合いに決着をつける戦いは火ぶたを切ることとなる。
1637年から1638年にかけて、おもにキリシタンからなる農民のグループが、浪人の子で同じくキリシタンの天草四郎を頭領として九州の天草を中心に一揆を起こした。彼らの主要な動機は宗教的なものではなく重い年貢が課されたためであった可能性が高いものの、後述のキリスト教に対する制限政策の一因としてこの戦いでキリシタンが宗教的に死を恐れず攻撃してきたことと、団結力の高さが共に幕府への脅威となったことが挙げられるため、ある程度宗教的なものであった可能性も考えられる。
彼らは原城 (跡) を占領した。幕府はそれをを鎮めるために30000の兵を送ったが、勝てなかった。しかしついに幕府は一揆を鎮圧し、37000の反幕府勢力を処刑した。この後、キリスト教は完全に止された(一応これ以前にも同様の法令は出ていたがこの地域は改宗しない者が多かった)。これは1860年代まで日本における最後の主要な戦いであった。
戦国時代の1549年に唐 (当時の中国) 船に乗っていたところ難破し薩摩国種子島にポルトガル人が漂着したことで始まった西洋との関係は鉄砲 (火縄銃) やキリスト教の布教などで発展した。それらは主に当時の実力者であった織田信長が仏教への対抗勢力としてキリスト教を保護したこと、貿易での利益をあげたい九州の大名の一部がキリスト教になってキリシタン大名となったことが大きな理由である。しかし、織田信長の死後権力を握った羽柴秀吉は貿易を推進するも、キリスト教の布教そのものは禁止とし、宣教師などを追放し、キリシタン大名らにも改宗を迫った。それらの理由として、「他の大航海時代に植民地となった多くの国が宗主国のキリスト教の布教による信者 (=協力者) を利用して植民地化されているため」と言われている。しかし、貿易の利益を優先したため十分な取り締まりができなかった。その死後権力を掌握した徳川家康は同様にキリスト教の禁止を目論んだものの、秀吉の失敗もありより厳重な取り締まりを行った。その内容は、
などである。しかし、信仰は弾圧に打ち勝ち、前述のとおり島原・天草の乱が起こる。幕府軍が苦戦していた頃、ポルトガル船によって海上から一揆勢に砲撃を加えたこともあった。島原・天草の乱の後、3代将軍徳川家光 (当時の将軍) はスペイン船が一揆勢を幇助したとして来航を禁止する。この乱を経験した家光は弾圧に積極的で、カトリックのためキリスト教を広める可能性が排除できないポルトガルも来航を禁じられ、イギリスも貿易赤字のため商館を閉鎖し引き揚げていたことから西洋からはオランダが唯一の交易国となった。末期に至るまで、この状態のまま推移した。開国~倒幕までの海外との関係に関しては /後期を参照。
室町時代より、日本と明との日明貿易では勘合による勘合貿易が行われていたが #ヨーロッパ の節でも説明したとおり朱印船貿易になった。この後、日本と東南アジア及び東アジア間に商人や琉球王国を介した貿易網ができ、シャム (現在のタイ) など日本人の多く訪れる場所は日本人町が形成され日本の貨幣、日本の法令、日本人によるコミニュティイの統治が行われたが、後述の家光の鎖国政策により滅びた。朝鮮には秀吉の朝鮮侵略がもとでそれ以降の国交はなかったが、家康の意向で対馬藩の宗氏によって紆余曲折ありながらも国交が結ばれた。
徳川家光の積極的なキリスト教排除の政策によりオランダ、明、朝鮮、琉球王国 (江戸中期に薩摩藩によって侵略) の4国のみが日本と貿易を許されるという結果になった。これらの政策をまとめて「鎖国」と後世呼ばれるようになった。
江戸時代は戦国時代および安土桃山時代の武将の誰もが達成できなかった「平和な時代」を達成した。徳川家康が徳川家の安定と繁栄を図って武家諸法度や禁中並公家諸法度などを用いて謀反などの反乱を起こしにくくし、さらには庶民が平和を望んでいたためである。世界的に見ても、島原・天草一揆から戊辰戦争までの長きに渡って大規模な戦いや反乱の起きることなく平和な時代を継続した珍しい例であると考えられている。しかし、これによって武士の権威が少しずつ無くなっていったばかりか、町人の力が強まった時代でもある。であるからして、従来の米を中心とした経済 (武士などの支配者中心) から貨幣経済 (町人中心) へと世の中は変わっていったが、中期から後期にかけての3度に渡る幕政改革ではそういった世間を反映することができなかった。1度だけ老中の田沼意次が貨幣を中心とした経済構造に幕府もあわせよう、という政策を行ったものの、賂が横行したことやそれをよく思わぬ者により田沼が失脚したことをために (他にも田沼が失脚した理由はある) この政策は上手くいかず(株仲間による物価上昇など)。
これら経済の移り変わり以外にも、浪人 (表記ゆれ:牢人) の問題もある。幕府の反乱を恐れた大名および藩の積極的な取りつぶしや減封によって多くの浪人が発生した。これらの浪人は最初こそ由井正雪などを中心とした幕府の転覆計画に賛同したり(この計画は密告により失敗)、大坂の陣において豊臣方に味方したり、あるいは島原・天草一揆の一揆勢として戦うなど幕府に対し攻撃的な姿勢であった。しかし、これらの浪人の動きが幕府の破綻に繋がらなくもないと考えた幕府は一転し、これら浪人から幕府に対しての反抗心を無くしたり、そもそも浪人が発生しないようにする政策を取り始めた。例えば、士官先や就職先を幕府が探す、藩の取りつぶしではなく移封することでの対応で浪人の発生を抑える、といったようにである。ただし、これでも幾つかの浪人は悪に手を染めたり、反社会的勢力の用心棒やそれらそのものになったりなど、必ずしも浪人が幕府に対する反抗心などを抱いていなかったわけではない。 | [
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"text": "慶長19年、豊臣方は全国各地の大名に「豊臣方に味方せよ」という趣旨の文を送り、また関ヶ原の合戦で西軍についた浪人にも同様の文を送った。豊臣家は秀吉の頃に大量の金銀を確保しており、その散財を目的として家康が方広寺などの改修を勧めたが、あまり影響はなかった。あまりにも各地の鉱山を確保して金銀を備蓄したため、と言われている。そしてこの金銀を餌に浪人衆を集めた。彼らは前述の通り関ヶ原の合戦で敵対したために領地を取り上げられたり、あるいは家康に藩を潰されたり、といったように皆家康に恨みを持つ者ばかりだった。また、家康の厳しいキリスト教弾圧政策で潜伏していたキリシタン大名も戦後のキリスト教保護を約束され五七の桐の下についた。彼らもまた家康に恨みがあった。また、キリシタン大名に従ってきた神父なども多く参加していた。しかし、浪人衆は集まったものの、大名は誰一人として大坂城に馳せ参じる者はおらず、福島正則が唯一蔵の兵糧の供出を黙認した、と言われているのみである。浪人を雇い入れたため、豊臣方は秀頼を名目上の頂点とし、その下に豊臣家一族および従来からの家臣、その下に真田信繁や後藤又兵衛など5人を代表とする浪人衆によるピラミッドを構成する。",
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"text": "豊臣家の家臣である片桐且元は、方広寺の一件以来悪化は進む一方であった両家の関係を改善するため、江戸と大坂を行き来し、奔走する。そして、私案として以下の3つの一つを採用するように進言した。",
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"text": "しかし、三角形の頂点に君臨していた淀殿らは反対。且元の私案だったため、且元を改易の処分とし、高野山に封じるとした。しかし、且元は豊臣家の家臣であったものの、家康から1万石を加増されるなど、事実上家康の家臣でもあった。そのため、豊臣方による且元への処分を口実に家康は諸大名へ出兵を命じる。こうして、前代未聞の天下を取った者とその臣下で天下を奪った者という構図の、関ヶ原以来続いた豊臣家と徳川家のにらみ合いに決着をつける戦いは火ぶたを切ることとなる。",
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"text": "1637年から1638年にかけて、おもにキリシタンからなる農民のグループが、浪人の子で同じくキリシタンの天草四郎を頭領として九州の天草を中心に一揆を起こした。彼らの主要な動機は宗教的なものではなく重い年貢が課されたためであった可能性が高いものの、後述のキリスト教に対する制限政策の一因としてこの戦いでキリシタンが宗教的に死を恐れず攻撃してきたことと、団結力の高さが共に幕府への脅威となったことが挙げられるため、ある程度宗教的なものであった可能性も考えられる。",
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"text": "彼らは原城 (跡) を占領した。幕府はそれをを鎮めるために30000の兵を送ったが、勝てなかった。しかしついに幕府は一揆を鎮圧し、37000の反幕府勢力を処刑した。この後、キリスト教は完全に止された(一応これ以前にも同様の法令は出ていたがこの地域は改宗しない者が多かった)。これは1860年代まで日本における最後の主要な戦いであった。",
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"text": "戦国時代の1549年に唐 (当時の中国) 船に乗っていたところ難破し薩摩国種子島にポルトガル人が漂着したことで始まった西洋との関係は鉄砲 (火縄銃) やキリスト教の布教などで発展した。それらは主に当時の実力者であった織田信長が仏教への対抗勢力としてキリスト教を保護したこと、貿易での利益をあげたい九州の大名の一部がキリスト教になってキリシタン大名となったことが大きな理由である。しかし、織田信長の死後権力を握った羽柴秀吉は貿易を推進するも、キリスト教の布教そのものは禁止とし、宣教師などを追放し、キリシタン大名らにも改宗を迫った。それらの理由として、「他の大航海時代に植民地となった多くの国が宗主国のキリスト教の布教による信者 (=協力者) を利用して植民地化されているため」と言われている。しかし、貿易の利益を優先したため十分な取り締まりができなかった。その死後権力を掌握した徳川家康は同様にキリスト教の禁止を目論んだものの、秀吉の失敗もありより厳重な取り締まりを行った。その内容は、",
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"text": "などである。しかし、信仰は弾圧に打ち勝ち、前述のとおり島原・天草の乱が起こる。幕府軍が苦戦していた頃、ポルトガル船によって海上から一揆勢に砲撃を加えたこともあった。島原・天草の乱の後、3代将軍徳川家光 (当時の将軍) はスペイン船が一揆勢を幇助したとして来航を禁止する。この乱を経験した家光は弾圧に積極的で、カトリックのためキリスト教を広める可能性が排除できないポルトガルも来航を禁じられ、イギリスも貿易赤字のため商館を閉鎖し引き揚げていたことから西洋からはオランダが唯一の交易国となった。末期に至るまで、この状態のまま推移した。開国~倒幕までの海外との関係に関しては /後期を参照。",
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"text": "室町時代より、日本と明との日明貿易では勘合による勘合貿易が行われていたが #ヨーロッパ の節でも説明したとおり朱印船貿易になった。この後、日本と東南アジア及び東アジア間に商人や琉球王国を介した貿易網ができ、シャム (現在のタイ) など日本人の多く訪れる場所は日本人町が形成され日本の貨幣、日本の法令、日本人によるコミニュティイの統治が行われたが、後述の家光の鎖国政策により滅びた。朝鮮には秀吉の朝鮮侵略がもとでそれ以降の国交はなかったが、家康の意向で対馬藩の宗氏によって紆余曲折ありながらも国交が結ばれた。",
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"text": "徳川家光の積極的なキリスト教排除の政策によりオランダ、明、朝鮮、琉球王国 (江戸中期に薩摩藩によって侵略) の4国のみが日本と貿易を許されるという結果になった。これらの政策をまとめて「鎖国」と後世呼ばれるようになった。",
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"text": "江戸時代は戦国時代および安土桃山時代の武将の誰もが達成できなかった「平和な時代」を達成した。徳川家康が徳川家の安定と繁栄を図って武家諸法度や禁中並公家諸法度などを用いて謀反などの反乱を起こしにくくし、さらには庶民が平和を望んでいたためである。世界的に見ても、島原・天草一揆から戊辰戦争までの長きに渡って大規模な戦いや反乱の起きることなく平和な時代を継続した珍しい例であると考えられている。しかし、これによって武士の権威が少しずつ無くなっていったばかりか、町人の力が強まった時代でもある。であるからして、従来の米を中心とした経済 (武士などの支配者中心) から貨幣経済 (町人中心) へと世の中は変わっていったが、中期から後期にかけての3度に渡る幕政改革ではそういった世間を反映することができなかった。1度だけ老中の田沼意次が貨幣を中心とした経済構造に幕府もあわせよう、という政策を行ったものの、賂が横行したことやそれをよく思わぬ者により田沼が失脚したことをために (他にも田沼が失脚した理由はある) この政策は上手くいかず(株仲間による物価上昇など)。",
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"text": "これら経済の移り変わり以外にも、浪人 (表記ゆれ:牢人) の問題もある。幕府の反乱を恐れた大名および藩の積極的な取りつぶしや減封によって多くの浪人が発生した。これらの浪人は最初こそ由井正雪などを中心とした幕府の転覆計画に賛同したり(この計画は密告により失敗)、大坂の陣において豊臣方に味方したり、あるいは島原・天草一揆の一揆勢として戦うなど幕府に対し攻撃的な姿勢であった。しかし、これらの浪人の動きが幕府の破綻に繋がらなくもないと考えた幕府は一転し、これら浪人から幕府に対しての反抗心を無くしたり、そもそも浪人が発生しないようにする政策を取り始めた。例えば、士官先や就職先を幕府が探す、藩の取りつぶしではなく移封することでの対応で浪人の発生を抑える、といったようにである。ただし、これでも幾つかの浪人は悪に手を染めたり、反社会的勢力の用心棒やそれらそのものになったりなど、必ずしも浪人が幕府に対する反抗心などを抱いていなかったわけではない。",
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| 徳川時代は戦国時代及び安土桃山時代の「合戦による時代」の終わりを特徴付けた。時代の始まりは関ヶ原の戦いによってそれ以降の時代が徳川家による時代であることを示したことに始まる。関ケ原の戦いで勝利した徳川家康は征夷大将軍 (あるいは国の軍事的支配者) に任ずるよう上奏(じょうそう)し、征夷大将軍に就くと同時に天皇を名目上の元首として維持させた。これは歴代の幕府に全て共通することである。将軍の職はそのときから後の時代まで家康の子孫へ引き継がれた。七代将軍・徳川家継が幼くして死去したことで二代将軍・秀忠の子孫が途絶えた後、こういったこと (宗家断絶) を想定して家康が設けた3つの分家 (全て秀忠の兄弟の家) のうち、紀伊徳川家(きいとくがわけ)から八代将軍として徳川吉宗が選ばれた。そして、15代将軍まですべて徳川一族で占められることとなった。 江戸時代は総じて権力が徳川家に集中し、支配者が代わるようなことはなかった。それはすなわち、(関ヶ原の戦い以降)国を二分するような大きな戦がなく平和であったことを意味する。これにより、いくつかのメリット及びデメリットが発生した。詳しくは後述の「#平和」を参照。 このページでは江戸時代すべてに共通する政策などをまとめるほか、一揆や戦闘について取り扱う。江戸時代は長い時代であり(これも家康が基盤固めをしっかり行ったため)、関ケ原直後のことと幕末のことは一緒に取り扱うわけにはいかないので、「前期」「中期」「後期」の3つのページで時期ごとの政策や文化を取り扱う。 江戸時代は他の時代に比べて現代に近いため、研究が進んでいるかのように思うかもしれない。しかし、江戸時代には「神君」とされた家康は過剰に賛美され(もちろん幕府を直接批判するのは不可能)、明治時代には明治政府の正当性を示す意味もあって過剰に貶められた。こうした政治的事情が史料にも大きな影響を与えている。また、講談や歴史小説によって流布された俗説や根拠の怪しい「記録」も多い。そのため、21世紀に入ってからようやく解明されたことが多い。 | {{Pathnav|メインページ|歴史学|日本史|frame=1}}
{{Wikipedia|江戸時代}}
徳川時代は戦国時代及び安土桃山時代の「合戦による時代」の終わりを特徴付けた。時代の始まりは関ヶ原の戦いによってそれ以降の時代が徳川家による時代であることを示したことに始まる。関ケ原の戦いで勝利した徳川家康は<small>征夷大</small>将軍 (あるいは国の軍事的支配者) に任ずるよう{{Ruby|[[wikt:上奏|上奏]]|じょうそう|し}}、征夷大将軍に就くと同時に天皇を名目上の元首として維持させた。これは歴代の幕府に全て共通することである。将軍の職はそのときから後の時代まで家康の子孫へ引き継がれた。七代将軍・徳川家継が幼くして死去したことで二代将軍・秀忠の子孫が途絶えた後、こういったこと (宗家断絶) を想定して家康が設けた3つの分家 (全て秀忠の兄弟の家) のうち、{{ruby|紀伊徳川家|きいとくがわけ}}から八代将軍として徳川吉宗が選ばれた。そして、15代将軍まですべて徳川一族で占められることとなった。
江戸時代は総じて権力が徳川家に集中し、支配者が代わるようなことはなかった。それはすなわち、(関ヶ原の戦い以降)国を二分するような大きな戦がなく平和であったことを意味する。これにより、いくつかのメリット及びデメリットが発生した。詳しくは後述の「[[日本史 江戸時代#平和|#平和]]」を参照。
このページでは江戸時代すべてに共通する政策などをまとめるほか、一揆や戦闘について取り扱う。江戸時代は長い時代であり(これも家康が基盤固めをしっかり行ったため)、関ケ原直後のことと幕末のことは一緒に取り扱うわけにはいかないので、「[[日本史 江戸時代/前期|前期]]」「[[日本史 江戸時代/中期|中期]]」「[[日本史 江戸時代/後期|後期]]」の3つのページで時期ごとの政策や文化を取り扱う。
江戸時代は他の時代に比べて現代に近いため、研究が進んでいるかのように思うかもしれない。しかし、江戸時代には「神君」とされた家康は過剰に賛美され(もちろん幕府を直接批判するのは不可能)、明治時代には明治政府の正当性を示す意味もあって過剰に貶められた。こうした政治的事情が史料にも大きな影響を与えている。また、講談や歴史小説によって流布された俗説や根拠の怪しい「記録」も多い<ref group="注釈">その例として、真田「幸村」がいる。本来の名は「信繁」だったが、『難波戦記』などの講談本で「幸村」とよばれて有名になった。その結果、「幸村」の名が広まりすぎて本来の「信繁」はほぼ忘れられ、ついには真田本家である松代藩が作成した系図でも「幸村」の名を採用するに至った。</ref>。そのため、21世紀に入ってからようやく解明されたことが多い。
== {{Ruby|関ヶ原|せきがはら}}の{{Ruby|戦|たたか}}い ==
[[ファイル:Sekigaharascreen.jpg|フレームなし|400x400ピクセル]]
=== 背景 ===
安土桃山時代の章で触れた通り、豊臣秀吉はまだ幼い[[W:豊臣秀頼|秀頼]]を唯一の子孫としてこの世を去る。その直後に秀吉が残した五大老<!-- 固有名詞のため漢数字 -->への手紙により秀頼が成人するまで[[W:前田利家|前田利家]]が'''主に'''そばで支えることとしたが、利家もまもなくこの世を去る(利家と秀吉は同年代である)。すなわち、この時点で秀吉の読みは崩れ始める。反家康派の筆頭であった利家が死去したことで家康および[[W:加藤清正|加藤清正]]らの勢力が力を持ち始める。変わって反家康派の筆頭と成った石田三成は秀吉に仕えていた時代から頭脳派で、<!-- [[日本史 安土桃山時代#朝鮮出兵|朝鮮出兵]]の一件などを通し -->清正や[[W:福島正則|福島正則]]といった武力派との溝は深くなっていく一方だった。
そしてこの頃から、家康は秀吉が生前に定めた法度を次々と破りだし、勢いに乗った家康派の清正および正則などがついに三成を襲撃にかかる。三成は己の兵力で彼らを防げないと見るやいなや家康邸に逃げ込む。家康が己 (=三成) を殺すことはないとわかっていたためである。家康は三成を保護し、清正一味から匿うが代償として三成は居城である[[W:佐和山城|佐和山城]]で引退を余儀なくされる。
しかし、家康があまりに横暴をはたらいたので、三成は仲の良かった[[W:直江兼続|直江兼続]]およびその主{{Ruby|[[w:上杉景勝|上杉景勝]]|うえすぎかげかつ}} (通称、「義の男」として戦国時代に一世を風靡した上杉謙信の養子) と手を組み打倒家康を狙う。第一歩として景勝は軍備設備の整備および拡張を行う。これにおこった家康は「謀叛の疑いあり、至急上洛せよ」(当時、上杉家は越後から会津に移封されていたが、これは家康の監視のためだったと言われている)と文を送るが、兼続はその要請を無視し、[[W:直江状|家康に苦言を書き連ね、謀反を疑われる行動を釈明し論破したのベ15か条 (違うものもある) の文書]]を家康に送りこれに激怒した家康は伏見城に[[w:鳥居元忠|鳥居元忠]]を残して兵を引き連れ会津征伐に出発した。しかし、これを好機とみた三成は家康らが会津に着く前に兵を挙げ、伏見城を落とす。家康は長らく自身に仕えてきた元忠の死をきっかけに兵を引き返し一路美濃・近江方面に進軍する(これを決定した軍議を小山評定という)。
=== 天下分け目の<!-- 他にもっと良い節名はないのか --> ===
[[w:関ヶ原の戦い|関ヶ原の戦い]]は徳川家康を総大将とする東軍と{{ruby|[[w:毛利輝元|毛利輝元]]|もうりてるもと}}を総大将とする西軍の間で戦われた。しかし、毛利輝元は実際のところ戦っておらず、石田三成が事実上の総大将となった。石田三成は、豊臣秀吉の後継者である秀頼の代わりに戦った、とも言える
家康は想像を上回る三成の兵力に驚嘆し、西軍の大名に東軍への裏切りをするよう文を送りつけた。前述の家康の工作が功を奏し小早川家の当主、小早川秀秋は石田三成を裏切った。それをはじめとして他の中小大名が次々と寝返ってしまい、これを大因として家康は勝ってしまった。
一方、家康の嫡男で後の2代目将軍、徳川秀忠率いる東軍の別働隊 (38000人) が、西軍に味方しつつも関ヶ原に来ず彼らの居城である上田城 (など) に籠城する真田昌幸ら2500~3000人程度の真田軍を討伐するため中山道を進んだが、真田軍に苦戦し、家康からの催促でおさえの兵を残してようやく動き出した。しかし、時既に遅し、東軍は主力兵力を欠かした70000人程で80000人程の西軍に対峙した。特筆すべきは、当初の計画の人数と異なる軍勢で劣っていた家康に三成が敗北したことだ。
以上が関ケ原の合戦のあらましだが、2000年代以降、この合戦についての研究が進み、従来の学説および歴史小説で見られた展開は大幅に見直されている。
=== 見直されている点 ===
# 徳川家康は、石田三成などの反徳川武将を決起させるために会津征伐を行ったという説
# 小山評定
# 毛利輝元は石田三成に担がれただけで積極的に西軍に加担しなかったという説
# 関ケ原の合戦における小早川秀秋の動向
== 大坂の陣 ==
<small>※現在の大阪は明治時代まで大坂と呼称、それにならってこのページでは大坂と書きます。</small>
=== 背景 ===
前述のとおり関ケ原の戦いで徳川家康が政<!-- まつりごと -->の主導権を握り、豊臣秀吉の唯一の嫡子であった豊臣秀頼(右大臣)を首領とする豊臣側はその領地を大幅に削られた。徳川家康は死が近づいていることを否めなくなり、死ぬまでに江戸幕府の盤石を頑丈なものにしたいと欲した家康は豊臣家を滅ぼしにかかる。
=== 勃発まで ===
豊臣家は当時豊臣秀頼を頂点とする三角形となっていたものの秀頼が内気な性格だったこともあり、実質的な首領は秀頼を産んだ親である淀君、その他秀吉の妻複数が該当していた(正室であるねねは出家し尼となっており寺で徳川家による軟禁状態にあった、と言われ、『尼将軍』として大きく影響力をもった北条正子とは大きく異なる)。豊臣側への挑発として徳川家は、豊臣家の名目で行われた{{ruby|方広寺|ほうこうじ}}の復建に伴って新造された鐘の銘文「国家安康、君臣豊楽」を「【家康】の二字を引き離し、【豊臣】を楽として家康を呪い豊臣家の繁栄を願っている」などと言いがかりをつけ豊臣家に問い詰めた。豊臣家に突きつけられた条件は以下の通りである。
* 秀頼を江戸に参勤させる(大名と同じ扱い→豊臣家が大名として幕府に従う意味)
* 淀殿を人質として江戸に置く(上記に同じ)
* 秀頼が国替えに応じ大坂城を退去する(守りの堅い大坂城から出れば豊臣家を易々と攻めることができる)
これらの条件は括弧内で示した通り豊臣家に利はなく、淀殿 (秀吉の側室で秀頼の生母) がこの案を言上した片桐且元を怒鳴りつけたため、しだいに且元は「裏切り者」の扱いをされるようになり、大坂城を去ってしまう(実際には且元は豊臣家のためを思って実行したが、大坂城を去った後は家康の家臣となる)。ここから、家康は「豊臣包囲網」を組み始める。慶長6年に築城を始めた膳所城を皮切りに伏見城及び二条城、彦根城、篠山城、亀山城、北ノ庄城、名古屋城の再建・造営、江戸城及び駿府城、姫路城、上野城などの大改修が具体的な例である。
=== (大坂)冬の陣 ===
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==== 背景 ====
慶長19年、豊臣方は全国各地の大名に「豊臣方に味方せよ」という趣旨の文を送り、また関ヶ原の合戦で西軍についた浪人にも同様の文を送った。豊臣家は秀吉の頃に大量の金銀を確保しており、その散財を目的として家康が方広寺などの改修を勧めたが、あまり影響はなかった。あまりにも各地の鉱山を確保して金銀を備蓄したため、と言われている。そしてこの金銀を餌に浪人衆を集めた。彼らは前述の通り関ヶ原の合戦で敵対したために領地を取り上げられたり、あるいは家康に藩を潰されたり、といったように皆家康に恨みを持つ者ばかりだった。また、家康の厳しいキリスト教弾圧政策で潜伏していたキリシタン大名も戦後のキリスト教保護を約束され五七の桐の下についた。彼らもまた家康に恨みがあった。また、キリシタン大名に従ってきた神父なども多く参加していた。しかし、浪人衆は集まったものの、大名は誰一人として大坂城に馳せ参じる者はおらず、福島正則が唯一蔵の兵糧の供出を黙認した、と言われているのみである。浪人を雇い入れたため、豊臣方は秀頼を名目上の頂点とし、その下に豊臣家一族および従来からの家臣、その下に真田信繁や後藤又兵衛など5人を代表とする浪人衆によるピラミッドを構成する。
==== 勃発 ====
豊臣家の家臣<!-- 二重臣下は面倒なため後述 -->である片桐且元は、方広寺の一件以来悪化は進む一方であった両家の関係を改善するため、江戸と大坂を行き来し、奔走する。そして、'''私案'''として以下の3つの一つを採用するように進言した。
* 秀頼を江戸に参勤させる
* 秀頼が国替えに応じ大坂城を退去する
* 淀殿を人質として江戸に置く
しかし、三角形の頂点に君臨していた淀殿らは反対。且元の私案だったため、且元を改易の処分とし、高野山に封じるとした。しかし、且元は豊臣家の家臣であったものの、家康から1万石を加増されるなど、事実上家康の家臣でもあった。そのため、豊臣方による且元への処分を口実に家康は諸大名へ出兵を命じる。こうして、前代未聞の天下を取った者とその臣下で天下を奪った者という構図の、関ヶ原以来続いた豊臣家と徳川家のにらみ合いに決着をつける戦いは火ぶたを切ることとなる。
== 天草・島原の乱 ==
1637年から1638年にかけて、おもにキリシタンからなる農民のグループが、浪人の子で同じくキリシタンの天草四郎を頭領として[[九州]]の天草を中心に一揆を起こした。彼らの主要な動機は宗教的なものではなく重い年貢が課されたためであった可能性が高いものの、後述のキリスト教に対する制限政策の一因としてこの戦いでキリシタンが宗教的に死を恐れず攻撃してきたことと、団結力の高さが共に幕府への脅威となったことが挙げられるため、ある程度宗教的なものであった可能性も考えられる。
彼らは原城 (跡) を占領した。幕府はそれをを鎮めるために30000の兵を送ったが、勝てなかった。しかしついに幕府は一揆を鎮圧し、37000の反幕府勢力を処刑した。この後、キリスト教は完全に止された(一応これ以前にも同様の法令は出ていたがこの地域は改宗しない者が多かった)。これは1860年代まで日本における最後の主要な戦いであった。
== 外国(日本から見た)及びキリスト教との関係 ==
==== 対ヨーロッパ ====
戦国時代の1549年に唐 (当時の中国) 船に乗っていたところ難破し薩摩国種子島にポルトガル人が漂着したことで始まった西洋との関係は鉄砲 (火縄銃) やキリスト教の布教などで発展した。それらは主に当時の実力者であった織田信長が仏教への対抗勢力としてキリスト教を保護したこと、貿易での利益をあげたい九州の大名の一部がキリスト教になってキリシタン大名となったことが大きな理由である。しかし、織田信長の死後権力を握った羽柴秀吉は貿易を推進するも、キリスト教の布教そのものは禁止とし、宣教師などを追放し、キリシタン大名らにも改宗を迫った。それらの理由として、「他の大航海時代に植民地となった多くの国が宗主国のキリスト教の布教による信者 (=協力者) を利用して植民地化されているため」と言われている。しかし、貿易の利益を優先したため十分な取り締まりができなかった。その死後権力を掌握した徳川家康は同様にキリスト教の禁止を目論んだものの、秀吉の失敗もありより厳重な取り締まりを行った。その内容は、
* 海外へ渡航する{{ruby|商人|あきんど}}の船には「朱印状」を持たせそれ以外の船は「海賊」とする(この朱印状をもった船を「朱印船」と言いそれらによる貿易を「朱印船貿易」と呼ぶ)
* 海外の船(当時来航していた西洋の国はイギリス、オランダ、ポルトガル、スペイン)のうち、宗派上キリスト教を布教しないプロテスタントのイギリス、オランダを除いたポルトガル、スペインの両国を長崎の長崎及び平戸に限定
などである。しかし、信仰は弾圧に打ち勝ち、前述のとおり島原・天草の乱が起こる。幕府軍が苦戦していた頃、ポルトガル船によって海上から一揆勢に砲撃を加えたこともあった。島原・天草の乱の後、3代将軍徳川家光 (当時の将軍) はスペイン船が一揆勢を幇助したとして来航を禁止する。この乱を経験した家光は弾圧に積極的で、カトリックのためキリスト教を広める可能性が排除できないポルトガルも来航を禁じられ、イギリスも貿易赤字のため商館を閉鎖し引き揚げていたことから西洋からはオランダが唯一の交易国となった。末期に至るまで、この状態のまま推移した。開国~倒幕までの海外との関係に関しては [[日本史 江戸時代/後期|/後期]]を参照。
==== 対アジア ====
室町時代より、日本と明との日明貿易では勘合による勘合貿易が行われていたが #ヨーロッパ の節でも説明したとおり朱印船貿易になった。この後、日本と東南アジア及び東アジア間に商人や琉球王国を介した貿易網ができ、シャム (現在のタイ) など日本人の多く訪れる場所は日本人町が形成され日本の貨幣、日本の法令、日本人によるコミニュティイの統治が行われたが、後述の家光の鎖国政策により滅びた。朝鮮には秀吉の朝鮮侵略がもとでそれ以降の国交はなかったが、家康の意向で対馬藩の宗氏によって[[w:柳川一件|紆余曲折]]ありながらも国交が結ばれた。
=== 上記2節のまとめ:鎖国 ===
徳川家光の積極的なキリスト教排除の政策によりオランダ、明、朝鮮、琉球王国 (江戸中期に薩摩藩によって侵略) の4国のみが日本と貿易を許されるという結果になった。これらの政策をまとめて「鎖国」と後世呼ばれるようになった<ref group="注釈">実際には江戸時代の間この言葉は使われていなかった。</ref>。
== 平和 ==
江戸時代は戦国時代および安土桃山時代の武将の誰もが達成できなかった「平和な時代」を達成した。徳川家康が徳川家の安定と繁栄を図って武家諸法度や禁中並公家諸法度などを用いて謀反などの反乱を起こしにくくし、さらには庶民が平和を望んでいたためである。世界的に見ても、島原・天草一揆から戊辰戦争までの長きに渡って大規模な戦いや反乱の起きることなく平和な時代を継続した珍しい例であると考えられている{{個人の意見}}。しかし、これによって武士の権威が少しずつ無くなっていったばかりか、町人の力が強まった時代でもある。であるからして、従来の米を中心とした経済 (武士などの支配者中心) から貨幣経済 (町人中心) へと世の中は変わっていったが、中期から後期にかけての3度に渡る幕政改革ではそういった世間を反映することができなかった。1度だけ老中の{{ruby|[[W:田沼意次|田沼意次]]|たぬまおきつぐ}}が貨幣を中心とした経済構造に幕府もあわせよう、という政策を行ったものの、賂が横行したことやそれをよく思わぬ者により田沼が失脚したことをために (他にも田沼が失脚した理由はある) この政策は上手くいかず(株仲間による物価上昇など)。
これら経済の移り変わり以外にも、[[w:浪人|浪人]] (表記ゆれ:牢人) の問題もある。幕府の反乱を恐れた大名および藩の積極的な取りつぶしや減封によって多くの浪人が発生した。これらの浪人は最初こそ[[W:由井正雪|由井正雪]]などを中心とした幕府の転覆計画に賛同したり(この計画は密告により失敗)、大坂の陣において豊臣方に味方したり<ref group="注釈">逆に幕府側に加勢した者もいなかったわけではない。</ref>、あるいは島原・天草一揆の一揆勢として戦うなど幕府に対し攻撃的な姿勢であった。しかし、これらの浪人の動きが幕府の破綻に繋がらなくもないと考えた幕府は一転し、これら浪人から幕府に対しての反抗心を無くしたり、そもそも浪人が発生しないようにする政策を取り始めた。例えば、士官先や就職先を幕府が探す、藩の取りつぶしではなく移封することでの対応で浪人の発生を抑える、といったようにである。ただし、これでも幾つかの浪人は悪に手を染めたり、反社会的勢力の用心棒やそれらそのものになったりなど、必ずしも浪人が幕府に対する反抗心などを抱いていなかったわけではない。
== 脚注 ==
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注釈"}}
=== 出典 ===
{{Reflist|group="出典"}}
== 関連項目 ==
* [[{{PAGENAME}}/前期]]
* [[{{PAGENAME}}/中期]]
* [[{{PAGENAME}}/後期]]
* [[w:関ヶ原の戦い]]
* [[w:大坂の陣]]
* [[w:天草・島原一揆]]
* [[w:鎖国]]
* [[w:浪人]]
{{先代次代2
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|先代名 = [[日本史 安土桃山時代]]
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|次代名 = [[日本史 江戸時代/前期]]
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[[カテゴリ:江戸時代|えとしたい]]
[[en:Japanese History/The Edo Period]]
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4,534 | 刑法第222条 | (脅迫)
2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
特別法 | [
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| 法学>刑事法>刑法>コンメンタール刑法
法学>コンメンタール>コンメンタール刑法 | #[[法学]]>[[刑事法]]>[[刑法]]>[[コンメンタール刑法]]
#[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール刑法]]
==条文==
(脅迫)
;第222条
# 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処する。
# 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
===改正経緯===
2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
:(改正前)懲役
:(改正後)拘禁刑
==解説==
;保護法益・罪質
#意思決定の自由(団藤;西田75:意思活動の自由への危険犯;林[幹])
#私生活上の平穏ないし安全感(高橋91:抽象的危険犯;平野173;中森48;前田:安全感)
#「安全感を害することによる意思活動の危殆化」(山口173)
;行為
:脅迫:害悪の告知(危険犯)
:加害の対象:本人またはその親族の生命、身体、自由または財産(制限列挙:高橋93)
;法人に対する脅迫罪の成否
#肯定説(西田77;松澤)
#否定説(通説:高橋94など)
#:→法人に対する侮辱罪の成否
;適法な事実の告知
#判例
#違法な事実に限定する見解(高橋96)→ドイツ刑法においては「犯罪」
#:→権利行使と恐喝罪の議論も参照
#:*ドイツ刑法240条(2021年改正)との比較
==参照条文==
特別法
*[[暴力行為等処罰ニ関スル法律]]
*:以下の態様で行う脅迫行為について加重
*:#集団で行うもの
*:#常習的に行うもの
*:#利益目的に集団で、または、常習的に面会を強要または強談威迫するもの。
==判例==
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54392&hanreiKbn=02 公務執行妨害](最高裁判決 昭和27年07月25日)[[刑法第95条]]1項
#;脅迫行為にあたる事例
#:被告人が、司法巡査から被疑者として取調を受けるにあたり、同巡査に対し、「お前を憎んで居る者は俺丈けじやない。何人居るか判らない。駐在所にダイナマイトを仕掛けて爆発させ貴男を殺すと云つて居る者もある。」「俺の仲間は沢山居つてそいつ等も君をやつつけるのだと相当意気込んで居る」と申し向けた行為は、脅迫行為にあたる。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55705&hanreiKbn=02 逮捕、監禁、暴行、脅迫、食糧管理法第違反、傷害、銃砲等所持禁止令違反](最高裁判決 昭和28年11月27日)
#;不法監禁中になされた暴行脅迫行為が別罪を構成する事例
#:暴行脅迫が不法監禁中になされたものであつても、不法監禁の状態を維持存続させるため、その手段としてなされたものでなく、全く別個の動機、原因からなされたものであるときは、右暴行脅迫の行為は、不法監禁罪に吸収されることなく、別罪を構成する。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51585&hanreiKbn=02 爆発物取締罰則違反、住居侵入、暴力行為等処罰に関する法律違反、脅迫](最高裁判決 昭和34年07月24日)
#;脅迫罪の成立する事例
#:国家地方警察佐賀県本部警察部隊長〇○の官舎附近に備付の塵箱に「○○に告ぐ、三月貴様は勤労者、農民を仮装敵として演習を行つたが勝つ自信があるか、独立を欲する国民の敵となり身を滅ぼすより民族と己のために即時現職を退陣せよ」と記載したビラ一枚を貼付し、その頃同隊長に右ビラの記載内容を了知せしめたときは、同隊長に対する脅迫罪を構成する。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51656&hanreiKbn=02 脅迫](最高裁判決 昭和35年03月18日)
#;脅迫罪の成立する事例
#:二つの派の抗争が熾烈になつている時期に、一方の派の中心人物宅に、現実に出火もないのに、「出火御見舞申上げます、火の元に御用心」、「出火御見舞申上げます、火の用心に御注意」という趣旨の文面の葉書を発送しこれを配達させたときは、脅迫罪が成立するものと認めるを相当する。
----
{{前後
|[[コンメンタール刑法|刑法]]
|[[コンメンタール刑法#2|第2編 罪]]<br>
[[コンメンタール刑法#2-32|第32章 脅迫の罪]]<br>
|[[刑法第221条]]<br>(逮捕等致死傷)
|[[刑法第223条]]<br>(強要)
}}
{{stub|law}}
[[category:刑法|222]] | 2006-11-27T16:00:08Z | 2023-12-14T09:12:52Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%91%E6%B3%95%E7%AC%AC222%E6%9D%A1 |
4,555 | 高等学校家庭基礎 | 高等学校家庭基礎のページです。
中学校の家庭科教科書に載っていた学習内容をさらに範囲を広げた内容が「家庭基礎」や「家庭総合」です。
本ページは、大修館書店の新課程教科書「Creative Living 家庭基礎で生活をつくろう」(家総709)に合わせて作成しています。
項目の配列と内容も上記教科書会社さんに従いました。
学習指導要領に定められた家庭総合の標準単位数は2単位です。
※2022年はほぼ未執筆、2023年4月より段階的に作成予定です。 | [
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| 高等学校家庭基礎のページです。 中学校の家庭科教科書に載っていた学習内容をさらに範囲を広げた内容が「家庭基礎」や「家庭総合」です。 本ページは、大修館書店の新課程教科書「Creative Living 家庭基礎で生活をつくろう」(家総709)に合わせて作成しています。 項目の配列と内容も上記教科書会社さんに従いました。 学習指導要領に定められた家庭総合の標準単位数は2単位です。 当教科書を見ても、その学習項目やタイトルは、家庭総合の内容と全く同じなので、当wikibooksでは家庭総合の内容を流用して、ページを完成させたいと思います。 ※2022年はほぼ未執筆、2023年4月より段階的に作成予定です。 | [[小学校・中学校・高等学校の学習]]>[[高等学校の学習]]>[[高等学校家庭]]>高等学校家庭基礎
高等学校家庭基礎のページです。
中学校の家庭科教科書に載っていた学習内容をさらに範囲を広げた内容が「家庭基礎」や「家庭総合」です。
本ページは、大修館書店の新課程教科書「[https://www.taishukan.co.jp/kateika/product/?type=textbook&id=58 Creative Living 家庭基礎で生活をつくろう]」(家総709)に合わせて作成しています。
項目の配列と内容も上記教科書会社さんに従いました。
学習指導要領に定められた家庭総合の標準単位数は2単位です。
* 当教科書を見ても、その学習項目やタイトルは、[[高等学校家庭総合|家庭総合]]の内容と全く同じなので、当wikibooksでは家庭総合の内容を流用して、ページを完成させたいと思います。
※2022年はほぼ未執筆、2023年4月より段階的に作成予定です。
[[Category:高等学校教育|家きそ]] | null | 2022-12-10T02:00:29Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%AE%B6%E5%BA%AD%E5%9F%BA%E7%A4%8E |
4,556 | 民法第120条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則
(取消権者) | [
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]
{{wikibooks|無効と取消}}
==条文==
(取消権者)
;第120条
#行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、[[制限行為能力者]](他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその[[代理人]]、承継人若しくは'''同意をすることができる者'''に限り、取り消すことができる。
#[[錯誤]]、[[詐欺 (民法)|詐欺]]又は[[強迫]]によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。
=== 改正経緯 ===
*2017年改正で以下の改正がなされた。
*#第1項「制限行為能力者」に括弧書きで、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人として した行為について代理された者も取消権者となることが明文化された。
*#[[民法第95条|第95条]]改正に伴い、「錯誤」が取り消しうる行為となったことにより、取り消しうる行為に錯誤が追加された。
==解説==
:行為能力の制限、詐欺、強迫により発生した取消し権の行使者について規定している。
:制限行為能力者自身が取り消す場合は、法定代理人の同意を必要としない。
:従来、[[保佐人]]が取消権者に含まれるかどうか争いがあったが、1999年(平成11年)の民法改正で[[成年後見制度]]が整備された際に、「同意をすることができる者」が取消権者に加えられたため、この問題は立法的に解消された。補助人であっても同意権を付与されれば「同意をすることができる者」に該当することになる。
:[[保証人]]は、承継人には含まれない。
==関連条文==
*[[民法第122条]](取り消すことができる行為の追認)
==判例==
#大審院判決昭和20年5月21日民集24号9頁
#:無能力者の債務を保証したものは承継人に当たらない。
==参考文献==
*[[w:我妻栄|我妻栄]]『新訂民法総則(民法講義1)』(岩波書店、1965年)393頁
*[[w:四宮和夫|四宮和夫]]『民法総則講義(第4版補正版)』(弘文堂、1996年)215頁
*[[w:加藤雅信|加藤雅信]]『新民法体系』(有斐閣、2005年)87頁、349頁
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]<br>
[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#5|第5章 法律行為]]<br>
[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#5-4|第4節 無効及び取消し]]
|[[民法第119条]]<br>(無効な行為の追認)
|[[民法第121条]]<br>(取消しの効果)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|120]]
[[category:民法 2017年改正|120]] | 2006-11-30T10:27:35Z | 2024-01-03T23:47:15Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC120%E6%9D%A1 |
4,559 | 民法第126条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)
(取消権の期間の制限)
(要件) | [
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)]]
==条文==
([[取消|取消権]]の期間の制限)
;第126条
:取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、[[時効]]によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。
==解説==
:取消権の不行使を原因とする消滅について規定する。
:条文上の文言「時効によって消滅する」より、[[消滅時効]]とされるが、取消権は形成権であって、時効の更新等を認めるのは適当でないため[[除斥期間]]であると解されている。
(要件)
#追認をすることができる時から5年間行使しないとき
#:「追認をすることができる時」
#:*追認の要件([[民法第124条|第124条]])
#:*#取消しの原因となっていた状況が消滅
#:*#*制限行為能力者:審判が取り消された時又は制限されていた行為の制限が取り消された時。
#:*#**代理人等については適用がない。
#:*#**:→代理人等には個別に期間が進行する。
#:*#*瑕疵ある意思表示:瑕疵の原因が取り除かれた時(錯誤又は詐欺であることが明認された時、強迫の状態から脱した時)。
#:*#取消権を有することを認知する
#:*#:取消権を有するか否かを認知したか客観的に判断するのは困難。一般に取消権者により「取り消すことができる行為」自体が認知されたことによる。
#:*#:*後見事務の開始時の財産の調査及び目録の作成([[民法第853条|第853条]])や相手方からの請求や追認の催告など
#行為の時から20年間の経過
#:取消権者の状態及び主観にかかわらず権利は消滅する。
==参照条文==
*[[民法第120条]](取消権者)
*[[民法第866条]](被後見人の財産等の譲受けの取消し)
*[[民法第919条]](相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=70123 土地所有権移転登記請求](最高裁判決昭和38年9月6日)
#;「追認ヲ為スコトヲ得ル時」の意義。
#:民法第126条にいう「追認ヲ為スコトヲ得ル時」とは、取消の原因たる情況の止んだ時、すなわち未成年者にあつてはこれが成年に達した時をいい、未成年者であつた者が自己の行為を了知したことは、取消権の消滅時効が進行を始めるについての要件ではない。
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]<br>
[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#5|第5章 法律行為]]<br>
[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#5-4|第4節 無効及び取消し]]
|[[民法第125条]]<br>(法定追認)
|[[民法第127条]]<br>(条件が成就した場合の効果)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|126]] | 2006-11-30T10:35:10Z | 2024-02-28T05:18:20Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC126%E6%9D%A1 |
4,560 | 上智大対策 | 本項は、上智大学の入学試験対策に関する事項である。
上智大学は、東京都にあるミッション系の総合大学である。
入試形態は「~日試験」というように割り振られ、同日試験の学部の併願は出来ないようになっている。出題形式に微小の差こそあれ、学部ごとに癖があるといった傾向があまり見られないため(問題作成者が同じであることから)、本学を志望する学生は、第一志望学部だけでなく他学部の過去問を積極的に解くように心がければ、それだけ対策しやすく、上智の傾向に慣れ合格に近づくと言える。外国語学部英語学科の英語を75%以上取れるようになれば、英語に関しては合格水準に達しているといえる。その他の問題に関しても、問題数(問題個数)が多い。速読力が求められる。科目別にみると英語や地歴よりも国語の方が問題難易度が高い(数学は標準的)。
(90分)ミッション系の大学のイメージから英語が一番難しいと思われがちであるが、ストレートに知識を問うたり、内容一致の選択肢が切りやすく引っ掛けが無い素直な問題が多く、過去問をしっかりやりこみ語彙数と知識を増やせば、高得点も狙いやすい試験である。問毎年どこかの学部で新傾向の問題が出題されるが、概して得点率が低いのでそこまで恐れることはない。以下は大まかな学部ごとの傾向である。
速読型の出題をする学部: 外国語学部英語学科・法学部地球環境法学科・総合人間科学部心理学科、法学部法律学科、経済学部経営学科及び神学部、経済学部経済学科及び理工学部(機械工学科・電気電子工学科)
精読・文法重視型の出題をする学部: 外国語学部(英語学科以外)、文学部、総合人間学部(心理学科以外)、法学部国際関係法学科、総合グローバル学部、理工学部(数学科・物理学科・化学科)
外国語学部英語学科・法学部地球環境法学科・総合人間科学部心理学科・総合グローバル学部総合グローバル学科 上智の中では一番英語の難易度が高い。語彙レベルのやや高い長文がたくさん出題されるため、速読即解力のみならず語彙力の鍛錬が必要。会話文も毎年出題されるので注意。未見の単語を推測しながら読む時間的余裕がないため、高いレベルの語彙力を蓄え「英語を英語のまま理解」できることを念頭に入れた勉強をすべきである。そして、過去問を徹底してやってほしい。 文学部 (哲学科・史学科・新聞学科)・総合人間科学部 (教育 A・教育 B・社会福祉)・外国語学部 (英語学科以外) 読解・語彙・整序作文・短文空所補充など、バラエティーに富んだ出題をする。読解問題は2006年はやや難化したものの、総じて上智の中では取り組みやすい問題である。従来の問題から切り離された外国語学部英語学科以外の受験生にとっては易化したとも言えるが、油断は禁物である。 文学部 (国文学科・英文学科・ドイツ文学科・フランス文学科)・総合人間科学部社会学科・法学部国際関係法学科 目立った難問はみられなく、上智対策をしてきた受験生にとっては比較的楽な問題といえる。文学部及び総合人間学部社会学科志望者で7割、法学部国際関係法学科志望者なら8割はとりたい。 経済学部経営学科・神学部神学科 読解力重視で、速読即解力を問われる問題構成である。文法的な誤りを訂正させる問題が近年出題されているが、他大学の同種問題よりは取り組みやすい。余裕があれば早稲田大学人間科学部の問題にも挑戦してみるとよい。 法学部法律学科 傾向は外国語学部英語学科とほぼ同じ。長文と会話文の演習を積むことが重要である。やや難しい問題と簡単な問題が混在してるので、後者を見抜ける学力を養成することにつきる。易化と難化の差が激しい。 経済学部経済学科・理工学部(機械工学科・化学科) 問題数は例年多く、傾向的には経営学科とほぼ同じだが、こちらの方が問題が易しいことが多い。私立理系の英語の問題としては難易度は高いが、英語が得意な理系受験生は逆にここで差をつけることが出来る問題といえよう。英頻やネクステレベルの文法・語法を抑えれば合格点は取れるであろう。 理工学部(数学科・物理学科・電気電子工学科) 上智の中では最も平易な問題である。傾向的には文学部非文学系に近い。問題数も少ないので簡単だと言われるが、出題される英文の語彙レベルは文系学部同様に高いのでその点は留意しなければならない。ただし、設問は易しい場合が多い。上智志望者はまずこの学部の問題に手をつければ上智英語の基礎的な部分が理解でき、その後の勉強の指針になるであろう。
(60分)ミッション系の大学のイメージとは裏腹に、国語が難しすぎて受験生の間で差が付きにくい。選択問題には引っ掛け問題が多い。合格者でも素点6割程度しか取れていない事例が大半であるため、国語の点数が悪くても気負わず、残りの英語と社会(数学)の点数との合計点の勝負であることを忘れずに、あきらめずに頑張ってほしい。。
※選択肢の作りこみが甘い面がやや見られるため、予備校講師の間でも正解が割れるような問題もまれに登場する。よって、各予備校ホームページや赤本の模範解答はあくまで参考程度に留めておくべきであろう。
(60分)毎年全くと言っていいほど出題傾向・形式等が違う。全体的に見るとそれほど難しい問題ではないが、所々に難問が含まれている。対策としては、全日程の過去問をやっておくことがベストだろう。近年、連続する3問の○×組合せ問題が日程のどこかでかならず出ているので細かい年号を知っておく必要がある。なお、この問題は異常なほど難しいため、平均得点率は低い。
(60分)出題頻度としては、ヨーロッパ全般、中国を含めたアジアが頻出である。アフリカや中近東の出題頻度は低い。内容は、近年難化が続き、かつてのような標準的な問題をおさえれば大丈夫というわけには行かない。年号問題は他の私大と違い直接的に年号を選択させる形式が多い為注意を要する。また、地図を用いた問題と歴史の横軸を聞いてくる問題がよく出るので、常にそのあたりを意識して勉強するとよい。試験の難易度自体は高いが、用語集にも出ないような難問の正答率は低く偏差値法であるためこれらの問題が不出来でもそこまで気にすることはない。用語集レベルの問題を確実にとるという正攻法こそ勝利の鍵である。上智ということでキリスト教関連のテーマ史が頻出するのでこの分野は知識の整理をしておくことが重要である(個々の宗派、公会議の名称と年号、カトリック史、教皇名など)。 また、試験時間(60分)に対して出題数が多いため(例年およそ80~100問)、正答を判断する速さも重要となる。
(60分)大問3題からなり、難易度は標準的だが、一つ注意しておかないといけないのが、制限時間(60分)が非常に短いということ。センター試験数学よりも時間との戦いになるため、どうしても解けない問題は見切りをつける判断力も必要である。第1問~第3問まで全てひと続きの誘導問題である事が増えているが、第1問は小問集合である場合もある。計算量も多く、日本史・世界史に比べて全体的に低得点となりがちである。ただし、上智大の入試は先に述べたように偏差値法を採用しているため、得点率が多少低くとも高得点扱いされることがある。複雑な計算への速く正確な対応力と、高度な思考力のトレーニングが必須。確率・三角関数などの対策を重点的にするとよい。黄チャートレベルの典型問題は、すぐに処理できるようにしておきたい。
(90分)理工学部は大問4題で、難易度は標準的だが、文系数学同様に時間との勝負になる。微積分、空間座標、確率、極限が必須分野であるが、グラフを利用する問題が多く、方針の立て方次第で結論までにかかる時間に受験生の間で差が出る。黄チャートレベルの典型問題は、すぐに処理できるようにしなければいけない。
(90分)理工学部は「物理」、「化学」、「生物」の中から1科目のみ選択する。標準的な難易度の問題が多い。力学、電磁気学が頻出である。
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| 日本の大学受験ガイド > 上智大対策 本項は、上智大学の入学試験対策に関する事項である。 上智大学は、東京都にあるミッション系の総合大学である。 入試形態は「~日試験」というように割り振られ、同日試験の学部の併願は出来ないようになっている。出題形式に微小の差こそあれ、学部ごとに癖があるといった傾向があまり見られないため(問題作成者が同じであることから)、本学を志望する学生は、第一志望学部だけでなく他学部の過去問を積極的に解くように心がければ、それだけ対策しやすく、上智の傾向に慣れ合格に近づくと言える。外国語学部英語学科の英語を75%以上取れるようになれば、英語に関しては合格水準に達しているといえる。その他の問題に関しても、問題数(問題個数)が多い。速読力が求められる。科目別にみると英語や地歴よりも国語の方が問題難易度が高い(数学は標準的)。 | {{wikipedia|上智大学}}
*[[日本の大学受験ガイド]] > [[上智大対策]]
本項は、[[w:上智大学|上智大学]]の入学試験対策に関する事項である。
上智大学は、東京都にあるミッション系の総合大学である。<br />
入試形態は「~日試験」というように割り振られ、同日試験の学部の併願は出来ないようになっている。出題形式に微小の差こそあれ、学部ごとに癖があるといった傾向があまり見られないため(問題作成者が同じであることから)、'''本学を志望する学生は、第一志望学部だけでなく他学部の過去問を積極的に解くように心がければ、それだけ対策しやすく、上智の傾向に慣れ合格に近づくと言える。'''外国語学部英語学科の英語を75%以上取れるようになれば、英語に関しては合格水準に達しているといえる。その他の問題に関しても、問題数(問題個数)が多い。速読力が求められる。科目別にみると英語や地歴よりも国語の方が問題難易度が高い(数学は標準的)。
=科目別対策=
== 英語 ==
(90分)ミッション系の大学のイメージから英語が一番難しいと思われがちであるが、ストレートに知識を問うたり、内容一致の選択肢が切りやすく引っ掛けが無い素直な問題が多く、'''過去問をしっかりやりこみ語彙数と知識を増やせば、高得点も狙いやすい試験である。'''問毎年どこかの学部で新傾向の問題が出題されるが、概して得点率が低いのでそこまで恐れることはない。以下は大まかな学部ごとの傾向である。
速読型の出題をする学部:
外国語学部英語学科・法学部地球環境法学科・総合人間科学部心理学科、法学部法律学科、経済学部経営学科及び神学部、経済学部経済学科及び理工学部(機械工学科・電気電子工学科)
精読・文法重視型の出題をする学部:
外国語学部(英語学科以外)、文学部、総合人間学部(心理学科以外)、法学部国際関係法学科、総合グローバル学部、理工学部(数学科・物理学科・化学科)
外国語学部英語学科・法学部地球環境法学科・総合人間科学部心理学科・総合グローバル学部総合グローバル学科
上智の中では一番英語の難易度が高い。語彙レベルのやや高い長文がたくさん出題されるため、速読即解力のみならず語彙力の鍛錬が必要。会話文も毎年出題されるので注意。未見の単語を推測しながら読む時間的余裕がないため、高いレベルの語彙力を蓄え「英語を英語のまま理解」できることを念頭に入れた勉強をすべきである。そして、過去問を徹底してやってほしい。
文学部 (哲学科・史学科・新聞学科)・総合人間科学部 (教育 A・教育 B・社会福祉)・外国語学部 (英語学科以外)
読解・語彙・整序作文・短文空所補充など、バラエティーに富んだ出題をする。読解問題は2006年はやや難化したものの、総じて上智の中では取り組みやすい問題である。従来の問題から切り離された外国語学部英語学科以外の受験生にとっては易化したとも言えるが、油断は禁物である。
文学部 (国文学科・英文学科・ドイツ文学科・フランス文学科)・総合人間科学部社会学科・法学部国際関係法学科
目立った難問はみられなく、上智対策をしてきた受験生にとっては比較的楽な問題といえる。文学部及び総合人間学部社会学科志望者で7割、法学部国際関係法学科志望者なら8割はとりたい。
経済学部経営学科・神学部神学科
読解力重視で、速読即解力を問われる問題構成である。文法的な誤りを訂正させる問題が近年出題されているが、他大学の同種問題よりは取り組みやすい。余裕があれば早稲田大学人間科学部の問題にも挑戦してみるとよい。
法学部法律学科
傾向は外国語学部英語学科とほぼ同じ。長文と会話文の演習を積むことが重要である。やや難しい問題と簡単な問題が混在してるので、後者を見抜ける学力を養成することにつきる。易化と難化の差が激しい。
経済学部経済学科・理工学部(機械工学科・化学科)
問題数は例年多く、傾向的には経営学科とほぼ同じだが、こちらの方が問題が易しいことが多い。私立理系の英語の問題としては難易度は高いが、英語が得意な理系受験生は逆にここで差をつけることが出来る問題といえよう。英頻やネクステレベルの文法・語法を抑えれば合格点は取れるであろう。
理工学部(数学科・物理学科・電気電子工学科)
上智の中では最も平易な問題である。傾向的には文学部非文学系に近い。問題数も少ないので簡単だと言われるが、出題される英文の語彙レベルは文系学部同様に高いのでその点は留意しなければならない。ただし、設問は易しい場合が多い。上智志望者はまずこの学部の問題に手をつければ上智英語の基礎的な部分が理解でき、その後の勉強の指針になるであろう。
== 国語 ==
(60分)ミッション系の大学のイメージとは裏腹に、'''国語が難しすぎて受験生の間で差が付きにくい'''。選択問題には引っ掛け問題が多い。合格者でも素点6割程度しか取れていない事例が大半であるため、国語の点数が悪くても気負わず、残りの英語と社会(数学)の点数との合計点の勝負であることを忘れずに、あきらめずに頑張ってほしい。。
*現代文は硬質な文章の出題が目立ち、センター試験の評論と比べると難易度が数段高いので要注意。また、学部によっては漢文や明治文語文が出題されるので対策が必要といえる。特に後者は問題集もあまり市販されてないので、有名な作品でよいから読んでみよう。[[森鴎外]]や[[夏目漱石]]は頻出である。もちろん、過去問の研究も大いに効果的である。
*古文は近世随筆や中世芸術論などが減って読みやすくなった。とはいえ課題文のレベルは高く、和歌の出題も多い。
*漢文の難易度は非常に高く、現代文・古文よりも注意が必要である。内容も抽象的な道徳論などが多い。どちらも設問の前後を訳せる程度の学力が必要なので、学部横断的に過去問を徹底して演習しておこう。
※選択肢の作りこみが甘い面がやや見られるため、予備校講師の間でも正解が割れるような問題もまれに登場する。よって、各予備校ホームページや赤本の模範解答はあくまで参考程度に留めておくべきであろう。
*学部ごとの出題形式
**外国語学部・文学部 (哲学・史学・新聞)・総合人間科学部…例年、現代文・古文・漢文が1題ずつ出題される。
**文学部 (国文・英文・独文・仏文)…現古融合・古文・漢文が出題される。国文以外は大問3までが共通問題で全3題。国文は大問4として、全問記述式の現古漢融合問題が新たに加わったので、対策が必要。
**法学部 (法律・国際関係法・地球環境法)…問題は各学科違うが、現代文2題・古文1題が出題される。
**経済学部 (経済・経営)…問題は各学科違うが、現代文2題・明治文語文1題が出題される。
== 地理歴史 ==
=== 日本史 ===
(60分)毎年全くと言っていいほど出題傾向・形式等が違う。全体的に見るとそれほど難しい問題ではないが、所々に難問が含まれている。対策としては、全日程の過去問をやっておくことがベストだろう。近年、連続する3問の○×組合せ問題が日程のどこかでかならず出ているので細かい年号を知っておく必要がある。なお、この問題は異常なほど難しいため、平均得点率は低い。
=== 世界史 ===
(60分)出題頻度としては、ヨーロッパ全般、中国を含めたアジアが頻出である。アフリカや中近東の出題頻度は低い。内容は、近年難化が続き、かつてのような標準的な問題をおさえれば大丈夫というわけには行かない。年号問題は他の私大と違い直接的に年号を選択させる形式が多い為注意を要する。また、地図を用いた問題と歴史の横軸を聞いてくる問題がよく出るので、常にそのあたりを意識して勉強するとよい。試験の難易度自体は高いが、用語集にも出ないような難問の正答率は低く偏差値法であるためこれらの問題が不出来でもそこまで気にすることはない。用語集レベルの問題を確実にとるという正攻法こそ勝利の鍵である。上智ということでキリスト教関連のテーマ史が頻出するのでこの分野は知識の整理をしておくことが重要である(個々の宗派、公会議の名称と年号、カトリック史、教皇名など)。
また、試験時間(60分)に対して出題数が多いため(例年およそ80~100問)、正答を判断する速さも重要となる。
== 数学 ==
=== 文系 ===
(60分)大問3題からなり、難易度は標準的だが、一つ注意しておかないといけないのが、制限時間(60分)が非常に短いということ。センター試験数学よりも時間との戦いになるため、どうしても解けない問題は見切りをつける判断力も必要である。第1問~第3問まで全てひと続きの誘導問題である事が増えているが、第1問は小問集合である場合もある。計算量も多く、日本史・世界史に比べて全体的に低得点となりがちである。ただし、上智大の入試は先に述べたように偏差値法を採用しているため、得点率が多少低くとも高得点扱いされることがある。複雑な計算への速く正確な対応力と、高度な思考力のトレーニングが必須。確率・三角関数などの対策を重点的にするとよい。黄チャートレベルの典型問題は、すぐに処理できるようにしておきたい。
=== 理系 ===
(90分)理工学部は大問4題で、難易度は標準的だが、文系数学同様に時間との勝負になる。微積分、空間座標、確率、極限が必須分野であるが、グラフを利用する問題が多く、方針の立て方次第で結論までにかかる時間に受験生の間で差が出る。黄チャートレベルの典型問題は、すぐに処理できるようにしなければいけない。
== 理科 ==
=== 物理 ===
(90分)理工学部は「物理」、「化学」、「生物」の中から1科目のみ選択する。標準的な難易度の問題が多い。力学、電磁気学が頻出である。
=== 化学 ===
(90分)物理同様。
=== 生物 ===
(90分)物理同様。
= 外部リンク =
*[http://www.sophia.ac.jp/jpn/admissions/gakubu_ad 上智大公式サイト]
[[Category:大学入試|しようちたいたいさく]] | 2006-11-30T10:52:33Z | 2023-11-16T20:47:01Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%8A%E6%99%BA%E5%A4%A7%E5%AF%BE%E7%AD%96 |
4,572 | 民法第371条 | 法学>民事法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)
(抵当権の効力の及ぶ範囲) | [
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| 法学>民事法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第2編 物権 (コンメンタール民法)]]
==条文==
(抵当権の効力の及ぶ範囲)
;第371条
:[[抵当権]]は、その担保する[[債務不履行|債権について不履行]]があったときは、その後に生じた抵当不動産の[[果実]]に及ぶ。
==解説==
==参照条文==
==判例==
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=37773&hanreiKbn=02 賃料等請求事件](最高裁判決 平成21年07月03日) [[民事執行法第93条]],[[民事執行法第95条]],[[民事執行法第188条]],[[民法第505条]]
*;担保不動産収益執行における担保不動産の収益に係る給付を求める権利の帰属
*:担保不動産収益執行の管理人は担保不動産の収益に係る給付を求める権利を行使する権限を取得するにとどまり,同権利自体は,担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後に弁済期の到来するものであっても,所有者に帰属する。
*;抵当不動産の賃借人が,担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後に,抵当権設定登記の前に取得した賃貸人に対する債権を自働債権とし賃料債権を受働債権とする相殺をもって管理人に対抗することの可否
*:抵当不動産の賃借人は,担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後においても,抵当権設定登記の前に取得した賃貸人に対する債権を自働債権とし賃料債権を受働債権とする相殺をもって管理人に対抗することができる。
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第2編 物権 (コンメンタール民法)|第2編 物権]]<br>
[[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10|第10章 抵当権]]<br>
[[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10-1|第1節 総則]]
|[[民法第370条]]<br>(抵当権の効力の及ぶ範囲)
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}}
{{stub|law}}
[[category:民法|371]] | null | 2022-10-13T22:09:03Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC371%E6%9D%A1 |
4,573 | 民法第374条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)
(抵当権の順位の変更) | [
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"text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)",
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{
"paragraph_id": 1,
"tag": "p",
"text": "(抵当権の順位の変更)",
"title": "条文"
}
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第2編 物権 (コンメンタール民法)]]
==条文==
([[抵当権]]の順位の変更)
;第374条
# 抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
# 前項の規定による順位の変更は、その[[登記]]をしなければ、その効力を生じない。
==解説==
{{wikipedia|抵当権の処分#抵当権の順位の変更}}
==参照条文==
*[[企業担保法第9条]](民法の準用)
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第2編 物権 (コンメンタール民法)|第2編 物権]]<br>
[[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10|第10章 抵当権]]<br>
[[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10-2|第2節 抵当権の効力]]
|[[民法第373条]]<br>(抵当権の順位)
|[[民法第375条]]<br>(抵当権の被担保債権の範囲)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|374]] | null | 2022-10-14T22:44:45Z | [
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"テンプレート:前後",
"テンプレート:Stub"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC374%E6%9D%A1 |
4,575 | 料理本/油 | 油と脂肪に含まれる脂質はタンパク質、炭水化物とならんで重要なカロリー源である。 油と脂肪の違いは常温で液体か固体かということで分けられている。 | [
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"text": "油と脂肪に含まれる脂質はタンパク質、炭水化物とならんで重要なカロリー源である。 油と脂肪の違いは常温で液体か固体かということで分けられている。",
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| 油と脂肪に含まれる脂質はタンパク質、炭水化物とならんで重要なカロリー源である。
油と脂肪の違いは常温で液体か固体かということで分けられている。 | '''油と脂肪'''に含まれる脂質はタンパク質、炭水化物とならんで重要なカロリー源である。
油と脂肪の違いは常温で液体か固体かということで分けられている。
==脂肪==
*[[料理本/バター|バター]]
*[[料理本/マーガリン|マーガリン]]
*[[料理本/牛脂|牛脂]]
*[[料理本/ラード|ラード]]
*[[料理本/ショートニング|ショートニング]]
*[[料理本/ストゥルット|ストゥルット]]
*[[料理本/ココアバター|ココアバター]]
==油==
*[[料理本/ごま油|ごま油]]
*[[料理本/菜種油|菜種油]]
*[[料理本/オリーブオイル|オリーブオイル]]
*[[料理本/ベニバナ油|ベニバナ油]]
*[[料理本/キャノーラ油|キャノーラ油]]
*[[料理本/ココナッツオイル|ココナッツオイル]]
*[[料理本/コーン油|コーン油]]
*[[料理本/ベニバナ油|ベニバナ油]]
*[[料理本/ガーリックオイル|ガーリックオイル]]
*[[料理本/グレープシードオイル|グレープシードオイル]]
*[[料理本/ピーナッツ油|ピーナッツ油]] (落花生油)
*[[料理本/大豆油|大豆油]]
*[[料理本/パーム油|パーム油]]
*[[料理本/ひまわり油|ひまわり油]]
[[en:Cookbook:Oil and fat]]
[[Category:脂肪と油|*]] | null | 2006-12-02T06:03:51Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%96%99%E7%90%86%E6%9C%AC/%E6%B2%B9 |
4,580 | サッカー/ポジション/ミッドフィールダー | 主にフィールドの真中あたりでプレーする選手のことを指す ディフェンダーの前で中盤でのボールカットおよび前線へのつなぎ役を担うディフェンシティブミッドフィルダーとその少し前で主にゲームの組み立てや、前線へあがったりと、攻守に渡って高い能力の求められるセントラルミッドフィールダー、左右のライン際でサイドの攻撃を担うサイドミッドフィールダーとフォワードの後ろでラストパスやシュートを放って攻撃をするオフェンシティブミッドフィールダーに分けられる | [
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"text": "主にフィールドの真中あたりでプレーする選手のことを指す ディフェンダーの前で中盤でのボールカットおよび前線へのつなぎ役を担うディフェンシティブミッドフィルダーとその少し前で主にゲームの組み立てや、前線へあがったりと、攻守に渡って高い能力の求められるセントラルミッドフィールダー、左右のライン際でサイドの攻撃を担うサイドミッドフィールダーとフォワードの後ろでラストパスやシュートを放って攻撃をするオフェンシティブミッドフィールダーに分けられる",
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| 主にフィールドの真中あたりでプレーする選手のことを指す
ディフェンダーの前で中盤でのボールカットおよび前線へのつなぎ役を担うディフェンシティブミッドフィルダーとその少し前で主にゲームの組み立てや、前線へあがったりと、攻守に渡って高い能力の求められるセントラルミッドフィールダー、左右のライン際でサイドの攻撃を担うサイドミッドフィールダーとフォワードの後ろでラストパスやシュートを放って攻撃をするオフェンシティブミッドフィールダーに分けられる | 主にフィールドの真中あたりでプレーする選手のことを指す
ディフェンダーの前で中盤でのボールカットおよび前線へのつなぎ役を担うディフェンシティブミッドフィルダーとその少し前で主にゲームの組み立てや、前線へあがったりと、攻守に渡って高い能力の求められるセントラルミッドフィールダー、左右のライン際でサイドの攻撃を担うサイドミッドフィールダーとフォワードの後ろでラストパスやシュートを放って攻撃をするオフェンシティブミッドフィールダーに分けられる
[[Category:サッカー|ほししよんみつとふいいるたあ]] | null | 2013-12-10T05:54:54Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC/%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3/%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%BC |
4,581 | サッカー/戦術/カウンターアタック | 相手からボールを奪った時に行うもので,手数をかけずにシンプルかつスピーディに攻めるのがセオリー。今までピンチだったチームの状況をひっくり返す上に相手にも身体的かつ精神的に負担がかけられるとあって,ゲームの上でこれをうまく決めるかどうかは非常に重要である。 格下のチームが格上のチーム相手に試合をする時に使われたり、リードしていて特に無理をして攻める必要のない時にも使われることもある。 | [
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"text": "相手からボールを奪った時に行うもので,手数をかけずにシンプルかつスピーディに攻めるのがセオリー。今までピンチだったチームの状況をひっくり返す上に相手にも身体的かつ精神的に負担がかけられるとあって,ゲームの上でこれをうまく決めるかどうかは非常に重要である。 格下のチームが格上のチーム相手に試合をする時に使われたり、リードしていて特に無理をして攻める必要のない時にも使われることもある。",
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| 相手からボールを奪った時に行うもので,手数をかけずにシンプルかつスピーディに攻めるのがセオリー。今までピンチだったチームの状況をひっくり返す上に相手にも身体的かつ精神的に負担がかけられるとあって,ゲームの上でこれをうまく決めるかどうかは非常に重要である。
格下のチームが格上のチーム相手に試合をする時に使われたり、リードしていて特に無理をして攻める必要のない時にも使われることもある。 | 相手からボールを奪った時に行うもので,手数をかけずにシンプルかつスピーディに攻めるのがセオリー。今までピンチだったチームの状況をひっくり返す上に相手にも身体的かつ精神的に負担がかけられるとあって,ゲームの上でこれをうまく決めるかどうかは非常に重要である。
格下のチームが格上のチーム相手に試合をする時に使われたり、リードしていて特に無理をして攻める必要のない時にも使われることもある。
[[Category:サッカー|せんしゆつかうんたああたつく]] | null | 2008-09-09T01:08:51Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC/%E6%88%A6%E8%A1%93/%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%82%BF%E3%83%83%E3%82%AF |
4,592 | 民法第612条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
賃借人による賃借権の無断譲渡及び無断転貸の禁止と、違反行為がなされた場合の賃貸人の解除権について規定している。
転貸自体は、賃貸人の想定していた賃借人の用法と異なる用法に用いられることであるので賃貸人の承諾を要することは十分な理由があるが、一方で、賃料の支払いに不安がない限り、転貸による利用そのものは、賃貸人にとって不利益なものであるとは限らないため、転貸の事実のみを持って解除することに判例が制限を設け、転貸が転貸人に対する背信的行為と認められる場合、解除できるものとした(最判昭和28年09月25日)。 | [
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]]
==条文==
(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
;第612条
# 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その[[賃貸借|賃借権]]を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
# 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の[[解除]]をすることができる。
==解説==
賃借人による賃借権の無断譲渡及び無断転貸の禁止と、違反行為がなされた場合の賃貸人の解除権について規定している。
転貸自体は、賃貸人の想定していた賃借人の用法と異なる用法に用いられることであるので賃貸人の承諾を要することは十分な理由があるが、一方で、賃料の支払いに不安がない限り、転貸による利用そのものは、賃貸人にとって不利益なものであるとは限らないため、転貸の事実のみをもって解除することに判例が制限を設け、転貸が転貸人に対する背信的行為と認められる場合、解除できるものとした([[#背信的行為|最判昭和28年09月25日]])。
==参照条文==
==判例==
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56007 家屋明渡請求](最高裁判決 昭和26年05月31日)
#;賃借権の譲渡または転貸を承諾しない家屋の賃貸人は賃貸借契約を解除せずに譲受人または転借人に対し明渡を求め得るか
#:賃借権の譲渡または転貸を承諾しない家屋の賃貸人は、賃借契約を解除しなくても、譲受人または転借人に対しその明渡を求めることができる。
#<span id="背信的行為"></span>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56009&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡請求](最高裁判決 昭和28年09月25日)
#;賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に賃借物を使用させたときは賃貸人は常に契約を解除しうるか
#:賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用または収益をなさしめた場合でも、賃借人の当該行為を賃貸人に対する背信的行為と認めるにたらない、建物を建設しても差支ないものと信じたような、特段の事情があるときは、賃貸人は契約を解除することはできない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52977&hanreiKbn=02 第三者異議等](最高裁判決 昭和36年12月21日)[[民法第601条]]
#;賃借人の債務不履行による賃貸借解除と転貸借の終了。
#:賃貸借の終了によつて転貸借は当然にその効力を失うものではないが、賃借人の債務不履行により賃貸借が解除された場合には、その結果転貸人としての義務に履行不能を生じ、よつて転貸借は右賃貸借の終了と同時に終了に帰する。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56231&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡請求](最高裁判決 昭和37年03月29日)[[民法第541条]]、[[民法第613条]]
#;賃料延滞による賃貸借の解除と転借人に対する催告の要否
#:適法な転貸借がある場合、賃貸人が賃料延滞を理由として賃貸借契約を解除するには、賃借人に対して催告すれば足り、転借人に対して右延滞賃料の支払の機会を与えなければならないものではない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=63782 建物収去、土地明渡請求](最高裁判決 昭和39年12月25日)
#;土地賃借権の無断譲渡につき賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるものとはいえないとされた事例。
#:土地賃借人たる甲会社が右土地上に建築所有する建物を映画興行に使用中、経営不振のため著名な映画会社である乙会社と合併する話が持ち上つてはいたが、未だその話合が具体的にまとまらないうちに、甲会社が賃貸人に無断で乙会社に右建物を売り渡すとともにその敷地の賃借権をも譲渡した場合に、賃貸人がこれを理由として賃貸借契約を解除したときは、その際判示のような事情があり、また、その後乙会社が甲会社を吸収合併したとしても、右賃借権の譲渡につき背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるものとして、右解除を無効とすることはできない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56284&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡請求] (最高裁判決昭和40年05月04日) [[民法第370条]],[[民法第87条]]2項,[[民法第423条]]
##'''土地貸借人が該地上の建物に設定した抵当権の効力は当該土地の賃借権に及ぶか。'''
##:土地賃借人が該土地上に所有する建物について[[抵当権]]を設定した場合には、原則として、右抵当権の効力は当該土地の賃借権に及び、右建物の競落人と賃借人との関係においては、右建物の所有権とともに土地の賃借権も競落人に移転するものと解するのが相当である。
##'''地上建物に抵当権を設定した土地賃借人は抵当建物の競落人に対し地主に代位して当該土地の明渡を請求できるか。'''
##:前項の場合には、賃借人は、賃貸人において右賃借権の移転を承諾しないときであつても、競落人に対し、土地所有者たる賃貸人に代位して右土地の明渡を請求することはできない
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53915&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡請求](最高裁判決 昭和40年12月17日)
#;賃借地上の建物が買戻特約付で第三者に売り渡された場合において右建物の敷地について賃借権の譲渡または転貸がなされなかつたものと解された事例。
#:土地賃借人が、第三者に対し、借地上の建物を買戻特約付で売り渡した場合において、当該売買が、実質上、第三者の債権担保の目的でなされたものであり、終局的確定的に権利を転移する趣旨のものでなく、かつ、買戻権がなお土地賃借人に留保されており、また、土地賃借人が前記建物売買後も引き続きその使用を許容されていた判示の事情のもとにおいては、右建物の敷地について民法第612条にいう賃借権の譲渡または転貸がなされなかつたものと解するのが相当である。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53968&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡請求](最高裁判決 昭和41年01月27日)
#;無断転貸を背信行為と認めるに足りないとする特段の事情の存否に関する主張・立証責任。
#:賃借地の無断転貸を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りないとする特段の事情は、その存在を賃借人において主張・立証すべきである。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55039&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡請求](最高裁判決 昭和44年02月18日)
#;賃貸人の承諾を得ない賃借権の譲受または転借が賃貸人に対抗できる場合とその主張・立証責任
#:賃貸人の承諾を得ないで賃借権の譲渡または転貸が行なわれた場合であつても、それが賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、譲受人または転借人は、譲受または転借をもつて、賃貸人に対抗することができ、右の特段の事情については、譲受人または転借人において主張・立証責任を負う。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53173&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡請求](最高裁判決 昭和45年12月11日)
#;土地賃借権の無断譲渡が背信行為にあたらない場合における賃借権譲渡人の地位
#:土地賃借権の無断譲渡につき、これを賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるため、賃貸人が右無断譲渡を理由に賃貸借契約を解除することができない場合には、譲受人のみが賃借人となり、譲渡人たる前賃借人は、賃貸借契約関係から離脱し、特段の意思表示がないかぎり、賃貸人に対して契約上の債務を負わないものと解するのが相当である。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52018&hanreiKbn=02 建物所有権確認等請求](最高裁判決 昭和47年03月09日)
#;賃借地上にある建物の売主と敷地賃借権譲渡の承諾取得義務
#:賃借地上にある建物の売買契約が締結された場合においては、特別の事情のないかぎり、売主は、買主に対し、その建物の敷地の賃借権をも譲渡したものであつて、それに伴い、その賃借権譲渡につき賃貸人の承諾を得る義務を負うものと解すべきである。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53293&hanreiKbn=02 建物明渡](最高裁判決 昭和53年06月29日)[[民事訴訟法第644条]]、競売法25条
#;賃貸中の不動産に対する競売開始決定後賃貸人のした賃借権譲渡の承諾と譲受人の競落人に対する地位
#:賃貸中の不動産に対する競売開始決定の差押の効力発生後賃貸人のした賃借権譲渡の承諾は、特段の事情のない限り、右差押の効力によつて禁止される処分行為にあたらず、譲受人は、賃借権の取得をもつて競落人に対抗することができる。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52547&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡](最高裁判決 平成8年10月14日)
#;小規模で閉鎖的な有限会社における実質的な経営者の交代と民法612条にいう賃借権の譲渡
#:賃借人である小規模で閉鎖的な有限会社において、持分の譲渡及び役員の交代により実質的な経営者が交代しても、そのことは、民法612条にいう賃借権の譲渡に当たらない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52544&hanreiKbn=02 建物賃料等請求本訴、保証金返還請求反訴](最高裁判決 平成9年02月25日)[[民法第601条]]
#;賃借人の債務不履行による賃貸借の解除と賃貸人の承諾のある転貸借の帰すう
#:賃貸借が賃借人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了する。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54787&hanreiKbn=02 建物収去土地明渡等、建物収去土地明渡](最高裁判決 平成9年07月17日) [[民法第369条]]
#;借地上の建物の譲渡担保権者が建物の引渡しを受けて使用収益をする場合と民法612条にいう賃借権の譲渡又は転貸
#:借地上の建物につき借地人から譲渡担保権の設定を受けた者が、建物の引渡しを受けて使用又は収益をする場合には、いまだ譲渡担保権が実行されておらず、譲渡担保権設定者による受戻権の行使が可能であるとしても、建物の敷地について民法612条にいう賃借権の譲渡又は転貸がされたものと解するのが相当である。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52262&hanreiKbn=02 建物明渡等請求事件] (最高裁判決 平成14年03月28日)[[民法第1条|民法第1条]]2項,[[借地借家法第34条|借地借家法第34条]]
#;事業用ビルの賃貸借契約が賃借人の更新拒絶により終了しても賃貸人が信義則上その終了を再転借人に対抗することができないとされた事例
#:ビルの賃貸,管理を業とする会社を賃借人とする事業用ビル1棟の賃貸借契約が賃借人の更新拒絶により終了した場合において,賃貸人が,賃借人にその知識,経験等を活用してビルを第三者に転貸し収益を上げさせることによって,自ら各室を個別に賃貸することに伴う煩わしさを免れるとともに,賃借人から安定的に賃料収入を得ることを目的として賃貸借契約を締結し,賃借人が第三者に転貸することを賃貸借契約締結の当初から承諾していたものであること,当該ビルの貸室の転借人及び再転借人が,上記のような目的の下に賃貸借契約が締結され転貸及び再転貸の承諾がされることを前提として,転貸借契約及び再転貸借契約を締結し,再転借人が現にその貸室を占有していることなど判示の事実関係があるときは,賃貸人は,信義則上,賃貸借契約の終了をもって再転借人に対抗することができない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62532&hanreiKbn=02 土地明渡請求事件](最高裁判決 平成17年03月10日)[[民法第597条]]1項,[[民法第616条]]
#;土地の無断転貸をした賃借人が賃貸人に対し転借人が不法に投棄した産業廃棄物を賃貸借契約終了時に撤去すべき義務を負うとされた事例
#:土地の賃借人が同土地を無断で転貸し,転借人が同土地に産業廃棄物を不法に投棄したという事実関係の下では,賃借人は,賃貸借契約の終了に基づく原状回復義務として,上記産業廃棄物を撤去すべき義務を負う
#:*不動産の賃借人は,賃貸借契約上の義務に違反する行為により生じた賃借目的物の毀損について,賃貸借契約終了時に原状回復義務を負う。
#:*:原審における「産業廃棄物の本件土地への投棄は,専ら転借人が単独で行った犯罪行為であるから,賃借人は,転借人へ無断転貸をしたものの,このような犯罪行為である産業廃棄物の投棄についてまで,賃貸借契約の解除に伴う原状回復義務として責任を負うものではない」旨の判断を覆した。
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{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2|第2章 契約]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2-7|第7節 賃貸借]]
|[[民法第611条]]<br>(賃借物の一部滅失による賃料の減額請求等)
|[[民法第613条]]<br>(転貸の効果)
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[[category:民法|612]] | 2006-12-03T09:57:30Z | 2023-10-06T03:04:35Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC612%E6%9D%A1 |
4,594 | 民法第764条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法)
(婚姻の規定の準用)
明治憲法において、本条には以下の規定があったが、家制度廃止に伴い削除。 | [
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)]]
==条文==
([[婚姻]]の規定の準用)
;第764条
:[[民法第738条|第738条]]、[[民法第739条|第739条]]及び[[民法第747条|第747条]]の規定は、協議上の[[離婚]]について準用する。
==解説==
:婚姻の規定の一部が協議上の離婚に適用されることを規定、[[民法第810条#参考|明治民法第810条]]を継承する。なお、協議上の離縁に関する準用規定([[民法第812条]])も同旨である。
:協議上の離婚と婚姻とは共に身分行為であり、また合意の成立と届出が要件とされている点で共通する。
:準用による読替え
:*[[民法第738条]](成年被後見人の婚姻)
:*:成年被後見人が'''離婚'''をするには、その成年後見人の同意を要しない。
:*::離婚は身分行為であるので、成年被後見人であってもその成年後見人の同意を要しない。
:*[[民法第739条]](婚姻の届出)
:*#'''離婚'''は、[[コンメンタール戸籍法|戸籍法]](昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
:*#:届出主義
:*#前項の届出は、当事者双方及び<u>成年の証人2人以上</u>が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。
:*[[民法第747条]](詐欺・強迫による婚姻の取消し)
:*#詐欺又は強迫によって'''離婚'''をした者は、その'''離婚'''の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
:*#前項の規定による取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後3箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。
==参照条文==
==判例==
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56217&hanreiKbn=02 離婚届出無効確認請求](最高裁判例 昭和34年08月07日)[[民法第763条]]、[[民法第742条]]、[[民法第802条]]
*:'''協議離婚届出書作成後の飜意と届出の効力'''
*::合意により協議離婚届書を作成した一方の当事者が、届出を相手方に委託した後、協議離婚を飜意し、右飜意を市役所戸籍係員に表示しており、相手方によつて届出がなされた当時、<u>離婚の意思を有しないことが明確であるとき</u>は、相手方に対する飜意の表示または届出委託の解除の事実がなくとも、協議離婚届出が無効でないとはいえない(=協議離婚届出は無効である)。
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56265&hanreiKbn=02 離婚無効確認請求](最高裁判例 昭和38年11月28日)[[民法第763条]]、[[民法第739条]]
*:'''事実上の婚姻関係を維持しつつ協議離婚を有効と認めた事例'''
*::妻を戸主とする入夫婚姻をした夫婦が、<u>事実上の婚姻関係は維持しつつ、単に、夫に戸主の地位を与えるための方便として、協議離婚の届出をした場合</u>でも、両名が真に<u>法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいてこれをしたものであるとき</u>は、右協議離婚は無効とはいえない(=離婚は有効に成立する)。
==参考==
明治憲法において、本条には以下の規定があったが、家制度廃止に伴い削除。
#戸主ヲ失ヒタル家ニ家督相続人ナキトキハ絶家シタルモノトシ其家族ハ各一家ヲ創立ス但子ハ父ニ随ヒ又父カ知レサルトキ、他家ニ在ルトキ若クハ死亡シタルトキハ母ニ随ヒテ其家ニ入ル
#前項ノ規定ハ[[民法第745条#参考|第七百四十五条]]ノ適用ヲ妨ケス
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]<br>
[[第4編 親族 (コンメンタール民法)#2|第2章 婚姻]]<br>
[[第4編 親族 (コンメンタール民法)#2-4|第4節 離婚]]
|[[民法第763条]]<br>(協議上の離婚)
|[[民法第765条]]<br>(離婚の届出の受理)
}}
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[[category:民法|764]] | null | 2022-09-29T04:59:55Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC764%E6%9D%A1 |
4,595 | 民法第13条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)
(保佐人の同意を要する行為等)
2017年改正で、第1項第十号が新設された。 | [
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"text": "2017年改正で、第1項第十号が新設された。",
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)]]
==条文==
([[保佐人]]の同意を要する行為等)
;第13条
# 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、[[民法第9条|第9条ただし書]]に規定する行為については、この限りでない。
##元本を領収し、又は利用すること。
##借財又は保証をすること。
##不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
##訴訟行為をすること。
##[[贈与]]、[[和解]]又は仲裁合意([[仲裁法]](平成15年法律第138号)第2条第1項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
##[[相続]]の承認若しくは[[相続放棄|放棄]]又は[[遺産分割|遺産の分割]]をすること。
##贈与の申込みを拒絶し、[[遺贈]]を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
##新築、改築、増築又は大修繕をすること。
##[[民法第602条|第602条]]に定める期間を超える賃貸借をすること。
##前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び[[民法第17条|第17条]]第1項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。
# 家庭裁判所は、[[民法第11条|第11条本文]]に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、[[民法第9条|第9条ただし書]]に規定する行為については、この限りでない。
# [[保佐人]]の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、[[家庭裁判所]]は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
# 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
===改正経緯===
2017年改正で、第1項第十号が新設された。
==解説==
*[[保佐人]]の権限の範囲と、それに対する監督制度について規定している。民法は'''管理行為'''('''保存行為''')を単独で行なうことを認めており、これを超える'''変更行為'''または'''処分行為'''については認めていない点で共有者一人の権限([[民法第252条]]ただし書き)と似ている(訴訟や和解・仲裁を除く)。
*:日用品の購入や日常生活上の法律行為に同意は不要で、被保佐人が単独でできる。(取消権もない。)
*:元本の領収:貸してあった金銭・建物等を返してもらう。(利息を取り立てることは可能)
*:元本の利用:金銭・建物等をかす。
*::建物を貸した場合、借地借家法の適用によって借家人から建物を返してもらうのが事実上不可能になってしまうから、建物を貸す行為は'''管理行為'''ではなく'''変更行為'''。
*:「借財又は保証」:手形の振出、時効完成後の債務承認、時効利益の放棄、連帯保証契約(もともとあった債務の弁済は可能(これは'''保存行為''')。)
*:「不動産その他重要な財産に関する権利の得喪」:土地賃貸借の合意解除、著作権の処分、物上保証契約、不動産・重要な財産の貸借(九号参照。)
*:「訴訟行為」:原告として提訴したり控訴、上告すること。提訴ののち訴えを取り下げたり和解等に応じること。(応訴は可能であるが応訴ののち和解することは同意が必要。)
*:「大修繕」に同意は必要であるが、家屋の修理の注文など'''保存行為'''に同意は必要ない。
*:「第602条に定める期間を超える賃貸借」:宅地を5年以上,建物を3年以上,動産を半年以上にわたって貸す契約をすることであるが、これはもはや'''管理行為'''ではない。
==参照条文==
*[[民法第9条]](成年被後見人の法律行為)
*[[民法第11条]](保佐開始の審判)
*[[民法第17条]](補助人の同意を要する旨の審判等)
*[[民法第602条]](短期賃貸借)
*[[民法第864条]](後見監督人の同意を要する行為)
*[[民法第962条]](遺言能力)
== 判例 ==
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=66578 所有権移転登記等請求(昭和41年12月2日)](最高裁判所判例集)
*;準禁治産宣告を受けていない場合に心神耗弱中の法律行為の取消ができるか
*:心神耗弱者は準禁治産宣告を受けて始めて無能力者として法定の取消権を取得するものであり、その場合に該らない以上、心神耗弱中の法律行為であることのみを理由として、その行為を取消すことはできない。
*:*心神耗弱中の行為であるという事実のみでは足りない。
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55145 損害賠償請求(昭和49年12月20日)](最高裁判所判例集)
*;準禁治産者が訴を提起するにつき保佐人の同意を得られない場合と消滅時効の進行
*:準禁治産者である権利者が保佐人の同意を得られないため訴を提起できない場合でも、その権利についての消滅時効の進行は妨げられない。
== 外部リンク ==
* [http://www.courts.go.jp/otsu/vcms_lf/20203002.pdf 大津家庭裁判所のページ]
* [http://www.courts.go.jp/otsu/vcms_lf/kouken25hosaninQandA-0402.pdf 同]
----
{{前後
|[[民法]]
|[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]<br>
[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#第2章 人 (第3条~第32条の2)|第2章 人]]<br>
[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#2-3|第3節 行為能力]]
|[[民法第12条]]<br>(被保佐人及び保佐人)
|[[民法第14条]]<br>(保佐開始の審判等の取消し)
}}
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[[category:民法|013]]
[[category:民法 2017年改正|013]] | null | 2022-10-20T01:51:51Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC13%E6%9D%A1 |
4,596 | 民法第7条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)
(後見開始の審判) | [
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)]]
==条文==
(後見開始の審判)
;第7条
:精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、[[親族|四親等内の親族]]、[[未成年後見人]]、[[未成年後見監督人]]、[[保佐人]]、[[保佐監督人]]、[[補助人]]、[[補助監督人]]又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
==解説==
:[[成年後見]]開始のための要件について規定している。
:未成年後見人、未成年後見監督人が請求権者にあることから未成年に対する後見開始の審判も認められる。これは、未成年者が成人したときに財産行為が引き続き行えるように配慮するためである。
:「事理を弁識する能力」(事理弁識能力)とは[[意思能力]]を指す。
==参照条文==
*後見関連
**[[民法第8条|第8条]]([[成年被後見人]]及び[[成年後見人]])
**[[民法第9条|第9条]]([[成年被後見人]]の法律行為)
**[[民法第10条|第10条]](後見開始の審判の取消し)
**[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編親族]] [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#5|第5章後見]]
* [[民法第11条]](保佐開始の審判)
* [[民法第15条]](補助開始の審判)
* [[知的障害者福祉法第28条]]
*:市町村長は、知的障害者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、[[民法第7条]]、[[民法第11条|第11条]]、[[民法第13条|第13条]]第2項、[[民法第15条|第15条]]第1項、[[民法第17条|第17条]]第1項、[[民法第876条の4|第876条の4]]第1項又は[[民法第876条の9|第876条の9]]第1項に規定する審判の請求をすることができる。
==判例==
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{{前後
|[[民法]]
|[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]<br>
[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#第2章 人 (第3条~第32条の2)|第2章 人]]<br>
[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#2-3|第3節 行為能力]]
|[[民法第6条]]<br>(未成年者の営業の許可)
|[[民法第8条]]<br>(成年被後見人及び成年後見人)
}}
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[[category:民法|007]] | 2006-12-03T11:15:02Z | 2024-02-10T06:30:16Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC7%E6%9D%A1 |
4,597 | 民法第8条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)>民法第8条
(成年被後見人及び成年後見人)
成年被後見人にはどの人物が該当するかについて規定するとともに、それに成年後見人が付されるべきことを規定している。
後見開始の審判がなされると、「後見登記等に関する法律」により被後見人について成年後見登記がなされる。旧法において、禁治産者は戸籍に記載されたが、被後見人の事実は戸籍に記載されない。また、新法施行後、新法施行前に禁治産者の認定があったものは、法令により後見登記がなされており、戸籍からは、本人・配偶者等の申請により禁治産の事実を抹消することができる。
後見登記事実について閲覧はきびしく制限されており、本人他一定の関係者のみが登記事項の証明書又は登記されていないことの証明書の発行を法務局に求めることができる。 | [
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"text": "後見開始の審判がなされると、「後見登記等に関する法律」により被後見人について成年後見登記がなされる。旧法において、禁治産者は戸籍に記載されたが、被後見人の事実は戸籍に記載されない。また、新法施行後、新法施行前に禁治産者の認定があったものは、法令により後見登記がなされており、戸籍からは、本人・配偶者等の申請により禁治産の事実を抹消することができる。",
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"text": "後見登記事実について閲覧はきびしく制限されており、本人他一定の関係者のみが登記事項の証明書又は登記されていないことの証明書の発行を法務局に求めることができる。",
"title": "解説"
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)>民法第8条 | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)]]>[[民法第8条]]
==条文==
(成年被後見人及び成年後見人)
;第8条
:後見開始の審判を受けた者は、[[w:成年被後見人|成年被後見人]]とし、これに[[w:成年後見人|成年後見人]]を付する。
==解説==
成年被後見人にはどの人物が該当するかについて規定するとともに、それに成年後見人が付されるべきことを規定している。
===登記===
後見開始の審判がなされると、「後見登記等に関する法律」により被後見人について成年後見登記がなされる。旧法において、禁治産者は戸籍に記載されたが、被後見人の事実は戸籍に記載されない。また、新法施行後、新法施行前に禁治産者の認定があったものは、法令により後見登記がなされており、戸籍からは、本人・配偶者等の申請により禁治産の事実を抹消することができる。
後見登記事実について閲覧はきびしく制限されており、本人他一定の関係者のみが登記事項の証明書又は登記されていないことの証明書の発行を法務局に求めることができる。
==参照条文==
* [[後見登記等に関する法律第4条]]
*# 後見、保佐又は補助(以下「後見等」と総称する。)の登記は、嘱託又は申請により、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。第九条において同じ。)をもって調製する後見登記等ファイルに、次に掲げる事項を記録することによって行う。
*## 後見等の種別、開始の審判をした裁判所、その審判の事件の表示及び確定の年月日
*## 成年被後見人、被保佐人又は被補助人(以下「成年被後見人等」と総称する。)の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)
*## 成年後見人、保佐人又は補助人(以下「成年後見人等」と総称する。)の氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)
*## 成年後見監督人、保佐監督人又は補助監督人(以下「成年後見監督人等」と総称する。)が選任されたときは、その氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)
*## (略)
*## (略)
*## 数人の成年後見人等又は数人の成年後見監督人等が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことが定められたときは、その定め
*## 後見等が終了したときは、その事由及び年月日
*## [[家事審判法第15条の3|家事審判法(昭和二十二年法律第百五十二号)第15条の3]]第1項の規定による審判(同条第5項の裁判を含む。以下「保全処分」という。)に関する事項のうち政令で定めるもの
*## 登記番号
*# 後見等の開始の審判前の保全処分(政令で定めるものに限る。)の登記は、嘱託又は申請により、後見登記等ファイルに、政令で定める事項を記録することによって行う。
==判例==
----
{{前後
|[[民法]]
|[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]<br>
[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#第2章 人 (第3条~第32条の2)|第2章 人]]<br>
[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#2-3|第3節 行為能力]]
|[[民法第7条]]<br>(後見開始の審判)
|[[民法第9条]]<br>(成年被後見人の法律行為)
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[[category:民法|008]] | 2006-12-03T11:16:44Z | 2024-02-10T03:28:54Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC8%E6%9D%A1 |
4,674 | 料理本/鍋 | 鍋とパンは火の上に置いて食材を放り込み固定する器として使用する調理器具。 煮る、茹でる、焼く、揚げるなどの調理を行う事ができる。
この種の器具には釜、鍋、パンなどがある。
鍋料理 | [
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| 鍋とパンは火の上に置いて食材を放り込み固定する器として使用する調理器具。
煮る、茹でる、焼く、揚げるなどの調理を行う事ができる。 この種の器具には釜、鍋、パンなどがある。 | '''鍋'''と'''パン'''は火の上に置いて食材を放り込み固定する器として使用する調理器具。
煮る、茹でる、焼く、揚げるなどの調理を行う事ができる。
この種の器具には'''釜'''、鍋、パンなどがある。
==釜==
*釜
*タンドール
==鍋==
*土鍋
*中華鍋
*雪平鍋
*フライパン
*パエリャパン
==料理==
[[料理本/鍋料理|鍋料理]]
[[Category:料理本|なへ]]
[[en:Cookbook:Pots and Pans]]
[[he:ספר מתכונים/סירים ומחבתות]] | null | 2007-02-15T14:35:19Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%96%99%E7%90%86%E6%9C%AC/%E9%8D%8B |
4,675 | 料理本/鍋料理 | 鍋料理 | [
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| null | ==アジア==
===日本===
鍋料理{{wp|鍋料理}}
*[[/寄せ鍋|寄せ鍋]]{{wp|寄せ鍋}}
*[[/ちゃんこ鍋|ちゃんこ鍋]]{{wp|ちゃんこ鍋}}
*[[/すき焼き|すき焼き]]{{wp|すき焼き}}
*[[/ちり鍋|ちり鍋]]{{wp|ちり鍋}}
*[[/おでん|おでん]]{{wp|おでん}}
*[[/しゃぶしゃぶ|しゃぶしゃぶ]]{{wp|しゃぶしゃぶ}}
===タイ===
*[[/タイスキ|タイスキ]]
===中華===
*[[/扁炉|扁炉]]
===朝鮮===
*[[/キムチチゲ|キムチチゲ]]
==ヨーロッパ==
===フランス===
*[[/ブイヤベース|ブイヤベース]]
===スイス===
*[[/チーズフォンデュ|チーズフォンデュ]]
[[Category:料理本|なへりようり]]
[[Category:煮込み料理|なへりようり]] | 2006-12-05T10:22:37Z | 2023-10-31T08:35:57Z | [
"テンプレート:Wp"
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%96%99%E7%90%86%E6%9C%AC/%E9%8D%8B%E6%96%99%E7%90%86 |
4,678 | インターネット | インターネットに関する書籍のうち、一般的・日常的なレベルでのインターネット利用についての本はここに分類してください。 | [
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| 情報技術 > インターネット
生活 > インターネット
趣味 > インターネット インターネットに関する書籍のうち、一般的・日常的なレベルでのインターネット利用についての本はここに分類してください。 | *[[情報技術]] > インターネット
*[[:Category:生活|生活]] > インターネット
*[[:Category:趣味|趣味]] > インターネット
[[w:インターネット|インターネット]]に関する書籍のうち、一般的・日常的なレベルでのインターネット利用についての本はここに分類してください。
== インターネットを学ぶ ==
*[[高等学校情報]]
*[[LANとインターネット]]
*さらに高度に学ぶためには[[情報技術]]を参照してください。
== インターネットを使う ==
*電子メール
*ウェブサイト
**電子掲示板
**ウェブログ
**[[ウィキペディアの書き方 入門編|ウィキペディア]]
**ソーシャルネットワーキングサービス
*ネチケット
[[Category:情報技術|いんたあねつと]]
[[Category:生活|いんたあねつと]]
[[Category:インターネット|*]] | null | 2006-12-05T16:36:16Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88 |
4,693 | ドイツ語/初級/第19課 | <第18課 | 第20課>
Vielen Dank für deine Bemühungen im Voraus!
Beispielsätze:
Füge hier den Satz ein, der dir gefällt!
...
Wörter 単語: neue und grundlegende Wörter in unserem Kursbuch, etwa 20 für jede Lektion.
Welche Idee hast du, welche Wörter man hier angeben muss? Was ist dein Vorschlag? Bitte füge ihn ein!
Bemerkungen: Jede Zeile hat ein einziges Wort und seine Übersetzung(en).
Grammatik 文法:
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| <第18課 | 第20課> Vielen Dank für deine Bemühungen im Voraus! Beispielsätze: Füge hier den Satz ein, der dir gefällt! Wir versuchen, deine Idee zu verstehen.
Es ist mir eine Ehre, dich kennenzulernen
Du bekommst keinen Erfolg, ohne Bemühungen zu machen.
Man muss sauber machen, um mit Gemütlichkeit zu leben. ... Wörter 単語:
neue und grundlegende Wörter in unserem Kursbuch, etwa 20 für jede Lektion. Welche Idee hast du, welche Wörter man hier angeben muss? Was ist dein Vorschlag? Bitte füge ihn ein! Bemerkungen: Jede Zeile hat ein einziges Wort und seine Übersetzung(en). Grammatik 文法: <第18課 | 第20課> | [[ドイツ語/初級/第18課|<第18課]] | [[ドイツ語/初級/第20課|第20課>]]
'''Vielen Dank für deine Bemühungen im Voraus!'''
Beispielsätze:
<!--
:Hier stehen vier Beispeilsätze.
:Jeder Satz betrifft das Thema jeder Lektion: z.B. bei Lektion 1, Verb in Präsenz und Ort usw.
:Einer der vier ist der gleiche, wie der Titel der Lektion.
-->
'''Füge hier den Satz ein, der dir gefällt!'''
:<文型>
* Wir versuchen, deine Idee zu verstehen.
* Es ist mir eine Ehre, dich kennenzulernen<!-- kennen zu lernen ? -->
* Du bekommst keinen Erfolg, ohne Bemühungen zu machen.
* Man muss sauber machen, um mit Gemütlichkeit zu leben.
...
Wörter 単語:
neue und grundlegende Wörter in unserem Kursbuch, etwa 20 für jede Lektion.
Welche Idee hast du, welche Wörter man hier angeben muss? Was ist dein Vorschlag? '''Bitte füge ihn ein!'''
Bemerkungen: Jede Zeile hat ein einziges Wort und seine Übersetzung(en).
Grammatik 文法:
:Erklärung mit Beispielsätze. Wir bedanken uns bei dir für deine Beispielsatzvorschläge.
[[ドイツ語/初級/第18課|<第18課]] | [[ドイツ語/初級/第20課|第20課>]]
[[Category:ドイツ語 初級|19]] | null | 2015-08-09T02:39:17Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E8%AA%9E/%E5%88%9D%E7%B4%9A/%E7%AC%AC19%E8%AA%B2 |
4,699 | 神戸大対策 | 本項は神戸大学の「一般入学試験」対策に関する事項である。
神戸大学は大学入学共通テスト 5教科7科目に加え、2次試験に英数国(文科系)/英数理(理科系)が課され、傾斜配点においては学部学科にもよるが比重が1:1程度の入試形態を取っているため、共通テストでは7.5~8割程度の得点がないと合格は厳しい。
特に経営学部の一部では、共通テストの得点によって合否が確定するため、共通テストで失敗することは致命傷となる。一方で経済学部(数学系)においては6割を超える配点(500/800)が数学にかけられるため逆転合格することも可能となっている。倍率は医学部医学科を除いて、どの学部も3倍前後である。
二次試験は、難問・奇問はあまり出題されず、標準問題が大半である。そのため1科目でも致命的に出来なければ、そこで他の受験生と差が開いてしまい、合格が遠ざかってしまう。特に数学でその傾向が強い。
ケアレスミスを何回も犯すと、大ダメージとなってしまうので、見直しをしたり、計算は筆算で行ったりして、ミスを可能な限り減らすことを心がけたい。
長文読解問題が3問、和文英訳/自由英作文が1問出題される構成が殆どで、これを試験時間80分以内に解答することになる。
神戸大学の英語は、国公立大学の入試では珍しい時間との格闘が問題となるので、時間配分に注意を配りたい。
長文読解に時間をかけるなら、Iに20~25分、IIに20~25分、IIIに20~25分、IVに10~20分と分配し、バランスよくするなら各大問に20分±数分かけるとよいだろう。
十分に解答するためには、単語、文法事項・構文の知識をある程度踏まえた上での速読力が必要となる。これにはCD等によりシャドーイング(音声を聞いた後、即座に復唱する)の練習も有効であろう。
本文から省かれた語句を記号で問うものや、並べ替え、内容一致、内容説明、部分和訳の問題が出題される。文法知識を直接問う問題はほとんど出題されない。
基本的に平易なものが多いが、内容説明に関しては、問われているものが本文のどの箇所に当たるのかを把握し、それを字数に合う形で解答しなければならない。これは形を変えた部分和訳とも言える作業であり、ある程度の厳密さが必要である。総語数はここ数年で多くなってきているので、速読力はさらに必要となっているといってよい。
部分和訳については、文構造はそれほど難しくないものの直訳すると意味が分かり辛くなる短文和訳があるので、文脈を考慮した上でのこなれた和訳をする必要がある。
なお、07年前期では和訳の量が多くなっており、和訳に関しても若干精密さが要求されるような傾向が08年以降も継続する可能性もある。 内容説明は、基本的に文字数制限がある。
内容一致は、5、6個の選択肢から二つ正しいものを選ぶという形式で長らく安定している。先に選択肢中の固有名詞を把握し(選択肢の内容は把握しなくて良い)、その固有名詞が文中に出てきたらマークして照合しやすいようにするとよいだろう。
11年前期は、I・II番の一般的な論説文2題は10年入試に比べて、I番が107(611→504)語減、II番が58(618→560)語減と09年に迫る程(因みに09年入試は、I番が457語、II番が585語)語数が減ったうえ、I番が『小型哺乳類と気候変動』という入試問題でよく見られる自然環境系の文章、II番が『睡眠と文化の関わり』がテーマの脳科学系の文章とどちらも神戸大の入試問題によく見られる分野の物で、比較的受験生には取り組み易いものだったと言える。
しかし、比較的多くの受験生が苦手とする会話を含む物語文が毎年見られるIII番は語数が155(602→777)語増と過去に類を見ない長さ(因みに97年入試以降最大の語数、08年入試の743語が次点)の物となり、内容も「認知症の進行している母親とその母親を心配する娘」を扱ったもので10年入試の「落とし物を届けた母娘」と比べても、多くの受験生には馴染みの薄いものだったことが災いし、更には、話の展開の読み取りも、相当難しく、かなりの受験生が骨を折った様である。
12年入試は、I番が「環境に対する適応性」がテーマで、神戸大では比較的よく見られる自然環境系の文章であり、受験生には取り組み易いものだったと思われる。 II番は「宗教の起源に対する考察」という人間•文化をテーマとする比較的よく見られる分野の文章での出題ではあるが、ただでさえ、受験生には馴染みの薄い分野であるうえ、その中でも宗教史という、どちらかというとマニアックな分野からの文章に背景知識や類推が利かず困った者は多かった様だ。
なお、I番は問1(1) scientific legend と the extent to which節 の和訳、2つある they の区別が付いていることを示す訳し方が出来たかが、 (2)Adaptation allows us to~ の和訳に工夫が、attend とignore の並列関係の理解が鍵に、また問2は本文から実験の様子を想像し得たかがポイントである。問4は本文を理解しているかを問う問題で1は don't notice 等が、2は quickly notice や start to notice 等が入る。
II番の問1は Religious types の文中での意見の理解が鍵に、問3は get their just deserts の意見の理解よりも、むしろ選択肢の意見の理解と一つずつ空欄に選択肢を当てはめてみることが正解への近道に、問5は a mental conection や extra thinking time の意訳がポイントである。 III番は、例年通り会話を含む物語文であり、難易度は、語数同様昨年に比べ、ある程度は下がったものの、やはり簡単とは言い難く、駿台予備学校や河合塾などの予備校も「やや難」との見解を見せている。
主なポイントは、問1では、(1)が直後の She's just busy をヒントと見抜けたかが、(5)では、fit in の意味を理解しているかが、問4では、I never thought I'd be interested in の形容詞節と、 as far away from my major as節 がいずれも and で並列関係にあり、subject に係っている事が分かったかが、鍵であった。 問2、問3は神戸大の例年の傾向を踏襲した問題と言える。
16年前期はIIIの小説が、登場人物が10人を超えるという異例の事態となり、難化した。 この傾向が続くかどうかは不明だが、この程度の問題が出題される可能性は否定できないので、『英語長文問題精講』のような、やや難しめの問題集に取り組んで慣れる必要もあるかもしれない。
18年前期は、Iの長文問題で、大半の受験生には馴染みのない単語の類推力を問う和訳問題が出題された。広い意味での読解力を問うものだとも言えるだろう。
20年前期はIIIの長文読解が大幅に難化した。内容が「禅画や書の歴史」という難解なものだったうえ、問題も容易ではなかった。 埋め込まれた英作文の問題は、問題文中に出てきた語句の自分の解釈を英語で書くというもので、非常に難しい問題だったと思われる。
21年前期は、IIIの長文読解が、学生と教員の議論のみで構成され、地の文が存在しないという新傾向の問題となった。
22年前期では、Iの長文読解で、「正しい選択肢をすべて選べ」という新傾向の問題が出題された。また、IIの長文読解で、一般論を駆使すればかなり解きやすくなる問題が出題された。
なお、IIの問1は作問ミスが発覚しているので、過去問演習を行う際は留意してほしい。
これに関しては、以前は隔年的にどちらかが出題されていたものの08〜10年は、和文英訳のみが、11年以降は自由英作文の出題が続いており、11年入試はグラフの読み取りと自由英作という今までなかったタイプが、12年入試は07年入試以降久しく見られなかった、和文英訳と自由英作の並列という形での出題となった。
過去には、古文を英訳させるという出題もあった。よって、受験生は和文英訳、自由英作の対策、特に自由英作文の対策が必要である。
対策としては、100~200程度の英文を50本程度暗記し、何も見ずに再現する練習、また日本語で作文を書く時のように文章の構成を考えながら書くという訓練を進めていけば、必ず書ける良問を神戸大は毎年出題している。
11年入試では、与えられたグラフから読み取れる一般的な傾向の概略とグラフの示している個々の事象を2、3題詳しく2文で書かせ、更に携帯電話を持ち始めるに適当な年齢を理由も含め書かす問題を、どちらも60語程度(つまり、計120語±18語程度)というハードな字数量の指定を付けて出題したが、12年入試は中野孝次『風の良寛』の一節から、25語程度の和文英訳、及び出題部分の筆者の意見に対する受験生の意見を、50語程度で英語で述べさせる問題が出題され、難易度•分量ともにかなり下がったと言える。
基本的に、自分の使える表現内で書くことが重要である(記憶があやふやなものを使って書くべきではない)。そのためには、表現方法を豊かにするため問題演習を重ねたり例文集に当たることが必要である。
特にグラフから読み取れる事柄を、英文で説明するタイプの問題は近年、各種試験(英検、TOEFL、TEAP)で頻出であり、神戸大の先生にはこれら各種試験の作成に携わっている先生もおられることから、今後も出題が予想される分野である。
また、英作文の採点には、英米人などのネイティブスピーカーの先生方も加わることが考えられるため、和文英訳というよりも正しく・簡潔に「通じる」英語で書くことが重要である。
入学後の4月にTOEFLやTOEIC(学部により受ける試験が異なる)等のアメリカの試験を受けなければならないことから、高校の英語とアメリカ実務英語をうまく接続するような中間的な形態の出題も予想される。
ところが、2020年の入試では、英作文単独の大問が消滅し、英文読解を踏まえた上での受験生自身の解釈を英語で記述させる問題が出題された。
これは、2019年の京都大学の英語における出題を意識したものと考えられる。英文読解の問題を解く際にも、神戸大学に典型的な問題以外のものを選択する必要があるかもしれない。ただし、それ以降は従来の形式に戻っている。
各設問の難易度はそこまで高くない。全体的な時間の短さを考えれば、実際には500語程度の長文を的確に解答できるようになる訓練が必要である。
また、記号選択式問題だけでも全体の半分程度あるのでそこは確実にクリアしたい。英作文に関して言えば年度によって難易度にかなりの差があり、標準~やや難程度まで変動する。やや難しめで長めの英作文をこなして本学の英作が「短い」とおもえるように訓練すべきである。
試験時間80分で3問出題される。
標準的な問題が多いが、それでも最も差が開く科目なので、英国に不安がある受験生は満点近く、英国に自信があるが数学に自信のない受験生は本番までに3問中2問は解き切って半分程度得点することを目指そう。数学の配点が高い経済学部であれば、悪くても2問完答以上を目指したい。配点が低い文学部、法学部や国際人間科学部(文科系での受験)志望で、英国に自信があれば1問完答、1問を途中までの解答としても合格に届く可能性はある。
しかし、やはりどの学部であっても2問は完答したい。ここ数年は難化傾向にあること、また2018年より経済学部が二次試験における数学優先の配点を採用するため、数学が神戸大文系合格のための最重要科目になりつつある。
出題分野の傾向としては、微積分・ベクトル・数列が(文系数学一般でいえば確率も)頻出分野である。2015年-2018年においてもこの傾向は続いている。 設問の傾向としては、整数・数列・確率と微積分・ベクトルとの融合問題が頻出であること、また論証がほぼ確実に出題される。
試験時間120分で5問出題される。微積分や確率の問題が出題される可能性が高く、かつ難問である。微積分が出題されなかった年は、ここ20年程度はほぼ存在しない。 各設問とも(1)の問題は完答し、最低でも6割程度の点数は確保したい(もちろん医学部医学科志望の受験生は別である)。
医学部医学科でないならば、大問2つを完答して残り三問で部分点を稼ぐくらいは達成したい。問題の多くがオーソドックスなだけに、計算ミスは致命傷となる。方針が立った瞬間、一気に答案を書き上げる、記述力、判断力、計算力がほしい。できるところは極力早めに解答し、確率など慎重にとき進めたい分野に時間をかけたい。複素数にからめた出題の可能性も否めないので、類題の演習も必要だろう。
簡単に見えて、なめてかかると痛い思いをするのが、神戸大学の出題だと思われる。
100分以内に現代文(評論)、古文、漢文の3問(経営学部は80分以内で現代文と古文のみ)を解かなければならない。現代文の文章の長さ(引用文も長い)も特徴的である。100字以上の記述問題が、現代文と古文それぞれで常に課され、漢文でも50字以上の記述問題が確実に出ることから時間的余裕は無いだろう。
現代文、古文、漢文のいずれにおいても、文脈を追い、文章中に複数以上ある解答の要素を捉え、短時間で的確に言い換えて記述するという作業に対する慣れが必要である。
また本学では、時間配分が学力レベルを越えて影響するため、しっかりとした過去問分析が必要である。特に現代文は予想以上に時間がかかる。
したがって、まず古文と漢文を40~50分で片付け確実に得点を確保し、残りの時間を現代文にかけたい。なお2019年の3月に教学社から『神戸大の国語15カ年』が刊行された。
現代文に関しては、漢字問題以外は全て論述形式で問われる。例年、他大学を圧倒する5000字前後の長文が出題され、総記述量も400字程度と時間的に厳しい(ただし、2019年度は問題文の字数が1300字程度減った)。
出題傾向としては、そのほとんどが「〜〜とあるが、それはどういうことか。」として説明させられる、いわゆる言い換えの問題が大半である。記述力を身に付ける方法としては、一橋大学の国語の大問3で出題されるような、一定の長さの文章を200字以内に要約する問題を解き、添削してもらうというものが挙げられるが、長期休暇等を利用して継続して行わなければ意味が無いだろう。
そのうえ、本文の長さは、他の学校と比べても例外的なので、本番と同様の演習を行おうと思っても、材料は過去問や神戸大用模試の過去問に限られる。従って、経済学部や経営学部のような国語の配点が高くない学部の志望者は、現代文に相当な時間を割いて対策することで不得意な他の科目の分を補おうと考えるのは得策ではないだろう(ただし、いわゆる「捨てられる」科目ではないのでそれなりの得点が可能な程度は勉強すべきである)。
しかし、法学部、文学部、国際人間科学部(理科系での受験は除く)のように国語の配点が高い学部を志望し、なおかつ記述問題が得意で、国語を得点源にしようと考える人もいるだろう。そのような人は、英語や数学の勉強がおろそかにならない程度に神戸大学のレベルを超えた問題にどんどん挑戦しよう。
というのも、本学の問題のようなスピード重視の出題に慣れすぎると、読書の仕方までもそのようになってしまい、精読が苦手になってしまう恐れがあるからであり、また、京都大学の国語で出題されるような短くかつ含蓄のある文章の読み取りが大学入学後の勉学に資するからである。
なお、本文中に登場する語句が難しいと思ったり、本文の背景知識が足りないと感じるならば、現代文用のキーワード集や用語集で語彙力を身に付けるべきである。
基本的な文法・語法(句形)問題も出題されているが、現代語訳や30字から100字程度の記述を要する読解問題の比重が高い。文法や重要語の知識を身に付けるのは当然だが、それらを単独で覚えるだけでなく、一定の長さを持った文章の中での文脈において理解することも大切であろう。
すなわち、日常学習のみならずマーク・記述模試を受けた後、知らなくて答えられなかったり読解を間違えたりした箇所は解答・解説を読み込んで徹底的に洗い直し、本文を改めて理解することが重要である。覚えなければならない古文単語や句形・重要な文字の数は英単語に比べればさほど多くないのだから、内容の理解を問う問題に取り組めるよう学習に取り組まなければならない。この古文・漢文をいかに早く解き、現代文に時間を費やせるかが重要である。
特に漢文は、他の2題に比べ確実な得点源となりうるので、(漢文が課されない経営学部の時間から考察して)大学側が考えている20分よりも速く解きたい。
解いた問題で分からなかった箇所や、誤った箇所を直ちに補わなければならないのは、古文・漢文のみならず全科目に共通する必須の学習姿勢である。
多くの学科では、4科目のうちから2科目を選択して120分で解答する。一部の学科では1科目選択である。理学部物理学科や工学部などでは、絶対に選択しなければならない科目があるので注意しよう。
3問出題される。1問は力学から、1問は電磁気からほぼ必ず出題され、もう1問は波動・熱力学のどちらかからの出題が多いが、原子からの出題も稀にある。
時間は2科目120分(学部学科によっては1科目60分の場合もある)。
神戸大物理では、難しい問題はあまり出題されないが、答えに至るまでの導出過程を記述せねばならぬ問が多い。
導出過程を記述する際に、必要な物理量を表す記号を明示する必要があることもある。教科書や参考書等を使って公式の導出過程をしっかりと身につけておくことは勿論、一般的な入試対策問題集で問題を解く際も導出過程を記述して解答していくことが神戸大物理攻略への一歩である。
描図問題や、論述問題の出題もしばしば見られる。空所補充形式での出題は少ない。化学と同様に、過去問15年程度は目を通すことが望ましい。余裕があるならば、物質と原子の分野にも目を通した方が、より安全だと思われる。
いずれにせよ、簡潔に問われている分、なかなか書き方が難しく、表現力の乏しい生徒には厳しい。傾斜的に物理が得意な生徒と、そうでない生徒とでは差はつくだろう。難易度や導出過程の記述で多少の失点が発生する恐れがあることを鑑みると、合格するためには解けなくてよい問(捨て問)はあまりないので、ある程度応用問題も解けるようにしておく必要がある。
4問出題される。大まかな傾向としては、1問は理論分野から、1問は無機分野から、1問は化学Iの有機分野から、もう1問は化学IIの有機分野からの出題。時間は2科目120分である(学部学科によっては1科目60分の場合もある)。標準的な難易度の問題が多い。
1問およそ15分ほどしかかけることが出来ないため、素早い問題処理能力が求められる。また、有機分野の配点が高いため、こちらを重点的に勉強すると良い。有機分野を捨てることは自傷行為である。(しかし、得点率が悪いのは有機分野である)
また、神戸大化学の特徴として、過去に神戸大で出した入試問題とほぼ同じテーマを出すことが多い。(例:99年大問3と03年大問3、00年大問3と07年大問3)。そのため、過去の入試問題を10~15年ほど丁寧に、分野別に研究することが合格への近道である。 数研出版の重要問題集での演習をおすすめする。 さらに、生命と物質の分野も必須事項であり、アミノ酸、セルロースなどの出題頻度が高いので、対策が必要と思われる。これは、この分野が、今後の医学分野での活用が非常に高いことを見越した、神戸大学の意図だと思われる。なお、核酸は新課程になって以降、一度も出題されていない。
化学と同じく、4問出題される。出題範囲は幅広く、生態系から細胞小器官まで幅広く出題されるので、ヤマを張るのはやめるべきである。時間は2科目で120分なので、生物には約60分を割り当てる計算になる(一部の学科では1科目60分)。
この試験時間は、他の大学と比べても短めであり、神戸大学の他の科目と同様、時間との勝負を強要される。
問題の内容は概ね定まっており、まず空所補充、次に用語の記述、その次に40〜120字程度の論述が二問程度といった内容が多い。
論述は、頻出論述が少なくとも半分程度を占めるため、典型的な問題については、予備校の講習を受けたり、記述力を鍛える問題集に取り組んだりして確実に答えられるようにしておきたい。
また、空所補充については、全問正解するだけで20〜25%を獲得できる(空欄ひとつにつき1点と仮定した場合)ので、最大でも二問間違い程度で済ませるべきである。
難易度は、一部の問題を除けばやや易〜標準だが、遺伝計算は標準〜やや難のものが多い。よって、基礎を固めるのが何より効果的である。大半の問題は難問ではないので、できる問題を確実に解けるようにするのが重要。医学部医学科ならば7割以上、それ以外の理系学部志望ならば6割以上を得点したい。
神戸大の後期法学部小論文は、他学部ならび他大学のどの小論文とも似つかない。それゆえ対策には労苦するだろう。
テーマ(例えば尊厳死についてなど)にそって6つ程度のパッセージを与えられ、それを賛成意見と、反対意見に振り分けてまとめるというのが神戸大法学部の小論文の伝統である。気をつけなければいけないのは、自分の意見を入れてはならないことだ。
出題されたテーマに明るい場合、往々にして知識をひけらかそうとしたくなるものだがそこは我慢。その知識は自分の小論文を推敲する際に役立てよう。時事問題に対する知識と各意見を分類する能力と文章の抽象部を指摘しまとめる力が試されているといえよう。
対策
赤本などには、『アエラ 法律学がよくわかる本』を参考にする旨が推奨されているが、書店に置いていない場合が多くまた分量も多いため実用的ではない。 もっともよい対策の一つは、新聞の社説であろう。社説の譲歩部分と主張部分を書き出す作業を繰り返せば、時事知識、賛成意見と反対意見の識別能力、まとめる力の3点が合理的に身につくであろう。前期試験終了までにある程度地力をつけておき、過去問にあたるのがベストである。
ちなみに、予備校の小論対策は意見小論文対策であり、本試験には馴染まないので効果的ではない。
試験
試験時間は3時間あり十分である。下書き用紙が用意されているので、大いに利用しよう。パッセージを一つ読んだら下書き用紙にまとめるという作業を繰り返し、全部読みきってた後で流れを考えながら配置を決めよう。賛成意見と反対意見を交互に書くのではなく、賛成意見と反対意見の2段落構成でいこう。そのさい指定文字数をパッセージ数でわっておき、各パッセージをまとめる際の平均字数を決定しておこう。
そうすることで字数オーバーや巷でよく危険ラインといわれる8割切りは防げるであろう。
神戸大の上記学科後期小論文は与えられた文章(A4用紙10枚前後)を読み、そこから要約と自分の意見を述べる3問構成の一般的な形である。
文章は比較的読みやすいものであるが、最近では、自分の学びたい事柄と関連させて書くことが求められており、そのため志望学科によっては、関連させるのが難しい場合もある。また難化しており、2008年の小論文はJ,S,ミルの自由論が出るなど、大幅に難化した。しかしながら、センターで十分に点数が取れれば、失敗することはまずないであろう。
対策
まずは、センター試験レベルの文章を200~300文字程度に要約することから始めよう。次に現代文の用語を覚えよう。
特に自分の興味のある学問については、深く勉強することもよい。加えて、自分の志望学科の教授が何を研究しているのかを調べよう。小論文を書くにあたって大きな力となるだろう。
試験
時間は150分ある。下書き用紙が配られるので、大いに活用しよう。書き方としては、主張→その具体的説明→結論という形を意識して書くようにしよう。
現在、神戸大受験生対象の模試としては、神大入試オープン(河合塾)、神戸大入試実戦模試(駿台予備学校)、神戸大本番レベル模試(東進)が実施されている。
各予備校は、神戸大入試を徹底分析し、前年度の入試をもとに作成した問題を提供しており、また、神戸大志願者が多く受験するため、受験すれば本番入試に向けての大きな指針となる。よって、神戸大志願者はこれらの模試をできる限り受験しておきたい。 また、この模試とセンター試験対策のマーク模試でドッキング判定(総合判定)される場合が多いので、出来れば、ドッキング対象のマーク模試も同時に受験するべきである。さらに、当大学の入試問題は常に時間との勝負となるために、できれば2つ以上受験して一方は得点狙い、もう一方は時間配分・本番に向けての実験などを試みるようにしたい。
年によっては、神戸大学キャンパス内に受験会場が設置されることがある。本学を志願する受験生にとっては、受験会場の雰囲気に慣れることや受験会場の下見も兼ねることにもなることで、良い機会となる。 | [
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"text": "神戸大学は大学入学共通テスト 5教科7科目に加え、2次試験に英数国(文科系)/英数理(理科系)が課され、傾斜配点においては学部学科にもよるが比重が1:1程度の入試形態を取っているため、共通テストでは7.5~8割程度の得点がないと合格は厳しい。",
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"text": "特に経営学部の一部では、共通テストの得点によって合否が確定するため、共通テストで失敗することは致命傷となる。一方で経済学部(数学系)においては6割を超える配点(500/800)が数学にかけられるため逆転合格することも可能となっている。倍率は医学部医学科を除いて、どの学部も3倍前後である。",
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"text": "二次試験は、難問・奇問はあまり出題されず、標準問題が大半である。そのため1科目でも致命的に出来なければ、そこで他の受験生と差が開いてしまい、合格が遠ざかってしまう。特に数学でその傾向が強い。",
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"text": "長文読解問題が3問、和文英訳/自由英作文が1問出題される構成が殆どで、これを試験時間80分以内に解答することになる。",
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"text": "神戸大学の英語は、国公立大学の入試では珍しい時間との格闘が問題となるので、時間配分に注意を配りたい。",
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"text": "十分に解答するためには、単語、文法事項・構文の知識をある程度踏まえた上での速読力が必要となる。これにはCD等によりシャドーイング(音声を聞いた後、即座に復唱する)の練習も有効であろう。",
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"text": "部分和訳については、文構造はそれほど難しくないものの直訳すると意味が分かり辛くなる短文和訳があるので、文脈を考慮した上でのこなれた和訳をする必要がある。",
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"text": "なお、07年前期では和訳の量が多くなっており、和訳に関しても若干精密さが要求されるような傾向が08年以降も継続する可能性もある。 内容説明は、基本的に文字数制限がある。",
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"text": "内容一致は、5、6個の選択肢から二つ正しいものを選ぶという形式で長らく安定している。先に選択肢中の固有名詞を把握し(選択肢の内容は把握しなくて良い)、その固有名詞が文中に出てきたらマークして照合しやすいようにするとよいだろう。",
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"text": "11年前期は、I・II番の一般的な論説文2題は10年入試に比べて、I番が107(611→504)語減、II番が58(618→560)語減と09年に迫る程(因みに09年入試は、I番が457語、II番が585語)語数が減ったうえ、I番が『小型哺乳類と気候変動』という入試問題でよく見られる自然環境系の文章、II番が『睡眠と文化の関わり』がテーマの脳科学系の文章とどちらも神戸大の入試問題によく見られる分野の物で、比較的受験生には取り組み易いものだったと言える。",
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"text": "しかし、比較的多くの受験生が苦手とする会話を含む物語文が毎年見られるIII番は語数が155(602→777)語増と過去に類を見ない長さ(因みに97年入試以降最大の語数、08年入試の743語が次点)の物となり、内容も「認知症の進行している母親とその母親を心配する娘」を扱ったもので10年入試の「落とし物を届けた母娘」と比べても、多くの受験生には馴染みの薄いものだったことが災いし、更には、話の展開の読み取りも、相当難しく、かなりの受験生が骨を折った様である。",
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"text": "12年入試は、I番が「環境に対する適応性」がテーマで、神戸大では比較的よく見られる自然環境系の文章であり、受験生には取り組み易いものだったと思われる。 II番は「宗教の起源に対する考察」という人間•文化をテーマとする比較的よく見られる分野の文章での出題ではあるが、ただでさえ、受験生には馴染みの薄い分野であるうえ、その中でも宗教史という、どちらかというとマニアックな分野からの文章に背景知識や類推が利かず困った者は多かった様だ。",
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"text": "なお、I番は問1(1) scientific legend と the extent to which節 の和訳、2つある they の区別が付いていることを示す訳し方が出来たかが、 (2)Adaptation allows us to~ の和訳に工夫が、attend とignore の並列関係の理解が鍵に、また問2は本文から実験の様子を想像し得たかがポイントである。問4は本文を理解しているかを問う問題で1は don't notice 等が、2は quickly notice や start to notice 等が入る。",
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"text": "II番の問1は Religious types の文中での意見の理解が鍵に、問3は get their just deserts の意見の理解よりも、むしろ選択肢の意見の理解と一つずつ空欄に選択肢を当てはめてみることが正解への近道に、問5は a mental conection や extra thinking time の意訳がポイントである。 III番は、例年通り会話を含む物語文であり、難易度は、語数同様昨年に比べ、ある程度は下がったものの、やはり簡単とは言い難く、駿台予備学校や河合塾などの予備校も「やや難」との見解を見せている。",
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"text": "11年入試では、与えられたグラフから読み取れる一般的な傾向の概略とグラフの示している個々の事象を2、3題詳しく2文で書かせ、更に携帯電話を持ち始めるに適当な年齢を理由も含め書かす問題を、どちらも60語程度(つまり、計120語±18語程度)というハードな字数量の指定を付けて出題したが、12年入試は中野孝次『風の良寛』の一節から、25語程度の和文英訳、及び出題部分の筆者の意見に対する受験生の意見を、50語程度で英語で述べさせる問題が出題され、難易度•分量ともにかなり下がったと言える。",
"title": "英語"
},
{
"paragraph_id": 30,
"tag": "p",
"text": "基本的に、自分の使える表現内で書くことが重要である(記憶があやふやなものを使って書くべきではない)。そのためには、表現方法を豊かにするため問題演習を重ねたり例文集に当たることが必要である。",
"title": "英語"
},
{
"paragraph_id": 31,
"tag": "p",
"text": "特にグラフから読み取れる事柄を、英文で説明するタイプの問題は近年、各種試験(英検、TOEFL、TEAP)で頻出であり、神戸大の先生にはこれら各種試験の作成に携わっている先生もおられることから、今後も出題が予想される分野である。",
"title": "英語"
},
{
"paragraph_id": 32,
"tag": "p",
"text": "また、英作文の採点には、英米人などのネイティブスピーカーの先生方も加わることが考えられるため、和文英訳というよりも正しく・簡潔に「通じる」英語で書くことが重要である。",
"title": "英語"
},
{
"paragraph_id": 33,
"tag": "p",
"text": "入学後の4月にTOEFLやTOEIC(学部により受ける試験が異なる)等のアメリカの試験を受けなければならないことから、高校の英語とアメリカ実務英語をうまく接続するような中間的な形態の出題も予想される。",
"title": "英語"
},
{
"paragraph_id": 34,
"tag": "p",
"text": "ところが、2020年の入試では、英作文単独の大問が消滅し、英文読解を踏まえた上での受験生自身の解釈を英語で記述させる問題が出題された。",
"title": "英語"
},
{
"paragraph_id": 35,
"tag": "p",
"text": "これは、2019年の京都大学の英語における出題を意識したものと考えられる。英文読解の問題を解く際にも、神戸大学に典型的な問題以外のものを選択する必要があるかもしれない。ただし、それ以降は従来の形式に戻っている。",
"title": "英語"
},
{
"paragraph_id": 36,
"tag": "p",
"text": "各設問の難易度はそこまで高くない。全体的な時間の短さを考えれば、実際には500語程度の長文を的確に解答できるようになる訓練が必要である。",
"title": "英語"
},
{
"paragraph_id": 37,
"tag": "p",
"text": "また、記号選択式問題だけでも全体の半分程度あるのでそこは確実にクリアしたい。英作文に関して言えば年度によって難易度にかなりの差があり、標準~やや難程度まで変動する。やや難しめで長めの英作文をこなして本学の英作が「短い」とおもえるように訓練すべきである。",
"title": "英語"
},
{
"paragraph_id": 38,
"tag": "p",
"text": "試験時間80分で3問出題される。",
"title": "数学"
},
{
"paragraph_id": 39,
"tag": "p",
"text": "標準的な問題が多いが、それでも最も差が開く科目なので、英国に不安がある受験生は満点近く、英国に自信があるが数学に自信のない受験生は本番までに3問中2問は解き切って半分程度得点することを目指そう。数学の配点が高い経済学部であれば、悪くても2問完答以上を目指したい。配点が低い文学部、法学部や国際人間科学部(文科系での受験)志望で、英国に自信があれば1問完答、1問を途中までの解答としても合格に届く可能性はある。",
"title": "数学"
},
{
"paragraph_id": 40,
"tag": "p",
"text": "しかし、やはりどの学部であっても2問は完答したい。ここ数年は難化傾向にあること、また2018年より経済学部が二次試験における数学優先の配点を採用するため、数学が神戸大文系合格のための最重要科目になりつつある。",
"title": "数学"
},
{
"paragraph_id": 41,
"tag": "p",
"text": "出題分野の傾向としては、微積分・ベクトル・数列が(文系数学一般でいえば確率も)頻出分野である。2015年-2018年においてもこの傾向は続いている。 設問の傾向としては、整数・数列・確率と微積分・ベクトルとの融合問題が頻出であること、また論証がほぼ確実に出題される。",
"title": "数学"
},
{
"paragraph_id": 42,
"tag": "p",
"text": "試験時間120分で5問出題される。微積分や確率の問題が出題される可能性が高く、かつ難問である。微積分が出題されなかった年は、ここ20年程度はほぼ存在しない。 各設問とも(1)の問題は完答し、最低でも6割程度の点数は確保したい(もちろん医学部医学科志望の受験生は別である)。",
"title": "数学"
},
{
"paragraph_id": 43,
"tag": "p",
"text": "医学部医学科でないならば、大問2つを完答して残り三問で部分点を稼ぐくらいは達成したい。問題の多くがオーソドックスなだけに、計算ミスは致命傷となる。方針が立った瞬間、一気に答案を書き上げる、記述力、判断力、計算力がほしい。できるところは極力早めに解答し、確率など慎重にとき進めたい分野に時間をかけたい。複素数にからめた出題の可能性も否めないので、類題の演習も必要だろう。",
"title": "数学"
},
{
"paragraph_id": 44,
"tag": "p",
"text": "簡単に見えて、なめてかかると痛い思いをするのが、神戸大学の出題だと思われる。",
"title": "数学"
},
{
"paragraph_id": 45,
"tag": "p",
"text": "100分以内に現代文(評論)、古文、漢文の3問(経営学部は80分以内で現代文と古文のみ)を解かなければならない。現代文の文章の長さ(引用文も長い)も特徴的である。100字以上の記述問題が、現代文と古文それぞれで常に課され、漢文でも50字以上の記述問題が確実に出ることから時間的余裕は無いだろう。",
"title": "国語"
},
{
"paragraph_id": 46,
"tag": "p",
"text": "現代文、古文、漢文のいずれにおいても、文脈を追い、文章中に複数以上ある解答の要素を捉え、短時間で的確に言い換えて記述するという作業に対する慣れが必要である。",
"title": "国語"
},
{
"paragraph_id": 47,
"tag": "p",
"text": "また本学では、時間配分が学力レベルを越えて影響するため、しっかりとした過去問分析が必要である。特に現代文は予想以上に時間がかかる。",
"title": "国語"
},
{
"paragraph_id": 48,
"tag": "p",
"text": "したがって、まず古文と漢文を40~50分で片付け確実に得点を確保し、残りの時間を現代文にかけたい。なお2019年の3月に教学社から『神戸大の国語15カ年』が刊行された。",
"title": "国語"
},
{
"paragraph_id": 49,
"tag": "p",
"text": "現代文に関しては、漢字問題以外は全て論述形式で問われる。例年、他大学を圧倒する5000字前後の長文が出題され、総記述量も400字程度と時間的に厳しい(ただし、2019年度は問題文の字数が1300字程度減った)。",
"title": "国語"
},
{
"paragraph_id": 50,
"tag": "p",
"text": "出題傾向としては、そのほとんどが「〜〜とあるが、それはどういうことか。」として説明させられる、いわゆる言い換えの問題が大半である。記述力を身に付ける方法としては、一橋大学の国語の大問3で出題されるような、一定の長さの文章を200字以内に要約する問題を解き、添削してもらうというものが挙げられるが、長期休暇等を利用して継続して行わなければ意味が無いだろう。",
"title": "国語"
},
{
"paragraph_id": 51,
"tag": "p",
"text": "そのうえ、本文の長さは、他の学校と比べても例外的なので、本番と同様の演習を行おうと思っても、材料は過去問や神戸大用模試の過去問に限られる。従って、経済学部や経営学部のような国語の配点が高くない学部の志望者は、現代文に相当な時間を割いて対策することで不得意な他の科目の分を補おうと考えるのは得策ではないだろう(ただし、いわゆる「捨てられる」科目ではないのでそれなりの得点が可能な程度は勉強すべきである)。",
"title": "国語"
},
{
"paragraph_id": 52,
"tag": "p",
"text": "しかし、法学部、文学部、国際人間科学部(理科系での受験は除く)のように国語の配点が高い学部を志望し、なおかつ記述問題が得意で、国語を得点源にしようと考える人もいるだろう。そのような人は、英語や数学の勉強がおろそかにならない程度に神戸大学のレベルを超えた問題にどんどん挑戦しよう。",
"title": "国語"
},
{
"paragraph_id": 53,
"tag": "p",
"text": "というのも、本学の問題のようなスピード重視の出題に慣れすぎると、読書の仕方までもそのようになってしまい、精読が苦手になってしまう恐れがあるからであり、また、京都大学の国語で出題されるような短くかつ含蓄のある文章の読み取りが大学入学後の勉学に資するからである。",
"title": "国語"
},
{
"paragraph_id": 54,
"tag": "p",
"text": "なお、本文中に登場する語句が難しいと思ったり、本文の背景知識が足りないと感じるならば、現代文用のキーワード集や用語集で語彙力を身に付けるべきである。",
"title": "国語"
},
{
"paragraph_id": 55,
"tag": "p",
"text": "基本的な文法・語法(句形)問題も出題されているが、現代語訳や30字から100字程度の記述を要する読解問題の比重が高い。文法や重要語の知識を身に付けるのは当然だが、それらを単独で覚えるだけでなく、一定の長さを持った文章の中での文脈において理解することも大切であろう。",
"title": "国語"
},
{
"paragraph_id": 56,
"tag": "p",
"text": "すなわち、日常学習のみならずマーク・記述模試を受けた後、知らなくて答えられなかったり読解を間違えたりした箇所は解答・解説を読み込んで徹底的に洗い直し、本文を改めて理解することが重要である。覚えなければならない古文単語や句形・重要な文字の数は英単語に比べればさほど多くないのだから、内容の理解を問う問題に取り組めるよう学習に取り組まなければならない。この古文・漢文をいかに早く解き、現代文に時間を費やせるかが重要である。",
"title": "国語"
},
{
"paragraph_id": 57,
"tag": "p",
"text": "特に漢文は、他の2題に比べ確実な得点源となりうるので、(漢文が課されない経営学部の時間から考察して)大学側が考えている20分よりも速く解きたい。",
"title": "国語"
},
{
"paragraph_id": 58,
"tag": "p",
"text": "解いた問題で分からなかった箇所や、誤った箇所を直ちに補わなければならないのは、古文・漢文のみならず全科目に共通する必須の学習姿勢である。",
"title": "国語"
},
{
"paragraph_id": 59,
"tag": "p",
"text": "多くの学科では、4科目のうちから2科目を選択して120分で解答する。一部の学科では1科目選択である。理学部物理学科や工学部などでは、絶対に選択しなければならない科目があるので注意しよう。",
"title": "理科"
},
{
"paragraph_id": 60,
"tag": "p",
"text": "3問出題される。1問は力学から、1問は電磁気からほぼ必ず出題され、もう1問は波動・熱力学のどちらかからの出題が多いが、原子からの出題も稀にある。",
"title": "理科"
},
{
"paragraph_id": 61,
"tag": "p",
"text": "時間は2科目120分(学部学科によっては1科目60分の場合もある)。",
"title": "理科"
},
{
"paragraph_id": 62,
"tag": "p",
"text": "神戸大物理では、難しい問題はあまり出題されないが、答えに至るまでの導出過程を記述せねばならぬ問が多い。",
"title": "理科"
},
{
"paragraph_id": 63,
"tag": "p",
"text": "導出過程を記述する際に、必要な物理量を表す記号を明示する必要があることもある。教科書や参考書等を使って公式の導出過程をしっかりと身につけておくことは勿論、一般的な入試対策問題集で問題を解く際も導出過程を記述して解答していくことが神戸大物理攻略への一歩である。",
"title": "理科"
},
{
"paragraph_id": 64,
"tag": "p",
"text": "描図問題や、論述問題の出題もしばしば見られる。空所補充形式での出題は少ない。化学と同様に、過去問15年程度は目を通すことが望ましい。余裕があるならば、物質と原子の分野にも目を通した方が、より安全だと思われる。",
"title": "理科"
},
{
"paragraph_id": 65,
"tag": "p",
"text": "いずれにせよ、簡潔に問われている分、なかなか書き方が難しく、表現力の乏しい生徒には厳しい。傾斜的に物理が得意な生徒と、そうでない生徒とでは差はつくだろう。難易度や導出過程の記述で多少の失点が発生する恐れがあることを鑑みると、合格するためには解けなくてよい問(捨て問)はあまりないので、ある程度応用問題も解けるようにしておく必要がある。",
"title": "理科"
},
{
"paragraph_id": 66,
"tag": "p",
"text": "4問出題される。大まかな傾向としては、1問は理論分野から、1問は無機分野から、1問は化学Iの有機分野から、もう1問は化学IIの有機分野からの出題。時間は2科目120分である(学部学科によっては1科目60分の場合もある)。標準的な難易度の問題が多い。",
"title": "理科"
},
{
"paragraph_id": 67,
"tag": "p",
"text": "1問およそ15分ほどしかかけることが出来ないため、素早い問題処理能力が求められる。また、有機分野の配点が高いため、こちらを重点的に勉強すると良い。有機分野を捨てることは自傷行為である。(しかし、得点率が悪いのは有機分野である)",
"title": "理科"
},
{
"paragraph_id": 68,
"tag": "p",
"text": "また、神戸大化学の特徴として、過去に神戸大で出した入試問題とほぼ同じテーマを出すことが多い。(例:99年大問3と03年大問3、00年大問3と07年大問3)。そのため、過去の入試問題を10~15年ほど丁寧に、分野別に研究することが合格への近道である。 数研出版の重要問題集での演習をおすすめする。 さらに、生命と物質の分野も必須事項であり、アミノ酸、セルロースなどの出題頻度が高いので、対策が必要と思われる。これは、この分野が、今後の医学分野での活用が非常に高いことを見越した、神戸大学の意図だと思われる。なお、核酸は新課程になって以降、一度も出題されていない。",
"title": "理科"
},
{
"paragraph_id": 69,
"tag": "p",
"text": "化学と同じく、4問出題される。出題範囲は幅広く、生態系から細胞小器官まで幅広く出題されるので、ヤマを張るのはやめるべきである。時間は2科目で120分なので、生物には約60分を割り当てる計算になる(一部の学科では1科目60分)。",
"title": "理科"
},
{
"paragraph_id": 70,
"tag": "p",
"text": "この試験時間は、他の大学と比べても短めであり、神戸大学の他の科目と同様、時間との勝負を強要される。",
"title": "理科"
},
{
"paragraph_id": 71,
"tag": "p",
"text": "問題の内容は概ね定まっており、まず空所補充、次に用語の記述、その次に40〜120字程度の論述が二問程度といった内容が多い。",
"title": "理科"
},
{
"paragraph_id": 72,
"tag": "p",
"text": "論述は、頻出論述が少なくとも半分程度を占めるため、典型的な問題については、予備校の講習を受けたり、記述力を鍛える問題集に取り組んだりして確実に答えられるようにしておきたい。",
"title": "理科"
},
{
"paragraph_id": 73,
"tag": "p",
"text": "また、空所補充については、全問正解するだけで20〜25%を獲得できる(空欄ひとつにつき1点と仮定した場合)ので、最大でも二問間違い程度で済ませるべきである。",
"title": "理科"
},
{
"paragraph_id": 74,
"tag": "p",
"text": "難易度は、一部の問題を除けばやや易〜標準だが、遺伝計算は標準〜やや難のものが多い。よって、基礎を固めるのが何より効果的である。大半の問題は難問ではないので、できる問題を確実に解けるようにするのが重要。医学部医学科ならば7割以上、それ以外の理系学部志望ならば6割以上を得点したい。",
"title": "理科"
},
{
"paragraph_id": 75,
"tag": "p",
"text": "神戸大の後期法学部小論文は、他学部ならび他大学のどの小論文とも似つかない。それゆえ対策には労苦するだろう。",
"title": "小論文"
},
{
"paragraph_id": 76,
"tag": "p",
"text": "テーマ(例えば尊厳死についてなど)にそって6つ程度のパッセージを与えられ、それを賛成意見と、反対意見に振り分けてまとめるというのが神戸大法学部の小論文の伝統である。気をつけなければいけないのは、自分の意見を入れてはならないことだ。",
"title": "小論文"
},
{
"paragraph_id": 77,
"tag": "p",
"text": "出題されたテーマに明るい場合、往々にして知識をひけらかそうとしたくなるものだがそこは我慢。その知識は自分の小論文を推敲する際に役立てよう。時事問題に対する知識と各意見を分類する能力と文章の抽象部を指摘しまとめる力が試されているといえよう。",
"title": "小論文"
},
{
"paragraph_id": 78,
"tag": "p",
"text": "対策",
"title": "小論文"
},
{
"paragraph_id": 79,
"tag": "p",
"text": "赤本などには、『アエラ 法律学がよくわかる本』を参考にする旨が推奨されているが、書店に置いていない場合が多くまた分量も多いため実用的ではない。 もっともよい対策の一つは、新聞の社説であろう。社説の譲歩部分と主張部分を書き出す作業を繰り返せば、時事知識、賛成意見と反対意見の識別能力、まとめる力の3点が合理的に身につくであろう。前期試験終了までにある程度地力をつけておき、過去問にあたるのがベストである。",
"title": "小論文"
},
{
"paragraph_id": 80,
"tag": "p",
"text": "ちなみに、予備校の小論対策は意見小論文対策であり、本試験には馴染まないので効果的ではない。",
"title": "小論文"
},
{
"paragraph_id": 81,
"tag": "p",
"text": "試験",
"title": "小論文"
},
{
"paragraph_id": 82,
"tag": "p",
"text": "試験時間は3時間あり十分である。下書き用紙が用意されているので、大いに利用しよう。パッセージを一つ読んだら下書き用紙にまとめるという作業を繰り返し、全部読みきってた後で流れを考えながら配置を決めよう。賛成意見と反対意見を交互に書くのではなく、賛成意見と反対意見の2段落構成でいこう。そのさい指定文字数をパッセージ数でわっておき、各パッセージをまとめる際の平均字数を決定しておこう。",
"title": "小論文"
},
{
"paragraph_id": 83,
"tag": "p",
"text": "そうすることで字数オーバーや巷でよく危険ラインといわれる8割切りは防げるであろう。",
"title": "小論文"
},
{
"paragraph_id": 84,
"tag": "p",
"text": "神戸大の上記学科後期小論文は与えられた文章(A4用紙10枚前後)を読み、そこから要約と自分の意見を述べる3問構成の一般的な形である。",
"title": "小論文"
},
{
"paragraph_id": 85,
"tag": "p",
"text": "文章は比較的読みやすいものであるが、最近では、自分の学びたい事柄と関連させて書くことが求められており、そのため志望学科によっては、関連させるのが難しい場合もある。また難化しており、2008年の小論文はJ,S,ミルの自由論が出るなど、大幅に難化した。しかしながら、センターで十分に点数が取れれば、失敗することはまずないであろう。",
"title": "小論文"
},
{
"paragraph_id": 86,
"tag": "p",
"text": "対策",
"title": "小論文"
},
{
"paragraph_id": 87,
"tag": "p",
"text": "まずは、センター試験レベルの文章を200~300文字程度に要約することから始めよう。次に現代文の用語を覚えよう。",
"title": "小論文"
},
{
"paragraph_id": 88,
"tag": "p",
"text": "特に自分の興味のある学問については、深く勉強することもよい。加えて、自分の志望学科の教授が何を研究しているのかを調べよう。小論文を書くにあたって大きな力となるだろう。",
"title": "小論文"
},
{
"paragraph_id": 89,
"tag": "p",
"text": "試験",
"title": "小論文"
},
{
"paragraph_id": 90,
"tag": "p",
"text": "時間は150分ある。下書き用紙が配られるので、大いに活用しよう。書き方としては、主張→その具体的説明→結論という形を意識して書くようにしよう。",
"title": "小論文"
},
{
"paragraph_id": 91,
"tag": "p",
"text": "現在、神戸大受験生対象の模試としては、神大入試オープン(河合塾)、神戸大入試実戦模試(駿台予備学校)、神戸大本番レベル模試(東進)が実施されている。",
"title": "模試"
},
{
"paragraph_id": 92,
"tag": "p",
"text": "各予備校は、神戸大入試を徹底分析し、前年度の入試をもとに作成した問題を提供しており、また、神戸大志願者が多く受験するため、受験すれば本番入試に向けての大きな指針となる。よって、神戸大志願者はこれらの模試をできる限り受験しておきたい。 また、この模試とセンター試験対策のマーク模試でドッキング判定(総合判定)される場合が多いので、出来れば、ドッキング対象のマーク模試も同時に受験するべきである。さらに、当大学の入試問題は常に時間との勝負となるために、できれば2つ以上受験して一方は得点狙い、もう一方は時間配分・本番に向けての実験などを試みるようにしたい。",
"title": "模試"
},
{
"paragraph_id": 93,
"tag": "p",
"text": "年によっては、神戸大学キャンパス内に受験会場が設置されることがある。本学を志願する受験生にとっては、受験会場の雰囲気に慣れることや受験会場の下見も兼ねることにもなることで、良い機会となる。",
"title": "模試"
}
]
| 日本の大学受験ガイド > 神戸大対策 本項は神戸大学の「一般入学試験」対策に関する事項である。 神戸大学は大学入学共通テスト 5教科7科目に加え、2次試験に英数国(文科系)/英数理(理科系)が課され、傾斜配点においては学部学科にもよるが比重が1:1程度の入試形態を取っているため、共通テストでは7.5~8割程度の得点がないと合格は厳しい。 特に経営学部の一部では、共通テストの得点によって合否が確定するため、共通テストで失敗することは致命傷となる。一方で経済学部(数学系)においては6割を超える配点(500/800)が数学にかけられるため逆転合格することも可能となっている。倍率は医学部医学科を除いて、どの学部も3倍前後である。 二次試験は、難問・奇問はあまり出題されず、標準問題が大半である。そのため1科目でも致命的に出来なければ、そこで他の受験生と差が開いてしまい、合格が遠ざかってしまう。特に数学でその傾向が強い。 ケアレスミスを何回も犯すと、大ダメージとなってしまうので、見直しをしたり、計算は筆算で行ったりして、ミスを可能な限り減らすことを心がけたい。 | {{wikipedia|神戸大学}}
*[[日本の大学受験ガイド]] > [[神戸大対策]]
本項は[[w:神戸大学|神戸大学]]の「一般入学試験」対策に関する事項である。
神戸大学は大学入学共通テスト 5教科7科目に加え、2次試験に英数国(文科系)/英数理(理科系)が課され、傾斜配点においては学部学科にもよるが比重が1:1程度の入試形態を取っているため、共通テストでは7.5~8割程度の得点がないと合格は厳しい。
特に経営学部の一部では、共通テストの得点によって合否が確定するため、共通テストで失敗することは致命傷となる。一方で経済学部(数学系)においては6割を超える配点(500/800)が数学にかけられるため逆転合格することも可能となっている。倍率は医学部医学科を除いて、どの学部も3倍前後である。
二次試験は、難問・奇問はあまり出題されず、標準問題が大半である。そのため1科目でも致命的に出来なければ、そこで他の受験生と差が開いてしまい、合格が遠ざかってしまう。特に数学でその傾向が強い。
ケアレスミスを何回も犯すと、大ダメージとなってしまうので、見直しをしたり、計算は筆算で行ったりして、ミスを可能な限り減らすことを心がけたい。
== 英語 ==
長文読解問題が3問、和文英訳/自由英作文が1問出題される構成が殆どで、これを試験時間80分以内に解答することになる。
神戸大学の英語は、国公立大学の入試では珍しい時間との格闘が問題となるので、時間配分に注意を配りたい。
長文読解に時間をかけるなら、Ⅰに20~25分、Ⅱに20~25分、Ⅲに20~25分、Ⅳに10~20分と分配し、バランスよくするなら各大問に20分±数分かけるとよいだろう。
十分に解答するためには、単語、文法事項・構文の知識をある程度踏まえた上での速読力が必要となる。これにはCD等によりシャドーイング(音声を聞いた後、即座に復唱する)の練習も有効であろう。
===長文読解問題===
本文から省かれた語句を記号で問うものや、並べ替え、内容一致、内容説明、部分和訳の問題が出題される。文法知識を直接問う問題はほとんど出題されない。
基本的に平易なものが多いが、内容説明に関しては、問われているものが本文のどの箇所に当たるのかを把握し、それを字数に合う形で解答しなければならない。これは形を変えた部分和訳とも言える作業であり、ある程度の厳密さが必要である。総語数はここ数年で多くなってきているので、速読力はさらに必要となっているといってよい。
部分和訳については、文構造はそれほど難しくないものの直訳すると意味が分かり辛くなる短文和訳があるので、文脈を考慮した上でのこなれた和訳をする必要がある。
なお、07年前期では和訳の量が多くなっており、和訳に関しても若干精密さが要求されるような傾向が08年以降も継続する可能性もある。
内容説明は、基本的に文字数制限がある。
内容一致は、5、6個の選択肢から二つ正しいものを選ぶという形式で長らく安定している。先に選択肢中の固有名詞を把握し(選択肢の内容は把握しなくて良い)、その固有名詞が文中に出てきたらマークして照合しやすいようにするとよいだろう。
11年前期は、Ⅰ・Ⅱ番の一般的な論説文2題は10年入試に比べて、Ⅰ番が107(611→504)語減、Ⅱ番が58(618→560)語減と09年に迫る程(因みに09年入試は、Ⅰ番が457語、Ⅱ番が585語)語数が減ったうえ、Ⅰ番が『小型哺乳類と気候変動』という入試問題でよく見られる自然環境系の文章、Ⅱ番が『睡眠と文化の関わり』がテーマの脳科学系の文章とどちらも神戸大の入試問題によく見られる分野の物で、比較的受験生には取り組み易いものだったと言える。
しかし、比較的多くの受験生が苦手とする会話を含む物語文が毎年見られるⅢ番は語数が155(602→777)語増と過去に類を見ない長さ(因みに97年入試以降最大の語数、08年入試の743語が次点)の物となり、内容も「認知症の進行している母親とその母親を心配する娘」を扱ったもので10年入試の「落とし物を届けた母娘」と比べても、多くの受験生には馴染みの薄いものだったことが災いし、更には、話の展開の読み取りも、相当難しく、かなりの受験生が骨を折った様である。
12年入試は、Ⅰ番が「環境に対する適応性」がテーマで、神戸大では比較的よく見られる自然環境系の文章であり、受験生には取り組み易いものだったと思われる。
Ⅱ番は「宗教の起源に対する考察」という人間•文化をテーマとする比較的よく見られる分野の文章での出題ではあるが、ただでさえ、受験生には馴染みの薄い分野であるうえ、その中でも宗教史という、どちらかというとマニアックな分野からの文章に背景知識や類推が利かず困った者は多かった様だ。
なお、Ⅰ番は問1(1) scientific legend と the extent to which節 の和訳、2つある they の区別が付いていることを示す訳し方が出来たかが、 (2)Adaptation allows us to~ の和訳に工夫が、attend とignore の並列関係の理解が鍵に、また問2は本文から実験の様子を想像し得たかがポイントである。問4は本文を理解しているかを問う問題で①は don't notice 等が、②は quickly notice や start to notice 等が入る。
Ⅱ番の問1は Religious types の文中での意見の理解が鍵に、問3は get their just deserts の意見の理解よりも、むしろ選択肢の意見の理解と一つずつ空欄に選択肢を当てはめてみることが正解への近道に、問5は a mental conection や extra thinking time の意訳がポイントである。
Ⅲ番は、例年通り会話を含む物語文であり、難易度は、語数同様昨年に比べ、ある程度は下がったものの、やはり簡単とは言い難く、駿台予備学校や河合塾などの予備校も「やや難」との見解を見せている。
主なポイントは、問1では、(1)が直後の She's just busy をヒントと見抜けたかが、(5)では、fit in の意味を理解しているかが、問4では、I never thought I'd be interested in の形容詞節と、 as far away from my major as節 がいずれも and で並列関係にあり、subject に係っている事が分かったかが、鍵であった。
問2、問3は神戸大の例年の傾向を踏襲した問題と言える。
16年前期はIIIの小説が、登場人物が10人を超えるという異例の事態となり、難化した。
この傾向が続くかどうかは不明だが、この程度の問題が出題される可能性は否定できないので、『英語長文問題精講』のような、やや難しめの問題集に取り組んで慣れる必要もあるかもしれない。
18年前期は、Iの長文問題で、大半の受験生には馴染みのない単語の類推力を問う和訳問題が出題された。広い意味での読解力を問うものだとも言えるだろう。
20年前期はⅢの長文読解が大幅に難化した。内容が「禅画や書の歴史」という難解なものだったうえ、問題も容易ではなかった。
埋め込まれた英作文の問題は、問題文中に出てきた語句の自分の解釈を英語で書くというもので、非常に難しい問題だったと思われる。
21年前期は、Ⅲの長文読解が、学生と教員の議論のみで構成され、地の文が存在しないという新傾向の問題となった。
22年前期では、Ⅰの長文読解で、「正しい選択肢をすべて選べ」という新傾向の問題が出題された。また、Ⅱの長文読解で、一般論を駆使すればかなり解きやすくなる問題が出題された。
なお、Ⅱの問1は作問ミスが発覚しているので、過去問演習を行う際は留意してほしい。
===和文英訳・自由英作文===
これに関しては、以前は隔年的にどちらかが出題されていたものの08〜10年は、和文英訳のみが、11年以降は自由英作文の出題が続いており、11年入試はグラフの読み取りと自由英作という今までなかったタイプが、12年入試は07年入試以降久しく見られなかった、和文英訳と自由英作の並列という形での出題となった。
過去には、古文を英訳させるという出題もあった。よって、受験生は和文英訳、自由英作の対策、特に自由英作文の対策が必要である。
対策としては、100~200程度の英文を50本程度暗記し、何も見ずに再現する練習、また日本語で作文を書く時のように文章の構成を考えながら書くという訓練を進めていけば、必ず書ける良問を神戸大は毎年出題している。
'''11年入試では、与えられたグラフから読み取れる一般的な傾向の概略とグラフの示している個々の事象を2、3題詳しく2文で書かせ、更に携帯電話を持ち始めるに適当な年齢を理由も含め書かす問題を、どちらも60語程度(つまり、計120語±18語程度)というハードな字数量の指定を付けて出題したが、12年入試は中野孝次『風の良寛』の一節から、25語程度の和文英訳、及び出題部分の筆者の意見に対する受験生の意見を、50語程度で英語で述べさせる問題が出題され、難易度•分量ともにかなり下がったと言える。'''
基本的に、自分の使える表現内で書くことが重要である(記憶があやふやなものを使って書くべきではない)。そのためには、表現方法を豊かにするため問題演習を重ねたり例文集に当たることが必要である。
特にグラフから読み取れる事柄を、英文で説明するタイプの問題は近年、各種試験(英検、TOEFL、TEAP)で頻出であり、神戸大の先生にはこれら各種試験の作成に携わっている先生もおられることから、今後も出題が予想される分野である。
また、英作文の採点には、英米人などのネイティブスピーカーの先生方も加わることが考えられるため、和文英訳というよりも正しく・簡潔に「通じる」英語で書くことが重要である。
入学後の4月にTOEFLやTOEIC(学部により受ける試験が異なる)等のアメリカの試験を受けなければならないことから、高校の英語とアメリカ実務英語をうまく接続するような中間的な形態の出題も予想される。
ところが、2020年の入試では、英作文単独の大問が消滅し、英文読解を踏まえた上での受験生自身の解釈を英語で記述させる問題が出題された。
これは、2019年の京都大学の英語における出題を意識したものと考えられる。英文読解の問題を解く際にも、神戸大学に典型的な問題以外のものを選択する必要があるかもしれない。ただし、それ以降は従来の形式に戻っている。
===総説===
各設問の難易度はそこまで高くない。全体的な時間の短さを考えれば、実際には500語程度の長文を的確に解答できるようになる訓練が必要である。
また、記号選択式問題だけでも全体の半分程度あるのでそこは確実にクリアしたい。英作文に関して言えば年度によって難易度にかなりの差があり、標準~やや難程度まで変動する。やや難しめで長めの英作文をこなして本学の英作が「短い」とおもえるように訓練すべきである。
== 数学 ==
===文系===
試験時間80分で3問出題される。
標準的な問題が多いが、それでも最も差が開く科目なので、英国に不安がある受験生は満点近く、英国に自信があるが数学に自信のない受験生は本番までに3問中2問は解き切って半分程度得点することを目指そう。数学の配点が高い経済学部であれば、悪くても2問完答以上を目指したい。配点が低い文学部、法学部や国際人間科学部(文科系での受験)志望で、英国に自信があれば1問完答、1問を途中までの解答としても合格に届く可能性はある。
しかし、やはりどの学部であっても2問は完答したい。ここ数年は難化傾向にあること、また2018年より経済学部が二次試験における数学優先の配点を採用するため、数学が神戸大文系合格のための最重要科目になりつつある。
出題分野の傾向としては、微積分・ベクトル・数列が(文系数学一般でいえば確率も)頻出分野である。2015年-2018年においてもこの傾向は続いている。
設問の傾向としては、整数・数列・確率と微積分・ベクトルとの融合問題が頻出であること、また論証がほぼ確実に出題される。
===理系===
試験時間120分で5問出題される。微積分や確率の問題が出題される可能性が高く、かつ難問である。微積分が出題されなかった年は、ここ20年程度はほぼ存在しない。
各設問とも(1)の問題は完答し、最低でも6割程度の点数は確保したい(もちろん医学部医学科志望の受験生は別である)。
医学部医学科でないならば、大問2つを完答して残り三問で部分点を稼ぐくらいは達成したい。問題の多くがオーソドックスなだけに、計算ミスは致命傷となる。方針が立った瞬間、一気に答案を書き上げる、記述力、判断力、計算力がほしい。できるところは極力早めに解答し、確率など慎重にとき進めたい分野に時間をかけたい。複素数にからめた出題の可能性も否めないので、類題の演習も必要だろう。
簡単に見えて、なめてかかると痛い思いをするのが、神戸大学の出題だと思われる。
==国語==
100分以内に現代文(評論)、古文、漢文の3問(経営学部は80分以内で現代文と古文のみ)を解かなければならない。現代文の文章の長さ(引用文も長い)も特徴的である。100字以上の記述問題が、現代文と古文それぞれで常に課され、漢文でも50字以上の記述問題が確実に出ることから時間的余裕は無いだろう。
現代文、古文、漢文のいずれにおいても、文脈を追い、文章中に複数以上ある解答の要素を捉え、短時間で的確に言い換えて記述するという作業に対する慣れが必要である。
また本学では、時間配分が学力レベルを越えて影響するため、しっかりとした過去問分析が必要である。特に現代文は予想以上に時間がかかる。
したがって、まず古文と漢文を40~50分で片付け確実に得点を確保し、残りの時間を現代文にかけたい。なお2019年の3月に教学社から『神戸大の国語15カ年』が刊行された。
===現代文===
現代文に関しては、漢字問題以外は全て論述形式で問われる。例年、他大学を圧倒する5000字前後の長文が出題され、総記述量も400字程度と時間的に厳しい(ただし、2019年度は問題文の字数が1300字程度減った)。
出題傾向としては、そのほとんどが「〜〜とあるが、それはどういうことか。」として説明させられる、いわゆる言い換えの問題が大半である。記述力を身に付ける方法としては、一橋大学の国語の大問3で出題されるような、一定の長さの文章を200字以内に要約する問題を解き、添削してもらうというものが挙げられるが、長期休暇等を利用して継続して行わなければ意味が無いだろう。
そのうえ、本文の長さは、他の学校と比べても例外的なので、本番と同様の演習を行おうと思っても、材料は過去問や神戸大用模試の過去問に限られる。従って、経済学部や経営学部のような国語の配点が高くない学部の志望者は、現代文に相当な時間を割いて対策することで不得意な他の科目の分を補おうと考えるのは得策ではないだろう(ただし、いわゆる「捨てられる」科目ではないのでそれなりの得点が可能な程度は勉強すべきである)。
しかし、法学部、文学部、国際人間科学部(理科系での受験は除く)のように国語の配点が高い学部を志望し、なおかつ記述問題が得意で、国語を得点源にしようと考える人もいるだろう。そのような人は、英語や数学の勉強がおろそかにならない程度に神戸大学のレベルを超えた問題にどんどん挑戦しよう。
というのも、本学の問題のようなスピード重視の出題に慣れすぎると、読書の仕方までもそのようになってしまい、精読が苦手になってしまう恐れがあるからであり、また、京都大学の国語で出題されるような短くかつ含蓄のある文章の読み取りが大学入学後の勉学に資するからである。
なお、本文中に登場する語句が難しいと思ったり、本文の背景知識が足りないと感じるならば、現代文用のキーワード集や用語集で語彙力を身に付けるべきである。
===古文・漢文===
基本的な文法・語法(句形)問題も出題されているが、現代語訳や30字から100字程度の記述を要する読解問題の比重が高い。文法や重要語の知識を身に付けるのは当然だが、それらを単独で覚えるだけでなく、一定の長さを持った文章の中での文脈において理解することも大切であろう。
すなわち、日常学習のみならずマーク・記述模試を受けた後、知らなくて答えられなかったり読解を間違えたりした箇所は解答・解説を読み込んで徹底的に洗い直し、本文を改めて理解することが重要である。覚えなければならない古文単語や句形・重要な文字の数は英単語に比べればさほど多くないのだから、内容の理解を問う問題に取り組めるよう学習に取り組まなければならない。この古文・漢文をいかに早く解き、現代文に時間を費やせるかが重要である。
特に漢文は、他の2題に比べ確実な得点源となりうるので、(漢文が課されない経営学部の時間から考察して)大学側が考えている20分よりも速く解きたい。
'''解いた問題で分からなかった箇所や、誤った箇所を直ちに補わなければならないのは、古文・漢文のみならず全科目に共通する必須の学習姿勢である。'''
==理科==
多くの学科では、4科目のうちから2科目を選択して120分で解答する。一部の学科では1科目選択である。理学部物理学科や工学部などでは、絶対に選択しなければならない科目があるので注意しよう。
===物理===
3問出題される。1問は力学から、1問は電磁気からほぼ必ず出題され、もう1問は波動・熱力学のどちらかからの出題が多いが、原子からの出題も稀にある。
時間は2科目120分(学部学科によっては1科目60分の場合もある)。
神戸大物理では、難しい問題はあまり出題されないが、答えに至るまでの導出過程を記述せねばならぬ問が多い。
導出過程を記述する際に、必要な物理量を表す記号を明示する必要があることもある。教科書や参考書等を使って公式の導出過程をしっかりと身につけておくことは勿論、一般的な入試対策問題集で問題を解く際も導出過程を記述して解答していくことが神戸大物理攻略への一歩である。
描図問題や、論述問題の出題もしばしば見られる。空所補充形式での出題は少ない。化学と同様に、過去問15年程度は目を通すことが望ましい。余裕があるならば、物質と原子の分野にも目を通した方が、より安全だと思われる。
いずれにせよ、簡潔に問われている分、なかなか書き方が難しく、表現力の乏しい生徒には厳しい。'''傾斜的に物理が得意な生徒と、そうでない生徒とでは差はつくだろう。'''難易度や導出過程の記述で多少の失点が発生する恐れがあることを鑑みると、合格するためには解けなくてよい問(捨て問)はあまりないので、ある程度応用問題も解けるようにしておく必要がある。
===化学===
4問出題される。大まかな傾向としては、1問は理論分野から、1問は無機分野から、1問は化学Iの有機分野から、もう1問は化学IIの有機分野からの出題。時間は2科目120分である(学部学科によっては1科目60分の場合もある)。標準的な難易度の問題が多い。
1問およそ15分ほどしかかけることが出来ないため、素早い問題処理能力が求められる。また、有機分野の配点が高いため、こちらを重点的に勉強すると良い。有機分野を捨てることは自傷行為である。(しかし、得点率が悪いのは有機分野である)
また、神戸大化学の特徴として、過去に神戸大で出した入試問題とほぼ同じテーマを出すことが多い。(例:99年大問3と03年大問3、00年大問3と07年大問3)。そのため、過去の入試問題を10~15年ほど丁寧に、分野別に研究することが合格への近道である。
数研出版の重要問題集での演習をおすすめする。
さらに、生命と物質の分野も必須事項であり、アミノ酸、セルロースなどの出題頻度が高いので、対策が必要と思われる。これは、この分野が、今後の医学分野での活用が非常に高いことを見越した、神戸大学の意図だと思われる。なお、核酸は新課程になって以降、一度も出題されていない。
===生物===
化学と同じく、4問出題される。出題範囲は幅広く、生態系から細胞小器官まで幅広く出題されるので、ヤマを張るのはやめるべきである。時間は2科目で120分なので、生物には約60分を割り当てる計算になる(一部の学科では1科目60分)。
この試験時間は、他の大学と比べても短めであり、神戸大学の他の科目と同様、時間との勝負を強要される。
問題の内容は概ね定まっており、まず空所補充、次に用語の記述、その次に40〜120字程度の論述が二問程度といった内容が多い。
論述は、頻出論述が少なくとも半分程度を占めるため、典型的な問題については、予備校の講習を受けたり、記述力を鍛える問題集に取り組んだりして確実に答えられるようにしておきたい。
また、空所補充については、全問正解するだけで20〜25%を獲得できる(空欄ひとつにつき1点と仮定した場合)ので、最大でも二問間違い程度で済ませるべきである。
難易度は、一部の問題を除けばやや易〜標準だが、遺伝計算は標準〜やや難のものが多い。よって、基礎を固めるのが何より効果的である。大半の問題は難問ではないので、できる問題を確実に解けるようにするのが重要。医学部医学科ならば7割以上、それ以外の理系学部志望ならば6割以上を得点したい。
==小論文==
===法学部後期===
神戸大の後期法学部小論文は、他学部ならび他大学のどの小論文とも似つかない。それゆえ対策には労苦するだろう。
テーマ(例えば尊厳死についてなど)にそって6つ程度のパッセージを与えられ、それを賛成意見と、反対意見に振り分けてまとめるというのが神戸大法学部の小論文の伝統である。気をつけなければいけないのは、自分の意見を入れてはならないことだ。
出題されたテーマに明るい場合、往々にして知識をひけらかそうとしたくなるものだがそこは我慢。その知識は自分の小論文を推敲する際に役立てよう。時事問題に対する知識と各意見を分類する能力と文章の抽象部を指摘しまとめる力が試されているといえよう。
'''対策'''
赤本などには、『アエラ 法律学がよくわかる本』を参考にする旨が推奨されているが、書店に置いていない場合が多くまた分量も多いため実用的ではない。
もっともよい対策の一つは、新聞の社説であろう。社説の譲歩部分と主張部分を書き出す作業を繰り返せば、時事知識、賛成意見と反対意見の識別能力、まとめる力の3点が合理的に身につくであろう。前期試験終了までにある程度地力をつけておき、過去問にあたるのがベストである。
ちなみに、予備校の小論対策は意見小論文対策であり、本試験には馴染まないので効果的ではない。
'''試験'''
試験時間は3時間あり十分である。下書き用紙が用意されているので、大いに利用しよう。パッセージを一つ読んだら下書き用紙にまとめるという作業を繰り返し、全部読みきってた後で流れを考えながら配置を決めよう。賛成意見と反対意見を交互に書くのではなく、賛成意見と反対意見の2段落構成でいこう。そのさい指定文字数をパッセージ数でわっておき、各パッセージをまとめる際の平均字数を決定しておこう。
そうすることで字数オーバーや巷でよく危険ラインといわれる8割切りは防げるであろう。
===国際人間科学部発達コミュニティ学科,環境共生学科(文科系受験)及び子ども教育学科後期===
神戸大の上記学科後期小論文は与えられた文章(A4用紙10枚前後)を読み、そこから要約と自分の意見を述べる3問構成の一般的な形である。
文章は比較的読みやすいものであるが、最近では、自分の学びたい事柄と関連させて書くことが求められており、そのため志望学科によっては、関連させるのが難しい場合もある。また難化しており、2008年の小論文はJ,S,ミルの自由論が出るなど、大幅に難化した。しかしながら、センターで十分に点数が取れれば、失敗することはまずないであろう。
'''対策'''
まずは、センター試験レベルの文章を200~300文字程度に要約することから始めよう。次に現代文の用語を覚えよう。
特に自分の興味のある学問については、深く勉強することもよい。加えて、自分の志望学科の教授が何を研究しているのかを調べよう。小論文を書くにあたって大きな力となるだろう。
'''試験'''
時間は150分ある。下書き用紙が配られるので、大いに活用しよう。書き方としては、主張→その具体的説明→結論という形を意識して書くようにしよう。
== 模試 ==
現在、神戸大受験生対象の模試としては、神大入試オープン(河合塾)、神戸大入試実戦模試<ref>答案は2021年実施分よりWeb返却(駿台のマイページにPDF形式で掲載。掲載期間は、Web公開開始日から3ヶ月間。)のみとされる(試験会場で使用した答案用紙そのものは、返却されない)。</ref>(駿台予備学校)、神戸大本番レベル模試(東進)が実施されている。
各予備校は、神戸大入試を徹底分析し、前年度の入試をもとに作成した問題を提供しており、また、神戸大志願者が多く受験するため、受験すれば本番入試に向けての大きな指針となる。よって、神戸大志願者はこれらの模試をできる限り受験しておきたい。
また、この模試とセンター試験対策のマーク模試でドッキング判定(総合判定)される場合が多いので、出来れば、ドッキング対象のマーク模試も同時に受験するべきである。さらに、当大学の入試問題は常に時間との勝負となるために、できれば2つ以上受験して一方は得点狙い、もう一方は時間配分・本番に向けての実験などを試みるようにしたい。
年によっては、神戸大学キャンパス内に受験会場が設置されることがある。本学を志願する受験生にとっては、受験会場の雰囲気に慣れることや受験会場の下見も兼ねることにもなることで、良い機会となる。
=脚注=
<references/>
== 関連リンク ==
*[http://www.kobe-u.ac.jp/ 神戸大学]:公式サイト
[[Category:大学入試|こうへたいたいさく]] | 2006-12-10T13:26:08Z | 2023-10-23T01:32:30Z | [
"テンプレート:Wikipedia"
]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%A5%9E%E6%88%B8%E5%A4%A7%E5%AF%BE%E7%AD%96 |
4,705 | 民法第416条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
(損害賠償の範囲)
2017年改正により以下のとおり改正。
「予見すべきであった」とき、特別損害とされる場合もあるもの。 | [
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"text": "「予見すべきであった」とき、特別損害とされる場合もあるもの。",
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]]
==条文==
([[損害賠償]]の範囲)
;第416条
# 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
# 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
===改正経緯===
2017年改正により以下のとおり改正。
:(改正前)その事情を予見し、又は予見することができたときは
:(改正後)その事情を予見すべきであったときは
==解説==
*[[債務不履行]]によって賠償されるべき損害の範囲について規定している。一般に、第1項に規定する損害を'''通常損害'''、第2項に規定する損害を'''特別損害'''という。
*416条1項は、[[相当因果関係]]の原則を示したものであり、同条2項は、相当因果関係を判断する際に基礎とすべき特別事情の範囲を示したものである(「刑法の折衷説」参照)。2017年改正で、予見又は予見可能性の事実ではなく、予見に関する法的評価が基準であることが明確化された。
*なお、[[不法行為]]の[[損害]]の範囲の確定についても[[類推適用]]されるとするのが判例および通説である。ただし、強い批判がある([[民法第709条#特別事情|第709条の判例参照]])。
===通常損害とされる例===
#売買契約の価格と履行期における市価との差額([[#市価との差額|最判昭和36年4月28日]])
#:(例)
#::甲は乙から有名画家の絵画を1000万円で買い3ヶ月後に代金と引き換えに引渡を受ける契約をした。ところが引き渡す前に画家が死亡し、この絵画の市場価格が1500万円と評価され、乙は甲との事情を知らない丙に1800万円で売却し引き渡した。この時、甲は乙に対して市価との差額500万円を損害として請求できる。
===通常損害と認められず特別損害===
「予見すべきであった」とき、特別損害とされる場合もあるもの。
#精神的損害([[#精神的損害|最判昭和55年12月18日]])
==参照条文==
==判例==
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56017&hanreiKbn=02 損害賠償等請求] (最高裁判決 昭和28年12月18日)[[民法第415条]],[[民法第541条]],[[民法第545条]],民訴法第2編第3章第3節鑑定,民訴法394条
#;民法第416条第1項にいわゆる通常生ずべき損害と認むべき一事例 ――インフレーションによる物価騰貴に基く損害に関する――
#:甲が乙から昭和21年10月中物品を代金2万5千円で買い受け、乙が目的物を引き渡さないため同22年9月右売買契約を解除したところ、右契約締結の当時インフレーションのため物価騰貴の状勢にあり、解除当時においては目的物の価格が8万円を下らなかつたときは、右価格と売買代金との差額5万5千円は、乙の債務不履行により甲に通常生ずべき損害と認むべきである。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57522 建物収去土地明渡請求] (最高裁判決 昭和32年1月22日)
##'''土地賃貸人が土地を引き渡さないため右地上に建物を建て新たに営業を始める賃借人の計画が実行できなかつた場合と営業利益の喪失による損害の有無'''
##:土地賃借人がその地上に建物を建て同所で新たに営業を営むことを計画していたにかかわらず、賃貸人が土地を引き渡さないため右計画を実行することができなかつたときは、賃借人には、<u>その営むことによりうべかりし利益の喪失による損害が生じたものと推定すべき</u>であつて、賃借人が未だ現実に営業を開始せず、またたとえ営業を開始しても必ず利益があつたとは限らないからといつて、右損害が生じなかつたものと認めるべきではない。
##'''土地賃貸人の土地引渡義務の不履行と賃借人の右地上に建物を建て営業を営むことによりうべかりし利益の喪失による損害との間の因果関係'''
##:土地賃貸人が土地を引き渡さないため、賃借人がその地上に建物を建て同所で営業を営むことによりうべかりし利益を喪失したときは、右損害は、賃貸人の債務不履行による特別事情による損害となりえないものではない。
##'''営業利益の喪失による損害の賠償請求訴訟と損害額算定の基礎たる事実の主張の程度'''
##:営業利益の喪失にいよる損害の賠償請求訴訟において、原告が、その営業とは、本件土地に店舗を建設して、そこで「北海道産の海産物を同地の生産者から直接に仕入れ、内地産の海産物はD魚市場で仕入れ、従業員は壮年の男一人女二人および老年の女一人の家族四人がこれにあたり、小僧等は必要があれば雇い入れる」という程度の規模による海産物商を営むにあつた旨を主張したときは、その主張の事実を基礎として通常の場合に予想される営業利益を算定することは不可能ではないから、損害額算定の基礎たる事実についての具体的主張を欠くものとはいえない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53583 損害賠償請求] (最高裁判決 昭和36年4月28日)
#;売買契約の価格と履行期における市価との差額は通常生ずべき損害といえるか。
#:売買の目的物の価格が謄貴した場合に、契約価格と履行期における市価との差額は、<u>債務不履行により通常生ずべき損害</u>と解すべきである。
#<span id="市価との差額"></span>[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53751&hanreiKbn=02 抵当権設定登記抹消等請求] (最高裁判決 昭和37年11月16日)
#;債務の履行不能後目的物の価格が値上りした場合に請求しうる損害賠償額。
#:債務の目的物の価格が履行不能後値上りをつづけて来た場合において、履行不能となつた際債務者がその事情を知りまたは知りえたときは、債務者が口頭弁論終結時の価格まで値上りする以前に目的物を他に処分したであろうと予想された場合でないかぎり、右終結時において処分するであろうと予想された場合でなくても、債権者は、右終結時の価格による損害の賠償を請求しうる。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53701 占有回収請求](最高裁判決 昭和38年1月25日)地代家賃統制令3条、12条の2
#;統制違反の権利金および家賃の支出が債務不履行に基づく損害とされた事例。
#:賃貸人の債務不履行となる家屋明渡の強制執行により住居を失つた賃借人が、これを他に入手するため、地代家賃統制令に違反する権利金および家賃を支出した場合、その支出が当時の社会情勢からすれば一家の住居を入手するため真にやむをえないものと認められるときは、右支出は賃貸人の債務不履行に基づく損害というべきである。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51957 土地建物所有権移転登記等請求、建物明渡等請求、土地建物所有権移転登記等ならびに建物明渡請求に対する反訴請求各事件、同附帯上告事件] (最高裁判決 昭和47年4月20日)
#;買主が自己の使用に供するために買い受けた不動産の価格が売主の所有権移転義務の履行不能後も騰貴を続けている場合と右義務の履行不能による損害賠償額の算定の基準時
#:売買契約の目的物である不動産の価格が売主の所有権移転義務の履行不能後も騰貴を続けているという特別の事情があり、かつ、履行不能の際に売主がそのような特別の事情の存在することを知つていたかまたはこれを知りえた場合には、買主が右不動産を転売して利益を得るためではなくこれを<u>自己の使用に供するために買い受けたものであるときでも</u>、買主は、売主に対し、右不動産の<u>騰貴した現在の価格を基準として算定した損害額の賠償を請求することができる</u>。
#<span id="精神的損害"></span>[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53262 鹿島建設損害賠償請求] (最高裁判決 昭和55年12月18日)
#;安全保証義務違背の債務不履行により死亡した者の遺族と固有の慰藉料請求権の有無
#:安全保証義務違背の債務不履行により死亡した者の遺族は、固有の慰藉料請求権を有しない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52587 損害賠償] (最高裁判決 平成11年2月25日)
##'''医師の不作為と患者の死亡との間の因果関係の存否の判断と患者が適切な診療行為を受けていたとした場合の生存可能期間の認定'''
##:医師が注意義務に従って行うべき診療行為を行わなかった不作為と患者の死亡との間の因果関係は、医師が右診療行為を行っていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していたであろうことを是認し得る高度のがい然性が証明されれば肯定され、患者が右診療行為を受けていたならば生存し得たであろう期間を認定するのが困難であることをもって、直ちには否定されない。
##'''医師が肝硬変の患者につき肝細胞がんを早期に発見するための検査を実施しなかった注意義務違反と患者の右がんによる死亡との間の因果関係を否定した原審の判断に違法があるとされた事例'''
##:肝硬変の患者が後に発生した肝細胞がんにより死亡した場合において、医師が、右患者につき当時の医療水準に応じた注意義務に従って肝細胞がんを早期に発見すべく適切な検査を行っていたならば、遅くとも死亡の約六箇月前の時点で外科的切除術の実施も可能な程度の大きさの肝細胞がんを発見し得たと見られ、右治療法が実施されていたならば長期にわたる延命につながる可能性が高く、他の治療法が実施されていたとしてもやはり延命は可能であったと見られるとしながら、仮に適切な診療行為が行われていたとしてもどの程度の延命が期待できたかは確認できないとして、医師の検査に関する注意義務違反と患者の死亡との間の因果関係を否定した原審の判断には、違法がある。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=37200 損害賠償請求本訴,建物明渡等請求反訴事件] (最高裁判決 平成21年1月19日)
#; 店舗の賃借人が賃貸人の修繕義務の不履行により被った営業利益相当の損害について,賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたと解される時期以降に被った損害のすべてが民法416条1項にいう通常生ずべき損害に当たるということはできないとされた事例 - 【通常損害の範囲】
#:ビルの店舗部分を賃借してカラオケ店を営業していた賃借人が,同店舗部分に発生した浸水事故に係る賃貸人の修繕義務の不履行により,同店舗部分で営業することができず,営業利益相当の損害を被った場合において,次の1〜3などの判示の事情の下では,遅くとも賃貸人に対し損害賠償を求める本件訴えが提起された時点においては,賃借人がカラオケ店の営業を別の場所で再開する等の損害を回避又は減少させる措置を執ることなく発生する損害のすべてについての賠償を賃貸人に請求することは条理上認められず,賃借人が上記措置を執ることができたと解される時期以降における損害のすべてが民法416条1項にいう通常生ずべき損害に当たるということはできない。
#:#賃貸人が上記修繕義務を履行したとしても,上記ビルは,上記浸水事故時において建築から約30年が経過し,老朽化して大規模な改修を必要としており,賃借人が賃貸借契約をそのまま長期にわたって継続し得たとは必ずしも考え難い。
#:#賃貸人は,上記浸水事故の直後に上記ビルの老朽化を理由に賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしており,同事故から約1年7か月が経過して本件訴えが提起された時点では,上記店舗部分における営業の再開は,実現可能性の乏しいものとなっていた。
#:#賃借人が上記店舗部分で行っていたカラオケ店の営業は,それ以外の場所では行うことができないものとは考えられないし,上記浸水事故によるカラオケセット等の損傷に対しては保険金が支払われていた。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81272 損害賠償請求事件] (最高裁判決 平成23年4月26日)[[民法第709条]]
#;精神神経科の医師の患者に対する言動と上記患者が上記言動に接した後にPTSD(外傷後ストレス障害)と診断された症状との間に相当因果関係があるということはできないとされた事例
#:精神神経科の医師が,過去に知人から首を絞められるなどの被害を受けたことのある患者に対し,人格に問題があり,病名は「人格障害」であると発言するなどした後,上記患者が,精神科の他の医師に対し,頭痛,集中力低下等の症状を訴え,上記の言動を再外傷体験としてPTSD(外傷後ストレス障害)を発症した旨の診断を受けたとしても,次の1.,2.など判示の事情の下においては,上記の言動と上記症状との間に相当因果関係があるということはできない。
#:#上記の言動は,それ自体がPTSDの発症原因となり得る外傷的な出来事に当たるものではないし,上記患者がPTSD発症のそもそもの原因となった外傷体験であるとする上記被害と類似し,又はこれを想起させるものでもない。
#:#PTSDの発症原因となり得る外傷体験のある者は,これとは類似せず,また,これを想起させるものともいえない他の重大でないストレス要因によってもPTSDを発症することがある旨の医学的知見が認められているわけではない。
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[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1|第1章 総則]]<br>
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4,706 | 内科学/循環器 | 循環器領域には、主に心臓の病気、血管の病気、その他の脈管系の病気が含まれますが本書では心臓を中心に学習を進めていきます。循環器では基礎的な物理学、数学の知識が病態の理解に必要となります。また、その治療法は内科学、外科学とも重要なものが多いので、外科学/循環器も併せて学習することが重要です。
心臓は全身に血液を拍出するポンプの働きをしている。ヒトの心臓は二対の心房・心室、つまり右心房、左心房、右心室、左心室から成る。心臓のサイズは握りこぶしほどの大きさであり、位置は胸骨と第2~第6肋骨の背面である。
よく心臓は左胸にあるといわれるが、実際には上の図のように左右の肺の中間、つまり胸のほぼ中央にある。図にあるように心臓は形状が中央よりやや左に寄っている(、心尖は左前下方を向いている)。このため、左胸のほうが右胸よりも心臓の鼓動を感じやすいことからこのような誤解が生じたものと考えられる。
心臓は血液の逆流を防止するために4つの弁を持っている。弁は右心房と右心室、右心室と肺動脈、左心房と左心室、左心室と大動脈の間に存在し、それぞれ、三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、大動脈弁と呼ばれる。このうち、僧帽弁のみが2つの弁尖よりなっており、それ以外は3つの弁尖からなっている。
心筋には、筋肉の収縮・拡張により血液を送る固有心筋と、固有心筋を動かすための電気刺激の発生と伝導を行っている特殊心筋がある。固有心筋は心房では長さ100μm、直径5μmの紡錐形をしており、心室では長さ100μm、直径10μmの枝分かれした円柱状をしているが、特殊心筋はこれら周辺の固有心筋とは明らかに異なった形態をしており、組織学的には区別できる。
電気刺激は右心房にある洞房結節(sinoatrial node: SA node、別名キース・フラック結節)から発生し、心房を介し右心房の下方にある房室結節(atrioventricular node: AV node、別名田原結節)へと伝わる。この刺激により心房の収縮が行われる。更に電気信号は房室結節からHis束、右脚、左脚プルキンエ (Purkinje) 線維|へと伝導し、心室へと電気刺激が伝わっていく。 ここで、心房と心室とでは、電気刺激を受ける時間差があるために、心房の収縮に遅れて心室の収縮が起こる。これにより心房から心室へと血液をうまく送ることが出来る。 洞房結節、房室結節、His束、右脚、左脚プルキンエ線維を合わせて刺激伝導系と呼ぶ。
動脈系とは、心臓から押し出される血液を全身に分配するための血管システムのことである。心臓が血液を駆出する際の高い圧力に耐えるため、動脈系の血管は、外膜・中膜・内膜の3層からなる丈夫な構造を持つ。また、柔軟性に富むことで、心臓の収縮時と拡張時の血圧の差を吸収できるようになっている。
動脈は各組織へ血液を配分するために分岐していくが、分岐した枝同士が合流していることもある。これを吻合と言い、一方の血流が不十分でも組織が虚血に陥ることを避けられる。逆に、吻合のない動脈の支配領域はそれだけ虚血のリスクが高いと言える。
一般的に、大動脈を通じて全身へ送り出される血液は酸素に富んだ動脈血である。ただし、唯一、肺動脈系を流れている血液のみは、心臓から肺に向かって送り出される脱酸素化された血液、つまり静脈血を運んでいることは注意を要する。
静脈系とは、毛細血管から発生した静脈血を心臓に送るために使われる血管システムのことである。毛細血管の吻合により細静脈に至り、最終的に上下の大静脈となる。
全身の静脈は、肺静脈系と大静脈系に二分される。大静脈系は腸などからの血流を肝臓に運ぶ門脈系を含む。静脈は皮膚からの位置によっていくつかに分類されている。すなわち、筋膜よりも皮膚よりを走行する皮静脈、筋膜下を走る深静脈、両静脈をつなぐ貫通静脈である。深静脈は動脈と一対をなし、解剖学では後脛骨静脈と後脛骨動脈や、最上肋間静脈と最上肋間動脈のように同名が与えられている。一方、w:肺静脈系は、肺で酸素化を受けて心臓に戻ってくる血液を通すため、静脈系としては例外的に動脈血が流れる。
個々の静脈はパイプ状をなし、3層の膜、4種類の組織からなる。内部から血液が流れる内腔、内膜(内皮細胞(静脈弁を含む)、基底膜)、中膜(平滑筋)、外膜である。最も厚い膜は外膜である。動脈は同じく3層の膜組織からなるが、より複雑な構造をとる。すなわち、内腔、内膜(内皮細胞、基底膜、内弾性板)、中膜(平滑筋、外弾性版)、外膜である。静脈は動脈と比較すると、弾性繊維組織を欠くことが特徴だ。なお、毛細血管は内皮細胞と基底膜のみからなる。静脈にかかる血圧は動脈と比較すると低いため、動脈に比べると壁は薄い。特に中膜と内膜が薄い。弾性繊維組織を欠くだけでなく、平滑筋や外膜も薄い。
静脈の多くには逆流防止などのために静脈弁(venous valve)がついている。重力の影響を受ける四肢の静脈では静脈弁は発達するが、内臓の静脈などではこれを欠く。静脈弁閉鎖機能不全に至ると、血液の逆流により、壁の弾力性が失われしだいに断面積が拡大して行く。これを拡張性蛇行静脈と呼ぶ。
心筋は、骨格筋と同じ横紋筋であるが、骨格筋は随意筋で多核の細胞でできているのに対して、心筋は単核(稀に2核)の細胞でできており、不随意筋である。また、ミトコンドリアが非常に多く存在しており、心筋が要求するエネルギーの大部分をまかなっているほか、心筋においては、筋線維の枝分かれ・融合が見られる。心筋細胞は介在板により結ばれ、心筋線維を形成する。
心房には血圧と血流の制御に関連する心房性ナトリウム利尿ペプチドと呼ばれるペプチドホルモンを合成、分泌する心筋細胞が存在する。心筋線維は静止時には細胞外に対して-50~-90mVの膜電位を有する。骨格筋の絶対不応期は1~3msecなのに対して、心筋の絶対不応期は200msecと長い。
心筋の収縮機構を特徴づけるのが、Ca電流が直接的に興奮収縮連関に関与する点である。固有心筋においては、細胞膜上にL型Caチャネル(DHP受容体)が分布しており、心筋の活動電位に特徴的である緩徐な脱分極:プラトー相の形成に決定的な役割を果たしている。
心筋の活動電位の形成は下記のようなプロセスを経て進行する:
また、心筋の興奮・収縮機構においてもうひとつ特徴的なのが、Ca誘発性Ca放出(CICR)である。これは、上記の機構によってL型Caチャネルより流入したCaが、筋小胞体のCa放出チャネルに結合し、筋小胞体からのCa放出を引き起こすものである。
心臓は収縮と弛緩を周期的に繰り返しており、これを心周期と称する。心室が収縮している時期を(心室)収縮期、拡張して弛緩している時期を(心室)拡張期という。
1. 等容性収縮期
2. 駆出期
3. 等容性弛緩期
4. 充満期
循環器系の調節機構は、大きく分けて外因性と内因性がある。外因性調節としては、自律神経による神経性調節と、ホルモンなどによる液性調節があり、内因性調節としては、局所組織の代謝需要、自己調節、傍分泌による局所性調節がある。
神経性調節と液性調節の機構において、センサーとして使用されるのは下記のものである。
この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。
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心不全(しんふぜん、heart failure)は、心臓の血液拍出が不十分であり、全身が必要とするだけの循環量を保てない病態を指す。そのような病態となるに至った原因は問わない。
心不全の症状は、主にうっ血によるものである(うっ血性心不全)。左心と右心のどちらに異常があるかによって、体循環系と肺循環系のどちらにうっ血が出現するかが変わり、これによって症状も変化する。このことから、右心不全と左心不全の区別は重要であるが、進行すると両心不全となることも多い。
また、治療内容の決定に当たっては、急性と慢性の区別も重要である。前者に当てはまるのは例えば心筋梗塞に伴う心不全であり、後者に当てはまるのは例えば心筋症や弁膜症に伴う心不全である(念のため付け加えると、急性心不全が終末期状態としての心不全を指しているわけではない...急性心不全は治療により完全に回復する可能性がある)。
症状を来たす原因が、主に左心室の機能不全によるものなのか、右心室の機能不全によるものなのかによって、心不全を大きく2つに分類する方法である。厳密に区別することができない場合も多いが、病態把握や治療方針決定に有用であるため、頻繁に使用される概念であるので後述する。
左心不全(さしんふぜん、left heart failure)は、左心系の機能不全にともなう一連の病態のことである。左心系は体循環を担当することから諸臓器の血流低下が発生するほか、心拍出量低下による血圧低下、左房圧上昇による肺うっ血が生じる。肺うっ血は、肺が左心系の上流に位置することから出現するものである。
胸部X線画像においては、
が見られる。
左心不全は、さらに肺血流の停滞を経由し、右心系へも負荷を与えるため、左心不全を放置したとき、右心不全を合併するリスクが高くなる。特に心不全における呼吸困難は、横になっているよりも座っているときの方が楽である、という特徴を持つ(これを起座呼吸(きざこきゅう、orthopnea)という)。
右心不全(うしんふぜん、right heart failure)は、右心系の機能不全にともなう一連の病態のことであり、静脈系のうっ血が主体となる。この場合、液体が過剰に貯留するのは体全体、特に下肢であり、心不全徴候としての下腿浮腫は有名である。その他、腹水、肝腫大、静脈怒張など、循環の不良を反映した症状をきたす。
右心不全の多くは、左心不全に続発して生じるかたちとなる。左心不全で肺うっ血が進行し、肺高血圧をきたすまでに至ると、右室に圧負荷がかかり、右心不全を起こす。
右心不全のみを起こすのは、肺性心、肺梗塞など、ごく限られた疾患のみである。
急性・慢性心不全の区別は、主として、治療内容の決定に使用される。
急性心不全においては、心機能の低下が代償可能な範囲を上回り、急激な低下を示すことから、血行動態の異常は高度となる。なお、左心不全が多い。
症状としては、呼吸困難、ショック症状といった急性症状が出現する。
治療方針としては、血行動態の正常化を図る(心臓負荷を軽減し、心拍出量を増加させる)ことが優先され、迅速な処置が求められる。
長期にわたって進行性に悪化するため、代償された状態が長期間持続したのちに破綻する。これによって、収縮能および拡張能は低下し、また、代償機構の破綻によって、増大した体液が貯留することとなる。
この結果、倦怠感と呼吸困難の持続が出現し、運動耐容能が低下する。
治療は、QOLの向上と生命予後の改善を目的として、自覚症状の軽減を主眼とするものとなる。
前述のような臨床症状から疑われ、心エコー検査によって診断される。エコーによって、心不全の原因疾患の検索がなされ、心臓の動きは十分か、拍出量がどの程度かなどを定量的に把握することができる。胸部X線写真や心電図、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)などの血液生化学検査が参考になることもあるが、通常はエコーが最も多くの情報をもたらす。観血的には肺動脈カテーテルを挿入し心拍出量や肺動脈楔入圧(PCWP)、中心静脈圧(CVP)の測定を行う。
NYHA分類(ニハ分類、またはナイハ分類と発音される)は、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association: NYHA)が定めた心不全の症状の程度の分類であり、以下のように心不全の重症度を4種類に分類するものであるが、簡便でありよく使用される。
治療においては、フォレスター分類(Forrester分類)が参考になる。これは、心臓の拍出量を表す心係数(2.2 L/min/mを境界とする)と、静脈のうっ滞の程度を表す肺動脈楔入圧(18 mmHgを境界とする)とから、心不全の状態を4つに分類し、それぞれに適切な治療法を提案するものである。
原則として、静脈うっ滞を改善するには利尿薬が、心臓の拍出量改善のためには強心薬が使われる。その他血管拡張薬を併用することもある。遺伝子組み換えヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)も用いられる。ただし、心不全は様々な原因によって起こるので、原疾患によって治療法も大きく異なる。
心不全の予後を改善する目的として、交感神経β受容体遮断薬やアンギオテンシン変換酵素、また利尿薬の一つであるスピロノラクトンによる治療が推奨されている。
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"text": "1. 等容性収縮期",
"title": "循環器総論"
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"text": "2. 駆出期",
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"text": "3. 等容性弛緩期",
"title": "循環器総論"
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"text": "4. 充満期",
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"text": "循環器系の調節機構は、大きく分けて外因性と内因性がある。外因性調節としては、自律神経による神経性調節と、ホルモンなどによる液性調節があり、内因性調節としては、局所組織の代謝需要、自己調節、傍分泌による局所性調節がある。",
"title": "循環器総論"
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"text": "神経性調節と液性調節の機構において、センサーとして使用されるのは下記のものである。",
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"text": "この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。",
"title": "循環器総論"
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"text": "この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。",
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"text": "この節は書きかけです。この節を編集してくれる方を心からお待ちしています。",
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"text": "心不全(しんふぜん、heart failure)は、心臓の血液拍出が不十分であり、全身が必要とするだけの循環量を保てない病態を指す。そのような病態となるに至った原因は問わない。",
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"text": "心不全の症状は、主にうっ血によるものである(うっ血性心不全)。左心と右心のどちらに異常があるかによって、体循環系と肺循環系のどちらにうっ血が出現するかが変わり、これによって症状も変化する。このことから、右心不全と左心不全の区別は重要であるが、進行すると両心不全となることも多い。",
"title": "心不全"
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"text": "また、治療内容の決定に当たっては、急性と慢性の区別も重要である。前者に当てはまるのは例えば心筋梗塞に伴う心不全であり、後者に当てはまるのは例えば心筋症や弁膜症に伴う心不全である(念のため付け加えると、急性心不全が終末期状態としての心不全を指しているわけではない...急性心不全は治療により完全に回復する可能性がある)。",
"title": "心不全"
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"text": "症状を来たす原因が、主に左心室の機能不全によるものなのか、右心室の機能不全によるものなのかによって、心不全を大きく2つに分類する方法である。厳密に区別することができない場合も多いが、病態把握や治療方針決定に有用であるため、頻繁に使用される概念であるので後述する。",
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"text": "左心不全(さしんふぜん、left heart failure)は、左心系の機能不全にともなう一連の病態のことである。左心系は体循環を担当することから諸臓器の血流低下が発生するほか、心拍出量低下による血圧低下、左房圧上昇による肺うっ血が生じる。肺うっ血は、肺が左心系の上流に位置することから出現するものである。",
"title": "心不全"
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"text": "胸部X線画像においては、",
"title": "心不全"
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"text": "が見られる。",
"title": "心不全"
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"text": "左心不全は、さらに肺血流の停滞を経由し、右心系へも負荷を与えるため、左心不全を放置したとき、右心不全を合併するリスクが高くなる。特に心不全における呼吸困難は、横になっているよりも座っているときの方が楽である、という特徴を持つ(これを起座呼吸(きざこきゅう、orthopnea)という)。",
"title": "心不全"
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{
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"text": "右心不全(うしんふぜん、right heart failure)は、右心系の機能不全にともなう一連の病態のことであり、静脈系のうっ血が主体となる。この場合、液体が過剰に貯留するのは体全体、特に下肢であり、心不全徴候としての下腿浮腫は有名である。その他、腹水、肝腫大、静脈怒張など、循環の不良を反映した症状をきたす。",
"title": "心不全"
},
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"tag": "p",
"text": "右心不全の多くは、左心不全に続発して生じるかたちとなる。左心不全で肺うっ血が進行し、肺高血圧をきたすまでに至ると、右室に圧負荷がかかり、右心不全を起こす。",
"title": "心不全"
},
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"text": "右心不全のみを起こすのは、肺性心、肺梗塞など、ごく限られた疾患のみである。",
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"text": "急性・慢性心不全の区別は、主として、治療内容の決定に使用される。",
"title": "心不全"
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"tag": "p",
"text": "急性心不全においては、心機能の低下が代償可能な範囲を上回り、急激な低下を示すことから、血行動態の異常は高度となる。なお、左心不全が多い。",
"title": "心不全"
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"text": "症状としては、呼吸困難、ショック症状といった急性症状が出現する。",
"title": "心不全"
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"text": "治療方針としては、血行動態の正常化を図る(心臓負荷を軽減し、心拍出量を増加させる)ことが優先され、迅速な処置が求められる。",
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"tag": "p",
"text": "長期にわたって進行性に悪化するため、代償された状態が長期間持続したのちに破綻する。これによって、収縮能および拡張能は低下し、また、代償機構の破綻によって、増大した体液が貯留することとなる。",
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"text": "この結果、倦怠感と呼吸困難の持続が出現し、運動耐容能が低下する。",
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"text": "治療は、QOLの向上と生命予後の改善を目的として、自覚症状の軽減を主眼とするものとなる。",
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"text": "前述のような臨床症状から疑われ、心エコー検査によって診断される。エコーによって、心不全の原因疾患の検索がなされ、心臓の動きは十分か、拍出量がどの程度かなどを定量的に把握することができる。胸部X線写真や心電図、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)などの血液生化学検査が参考になることもあるが、通常はエコーが最も多くの情報をもたらす。観血的には肺動脈カテーテルを挿入し心拍出量や肺動脈楔入圧(PCWP)、中心静脈圧(CVP)の測定を行う。",
"title": "心不全"
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"paragraph_id": 48,
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"text": "NYHA分類(ニハ分類、またはナイハ分類と発音される)は、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association: NYHA)が定めた心不全の症状の程度の分類であり、以下のように心不全の重症度を4種類に分類するものであるが、簡便でありよく使用される。",
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"paragraph_id": 49,
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"text": "治療においては、フォレスター分類(Forrester分類)が参考になる。これは、心臓の拍出量を表す心係数(2.2 L/min/mを境界とする)と、静脈のうっ滞の程度を表す肺動脈楔入圧(18 mmHgを境界とする)とから、心不全の状態を4つに分類し、それぞれに適切な治療法を提案するものである。",
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"text": "原則として、静脈うっ滞を改善するには利尿薬が、心臓の拍出量改善のためには強心薬が使われる。その他血管拡張薬を併用することもある。遺伝子組み換えヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)も用いられる。ただし、心不全は様々な原因によって起こるので、原疾患によって治療法も大きく異なる。",
"title": "心不全"
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"text": "心不全の予後を改善する目的として、交感神経β受容体遮断薬やアンギオテンシン変換酵素、また利尿薬の一つであるスピロノラクトンによる治療が推奨されている。",
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{
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"text": "原疾患によって異なる。一般的には、心不全に対して適切な治療が為されていれば、長期生存も可能である。",
"title": "心不全"
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{
"paragraph_id": 53,
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"text": "",
"title": "心不全"
}
]
| 循環器領域には、主に心臓の病気、血管の病気、その他の脈管系の病気が含まれますが本書では心臓を中心に学習を進めていきます。循環器では基礎的な物理学、数学の知識が病態の理解に必要となります。また、その治療法は内科学、外科学とも重要なものが多いので、外科学/循環器も併せて学習することが重要です。 | [[:w:循環器|循環器]]領域には、主に心臓の病気、血管の病気、その他の脈管系の病気が含まれますが本書では[[:w:心臓|心臓]]を中心に学習を進めていきます。循環器では基礎的な[[物理学]]、[[数学]]の知識が病態の理解に必要となります。また、その治療法は内科学、外科学とも重要なものが多いので、[[外科学/循環器]]も併せて学習することが重要です。
== 循環器総論 ==
=== 心臓の解剖 ===
[[File:Diagram of the human heart (cropped) ja.svg|250px|thumb|ヒトの心臓の構造<br />血液の流れは白い矢印で示されている]]
心臓は全身に血液を拍出するポンプの働きをしている。[[w:ヒト|ヒト]]の心臓は二対の心房・心室、つまり[[w:右心房|右心房]]、[[w:左心房|左心房]]、[[w:右心室|右心室]]、[[w:左心室|左心室]]から成る。心臓のサイズは握りこぶしほどの大きさであり、位置は胸骨と第2~第6肋骨の背面である。
よく心臓は左胸にあるといわれるが、実際には上の図のように左右の肺の中間、つまり'''胸のほぼ中央'''にある。図にあるように心臓は形状が中央よりやや左に寄っている(、心尖は左前下方を向いている)。このため、左胸のほうが右胸よりも心臓の鼓動を感じやすいことからこのような誤解が生じたものと考えられる。
{{-}}
=== 心臓の弁 ===
[[File:Gray495.png|250px|thumb|心房を取り除き、心臓内の4つの弁を上方から見た図]]
心臓は血液の逆流を防止するために4つの弁を持っている。弁は右心房と右心室、右心室と肺動脈、左心房と左心室、左心室と[[w:大動脈|大動脈]]の間に存在し、それぞれ、'''[[w:三尖弁|三尖弁]]'''、'''[[w:肺動脈弁|肺動脈弁]]'''、'''[[w:僧帽弁|僧帽弁]]'''、'''[[w:大動脈弁|大動脈弁]]'''と呼ばれる。このうち、僧帽弁のみが2つの弁尖よりなっており、それ以外は3つの弁尖からなっている。
{{-}}
=== 刺激伝導系 ===
[[File:Bundleofhis.png|thumb|250px|刺激伝導系。青い部分が洞房結節である]]
[[File:ECG Principle fast.gif|thumb|250px|left|刺激伝導系の興奮伝導と心電図]]
心筋には、筋肉の収縮・拡張により血液を送る'''固有心筋'''と、固有心筋を動かすための電気刺激の発生と伝導を行っている'''特殊心筋'''がある。固有心筋は心房では長さ100μm、直径5μmの紡錐形をしており、心室では長さ100μm、直径10μmの枝分かれした円柱状をしているが、特殊心筋はこれら周辺の固有心筋とは明らかに異なった形態をしており、[[w:組織学|組織学]]的には区別できる。
電気刺激は右心房にある[[w:洞房結節|洞房結節]](sinoatrial node: SA node、別名キース・フラック結節)から発生し、心房を介し右心房の下方にある'''[[w:房室結節|房室結節]]'''(atrioventricular node: AV node、別名''田原結節'')へと伝わる。この刺激により心房の収縮が行われる。更に電気信号は房室結節から[[w:His束|His束]]、右脚、左脚[[w:プルキンエ線維|プルキンエ (Purkinje) 線維|]]へと伝導し、心室へと電気刺激が伝わっていく。
ここで、心房と心室とでは、電気刺激を受ける時間差があるために、心房の収縮に遅れて心室の収縮が起こる。これにより心房から心室へと血液をうまく送ることが出来る。
洞房結節、房室結節、His束、右脚、左脚プルキンエ線維を合わせて'''[[w:刺激伝導系|刺激伝導系]]'''と呼ぶ。
{{-}}
=== 動脈系と静脈系 ===
[[File:Gray577.png|thumb|250px|心臓を取り除いた状態での動静脈系]]
[[File:Gray506 ja.svg|thumb|250px|左心室を出て分岐する大動脈]]
==== 動脈系 ====
'''動脈系'''とは、[[w:心臓|心臓]]から押し出される[[w:血液|血液]]を全身に分配するための[[w:血管|血管]]システムのことである。心臓が血液を駆出する際の高い[[w:圧力|圧力]]に耐えるため、動脈系の血管は、外膜・中膜・内膜の3層からなる丈夫な構造を持つ。また、柔軟性に富むことで、心臓の収縮時と拡張時の[[w:血圧|血圧]]の差を吸収できるようになっている。
動脈は各組織へ血液を配分するために分岐していくが、分岐した枝同士が合流していることもある。これを吻合と言い、一方の血流が不十分でも組織が[[w:虚血|虚血]]に陥ることを避けられる。逆に、吻合のない動脈の支配領域はそれだけ虚血のリスクが高いと言える。
一般的に、[[w:大動脈|大動脈]]を通じて全身へ送り出される血液は[[w:酸素|酸素]]に富んだ[[w:動脈血|動脈血]]である。ただし、唯一、肺動脈系を流れている血液のみは、心臓から肺に向かって送り出される脱酸素化された血液、つまり[[w:静脈血|静脈血]]を運んでいることは注意を要する。
==== 静脈系 ====
'''静脈系'''とは、[[w:毛細血管|毛細血管]]から発生した[[w:静脈血|静脈血]]を[[w:心臓|心臓]]に送るために使われる[[w:血管|血管]]システムのことである。毛細血管の吻合により細静脈に至り、最終的に上下の大静脈となる。
全身の静脈は、肺静脈系と大静脈系に二分される。大静脈系は腸などからの血流を[[w:肝臓|肝臓]]に運ぶ[[w:門脈|門脈]]系を含む。静脈は皮膚からの位置によっていくつかに分類されている。すなわち、筋膜よりも皮膚よりを走行する皮静脈、筋膜下を走る深静脈、両静脈をつなぐ貫通静脈である。深静脈は動脈と一対をなし、解剖学では後脛骨静脈と後脛骨動脈や、最上肋間静脈と最上肋間動脈のように同名が与えられている。一方、[[w:肺静脈]]系は、[[w:肺|肺]]で酸素化を受けて心臓に戻ってくる血液を通すため、静脈系としては例外的に[[w:動脈血|動脈血]]が流れる。
個々の静脈はパイプ状をなし、3層の膜、4種類の組織からなる。内部から血液が流れる内腔、内膜(内皮細胞(静脈弁を含む)、[[w:基底膜|基底膜]])、中膜([[w:平滑筋|平滑筋]])、外膜である。最も厚い膜は外膜である。動脈は同じく3層の膜組織からなるが、より複雑な構造をとる。すなわち、内腔、内膜(内皮細胞、基底膜、内弾性板)、中膜(平滑筋、外弾性版)、外膜である。静脈は動脈と比較すると、弾性繊維組織を欠くことが特徴だ。なお、毛細血管は内皮細胞と基底膜のみからなる。静脈にかかる[[w:血圧|血圧]]は動脈と比較すると低いため、動脈に比べると壁は薄い。特に中膜と内膜が薄い。弾性繊維組織を欠くだけでなく、平滑筋や外膜も薄い。
静脈の多くには逆流防止などのために[[w:静脈弁|静脈弁]](venous valve)がついている。重力の影響を受ける[[w:四肢|四肢]]の静脈では静脈弁は発達するが、内臓の静脈などではこれを欠く。静脈弁閉鎖機能不全に至ると、血液の逆流により、壁の弾力性が失われしだいに断面積が拡大して行く。これを拡張性蛇行静脈と呼ぶ。
=== 生理 ===
==== 心筋の構造 ====
[[File:Glanzstreifen.jpg|thumb|250px|心筋細胞の枝分かれ・融合と、[[w:介在板|介在板]](拡大部分)。]]
[[w:心筋|心筋]]は、[[w:骨格筋|骨格筋]]と同じ[[w:横紋筋|横紋筋]]であるが、骨格筋は[[w:随意筋|随意筋]]で[[w:多核|多核]]の[[w:細胞|細胞]]でできているのに対して、心筋は[[w:単核|単核]](稀に2核)の細胞でできており、[[w:不随意筋|不随意筋]]である。また、[[w:ミトコンドリア|ミトコンドリア]]が非常に多く存在しており、心筋が要求するエネルギーの大部分をまかなっているほか、心筋においては、筋線維の枝分かれ・融合が見られる。心筋細胞は[[w:介在板|介在板]]により結ばれ、心筋線維を形成する。
[[w:心房|心房]]には[[w:血圧|血圧]]と血流の制御に関連する[[w:心房性ナトリウム利尿ペプチド|心房性ナトリウム利尿ペプチド]]と呼ばれる[[w:ペプチドホルモン|ペプチドホルモン]]を合成、分泌する[[w:心筋細胞|心筋細胞]]が存在する。心筋線維は静止時には細胞外に対して-50~-90mVの[[w:膜電位|膜電位]]を有する。骨格筋の[[w:絶対不応期|絶対不応期]]は1~3msecなのに対して、心筋の絶対不応期は200msecと長い。
==== 心筋の興奮・収縮機構 ====
心筋の収縮機構を特徴づけるのが、Ca電流が直接的に[[w:興奮収縮連関|興奮収縮連関]]に関与する点である。<ref>骨格筋においてもL型Ca電流は見られるが、時間経過が遅く、興奮収縮連関に直接的な関与はしない。</ref>固有心筋においては、細胞膜上にL型Caチャネル(DHP受容体)が分布しており、心筋の活動電位に特徴的である緩徐な脱分極:プラトー相の形成に決定的な役割を果たしている。
心筋の活動電位の形成は下記のようなプロセスを経て進行する:
# 小さな脱分極を受けて電位依存性Naチャネルが開き、急速に大きな内向きNa電流を生じる。これによって膜は脱分極するが、Naチャネルの不活性化によって、Na電流は急速に消滅していく。
# Na電流の消滅によって膜電位が減少に転じた直後より、L型CaチャネルよりCa<sup>2+</sup>の流入が始まり、緩徐な内向き電流を形成する。L型CaチャネルはNaチャネルよりも不活性化が遅いことから、活動電位は緩やかな脱分極を示し、この部分を'''プラトー相'''と称する。
# 最終的に、Caチャネルの不活性化に伴ってCa電流は消滅し、これとほぼ同時にKチャネルからのKの流出による外向きK電流によって、急速な再分極が進行する。
また、心筋の興奮・収縮機構においてもうひとつ特徴的なのが、Ca誘発性Ca放出('''CICR''')である。これは、上記の機構によってL型Caチャネルより流入したCa<sup>2+</sup>が、筋小胞体のCa<sup>2+</sup>放出チャネルに結合し、筋小胞体からのCa<sup>2+</sup>放出を引き起こすものである。
==== 心周期 ====
心臓は収縮と弛緩を周期的に繰り返しており、これを'''心周期'''と称する。心室が収縮している時期を(心室)収縮期、拡張して弛緩している時期を(心室)拡張期という。
===== 収縮期 =====
1. 等容性収縮期
: 心室の収縮によって左室圧(LVP)は上昇を続けるものの、まだ大動脈圧(AP)を上回るに至っていないために大動脈弁が開いていない時期である。僧帽弁も大動脈弁も閉じており、したがって、左室の容積は一定であることからこの名がある。
2. 駆出期
: 左室圧が大動脈圧を上回り、大動脈弁が開くと同時に、血液は一気に大動脈に流入して、心拍出が開始される。駆出期の初期には、左室はなおも収縮し続けていることから、左室圧は上昇している。しかし駆出期の半ばで左室の収縮がピークを超えると共に左室圧は減少に転じ、これが大動脈圧を下回ると大動脈弁が閉鎖して心拍出が終結し、駆出期も終わる。
===== 拡張期 =====
3. 等容性弛緩期
: 大動脈弁、肺動脈弁の閉鎖によって駆出期が終わりを迎えた後、左室圧はなおも低下を続けるが、まだ左房圧を下回るには至っていないことから、僧帽弁も閉じたままになっており、したがって、左室の容積は一定であることからこの名がある。
4. 充満期
: 左室圧が左房圧(LAP)をついに下回ると、僧帽弁が開いて、左室に血液が流入する。これによって、左室圧は左房圧に近いところで下げ止まる。充満期の後期には、心房が収縮して、心房内の血液を心室内に送り出し、次の収縮期へと移行していく。
==== 心拍出量の調節 ====
* 心拍出量(CO)
:心臓のポンプ機能は心拍出量(CO)で評価される。これは、下記の式で算出される。
:心拍出量(リットル/分) =心拍数(回/分) × 1回拍出量(リットル/回)
:すなわち、心拍出量は、心拍数と1回拍出量によって左右される。このうち、1回拍出量は、心筋の基礎収縮力と前後の負荷によって左右される。心室拡張末期圧(前負荷)が増大すれば、1回拍出量も増大する。これを''Starlingの心臓の法則''という。Starlingの心臓の法則に基づいて、心臓への血液流入量と流出量のバランスをとるという自己調節能のメカニズムをFrank-Starling機構という。
*心係数(CI)
:心機能を評価する際には、体格による心拍出量の大小を補正するために心係数(CI)を用いる。これは、下記の式で算出され、Forrester分類などで用いられるものである。
:心拍出量(リットル/分) =心拍数(回/分) × 1回拍出量(リットル/回)
==== 循環調節機構 ====
循環器系の調節機構は、大きく分けて外因性と内因性がある。外因性調節としては、自律神経による'''神経性調節'''と、ホルモンなどによる'''液性調節'''があり、内因性調節としては、局所組織の代謝需要、自己調節、傍分泌による'''局所性調節'''がある。
===== 神経性調節と液性調節 =====
神経性調節と液性調節の機構において、センサーとして使用されるのは下記のものである。
* 圧受容器
: 頸動脈洞、大動脈弓、右房入口にある圧受容器は、血圧の変化を検知する。
* 化学受容器
: 頸動脈小体、大動脈小体が、血中のCO<sub>2+</sub>濃度、O<sub>2+</sub>濃度、pH変化を検知する。
=== 主な症状 ===
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=== 主な診察 ===
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=== 主な検査 ===
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== 心不全 ==
=== 総論 ===
'''心不全'''(しんふぜん、heart failure)は、[[w:心臓|心臓]]の血液拍出が不十分であり、全身が必要とするだけの循環量を保てない病態を指す。そのような病態となるに至った原因は問わない。
心不全の症状は、主にうっ血によるものである(うっ血性心不全)。左心と右心のどちらに異常があるかによって、体循環系と肺循環系のどちらにうっ血が出現するかが変わり、これによって症状も変化する。このことから、右心不全と左心不全の区別は重要であるが、進行すると両心不全となることも多い。
また、治療内容の決定に当たっては、[[w:急性心不全|急性]]と[[w:慢性心不全|慢性]]の区別も重要である。前者に当てはまるのは例えば[[w:心筋梗塞|心筋梗塞]]に伴う心不全であり、後者に当てはまるのは例えば[[w:心筋症|心筋症]]や[[w:心臓弁膜症|弁膜症]]に伴う心不全である(念のため付け加えると、急性心不全が終末期状態としての心不全を指しているわけではない…急性心不全は治療により完全に回復する可能性がある)。
=== 病態 ===
==== 左心不全と右心不全 ====
症状を来たす原因が、主に左心室の機能不全によるものなのか、右心室の機能不全によるものなのかによって、心不全を大きく2つに分類する方法である。厳密に区別することができない場合も多いが、病態把握や治療方針決定に有用であるため、頻繁に使用される概念であるので後述する。
;収縮不全と拡張不全 :心不全の30%から50%は左心室の十分な拡張を認めず、拡張不全が占めると考えられている。拡張不全は収縮不全に比べ女性、高齢者に多いが、まだ診断基準は定まってはいない。拡張不全には高血圧や虚血性心疾患の合併が多い。
{| class="wikitable"
| ||左心不全||右心不全
|-
|rowspan=2|うっ血による所見 || '''左房圧上昇による肺うっ血''' || '''中心静脈圧上昇による静脈うっ血'''
|-
| ? 急性肺水腫(労作時呼吸困難や起座呼吸、湿性ラ音など)<br/> ? 左房圧上昇<br/> ? 心係数低下|| ? 下腿浮腫<br/> ? 静脈怒張<br/> ? 肝腫大
|-
| 心拍出量低下<br/>による所見|| ? 血圧低下<br/> ? 全身倦怠感<br/> ? 尿量減少<br/> ? 尿中Na排泄量減少|| ? 肺血流量低下による心拍出量低下
|-
| その他の所見 || ? 心濁音界の拡大<br/> ? III音、IV音(奔馬律) || -
|}
=====左心不全=====
'''左心不全'''(さしんふぜん、left heart failure)は、左心系の機能不全にともなう一連の病態のことである。左心系は体循環を担当することから諸臓器の血流低下が発生するほか、心拍出量低下による'''血圧低下'''、左房圧上昇による'''肺うっ血'''が生じる。肺うっ血は、肺が左心系の上流に位置することから出現するものである。
*血圧低下の症状
:頻脈、チアノーゼ、尿量低下、血圧低下、手足の冷感、意識レベルの低下
*肺うっ血の症状
:[[w:肺高血圧|肺高血圧]]、[[w:胸水|胸水]]、[[w:呼吸困難|労作時呼吸困難]]、発作性夜間呼吸困難、[[w:咳嗽|咳嗽]]、[[w:チェーンストークス呼吸|チェーンストークス呼吸]]、湿性ラ音
胸部X線画像においては、
* 心陰影の拡大
* 肺うっ血
* '''Kerley's B line'''
が見られる。
左心不全は、さらに肺血流の停滞を経由し、右心系へも負荷を与えるため、左心不全を放置したとき、右心不全を合併するリスクが高くなる。特に心不全における呼吸困難は、横になっているよりも座っているときの方が楽である、という特徴を持つ(これを[[w:|起座呼吸]](きざこきゅう、orthopnea)という)。
=====右心不全=====
'''右心不全'''(うしんふぜん、right heart failure)は、右心系の機能不全にともなう一連の病態のことであり、'''静脈系のうっ血'''が主体となる。この場合、液体が過剰に貯留するのは体全体、特に[[w:下肢|下肢]]であり、心不全徴候としての下腿[[w:浮腫|浮腫]]は有名である。その他、[[w:腹水|腹水]]、[[w:肝腫大|肝腫大]]、[[w:静脈怒張|静脈怒張]]など、循環の不良を反映した症状をきたす。
右心不全の多くは、左心不全に続発して生じるかたちとなる。左心不全で肺うっ血が進行し、肺高血圧をきたすまでに至ると、右室に圧負荷がかかり、右心不全を起こす。
右心不全のみを起こすのは、'''肺性心'''、'''肺梗塞'''など、ごく限られた疾患のみである。
==== 急性・慢性心不全 ====
急性・慢性心不全の区別は、主として、治療内容の決定に使用される。
===== 急性心不全 =====
急性心不全においては、心機能の低下が代償可能な範囲を上回り、急激な低下を示すことから、血行動態の異常は高度となる。なお、左心不全が多い。
症状としては、'''呼吸困難'''、'''ショック症状'''といった急性症状が出現する。
治療方針としては、血行動態の正常化を図る(心臓負荷を軽減し、心拍出量を増加させる)ことが優先され、迅速な処置が求められる。
===== 慢性心不全 =====
長期にわたって進行性に悪化するため、代償された状態が長期間持続したのちに破綻する。これによって、収縮能および拡張能は低下し、また、代償機構の破綻によって、増大した体液が貯留することとなる。
この結果、倦怠感と呼吸困難の持続が出現し、運動耐容能が低下する。
治療は、QOLの向上と生命予後の改善を目的として、自覚症状の軽減を主眼とするものとなる。
===診断===
前述のような臨床症状から疑われ、心[[w:超音波検査|エコー検査]]によって診断される。エコーによって、心不全の原因疾患の検索がなされ、心臓の動きは十分か、拍出量がどの程度かなどを定量的に把握することができる。胸部[[w:X線写真|X線写真]]や[[w:心電図|心電図]]、[[w:脳性ナトリウム利尿ペプチド|脳性ナトリウム利尿ペプチド]](BNP)、[[w:心房性ナトリウム利尿ペプチド|心房性ナトリウム利尿ペプチド]](ANP)などの血液生化学検査が参考になることもあるが、通常はエコーが最も多くの情報をもたらす。観血的には[[w:肺動脈カテーテル|肺動脈カテーテル]]を挿入し心拍出量や[[w:肺動脈楔入圧|肺動脈楔入圧]](PCWP)、[[w:中心静脈圧|中心静脈圧]](CVP)の測定を行う。
====NYHA分類====
NYHA分類(ニハ分類、またはナイハ分類と発音される)は、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association: NYHA)が定めた心不全の症状の程度の分類であり、以下のように心不全の重症度を4種類に分類するものであるが、簡便でありよく使用される。
;NYHA I度 :心疾患があるが症状はなく、通常の日常生活は制限されないもの。
;NYHA II度 :心疾患患者で日常生活が軽度から中等度に制限されるもの。安静時には無症状だが、普通の行動で疲労・動悸・呼吸困難・狭心痛を生じる。
;NYHA III度 :心疾患患者で日常生活が高度に制限されるもの。安静時は無症状だが、平地の歩行や日常生活以下の労作によっても症状が生じる。
;NYHA IV度 :心疾患患者で非常に軽度の活動でも何らかの症状を生ずる。安静時においても心不全・狭心症症状を生ずることもある。
===治療===
治療においては、'''フォレスター分類'''(Forrester分類)が参考になる。これは、心臓の拍出量を表す心係数(2.2 L/min/m<sup>2</sup>を境界とする)と、静脈のうっ滞の程度を表す肺動脈楔入圧(18 mmHgを境界とする)とから、心不全の状態を4つに分類し、それぞれに適切な治療法を提案するものである。
原則として、静脈うっ滞を改善するには[[w:利尿薬|利尿薬]]が、心臓の拍出量改善のためには[[w:強心薬|強心薬]]が使われる。その他[[w:血管拡張薬|血管拡張薬]]を併用することもある。遺伝子組み換えヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)も用いられる。ただし、心不全は様々な原因によって起こるので、原疾患によって治療法も大きく異なる。
心不全の予後を改善する目的として、[[w:交感神経β受容体遮断薬|交感神経β受容体遮断薬]]や[[w:アンギオテンシン変換酵素|アンギオテンシン変換酵素]]、また利尿薬の一つである[[w:スピロノラクトン|スピロノラクトン]]による治療が推奨されている。<ref>慢性心不全治療ガイドライン</ref>
===予後===
原疾患によって異なる。一般的には、心不全に対して適切な治療が為されていれば、長期生存も可能である。
== 不整脈 ==
== 虚血性心疾患 ==
#狭心症
#心筋梗塞
== 心臓弁膜病 ==
#リウマチ熱
#僧帽弁狭窄症
#大動脈弁狭窄症
#僧帽弁閉鎖不全症
== 大動脈弁閉鎖不全症 ==
#僧帽弁逸脱症候群
#感染性心内膜炎
#三尖弁狭窄症
#三尖弁閉鎖不全症
#連合弁膜症
=== 先天性心疾患 ===
#心房中隔欠損症
#心室中隔欠損症
#動脈管開存症
#肺動脈弁狭窄症
#Fallot四兆候
#大動脈縮窄症
#心内膜床欠損症
#三尖弁閉鎖症
=== その他の心疾患 ===
#心膜の疾患
#心筋疾患
#粘液腫
=== 動静脈の疾患 ===
#高血圧
#低血圧
#大動脈疾患
#静脈疾患
== 脚注 ==
<div class="references-small"><references /></div>
==参考文献==
*[http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2005_matsuzaki_h.pdf 慢性心不全治療ガイドライン] 2005年改訂版
[[Category:医学|ないかかく しゆんかんき]] | null | 2022-07-26T14:16:46Z | [
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4,709 | 動画 | 画像映像・音楽入門> 動画
ここではw:コンピュータを用いてw:動画を扱う方法についてまとめます。ただし、高等学校情報にある程度のコンピュータの知識を仮定します。
最初に,簡単な動画を作成する方法を説明します。動画には様々な保存形式がありますが、ここでは主にw:gif、w:MNGを扱います。これはこれらの形式がある程度知られた形式であり,しかもw:法律的な意味で自由に使用できる形式であることによります。
動画を作成,保存する形式の1つとして、w:flashがあげられます。これは上のgif, mngの両形式とは違い,それぞれの画像をw:ベクタで保存します。flashは非常に広く普及しており,これを作成するソフトも存在しますが,残念ながらこの形式は法的に保護された保存形式です。flashを使って行ってよいことと行ってはいけないことについてはwikipediaのw:flashの項などを参照してください。
w:動画は複数の静止画像を時間的に変化させながら表示させる方式のことであり、映像をコンピュータ上で扱うための方法です。簡単な動画はいくつかの静止画像を組み合わせて作ることができます。例えば,同じ大きさの静止画像を複数枚重ね合わせることで,”パラパラアニメ”と同じ方法の動画を作ることができます。
このように作られる動画で、扱われる静止画像のことを"フレーム"と呼ぶことがあります。例えば、10枚の静止画像によって作られる動画は10フレームの動画と呼びます。
動画はいくつかの情報を持っています。単純な動画ではそれぞれのフレームをある一定の間隔で表示します。しかし、この方法だけでは問題があることを次に述べます。
例えば,ある画像だけを長い時間表示したいとします。この場合には,全く同じ内容の画像を複数回表示することになります。残念ながら、この場合には同じ画像情報を何度も扱うことになるので、保存されるデータ量が多くなります。しかも保存されている内容は全く同じ内容なので,その分のデータが無駄になります。
このような状況に対応するには,それぞれのフレームの表示時間を扱えると便利です。このときには長い時間表示したい画像の表示時間を長く設定すれば画像のデータ量を増やすことなく上と同じ効果を得ることができます。もちろん、それによって保存するデータにいくつかの数値が加わりその分のデータ増加はありますが,これによるデータ増加は画像の保存に必要なデータと比べれば微々たるものです。画像の扱いかたと数値の扱いかたについては高等学校情報Cなどを参照してください。
そのため、動画を扱う形式には静止画像だけでなく、画像の表示時間も記録できることが望ましいでしょう。このように、動画を保存するといってもそれらが扱う情報は保存形式ごとに異なっています。先ほどあげたgifとmngはどちらも表示時間を記録することができます。
ここまでは全ての画像の大きさが同じであると仮定してきました。しかし、場合によっては大きさが異なる画像を使った方が便利な場合があります。例えば,一般的なw:アニメで,人物がw:まばたきを行ったり言葉を発するために口を動かしたりすることがあります。この場面をよく観察すると、目や口の部分だけが変化しており,それ以外の部分は全く変化していないことがわかります。これを実現するには,目や口のサイズの画像を用意し,人の顔の画像と重ね合わせることでこの結果を得ることができます。この方法の利点は変化していない部分の情報を繰り返さずにすむことです。例えばまばたきをする分には顔全体を変化させる必要がないので、その部分はフレーム間でつかいまわすことができるわけです。同じ部分を描画しなくてすむので動画全体のサイズも小さくてすみます。
コンピュータ上でこの結果を得るには,動画の保存形式はこれまでの情報に加えて、静止画像のサイズと,その画像が表示される位置を扱える必要があります。gifとmngはこれらを扱うことができます。
ここでは実際に人物が口を動かす動画を作ってみます。動画を作るw:ソフトウェアはいくつか知られていますが,ここではw:gimpを使いました。gimpは静止画像の編集を得意としますが,動画もある程度扱うことができます。ここからの解説ではある程度のgimpの知識を仮定します。Gimpの操作方法についてはgimpなどを参照してください。
gimpでは動画を扱うためにレイヤーを使います。gimpでは複数のレイヤーを使えますが,複数のレイヤーを持った画像をgifで保存する時,gimpはそれぞれのレイヤーをgif動画のフレームとして扱います。動画が表示される時間はレイヤーの名称を用いて指定することができます。レイヤーの名称を
として指定するとそのフレームは"数値"ミリ秒だけ表示されます。表示方法にはcombineかreplaceを指定することができ,combineではその画像は直前のフレームと合成されます。replaceではその画像で直前のフレームを置き換えます。
gimpのソースではこれらの情報は./plug-ins/common/gif.cで扱われます。
ここでは背景の顔画像が1枚と口周辺に4枚の画像を配置しました。
ここまではgifとmngで共通の操作を扱いました。ここからは主にmngで導入された操作について述べます。これらは、w:アニメやw:flashアニメでよく用いられる操作を含みます。
まず、mngでは画像を動かしながら表示することができます。これは、大きな絵全体を動かしながら表示する手法や、物体を変化させることなく移動させる手法として利用することができます。
残念ながらこれらの機能を持つmngファイルを簡単に作る方法はあまり知られていません。例えば、先ほどの例を作ったw:gimpの2.0系列ではgifアニメに加えてmngアニメを作成できます。しかし、これで作成できるアニメは、gifアニメと同じ機能を持ったmngファイルのみであり、画像の移動のようにmngで加わった操作を扱うことはできません。
いまのところmngファイルを作りたいときには、w:en:libmngを利用して作るしかないようです。ここでは、libmngの使い方を簡単にまとめます。これ以降の話題では高等学校情報の知識に加えてc言語の知識を仮定します。libmngのバージョンは1.0.9を使いました。
libmngはc言語で書かれたライブラリで、mngファイルの読み出しと書き出しを行うことができます。libmng自体はOSによらないとされていますが、開発環境などを構築する手間を考えると、w:linuxディストリビューションのコンパイル済みのパッケージを使うのがよいでしょう。ここからはlibmngの使い方について述べますが、これはlibmng付属のドキュメントと似た内容です。
以降の関数は2.6系列のlinuxで動くことを確認していますが、それ以外のシステムでは異なった動作をするかもしれません。
libmngは、ある程度オブジェクト指向を意識した関数を提供しています。まず、mngファイルを扱うために、mng_initialize関数を使います。ただし、動的なメモリ確保とメモリの解放を内部で行うために、メモリ確保とメモリ解放のための関数を引数として与える必要があります。ここでは確保のための関数としてmallocを与え、解放のための関数としてfreeを与えます。
これ以降、handleをmngを扱うクラスのインスタンスのように扱うことになります。ただし、c言語自体はオブジェクト指向言語ではないので、メソッド呼び出しの代わりに、
のように関数を呼ぶことになります。これはオブジェクト指向言語では、
に対応する操作です。mng_initializeによって得られた変数は、mngの読み出しと書き出しの両方に用いることができます。ここでは、mngファイルの作成が目的なので、mngの作成法を述べます。mngを作成するには、まずmng_create関数を使って変数を初期化します。
ただし、この操作を行う前に、openstream, closestream, writedataと呼ばれるコールバック関数を与える必要があります。これらはここで扱うmngファイルを扱う関数です。例えば、出力するmngファイルをggg.mngとすると、openstream関数はこれを書き込み用に開く必要があります。
このときopenstream関数は、
となります。ここで、返り値のintはファイル操作が成功したかどうかを表す値なので、本来ならfopenの返り値によって変更すべきです。ここでは、簡単のため常に操作は成功するものとしました。また、返り値の型は本来はint型ではないのでこのままコンパイルを行うと警告がでます。このときには適切にキャストを行うか、引数の型を変更してください。writedataは、openstream関数で開いたファイルにデータを書き出します。
writedata関数には書き出したデータを蓄える場所、書き出す長さ、実際に書き出された長さを表す引数が与えられます。
これらのコールバック関数を実際にhandleに与えるには、mng_setcb_xxx関数を使います。実際の変数名はlibmng.hなどを見て調べることができます。
ここまででmngを作成する準備ができました。実際にmngを作成するには、mngにどのような機能があるかを把握する必要があります。mngのデータは”チャンク”と呼ばれるデータで扱われます。それぞれのチャンクには名前とチャンクに付属するデータがついており、名前とデータを指定することでチャンクを指定することができます。具体的なチャンクの種類はmngの仕様(w:MNGを参照)などを参照してください。具体的には例えばMHDRチャンクをしていするときには、
のような関数を使います。ここで、関数名のmhdrを他のチャンク名に変えることで、他のチャンクを作成することができます。詳しい引数の意味は仕様書を参照してほしいのですが、1,2,3番目の引数は画面の幅、高さ、表示画像のfpsを表します。
チャンクのデータを指定し終わったら実際にmngファイルを作成します。このためには、
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mngファイルを表示するには、libmngに付属の各mngビューアを使うことができます。これは、libmngソース内で./contrib/gcc以下に含まれるファイルです。例えば、w:SDLを使ったビューアなどが存在し、mngを表示することができます。 | [
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画像映像・音楽入門> 動画
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==動画入門==
ここでは[[w:コンピュータ]]を用いて[[w:動画]]を扱う方法についてまとめます。ただし、[[高等学校情報]]にある程度のコンピュータの知識を仮定します。
最初に,簡単な動画を作成する方法を説明します。動画には様々な保存形式がありますが、ここでは主に[[w:gif]]、[[w:MNG]]を扱います。これはこれらの形式がある程度知られた形式であり,しかも[[w:法律]]的な意味で自由に使用できる形式であることによります。
動画を作成,保存する形式の1つとして、[[w:flash]]があげられます。これは上のgif, mngの両形式とは違い,それぞれの画像を[[w:ベクタ]]で保存します。flashは非常に広く普及しており,これを作成するソフトも存在しますが,残念ながらこの形式は法的に保護された保存形式です。flashを使って行ってよいことと行ってはいけないことについてはwikipediaの[[w:flash]]の項などを参照してください。
===動画とは===
[[w:動画]]は複数の静止画像を時間的に変化させながら表示させる方式のことであり、映像をコンピュータ上で扱うための方法です。簡単な動画はいくつかの静止画像を組み合わせて作ることができます。例えば,同じ大きさの静止画像を複数枚重ね合わせることで,”パラパラアニメ”と同じ方法の動画を作ることができます。
*具体的な例(コモンズ)
このように作られる動画で、扱われる静止画像のことを"フレーム"と呼ぶことがあります。例えば、10枚の静止画像によって作られる動画は10フレームの動画と呼びます。
===動画が持つ情報の種類===
動画はいくつかの情報を持っています。単純な動画ではそれぞれのフレームをある一定の間隔で表示します。しかし、この方法だけでは問題があることを次に述べます。
例えば,ある画像だけを長い時間表示したいとします。この場合には,全く同じ内容の画像を複数回表示することになります。残念ながら、この場合には同じ画像情報を何度も扱うことになるので、保存されるデータ量が多くなります。しかも保存されている内容は全く同じ内容なので,その分のデータが無駄になります。
このような状況に対応するには,それぞれのフレームの表示時間を扱えると便利です。このときには長い時間表示したい画像の表示時間を長く設定すれば画像のデータ量を増やすことなく上と同じ効果を得ることができます。もちろん、それによって保存するデータにいくつかの数値が加わりその分のデータ増加はありますが,これによるデータ増加は画像の保存に必要なデータと比べれば微々たるものです。画像の扱いかたと数値の扱いかたについては[[高等学校情報C]]などを参照してください。
そのため、動画を扱う形式には静止画像だけでなく、画像の表示時間も記録できることが望ましいでしょう。このように、動画を保存するといってもそれらが扱う情報は保存形式ごとに異なっています。先ほどあげたgifとmngはどちらも表示時間を記録することができます。
ここまでは全ての画像の大きさが同じであると仮定してきました。しかし、場合によっては大きさが異なる画像を使った方が便利な場合があります。例えば,一般的な[[w:アニメ]]で,人物が[[w:まばたき]]を行ったり言葉を発するために口を動かしたりすることがあります。この場面をよく観察すると、目や口の部分だけが変化しており,それ以外の部分は全く変化していないことがわかります。これを実現するには,目や口のサイズの画像を用意し,人の顔の画像と重ね合わせることでこの結果を得ることができます。この方法の利点は変化していない部分の情報を繰り返さずにすむことです。例えばまばたきをする分には顔全体を変化させる必要がないので、その部分はフレーム間でつかいまわすことができるわけです。同じ部分を描画しなくてすむので動画全体のサイズも小さくてすみます。
コンピュータ上でこの結果を得るには,動画の保存形式はこれまでの情報に加えて、静止画像のサイズと,その画像が表示される位置を扱える必要があります。gifとmngはこれらを扱うことができます。
===動画の作成例:画像のサイズ指定===
ここでは実際に人物が口を動かす動画を作ってみます。動画を作る[[w:ソフトウェア]]はいくつか知られていますが,ここでは[[w:gimp]]を使いました。gimpは静止画像の編集を得意としますが,動画もある程度扱うことができます。ここからの解説ではある程度のgimpの知識を仮定します。Gimpの操作方法については[[gimp]]などを参照してください。
gimpでは動画を扱うためにレイヤーを使います。gimpでは複数のレイヤーを使えますが,複数のレイヤーを持った画像をgifで保存する時,gimpはそれぞれのレイヤーをgif動画のフレームとして扱います。動画が表示される時間はレイヤーの名称を用いて指定することができます。レイヤーの名称を
名前 (数値 ms)(フレームの表示方法)
として指定するとそのフレームは"数値"ミリ秒だけ表示されます。表示方法にはcombineかreplaceを指定することができ,combineではその画像は直前のフレームと合成されます。replaceではその画像で直前のフレームを置き換えます。
*注意
gimpのソースではこれらの情報は./plug-ins/common/gif.cで扱われます。
ここでは背景の顔画像が1枚と口周辺に4枚の画像を配置しました。
:[[画像:顔の動作.gif]]
===画像の移動===
ここまではgifとmngで共通の操作を扱いました。ここからは主にmngで導入された操作について述べます。これらは、[[w:アニメ]]や[[w:flashアニメ]]でよく用いられる操作を含みます。
まず、mngでは画像を動かしながら表示することができます。これは、大きな絵全体を動かしながら表示する手法や、物体を変化させることなく移動させる手法として利用することができます。
*実例
残念ながらこれらの機能を持つmngファイルを簡単に作る方法はあまり知られていません。例えば、先ほどの例を作った[[w:gimp]]の2.0系列ではgifアニメに加えてmngアニメを作成できます。しかし、これで作成できるアニメは、gifアニメと同じ機能を持ったmngファイルのみであり、画像の移動のようにmngで加わった操作を扱うことはできません。
いまのところmngファイルを作りたいときには、[[w:en:libmng]]を利用して作るしかないようです。ここでは、libmngの使い方を簡単にまとめます。これ以降の話題では[[高等学校情報]]の知識に加えて[[c言語]]の知識を仮定します。libmngのバージョンは1.0.9を使いました。
====libmng====
libmngはc言語で書かれたライブラリで、mngファイルの読み出しと書き出しを行うことができます。libmng自体はOSによらないとされていますが、開発環境などを構築する手間を考えると、[[w:linux]]ディストリビューションのコンパイル済みのパッケージを使うのがよいでしょう。ここからはlibmngの使い方について述べますが、これはlibmng付属のドキュメントと似た内容です。
*注意
以降の関数は2.6系列のlinuxで動くことを確認していますが、それ以外のシステムでは異なった動作をするかもしれません。
libmngは、ある程度オブジェクト指向を意識した関数を提供しています。まず、mngファイルを扱うために、mng_initialize関数を使います。ただし、動的なメモリ確保とメモリの解放を内部で行うために、メモリ確保とメモリ解放のための関数を引数として与える必要があります。ここでは確保のための関数としてmallocを与え、解放のための関数としてfreeを与えます。
mng_handle handle = mng_initialize(userdata, malloc, free, NULL);
これ以降、handleをmngを扱うクラスのインスタンスのように扱うことになります。ただし、c言語自体はオブジェクト指向言語ではないので、メソッド呼び出しの代わりに、
mng_xxx(handle, ...);
のように関数を呼ぶことになります。これはオブジェクト指向言語では、
handle.xxx(...):
に対応する操作です。mng_initializeによって得られた変数は、mngの読み出しと書き出しの両方に用いることができます。ここでは、mngファイルの作成が目的なので、mngの作成法を述べます。mngを作成するには、まずmng_create関数を使って変数を初期化します。
mng_create(handle);
ただし、この操作を行う前に、openstream, closestream, writedataと呼ばれるコールバック関数を与える必要があります。これらはここで扱うmngファイルを扱う関数です。例えば、出力するmngファイルをggg.mngとすると、openstream関数はこれを書き込み用に開く必要があります。
このときopenstream関数は、
static int myopen(mng_handle handle){
f = fopen("ggg.mng", "w");
return 1;
}
となります。ここで、返り値のintはファイル操作が成功したかどうかを表す値なので、本来ならfopenの返り値によって変更すべきです。ここでは、簡単のため常に操作は成功するものとしました。また、返り値の型は本来はint型ではないのでこのままコンパイルを行うと警告がでます。このときには適切にキャストを行うか、引数の型を変更してください。writedataは、openstream関数で開いたファイルにデータを書き出します。
writedata関数には書き出したデータを蓄える場所、書き出す長さ、実際に書き出された長さを表す引数が与えられます。
static int mywrite(mng_handle handle,void *data, int size, int* written){
*written = fwrite(data,1, size, f);
return 1;
}
これらのコールバック関数を実際にhandleに与えるには、mng_setcb_xxx関数を使います。実際の変数名はlibmng.hなどを見て調べることができます。
mng_setcb_openstream(handle, mywrite)
ここまででmngを作成する準備ができました。実際にmngを作成するには、mngにどのような機能があるかを把握する必要があります。mngのデータは”チャンク”と呼ばれるデータで扱われます。それぞれのチャンクには名前とチャンクに付属するデータがついており、名前とデータを指定することでチャンクを指定することができます。具体的なチャンクの種類はmngの仕様([[w:MNG]]を参照)などを参照してください。具体的には例えばMHDRチャンクをしていするときには、
mng_putchunk_mhdr(handle, 320,200,30,3,3,3,583);
のような関数を使います。ここで、関数名のmhdrを他のチャンク名に変えることで、他のチャンクを作成することができます。詳しい引数の意味は仕様書を参照してほしいのですが、1,2,3番目の引数は画面の幅、高さ、表示画像のfpsを表します。
チャンクのデータを指定し終わったら実際にmngファイルを作成します。このためには、
mng_write(handle);
を使います。
====pngファイルの扱い方====
====mngファイルの表示====
mngファイルを表示するには、libmngに付属の各mngビューアを使うことができます。これは、libmngソース内で./contrib/gcc以下に含まれるファイルです。例えば、[[w:SDL]]を使ったビューアなどが存在し、mngを表示することができます。
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4,723 | 高等学校理科総合A | 小学校・中学校・高等学校の学習 > 高等学校の学習 > 高等学校理科総合A
高等学校理科総合Aは、高等学校での、科目のひとつ。 自然の事物・現象に関する観察、実験などを通して、エネルギーと物質の成り立ちを中心に、自然の事物・現象について理解させるとともに、人間と自然とのかかわりについて考察させ、自然に対する総合的な見方や考え方を養う。
理科総合A 化学分野 理科総合A 物理分野
身近な自然の事物・現象についての観察、実験などを通して、それらの基本的な方法を習得させるとともに、エネルギーや物質について考察させ、自然を探究する力を養う。
人間生活にかかわりの深い化石燃料、原子力、水力、太陽光などの利用の際見られる現象は、エネルギーという共通概念でとらえられることを学習する。
身の回りの物質は原子、分子、イオンから成り立ち、それらの粒子の結び付きの変化で物質の性質が変わることやエネルギーの出入りがあることを学習する。
科学技術の成果と今後の課題について考察させ,科学技術と人間生活とのかかわりについて探究する。 | [
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| 小学校・中学校・高等学校の学習 > 高等学校の学習 > 高等学校理科総合A 高等学校理科総合Aは、高等学校での、科目のひとつ。
自然の事物・現象に関する観察、実験などを通して、エネルギーと物質の成り立ちを中心に、自然の事物・現象について理解させるとともに、人間と自然とのかかわりについて考察させ、自然に対する総合的な見方や考え方を養う。 理科総合A 化学分野
理科総合A 物理分野 | [[小学校・中学校・高等学校の学習]] > [[高等学校の学習]] > 高等学校理科総合A
'''高等学校理科総合A'''は、高等学校での、科目のひとつ。<br>
自然の事物・現象に関する観察、実験などを通して、エネルギーと物質の成り立ちを中心に、自然の事物・現象について理解させるとともに、人間と自然とのかかわりについて考察させ、自然に対する総合的な見方や考え方を養う。
[[理科総合A 化学分野]]
[[理科総合A 物理分野]]
==自然の探究==
身近な自然の事物・現象についての観察、実験などを通して、それらの基本的な方法を習得させるとともに、エネルギーや物質について考察させ、自然を探究する力を養う。
#自然の見方
#探究の仕方
==資源・エネルギーと人間生活==
人間生活にかかわりの深い化石燃料、原子力、水力、太陽光などの利用の際見られる現象は、エネルギーという共通概念でとらえられることを学習する。
#資源の開発と利用
##エネルギー資源の利用
##その他の資源の開発と利用
#いろいろなエネルギー
##仕事と熱
##エネルギーの変換と保存
==物質と人間生活==
身の回りの物質は原子、分子、イオンから成り立ち、それらの粒子の結び付きの変化で物質の性質が変わることやエネルギーの出入りがあることを学習する。
#物質の構成と変化
##物質の構成単位
##物質の変化
#物質の利用
##日常生活と物質
##生物のつくる物質
==科学技術の進歩と人間生活==
科学技術の成果と今後の課題について考察させ,科学技術と人間生活とのかかわりについて探究する。
#科学技術の進歩と課題
#課題研究の進め方
[[Category:高等学校教育|理りかそうこうA]]
[[Category:理科教育|高りかそうこうA]]
[[Category:物理学|高りかそうこうA]]
[[カテゴリ:高等学校化学|高りかそうこうA]]
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4,725 | 民法第762条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法)
(夫婦間における財産の帰属)
明治民法において、本条には以下の規定があった。戸主制廃止に伴い削除廃止。 | [
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)]]
==条文==
([[w:夫婦|夫婦]]間における財産の帰属)
;第762条
# 夫婦の一方が[[w:婚姻|婚姻]]前から有する財産及び婚姻中'''自己の名で得た財産'''は、その'''特有財産'''(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
# 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その[[w:共有|共有]]に属するものと[[w:推定|推定]]する。
==解説==
:夫婦の財産のあり方を法定した規定(法定財産制度)の一つである。
:夫婦であるといっても、それぞれが独立した個人であるから、婚姻前から有する財産や、婚姻中であっても'''自己の名で得た財産'''は、それぞれの単独名義の財産(特有財産)となる。しかし、夫婦は共通した生計のもと共同生活を営む([[民法第752条]])ため、ある財産がどちらに属するか判明しない場合もある。その場合は、夫婦の共有に属するものと推定されることになる。
:明治民法においても、[[民法第807条#参考|第807条]]において、「妻又ハ入夫カ婚姻前ヨリ有セル財産及ヒ婚姻中自己ノ名ニ於テ得タル財産ハ其特有財産トス」と定められ、単独で所有する「特有財産」とされた。なお、帰属の不分明な財産は家に属するものとされた。
:「自己の名で得た財産」の解釈については、以下の判例等を参考。
==参照条文==
*[[民法第761条]](日常の家事に関する債務の連帯責任)
==判例==
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56218&hanreiKbn=02 土地所有権移転登記手続請求](最高裁判決 昭和34年07月14日)
#;登記簿上の所有名義人と特有財産。
#:夫婦間の合意で、夫の買い入れた土地の登記簿上の所有名義人を妻としただけでは、土地を妻の特有財産と解すべきではない。
#[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52957 所得税審査決定取消事件](最高裁判決 昭和36年9月6日)[[日本国憲法第24条|憲法24条]],[[所得税法第1条|所得税法1条]]1項,[[所得税法第9条|所得税法9条]]本文
##'''民法第762条第1項の憲法第24条適否。'''
##:民法第762条第1項は憲法第24条に違反しない。
##:*憲法24条の法意は、民主主義の基本原理である個人の尊厳と両性の本質的平等の原則を婚姻および家族の関係について定めたものであり、男女両性は本質的に平等であるから、夫と妻との間に、夫たり妻たるの故をもつて権利の享有に不平等な扱いをすることを禁じたものであつて、結局、継続的な夫婦関係を全体として観察した上で、婚姻関係における夫と妻とが実質上同等の権利を享有することを期待した趣旨の規定と解すべく、個々具体の法律関係において、常に必らず同一の権利を有すべきものであるというまでの要請を包含するものではない。
##:*民法762条1項の規定をみると、夫婦の一方が婚姻中の自己の名で得た財産はその特有財産とすると定められ、この規定は夫と妻の双方に平等に適用されるものであるばかりでなく、所論のいうように夫婦は一心同体であり一の協力体であつて、配偶者の一方の財産取得に対しては他方が常に協力寄与するものであるとしても、民法には、別に財産分与請求権、相続権ないし扶養請求権等の権利が規定されており、右夫婦相互の協力、寄与に対しては、これらの権利を行使することにより、結局において夫婦間に実質上の不平等が生じないよう立法上の配慮がなされている。
##'''所得税法が夫婦の所得を合算切半して計算することにしていないことの憲法第24条適否。'''
##:所得税法が夫婦の所得を合算切半して計算することにしていないからといつて憲法第24条に違反しない。
==参考==
明治民法において、本条には以下の規定があった。戸主制廃止に伴い削除廃止。
#新ニ家ヲ立テタル者ハ其家ヲ廃シテ他家ニ入ルコトヲ得
#家督相続ニ因リテ戸主ト為リタル者ハ其家ヲ廃スルコトヲ得ス但本家ノ相続又ハ再興其他正当ノ事由ニ因リ裁判所ノ許可ヲ得タルトキハ此限ニ在ラス
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]<br>
[[第4編 親族 (コンメンタール民法)#2|第2章 婚姻]]<br>
[[第4編 親族 (コンメンタール民法)#2-3|第3節 夫婦財産制]]
|[[民法第761条]]<br>(日常の家事に関する債務の連帯責任)
|[[民法第763条]]<br>(協議上の離婚)
}}
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[[category:民法|762]] | 2006-12-18T00:41:55Z | 2024-03-17T08:58:04Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC762%E6%9D%A1 |
4,739 | 民法第818条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族
(親権者)
親権の主体につき規定。明治民法第877条においては、まず、親権は父に属し、これを欠く時に母が有するものとされていたが、戦後改正で父母ともに有することとなった。
明治民法において、本条には婿養子を離縁する際に付帯的に離婚を請求できる旨の以下の規定があった。家制度廃止に伴い継承なく廃止、離縁と離婚は独立して扱われることとなった。 | [
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族 | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]
==条文==
([[親権]]者)
;第818条
# 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
# 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
# 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、'''父母の一方が親権を行うことができないときは'''、他の一方が行う。
==解説==
{{wikipedia|親権}}
親権の主体につき規定。[[民法第877条#参考|明治民法第877条]]においては、まず、親権は父に属し、これを欠く時に母が有するものとされていたが、戦後改正で父母ともに有することとなった。
;3項
:「共同して行う」:父母一致の意思決定のもとに、または、他方の同意を得て親権を行使すること。
==参照条文==
*[[民法第819条]](離婚又は認知の場合の親権者)
*[[民法第834条]](親権の喪失の宣告)
*[[民法第838条]](後見の開始)
*[[児童福祉法第33条の8]]
*:児童相談所長が、未成年後見人選任の請求をした場合、親権を行う者又は未成年後見人が選任されるまでの間、当該児童相談所長は親権を行う。
==判例==
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53666&hanreiKbn=02 土地建物所有権移転登記手続請求](最高裁判例 昭和35年02月25日) [[民法第826条]]1項
*;親権者の一方に利益相反関係のある場合における代理の方法
*:親権者たる父母の一方に民法第826条第1項にいう利益相反関係があるときは、利益相反関係のない親権者と同項の特別代理人とが共同して子のための代理行為をなすべきである。
*;民法826条第1項の利益相反行為の事例
*:甲が乙の親権者として、自己の事業上の債務のため乙所有の不動産を代物弁済として他に譲渡する行為は、乙が甲の事業により生活上の利益を受けており、その利益も考慮してなされたものであるとしても、民法第826条第1項にいう利益相反行為である。
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50081&hanreiKbn=02 未成年者略取被告事件](最高裁判例 平成17年12月06日)[[刑法第35条]],[[刑法第224条]],[[民法第820条]]
*;母の監護下にある2歳の子を別居中の共同親権者である父が有形力を用いて連れ去った略取行為につき違法性が阻却されないとされた事例
*:母の監護下にある2歳の子を有形力を用いて連れ去った略取行為は, 別居中の共同親権者である父が行ったとしても,監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情が認められず,行為態様が粗暴で強引なものであるなど判示の事情の下では,違法性が阻却されるものではない。
==参考==
明治民法において、本条には婿養子を離縁する際に付帯的に離婚を請求できる旨の以下の規定があった。家制度廃止に伴い継承なく廃止、離縁と離婚は独立して扱われることとなった。
:[[民法第813条#参考|第八百十三条]]第十号ノ場合ニ於テ離縁又ハ縁組取消ノ請求アリタルトキハ之ニ附帯シテ離婚ノ請求ヲ為スコトヲ得
:[[民法第813条#参考|第八百十三条]]第十号ノ事由ニ因ル離婚ノ訴ハ当事者カ離縁又ハ縁組ノ取消アリタルコトヲ知リタル後三个月ヲ経過シ又ハ離婚請求ノ権利ヲ放棄シタルトキハ之ヲ提起スルコトヲ得ス
:*[[民法第813条#参考|明治民法第813条第10号]]
:*:婿養子縁組ノ場合ニ於テ離縁アリタルトキ又ハ養子カ家女ト婚姻ヲ為シタル場合ニ於テ離縁若クハ縁組ノ取消アリタルトキ
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]<br>
[[第4編 親族 (コンメンタール民法)#4|第4章 親権]]<br>
[[第4編 親族 (コンメンタール民法)#4-1|第1節 総則]]
|[[民法第817条の11]]<br>(離縁による実方との親族関係の回復)
|[[民法第819条]]<br>(離婚又は認知の場合の親権者)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|818]] | null | 2022-12-27T08:39:55Z | [
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"テンプレート:前後",
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC818%E6%9D%A1 |
4,740 | 民法第780条 | (認知能力)
戦後の民法改正においても、明治民法第828条と同趣旨の規定が受け継がれている。
身分法上の行為には制限行為能力制度による保護の要請よりも行為者本人の意思がより尊重される傾向にある。
認知については意思能力があれば足りると解されている。
明治民法において、本条には以下の規定があった。趣旨は、廃止された戸主の請求権を除き民法第744条に継承された。 | [
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"text": "身分法上の行為には制限行為能力制度による保護の要請よりも行為者本人の意思がより尊重される傾向にある。",
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"text": "認知については意思能力があれば足りると解されている。",
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"text": "明治民法において、本条には以下の規定があった。趣旨は、廃止された戸主の請求権を除き民法第744条に継承された。",
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]
| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第4編 親族
法学>コンメンタール>コンメンタール民法>第4編 親族 | *[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]
*[[法学]]>[[コンメンタール]]>[[コンメンタール民法]]>[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]
==条文==
(認知能力)
;第780条
:[[認知]]をするには、父又は母が[[未成年者]]又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。
==解説==
戦後の民法改正においても、[[民法第828条#参考|明治民法第828条]]と同趣旨の規定が受け継がれている。
身分法上の行為には制限行為能力制度による保護の要請よりも行為者本人の意思がより尊重される傾向にある。
認知については意思能力があれば足りると解されている。
==参照条文==
*[[民法第779条]](認知)
*[[民法第784条]](認知の効力)
==参考文献==
*『民法(5)親族・相続(第3版)』有斐閣新書(1989年、有斐閣)105頁-116頁(川田昇執筆部分)
*泉久雄『親族法』(1997年、有斐閣)204頁-220頁
==参考==
明治民法において、本条には以下の規定があった。趣旨は、廃止された戸主の請求権を除き[[民法第744条]]に継承された。
#[[民法第765条#参考|第七百六十五条]]乃至[[民法第771条#参考|第七百七十一条]]ノ規定ニ違反シタル婚姻ハ各当事者、其戸主、親族又ハ検事ヨリ其取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但検事ハ当事者ノ一方カ死亡シタル後ハ之ヲ請求スルコトヲ得ス
#[[民法第766条#参考|第七百六十六条]]乃至[[民法第768条#参考|第七百六十八条]]ノ規定ニ違反シタル婚姻ニ付テハ当事者ノ配偶者又ハ前配偶者モ亦其取消ヲ請求スルコトヲ得
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編 親族]]<br>
[[第4編 親族 (コンメンタール民法)#3|第3章 親子]]<br>
[[第4編 親族 (コンメンタール民法)#3-1|第1節 実子]]
|[[民法第779条]]<br>(認知)
|[[民法第781条]]<br>(認知の方式)
}}
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[[category:民法|780]] | null | 2021-10-05T01:23:09Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC780%E6%9D%A1 |
4,742 | 民法第602条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
(短期賃貸借)
2017年改正により、以下の部分を改正。
他人物賃貸の存在期間の制約について規定している。かつて、短期賃貸借がもたらす抵当権者への制約の規定は第2編に存在したが、廃止された。 | [
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]]
==条文==
([[短期賃貸借]])
;第602条
:'''[[処分行為|処分]]の権限を有しない者'''が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。<u>契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、当該各号に定める期間とする。</u>
:#樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借 10年
:#前号に掲げる賃貸借以外の土地の賃貸借 5年
:#建物の賃貸借 3年
:#動産の賃貸借 6箇月
===改正経緯===
2017年改正により、以下の部分を改正。
*冒頭部「処分につき行為能力の制限を受けた者又は」を削除。
*:改正前は、賃貸借期間の制限について、制限能力者の行為も含まれていたが、そもそも、法律行為として未成年者や成年被後見人などのそれぞれの規定で手当てがされており([[民法第13条|第13条]]等)、本条の規定により単独で短期賃貸借を行うことができるとの誤読のおそれがあること等の理由から、削除された。
*上記下線部を追加。
*:判例で確立されていた、短期賃貸借の期間を超えて締結された賃貸借の効力については法定期間を超える部分のみが無効となることを明記した。
==解説==
他人物賃貸の存在期間の制約について規定している。かつて、短期賃貸借がもたらす抵当権者への制約の規定は第2編に存在したが、廃止された。
==参照条文==
*[[民法第13条]](保佐人の同意を要する行為等)
*[[民法第601条]](賃貸借)
*[[民法第603条]](短期賃貸借の更新)
*[[民法第921条]](法定単純承認)
==判例==
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53628 家屋明渡等請求](最高裁判決 昭和36年6月23日)
#;民法第602条の期間を超える抵当権物賃貸借の抵当権者兼競落人に対する効力
#:民法第602条所定の期間を超える建物賃貸借は、抵当権の登記後に成立したものであるときは、これを登記しても、右期間の範囲内においてもこれをもつて抵当権者兼競落人に対抗し得ない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54936 賃貸権確認請求](最高裁判決 昭和38年9月17日)
#;民法第602条の期間をこえる土地賃貸借の抵当権者及び競落人に対する効力
#:民法第602条の期間をこえる土地賃貸借は、その登記が抵当権設定登記後になされたものである以上、同条所定期間内においても、抵当権者及び競落人に対抗できない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54081 家屋明渡請求](最高裁判決 昭和43年9月27日)
#;民法第395条の適用のある期間の定のない建物賃貸借につき解約申入の正当事由が認められた事例
#:民法第395条の適用のある期間の定のない建物賃貸借において、その賃貸借が成立後競落人による解約申入に至るまで、−ほとんど7年に及ぶ長期間を経過したものであるときは、他に特段の事情がないかぎり、その解約申入は[[借家法第1条ノ2|借家法1条ノ2]](現.[[借地借家法第28条]])にいう「正当ノ事由」を具備するものというべきである。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52203 賃貸借契約解除等](最高裁判決 平成元年6月5日)
#;抵当権と併用して賃借権設定仮登記を経由した者の後順位短期賃借権者に対する明渡請求の可否
#:抵当権と併用して抵当不動産につき賃借権設定の予約をしその仮登記を経由した者が、予約完結権を行使して賃借権の本登記を経由しても、後順位の短期賃借権者に対し右不動産の明渡を求めることは、右短期賃貸借の解除請求とともにする場合であつてもできない。
#[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=36454&hanreiKbn=04 工事妨害禁止等請求事件](札幌地方裁判所判決 平成20年05月30日)[[建物の区分所有等に関する法律第13条]],[[建物の区分所有等に関する法律第17条]],[[建物の区分所有等に関する法律第26条]],[[民事訴訟法第61条]]
#:携帯電話会社がマンションの管理組合に対し,屋上に携帯電話の基地局を設置するために締結した賃貸借契約に基づき設置工事の妨害禁止等を求めた請求について,契約を締結するのに必要な区分所有者全員の同意を得ていないとして,これを棄却。
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{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2|第2章 契約]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2-7|第7節 賃貸借]]
|[[民法第601条]]<br>(賃貸借)
|[[民法第603条]]<br>(短期賃貸借の更新)
}}
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[[category:民法|602]]
[[category:民法 2017年改正|602]] | 2006-12-19T01:56:37Z | 2024-02-19T19:26:22Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC602%E6%9D%A1 |
4,743 | 民法第11条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)
(保佐開始の審判)
民法第11条
成年後見制度の一つ。後見を必要とするまではないが、著しく判断能力に欠いており、本人に財産の処分などを自由に行なわせることが、本人の財産を失わせるなど社会福祉上好ましくないため、それに制限を加える制度。旧法における「準禁治産者」を引き継いだ制度である。
「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者」
「ただし、第7条に規定する原因がある者については、この限りでない」 | [
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第1編 総則 (コンメンタール民法)]]
==条文==
([[保佐]]開始の審判)
;第11条
:精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、[[家庭裁判所]]は、本人、配偶者、四親等内の親族、[[後見人]]、[[後見監督人]]、[[補助人]]、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、[[民法第7条|第7条]]に規定する原因がある者については、この限りでない。
===旧法===
民法第11条
:心神耗弱者及ヒ浪費者ハ準禁治産者トシテ之ニ保佐人ヲ附スルコトヲ得
==解説==
[[成年後見制度]]の一つ。後見を必要とするまではないが、著しく判断能力に欠いており、本人に財産の処分などを自由に行なわせることが、本人の財産を失わせるなど社会福祉上好ましくないため、それに制限を加える制度。旧法における「'''準禁治産者'''」を引き継いだ制度である。
===保佐の客体===
「精神上の障害により事理を弁識する能力が'''著しく不十分である'''者」
:被後見人が「精神上の障害により事理を弁識する能力を'''欠く常況にある'''者」と定められているのに比べ、日常生活に支障のない者に適用される。旧法においては「心神耗弱者及ヒ浪費者」即ち心神耗弱を原因として財産を浪費してしまう者となっており、喪失すべき財産や浪費の事実などにより、「勘当」の一態様として用いられ、しばしば濫用された側面もあった。新法においては、「浪費」の要件を外し、本人の福祉目的にいっそう近づけたものではあるが、判例等は準禁治産者のものが参照されるものと考えられる。
「ただし、第7条に規定する原因がある者については、この限りでない」
:「第7条に規定する原因がある者」とは、より精神上の障害の程度がはげしく保佐制度ではなく後見制度を適用すべき者をいう。
===審判請求権者===
*本人、配偶者、四親等内の親族
*:「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である」か否かは客観的事実とされるため、本人やより近い親族が、請求を行なわない場合ないし保佐開始を拒否する場合であっても、請求権者の請求を受けて審判する事ができる。
*後見人、後見監督人
*:後見が適用されている場合は、保佐の適用は排除されるため(但し書き参照)、後見人等が保佐の審判を請求する場合は、被後見人の精神状況が回復し、[[民法第10条]]に定める、後見開始の審判の取消しを請求しなければならないが、完全に行為能力を認めることに不安のあるとき等が想定される。
*補助人、補助監督人
*:後見人等が保佐の審判を請求する場合とは逆に、被補助人の精神状況がさらに不安定なものとなり、補助制度では不十分と判断される場合。
*検察官
*:身寄りがない場合や審判を請求すべき親族等が審判請求をしない場合、職権により審判を請求できる。
*その他、知的障害者福祉法第28条により、市町村長は保佐開始審判の申し立てをすることができる。
==参照条文==
*保佐関連
**[[民法第876条の2|第876条の2]](保佐人及び臨時保佐人の選任等)
**[[民法第876条の3|第876条の3]](保佐監督人)
**[[民法第876条の4|第876条の4]](保佐人に代理権を付与する旨の審判)
**[[民法第876条の5|第876条の5]](保佐の事務及び保佐人の任務の終了等)
**[[第4編 親族 (コンメンタール民法)|第4編親族]] [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#6|第6章保佐及び補助]] [[第4編 親族 (コンメンタール民法)#6-1|第1款保佐]]
*[[民法第7条]](後見開始の審判)
*[[民法第15条]](補助開始の審判)
*[[知的障害者福祉法第28条]]
*:市町村長は、知的障害者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、[[民法第7条]]、[[民法第11条|第11条]]、[[民法第13条|第13条]]第2項、[[民法第15条|第15条]]第1項、[[民法第17条|第17条]]第1項、[[民法第876条の4|第876条の4]]第1項又は[[民法第876条の9|第876条の9]]第1項に規定する審判の請求をすることができる。
==判例==
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{{前後
|[[民法]]
|[[第1編 総則 (コンメンタール民法)|第1編 総則]]<br>
[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#第2章 人 (第3条~第32条の2)|第2章 人]]<br>
[[第1編 総則 (コンメンタール民法)#2-3|第3節 行為能力]]
|[[民法第10条]]<br>(後見開始の審判の取消し)
|[[民法第12条]]<br>(被保佐人及び保佐人)
}}
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[[category:民法|011]] | 2006-12-19T02:06:18Z | 2024-02-10T23:01:49Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC11%E6%9D%A1 |
4,750 | 近代文学 | 本項では、近代文学を日本の明治から大正期にかけてのものとする | [
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| 文学 > 近代文学 本項では、近代文学を日本の明治から大正期にかけてのものとする | *[[文学]] > [[近代文学]]
本項では、近代文学を日本の明治から大正期にかけてのものとする
==日本の文学==
===文学史===
====明治====
:'''明治初期 小説の成立と翻訳文学'''
:明治時代においては、西洋列強の文化吸収が貪欲に行われ、単に政治制度や科学技術に留まらず、絵画や音楽といった芸術分野でも西洋文化を取り込み、文学でも西洋文学との積極的な接触が行われた。
:坪内逍遥はヨーロッパのNovelに触れ、「[[小説神髄]]」を通じて日本に紹介した。今後文学の柱となる「小説」の誕生であった。ただし、「[[南総里見八犬伝]]」の様に小説とも呼べる文学自体は日本にも存在をしており、この事には注意を払う必要がある。
:坪内の言う小説とは単に物語りを扱う文学ではなく、文学に対する写実主義的なアプローチであり、よりありのままを表現を求めていた。その点においては旧来の文学と対立するものであった。
:また、明治初期においては外国文学の翻訳を通じて文学を学ぶ「翻訳文学」も顕著であり、外国作品と接する中で日本語の表現が模索され、その結果[[二葉亭四迷]]などが中心となって「言文一致」と呼ばれる日本語表記の変化が発生した。
:「言文一致」では、「漢字」「ひらがな」「カタカナ」「Alphabet」が用いられるようになったほか、より口語に近い形の文体や「 」(かぎかっこ)、句読点の使用など現在の日本語表記の原型が生み出された。
:この時代、ほかに[[森鴎外]]がおり、初期の作として「舞姫」「即興詩人」がある。
:'''明治中期'''
:
:'''明治末期 文豪の時代'''
:日本の文豪として、名だたる者に夏目漱石と森鴎外がいるが、この二人が活躍したのがこの時代だった。
:1905年、英国に英文学研究のために留学していた夏目漱石が帰国し、「吾が輩は猫である」を発表した。
:その後も「坊ちゃん」など後に代表作となる作品の発表を経て漱石は文豪としての地位を築いていった。
:そうした漱石を慕い、小宮豊隆や鈴木三重吉などが集まり、毎週木曜に漱石を中心として会合をする『木曜会』が形成されていった。その後、芥川龍之介、久米正雄といった次の世代を担うことになる若者もこの会に参加し、成長を遂げていった。
:一方の森鴎外は軍医として落ち着きだし、文学活動を再開し「ヰタ・セクスアリス」を1909年に発表した。
:「雁」なども後期作であり、この頃からは時代小説も手掛け「山椒大夫」「高瀬舟」などを書いていった。
:'''大正初期 新たな才能'''
:旧制第一高等学校での縁から、芥川龍之介・久米正雄・菊池寛・松岡讓などが、第4次の「新思潮」(東京大学系の文芸同人誌)を立上げ、作品の発表を行いだすようになった。
:芥川の作品には「羅生門」「蜘の糸」「藪の中」などがあるが、「鼻」は夏目漱石に絶賛された。
:短編を中心に創作が行ってたが、理知的といわれる表現に関しては、その分繊細であり、代表作「羅生門」の末尾を後に変更するということもあった。
===作家===
:[[日本文学の作家]]
===作品===
:[[日本文学の題名]]
==諸外国の文学==
*イギリス文学
*フランス文学
*ドイツ文学
*ロシア文学
*アメリカ文学
*中国文学
*朝鮮文学
[[Category:文学|きんたいふんかく]] | null | 2021-02-09T16:57:51Z | []
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E8%BF%91%E4%BB%A3%E6%96%87%E5%AD%A6 |
4,751 | ミクロ経済学 | ミクロ経済学とは何か?マクロ経済学は「(国民)所得理論」と呼ばれるのに対して、ミクロ経済学は「価格理論」とも呼ばれる。ミクロ経済学の本質は、財の価値とその決定を考えることなのである。
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| 経済学>ミクロ経済学 ミクロ経済学とは何か?マクロ経済学は「(国民)所得理論」と呼ばれるのに対して、ミクロ経済学は「価格理論」とも呼ばれる。ミクロ経済学の本質は、財の価値とその決定を考えることなのである。 | *[[経済学]]>[[ミクロ経済学]]
[[w:ミクロ経済学|ミクロ経済学]]とは何か?[[マクロ経済学]]は「(国民)所得理論」と呼ばれるのに対して、ミクロ経済学は「価格理論」とも呼ばれる。ミクロ経済学の本質は、財の価値とその決定を考えることなのである。
== 経済学の基本的事項 ==
*[[w:経済学|経済学]]の基本概念
*[[w:需要|需要]]と[[w:供給|供給]]
*[[w:消費|消費]]と[[w:生産|生産]]
*[[w:家計|家計]]と[[w:企業|企業]]
*[[w:市場|市場]]と[[w:情報|情報]]
== ミクロ経済学入門 ==
=== 消費者行動 ===
*[[効用]]
*[[無差別曲線]]
*[[予算制約式]]
*[[限界代替率]]
*[[財]]
*[[スルツキー方程式]]
=== 企業行動 ===
*[[費用関数]]
*[[短期費用関数]]
*[[長期費用関数]]
*[[生産可能性集合]]
*[[利潤最大化]]
=== 部分均衡理論と交換経済 ===
*[[市場調整]]
*[[純粋交換経済]]
*[[エッジワース・ボックス]]
*[[ワルラス法則]]
*[[パレート最適性]]
*[[厚生経済学の基本定理]]
=== 経済厚生 ===
*[[消費者余剰]]
*[[生産者余剰]]
*[[パレート改善]]
*[[社会厚生関数]]
*[[投票のパラドックス]]
*[[アローの不可能性定理]]
=== 不完全競争 ===
*[[独占理論]]
*[[クールノー均衡]]
*[[スタッケルベルグ均衡]]
*[[ベルトラン均衡]]
*[[独占的競争]]
*[[差別価格]]
*[[ゲーム理論]]
=== 公共経済 ===
*[[課税と補助金]]
*[[公共財]]
*[[サミュエルソンの条件]]
*[[外部効果]]
*[[コースの定理]]
*[[ピグー課税]]
*[[リンダール均衡]]
*[[期待効用仮説]]
*[[完全市場]]
*[[ポートフォリオ]]
*[[モラル・ハザード]]
*[[逆選択]]
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[[Category:経済学|みくろけいさいかく]] | null | 2022-08-30T23:28:32Z | [
"テンプレート:Stub"
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%83%AD%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6 |
4,752 | 経済学 | 経済学 (Economics) に関する文書・資料・教科書が収められる書庫です。収録内容は以下をご覧ください。 | [
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| 経済学 (Economics) に関する文書・資料・教科書が収められる書庫です。収録内容は以下をご覧ください。 | [[画像:経済学の扉絵.jpg|center|経済学]]
{{NDC|330|けいさいかく}}
{| style="float:right"
|-
|{{Wikipedia|経済学|経済学}}
|-
|{{Wikiquote|Category:経済学|経済学}}
|-
|{{Wiktionary|Category:経済学|経済学}}
|-
|{{wikiversity|School:経済学|経済学}}
|-
|{{蔵書一覧}}
|}
'''経済学''' (Economics) に関する文書・資料・教科書が収められる書庫です。収録内容は以下をご覧ください。
== 経済学と時事経済 ==
* [[経済学基礎]] {{進捗|25%|2013-10-08}}
* [[経済学/IT経済|IT経済]]
=== 時事経済(旧ERE)/ IT化以降の国際経済 ===
* [[経済学/世界経済|世界経済]]
* [[経済学/日本経済|日本経済]]
* [[経済学/アメリカ経済|アメリカ経済]]
* [[経済学/アジア経済|アジア経済]]
* [[経済学/欧州経済|欧州経済]]
* [[経済学/ロシア経済|ロシア経済]]
* [[経済学/アフリカ経済|アフリカ経済]]
== 理論経済学 ==
* [[ミクロ経済学初中級]] (ERE) {{進捗|00%|2013-10-08}}
* [[マクロ経済学初中級]] (ERE) {{進捗|25%|2013-10-08}}
* [[経済学/ミクロ経済学上級|ミクロ経済学上級]]
* [[経済学/マクロ経済学上級|マクロ経済学上級]]
* [[経済学/数理経済学|数理経済学]]
* [[経済数学]] {{進捗|00%|2013-10-08}}
* [[経済学/ゲーム理論|ゲーム理論]]
* [[経済学/都市経済学|都市経済学]]
* [[経済学/公共経済学|公共経済学]]
== 統計・情報処理 ==
* [[経済学/計量経済学|計量経済学]]
* [[経済学/数理統計学|数理統計学]]([[統計学]])(ERE)
* [[経済統計]] {{進捗|00%|2013-10-08}}
== 応用経済学 ==
* [[経済学/経済政策|経済政策]]
* [[経済学/応用ミクロ経済学|応用ミクロ経済学]]
* [[経済学/応用マクロ経済学|応用マクロ経済学]]
* [[経済学/労働経済学|労働経済学]]
* [[経済学/産業組織論|産業組織論]]
* [[経済学/社会政策論|社会政策論]]
* [[経済学/開発経済学|開発経済学]]
* [[経済学/国際経済学|国際経済学]] (ERE)
* [[経済学/環境経済学|環境経済学]]
* [[経済学/経済と法|経済と法]]
* [[経済学/規制政策|規制政策]]
* [[経済学/経済地理|経済地理]]
== 財政・金融 ==
* [[経済学/財政学|財政学]] (ERE)
* [[経済学/金融論|金融論]] (ERE)
* [[経済学/国際金融論|国際金融論]]
* [[経済学/地方財政論|地方財政論]]
* [[経済学/金融経済論|金融経済論]]
* [[経済学/数理ファイナンス|数理ファイナンス]]
* [[経済学/行動ファイナンス|行動ファイナンス]]
== 経済史・経済思想 ==
* [[経済史]](概略・歴史学と共有) {{進捗|25%|2013-10-08}}
* [[経済学/西欧経済史|西欧経済史]]
* [[経済学/東欧経済史|東欧経済史]]
* [[経済学/アジア経済史|アジア経済史]]
* [[経済学/日本経済史|日本経済史]]
* [[経済学/経済学史|経済学史]]
* [[経済学/経済思想|経済思想]]
{{stub}}
[[Category:経済学|*]]
[[Category:書庫|けいさいかく]]
[[de:Regal:Wirtschaftswissenschaft]]
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6 |
4,763 | 民法第534条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
削除
2017年改正により、継承条文なく削除
(債権者の危険負担)
危険負担の債権者主義についての規定。任意規定であるので、特約によりこの条文の適用を排除することも可能であり、法実務では排除する特約を設けることが一般的であった。
契約締結と同時に、目的物が支配の下になく管理が現実的にできない債権者が目的物の滅失又は損傷の危険を負担するとの帰結が不当であるとして、かねてから批判されていた。改正前までは、その適用場面を目的物の引渡時以降とする有力な学説があり、これを踏まえ、第3節売買の民法第567条に「目的物の滅失等についての危険の移転」について定めたため、本条を削除した。 | [
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"title": "解説"
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]]
==条文==
;第534条
'''削除'''
===改正経緯===
2017年改正により、継承条文なく削除
(債権者の[[危険負担]])
# '''特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合'''において、その物が'''債務者の責めに帰することができない事由'''によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。
# '''不特定物に関する契約'''については、[[民法第401条|第401条]]第2項の規定によりその物が確定した時から、前項の規定を適用する。
#*[[民法第401条]]2項
#*:[[種類債権]]の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする。
==解説==
危険負担の債権者主義についての規定。任意規定であるので、特約によりこの条文の適用を排除することも可能であり、法実務では排除する特約を設けることが一般的であった。
契約締結と同時に、目的物が支配の下になく管理が現実的にできない債権者が目的物の滅失又は損傷の危険を負担するとの帰結が不当であるとして、かねてから批判されていた。改正前までは、その適用場面を目的物の引渡時以降とする有力な学説があり、これを踏まえ、第3節[[売買]]の[[民法第567条]]に「目的物の滅失等についての危険の移転」について定めたため、本条を削除した。
==参照条文==
*<del>[[民法第535条]](停止条件付双務契約における危険負担)</del>本条同様の理由で削除
*[[民法第536条]](債務者の危険負担等)
==判例==
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55900&hanreiKbn=02 約束手形金請求](最高裁判決 昭和24年05月31日)[[民法第446条]],[[手形法第11条]]
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2|第2章 契約]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2-1|第1節 総則]]
|[[民法第533条]]<br>(同時履行の抗弁)
|[[民法第535条]]<br>削除<br>[[民法第536条]]<br>(債務者の危険負担等)
}}
[[category:民法|534]]
[[category:民法 2017年改正|534]]
[[category:削除又は廃止された条文|民534]] | null | 2022-09-28T17:03:00Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC534%E6%9D%A1 |
4,765 | 民法第535条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
削除
2017年改正により、継承条文なく削除。改正前条文は以下のとおり。
(停止条件付双務契約における危険負担)
危険負担につき、停止条件付双務契約における準則を定めた規定であった。 | [
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]]
==条文==
;第535条
'''削除'''
===改正経緯===
2017年改正により、継承条文なく削除。改正前条文は以下のとおり。
(停止条件付双務契約における[[危険負担]])
# [[民法第534条|前条]]の規定は、停止条件付双務契約の目的物が条件の成否が未定である間に滅失した場合には、適用しない。
# 停止条件付双務契約の目的物が'''債務者の責めに帰することができない事由'''によって損傷したときは、その損傷は、債権者の負担に帰する。
# 停止条件付双務契約の目的物が'''債務者の責めに帰すべき事由'''によって損傷した場合において、条件が成就したときは、債権者は、その選択に従い、契約の[[履行]]の[[請求]]又は[[解除権]]の行使をすることができる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。
==解説==
危険負担につき、[[停止条件]]付[[双務契約]]における準則を定めた規定であった。
*停止条件付双務契約
*:「東京に、転勤したら東京にある家屋を買う。」というような契約。
*1項の場合
*:転勤が未定の間に、家屋が類焼で全焼して滅失した場合は、買い手が東京への転勤が決まったとしても、家屋を引き渡すという債務を負う売り手は、代金を請求できない。
*::→ <u>[[民法第534条|前条]]の特則であるから、前条削除に伴い削除。</u>
*2項の場合
*:転勤が未定の間に、家屋が類焼で半焼となり損傷した場合は、買い手が東京への転勤が決まったときは、家屋を引き渡たせという債権を持った買い手は、代金を支払わなければならない。
*::→ <u>[[民法第534条|前条]]の特則であるから、前条削除に伴い削除。</u>
*3項の場合
*:転勤が未定の間に、家屋が売り手の不注意で失火し半焼となり損傷した場合は、買い手が東京への転勤が決まったときは、家屋を引き渡たせという債権を持った買い手は、家屋の引渡を請求しても、契約を解除してもよい。引越しの準備をしたというような損害があれば、請求できる。
*::→ <u>債務不履行の一般則に帰結するので不要として削除。</u>
==参照条文==
*[[民法第536条]](債務者の危険負担等)
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第3編 債権 (コンメンタール民法)|第3編 債権]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2|第2章 契約]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#2-2|第1節 総則]]
|[[民法第533条]]<br>(同時履行の抗弁)<br>[[民法第534条]]<br>削除
|[[民法第536条]]<br>(債務者の危険負担等)
}}
[[category:民法|535]]
[[category:民法 2017年改正|535]]
[[category:削除又は廃止された条文|民535]] | null | 2022-09-28T17:04:21Z | [
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC535%E6%9D%A1 |
4,768 | 会社法第575条 | 法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)
(定款の作成)
持分会社の設立の際に定款の作成が必要であることを定めた規定である。なお、「持分会社」の定義規定でもある。 | [
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| 法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第3編 持分会社 (コンメンタール会社法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[会社法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)]]
==条文==
([[w:定款|定款]]の作成)
;第575条
# [[w:合名会社|合名会社]]、[[w:合資会社|合資会社]]又は[[w:合同会社|合同会社]](以下「[[w:持分会社|持分会社]]」と総称する。)を設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
# 前項の定款は、電磁的記録をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、[[会社法施行規則第225条|法務省令]]で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
==解説==
持分会社の設立の際に定款の作成が必要であることを定めた規定である。なお、「持分会社」の定義規定でもある。
;2項
:法務省令:会社法施行規則第225条(電子署名)
==関連条文==
*[[会社法第26条]](定款の作成)
*[[会社法第576条]](定款の記載又は記録事項)
*[[労働安全衛生法第46条]]
----
{{前後
|[[コンメンタール会社法|会社法]]
|[[第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)|第3編 持分会社]]<br>
[[第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)#1|第1章 設立]]<br>
|[[会社法第574条]]<br>(特別清算終結の決定)
|[[会社法第576条]]<br>(定款の記載又は記載事項)
}}
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[[category:会社法|575]] | null | 2022-05-31T23:54:43Z | [
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4,769 | 会社法第580条 | 法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)
(社員の責任)
持分会社の社員の責任の発生要件と効果についての規定である。有限責任社員については出資の価額の限度でよい。 | [
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"text": "持分会社の社員の責任の発生要件と効果についての規定である。有限責任社員については出資の価額の限度でよい。",
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| 法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第3編 持分会社 (コンメンタール会社法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[会社法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)]]
==条文==
(社員の責任)
;第580条
# 社員は、次に掲げる場合には、連帯して、[[w:持分会社|持分会社]]の債務を弁済する責任を負う。
#: 一 当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合
#: 二 当該持分会社の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合(社員が、当該持分会社に弁済をする資力があり、かつ、強制執行が容易であることを証明した場合を除く。)
# 有限責任社員は、その出資の価額(既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。)を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
==解説==
持分会社の社員の責任の発生要件と効果についての規定である。有限責任社員については出資の価額の限度でよい。
==関連条文==
*[[会社法第581条]](社員の抗弁)
*[[会社法第588条]](無限責任社員であると誤認させる行為等をした有限責任社員の責任)
*[[会社法第589条]](社員であると誤認させる行為をした者の責任)
----
{{前後
|[[コンメンタール会社法|会社法]]
|[[第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)|第3編 持分会社]]<br>
[[第3編 持分会社 (コンメンタール会社法)#2|第2章 社員]]<br>
|[[会社法第579条]]<br>(持分会社の成立)
|[[会社法第581条]]<br>(社員の抗弁)
}}
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[[category:会社法|580]] | null | 2022-05-31T23:57:35Z | [
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4,772 | 会社法第445条 | 法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第5章 計算等 (コンメンタール会社法)
(資本金の額及び準備金の額)
会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)により、5項を改正、6項を新設。
資本金、準備金(資本準備金、利益準備金)の定義、計上方法について規定している。
具体的な部分については、会社法施行規則第116条により会社計算規則第22条に委任されている。
具体的な部分については、会社法施行規則第116条により会社計算規則第35条、会社計算規則第36条に委任されている。 | [
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"text": "法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第5章 計算等 (コンメンタール会社法)",
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"text": "資本金、準備金(資本準備金、利益準備金)の定義、計上方法について規定している。",
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"text": "具体的な部分については、会社法施行規則第116条により会社計算規則第22条に委任されている。",
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"text": "具体的な部分については、会社法施行規則第116条により会社計算規則第35条、会社計算規則第36条に委任されている。",
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| 法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第5章 計算等 (コンメンタール会社法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[会社法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)]]>[[第2編第5章 計算等 (コンメンタール会社法)]]
==条文==
([[w:資本金|資本金]]の額及び[[w:準備金|準備金]]の額)
;第445条
# [[w:株式会社|株式会社]]の'''資本金'''の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
# 前項の払込み又は給付に係る額の2分の1を超えない額は、'''資本金'''として計上しないことができる。
# 前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、'''資本準備金'''として計上しなければならない。
# [[W:剰余金|剰余金]]の配当をする場合には、株式会社は、[[会社計算規則第22条|法務省令]]で定めるところにより、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に10分の1を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金(以下「'''準備金'''」と総称する。)として計上しなければならない。
# 合併、吸収分割、新設分割、株式交換、株式移転又は株式交付に際して資本金又は準備金として計上すべき額については、法務省令で定める。
# 定款又は株主総会の決議による[[会社法第361条|第361条]]第1項第三号、第四号若しくは第五号ロに掲げる事項についての定め又は報酬委員会による[[会社法第409条|第409条]]第3項第三号、第四号若しくは第五号ロに定める事項についての決定に基づく株式の発行により資本金又は準備金として計上すべき額については、法務省令で定める。
==解説==
会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)により、5項を改正、6項を新設。
資本金、準備金(資本準備金、利益準備金)の定義、計上方法について規定している。
;4項
具体的な部分については、[[会社法施行規則第116条]]により[[会社計算規則第22条]]に委任されている。
;5項
具体的な部分については、会社法施行規則第116条により[[会社計算規則第35条]]、[[会社計算規則第36条]]に委任されている。
==関連条文==
*[[会社法第446条]](剰余金の額)
*[[会社法第447条]](資本金の額の減少)
*[[会社法第448条]](準備金の額の減少)
*[[会社法第450条]](資本金の額の増加)
*[[会社法第451条]](準備金の額の増加)
==参照条文==
*[[商業登記法第80条]](合併の登記)
----
{{前後
|[[コンメンタール会社法|会社法]]
|[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)|第2編 株式会社]]<br>
[[第2編第5章 計算等 (コンメンタール会社法)|第5章 計算等]]<br>
[[第2編第5章 計算等 (コンメンタール会社法)#3|第3節 資本金の額等]]
|[[会社法第444条]]<br>(連結計算書類)
|[[会社法第446条]]<br>(剰余金の額)
}}
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[[category:会社法|445]] | null | 2022-04-26T12:32:16Z | [
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]
| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%B3%95%E7%AC%AC445%E6%9D%A1 |
4,790 | 民法第398条の3 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)
(根抵当権の被担保債権の範囲)
2017年改正により以下のとおり改正。
根抵当権の被担保債権の範囲についての規定である。
確定した元本とは、債権として法律上必要な要件が備わっていれば、弁済期が配当までに到来すれば、弁済期が未到来でもよい。 | [
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"text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)",
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"text": "(根抵当権の被担保債権の範囲)",
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"text": "2017年改正により以下のとおり改正。",
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"text": "確定した元本とは、債権として法律上必要な要件が備わっていれば、弁済期が配当までに到来すれば、弁済期が未到来でもよい。",
"title": "解説"
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第2編 物権 (コンメンタール民法)]]
==条文==
([[根抵当権]]の被担保債権の範囲)
;第398条の3
# 根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
# 債務者との取引によらないで取得する手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権を根抵当権の担保すべき債権とした場合において、次に掲げる事由があったときは、その前に取得したものについてのみ、その根抵当権を行使することができる。ただし、その後に取得したものであっても、その事由を知らないで取得したものについては、これを行使することを妨げない。
##債務者の支払の停止
##債務者についての破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立て
##抵当不動産に対する競売の申立て又は滞納処分による差押え
===改正経緯===
2017年改正により以下のとおり改正。
:(改正前)手形上又は小切手上の請求権を根抵当権の担保すべき債権とした場合
:(改正後)手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権を根抵当権の担保すべき債権とした場合
==解説==
根抵当権の被担保債権の範囲についての規定である。
'''確定した元本'''とは、債権として法律上必要な要件が備わっていれば、弁済期が配当までに到来すれば、弁済期が未到来でもよい。
==参照条文==
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第2編 物権 (コンメンタール民法)|第2編 物権]]<br>
[[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10|第10章 抵当権]]<br>
[[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10-4|第4節 根抵当]]
|[[民法第398条の2]]<br>(根抵当権)
|[[民法第398条の4]]<br>(根抵当権の被担保債権の範囲及び債務者の変更)
}}
{{stub|law}}
[[category:民法|398の03]]
[[category:民法 2017年改正|398の03]] | null | 2022-10-19T20:49:52Z | [
"テンプレート:前後",
"テンプレート:Stub"
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| https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC398%E6%9D%A1%E3%81%AE3 |
4,791 | 民法第398条の4 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)
(根抵当権の被担保債権の範囲及び債務者の変更)
根抵当権に関する規定の一つである。 | [
{
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"text": "法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)",
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"text": "(根抵当権の被担保債権の範囲及び債務者の変更)",
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"text": "根抵当権に関する規定の一つである。",
"title": "解説"
}
]
| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第2編 物権 (コンメンタール民法)]]
==条文==
([[根抵当権]]の被担保債権の範囲及び債務者の変更)
;第398条の4
# 元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる。債務者の変更についても、同様とする。
# 前項の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。
# 第1項の変更について元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなす。
==解説==
根抵当権に関する規定の一つである。
==参照条文==
*[[民法第398条の5]](根抵当権の極度額の変更)
*[[民法第398条の6]](根抵当権の元本確定期日の定め)
----
{{前後
|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第2編 物権 (コンメンタール民法)|第2編 物権]]<br>
[[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10|第10章 抵当権]]<br>
[[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10-4|第4節 根抵当]]
|[[民法第398条の3]]<br>(根抵当権の被担保債権の範囲)
|[[民法第398条の5]]<br>(根抵当権の極度額の変更)
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4,792 | 民法第378条 | 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権
(代価弁済) | [
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| 法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 | [[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第2編 物権 (コンメンタール民法)|第2編 物権]]
==条文==
([[代価弁済]])
;第378条
:抵当不動産について[[所有権]]又は[[地上権]]を買い受けた第三者が、'''抵当権者の請求に応じて'''その抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。
==解説==
:[[抵当権の消滅]]事由のうち、代価弁済による場合についての規定である。
:地上権は、地代を一括払いで買い受けた者に限られる。
:抵当不動産の所有権の取得者は、[[民法第383条]]の定めるところにより、抵当権者に対して[[抵当権消滅請求]](旧.滌除)をすることができる。
==参照条文==
*[[民法第379条]](抵当権消滅請求)
==判例==
*[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53048 建物収去土地明渡等請求] 昭和39年02月04日(最高裁判所判例集)
*;建物買取請求権行使によつて成立する売買と[[民法第577条]]適用の有無
*:借地法第10条(現、[[借地借家法第13条]])に基づく建物買取請求権行使によつて成立する売買についても[[民法第577条]]の適用がある。
*;買取請求権行使の対象たる建物に抵当権が設定されている場合と当該建物の時価
*:建物買取請求の対象たる建物の時価は、建物に抵当権の設定があつても減額されるべきではない。
*;滌除権の取得と所有権所得登記の要否
*:抵当不動産の買主が売主に対する関係で滌除権の取得を主張するためには、右不動産の所有権取得登記を経ることを要しない。
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|[[コンメンタール民法|民法]]
|[[第2編 物権 (コンメンタール民法)|第2編 物権]]<br>
[[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10|第10章 抵当権]]<br>
[[第2編 物権 (コンメンタール民法)#10-2|第2節 抵当権の効力]]
|[[民法第377条]]<br>(抵当権の処分の対抗要件)
|[[民法第379条]]<br>(抵当権消滅請求)
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4,811 | 会社法第178条 | 法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社>第2章 株式
(株式の消却)
従来の商法旧会社編における株式の消却概念は複雑であったが、会社法においては「自己株式の取得」と「自己株式の消却」の二段階に整理されている。この条文は後者の段階についての規定である。 | [
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| 法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社>第2章 株式 | [[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[会社法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)|第2編 株式会社]]>[[第2編第2章 株式 (コンメンタール会社法)|第2章 株式]]
==条文==
(株式の消却)
;第178条
# 株式会社は、自己株式を消却することができる。この場合においては、消却する自己株式の数(種類株式発行会社にあっては、自己株式の種類及び種類ごとの数)を定めなければならない。
# 取締役会設置会社においては、前項後段の規定による決定は、取締役会の決議によらなければならない。
==解説==
従来の商法旧会社編における株式の消却概念は複雑であったが、会社法においては「自己株式の取得」と「自己株式の消却」の二段階に整理されている。この条文は後者の段階についての規定である。
==関連==
*[[会社法第155条]]
*[[会社法第179条]]
*[[会社法第446条]](剰余金の額)
==参考文献==
*相澤哲編『一問一答新・会社法』(商事法務研究会、2005年)63頁
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|[[コンメンタール会社法|会社法]]
|[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)|第2編 株式会社]]<br>
[[第2編第2章 株式 (コンメンタール会社法)|第2章 株式]]<br>
[[第2編第2章 株式 (コンメンタール会社法)#4|第4節 株式会社による自己の株式の取得]]<br>
[[第2編第2章 株式 (コンメンタール会社法)#4-6|第6款 株式の消却]]
|[[会社法第177条]]<br>(売買価格の決定)
|[[会社法第179条]]<br>(株式等売渡請求)
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4,816 | 会社法第183条 | 法学>民事法>商法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社>第2章 株式
(株式の分割) | [
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==条文==
([[w:株式分割|株式の分割]])
;第183条
# [[w:株式会社]]は、株式の分割をすることができる。
# 株式会社は、株式の分割をしようとするときは、その都度、[[w:株主総会]](取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
#:一 株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式(種類株式発行会社にあっては、第三号の種類の発行済株式)の総数に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日
#:二 株式の分割がその効力を生ずる日
#:三 株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類
==解説==
==参照条文==
*[[会社法第184条]](効力の発生等)
*[[会社法第215条]](株券の発行)
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{{前後
|[[コンメンタール会社法|会社法]]
|[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)|第2編 株式会社]]<br>
[[第2編第2章 株式 (コンメンタール会社法)|第2章 株式]]<br>
[[第2編第2章 株式 (コンメンタール会社法)#5|第5節 株式の併合等]]
|[[会社法第182条]]<br>(効力の発生)
|[[会社法第184条]]<br>(効力の発生等)
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4,817 | 会社法第346条 | 法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)
(役員等に欠員を生じた場合の措置)
役員(その定義については会社法第329条を参照)には一定の員数が法定されている場合があるが、欠員が生じた場合の不都合や不利益を避けるため上記の規定がおかれている。 | [
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| 法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[会社法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)]]>[[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)]]
==条文==
([[w:役員 (会社)|役員]]等に欠員を生じた場合の措置)
;第346条
# 役員([[w:監査等委員会設置会社|監査等委員会設置会社]]にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、'''任期の満了又は辞任により退任した役員'''は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。
# 前項に規定する場合において、[[w:裁判所|裁判所]]は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、'''一時役員の職務を行うべき者'''を選任することができる。
# 裁判所は、前項の一時役員の職務を行うべき者を選任した場合には、株式会社がその者に対して支払う報酬の額を定めることができる。
# [[w:会計監査人|会計監査人]]が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合において、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役は、'''一時会計監査人の職務を行うべき者'''を選任しなければならない。
# [[会社法第337条|第337条]]及び[[会社法第340条|第340条]]の規定は、前項の一時会計監査人の職務を行うべき者について準用する。
# [[w:監査役会設置会社|監査役会設置会社]]における第4項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査役会」とする。
# 監査等委員会設置会社における第4項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査等委員会」とする。
# [[w:指名委員会等設置会社|指名委員会等設置会社]]における第4項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査委員会」とする。
==解説==
役員(その定義については[[会社法第329条]]を参照)には一定の員数が法定されている場合があるが、欠員が生じた場合の不都合や不利益を避けるため上記の規定がおかれている。
*会社法第337条(会計監査人の資格等)
*会社法第340条(監査役等による会計監査人の解任)
==関連条文==
*[[民法第654条]](委任の終了後の処分)
*[[会社法第329条]](選任)
*[[会社法第339条]](解任)
==参照条文==
*[[会社法第831条]](株主総会等の決議の取消しの訴え)
*[[会社法第911条]](株式会社の設立の登記)
*[[会社法第937条]](裁判による登記の嘱託)
*[[商業登記法第55条]](一時会計監査人の職務を行うべき者の変更の登記)
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{{前後
|[[コンメンタール会社法|会社法]]
|[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)|第2編 株式会社]]<br>
[[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)|第4章 機関]]<br>
[[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)#3|第3節 役員及び会計監査人の選任及び解任]]
|[[会社法第345条]]<br>(会計参与等の選任等についての意見の陳述)
|[[会社法第347条]]<br>(種類株主総会における取締役又は監査役の選任等)
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4,818 | 会社法第329条 | 法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)
(選任)
1項は、「役員」の定義規定も兼ねている。株主総会決議は、特殊普通決議である。
2項では監査等委員会設置会社における取締役の選任について規定している。
3項においては補欠役員の選任について規定している。
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| 法学>民事法>商法>会社法>コンメンタール会社法>第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)>第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法) | [[法学]]>[[民事法]]>[[商法]]>[[会社法]]>[[コンメンタール会社法]]>[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)]]>[[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)]]
==条文==
(選任)
;第329条
# [[w:役員 (会社)|役員]]([[w:取締役]]、[[w:会計参与]]及び[[w:監査役]]をいう。以下この節、[[会社法第371条|第371条]]第4項及び[[会社法第394条|第394条]]第3項において同じ。)及び[[w:会計監査人]]は、[[w:株主総会決議|株主総会の決議]]によって選任する。
# [[w:監査等委員会設置会社]]においては、前項の規定による取締役の選任は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別してしなければならない。
# 第1項の決議をする場合には、[[会社法施行規則第96条|法務省令]]で定めるところにより、役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この項において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数を欠くこととなるときに備えて補欠の役員を選任することができる。
==解説==
1項は、「役員」の定義規定も兼ねている。株主総会決議は、[[w:株主総会決議#役員選任のための決議(特殊普通決議)|特殊普通決議]]である。
*会社法第371条(議事録等)
*会社法第394条(議事録)
2項では監査等委員会設置会社における取締役の選任について規定している。
3項においては補欠役員の選任について規定している。
*法務省令は、会社法施行規則第96条(補欠の会社役員の選任)
==関連条文==
*[[会社法第330条]](株式会社と役員等との関係)
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|[[コンメンタール会社法|会社法]]
|[[第2編 株式会社 (コンメンタール会社法)|第2編 株式会社]]<br>
[[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)|第4章 機関]]<br>
[[第2編第4章 機関 (コンメンタール会社法)#3|第3節 役員及び会計監査人の選任及び解任]]
|[[会社法第328条]]<br>(大会社における監査役会等の設置義務)
|[[会社法第330条]]<br>(株式会社と役員等との関係)
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[[category:会社法|329]] | null | 2017-05-09T13:21:53Z | [
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Subsets and Splits
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